LRTK 360を使って写真に高精度位置情報を
埋め込む方法【RTK連携カメラ活用ガイド】

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2025年3月5日 掲載

RTK連携カメラとは? RTK連携カメラとは、リアルタイムキネマティック(RTK)方式の高精度測位機能をカメラと組み合わせ、写真に撮影地点の緯度・経度をセンチメートル級の精度で埋め込めるカメラのことです。RTKは衛星測位(GNSS)の誤差をリアルタイムで補正し、従来の単独測位では数メートル生じていた誤差をわずか数センチまで低減できる技術です。このためRTK対応カメラ(RTKカメラ)を用いれば、撮影と同時に高精度な位置情報を写真データに付与することができます。
メリット:正確な位置情報付き写真の重要性 写真に正確な位置情報を埋め込むことで、どこで撮影されたかを明確に記録でき、測量や建設の現場で大きな利点をもたらします。従来のスマホやデジカメのGPSによる位置タグは誤差が大きく、後から地図上で撮影地点を特定しようとしても数メートルずれてしまうことが少なくありません。その結果、記録写真と実際の位置関係を把握しづらくなり、報告資料作成や現場検証の際に手間取る原因となっていました。
しかし、RTK写真測位によりセンチメートル単位で正確な位置がわかれば、写真と現地座標を完全にひも付けできるため、工事箇所の記録・管理やインフラ点検結果の共有が飛躍的に効率化します。例えば広い建設現場でも「どの地点の写真か」を正確に地図上にプロットでき、同じ地点での経時変化の比較や、撮影箇所の再訪も容易になります。
このように高精度な位置情報付き写真は、初心者にとっても位置記録ミスの防止につながり、熟練技術者にとっては測量・施工管理のデータ連携を自動化する強力なツールとなります。
LRTK 360の特徴と使い方
LRTK 360の基本機能(RTK受信機との連携、360°撮影) LRTK 360は、GNSS-RTK技術によるセンチメートル級精度の位置情報と360°カメラを組み合わせた現場記録デバイスです。本体に高感度のRTK-GNSS受信機とアンテナを内蔵し、撮影時に即座に高精度座標を測定します。業界最大クラスの解像度を持つ360°カメラにRTKを連携させることで、シャッターを押すだけで周囲360度の景色とその正確な位置(緯度・経度・高度)を同時に取得できます。
従来は写真と測位を別々に行い後で照合する必要がありましたが、LRTK 360ならワンアクションで現場の全方位記録と測位が完結する点が大きな特徴です。
スマホ・タブレットとの接続とリアルタイム測位 LRTK 360の操作や測位状況の確認は、スマートフォンやタブレット上の専用アプリで行います。本体はバッテリーを内蔵し、付属アンテナを接続すれば、スマホとワイヤレス連携して即座に測位を開始できます。
現場ではスマホ画面でRTKの受信状態(Fix解の取得状況や衛星数)をリアルタイムに確認しながら撮影します。例えば、アプリ上に「RTKステータス」や「オフセットを有効にする」といった項目が表示され、測位精度やカメラ位置の補正設定を確認できます(※オフセット機能により、カメラレンズの位置とGNSSアンテナ位置のズレを補正)。
RTKの固定解(Fix)が得られた状態でシャッターを切れば、その瞬間のセンチメートル精度座標が写真にタグ付けされます。測位は日本の「みちびき」衛星から配信される補強信号(CLAS)にも対応しており、通信圏外の山間部や海上でもインターネットなしで高精度測位が可能です。
撮影と同時にセンチメートル級の位置座標が取得できるため、別途測量機器を持ち替える必要がなく、現場記録の効率と正確性が向上します。専用アプリを通じて撮影データはスマホに保存され、クラウドと同期する設定も可能です。これにより、撮影後すぐにオフィスや他の端末と写真・位置データを共有できる利便性も備えています。
写真の座標タグ(メタデータ)の確認と管理 取得した写真データには、Exif等のメタデータとして高精度な座標(経度・緯度・高さ)がタグ付けされています。現場で撮影後すぐにスマホアプリ上で位置をマップ表示したり、写真ごとの座標値を一覧表示して確認できます。
LRTK 360で撮影した写真をクラウドサービスにアップロードすれば、自動的に各写真の撮影地点が地図上にプロットされるため、写真ごとの座標管理も直感的です。例えば、クラウド上では写真の一覧とそれぞれの緯度経度・撮影日時が紐づいた形で保存され、地図画面上でピンを選択するとその地点の360°画像を閲覧できます。パソコン上でExif情報を読み取れば、他のGISソフトに取り込んで活用することも可能です。従来は写真と地図を手作業で対応付ける必要がありましたが、RTK連携カメラにより撮影の段階で座標管理が完結するため、データ整理の手間も大幅に削減されます。
現場での活用方法
RTK連携カメラは様々な現場業務で活用できます。ここでは代表的なユースケースを紹介します。
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建設現場での進捗記録: 広範囲の工事現場でも、撮影場所ごとに正確な座標が記録されるので、工事の進捗状況を漏れなく記録できます。例えば工事開始前から完了まで定期的に同じ地点で360°写真を撮影しておけば、クラウド上で時系列に写真を並べて現場の変化を確認できます。撮影位置がずれる心配がないため、施工前後の状態比較も正確です。進捗管理者は地図上で撮影ポイントを俯瞰しながら現場全体を把握でき、報告資料としても分かりやすいコンテンツを作成できます。
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インフラ点検(橋梁・道路・上下水道など): 橋梁や道路の定期点検では、点検箇所を正確な位置情報付きで記録できるため、後日の補修計画や経年変化の追跡に役立ちます。例えば橋脚のひび割れを360°写真に残す際に、RTKの高精度座標があれば「どの橋脚のどの位置に生じたひび割れか」を正確に特定できます。上下水道設備の巡回点検でも、GPSでは誤差の影響で場所の特定に苦労するケースがありますが、RTKカメラなら埋設管の蓋やバルブ位置などをセンチメートル精度でマーキング可能です。取得した写真データは地図システム上で管理できるため、点検結果を関係者と共有したり、過去との比較検証をスムーズに行えます。
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施工前後の記録比較やGIS連携: 着工前の地形・周辺環境を記録しておき、施工後の写真と比較することで、工事による変化を視覚的かつ定量的に示すことができます。例えば造成工事で土地の形状が変わった場合でも、同じ位置から撮影された高精度座標付き写真があれば、ビフォーアフターを正確に重ね合わせて分析できます。さらに、写真データがグローバル座標系で統一されている利点を活かし、GISソフトに取り込んで他の地理空間データ(図面や点群データ等)と重ね合わせることも容易です。LRTK 360ではクラウド上で360°写真と点群データを統合表示する機能も提供されており、写真の視覚情報と計測用の3次元データを組み合わせて現場を詳細に記録できます。こうしたデータ連携により、従来は別個に扱っていた写真と測量データを一元管理でき、GIS解析や報告資料作成の効率も飛躍的に向上します。
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RTK連携カメラの精度とデータ管理
一般的なGPSタグ付き写真との違い RTK連携カメラ最大の強みは、何と言っても位置情報の精度です。通常のスマートフォンやGPSカメラでは、平面的に5~10m程度の誤差が生じることが珍しくありません(障害物が多い場所ではさらに悪化することも)。一方、RTK-GNSSでは専用の基地局や衛星補強信号を用いて大気誤差や軌道誤差を補正するため、水平2~3cm程度、垂直方向でも3~4cm程度の誤差に収まります。
一方、RTK連携カメラの写真は測量成果に近い信頼性を持つため、そのまま電子納品用の測量記録や図面作成のベース資料としても活用できます。
特に標高データまで高精度に記録できる点は重要です。例えば盛土や掘削の前後で撮影した写真から、各地点の高さ変化を把握するといった高度情報の利活用が可能になります。RTKのFix解(整数固定解)を得た場合のみセンチメートル精度が保証されますが、LRTK 360では受信状況や解の状態をリアルタイム表示し、利用者が精度を確認しながら撮影できる設計になっています。万一RTKが取れない場合でも単独測位モードで記録は継続されますが、その際の精度差は上記の通り歴然です。重要な記録ではRTK-Fixを得て撮影する運用を徹底することで、常に高精度のデータ取得を保証できます。
RTKデータの管理とクラウド共有 高精度な位置情報付き写真は、一枚ごとのデータ量も大きくなる傾向があります(高解像度の360°画像+位置メタデータ)。そのため、クラウドサービスを活用したデータ管理が効果的です。LRTK 360の場合、専用の「LRTKクラウド」に写真データをアップロードすることで、撮影地点が自動的に地図上に整理され、複数の写真を俯瞰して管理できます。
クラウド上ではプロジェクトごとに写真と座標データを保存し、関係者と共有リンクを介して閲覧・ダウンロードすることも可能です。下図はLRTKクラウド上で撮影した360°写真の位置をマップ表示した例です。
このように地図と写真が連動して管理できるため、現場写真の整理・検索が容易です。たとえば「2024年10月の橋梁点検写真を表示」や「〇〇工区の範囲だけ表示」といった絞り込みも地図上で直感的に行えます。また、LRTKクラウドでは時系列管理機能により、同一地点で異なる日時に撮影した写真をタイムライン上に並べて比較できます。
定点観測を行うインフラ維持管理業務では、この機能によって経年変化を一目で把握できるようになります。さらに、点群データ等の他の計測データをアップロードし、360°写真と重ね合わせて表示することも可能です。
写真の背景に高精度の点群が合成表示されることで、現場の形状を詳細に確認したり、写真だけでは測れない距離・面積を点群から計測するといった高度な解析もクラウド上で完結します。このようにRTK連携カメラで取得したデータはクラウドプラットフォームで一元管理・共有することで、現場とオフィス間の情報共有やチーム内でのデータ活用が円滑になります。
導入のメリットとLRTK 360資料請求案内
RTKカメラ導入による業務効率化 RTK連携カメラを導入すると、現場記録や測量のワークフローにさまざまなメリットが生まれます。まず、作業時間の短縮です。写真撮影と同時に測位ができるため、従来必要だった「写真を撮ってメモを取り、後でGPS座標と照合」といった手間が省けます。例えば3人1組で行っていた工事記録作業(測量担当・カメラ担当・記録担当)が、RTKカメラ1台とタブレット1つで1人でも実施可能になります。次に、データ精度の向上も大きな利点です。人手による記録では避けられなかったヒューマンエラーを低減し、常に高精度かつ均質なデータを取得できるため、出来形管理や品質証明の信頼性が増します。
さらに、取得データがそのままGISやCIM(Construction Information Modeling)の素材になるため、後工程での資料作成や解析作業を簡略化できます。総合的に見て、RTK写真測位を取り入れることは現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進につながり、ひいては業務全体の生産性向上を実現します。
従来の測量・点検との比較における優位性 LRTK 360を使うことで、従来手法に比べ以下のような優位性が得られます。まず、網羅性と客観性です。360°写真で現場を漏れなく記録しつつ、高精度座標で位置づけることで、作業者の主観に依存しない客観的な記録が残せます。次に、データ連携の容易さがあります。紙の図面や口頭伝達では難しかった情報共有も、地図上にプロットされた写真データなら直感的で分かりやすく、社内はもちろん発注者や協力会社との情報共有もスムーズです。
特に国土交通省が推進するi-Construction施策においては、測量・設計・施工・維持管理に至るまでデータを一貫して活用することが求められています。RTK連携カメラによるデータ取得は、このデータ連携のオートメーション化に大きく寄与し、将来的なCIM活用やデジタルツイン構築への布石ともなります。最後に、信頼性と追跡性の点でも優れています。写真ごとに正確な座標とタイムスタンプが付与されているため、いつ・どこで・何を撮影したかが明確で、監査対応や将来の調査で過去の状況を辿る際にも有用です。このような理由から、LRTK 360のようなRTK連携カメラは建設・測量業界における次世代の標準ツールになることが期待されています。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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