目次
• 電線共同溝工事で消防活動空間を守る意味
• 確認1 消防車両の進入経路を施工前に把握する
• 確認2 作業帯と仮設物が活動余地を狭めないか確認する
• 確認3 消火栓・防火水槽・連結送水口まわりをふさがない
• 確認4 掘削開口部と覆工の位置を緊急時目線で確認する
• 確認5 夜間・休日・無人時間帯の対応を決めておく
• 確認6 関係者への周知と現場記録を残す
• 消防活動空間を守る施工管理のまとめ
電線共同溝工事で消防活動空間を守る意味
電線共同溝の工事は、道路下に電力線や通信線などを収容する空間を整備し、無電柱化や道路空間の安全性向上につなげる重要な工事です。一方で、施工中は歩道や車道の一部を作業帯として使い、掘削、管路設置、特殊部の設置、埋戻し、舗装復旧 などを段階的に進めるため、普段は通行できる場所が一時的に狭くなります。一般車両や歩行者への影響だけでなく、火災や救急、救助が発生した際の消防活動空間を確保できるかどうかも、現場管理上の大切な確認事項です。
消防活動空間とは、消防車両が現場へ近づくための進入路、停車して活動するための余地、ホースを延ばす空間、隊員が資機材を搬送する動線、建物の出入口や避難経路の前面、消火栓や防火水槽などの水利を使用するための周辺空間を含む広い考え方です。電線共同溝の工事では、仮囲い、カラーコーン、バリケード、覆工板、資材、作業車、発電機、残土仮置き、交通誘導員の配置などが複合的に道路空間へ影響します。通常時は通行に支障がないように見えても、消防車両の旋回、停車、資機材展開を考えると不足が生じる場合があります。
特に市街地の電線共同溝工事では、沿道に住宅、店舗、事務所、学校、病院、福祉施設、集合住宅などが並ぶことがあります。道路幅が限られる場所では、作業帯を少し広げるだけで車両通行幅が足りなくなり、交差点付近では曲がりにくさが増します。建物前の仮設物が玄関や非常口に近づきすぎると、避難や救助活動の妨げになるおそれもあります。そのため、施工計画の段階から、消防活動を妨げない配置になっているかを確認し、日々の現場変更にも追随して管理することが欠かせません。
この記事では、電線共同溝の施工中に消防活動空間をふさがないための確認を6つに整理します。特定の現場条件に依存しない一般的な考え方として、施工計画、仮設配置、道路使用、交通誘導、夜間対応、関係者調整、記録管理までを実務目線で解説します。実際の運用では、発注者、道路管理者、交通管理者、消防機関、沿道関係者との協議内容や現場条件を優先し、現場ごとのルールに合わせて具体化することが重要です。
確認1 消防車両の進入経路を施工前に把握する
消防活動空間を守る最初の確認は、消防車両がどの方向から進入し、どこで停車し、どの範囲で活動する可能性があるかを施工前に把握することです。電線共同溝工事では、設計図や施工図だけを見ると、管路の位置、特殊部の位置、舗装復旧範囲、支障物の移設範囲に意識が向きがちです。しかし、消防活動の観点では、施工箇所そのものだけでなく、周辺道路、交差点、建物出入口、水 利、迂回路、通行規制の切替位置まで含めて確認する必要があります。
現場が幹線道路に面している場合、消防車両は比較的進入しやすいと考えられますが、中央分離帯、右折帯、バス停、荷さばき車両、沿道駐車などにより、実際の活動位置が限られることがあります。反対に、生活道路や商店街、住宅密集地では、道路幅そのものが狭く、電線共同溝の作業帯を設けることで消防車両が通り抜けにくくなる場合があります。交差点付近や曲がり角では、直線部分の幅だけでなく、車両が曲がるための余裕を見ておくことが大切です。
施工前の確認では、工事区間を平面図上で見るだけでなく、実際の道路状況を歩いて確認することが有効です。建物の用途、出入口の位置、非常口の有無、駐車場の出入り、消火栓や防火水槽の位置、道路標識、電柱、街路樹、ガードレール、既設占用物、歩道の幅、車道の幅、路肩の使われ方を現地で確認します。日中だけでなく、朝夕の交通量が多い時間帯や、店舗の搬入時間帯、学校や施設の送迎時間帯など、道路の使われ方が変わる時間も意識します。
消防車両の進入経路を考える際は、工事区間の始点と終点だけでなく、途中で片側交互通行や通行止めを行う場合の切替位置も確認します。仮に通常の通行車両は誘導で通せても、消防車両が接近したときにすぐ通行帯を開けられるか、作業車を退避できるか、覆工上を通行させる場合に段差や滑りが問題にならないかを考えます。現場内に重機や資材搬入車がいると、短時間で動かせないこともあるため、緊急時にどの車両をどこへ動かすかまで想定しておくと対応が現実的になります。
また、工事の段階ごとに進入経路が変わる点にも注意が必要です。電線共同溝は、掘削、管路敷設、特殊部施工、引込管施工、舗装復旧などで作業位置や仮設範囲が変わります。今日確保できていた消防活動空間が、翌日の特殊部掘削や資材搬入で狭くなることがあります。施工計画書や週間工程表では、消防車両の進入に影響が出やすい工程をあらかじめ洗い出し、作業帯を広げる日、通行幅が変わる日、夜間に開口部を残す日を重点管理することが求められます。
現場担当者は、消防活動空間を単なる余白として扱わず、工事を成立させるための必須条件として位置づけることが大切です。進入経 路を確認しないまま仮設計画を組むと、後から交通規制や資材置場を変更することになり、工程にも影響します。反対に、施工前に進入経路を押さえておけば、作業帯の位置、資材の置き方、仮設物の形状、誘導員の配置、緊急時の開放手順を計画に織り込めます。電線共同溝の施工品質を確保するためにも、まず消防車両が近づける道路空間を守ることが出発点になります。
確認2 作業帯と仮設物が活動余地を狭めないか確認する
電線共同溝工事で消防活動空間をふさがないためには、作業帯と仮設物の配置を丁寧に確認する必要があります。作業帯には、掘削範囲、重機の作業半径、作業員の通路、資材の一時置き、残土処理、交通誘導設備、安全施設などが含まれます。安全確保のために仮囲いやバリケードを設けることは必要ですが、その配置が大きすぎたり、道路の曲がり部や建物前に集中したりすると、消防活動の余地を狭めてしまいます。
特に注意したいのは、仮設物が固定化されることで、緊急時にすぐ動かせなくなるケースです。カラーコーンや軽量の区画材であれば比較的移 動しやすい一方、重いバリケード、敷鉄板、資材束、舗装材、発電設備、仮設照明、仮設ケーブル、看板類は、短時間で撤去できないことがあります。消防活動空間を確保するには、通常時の配置だけでなく、緊急時にどの範囲を速やかに開放できるかを考えておくことが重要です。
作業帯の幅を確認する際は、図面上の寸法だけで判断しないことが大切です。現場では、既設側溝の段差、縁石、街路樹、標識柱、駐輪、駐車車両、歩行者の滞留などにより、実際に使える幅が図面より狭く感じられることがあります。道路上に仮設物を置いた後、消防車両や救急車両が接近する場面を想定し、車両が直進できるか、曲がれるか、停車後に隊員が両側へ降りられるか、ホースや担架を通せるかを現地で確認します。
沿道建物に面した作業帯では、建物出入口の前をふさがないことも重要です。電線共同溝の施工では、歩道部に管路や特殊部を設置することが多く、店舗や住宅の入口前に仮設通路を設ける場面があります。歩行者用の通路を確保していても、消防隊員が資機材を持って通るには狭い場合があります。避難者が一時的に出てくる空間や、救急搬送のために担架を扱う空間も必要になるため、単に人が一列で通れるという見方では不十分です。
仮設歩道を設ける場合は、段差、滑り、曲がり、見通し、夜間照明も確認します。消防活動時は、煙、雨、夜間、混乱、停電など、通常より悪い条件で動く可能性があります。仮設通路が狭く、曲がりが多く、段差が目立つと、避難や救助の妨げになるおそれがあります。電線共同溝工事では、舗装を一時撤去した場所や覆工板の端部に段差ができやすいため、歩行者だけでなく緊急活動時の動きも想定して養生することが求められます。
資材置場の位置も、消防活動空間を守るうえで大きなポイントです。管材、ます部材、埋戻し材、舗装材、保安資材などを現場近くに置けば施工効率は上がりますが、道路の見通しや通行幅を損なう場合があります。特に交差点付近、消火栓付近、建物出入口付近、狭い道路の待避場所、消防車両が停車しそうな場所には、資材を置かない運用が望まれます。どうしても一時的に置く必要がある場合は、時間を限定し、すぐ移動できる状態にしておくことが大切です。
作業車や重機の待機位置も 同じです。電線共同溝工事では、掘削機械、運搬車、吸引車、舗装機械、材料搬入車などが出入りします。作業中に車両が道路上へ停車すると、消防車両の通行や停車を妨げる可能性があります。緊急車両接近時の退避先、運転者の所在、鍵の管理、誘導員からの連絡方法を決めておくことで、現場の反応速度が上がります。安全施設は必要ですが、必要以上に道路空間を占有しない配置と、緊急時に開放できる運用を両立させることが、実務上の重要な確認になります。
確認3 消火栓・防火水槽・連結送水口まわりをふさがない
消防活動では、水利をすぐ使えることが非常に重要です。電線共同溝工事で消防活動空間を考える場合、消火栓、防火水槽、送水口、採水口、消防用設備の接続部などの周辺をふさがないことを必ず確認します。道路上や歩道上には、普段あまり意識されない消防関連設備が点在しています。工事の仮設物や資材がその上に置かれると、緊急時に発見や使用が遅れるおそれがあります。
消火栓や防火水槽の位置は、施工前の現地調査で確認しておきます。路面や歩道上 のふた、標識、周辺の表示を見て、作業帯、仮囲い、交通規制材、資材置場、車両待機場所と重ならないようにします。電線共同溝の掘削位置が近い場合は、開口部や覆工板、仮設通路の配置により、消防隊員がふたを開けたりホースを接続したりする動作ができるかを確認します。水利そのものを避けていても、ふたを開けるための立ち位置や作業余地が足りなければ、実際には使いにくい状態になります。
建物側に設置されている連結送水口や消防用設備の周辺も見落としやすい部分です。歩道部の電線共同溝工事では、建物外壁に近い場所に仮設通路や仮囲いを設けることがあります。その際、建物の送水口、非常口、防火扉、避難器具、管理用出入口の前を狭めていないかを確認する必要があります。建物設備は民地側にあるため、道路工事の図面には十分に表れていないことがあります。現地で建物前を確認し、沿道管理者や施設管理者への聞き取りも行うと、見落としを減らせます。
水利周辺を守るには、単に物を置かないと決めるだけでは不十分です。現場では、短時間のつもりで資材や工具を置いたり、交通誘導の都合で看板を移動したり、作業車が一時停止したりすることがあります。そのため、水利周辺には置いてはいけない範囲を現場内で共有し、日々の朝礼や巡視で確認します。表示が薄い場合や夜間に見えにくい場合は、現場の保安計画の中で視認性を高める工夫も必要です。
また、雨天や夜間には、水利の位置がさらに分かりにくくなります。覆工板や仮舗装で路面の見え方が変わると、普段その場所を知っている人でも迷うことがあります。消防活動は時間との勝負になるため、消火栓や防火水槽の位置を隠さない配置にすることが基本です。どうしても近接して施工する場合は、作業時間、覆工方法、開放手順、関係者への連絡方法を具体的に決め、現場の誰が見ても判断できる状態にしておきます。
電線共同溝の特殊部や管路が水利に近い場合、既設地下埋設物との離隔や防護も重要になります。消防水利の周辺には、水道管や関連設備があることが多く、掘削時に誤って損傷すると、消防活動への影響だけでなく、周辺生活にも支障が出ます。埋設物調査、試掘、位置確認、掘削方法の選定、手掘り範囲の設定などを丁寧に行い、水利機能を損なわない施工を心がけます。
消火栓や防火水槽まわりの管理は、施工中だけでなく、休工時や夜間にも継続する必要があります。昼間は作業員がいてすぐに物を動かせても、夜間に現場が無人になると、仮設物の配置がそのまま消防活動の障害になります。終業時には、水利周辺に資材や保安施設が残っていないか、仮設通路が確保されているか、開口部や覆工が活動の妨げにならないかを確認します。水利を使える状態に保つことは、電線共同溝工事の安全管理において欠かせない基本です。
確認4 掘削開口部と覆工の位置を緊急時目線で確認する
電線共同溝工事では、掘削開口部や覆工板が消防活動空間に大きな影響を与えます。通常の通行管理では、歩行者や一般車両が安全に通れることを中心に確認しますが、消防活動では、より大きな車両、重量のある資機材、複数人の同時移動、ホース延長、担架搬送などが想定されます。掘削開口部が建物出入口や水利周辺に近い場合、緊急時に動線が分断される可能性があるため、施工段階ごとの確認が欠かせません。
掘削開口部は、物理的 に通れない空間を生みます。たとえ仮囲いや保安施設で安全に区画していても、その分だけ道路や歩道の有効幅は減少します。消防隊員が建物へ近づくための直線動線が遮られ、遠回りが必要になることもあります。特に建物前面を長い範囲で連続して掘削する場合、出入口ごとに仮設渡りや通路を設けるだけでは、消防活動時の十分な幅や強度が確保できないことがあります。
覆工板を使用する場合は、設置範囲、段差、すき間、がたつき、滑り、固定状態を確認します。一般の歩行者や軽車両が通るだけなら問題が目立たなくても、消防活動時には走行荷重や人の集中、資機材の運搬が加わる可能性があります。覆工上を緊急車両が通行する計画がある場合は、事前の条件確認が必要です。現場判断で安易に通行させるのではなく、施工計画上の想定、覆工の仕様、設置状態、周辺地盤の状況を踏まえて安全性を確認します。
掘削開口部の位置は、日々変わることが多いため、前日の状況を前提にしない管理が必要です。電線共同溝の工事では、管路を延長方向へ進めるため、開口位置が少しずつ移動します。特殊部施工では、比較的大きな開口が一定期間残る場合があります。舗装復旧前の仮復旧状態では、路面段差や沈下、仮 舗装の弱点が生じることもあります。消防活動空間の確認は、工程会議だけでなく、毎日の現場巡視で更新することが大切です。
緊急時目線で確認する際は、開口部の周囲に人が集まった場合を想定します。火災や救急の発生時には、住民、通行人、施設利用者、関係車両が現場周辺に集中することがあります。工事の開口部があると、避難者や見物人の滞留によりさらに動きにくくなります。現場の保安施設は、通常時の転落防止だけでなく、混乱時にも危険箇所を明確に示す役割を持ちます。夜間の視認性、反射材、照明、案内表示の配置を含めて確認します。
建物出入口前に仮設渡りを設ける場合は、幅や勾配だけでなく、担架や資機材が通れるかを考えます。段差が小さくても、狭い角度で曲がる必要があると、救急搬送や資機材搬入の妨げになります。仮設渡りの前後に資材や看板が置かれていないか、雨天時に滑りやすくないか、夜間に端部が見えるかも重要です。電線共同溝工事は沿道利用を維持しながら進めることが多いため、日常利用と緊急利用の両方を満たす通路管理が求められます。
さらに、掘削開口部の近くに仮設ケーブルや排水ホースを通す場合は、消防活動時のつまずきや引っ掛かりにも注意します。現場内では問題ない位置でも、緊急時に人が急いで移動すると障害物になります。仮設物はできるだけ動線と交差させず、交差する場合は養生と表示を徹底します。消防活動空間を守るという視点では、開口部そのものだけでなく、その周囲に発生する小さな段差、突起、仮設配線、仮設排水、表示物まで含めて管理することが大切です。
確認5 夜間・休日・無人時間帯の対応を決めておく
電線共同溝工事で消防活動空間を確保するうえで、夜間、休日、休工日、無人時間帯の対応は特に重要です。日中の作業中であれば、現場代理人、職長、作業員、交通誘導員が状況を把握し、緊急車両の接近に合わせて保安施設や作業車を移動できます。しかし、作業終了後に現場が無人になると、残された仮設物や覆工、資材、規制材の状態がそのまま消防活動に影響します。終業時の状態を基準に、安全と活動空間を確認する習慣が必要です。
夜間は視認性が低下し、道路利用者も現場の変化に気づきにくくなります。消防車両が緊急走行で接近する場合、運転者は短時間で道路状況を判断しなければなりません。工事規制の線形が分かりにくい、仮設物の反射が不足している、覆工板の段差が見えにくい、資材が路肩に残っているといった状態は、活動の遅れや事故につながるおそれがあります。夜間に残す保安施設は、一般車両の誘導だけでなく、緊急車両から見ても分かりやすい配置にすることが大切です。
休工時には、作業効率の都合で置いた資材や機材がそのまま残らないように確認します。翌朝すぐ使う予定の管材、保安材、埋戻し材、工具類であっても、消防活動空間や水利周辺を妨げる場所に置くべきではありません。特に狭い道路では、わずかな資材の張り出しでも消防車両の通行幅に影響します。終業前には、資材置場の範囲、仮設物の固定状態、通行帯の幅、建物出入口前の空間、水利周辺の空間を確認し、必要に応じて写真で記録しておくとよいです。
無人時間帯の緊急連絡体制も決めておく必要があります。夜間や休日に消防機関、警察、道路管理者、沿道関係者から連絡が入った場合、誰が受け、誰が現場へ向かい 、どのように開放作業を行うのかが曖昧だと対応が遅れます。連絡先を掲示するだけでなく、現場担当者、会社側の管理者、協力会社、警備担当者などの役割を整理し、必要な鍵や資機材の所在も確認します。緊急時に動かす可能性がある仮設物は、動かし方や置き場所まで決めておくと実効性が高まります。
夜間に開口部を残す場合は、より慎重な管理が求められます。覆工板で閉塞している場合でも、周囲に段差やすき間がないか、がたつきがないか、通行部分の見通しが確保されているかを確認します。仮に消防隊員が急いで移動した場合でも危険が生じにくい状態にする必要があります。歩道部の開口部では、避難者や救急搬送の動線を考え、建物出入口から道路側へ出る経路を分かりやすくしておきます。
休日には、平日とは異なる道路利用が発生する場合もあります。商業施設やイベント施設の周辺では来訪者が増え、住宅地では路上駐車や私用車の出入りが増えることがあります。工事が休みであっても、仮設物が残っている限り現場管理の責任は続きます。電線共同溝工事の工程表では作業日だけに注目しがちですが、休工日の道路空間が消防活動に支障しないかも確認対象に含める必要があります。
夜間・休日・無人時間帯の対応を決めることは、万一の火災や救急時だけでなく、近隣からの信頼にも関わります。沿道住民や店舗にとって、工事中の道路は普段より不安の大きい空間です。終業後も通行しやすく、水利や出入口がふさがれていない状態を保つことで、現場への不安を減らせます。電線共同溝工事は長期間に及ぶこともあるため、日中の施工管理と同じくらい、作業していない時間の管理を丁寧に行うことが重要です。
確認6 関係者への周知と現場記録を残す
消防活動空間を確保するためには、現場内だけで判断せず、関係者への周知と記録を残すことが欠かせません。電線共同溝工事には、発注者、道路管理者、交通管理者、消防機関、占用企業者、沿道住民、店舗、施設管理者、協力会社、交通誘導員など多くの関係者が関わります。施工中の道路空間は日々変わるため、誰が見ても現在の規制状況や緊急時の対応が分かるようにしておくことが大切です。
まず、施工前の協議内容を現場の具体的な配置に落とし込む必要があります。消防活動に関する確認事項が協議で示されていても、現場の作業員や誘導員が知らなければ実行されません。消火栓の前に資材を置かない、建物出入口前の有効空間を確保する、緊急車両接近時には作業を止めて通行帯を開放する、夜間は特定の範囲に仮設物を残さないといったルールを、朝礼や作業手順の中で共有します。
交通誘導員への周知も重要です。緊急車両が接近した場合、最初に気づくのは交通誘導員であることが多くあります。誘導員が消防車両や救急車両の進入方向、開放すべき通行帯、作業員への合図、一般車両や歩行者の待機位置を理解していれば、現場全体の対応が早くなります。反対に、誘導員が通常の片側交互通行だけを見ていると、緊急時に判断が遅れる可能性があります。誘導員を含めた全員が、消防活動空間を守る目的を理解しておくことが必要です。
沿道関係者への周知では、工事予定、通行規制、出入口の使い方、緊急時の連絡先、工事時間、夜間の状態を分かりやすく伝えます。特に、病院、福祉施設、学校、保育施設、集合住宅、商業施設などは、利用 者の避難や救急搬送に関わる可能性があります。施設管理者と事前に出入口の使い方や緊急車両の停車位置を確認しておくと、現場の仮設配置を決める際にも役立ちます。
現場記録は、後から状況を確認するためだけでなく、日々の管理を安定させるためにも有効です。消防活動空間に関する記録としては、通行帯の確保状況、水利周辺の状態、建物出入口前の空間、仮設通路、覆工板の状態、資材置場、夜間残置物、誘導員配置、関係者周知の実施状況などがあります。写真を撮る場合は、単に近景を撮るだけでなく、道路全体の幅や水利との位置関係が分かるように撮影すると、確認資料として使いやすくなります。
工事の進捗に合わせて記録を更新することも大切です。電線共同溝工事では、同じ道路でも日によって作業位置が移り、規制形態が変わります。最初に作成した仮設計画が現場の実態とずれてきた場合は、速やかに修正し、関係者へ共有します。特に、特殊部施工、交差点付近の施工、夜間施工、通行止め、迂回路設定、消火栓近接施工など、消防活動への影響が大きい工程では、事前の確認と当日の記録を丁寧に残すことが望まれます。
記録を残す際は、断定的に安全を証明するためではなく、現場がどのように確認し、どのように改善したかを示す意識が大切です。たとえば、当初の資材置場が消火栓に近かったため別位置へ変更した、建物出入口前の仮設通路を広げた、夜間の保安施設を見直した、誘導員に緊急車両対応を再周知したといった改善履歴は、現場管理の質を高める材料になります。問題が起きていないことだけでなく、問題を起こさないために何を見直したかを残すことで、次の工程や別現場にも活かせます。
関係者への周知と記録は、消防活動空間を守る仕組みそのものです。現場担当者の経験や注意力だけに頼ると、担当者が不在の時間帯や工程が切り替わる場面で抜けが生じます。誰が見ても分かる配置、誰でも同じ対応ができる手順、後から確認できる記録を整えることで、電線共同溝工事の安全管理は安定します。消防活動空間を守る取り組みは、単発の確認ではなく、工事期間を通じて継続する管理項目です。
消防活動空間を守る施工管理のまとめ
電線共同溝の施工では、道路下の管路や特殊部を正確に施工する技術だけでなく、施工中の道路空間を安全に保つ管理が求められます。消防活動空間をふさがないためには、消防車両の進入経路、作業帯と仮設物、水利周辺、掘削開口部、夜間や休日の状態、関係者への周知と記録を一体で確認することが大切です。どれか一つだけを見ても十分ではなく、現場の動きに合わせて継続的に見直すことが重要です。
特に電線共同溝工事は、道路幅が限られた市街地や沿道利用の多い場所で行われることがあります。歩行者の通行を確保し、一般車両を通し、沿道店舗や施設の出入りを維持しながら作業を進めるため、現場は常に制約を抱えています。その中で消防活動空間を守るには、作業効率だけを優先せず、緊急時に何が起こるかを想像する姿勢が必要です。普段の通行に支障がない状態と、消防活動に支障がない状態は同じではありません。
実務では、施工前の計画段階で進入経路や水利を確認し、施工中は日々の作業帯や仮設物を見直し、終業時には夜間の状態を確認します。さらに、交通誘導員や協力会社、沿道関係者へ必要な情報を共有し、写真や記録 で管理状況を残します。こうした基本を積み重ねることで、火災や救急の発生時にも対応しやすい現場になります。
消防活動空間を守る管理は、特別な場面だけの対応ではありません。資材を置く位置を少し変える、仮設通路の幅を確認する、消火栓の周辺を毎日見る、夜間に残すものを減らす、緊急時の連絡先を共有する、といった日常的な確認の積み重ねです。小さな見直しを続けることで、電線共同溝工事の安全性と沿道からの信頼は高まります。
また、現場状況を正確に記録し、関係者へ分かりやすく共有するためには、位置情報付きの写真や現場メモを活用することも有効です。施工箇所、消火栓、建物出入口、仮設通路、覆工板、資材置場などの位置を現場で記録し、必要に応じて関係者へ共有できれば、認識違いを減らしやすくなります。日々変化する電線共同溝工事の現場管理では、スマートフォンや現場管理用の記録ツールを使い、位置と写真を紐づけて残すことで、消防活動空間の確認記録も整理しやすくなります。
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