LRTK（VRS対応）で誰でも簡単測量 – 土木現場のDXを加速

土木施工現場のDX（デジタルトランスフォーメーション）を推進する上で鍵となるのが、測量業務の効率化・高度化です。近年はRTK-GNSSによるセンチメートル級測位が急速に普及しつつあり、中でもVRS（Virtual Reference Station、仮想基準点）方式を使えば1台の受信機と通信環境だけで高精度測量が可能になります。また、国土交通省が推進するi-Construction（ICT施工）の追い風もあり、高精度GNSS測位技術の現場導入は今後さらに拡大していくでしょう。

本記事では初心者にもわかるようVRSとは何かを解説し、従来のRTKとの違いやVRSの利点（精度・手間・コスト面）を整理します。続いて、スマートフォンで手軽に使える次世代RTKデバイスLRTK（VRS対応）の特徴（スマホ接続、携帯性、低コスト、使いやすさ）を紹介します。さらにLRTKがもたらす現場DXのポイントとして、測量データの即時クラウド共有、現場と事務所のリアルタイム連携、専門人材不要による省力化・属人性排除、誰でも扱える操作性、点群・AR・誘導など高度機能の活用、といった事項を網羅的に見ていきます。記事の最後では、LRTKを用いた簡単測量手順を紹介し、現場へのスムーズな導入へとつなげます。

VRSとは何か？初心者にもわかる解説

VRSとは「Virtual Reference Station（バーチャル・リファレンス・ステーション）」の略で、ネットワーク型RTK測位を代表する方式です。複数の基準局（固定GNSS観測点）で構成された基準点ネットワークを利用し、計算上ユーザー近傍に仮想的な基準局を設定して測位誤差を補正する仕組みになっています。ユーザー（移動局）の概略位置に基づきサーバー側で周囲の基準局データを統合・解析し、あたかも「すぐ隣に基準局がある」かのような補正情報を生成します。その補正データが携帯電話回線などインターネット経由で移動局に配信され、移動局側ではリアルタイムにセンチメートル級の測位解を得ることができます。

簡単に言えば、測量する人は自分の受信機1台を持って現場に行くだけで、あとはネットワーク経由で高精度な基準局の助けが得られるイメージです。従来必要だった自前の基準局設置が不要になるため、準備の手間が大幅に削減されます。また仮想基準点が常に近くに設定されることで、基準局から遠く離れることによる測位精度の低下もほぼ解消され、広い範囲でも均一に高い精度を維持できます。日本国内では、国土地理院が全国約1,300か所に整備した電子基準点網を用いた補正情報サービス（GNSS連続観測システム）や、通信事業者による数千局規模の民間VRSサービスが提供されており、通信圏内であれば全国どこでも安定したセンチ精度測位が行えるようになっています。

RTKとVRSの違いとメリット（精度・手間・コスト）

では、従来型のRTK（自前で基準局を設置する方式）とネットワーク型RTK（VRS方式）にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは「精度」「運用の手間」「コスト」の観点で両者を比較し、VRSの利点を整理します。

• 測位精度: 基準局を用いる従来RTKとVRS方式のどちらでも、正しく運用すれば水平方向数センチの高精度が得られます。従来型RTKでは作業エリア付近（理想的には数km以内）に基準局を設置すれば1〜2cm程度の精度が期待できますが、遠距離になると電離圏誤差などの影響で精度が低下します。VRSでは仮想基準局が常に測位地点の近くに配置されるため、基線距離による精度劣化がほとんどなく、広範囲にわたって均一な精度を維持できます。つまり、どちらの方式も基本的な精度性能は同等ですが、VRSの方が距離に影響されにくく安定した測位が可能と言えます。

• 準備・運用の手間: 従来RTKでは現場に既知座標点を探して据え置き用のGNSS受信機（基準局）を設置し、無線で移動局と通信する、といった事前準備が必要でした。基地局の設置・撤去や機器の運搬に人手も時間も取られる上、現場ごとに毎回セットアップする手間が発生します。ネットワーク型RTK（VRS）ではこうした準備が不要で、測りたい時に移動局1台の電源を入れて通信接続するだけで測量を開始できます。基準局操作のための追加要員も不要で、一人で現場作業が完結します。また作業範囲が広くても基準局を付け替える必要がないため、測点が増えてもスムーズに連続作業できます。

• コスト: 高精度なRTK-GNSS受信機は従来非常に高価で、基地局と移動局のセットや高性能無線機器を揃えると数百万円規模の初期投資が必要でした。さらに複数人分の人件費や、作業時間の長期化による重機待機コストなど、間接的なコストもかさんでいました。これに対しVRSを利用すれば受信機1台で済むため初期機材コストを大幅に削減できます。また補正情報サービスの利用料（月額課金等）はかかりますが、国土地理院の電子基準点データを活用した安価なサービスや自治体の無償提供もあり、工夫次第でランニングコストは低く抑えられます。加えて、近年はスマホ接続型の低コスト端末（後述のLRTKなど）も登場し、RTK導入のハードル自体が下がっています。人件費削減や時間短縮による効率化効果まで含めれば、総合的に見てVRS方式の方が費用対効果に優れるケースが多いと言えるでしょう。

総じて、得られる測位精度そのものは両方式で遜色ありません。しかしVRS方式は機器準備の手軽さや導入コストの低さで優れているため、近年はネットワーク型RTKを用いた測量が主流になりつつあります。

LRTKとは何か？スマホ接続で手軽に使えるRTK測量機

LRTKは、スタートアップ企業レフィクシア社が開発した次世代のRTK-GNSS測位デバイスです。「現場で誰もが使えるポケットサイズのRTK」をコンセプトに設計されており、スマートフォンやタブレットに装着して使用します。重量は約125g、厚さ13mmほどの超小型筐体にアンテナ・GNSS受信機・バッテリー・通信モジュールが一体化されており、専用カバーを介してスマホの背面に取り付けるだけでセンチメートル級測位が開始できます。

スマホとはBluetoothなどでワイヤレス接続され、煩雑なケーブル配線も必要ありません。専用のLRTKアプリ上でワンタップ操作するだけで測位開始や点の記録ができ、得られたデータは自動的にクラウドへアップロードされます。直感的なスマホUIのおかげで専門知識がなくても扱いやすく、測量の経験がない人でも短時間の操作習熟で現場測定が可能です。

従来は測量会社や専門チームに依頼していたような計測作業も、LRTKの登場により現場スタッフ自身が日常的にこなせるようになりました。価格面でも従来の高精度機器に比べて非常にリーズナブルで、中小企業でも導入しやすい設定となっています。市販のスマホと小型デバイスの組み合わせという手軽さから「一人一台」体制も現実的となり、現場全体の生産性向上に直結します。実際、LRTKを使い始めた施工管理者や作業員からは「スマホに小型受信機を付けるだけでこれほど簡単に測量できるなら、もう以前のやり方には戻れない」という驚きの声も聞かれています。その手軽さと利便性のインパクトが大きく、現場では静かなブームを呼んでいます。また一部の自治体土木部門や建設会社でもLRTKの採用が始まっており、災害復旧の現場測量に活用されるなど、その実用の幅は着実に広がっています。

なおLRTKシリーズには用途に応じたモデル展開があり、手軽さ重視の「LRTK Phone」から、高機能な「LRTK Pro」までラインナップされています。上位モデルのLRTK Proでは日本の準天頂衛星システム「みちびき」が提供するセンチメータ級補強サービス（CLAS）に対応しており、通信圏外の山間部などでも衛星からの補正信号で高精度測位が可能です。またポールの傾きを自動補正する機能も備えており、アンテナが多少傾いた状態でも正確な直下の座標を取得できます。現場でありがちな悪条件下でも安定した測位を維持できるため、より幅広いシーンで誰でも簡単に使えるよう工夫されています。

LRTKが土木現場のDXに貢献するポイント

LRTKの導入によって、土木・建設現場の測量・施工管理は大きく変わります。ここではLRTKが現場DXを加速させる主なポイントを紹介します。

• 測量データの即時クラウド共有: LRTKで観測した測点データは、その場でスマホ経由ですぐクラウドに保存されます。測量が終わった後でUSBメモリに移したり、紙の野帳をまとめたりする必要がなく、現地で取得した最新データを関係者全員がリアルタイムに共有できます。測量結果をいち早く共有・確認できることで、後工程への引き渡しや報告業務もスムーズになります。

• 現場と事務所のリアルタイム連携: クラウドを介して、現場の測量データに事務所から即時アクセスできるようになります。例えば、現場で観測した点の座標が即座に事務所のPCに表示されるため、離れたオフィスにいる技術者がそのデータを見て即時に判断・指示を出すことが可能です。測量に誤差や不整合があった場合も、現場担当者が撤収する前にフィードバックできるため、手戻りを防止できます。現場と事務所のリアルタイムな情報共有により、意思決定のスピードが上がり、全体の作業効率が向上します。

• 専門人材不要・省力化・属人性の排除: 高精度測位というと従来は専門の測量士や高度な機器オペレータが必要でしたが、LRTKなら特別な技能がなくても現場スタッフが自分で測量可能です。これにより測量の外注や専門部署への依存を減らし、人員不足の解消や人件費削減につながります。また誰でも扱える仕組みにすることで、特定のベテランに仕事が属人化してしまうのを防ぎ、組織全体でノウハウを共有できます。熟練者の引退による技術継承の不安も軽減され、常に一定水準の測量品質を維持できるようになります。

• スマホで誰でも扱える操作性: LRTKはスマートフォンのアプリから操作するため、専門の測量機器に不慣れな方でも抵抗なく使い始められます。タッチパネル上の分かりやすいボタンや日本語表示のメニューで直感的に操作でき、難しい設定項目は自動化されています。「スマホで測量」という親しみやすさが現場作業員の心理的ハードルを下げ、新技術の導入を円滑にします。実際に使ってみると従来機との差に驚くほど簡単で、「これなら自分にも扱える」と感じるでしょう。

• 点群・AR・位置誘導など高度機能の簡易実装: LRTKは高精度な位置情報を活用した高度な機能にも対応しています。例えば、連続測位機能を使って地形の多数点を測定すれば、そのまま3D点群データとして現況の形状を記録できます。取得座標に設計モデルを重ねるAR機能を使えば、施工予定の構造物を現場に正確な位置でバーチャル表示し、出来形イメージを直感的に把握できます。また座標誘導（ガイダンス）機能により、指定した目標点に向けてスマホ画面に方角と距離が表示されるため、従来は丁張や墨出しが必要だった位置出し作業も誰もが容易にこなせます。体積計算や縦断・横断図の作成なども現場でリアルタイムに処理でき、これまで事務所に持ち帰って行っていた高度な解析作業がその場で片付くケースも増えるでしょう。LRTKによって、点群計測やAR活用といった最新技術が特別なものではなく身近なツールとなり、現場DXが一段と推進されます。

LRTKで行う簡単測量の手順

LRTKを用いた測量作業は驚くほどシンプルです。ここでは基本的な測量の流れをステップごとに見てみましょう。

• デバイスをスマホに装着: 現場に着いたらLRTK受信機をスマートフォンやタブレットに取り付けます。専用ケースにはめ込むように装着し、電源をオンにすれば準備完了です。スマホとは自動的にBluetooth接続されます。

• アプリでVRSに接続: スマホのLRTKアプリを起動し、ネットワーク型RTKの補正サービス（VRS）に接続します。通信環境がない場合はみちびきのCLASモードに切り替えることも可能です。数秒ほどでRTKの固定解（Fix解）が得られ、測位精度がセンチメートル級に高まります。

• 測りたいポイントで記録: 測定したい地点にポール先端を合わせ、アプリ上のボタンをタップして観測データを記録します。単点の計測はワンタップで完了し、必要に応じて写真やメモを添付することもできます。広い範囲を測りたい場合は連続測位モードに切り替え、歩行しながら自動で点群データを取得することもできます。

• データ自動アップロード・共有: 記録された測位データは、即座にクラウドへアップロードされます。同僚は事務所にいながらリアルタイムで結果を確認でき、現場にいるオペレーター自身もスマホ画面で測定結果をすぐマップ表示してチェックできます。測り終えたらすでにデータ共有・保存が完了しているため、別途USBで持ち帰る手間もありません。

以上のように、LRTKを使った測量は非常にシンプルです。スマホが扱えれば誰でも短時間で高精度測位が可能で、現場のデジタル化に直結します。ベテランの勘と経験に頼っていた作業もデータに基づく客観的な管理へと変わり、施工PDCAの効率も上がるでしょう。新しい技術の導入に不安がある現場でも、LRTKなら日常の延長で扱えるためスムーズに受け入れられるはずです。測量からデータ共有までが即座に完結する体験を、一度現場で試してみればその便利さを実感できるでしょう。

高精度測位の民主化を実現するLRTKは、土木測量のあり方を根本から変えつつあります。もし自社の現場にまだVRSやLRTKを導入していないようでしたら、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。詳しくは[LRTK公式サイト](https://www.lrtk.lefixea.com/)もご覧いただき、最新テクノロジーによる現場DXの効果をぜひ体感してみてください。誰でも簡単測量を可能にするLRTKが、貴社のDXを力強く後押ししてくれるはずです。