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小規模ゼネコンでも可能!
RTK導入で施工測量を内製化した事例

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2025年3月4日 掲載
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近年、建設業界では測量作業の効率化とコスト削減が大きな課題となっています。特に小規模なゼネコンや中小土木業者では、専門の測量会社へ外注測量する費用負担が重くのしかかりがちです。そこで注目されているのが、衛星測位技術を活用したRTK(リアルタイムキネマティック)による施工測量の内製化です。

本記事では、外注測量の課題とコスト問題、RTK測位の基本とメリット、そしてRTK導入によって施工測量を内製化した成功事例を紹介します。

外注測量の課題とコスト増加の問題

まず、施工現場で測量業務を外部に委託する際にどんな課題があるかを整理してみましょう。一般的に、測量を外注すると以下のような問題が生じることがあります。

  • コスト負担が大きい: 測量会社への委託費用は決して安くありません。測量の回数が増えたり工期が延びたりすると、その都度追加の費用が発生し、当初予算を超過するリスクがあります。小規模な現場でも数十万円規模の外注費がかかるケースもあり、利益率を圧迫します。

  • スケジュール調整の手間: 外注先の都合に合わせて測量日程を調整する必要があるため、迅速な対応が難しくなります。設計変更や手直しで急ぎ測量が必要になっても、外注先の予定次第では待たされて工期に影響することもあります。

  • ノウハウが社内に蓄積しない: 測量作業を外部に任せていると、自社の技術者は測量スキルを習得する機会がありません。常に他社頼みでは、社内に測量の知見が蓄積せず、将来的な人材育成や技術力向上の面でデメリットとなります。

  • コミュニケーションロス: 外注先に作業を依頼する際には、現場の状況や求める成果を正確に伝える必要があります。認識のズレがあると、出来上がった測量成果がこちらの意図と合わず、追加測量や修正が発生して二度手間になる可能性もあります。

以上のように、外注測量にはコスト面・時間面でのロスや、社内に技術が残らないといった課題があります。特に最近は担い手不足による測量費用の高騰や、ICT施工の推進によって測量頻度自体が増加する傾向もあり、測量コスト増加が現場運営の大きな悩みとなっています。

RTK測位の基本と導入メリット

上記の課題を解決する切り札として注目されているのがRTK測位による施工測量の内製化です。RTKとは“Real Time Kinematic”の略称で、リアルタイムキネマティックとも呼ばれる測位技術です。通常のGPSを用いた測位(単独測位)では数メートルの誤差が生じますが、RTKでは誤差を補正してセンチメートル級の高精度測位を実現できます。

RTKの仕組み: RTK測位では、既知の座標を持つ基準局(ベースステーション)と移動しながら測位を行う移動局(ローバー)の2台のGNSS受信機を同時に使用します。基準局は誤差を含む衛星信号を受信し、その誤差情報を無線やインターネット通信で移動局に送信します。移動局側では自身の受信データと基準局からの補正データをリアルタイムで比較することで、誤差が打ち消され、高精度な位置を算出できるという仕組みです。一般的にRTK-GNSSでは水平位置で2~3cm程度、鉛直方向で3~4cm程度の精度が得られ、従来の単独測位(数mの誤差)と比較して格段に高い精度となります。また、基準局から移動局までの距離が近ければ近いほど精度は向上しやすく、10~20km程度の範囲内であれば高精度を維持できます。

施工測量をRTKで内製化するメリット: RTKを導入し社内で測量を行うようにすると、以下のような利点があります。

  • 測量コストの削減: 一度RTK機器を導入すれば、以降の測量は自社社員で対応できるため外注費が大幅に削減できます。機材の初期投資は必要ですが、中長期的に見れば外注に支払っていた費用を圧縮でき、トータルコストの低減につながります。頻繁に測量が発生する現場ほど、早期に元が取れるでしょう。

  • 即応性・スピード向上: 現場で「今ここをすぐ測りたい」という場合でも、自社スタッフがRTK機器を使って即座に対応できます。外注のように日程調整や人員手配を待つ必要がなく、工程の遅れを防止できます。測量待ちによる作業の中断が減り、全体の工期短縮にも寄与します。

  • 一人作業・省人化: RTK測量機器(GNSS受信機)は1人でも運用可能です。トータルステーションでの測量のように複数人で機器の据付・ターゲット保持をする必要がありません。現場技術者一人がローバーを持って歩き回るだけで測量できるため、人手不足対策や安全性向上(少人数で分散して作業できる)にも効果があります。

  • デジタル連携が容易: GNSSによる測量データは座標データとしてデジタルで取得できるため、そのままCAD図面や3Dモデルに取り込むことが容易です。設計段階のデータと照合したり、出来形管理の品質チェックに利用したりと、施工DX(デジタルトランスフォーメーション)に直結した活用が可能になります。紙の野帳に手書き…という作業を減らし、データ管理を効率化できます。

  • 社内技術の蓄積: 自社で測量をこなしていけば、社内に測量のノウハウと人材が育ちます。経験を積んだ社員は測量技能者として戦力になり、将来的に他現場でも即戦力として活躍できるでしょう。測量会社に頼らずとも自前で出来るという自信は、会社全体の技術力向上にもつながります。

以上のように、RTK導入による施工測量の内製化には多くのメリットがあります。高精度な測位技術がこれまで専門業者のものだった時代から、現在では機器の小型化・低価格化が進み、建設現場の技術者自らがRTK測量を扱える時代になりつつあります。次章では、実際にRTKを現場に取り入れてコスト削減や工期短縮を実現した事例を見てみましょう。

RTK導入のための具体的なステップ

RTK測位を現場で活用するには何から始めれば良いのでしょうか?ここでは、小規模ゼネコンでもスムーズにRTKを導入・運用するための具体的なステップを解説します。

  1. 機材の準備と導入コストの把握: まずは必要な機材を揃えましょう。RTK測量に最低限必要なのは、GNSS受信機(ローバー)と補正情報を提供する基地局です。基地局は自前で用意することもできますし、国土地理院の電子基準点を利用したネットワーク型RTK(VRS方式)を契約する方法もあります。自前で用意する場合は、GNSS受信機をもう1台と無線通信機器(デジタル無線や特定小電力無線など)が必要です。機器一式の価格はメーカーや性能によって様々ですが、従来品では数百万円規模のものも、最近の新製品ではよりリーズナブルな選択肢も出てきています。初期投資額と、ネットワーク型を利用する場合は月額利用料などランニングコストも含めて、トータルの費用感を把握しておきましょう。

  2. 測量データ連携と運用体制の構築: 機材を準備したら、実際の運用方法を整備します。まず基地局を設置する場所を決めます。現場内の既知点(公共基準点や事前に測量した点)があればそこに基地局を据え付けます。ネットワーク型の場合は基地局設置は不要ですが、移動局側で受信する補正情報を現場座標系に合わせる「ローカライゼーション(座標補正)」作業が必要です。また、取得した測位データを社内の図面や3Dモデルと連携させる仕組みも用意します。例えば、測量結果を即座にCADソフトに取り込んで図面化したり、クラウド経由で本社と共有したりといった運用です。現場の担当者への事前教育も重要です。機器の基本的な使い方(衛星捕捉の方法、固定解が得られる条件、既知点登録や座標変換の手順など)を習得させ、最初は試験的に使いながら慣れていくと良いでしょう。

  3. 運用開始と注意点の確認: 運用を始めたら、いくつか注意すべきポイントを押さえておきます。まず、RTKは衛星信号を使うため測量環境に制約があることを理解しましょう。上空が開けた場所では高精度が得られますが、トンネル内や高架下、樹木が生い茂った場所などでは衛星を捕捉できず測位が不安定になります。その場合はトータルステーションなど他の測量機器との併用が必要です。また、無線通信を使う場合は電波の届く範囲(数km程度)や法令に定められた利用周波数・出力に留意します。ネットワーク型RTKでは携帯電波が入らない山間部で通信が途切れるリスクもあるため、バックアップとしてポータブル無線やオフラインでも使える補強信号(後述のCLASなど)を検討すると安心です。さらに、基準局の位置精度管理も重要です。基準局を動かした際には必ず再度既知点との照合を行い、正しい座標を設定してから運用してください。最後に、社内で運用ルールをマニュアル化し、トラブル時の対処方法(例:固定解が得られないときのチェック項目など)も共有しておくことで、安定した測位作業が実現できます。

上記のステップを踏めば、小規模な企業でも無理なくRTK導入を進められるでしょう。最近は技術サポートが手厚いメーカーも多く、初めてRTK機器を扱う場合でも講習会や現場サポートを受けられる場合があります。社内にノウハウがないうちは遠慮せず活用し、自社にフィットした運用方法を確立していくことが大切です。

LRTKの紹介

最後に、RTK機器の中でも小規模事業者に最適な新世代デバイス「LRTK」をご紹介します。LRTKは、先述の単独測位と相対測位の長所を活かしつつ、現場目線で開発された小型RTK-GNSSシステムです。その特徴は大きく3つにまとめられます。

  • 小型・軽量で携行性抜群: LRTKは従来の据え置き型基地局+ポール付き移動局+外部バッテリーといった煩雑な構成を一新し、手のひらに収まるコンパクトなデバイスに収められています。例えばスマートフォン一体型のモデル「LRTK Phone」は受信機本体がわずか125g、厚さ13mmという薄さで、ポケットに入れて持ち運べます。アンテナ・GNSS受信機・バッテリー・通信モジュールがオールインワンになった設計で、この1台だけでセンチメートル級測位が可能です。煩わしいケーブル接続も不要で、スマホとワイヤレス連携して使用します。現場で取り回しが非常に楽なうえ、防水防塵など耐環境性も備えており、ハードな施工現場でも気兼ねなく使えるよう設計されています。

  • 高精度かつ安定した測位性能: 小型ながら最新鋭のGNSS技術を搭載しているのもLRTKの強みです。3周波対応の受信機によりマルチパス(電波の反射)や電離層誤差の影響を低減し、測位の安定性を高めています。これにより、開けた場所では迅速に固定解(センチメートル級の解)を得やすく、多少環境条件が悪い現場でも測位成功率が高くなっています。また、日本の準天頂衛星システム「みちびき」が提供するセンチメータ級補強サービス(CLAS)に対応している点も見逃せません。CLAS対応により、携帯通信圏外の山間部や海上でも衛星からの補強信号だけで高精度測位が可能です。つまり、ネット接続によるVRS補正が使えない環境下でもRTK相当の精度を維持でき、現場での機動力と測位精度を両立できるのです。

  • 導入しやすい価格と運用性: LRTKは中小規模の事業者にも手が届きやすいリーズナブルな価格設定を実現しています。従来の高額なRTK機器と比べ初期導入コストのハードルが下がっており、「一現場に一台」「一人一台」を見据えた普及が期待できます。専用アプリも用意されており、スマホの画面上で直感的に操作が可能です。測位の開始停止から点名入力、そして取得データのクラウド共有までワンタッチで行えるため、専門知識がない現場スタッフでも扱いやすくなっています。これまで専門家だけのものだったRTK測量を“いつでも、どこでも、誰でも”使えるツールに進化させたのがLRTKなのです。

LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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