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5G時代のRTK:
超低遅延通信で変わる高精度測位

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2025年3月5日 掲載
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第5世代通信(5G)の登場により、リアルタイムキネマティック(RTK)測位技術の現状と可能性が大きく変わろうとしています。従来、数センチの高精度測位を実現するRTKでは、基地局から移動局へ補正情報を無線通信で伝送する必要がありました。通信方式としては、特定小電力無線やUHF無線による直接通信、あるいは携帯電話網(4G/LTE)を利用したインターネット経由のネットワーク型RTK(Ntrip方式)の活用が一般的です。

しかし、従来方式には通信遅延や電波状況による不安定さといった課題もあり、補正情報が途切れると測位が中断するリスクがありました​。こうした中で高速・大容量かつ超低遅延を特長とする5G通信の普及は、RTK測位に新たな地平を拓くものとして期待されています。

5Gの特徴とRTK測位への影響

5G通信の最大の特徴の一つは、極めて低い通信遅延です。従来の4Gでは通信遅延がおよそ0.01秒(10ミリ秒)程度でしたが、5Gでは理論上1/1000秒(1ミリ秒)以下にまで抑えられています。この超低遅延により、RTKの補正データ伝送におけるタイムラグがほぼ解消されます。補正情報がほぼ即時に移動局へ届くため、測位演算がリアルタイムに行われ、移動体においても位置ズレのない安定した高精度測位が可能になります。

さらに5Gは高速大容量通信によって、RTK補正情報の安定供給に寄与します。通信速度が飛躍的に向上した5Gでは、従来よりも頻繁かつリッチなデータ配信が可能です。例えば、より高頻度で補正データを送り常に最新の情報で測位演算を行ったり、あるいは複数の移動局が同時に接続しても帯域に余裕を持って補正サービスを受けられたりします。5Gのネットワークは多数の機器の同時接続を前提として設計されているため、補正情報配信サーバへの接続が集中しても安定性を保ちやすいと言えます。

また5Gには高信頼性も備わっています。通信の遅延がごく小さく、しかも途切れにくい5Gでは、RTK測位に必要な常時接続性が確保しやすくなります​。

例えばネットワークスライシング等の技術により、RTKのようなミッションクリティカルなデータ通信に専用の帯域と品質保証を与えることも可能です。その結果、補正情報の取りこぼしが減り、RTKの信頼性向上とリアルタイム性向上に直結します。5Gの超低遅延・高信頼通信によって、RTK測位はこれまで以上に安定したリアルタイム高精度技術へと進化するのです。

4Gとの比較:RTK測位の精度と安定性の向上

従来の4G環境下でRTK測位を運用する際には、通信遅延や通信不安定による課題が指摘されていました。補正データが届くまで数十ミリ秒の遅延が発生すると、その間に移動体が動いてしまい位置精度にわずかながら影響を及ぼす可能性があります。また、現場の電波状況によっては通信が途切れ途切れになり、RTKの解がFIXからFLOATに戻ってしまうケースも見られました​。

特に都市部では4G回線の輻輳やビル陰による電波減衰で通信が不安定になることがあり、山間部や地下空間では圏外となって補正サービスを受けられないリスクもありました​。こうした要因がRTK測位の精度・安定性に影響を与えていたのです。

5Gの導入により、こうした4G時代の課題は大きく改善されます。前述のように5Gは通信遅延が飛躍的に削減される(4Gの遅延の1/10)ため​、補正データのリアルタイム性が格段に向上します。これにより移動しながらの測位でも補正情報の適用遅れが起きにくくなり、より安定したセンチメートル精度を維持できます。また通信速度も5Gは4Gの最大20倍に達し​、大容量のデータ伝送に余裕が生まれるため、例えば都市部で多数の作業者や機械が同時にRTK補正サービスに接続してもスムーズにデータを受信可能です。さらに電波環境の面でも、5Gは小型セルの多用やビームフォーミング技術によって途切れにくいネットワークを構築でき、過酷な環境下でも測位用通信の安定性が改善します。総じて、5Gへの移行はRTK測位の精度維持と可用性向上に直結し、従来よりも頑健な高精度測位が期待できるのです。

通信インフラ面で5Gは4Gを圧倒する性能を備えており、これがRTK測位においても「即時かつ安定したセンチ測位」という形でメリットをもたらします。特に通信安定性の向上は大きく、5Gなら補正データの欠落による測位中断が起きにくいため、都市部のビル陰や郊外でも安定して高精度を維持できるでしょう。

LRTKを活用した5G×RTKのメリット

5G時代のRTK測位を最大限に活用するソリューションとして注目されているのがLRTKシリーズです。LRTK(レフィクシア社のRTKソリューション)は、スマートフォンやタブレットと連携して簡便にセンチメートル級測位を実現できるデバイスおよびサービス群です。代表的な製品であるLRTK Phoneはスマホ一体型の小型GNSS受信機で、アンテナとバッテリーを内蔵しスマートフォンに装着するだけでRTK測位が行えます。さらに上位モデルのLRTK Proやヘルメット装着型など、多様なラインナップが用意されており、現場のニーズに合わせて選択可能です。これらLRTKシリーズはいずれもスマホと接続することで補正情報の受信やクラウドサービス連携を行う設計になっており、5G通信にも対応しています。5G対応のスマホやタブレットと組み合わせれば、LRTKデバイスはその超高速・低遅延ネットワークを通じてリアルタイムに補正データを受信し、高精度測位をより確実なものにできます。

LRTKと5Gの組み合わせにはさまざまな強みがあります。第一に、従来は据え置き型の高精度GNSS受信機+無線機が必要だったRTK測位を、スマホ片手で実現できる手軽さです。現場作業員は特別な通信機器を意識することなく、5Gスマホ経由で安定した補正情報を受け取りつつ測位作業に集中できます。第二に、クラウド連携によるデータ共有が容易になる点です。LRTKシリーズは専用アプリやクラウドサービスと連動し、測位した点の座標データや現場で撮影した写真・点群データを即座にクラウドへアップロードできます​。

5Gの高速通信なら現場で取得した高精細な測位データも遅延なくクラウド共有できるため、例えば測位した地点情報を離れたオフィスのスタッフとリアルタイムで共有し、即座に検図・フィードバックを受けることが可能です​。これによりチーム間の連携が飛躍的に向上し、現場での手戻り削減や業務効率化、ひいては現場DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進につながります。

また、LRTKシリーズはスマートフォンのカメラやセンサーとも連携できる利点があります。例えばスマホのカメラで撮影した写真にRTKの高精度位置タグを付与してクラウドに保存する、といったことも容易に行えます。5G環境下であればこれら大容量データの送受信もスムーズで、現場で取得した点群や写真をその場で共有・解析するといったリアルタイム処理が可能です。総じて、LRTK×5Gの組み合わせは、高精度測位の信頼性と利便性を飛躍的に高めると同時に、スマホベースで得られた位置情報をクラウドで即時活用することで新たな価値創出を実現します。

5G×RTKの活用事例

  • 建設業界での測位・施工管理: 建設・土木の現場では、測量や重機のマシンガイダンスにセンチメートル級測位が欠かせません。5G通信による低遅延ネットワークRTKなら、作業員が持つLRTKデバイスや重機搭載GNSSが常に安定した補正情報を受け取り、リアルタイムに正確な位置を把握できます。これにより、丁張り設置を省略したマシンコントロールや出来形管理の自動化が進み、施工管理の効率と精度が飛躍的に向上します。現場監督はクラウド経由で即座に測位結果を確認できるため、離れたオフィスから工事進捗を把握し指示を出すことも可能です。

  • 自動運転・スマートモビリティ: 自動運転車や移動ロボットの実用化においても、高精度測位と超低遅延通信は重要な鍵です。RTKによる車両位置のセンチメートル把握と5Gによる車車間・路車間通信を組み合わせれば、車両同士が互いの位置や制御情報を遅延なく共有でき、安全な隊列走行や衝突回避が可能になります​。5Gネットワーク経由で配信される補正情報を用いて自動運転車が常に車線レベルの精度で自己位置を認識できれば、高速走行時や複雑な市街地においても安定した自律走行が期待できます。将来的にはV2X(Vehicle to Everything)とRTKを統合したスマートモビリティ基盤が構築され、道路交通の安全性・効率性が向上するでしょう。

  • 農業分野・精密農業の高度化: 農業においてもトラクターやコンバインの自動走行(自動操舵)にRTK測位が利用されています。5Gネットワークが農地にも行き渡れば、広大な圃場であっても途切れのない補正情報配信が可能となり、農業機械が誤差数センチの位置精度で自動走行できるようになります。これにより、畝間数センチの精密な播種や施肥が実現し、作業の省力化と収量・品質の向上が期待できます。また農業用ドローンによる圃場モニタリングでも、RTK+5Gにより取得画像に正確な位置タグを付与しリアルタイムでクラウド送信することが可能となり、生育状況の分析や農薬散布の自動制御を遠隔から行えるようになります。5G対応の高精度測位はスマート農業の発展を力強く支えるでしょう。

  • ドローン測量・インフラ点検への応用: 測量用ドローンやインフラ点検ロボットの分野でも、5G×RTKの活用が進んでいます。上空を飛行するドローンにRTK受信機を搭載し、5G通信で常に補正データを受け取りながら飛行させることで、空中から取得する写真やLiDAR点群に正確な位置情報を付与できます。例えば橋梁や高層ビルの点検では、ドローンが撮影した高解像度映像を5G経由で地上にリアルタイム伝送しつつ、RTKで測位したドローンの軌跡データを記録できます。これにより、点検者は現場に赴かなくともオフィスで映像と位置を見ながら劣化箇所を特定でき、効率的なインフラ維持管理が可能となります。測量分野でも、従来は飛行後に行っていた写真測量のデータ処理を、5Gの大容量通信を通じてクラウド上でリアルタイムに処理する試みが始まっています。5G×RTKにより、空から地上までシームレスに繋がる高精度データ収集基盤が構築されつつあります。

今後の展望とLRTKの導入

5Gが今後ますます普及していくことで、RTK測位技術の可能性はさらに広がっていくでしょう。5G対応エリアの拡大により、これまで通信圏外でRTKが使いにくかった山間部や離島、屋内外の境界領域でも高精度測位が当たり前に利用できるようになると期待されます。加えて、将来のBeyond 5G/6G時代には、さらに多くのIoTデバイスが高精度な位置情報を必要とするようになります。自動配送ロボットやARグラス、スマートシティの各種センサーに至るまで、あらゆるものがセンチメートル精度で位置連携する世界が現実味を帯びています。その基盤として、5GネットワークとRTK測位の融合技術が重要な役割を果たすでしょう。

こうした流れの中で、LRTKシリーズを現場に導入するメリットは非常に大きいと言えます。LRTKは5G時代の高精度測位ニーズに応えるソリューションであり、導入することで以下のような効果が期待できます。まず、測位作業の効率化と省力化です。誰でもスマホで扱える直感的なインターフェースにより、専門技術者でなくとも現場スタッフが自ら測位・記録を行えます。

次に、データの即時共有と意思決定の迅速化です。LRTKで取得した測位データはその場でクラウド送信されるため、関係者がリアルタイムに情報を共有し、迅速に次の作業計画や判断を下せます。これは従来の紙帳票や事後報告のフローを変革し、現場業務のDXを強力に推進します。さらに、LRTKを導入することで社内に蓄積される高精度な位置データは、将来的な BIM/CIM の高度利用やAIによる施工最適化など、新たなデジタル施策への活用も可能になります。

LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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