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衛星測位の法規制とRTK:
ドローン測量の制度動向

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2025年3月5日 掲載
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近年、ドローンを用いた高精度測量が、建設現場やインフラ保全の現場で急速に普及しています。特に、RTK(リアルタイムキネマティック)測位技術は、ドローン測量によってセンチメートル級の高精度位置情報をリアルタイムで取得できるため、施工管理や測量の効率化に大きく寄与しています。

しかし、その一方で、日本国内における測量法や電波法などの法規制、さらには航空法によるドローン飛行規制がRTK技術の活用に大きな影響を与えています。

本記事では、これらの法規制がRTK測位にどのように関わり、ドローン測量の制度動向にどのような変化をもたらしているかを、初心者にも分かりやすくバランスよく解説します。また、弊社のLRTK製品がこれらの法規制環境下でもどのように活用され、現場での高精度測位を実現しているかについても紹介します。

1. 測量法とRTK測位

測量法の概要

日本の測量法は、公共測量の正確性と安全性を確保するために、基準点の設置や測量方法に関する厳格な基準を定めています。国土地理院が運用する電子基準点ネットワーク「GEONET」は、全国に約1300か所以上設置され、RTK測位の基盤として利用されています。電子基準点から得られる補正情報は、ネットワーク型RTK(VRS方式など)として提供され、民間事業者も高精度な測位を実現するために活用しています。
しかし、公共測量データとしての基準点は厳格な管理下にあり、データの利用には法令に則った手続きが必要となるため、民間での利用には一定の制約が生じています。

測量法がRTKに与える影響

RTK測位を利用する場合、電子基準点から送信される補正データは、正確な公共座標系(JGD2011など)に基づいています。そのため、補正情報を適用することで、移動局(ローバー)は公共測量の基準と一致した高精度な位置を取得できます。これは、従来の相対測位よりも信頼性が高く、国や自治体が定めた基準に即した測量結果が得られるという大きなメリットがあります。しかし、公共データの利用に際しては、測量法上の利用制限や報告義務、定期検定などの手続きが求められるため、事前に十分な法令確認が必要です。

2. 電波法とドローンRTK測位

電波法の概要

RTK測位システムは、基準局と移動局間でリアルタイムに補正情報をやり取りするために、無線通信が不可欠です。日本の電波法は、無線機器の使用可能な周波数帯や出力、設置場所について厳密な規制を課しており、RTKシステムが利用する通信手段もその対象となります。特に、ドローンに搭載されるRTK受信機が利用する無線通信では、適切な電波管理が求められ、無線局との干渉を避けるために認証や出力制限が適用されます。

電波法がドローンRTKに与える影響

ドローンによる測量の場合、飛行中のドローンがRTK補正情報を受信するために、安定した無線通信環境が必要です。電波法に基づく規制は、使用できる周波数帯や出力レベルを制限するため、ドローンが飛行するエリア内で十分な電波が確保されるかどうかが重要な課題となります。また、公共の無線局が存在する地域では、混信を避けるための対策が求められ、これがRTK補正情報の伝送に影響を及ぼす可能性もあります。したがって、ドローン測量を行う際は、事前に飛行エリアの電波環境を十分に確認し、必要に応じて補正用の無線機器の調整や設置が求められます。

3. ドローン測量の制度動向

公共測量としてのドローン利用

近年、国や自治体はドローンによる公共測量の導入を促進するため、測量法や航空法の改正を進めています。ドローンによる測量は、従来の航空測量やトータルステーション測量に比べて低コスト・高効率で行えるため、災害復旧や都市計画、インフラ点検などで活用が進んでいます。しかし、ドローンを用いた公共測量には、航空法上の飛行許可や測量法に基づく報告義務など、各種法令に従った運用が必要です。これらの規制は、RTK測位を利用するドローンにも適用され、特に電波法による無線機器の使用制限と、測量法によるデータの信頼性確保のための要件が大きな課題となります。
たとえば、ドローン測量においては、RTK補正情報を安定して受信するために、基準局データ(GEONETなど)を利用するネットワーク型RTKが一般的ですが、その利用には事前の認可や契約が必要になるケースもあり、法令遵守が重要です。
さらに、航空法による飛行制限区域では、ドローンの飛行高度や飛行時間が制限されるため、RTK測位を利用する場合も、計画的な飛行ルートの設定が求められます。こうした法規制は、ドローン測量の運用における安全性と信頼性を確保するために重要ですが、同時に運用コストや作業計画の複雑性を増す要因ともなります。

制度改正の動向

最近の政府の取り組みでは、ドローンによる公共測量の利便性向上と安全性確保を両立するため、測量法や電波法、航空法における規制の見直しが進んでいます。たとえば、国土地理院は電子基準点データの民間利用を拡大する方針を示しており、これにより民間企業がネットワーク型RTKサービスをより簡便に利用できるようになると期待されています。また、航空法においても、ドローンの飛行許可手続きの簡素化や、特定区域での飛行自由化が進められており、これらの制度改正はRTKを利用したドローン測量の普及を促進するでしょう。

4. LRTKとの関連と導入メリット

弊社のLRTKシリーズは、RTK測位を簡便に利用できる高精度GNSSソリューションとして、ドローン測量の現場でも高い評価を得ています。LRTKは、スマートフォンに装着して利用する軽量デバイスで、専用アプリを通じて国土地理院の電子基準点データをネットワーク経由で受信し、センチメートル級の測位を実現します。

  • 手軽なセットアップ: LRTK Phoneなどの製品は、スマートフォンとBluetoothで簡単に接続できるため、ドローン搭載はもちろん、地上作業員が自ら携行してRTK測位を行うのにも適しています。

  • クラウド連携: LRTKクラウドを利用すれば、現場で取得した測位データや写真をリアルタイムでクラウドにアップロードし、即座に関係者と共有できます。これにより、公共測量運用に必要な報告や検証が迅速化され、法令遵守がスムーズに行えます。

  • 法規制への対応: LRTKは、電波法や測量法、航空法などの各種法規制を踏まえた設計がなされており、認証取得済みの機器を用いることで、法令遵守を確実に実現します。これにより、ドローン測量や公共測量への適用におけるリスクが低減され、信頼性の高い測位環境が整います。

5. 今後の展望

法規制の緩和と制度改正の動向により、ドローンを含むRTK測位の民間利用は、今後ますます拡大すると考えられます。国土地理院の電子基準点ネットワークは、公共測量の基盤としての信頼性を維持しながら、民間企業にも広く利用されるようになるでしょう。さらに、5G通信の普及やクラウド技術の進化に伴い、RTK補正情報のリアルタイム伝送やデータ共有が一層強化され、公共測量の運用効率が大きく向上する見込みです。

ドローン測量は、これらの技術革新と制度改正を背景に、従来の高価な測量機器や手間のかかる現場準備から解放され、より低コストかつ迅速に高精度な位置情報を取得できる新しい運用モデルとして確立しつつあります。RTK技術の普及は、建設・土木、インフラ保全、自動運転など幅広い分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する基盤となるでしょう。

LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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