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建設業の生産性向上に貢献!
スマホRTK技術のメリットと活用法

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2025年3月14日 掲載
AR土木

建設業界では深刻な人手不足が続いており、生産性向上が喫緊の課題となっています。たとえば建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は約5.99倍と全職種平均の約1.29倍を大きく上回り、労働力不足が顕著です​。加えて従来の測量業務には専門技能者や多くの時間が必要で、人件費や外注コストの増大が問題視されています。広範囲の測量では多数の人員と長い作業時間、外部委託費用を要し、作業効率とコスト面で大きな負担となっていました。

こうした課題への解決策の一つとして注目されているのが、スマートフォンとRTK技術の融合です。スマホRTKとは、スマートフォンに高精度測位技術RTK(Real Time Kinematic)を組み合わせることで、誰でも手軽にセンチメートル級の測位が行えるようにするソリューションです。スマホRTK技術の登場により、これまで高額で専門技術者が扱っていた測量作業を大幅に効率化し、建設業の生産性向上に寄与できる可能性が広がっています。この記事では、スマホRTKが建設業界にもたらすメリットと具体的な活用方法、そして注目のデバイス「LRTK」の紹介とその活用事例について解説します。

RTK技術の基本と従来の課題

RTK(Real Time Kinematic)は、衛星測位システム(GNSS)を利用してリアルタイムに高精度な位置を測定する技術です。通常のGPS単独測位では数メートルの誤差が生じますが、RTKでは基準局(既知の座標に設置した受信機)と移動局(測位対象の受信機)の2つを同時に使い、互いのデータを通信して誤差を補正します​。具体的には、基準局と移動局の双方が4基以上の衛星から信号を受信し、基準局側で得た誤差情報を移動局側にリアルタイム送信することで、単独測位よりも格段に精度の高い位置情報を取得できる仕組みです​。これにより、平面位置と高さを数センチメートル以内の精度で測位できるため、測量や建設の現場で非常に有用です。

しかし従来、このRTK測位を現場で行うには高価な機器と熟練者が必要でした。一般的なRTK-GNSS測量機の導入には数百万円規模の投資が必要で、例えば市販のプロ向けGNSS受信機は130万円以上するケースもあります。また機器自体も大型で持ち運びに手間がかかり、設定や操作にも専門知識が求められました。小規模な建設会社や測量事務所にとって、これら高コスト・高難度のハードルは大きな負担だったのです。さらに、従来は測量結果のデータ共有にも時間がかかり、USBや手作業でPCに取り込んで図面化するといった手間が発生していました。

こうした従来技術の課題(高コスト・専門性・データ活用の非効率)がある中で、スマートフォンの汎用性とRTKの高精度を組み合わせたスマホRTK技術が登場しました。この技術は手元のスマホを活用することで、RTK測位のハードルを大きく下げ、建設現場の誰もが使える新しい測量手法として期待されています。

スマホRTKのメリット

スマホRTK技術には、従来の測量手法と比べて次のような大きなメリットがあります。

  • コスト削減: スマホRTKは手持ちのスマートフォンやタブレットに後付けデバイスを装着するだけで高精度測位が可能になるため、専用の高額機器を新規購入する必要がありません。従来はRTK対応の測量機器に数百万円かかることもありましたが、近年ではスマホ対応のRTK受信機が10万円以下で入手できる例も登場しています。初期導入コストが大幅に低減できることで、中小の建設・測量事業者でも導入しやすくなっています。

  • 作業効率向上: スマホRTKは誰もが使い慣れたスマートフォンをプラットフォームとするため、直感的な操作で測位や測量が可能です。専用機器特有の複雑な操作パネルではなく、スマホ上のアプリ画面で測位結果を確認したり点名(ポイント名)を入力したりできます。測定データはその場でクラウド共有も可能で、リアルタイムにチームで情報を共有できます​。従来品に比べて価格もリーズナブルで1人1台の運用が現実的なため​、各作業員がそれぞれ測量デバイスを持ち即時に必要な計測を行えるようになります。これにより、いちいち測量担当者を待たずに現場判断が迅速になり、全体の作業効率が飛躍的に向上します。

  • データ共有・クラウド連携: スマートフォンの特性を活かし、測位データや測量結果をそのままクラウドにアップロードして保存・共有できます​。たとえば専用アプリから測定したポイントに写真やメモを添付し、クラウド上に記録することで、オフィスにいながら現場の測量結果を即座に把握するといったことも可能です。これにより測量から図面化までのリードタイムが短縮され、測ったデータをすぐ施工管理や報告書作成に活用できます。スマホRTKはICT施工の一環として、データの一元管理とチーム間の情報共有を強力に後押しします。

以上のように、スマホRTKはコスト・操作性・データ活用の面で大きな利点をもたらします。現場では測ってすぐ使うが合言葉になるほどスピーディなワークフローが実現し、人手不足の中でも少人数で高精度な測量・出来形確認が行えるようになります。

スマホRTKの活用法

スマホRTK技術を使えば、建設現場やインフラ維持管理の分野で様々なスマート測量の活用シーンが生まれます。ここでは代表的な活用方法をいくつか紹介します。

点群スキャンによる3次元測量

スマホRTKを活用すると、写真測量(フォトグラメトリ)やLiDARスキャンによる3次元測量を手軽に行うことができます。RTK対応スマホで撮影した写真には高精度な位置情報(ジオタグ)が付与されるため、専用のアプリやソフトを使って複数の写真を合成すれば、現場の正確な3D点群データを生成可能です​。

従来は高価な3Dレーザースキャナーやドローンが必要だった点群計測も、スマホ片手に現場を歩くだけでcm精度の3Dモデルを取得できるようになっています。取得した点群データはそのままクラウドにアップロードして解析したり、CADソフト上で地形・構造物の体積や寸法を算出することが可能です。例えば、ある河川敷の法面をスマホRTKで撮影して点群化すれば、オフィスで即座に土量を算出したり変形箇所を検出でき、測量から設計・施工計画までの時間短縮につながります。

さらに、出来形管理にも3D点群は有効です。施工後の盛土や造成地の形状をまるごと点群で記録しておけば、完成後に図面が無くても正確な3Dモデルや断面図を作成でき、品質管理や将来の改修計画に役立てることができます​。このようにスマホRTKによる3次元測量は、現場記録の精度向上と維持管理業務の効率化に大きく貢献します。
 

墨出し作業の効率化

建築・土木現場で行われる墨出し(位置出し)作業にもスマホRTKは革命をもたらします。従来、設計図の寸法をもとに測量機で位置を出し、地面にマーキングする墨出し作業は、複数人で時間をかけて慎重に行う必要がありました。スマホRTKを用いると、設計図やBIM/CIMで定義された座標データをスマホに取り込み、現場でAR(拡張現実)によって位置をガイドすることができます。例えばLRTKのアプリでは、測位したいターゲットの座標を指定するとスマホ画面上にその地点を示す仮想の杭(AR杭)を表示できます。作業者は画面の指示に従って移動するだけで、正確な位置に到達でき、その地点にマーキングや杭打ちを行えます。

特に一人での墨出し作業が可能になる点は大きなメリットです。RTK対応スマホとAR技術の組み合わせにより、これまで「2人1組」が当たり前だった墨出しを単独でこなせるようになります。しかも、スマホ上で仮想杭を打つ方法なら、危険な法面の上やアクセスしにくい場所でも安全に位置出しが可能です。硬いコンクリート面で杭が打てない場合でもAR上で杭を設置できるため、地面へのマーキングを省略しつつ正確な位置情報を残せます。墨出しの効率化は、建物の基準出しやインフラ設備の位置特定など、あらゆる場面で施工のスピードアップと人員削減につながるでしょう。

出来形管理とデータ共有

スマホRTKは、施工中および施工後の出来形管理にも強力なツールとなります。例えば道路工事や鉄道施設のメンテナンスにおいて、完成した構造物の形状や設置物の位置をスマホRTKで測定し、そのデータを即座にクラウドに保存すれば、電子納品や維持管理台帳に必要な情報を自動で蓄積できます。これにより、従来はスタッフが手計測して写真撮影・記録していた出来形管理作業が大幅に効率化されます。

また、スマホRTKで取得した出来形データは関係者間でリアルタイムに共有できるため、ゼネコン本社や発注者(例えばJRや高速道路会社のインフラ担当者)とも即時に情報共有が可能です。現場で計測した締固め後の路盤高さやトンネルの変位測定結果などをクラウド経由で共有すれば、離れた場所にいる技術者もそのデータを見て判断・指示を出せます。紙の帳票に頼っていた時代に比べ、データドリブンな出来形管理が実現するのです。

さらに、取得データを蓄積すれば将来的なメンテナンス計画に活用できます。インフラ設備の経年変化を時系列で点群データとして残しておけば、数年後の点検時に差分を比較して劣化箇所を発見するといったことも容易です。スマホRTKはこのように測って終わりではなく、測って蓄積し、活用するという新しい出来形管理サイクルを可能にします。

LRTKのご案内

上述のスマホRTKのメリットと活用法を実現する具体的な製品として、LRTK(Lefixea RTK)というソリューションがあります。LRTKは東京工業大学発のスタートアップ、レフィクシア株式会社が開発したポケットサイズの万能測量機「LRTK Phone」です。その特徴と実績について紹介します。
LRTK Phoneは、iPhoneやiPadに超小型のRTK-GNSS受信機を装着して使用するデバイスで、スマホをセンチメートル級精度の測量機に変身させます。重量は約125g、厚さ13mmという薄型軽量ボディにバッテリーを内蔵しており、携帯性に優れる実用的な端末です。この一台で測位(位置座標の取得)や点群計測、墨出し、写真記録、さらにはARを使ったシミュレーションまでこなすことができ、取得データはクラウド上で瞬時に共有できます。価格も従来の測量機器と比べて超リーズナブルに設定されており、まさに「1人1台」の現場ツールとして各所で導入が進んでいます。実際、現場実務者の間で静かなブームとなっているとの報道もあり、その手軽さと有用性が現場から高く評価されていることが伺えます。

LRTKのメリット・導入事例
LRTKを導入することで、前述したスマホRTKのメリットをフルに享受できます。たとえばある建設会社では、従来トータルステーションで半日かかっていた出来形測定をLRTKに置き換えることで測定時間を大幅短縮し、即日でクラウド共有まで完了するようになりました。また、杭打ち作業ではLRTKのAR機能を活用し、複数人がかりだった墨出しを一人で正確に行えるようになったという声もあります。LRTKは測量専門技術者でなくとも直感的に扱えるため、中小土木業者やインフラメンテナンス担当部署でも教育コストをかけずに運用開始できたとの事例報告があります。さらに、携帯電波の届かない山間部やトンネル付近でも使えるよう、準天頂衛星みちびきの提供するCLAS補強信号に対応したモデルも用意されています。

通信圏外の現場が多いインフラ管理の現場で「圏外でも使えるので安心だ」と好評を博しており、災害時に携帯網が途絶した状況でもLRTKが役立ったとのエピソードも報告されています​。このようにLRTKは日本全国の様々な現場で活用が進み、ICT施工を支えるキーテクノロジーとして注目を集めています。

LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

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