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VRSが土木現場にもたらすメリット5選 – LRTKが解説

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万能の測量機LRTKの説明

建設業界では、新技術による測量の効率化・高度化が求められています。中でも注目されているのが、高精度なGNSS測位を可能にする「VRS」という技術です。


VRS(Virtual Reference Station)とは仮想基準点方式とも呼ばれる測位技術で、リアルタイムに衛星測位の誤差を補正し、従来のGPS測位では得られなかったセンチメートル級の精度を実現します。本記事では、初心者にもわかりやすくVRSの仕組みとRTKとの違いを解説し、土木測量の現場でVRSがもたらす5つのメリットを紹介します。それぞれのメリットについて、LRTKという最新の高精度測位ソリューションの活用例や効果も交えながら説明します。


VRSとは何か?

VRS(ブイアールエス)とは「Virtual Reference Station」の略称で、日本語では仮想基準点方式と呼ばれます。これはGNSS(全球測位衛星システム)を用いた高精度測位手法の一つで、複数の基準局データに基づいてユーザ付近に仮想的な基準点を設定し、補正情報を生成する仕組みです。従来の単独型RTK測位では、誤差補正のために現場付近に実際の基準局(基地局)を設置する必要がありました。しかしVRS方式では、国土地理院の電子基準点網など既設の基準局ネットワークを活用し、「あたかも現場のすぐ近くに基準局がある」状態を作り出して誤差補正を行います。その結果、測位精度を飛躍的に向上させつつ、現場には移動局(ローバー)1台を持ち込むだけで測量が可能になります。


現在、日本全国には国土地理院が整備した約1300か所の電子基準点(GNSS連続観測システム:通称GEONET)が存在し、これらから配信される補正データを利用することでVRSによる測位が行えます。さらに民間企業によるネットワーク型RTKサービスも普及しており、携帯電話網を通じてリアルタイムに補正情報を受信できます。こうしたインフラにより、通信圏内であれば日本中どこでもセンチメートル級の高精度測位が実現できるのがVRSの大きな特徴です。


RTKとVRSの違い

RTK(Real Time Kinematic)は、リアルタイムに衛星測位の誤差を補正して高精度化する技術です。基本原理として、既知の座標を持つ基準局と、測位したい場所の移動局(ローバー)の2台のGNSS受信機で同時に衛星信号を受信し、両者の観測データから誤差を算出して移動局の位置座標をセンチメートル精度で求めます。従来型のRTKでは、自前で現場付近に基準局を設置し、無線通信などで補正データをやり取りする必要がありました。この方式でも水平数センチ程度の精度が得られますが、基準局と移動局の距離(基線長)が遠くなるにつれて誤差補正の効果が減衰し、精度がわずかに低下するという課題がありました。


一方、ネットワーク型RTKであるVRS方式では、複数の固定基準局のデータをサーバ側で統合し、ユーザの近傍に仮想的な基準局を設定して補正情報を作成します。移動局はインターネット経由でその補正情報(例えばNtrip方式で配信されるデータ)を受信し、自局の測位に適用します。これにより、常に測位地点のすぐ近くに基準局があるのと同等の状態でRTK計算が行われるため、広い範囲でも精度が均一で高く保たれます。また現場に物理的な基地局を置く必要がないため、測量準備の手間が大幅に削減されます。つまりVRSは、RTKの「高精度」という利点を維持しつつ、基地局不要による手軽さ広域での安定精度を両立した仕組みなのです。


それでは、このVRS技術を活用すると具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。以下では、土木の測量・施工現場におけるVRSの代表的なメリットを5つ取り上げ、それぞれについて解説します。


メリット1:センチメートル級の高精度測位

VRS最大のメリットは何といっても測位精度の飛躍的向上です。通常のGPS単独測位では数メートルの誤差が生じますが、VRSを用いたネットワークRTK測位なら誤差はわずか数センチ以下に収まります。高速道路のルート設計や橋脚の位置出し、トンネルの掘削管理など、土木分野では位置のズレが数センチでも品質や安全性に大きく影響する場面が多々あります。VRSにより常にセンチメートル級の正確さで座標を取得できることは、これらの場面での品質確保ミス防止に直結します。


また、VRSでは仮想基準点をユーザ近傍に設定するため、基準局との距離に起因する精度低下が事実上なくなります。広大なダム建設現場や長大な道路工事現場でも、測位する場所がどこであれ均質な精度が得られるのです。これは従来、現場が広すぎる場合に生じがちだった「基準局から離れると精度が落ちる」という問題を解消します。例えば複数kmに及ぶ造成工事でも、初期に設置した基準点から遠く離れたエリアで測量しても精度が維持されるため、追加の基準点設置や再測量の手間が減ります。


LRTKを活用すれば、この高精度測位をさらに手軽に実現可能です。LRTKはスマートフォンに取り付ける超小型のRTK-GNSS受信機で、現場で即座にセンチメートル級の測位を開始できます。例えばコンクリート構造物の出来形(完成形状)測定では、LRTKを用いて施工直後に各部の寸法や高さをチェックし、設計値との差を数センチ以内で把握できます。高い精度のおかげで微妙な誤差も見逃さず、手戻り工事の防止につながります。さらにLRTKの上位モデル(LRTK Pro2)は日本の準天頂衛星みちびき(QZSS)の配信するセンチメートル級測位補強サービス(CLAS)にも対応しており、山間部などインターネット通信が届かない現場でも衛星経由で補正を受けて高精度を維持できます。常に安定したセンチメートル精度を確保できることが、現場のあらゆる測量・施工業務の信頼性向上に寄与します。


メリット2:測量作業の省人化

人手不足が深刻化する建設業界にとって、省人化(少人数での作業実施)は重要な課題です。VRSを用いた測量は、まさに省人化に大きく貢献します。従来のトータルステーションによる測量では、測定機器の操作・標尺の保持などに最低2~3人の作業員が必要でした。しかしネットワークRTKの導入により、1人で広範囲の測量を完結できるようになります。例えば、VRS対応のGNSS受信機があれば、従来3人1組で行っていた地形測量や丁張(墨出し)作業を1人でこなすことも可能です。しかもRTK-GNSSでは高さ(標高)情報も同時に得られるため、従来必要だった水準測量を省略でき、さらに作業の簡略化につながります。


LRTKはこの省人化をさらに推し進めるツールです。ポケットサイズのLRTKデバイスとスマホさえあれば、測量専門の技術者でなくとも現場担当者自身が測量作業を行えるようになります。例えば、現場監督がLRTKを用いて必要な箇所の高さや座標を随時計測し、その場で確認するといった使い方が可能です。従来は測量のたびに専門スタッフを呼んだり外注したりしていた作業も、現場の担当者が日常業務の一環として測量を実施できるため、人員手配の負担が大幅に減ります。結果として、限られた人員でも現場を回せるようになり、慢性的な人手不足の解消にもつながります。


メリット3:作業スピードの向上

VRSの導入によって期待できるのが、測量・施工作業スピードの飛躍的向上です。まず、現場に基地局を設置する必要がないため、測量開始前の準備時間が大幅に短縮されます。機材のセッティングや基準点出しに時間を取られることなく、現場到着後すぐに測量を始められます。またリアルタイムに高精度座標が得られるので、その場で測定結果を確認しながら作業を進められます。測ったポイントの座標を即座に設計図と照合したり、必要に応じて追加測定したりといった判断を現場で迅速に行えるため、手戻りや測り直しの削減にもつながります。


具体的な例として、出来形管理(施工後の形状確認)の場面を考えてみましょう。従来であれば、施工後に測量班が現場を回って多数のポイントの高さを水準測量し、事務所に戻ってから図面と比較・報告作成といった工程が必要でした。VRSとLRTKを活用すれば、作業員が現場を歩きながら各所で高さをRTK測位で測定し、即座にタブレット上で設計データとの誤差を確認するといったことが可能です。点群データを現場で短時間に取得し、そのままクラウドで共有して関係者へ報告する――といった一連の流れをその日のうちに完了できます。従来数日かかっていた出来形測定と図面作成作業が大幅にスピードアップし、工期短縮と早期の品質確認に寄与します。


LRTKは測位のスピード面でも優れています。最新のGNSS受信機は初期化(FIX)に要する時間が短く、LRTKデバイスも電源投入から短時間で測位が確定します。またスマホとのワイヤレス接続により煩雑なケーブル接続が不要なため、現場での機器取り回しに手間取ることもありません。こうしたすぐに測れる手軽さが、現場作業全体のスピーディーな進行をサポートします。


メリット4:コスト削減

VRSの活用はコスト面でも大きなメリットをもたらします。精度向上や省人化、スピードアップによって、測量・施工にかかるトータルコストを削減できるからです。まず、従来必要だった専用基地局や高額な測量機器への初期投資を抑えられます。ネットワーク型RTKサービスを利用すれば、自前の基地局機材を購入・維持する必要がなく、その分のコストが不要です。加えて、測量作業を外部に委託していた場合は、VRS対応機器を社内導入することで外注費を削減できます。自社内でも少人数で作業を回せるため人件費の最適化につながります。また、リアルタイムに高精度な測量ができることでミスによる手直し工事追加調査を減らせる点もコスト削減に寄与します。施工精度の向上により、やり直しが減ればその分時間と費用のロスを防げます。


LRTKは価格設定も非常にリーズナブルで、従来の大型測量機器の何分の一というコストで入手可能です。そのため現場の複数スタッフに「1人1台」配備するといったことも現実的になります。実際に超小型のLRTK受信機をスマホに装着して各作業員が自分の判断で測量・記録を行う運用が試されており、「測りたいときにすぐ測れる環境」によって生産性が飛躍的に向上したとの報告もあります。従来は台数が限られていた高額機器が安価に多数配備できるようになれば、現場全体での効率化とコストダウンがさらに進むでしょう。


メリット5:ICTとの連携

近年、建設業界ではICT施工i-Constructionといったキーワードに代表されるデジタル化・DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。VRSによる高精度測位は、こうしたデジタル技術との連携面でも大きな強みを発揮します。GNSSで取得する測位座標は世界測地系(日本測地系2011)の絶対座標として得られるため、設計のCADデータやBIM/CIMモデルの座標系と直接結びつきます。つまり、現場で取得した測量データをそのまま電子図面や3Dモデル上に重ね合わせて活用できるのです。


例えば、RTK測位で取得した出来形の点群データをクラウド経由で即座に事務所と共有し、設計モデルとの差異を関係者全員で確認するといったことが可能になります。また、タブレット上でAR(拡張現実)技術を使い、設計図上の構造物配置を現地映像に重ねて表示するといった先進的な活用も、高精度な位置情報があってこそ実現できます。VRSを使えば、現場の座標系と設計座標系が一致しているため、ARで表示されるモデルがずれることなくピタリと正しい位置に合致します。加えて、重機のマシンガイダンス・マシンコントロール(MG/MC)にもRTK測位データが利用されていますが、広域にわたり安定した精度が得られるVRSなら、造成現場全体で重機の半自動制御をスムーズに行えます。


LRTKはスマートフォンアプリやクラウドサービスと連携して動作するよう設計されており、現場のデータを即デジタル化・共有できる点が特徴です。測定した点の座標値や高さ情報は、その場でアプリ上に保存されクラウドにアップロードできます。これにより、オフィスの技術者が即座にデータを確認し指示を出すことが可能になり、現場と遠隔地のスムーズな情報共有が実現します。また、LRTKを使えば写真を撮影すると同時に撮影地点の座標を記録するといった「測位写真」もワンタップで取得できるため、点検業務での活用も進んでいます。紙の野帳に頼っていた記録作業がデジタル化されることで、後からのデータ整理や報告書作成も効率化します。


以上のように、VRS技術は精度・省人化・スピード・コスト・ICT活用のあらゆる面で土木現場にメリットをもたらします。それでは最後に、実際にLRTKデバイスを使って高精度測量を行う手順について簡単に紹介します。


LRTKを使った高精度測量の手順と製品紹介

LRTKを用いた測量は驚くほどシンプルです。以下に基本的な手順を示します。


デバイスの準備: スマートフォンやタブレットにLRTK受信機(GNSSアンテナ内蔵の小型デバイス)を取り付けます。BluetoothやWi-Fiで端末とワイヤレス接続し、専用アプリを起動します。

補正情報の取得: アプリ上でGNSSの補正サービスに接続します。通信圏内であれば携帯通信網経由でVRS方式の補正データ(Ntrip配信など)を受信できます。ネット接続が難しい場合でも、LRTK Pro2であればみちびきのCLAS信号を受信して補正を適用できます。

測量の実施: 測りたいポイントにポール先端の受信機を据え、アプリ上の測定ボタンをタップするだけで、その地点の高精度な三次元座標が記録されます。必要に応じて複数点を次々と測定したり、あるいは目標座標を設定して誘導機能による杭打ち作業を行ったりすることも可能です。

データ活用: 測定データはクラウドに自動保存され、事務所のPCでもすぐに閲覧できます。そのまま電子納品用の図面作成に利用したり、点検写真に位置情報を付加したりと、取得した情報をすぐさま次の業務に役立てられます。


このように、LRTKを使えば特別な機器や難しい操作なしに、誰でも簡単にセンチメートル級測位を行うことができます。レフィクシア社が開発したLRTKシリーズには、スマホ装着型の「LRTK Phone」や高機能モデル「LRTK Pro2」などがあり、現場のニーズに合わせて選択できます。超小型で防塵防水・耐衝撃性にも優れた設計のため、土木施工の過酷な環境下でも安心して使用可能です。価格も従来の測量機器と比べて非常に導入しやすく、手軽に最先端のVRS測位の恩恵を受けられる点で注目されています。


高精度な測位技術であるVRSは、今や土木の現場に欠かせないものとなりつつあります。LRTKを活用すれば、そのメリットを最大限に引き出しつつ、誰もが簡単に測量をこなせる新しい現場スタイルを実現できます。精度向上による品質確保、人手不足の解消、工期短縮、コスト削減、そしてデジタル施工への対応まで、VRSとLRTKがもたらす効果は多岐にわたります。ぜひこの機会に高精度測位ソリューションLRTKを導入し、貴社の現場DXを前進させてみてはいかがでしょうか。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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