知らなきゃ損！
小型軽量で高速FIXを実現するRTK測量GPS端末

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2025年3月14日 掲載

建設測量や土木工事において、位置を正確に測る「測位」技術は不可欠です。中でもリアルタイムキネマティック測位（RTK測量）は、誤差数センチという高精度で即時に位置情報を得られるため近年その重要性が飛躍的に高まっています​。

技術の進展によりRTK測量機器の低価格化が進み、建設業界の DX 推進や i-Construction（アイ・コンストラクション）にも追い風となっています。

一方、従来の測量手法にはいくつかの課題がありました。例えばトータルステーション（TS）による測量はミリ単位の高精度を誇るものの、機材が大型で設置に手間がかかり、測点ごとに角度・距離を測定するため測位速度が限られます。また、GPS単独測位では誤差が数メートル発生しがちで精度が不十分でした​。従来型のGNSS測量機（RTK対応受信機）も高価で重量があり、初期設定や測位の確定（FIX）に時間がかかることがありました。

こうした課題を解決するために登場したのが、高速FIX（瞬時測位）を実現する小型軽量のRTK測量GPS端末です。最新のRTK-GNSS受信技術により、電源投入後わずか数秒でcm級精度の測位を確定できる「Fast FIX」機能を備えた端末も登場しています​。しかも手のひらに収まるコンパクトサイズと軽量設計で、現場での携行・設置の負担を劇的に軽減します。「知らなきゃ損！」 と言えるこの革新的なRTK測量端末の仕組みと導入メリットについて、詳しく解説していきます。

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RTK測量GPS端末の技術と仕組み

RTK（リアルタイムキネマティック）測位とは、基準局（固定局）と移動局（ローバー）が同時に複数の衛星から信号を受信し、基準局の既知の位置を基準に移動局の位置をリアルタイムで算出する測位方式です​。基準局から送られる補正情報を移動局の受信機が解析することで、GPS単独測位では約2mあった誤差を数cmまで抑えることができます。このようにRTKは相対測位の一種であり、誤差要因を相殺することで高精度化を実現しています。

RTK測量GPS端末では、このRTK技術を小型デバイスに凝縮し、さらに「高速FIX」を可能にしています。高速FIXとは、その名の通り測位の初期化（FIX解の取得）を瞬時に行う技術です。従来のRTK受信機では衛星捕捉後、FIX解が得られるまで数十秒〜数分を要する場合もありました。しかし最新端末はマルチバンド（L1/L2/L5など）・マルチGNSS（GPSだけでなくGLONASSやGalileo、みちびき等）対応により測位環境を大幅に改善し、数秒以内でのFIX取得を可能にしています​。

例えば海外製の高性能RTK受信機では「5秒でcm級精度に到達」といった例も報告されています​。高速FIXにより、移動しながらの連続測位や点の瞬間観測がストレスなく行え、測量作業のスピードアップに直結します。

また、小型軽量設計も技術面で大きな利点です。従来は高精度化のために大型アンテナや高出力バッテリを搭載する必要がありましたが、回路基板の高集積化や省電力化により端末自体を極限まで小さくすることに成功しています​。

具体的には基板を薄型化する工夫や、アンテナ・バッテリー一体構造のデザインにより、スマートフォンと一体化できるほどのサイズを実現しています​。小型化によって現場への機材持ち込みが容易になり、測量員の移動や設置の負担を飛躍的に軽減します。現場では足場の悪い場所や高所での作業も多いため、軽量な機材は安全面・作業効率面でも大きなメリットとなります。

要約すると、最新のRTK測量GPS端末は「RTKによる高精度測位」と「高速FIXによる瞬時測位」、そして「小型軽量設計による携帯性」を兼ね備えた先進技術の塊です。次章では、これら技術が実際の測量業務にもたらす具体的なメリットを見ていきましょう。

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小型軽量RTK測量GPS端末の導入メリット

小型軽量のRTK測量GPS端末を導入することで、現場の測量作業には次のようなメリットが生まれます。

• 測量作業のスピードアップ: 高速FIX機能により、測位の初期化待ち時間がほぼゼロになります。移動局の電源投入直後や測位再開時にも瞬時にセンチメートル級の精度が得られるため、ポイントごとの測定時間が短縮されます。例えば従来は測点ごとに数十秒待っていたところが、新端末なら移動してボタンを押せば即座に測位完了するイメージです。結果として、一日に観測できる点の数が飛躍的に増え、工程全体の短縮につながります。

• 精度の向上と作業効率化: RTKによる測位精度そのものが高いため、従来よりも精密なデータ取得が可能です。数cm以内の精度で即時に位置が分かるので、丁張り設置の省略や出来形管理の効率化など、後工程の手戻り削減にも寄与します。測量結果をリアルタイムにタブレットやクラウドに表示・共有できる製品もあり、現場で即座にデータ確認・次の指示出しが行えるため、チーム全体の作業効率が向上します。誤差が小さいことで測り直しや追加測量の発生も抑えられ、品質確保と効率化を両立できます。

• コスト削減と人員最適化: 小型RTK端末の導入は経済面でもメリットがあります。まず、省人化効果が大きく、従来2人1組で行っていた測量を1人で完結できるため人件費削減につながります​。実際、RTK測位を活用することでトータルステーション測量と比べて「人員や手間の大幅な削減」が実現したケースも報告されています​。また、機器自体の価格も近年は下がっており、安価なRTK-GNSS受信機が登場しています​。超小型RTK端末「LRTK Phone」のように「価格は超リーズナブル」と評される製品もあり​、初期投資コストを抑えて導入できます。結果として、限られた予算や人手でも高精度測量を可能にし、全体のコストパフォーマンスが向上します。

これらのメリットにより、ゼネコンから中小規模の土木業者、測量会社、インフラ点検事業者に至るまで、幅広い現場で小型RTK測量端末の導入効果が期待できます。「作業が速い」「精度が高い」「人手が省ける」という三拍子揃った最新技術は、まさに現場の生産性革命と言えるでしょう。

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従来の測量手法との比較

では、この小型軽量RTK測量GPS端末と従来の代表的な測量手法を具体的に比較してみます。ここではトータルステーション測量とGNSS測量機によるRTK測量の2つを取り上げ、それぞれの特長や違いを見てみましょう。

トータルステーションは光学的にターゲットを視準し角度と距離を測るため、直線的な視通しが必要で、人員もオペレーターとターゲット保持者の最低2名を要します。高精度な反面、広範囲の測量には位置替えや複数人での作業が必要になるなど効率面の課題があります。

作業員がポール先端のGNSSアンテナと手元のコントローラで位置を測定しています。従来型のRTK-GNSS測量機では、このようにローバー用アンテナ（移動局）とデータ受信機器を持ち歩き、別途基準局を用意して無線やネットワークで補正情報を受け取ります。GNSS測量は視通しが不要なため広範囲を1人で測量可能ですが、機材はアンテナ・バッテリー・通信装置を含め比較的大型で、初期の衛星捕捉やFIX取得に時間がかかる場合もありました。

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LRTK製品の紹介

ここで、数ある小型RTK測量GPS端末の中でも注目される LRTKシリーズ の製品について簡単に紹介します。

最大の特徴は、スマートフォンと連携するポケットサイズの端末であることです。中でも「LRTK Phone」はiPhoneやiPadに専用受信機を装着して使用するユニークな製品で、重量125g・厚さ13mmという超小型ボディにバッテリーも内蔵されています​。この1台をスマホに取り付けるだけで、手持ちのスマホがセンチメートル級精度の万能測量機に早変わりします​。

専用のスマホ用カバーにワンタッチで脱着できる設計で、必要なときにすぐ取り出して測量を開始できる手軽さは画期的です。まさに「いつでもポケットに入れて携帯し、使いたい時にすぐ使える1人1台の現場ツール」を目指して開発された端末と言えます​。

専用アプリ「LRTK」をスマホにインストールし、Bluetooth接続することで衛星補正データの受信や測位制御を行います。スマホと一体化したことでケーブル類も不要となり、現場での取り回しが非常に良好です。また、端末をスマホから取り外して一脚や三脚に取り付け、スマホとは無線連携した状態で固定点の測位を行うことも可能です​。現場状況に応じて柔軟に使える点も優れています。

精度面では、LRTKはネットワーク型RTK（Ntrip経由の基準局データ）に対応しており、市販のVRSサービスや公共基準点情報を利用することで水平±2cm・垂直±3cm程度の精度が得られます​。さらに通信圏外の山間部など携帯電波が届かない場所でも使えるよう、日本の準天頂衛星みちびきが提供するCLAS（センチメータ級測位補強サービス）にも対応したモデルがあります。これにより、山間部やトンネル坑口付近など従来は基準局電波が届かずRTKが困難だった場面でも、衛星から直接高精度補強信号を受信して測位が可能です​。現場での“使える範囲”が飛躍的に広がる強みと言えるでしょう。

他社競合製品と比べたLRTKの差別化ポイントとしては、クラウドサービスやAR機能との連携も挙げられます。LRTKは取得した測位データや軌跡を即座にクラウド上の地図にプロットし、チーム内で共有できます​。また、スマホのカメラで撮影した写真に高精度な位置座標と方位情報をタグ付けし、地図上で管理するといったことも専用アプリで簡単に実現しています​。これによりインフラ点検では撮影箇所を正確に記録したり、土量計算では取得点群をCADにそのまま取り込む​など、従来別途機材や手計算が必要だった作業を大幅に効率化できます。

加えて、AR（拡張現実）による施工シミュレーション機能も提供されており​、設計図や出来形データを現場映像に重ねて確認するといった先進的な活用も可能です。これらはスマホ連携ならではの拡張機能であり、単なる測量機器に留まらないワークフロー全体のDXを支援するプラットフォームとなっています。