電線共同溝の工事では、歩道や車道の一部を規制しながら掘削、管路設置、特殊部の据付、埋戻し、舗装復旧などを進める場面が多くあります。なかでも交差点付近、沿道施設の出入口、生活道路との取り合いでは、右左折車両と歩行者、自転車、工事車両、一般車両の動きが重なりやすく、交通誘導員の配置が事故防止に関わります。
交通誘導員を必要人数置いているだけでは、右左折事故を十分に防げない場合があります。重要なのは、どこに立つか、誰に合図するか、どのタイミングで停止させるか、現場内でどう情報共有するかを、施工段階ごとに見直すことです。電線共同溝の現場は日々形が変わるため、昨日安全だった配置が今日も安全とは限りません。この記事では、電線共同溝の交通誘導員配置で右左折事故を防ぐために確認したい6つの実務ポイントを整理します。
目次
• 右左折事故が起きやすい場所を施工前に洗い出す
• 交通誘導員の立ち位置を運転者と歩行者の両方から確認する
• 右左折車両と歩行者の交錯タイミングを分ける
• 工事車両の出入りと一般交通の誘導を分担する
• 規制形態の変更時に配置と合図を見直す
• 朝夕や夜間など時間帯ごとの見え方を確認する
• 交通誘導員配置を現場記録と改善につなげる
右左折事故が起きやすい場所を施工前に洗い出す
電線共同溝の交通誘導員配置を考えるとき、最初に見るべきなのは、単に工事範囲の端部ではありません。右左折事故を防ぐためには、車両が曲がる場所、歩行者や自転車が横断する場所、工事車両が出入りする場所を重ねて確認する必要があります。電線共同溝は道路の端部や歩道寄りで施工されることが多いため、交差点の角、店舗や駐車場の出入口、バス停付近、学校や公共施設の前などで交通の流れが複雑になりやすいです。
右左折事故は、車両の運転者が進行方向の交通だけでなく、曲がった先の歩行者や自転車、工事規制材、誘導員の合図を同時に判断しなければならない場面で起こりやすくなります。特に左折時は、車両の内輪差や死角に歩行者や自転車が入りやすく、右折時は対向車の切れ目を見ながら急いで進入することで、横断者や規制内の動きへの注意が薄れやすくなります。工事によって車線幅や歩道幅が狭くなっている場合は、普段よりも運転者の視線が規制材や対向車に向きやすくなるため、交通誘導員の配置で危険を先読みすることが大切です。
施工前の現地確認では、図面上の工事範囲だけで判断せず、実際の交通流を時間帯別に見ることが欠かせません。朝は通勤車両と自転車が多く、昼は配送車や店舗利用者が増え、夕方は帰宅車両と歩行者が重なるなど、同じ交差点でも危険の出方は変わります。電線共同溝の施工は一日で完結しないことが多いため、交通量の多い曜日、周辺施設の利用が増える時間、近隣の行事やごみ収集の動きも含めて、右左折車両が集中する条件を把握しておくと配置計画の精度が上がります。
また、工事規制によって普段の通行位置が変わると、利用者の迷いが事故のきっかけになります。歩道の一部を切り回す場合、歩行者はどこを通ればよいのかを探しながら歩きます。車道の一部を狭める場合、運転者は対向車とのすれ違いに意識を取られます。そこに右左折車両が入ってくると 、歩行者、自転車、車両が互いの動きを読み違える可能性が高まります。交通誘導員の配置は、こうした迷いが生じる場所を起点に考える必要があります。
施工前の洗い出しでは、危険箇所を現場関係者だけで共有するのではなく、交通誘導員にも具体的に伝えることが重要です。「この交差点は左折車が多い」「この出入口は後退車両が出やすい」「この時間帯は自転車が連続する」といった情報があるだけで、誘導員の立ち位置や視線の置き方が変わります。配置図に人数だけを記すのではなく、どの方向から来る右左折車両を重点的に見るのか、どの横断者を優先するのかを明確にしておくことで、現場での判断がぶれにくくなります。
電線共同溝の現場では、掘削箇所が細長く移動し、特殊部や管路の位置に合わせて規制帯も変わります。そのため、危険箇所の洗い出しは着工前だけで終わらせず、日々の施工範囲に合わせて更新する必要があります。特に交差点に近づく日、沿道出入口を一時的に制限する日、舗装復旧で車両の走行位置が変わる日は、右左折事故のリスクが高まる節目です。朝礼や作業前打合せで、当日の右左折リスクを確認する習慣を持つことが、交通誘導員配置の土台になります。
交通誘導員の立ち位置を運転者と歩行者の両方から確認する
交通誘導員の立ち位置は、現場の安全を左右する重要な要素です。電線共同溝の現場では、掘削箇所、仮囲い、保安施設、資機材置場、工事車両の待機位置などが視界を遮ることがあります。誘導員が配置されていても、運転者から見えにくい位置に立っていれば、合図が伝わるのが遅れます。反対に、歩行者から見えにくい位置では、通行者が誘導意図を理解できず、右左折車両との交錯を生むことがあります。
立ち位置を考える際は、運転者の視点と歩行者の視点を分けて確認することが大切です。運転者に対しては、右左折を始める前に誘導員の姿と合図が見える位置であることが求められます。曲がった後に初めて合図が見える位置では、停止判断が間に合わない場合があります。交差点付近では、車両が減速する手前、横断者を確認する手前、規制帯へ接近する手前のどこで合図を見せるかを意識する必要があります。
歩行者に対しては、通行可能なルートを迷わず認識できる位置に誘導員がいることが望ましいです。電線共同溝の工事では、歩道が狭くなったり、仮設通路へ迂回したりすることがあります。歩行者が横断前に立ち止まる位置、店舗や住宅から出てくる位置、自転車が押し歩きに切り替える位置などから誘導員が見えるかを確認します。歩行者が「誘導員の指示を受ければよい」と自然に分かる配置であれば、急な飛び出しや無理な横断を抑えやすくなります。
また、誘導員自身の安全確保も忘れてはいけません。右左折車両を見やすい場所に立とうとして、車両の巻き込み範囲や後退車両の動線に近づきすぎると、誘導員が危険にさらされます。誘導員が退避できる余地、足元の段差、仮設材との距離、夜間の視認性を確認したうえで、無理のない立ち位置を決める必要があります。誘導員が危険を感じながら立っている状態では、周囲への合図や声かけに集中できず、結果として誘導品質も下がります。
右左折事故を防ぐ配置では、誘導員同士の見通しも重要です。交差点の手前と曲がった先、工事車両出入口と歩行者通路、規制帯の起点と終点に誘導員を置く場合、それぞれが 互いの合図や動きを確認できることが望まれます。無線や合図を使う場合でも、目視で状況を補完できる配置にしておくと、判断の遅れを減らせます。特に騒音が大きい現場や交通量が多い場所では、声だけに頼ると伝達ミスが起こりやすいため、見える関係をつくることが効果的です。
現場では、配置図どおりに立っているつもりでも、実際には仮囲いの角、標識、停車車両、街路樹、電柱、道路附属物などで見え方が変わります。そのため、配置を決めた後は、運転者が接近する方向から実際に見て、誘導員が十分に認識できるかを確認することが大切です。歩行者側も同様に、横断地点や仮設通路の入口から見て、誘導員の位置と通行方向が分かるかを確認します。机上の配置を現場の視界で検証する一手間が、右左折事故の防止につながります。
右左折車両と歩行者の交錯タイミングを分ける
右左折事故を防ぐうえで重要なのは、車両と歩行者を同じ空間に同じタイミングで入れないことです。電線共同溝の現場では、歩道や路肩を規制することで横断位置や通行幅が変わり、右左折車両が曲がった 先で歩行者と近接しやすくなります。交通誘導員の役割は、単に「進んでください」「止まってください」と合図することではなく、交錯する可能性のある動きを時間的に分けることにあります。
例えば、左折車が連続している場面で歩行者をそのまま横断させると、運転者が歩行者を見落とす危険があります。反対に、歩行者が途切れない状態で車両を無理に曲がらせると、車両が横断部分で停止し、後続車や対向車の流れを乱すことがあります。交通誘導員は、右左折車両の接近速度、歩行者の人数、自転車の有無、横断にかかる時間を見ながら、どちらを先に通すかを落ち着いて判断する必要があります。
このとき注意したいのは、歩行者の動きは車両よりも予測しにくいという点です。高齢者、子ども連れ、荷物を持った人、車椅子利用者、自転車を押す人などは、横断や迂回に時間がかかることがあります。工事規制で足元が狭くなっていれば、さらに時間が必要です。誘導員が車両の流れを優先しすぎると、歩行者が焦って渡ろうとしたり、車両の前後をすり抜けようとしたりする可能性があります。歩行者を先に通す場合は、最後尾まで通過したことを確認してから車両を誘導することが大切です。
自転車への対応も重要です。電線共同溝の工事区間では、歩道幅が狭くなることで自転車が車道側へ出たり、車道を走っていた自転車が規制を避けて歩道側へ寄ったりすることがあります。右左折車両の運転者から見ると、自転車は接近速度が速く、死角に入りやすい存在です。交通誘導員は、歩行者だけでなく自転車の接近も確認し、右左折車両を一時停止させるタイミングを早めに取る必要があります。
交錯タイミングを分けるには、誘導員の合図を現場内で統一しておくことも欠かせません。ある誘導員が車両を進め、別の誘導員が歩行者を進めると、現場内で矛盾した指示が発生します。特に交差点付近では、曲がる前の車両を誘導する人と、曲がった先の歩行者を誘導する人の連携が重要です。どちらが主導して停止と進行を判断するのか、歩行者優先の場面ではどの合図で車両側へ伝えるのかを、作業前に決めておく必要があります。
また、右左折車両を止める場合は、運転者が安全に停止できる位置で合図を出すことが必要です。曲がり始めてから止 めると、車両が横断部や交差点内に残り、かえって危険な状態をつくることがあります。停止させるなら曲がる前、進めるなら曲がった先が空いていることを確認してから、という基本を徹底することが大切です。電線共同溝の規制帯が交差点に近いほど、この判断は早めに行う必要があります。
右左折事故の防止は、交通誘導員一人の経験だけに頼るものではありません。現場として、車両と歩行者の交錯を分ける考え方を共有し、朝礼で具体的な場面を確認することが有効です。「歩行者がいるときは左折車を先に止める」「工事車両が出るときは横断者を完全に止める」「自転車が接近している場合は無理に車両を曲げない」といった判断基準を持っておくことで、迷いの少ない誘導ができます。
工事車両の出入りと一般交通の誘導を分担する
電線共同溝の現場では、一般車両の右左折だけでなく、工事車両の出入りも右左折事故の要因になります。掘削土の搬出、資材の搬入、特殊部の据付、舗装復旧などでは、車両が現場内外を出入りします。工事車両は車体が大きく、内輪差や死角も大きいため 、一般車両や歩行者、自転車との交錯に十分な注意が必要です。特に狭い道路や交差点近くの出入口では、工事車両の右左折に合わせて周囲の交通を一時的に整理する必要があります。
ここで問題になりやすいのが、交通誘導員が複数の対象を同時に見なければならない配置です。一般車両を見ながら、歩行者を見ながら、工事車両の後退や右左折も見るという状態では、どこかに注意の抜けが出やすくなります。右左折事故を防ぐためには、工事車両の出入りを担当する誘導員と、一般交通や歩行者を担当する誘導員を分けることが有効です。人数が限られる場合でも、誰が何を優先して見るのかを明確にするだけで、判断の混乱を減らせます。
工事車両が現場へ入るときは、車両の進入経路だけでなく、曲がった先の停止位置や待機位置も確認しておく必要があります。工事車両を進入させたものの、現場内に十分な空間がなく、車体の一部が車道や横断部に残ってしまうと、右左折車両や歩行者の動線をふさぐことになります。誘導員は、単に入口で合図を出すのではなく、車両が完全に収まる場所まで進めるかを確認してから誘導することが大切です。
工事車両が現場から出るときは、さらに慎重な判断が必要です。現場内から車道へ出る車両は、一般交通の流れに割り込む形になりやすく、右左折時には歩行者や自転車を見落としやすくなります。誘導員は、車両の前方だけでなく、左右の歩道、車道端、自転車の接近、対向車の流れを確認し、必要に応じて一般交通を一時停止させます。工事車両の運転者に対しては、誘導員の合図が出るまで動かないことを徹底し、現場内の合図と運転者の判断が食い違わないようにします。
また、工事車両の誘導では、右左折先の安全確認を一人に任せきりにしないことが重要です。大型車両が左折する場合、車両の左側後方や歩道側に死角ができます。右折する場合は、対向車や横断者への注意が必要です。出入口側の誘導員と、曲がった先や歩行者側を確認する誘導員が連携できる配置であれば、死角を補いやすくなります。合図の主担当を決めつつ、周囲確認の担当を分けることで、安全確認が重層的になります。
工事車両の出入り時間を調整することも、交通誘導員配置の負担を減らす方法です。朝夕の混雑時間 帯、通学時間帯、周辺施設の利用が集中する時間帯に大型車両の出入りを重ねると、誘導員の判断が難しくなります。施工上やむを得ない場合でも、出入りの直前に誘導員同士で声かけを行い、歩行者誘導と車両誘導の優先順位を再確認することが大切です。右左折事故を防ぐには、配置だけでなく、工事車両を動かすタイミングの管理も重要になります。
電線共同溝の施工では、短時間の搬入出であっても、交通環境が一気に変わります。普段は安全に流れている道路でも、工事車両が一台出入りするだけで、右左折車両、後続車、歩行者、自転車の動きが変化します。交通誘導員の配置計画では、この一時的な変化を軽視せず、工事車両の出入りを一つの作業として捉えることが必要です。作業手順の中に交通誘導の段取りを組み込み、現場全体で同じタイミングを共有することで、事故の芽を減らせます。
規制形態の変更時に配置と合図を見直す
電線共同溝の工事は、施工段階によって規制形態が変わります。掘削時、管路布設時、特殊部据付時、埋戻し時、舗装復旧時では、作業範囲、使用機械 、車両の出入り、歩行者の通行位置が異なります。規制帯が少し移動しただけでも、右左折車両からの見え方や歩行者の動線は変化します。そのため、交通誘導員の配置を一度決めたまま固定するのではなく、規制形態が変わるたびに見直すことが必要です。
規制形態の変更で特に注意したいのは、交差点や出入口に近づく場面です。直線部では問題がなかった配置でも、交差点の角に施工範囲がかかると、右左折車両が規制帯を避けながら曲がる必要が出てきます。運転者は普段より大きく膨らんだり、急に減速したりするため、後続車や歩行者との関係が不安定になります。この段階で誘導員の立ち位置を変えずにいると、合図が遅れたり、曲がった先の安全確認が不足したりする可能性があります。
歩道の切り回しが発生する場合も、配置の見直しが欠かせません。歩行者通路を車道側へ張り出すと、歩行者が右左折車両に近づきます。逆に、歩行者を建物側へ迂回させると、出入口から出てくる人と通行者が交錯しやすくなります。誘導員は、歩行者がどこで迷い、どこで車両と接近するかを確認し、必要な場所に立つ必要があります。通路の入口にだけ誘導員を置いても、曲がった先の交錯を見逃す場合があるため、歩行 者の流れ全体を見て配置を考えることが大切です。
合図の見直しも重要です。規制形態が変わると、同じ停止合図や進行合図でも、運転者が受け取る意味が変わることがあります。たとえば、車両に対して進行を促す合図を出したつもりでも、歩行者が同じ方向へ進んでよいと受け取る場合があります。誘導員の合図が複数の利用者に同時に見える場所では、誰に向けた合図なのかが明確になるよう、身体の向き、視線、手の動き、声かけをそろえる必要があります。
規制変更直後は、道路利用者が新しい通行形態に慣れていないため、事故リスクが高くなります。毎日通る人ほど、昨日までの通行位置の感覚で進もうとすることがあります。運転者も、いつもの右左折軌跡で曲がろうとして、規制材や歩行者通路に接近することがあります。このような初日の混乱を抑えるには、変更直後の時間帯に誘導員を厚めに配置し、状況が落ち着いてから必要に応じて配置を調整する考え方が有効です。
また、規制形態の変更は、現場内の作業員 にも影響します。資材置場の位置、重機の旋回範囲、作業員の出入り位置が変わると、交通誘導員が見るべき対象も変わります。誘導員が一般交通だけを見ている間に、現場内から作業員が出てくると、右左折車両との接触リスクが生じます。規制変更時には、交通誘導員だけでなく、施工担当者、職長、作業員が当日の動線を共有し、現場内外の動きを合わせることが必要です。
配置と合図の見直しを確実に行うには、変更点を口頭だけで済ませないことも大切です。簡易な配置図や当日の作業指示に、誘導員の位置、優先して確認する方向、歩行者の通路、工事車両の出入口を反映させると、関係者の認識がそろいやすくなります。電線共同溝の施工は細かな段取り変更が多いため、記録に残す習慣がある現場ほど、誘導ミスや伝達漏れを減らしやすくなります。
朝夕や夜間など時間帯ごとの見え方を確認する
交通誘導員の配置は、時間帯によって適切さが変わります。日中は見通しがよくても、朝夕の低い日差しや夜間の暗さ、雨天時の反射によって、誘導員や規制材が見えにくくなることがあり ます。電線共同溝の工事では、交通量の少ない時間帯を選んで作業する場合もありますが、暗い時間帯は右左折車両の視認性が落ち、歩行者や自転車の発見が遅れやすくなります。時間帯ごとの見え方を確認することは、右左折事故を防ぐうえで欠かせません。
朝の時間帯は、通勤や通学の動きが重なります。歩行者や自転車が連続し、車両も急ぎがちです。交差点では、右左折車両が歩行者の列の切れ目を狙って進もうとすることがあります。交通誘導員は、歩行者をまとめて通すのか、車両を一時的に通すのかを早めに判断し、無理な割り込みを防ぐ必要があります。朝は日差しが運転者の正面やミラーに入り、誘導員の合図が見えにくくなる場合もあるため、立ち位置の微調整が重要です。
夕方は、帰宅する車両と歩行者が増えるだけでなく、周囲が徐々に暗くなることで視認性が変化します。作業開始時は明るくても、終了時には薄暗くなっていることがあります。この変化に合わせて、誘導員の位置、保安灯の配置、規制材の見え方を確認しなければなりません。特に右左折車両は、対向車のライトや周辺の明暗差に影響され、歩行者や自転車の発見が遅れることがあります。誘導員は、自分が運転者からどの程度見えて いるかを意識しながら、早めの合図を心がける必要があります。
夜間は、誘導員の合図が見えるだけでなく、誰に向けた合図なのかが分かることが大切です。暗い中では、手元の動きや身体の向きが伝わりにくく、運転者や歩行者が誤解することがあります。誘導員の立ち位置が照明の逆光になっていると、姿が見えにくくなる場合もあります。照明の位置、誘導員の装備、規制材の反射、車両ライトの当たり方を確認し、右左折車両から合図が早めに見える配置にすることが必要です。
雨天時は、路面の反射や傘による視界不良が加わります。歩行者は足元を見ながら歩きやすく、誘導員の合図に気づくのが遅れることがあります。自転車はブレーキが効きにくく、車両も停止距離が伸びます。右左折車両が規制帯に近づく速度を落としきれない場合もあるため、誘導員は通常より早めに停止合図を出し、歩行者や自転車を余裕を持って誘導する必要があります。雨具や傘で誘導員自身の動きが制限されることも考慮し、無理のない立ち位置を選ぶことが大切です。
時間帯ごとの確認では、交通量だけでなく、周辺施設の利用時間も見る必要があります。学校の登下校、店舗の開閉、公共施設の催し、バスの発着、配送の集中時間などが重なると、右左折車両と歩行者の交錯が増えます。電線共同溝の現場が生活道路や商業地にある場合、日中の平均的な交通量だけで判断すると危険を見落とすことがあります。現場の周囲で人と車が増えるきっかけを把握し、その時間だけ配置を強化する考え方が有効です。
夜間や薄暮時の作業では、誘導員が長時間同じ場所に立つことで集中力が低下することにも注意が必要です。右左折車両の動きは一瞬の判断を伴うため、疲労や寒暖差、騒音、雨風の影響で反応が遅れると事故につながります。適切な休憩、交代、配置のローテーションを考え、誘導員が常に周囲を確認できる状態を保つことが重要です。安全な配置とは、見えやすい場所に立つことだけでなく、誘導員が安定して判断できる環境を整えることでもあります。
交通誘導員配置を現場記録と改善につなげる
電線共同溝の交通誘導員配置は、現場ごとに条件が異なります。そのため、計画どおりに配置したかどうかだけでなく、実際にどの場面で危険を感じたか、どの位置が見えにくかったか、どの時間帯に右左折車両が増えたかを記録し、翌日以降の改善につなげることが大切です。記録が残っていないと、同じような危険が繰り返されても、配置計画に反映されにくくなります。
日々の記録では、事故や接触が起きなかったことだけをもって安全と判断しない姿勢が必要です。急ブレーキ、誘導合図の見落とし、歩行者の迷い、車両の大回り、自転車のすり抜け、工事車両の出入り時の混乱など、事故には至らなかった小さな兆候を拾うことが重要です。右左折事故は、こうした小さなヒヤリとした場面が積み重なった先に起こりやすいため、現場の違和感を早めに共有することが予防になります。
記録する内容は、難しく考えすぎる必要はありません。どの場所で、どの方向から来た車両が、どの動きをしたときに危険を感じたのかを残すだけでも、配置の見直しに役立ちます。例えば、左折車が誘導員の合図に気づくのが遅かったので立ち位置を手前に変える、歩行者が仮設通路の入口で迷ったので誘導員を通路入口側へ寄せる、工事車両の出庫時に自転車が 連続したので出庫タイミングを調整する、といった具体的な改善につながります。
交通誘導員からの意見を吸い上げることも重要です。誘導員は現場の最前線で、運転者や歩行者の反応を直接見ています。施工管理者が図面や工程から見ている危険と、誘導員が現場で感じる危険は必ずしも同じではありません。朝礼や終礼で、誘導員が気づいた点を短時間でも共有する場を設けると、配置計画の精度が上がります。現場全体で「危ないと感じたことを言いやすい雰囲気」をつくることが、右左折事故の防止に役立ちます。
改善を行う際は、配置変更の理由を関係者に伝えることも大切です。単に「今日からこの位置に立つ」と伝えるだけでは、誘導員が何を重点的に見るべきか分かりにくい場合があります。「左折車の見落としを防ぐために手前へ立つ」「歩行者通路の入口を明確にするために位置を変える」「工事車両の出庫を安全に見るために担当を分ける」といった目的を共有すれば、誘導員の判断が現場の狙いと一致しやすくなります。
また、写真や簡単な位置記録を活用すると、配置の改善が引き継ぎやすくなります。電線共同溝の現場では、施工範囲が移動するたびに新しい危険が出てきますが、過去の区間で有効だった配置や失敗しやすかった位置は、次の区間でも参考になります。特に同じ道路上で複数日にわたり施工する場合、前日の気づきを翌日の配置へ反映できる体制があると、安全管理が継続的に高まります。
交通誘導員配置の改善は、事故防止だけでなく、工事全体の円滑化にもつながります。右左折車両や歩行者の流れが安定すれば、現場周辺の渋滞や苦情を減らしやすくなります。工事車両の出入りも計画的に行えるため、作業の中断や待機時間を抑えやすくなります。安全と効率は別々のものではなく、交通の乱れを減らすことが結果として施工の安定にもつながります。
まとめ
電線共同溝の交通誘導員配置で右左折事故を防ぐには、人数を確保するだけでは不十分です。右左折車両がどこで歩行者や自転車と交錯するのか、誘導員の合図が運転者と歩行者の双方から見えているのか、工事車両の出入りが一般交通と重ならないよう管理できているのかを、現場ごとに確認する必要があります。
特に重要なのは、施工前に危険箇所を洗い出し、立ち位置を現地の見え方で検証し、車両と歩行者の交錯タイミングを分けることです。さらに、工事車両の出入りを明確に分担し、規制形態が変わるたびに配置と合図を見直し、朝夕や夜間、雨天時の視認性も確認することで、右左折事故のリスクを下げやすくなります。最後に、日々のヒヤリとした場面を記録し、翌日の配置改善へつなげることで、現場全体の安全管理が継続的に強くなります。
電線共同溝の施工は、道路利用者のすぐそばで進む工事です。現場の都合だけで交通を動かすのではなく、運転者、歩行者、自転車、沿道利用者がどのように見て、どのように迷うのかを想像することが、安全な交通誘導の出発点になります。右左折事故を防ぐための配置は、図面上の点ではなく、現場で変化する人と車の動きを読み取る仕事です。
こうした確認をより確実に行うには、現場の状況を記 録し、関係者間で共有し、次の施工区間へ活かす仕組みづくりも欠かせません。交通誘導員の配置、規制帯の位置、歩行者通路、工事車両の出入口などを現場で分かりやすく残せれば、打合せや改善の精度が高まります。日々変わる電線共同溝の現場状況を継続的に記録し、共有できる体制を整えることが、右左折事故を防ぐ交通誘導の質を高めます。
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