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電線共同溝の支障移設をスムーズに進める7つの準備

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

電線共同溝の支障移設で手戻りが起きやすい理由

準備1 現地条件と既設占用物を早い段階で洗い出す

準備2 管理者と占用者の役割分担を整理する

準備3 試掘と照合で図面と現場のずれを確認する

準備4 移設順序と仮設切回しを工程に落とし込む

準備5 交通規制と沿道利用への影響を先読みする

準備6 協議記録と変更履歴を残して判断を共有する

準備7 施工後の復旧と維持管理まで見据えておく

支障移設を進める現場で注意したい実務上の落とし穴

電線共同溝の支障移設を効率化する記録と現場把握

まとめ


電線共同溝の支障移設で手戻りが起きやすい理由

電線共同溝の整備では、道路内に新しく管路や特殊部を設け、電力線や通信線などを地下へ収容していきます。そのため、計画線形や掘削範囲の中に既設の埋設物、道路付属物、排水施設、引込設備、照明、標識、信号、宅内への接続設備などが重なることがあります。これらをそのままにして施工を始めると、掘削中に干渉が判明したり、予定していた管路の高さが確保できなかったり、特殊部の設置位置を変更せざるを得なくなったりします。こうした問題を避けるために行うのが支障移設です。


支障移設は、単に邪魔になるものを別の場所へ移す作業ではありません。誰が管理している設備なのか、どの範囲まで移す必要があるのか、移設後の機能が確保できるのか、工事中に一時停止してよい設備なのか、沿道利用者への影響をどう抑えるのかを確認しながら進める必要があります。特に電線共同溝では、多くの関係者が関わります。道路管理者、電線管理者、通信事業者、交通管理者、沿道施設の管理者、地元住民、店舗、ビル所有者、施工者、設計者がそれぞれ異なる立場で関わるため、確認不足が工程全体の遅れにつながりやすいのです。


また、道路内の既設設備は図面どおりに入っているとは限りません。過去の道路改良、舗装復旧、占用工事、緊急修繕、民地側の改修などが重なり、台帳や竣工図に反映されていない設備が残っていることもあります。平面位置は合っていても、土被りや高さが違う場合もあります。電線共同溝の管路は縦断勾配、曲線、接続高さ、特殊部の納まりに制約があるため、高さの違いが移設方針の見直しにつながることがあります。


支障移設をスムーズに進めるには、施工直前に確認するのではなく、設計段階、発注準備段階、施工計画段階から段階的に情報を集めることが重要です。現地の状況、既設図面、占用者への照会結果、試掘結果、交通規制条件、沿道利用状況を結び付けて考えることで、どの支障物を先に処理すべきか、どの移設が工程上の要所になるかが見えてきます。この記事では、電線共同溝の支障移設を進める実務担当者に向けて、手戻りを減らすための7つの準備を詳しく解説します。


準備1 現地条件と既設占用物を早い段階で洗い出す

支障移設の第一歩は、現地条件と既設占用物の洗い出しです。電線共同溝の工事範囲には、地中の設備だけでなく、地上の道路付属物や沿道施設に関わる設備も含まれます。現地踏査では、歩道幅員、車道幅員、側溝、集水ます、横断暗渠、街路樹、植樹ます、道路照明、標識、信号柱、引込柱、メーター周り、建物出入口、車両乗入れ部、バス停、荷さばき場所、ごみ集積所などを確認します。図面上の支障だけを見るのではなく、実際に施工機械が入る場所、資材を置く場所、仮歩道を確保する場所まで含めて確認することが大切です。


既設占用物の洗い出しでは、道路台帳や占用台帳、既設埋設図、過去工事の竣工図、管理者から提供される資料を重ね合わせて整理します。ただし、資料を集めただけでは十分ではありません。資料ごとに作成時期、座標基準、縮尺、記載精度、更新状況が異なるため、同じ位置に見える設備でも実際にはずれている可能性があります。古い図面を現在の道路形状にそのまま重ねると、歩車道境界や民地境界の位置が合わないこともあります。そのため、資料は現地確認とセットで扱う必要があります。


電線共同溝の支障移設で特に注意したいのは、地上設備と地下設備が連動している点です。たとえば、地上にある柱や制御箱、照明設備、標識基礎は、地下の配線や基礎、接地、管路とつながっています。地上では小さな設備に見えても、地下では掘削範囲に深く入り込んでいる場合があります。反対に、地中の管路を移設するだけで済むように見えても、接続先の地上設備や民地側設備への影響が大きい場合もあります。こうした連動関係を把握しないまま移設方針を決めると、現場で追加協議が必要になります。


洗い出しの段階では、支障物を単に一覧化するだけでなく、重要度や不確実性も整理しておくと実務で使いやすくなります。位置が確定しているもの、試掘が必要なもの、管理者確認が必要なもの、停電や通信停止などの調整が必要なもの、交通規制と連動するもの、沿道施設との個別調整が必要なものに分けておくと、後工程の優先順位が決めやすくなります。支障移設の成否は、早い段階でどれだけ見落としを減らせるかに左右されます。施工開始後に初めて見つかる支障物を完全になくすことは難しいものの、主要な支障を事前に把握しておけば、工程の乱れを大きく抑えやすくなります。


準備2 管理者と占用者の役割分担を整理する

支障移設を進めるうえで、管理者と占用者の役割分担を明確にしておくことは非常に重要です。電線共同溝の工事では、道路管理者が全体計画を担う場合でも、実際に移設対象となる設備は複数の占用者や施設管理者が管理していることがあります。誰が設計するのか、誰が施工するのか、誰が費用負担や工程調整を担うのか、誰が最終確認を行うのかが曖昧なままだと、協議は進んでいるように見えても実際の現場準備が止まってしまいます。


役割分担を整理する際には、まず支障物ごとに管理者を特定します。道路施設なのか、電力設備なのか、通信設備なのか、排水施設なのか、民地側設備なのかによって、必要な協議先が変わります。さらに、同じ種類の設備でも、管理区分が道路側と民地側で分かれる場合があります。たとえば、道路内の管路と建物への引込部では管理者が異なることがあります。境界部分の扱いを曖昧にすると、移設後の責任範囲や維持管理で問題が起きやすくなります。


次に、移設判断の権限を確認します。施工者が現場で支障を見つけても、勝手に移設できない設備は多くあります。管理者の承認、占用者の立会い、交通管理者との協議、沿道施設との調整が必要になる場合があります。特に供給や通信に関わる設備は、利用者への影響を避けるため、切替日時や仮設方法に制約が生じます。関係者の承認を待っている間に掘削工事が止まることを防ぐには、どの判断に誰の承認が必要なのかを事前に整理しておく必要があります。


役割分担を実務に落とし込むには、支障物一覧に担当者、連絡先、確認事項、期限、必要資料、立会い要否、施工可能時期を紐づけて管理すると効果的です。会議で合意した内容も、その場限りの口頭確認にせず、記録として残します。電線共同溝の支障移設では、関係者が多いため、担当者変更や別工区との調整により情報が途切れやすくなります。記録が残っていれば、新しい担当者でも経緯を追いやすく、同じ確認を繰り返す手間を減らせます。


また、役割分担の整理では、施工者だけで抱え込まないことも大切です。支障移設は、設計、発注、占用協議、施工、維持管理がつながる業務です。現場で発見した問題を施工段階の調整だけで解決しようとすると、工程や安全面に無理が出ることがあります。計画段階から管理者や占用者と情報を共有し、設計変更や施工順序の見直しが必要なものは早めに判断することが、結果的にスムーズな移設につながります。


準備3 試掘と照合で図面と現場のずれを確認する

電線共同溝の支障移設で手戻りを防ぐためには、試掘による確認が欠かせません。図面や台帳は重要な手掛かりですが、地中の設備は目視できないため、実際の位置や深さは掘ってみなければ分からないことがあります。特に交差点部、既設管路が集中する場所、過去に道路改良が行われた場所、建物引込が多い場所、側溝や排水ますが連続する場所では、図面と現場のずれが起きやすくなります。


試掘は、単に支障物の有無を確認する作業ではありません。電線共同溝の計画管路や特殊部が通る空間を確保できるかを判断するための作業です。そのため、平面位置だけでなく、土被り、管径、材質、管の上下関係、離隔、基礎の張り出し、埋戻し状態、湧水の有無、周辺地盤の状況も確認します。支障物の中心位置だけを記録しても、実際に管路を通すときに必要な余裕幅が分からなければ、移設判断に使いにくくなります。


試掘位置の設定も重要です。疑わしい場所を広く掘れば情報は得られますが、交通規制や沿道利用への影響が大きくなります。一方で、試掘箇所が少なすぎると、確認した点と点の間にある支障物を見落とす可能性があります。実務では、図面上で干渉が疑われる場所、特殊部の設置予定位置、横断管路が集中する場所、既設設備の曲がりや分岐が想定される場所を優先して試掘します。試掘の目的を明確にしておくことで、現場で何を記録すべきかがぶれにくくなります。


試掘結果は、設計図や施工計画と照合して初めて意味を持ちます。現地で支障物を確認しただけで終わらせると、後で写真やメモを見返しても判断に使えないことがあります。測点、道路端からの距離、深さ、撮影方向、周辺構造物との位置関係、仮基準点との関係を記録し、平面図や縦断図に反映します。可能であれば、移設が必要な理由も記録しておくと、関係者協議で説明しやすくなります。


試掘後には、支障移設の方針を更新することが必要です。図面と現場が一致している場合でも、施工機械の作業幅や仮設材の設置スペースを考えると、追加の移設が必要になることがあります。逆に、図面上では干渉しているように見えても、現地では十分な離隔があり、移設せずに施工できる場合もあります。支障移設は安全側に考えることが基本ですが、不要な移設を増やすと工程や沿道影響も大きくなります。試掘と照合により、必要な移設と不要な移設を見極めることが重要です。


準備4 移設順序と仮設切回しを工程に落とし込む

支障移設は、対象物を移すだけで完了するものではなく、電線共同溝本体工事の工程と密接に関係します。管路を先に施工しなければ移設できない設備もあれば、支障物を先に撤去しなければ掘削できない場所もあります。移設対象が複数ある場合、順序を誤ると、せっかく移設した設備が次の工程で再び支障になることがあります。そのため、移設順序を工程表に明確に落とし込み、本体工事、仮設工、交通規制、占用者作業の関係を整理しておく必要があります。


移設順序を考える際には、まず工事全体の制約条件を確認します。交差点部をいつ施工できるのか、夜間施工が必要な場所があるのか、通学時間帯や通勤時間帯を避ける必要があるのか、沿道施設の繁忙時間に配慮すべきか、別工事との競合があるのかを把握します。電線共同溝の工事は、道路を長期間占用することがあるため、工区を分けて段階的に進めることが多くなります。支障移設も工区ごとに完結するとは限らず、隣接工区や前後工程にまたがることがあります。


仮設切回しが必要な場合は、機能を止めないことを前提に計画します。電力や通信、照明、信号、排水などは、利用者や交通安全に直結するため、単純に撤去して後から復旧するわけにはいきません。仮設の管路、仮配線、仮支持、仮排水、仮設基礎などを設ける場合は、本体工事の掘削範囲や重機動線に干渉しない位置を選ぶ必要があります。仮設物を置いたことで次の掘削ができなくなると、本来の目的を果たせません。


工程に落とし込むときは、各移設作業に必要な準備期間も見込みます。占用者の設計、材料手配、立会い調整、切替作業、検査、復旧確認には時間がかかります。施工者側の都合だけで工程を組むと、占用者作業が間に合わず、現場が待ちになることがあります。また、移設後にすぐ本体工事へ入れるとは限りません。移設箇所の舗装仮復旧、養生、交通開放、近接設備の保護などが必要になる場合もあります。


工程管理では、支障移設を本体工事の前処理として軽く扱わないことが大切です。支障移設は、全体工程の重要な要素になることがあります。特に特殊部の設置位置に関わる支障、複数占用者が関わる支障、交通規制条件に制約される支障は、早い段階で工程上の要注意項目として扱います。移設順序と仮設切回しを具体的に整理しておけば、現場で判断に迷う時間を減らし、関係者にも説明しやすくなります。


準備5 交通規制と沿道利用への影響を先読みする

電線共同溝の支障移設では、交通規制と沿道利用への影響を早めに確認することが重要です。支障移設の対象が道路内にある以上、掘削、試掘、仮設、切替、復旧のたびに車両や歩行者の通行に影響します。本体工事より小規模に見える移設作業でも、場所によっては通行止め、片側交互通行、歩道切回し、車両乗入れ制限が必要になることがあります。交通規制の検討が遅れると、作業許可や関係者調整が間に合わず、移設工程が止まる原因になります。


交通規制を考える際には、作業範囲だけでなく、作業帯、保安施設、誘導員配置、資材置場、重機旋回、搬入出車両の停車位置を含めて検討します。図面上では小さな掘削範囲でも、実際には掘削土の仮置き、舗装切断、埋戻し、仮復旧、資材搬入のために一定の幅が必要です。歩道上で作業する場合は、歩行者の安全な通行幅、段差対策、視覚障害者や車いす利用者への配慮も求められます。車道側へ歩行者動線を切り回す場合は、車両との分離を十分に確保しなければなりません。


沿道利用への影響も見落とせません。店舗の出入口、駐車場、荷さばきスペース、集合住宅のエントランス、医療施設、学校、公共施設、事務所ビルなどは、時間帯によって利用状況が大きく変わります。支障移設のために一時的に出入口を狭める場合でも、事前周知が不足していると苦情や作業中断につながります。特に車両出入口の前で掘削する場合は、乗入れ可能時間、代替動線、仮設板の設置、誘導方法を具体的に決めておく必要があります。


交通規制と沿道調整は、支障移設ごとに個別に考えるだけでなく、本体工事と一体で考えることが大切です。移設のために規制を行い、数日後に同じ場所で本体工事の規制を行うと、沿道への負担が増えます。可能であれば、試掘、移設、本体工事を近い時期にまとめることで、規制回数を減らせる場合があります。ただし、無理に工程を詰めると安全管理が不十分になるため、作業内容と交通条件を見ながら判断します。


また、周知のタイミングも重要です。工事直前に知らせるだけでは、沿道事業者や住民が予定を調整できません。一方で、早すぎる周知だけでは、実際の作業日が変わったときに混乱が生じます。予定段階の説明、作業前の再周知、変更時の連絡を組み合わせることで、現場への理解を得やすくなります。支障移設をスムーズに進めるには、技術的な納まりだけでなく、道路を使う人への影響を先読みする姿勢が欠かせません。


準備6 協議記録と変更履歴を残して判断を共有する

支障移設では、協議記録と変更履歴を残すことが工程管理の土台になります。電線共同溝の工事では、現場条件に応じて判断が変わることが少なくありません。試掘結果により移設範囲が変わる、占用者との協議で仮設方法が変わる、交通管理上の条件で施工時間が変わる、沿道施設との調整で作業日が変わるといったことが起こります。こうした変更を記録しないまま進めると、関係者間で認識がずれ、同じ内容を何度も確認することになります。


協議記録には、決定事項だけでなく、決定に至った理由も残しておくと役立ちます。たとえば、ある支障物を移設せずに保護して施工する判断をした場合、その理由が離隔確保なのか、管理者の指示なのか、工程上の制約なのか、代替案との比較なのかを残します。後日、別の担当者が確認したときに理由が分からなければ、再協議になりやすくなります。理由が記録されていれば、現場で想定外の状況が起きたときにも、元の考え方に沿って判断しやすくなります。


変更履歴は、図面、一覧表、工程表、写真、協議メモのすべてに関係します。図面だけ更新して一覧表が古いままでは、現場が混乱します。工程表だけ更新して占用者への連絡が漏れていれば、作業当日に立会いが来ない可能性があります。写真台帳に位置情報や撮影日がなければ、どの時点の状況か分からなくなります。支障移設の情報は複数の資料に分散しやすいため、どれが最新版なのかを明確にする運用が必要です。


共有方法も実務上のポイントです。会議で説明した資料、現場で使う資料、発注者へ提出する資料、占用者と確認する資料が別々に作られると、内容の不一致が起きやすくなります。可能な限り、共通の支障物整理表や位置図を基準にして、そこから必要な資料を展開する形にすると管理しやすくなります。支障物ごとに番号を付け、写真、図面、協議記録、移設方針、対応状況を結び付けておくと、会議でも現場でも確認が早くなります。


協議記録は、トラブルを避けるためだけのものではありません。現場の知見を次の工区や次の案件に活かすための資料にもなります。電線共同溝の支障移設では、似たような道路条件や沿道条件が別の区間でも出てくることがあります。過去の判断や注意点が整理されていれば、新しい工区で同じ失敗を繰り返しにくくなります。支障移設をスムーズに進めるには、現場で得た情報をその場限りにせず、共有できる形に整えることが重要です。


準備7 施工後の復旧と維持管理まで見据えておく

支障移設は、移設作業が終わった時点で完了と考えがちですが、実務では施工後の復旧と維持管理まで見据える必要があります。移設した設備が機能しているか、道路構造物として問題がないか、将来の点検や補修ができる位置にあるか、電線共同溝本体との離隔が確保されているかを確認しなければなりません。移設直後は問題がなくても、舗装復旧後にます蓋の高さが合わない、排水勾配が悪くなる、点検口が使いにくい、将来の掘削時に位置が分かりにくいといった問題が起きることがあります。


復旧計画では、道路面の仕上がりだけでなく、地下の状態も重要です。支障物を移設した後の埋戻しが不十分だと、後日沈下や空洞化が発生する可能性があります。特に管路や基礎周りは締固めが難しく、狭い箇所に材料が行き渡らないことがあります。移設箇所が本体工事の掘削範囲と重なる場合は、仮復旧と本復旧の区分を明確にし、二重施工や復旧漏れを防ぎます。仮復旧のまま長期間交通開放する場合は、段差や沈下を定期的に確認する必要があります。


維持管理の観点では、移設後の位置情報を正確に残すことが重要です。電線共同溝は完成後も、点検、補修、追加引込、道路改良、他占用工事などで情報が必要になります。移設した設備の位置、深さ、管径、接続先、保護方法、識別表示、竣工時の写真を整理しておけば、将来の掘削ミスや確認作業の負担を減らせます。逆に、移設作業を急ぐあまり記録が不十分だと、後の維持管理で現場確認に時間がかかります。


施工後の確認では、管理者や占用者の立会いも重要です。移設した設備が管理者の基準に合っているか、供用上の問題がないか、引渡しに必要な資料がそろっているかを確認します。電線共同溝本体工事の完成時にまとめて確認しようとすると、移設当時の状況が分からなくなり、手戻りになることがあります。移設が終わった段階で必要な確認を済ませ、記録を残しておくことで、最終検査や引渡しがスムーズになります。


また、支障移設後の状態が電線共同溝の使いやすさに影響することもあります。特殊部の周囲に別設備が近接しすぎると、将来のケーブル作業や点検時に支障となる可能性があります。ますやハンドホールの開閉に必要な空間、作業員が安全に立てるスペース、資機材を一時的に置ける範囲も考慮しておくと、完成後の維持管理性が高まります。支障移設は工事中の問題を解決するだけでなく、完成後の道路と設備を長く安全に使うための準備でもあります。


支障移設を進める現場で注意したい実務上の落とし穴

支障移設の現場では、準備をしていても思わぬ落とし穴があります。代表的なのは、図面上で支障がないと判断した場所で、実際には施工に必要な作業幅が確保できないケースです。電線共同溝の管路や特殊部は、完成形だけでなく施工時の掘削幅、土留め、支保、作業員の安全空間、重機の姿勢、材料搬入を考えなければなりません。完成後の納まりだけを見て問題ないと判断すると、施工段階で支障が表面化します。


次に、軽微な移設と考えていたものが、実際には複数の設備とつながっているケースがあります。地上の小さなボックスや支柱、標識、照明などは、見た目だけでは地下構造や配線ルートが分かりません。掘削して初めて基礎が大きいことが分かる場合や、別の設備と一体で施工されている場合があります。軽微な作業として工程に余裕を見込んでいないと、追加協議や材料手配で遅れが生じます。


沿道との約束が現場内で共有されていないことも落とし穴です。事前に店舗や施設と出入口確保の時間帯を調整していても、その情報が現場の作業班や誘導員に伝わっていなければ、当日にトラブルになります。支障移設では、技術的な情報だけでなく、沿道対応の情報も施工計画に反映する必要があります。誰が、いつ、どの入口を確保するのか、車両が来たときにどのように対応するのかを具体的に共有しておくことが大切です。


また、移設した設備が次工程で再び支障になることもあります。仮設管路や仮支持材を設置するときに、本体管路の施工位置や舗装復旧範囲を十分に確認していないと、次の工程で撤去や再移設が必要になります。仮設は一時的なものですが、一時的だからこそ全体工程の中でいつまで残るのか、どの段階で撤去するのかを明確にしておく必要があります。


支障移設の落とし穴を避けるには、現場を点ではなく流れで見ることが大切です。ある支障物をどう処理するかだけでなく、その処理が前後の工程、交通規制、沿道利用、完成後の維持管理にどう影響するかを考えます。現場で起きる問題の多くは、単独の判断ミスではなく、情報のつながりが切れたところで発生します。支障移設を工程全体の一部として扱うことで、手戻りのリスクを減らせます。


電線共同溝の支障移設を効率化する記録と現場把握

支障移設を効率化するには、現場把握と記録の質を高めることが重要です。電線共同溝の現場では、支障物の位置、掘削範囲、沿道施設、交通規制、仮設物、試掘結果が日々変わります。紙の図面や写真だけで管理していると、最新状況の共有に時間がかかり、現場と事務所で認識がずれることがあります。特に複数工区が同時に進む場合や、関係者が多い場合は、記録の更新と共有が遅れるほど判断が難しくなります。


現場把握では、支障物の写真を撮るだけでなく、位置と状況が後から分かるように記録することが大切です。撮影方向、周辺の目印、道路端からの距離、深さ、管理者、対応状況を合わせて残すと、協議や変更判断に使いやすくなります。支障物の番号を現場写真、平面図、協議記録に共通で付けておけば、関係者が同じ対象を見ながら話し合えます。これにより、口頭説明に頼る場面が減り、誤解も少なくなります。


また、支障移設の記録は、施工中だけでなく完成後にも価値があります。移設前、移設中、移設後の状態を時系列で残しておくと、後で不具合や問い合わせがあったときに原因を追いやすくなります。舗装復旧前の地下状況、埋戻し前の保護状況、仮設撤去後の確認状況などは、完成後には見えなくなります。見えなくなる部分ほど、記録を残す価値があります。


近年は、現場の位置情報や写真、図面を組み合わせて管理する方法も実務で使いやすくなっています。電線共同溝の支障移設では、既設物の位置を現場で正確に把握し、その場で記録を残せることが大きな助けになります。事務所に戻ってから記憶を頼りに整理するよりも、現地で位置と写真を結び付けておくほうが、情報の抜けや取り違えを防ぎやすくなります。


支障移設は、準備と記録の積み重ねによってスムーズになります。現地で確認したことをすぐに共有し、協議結果を図面や一覧に反映し、変更があれば履歴を残す。この基本を徹底することで、関係者の判断が早くなり、現場の待ち時間も減らせます。電線共同溝の施工では、見えない地下の情報をいかに見える形に変えるかが重要です。現場の状況を正確に捉え、関係者が同じ情報を見ながら判断できる環境を整えることが、支障移設の効率化につながります。


まとめ

電線共同溝の支障移設をスムーズに進めるには、施工直前の対応だけでは不十分です。現地条件と既設占用物を早い段階で洗い出し、管理者と占用者の役割分担を整理し、試掘によって図面と現場のずれを確認することが出発点になります。そのうえで、移設順序と仮設切回しを工程に落とし込み、交通規制や沿道利用への影響を先読みし、協議記録と変更履歴を残しながら、施工後の復旧と維持管理まで見据えることが大切です。


支障移設で起きる手戻りの多くは、技術的に難しい作業そのものよりも、情報不足、確認漏れ、共有不足、工程上の見込み違いから発生します。図面では分からない地中の状況、地上設備と地下設備のつながり、沿道利用者の動き、占用者ごとの調整期間を丁寧に把握しておけば、現場での判断に余裕が生まれます。逆に、支障移設を小さな前処理として扱うと、本体工事の重要な段階で大きな遅れにつながることがあります。


電線共同溝は、道路空間を再編し、将来の維持管理性や道路利用環境にも関わる重要な整備です。その品質を高めるためには、完成後に見えなくなる支障移設の記録も軽視できません。試掘結果、移設位置、協議経緯、復旧状況を確実に残すことで、施工中のトラブルを減らすだけでなく、将来の点検や追加工事にも役立つ情報になります。


現場担当者に求められるのは、支障物を見つけて処理するだけではなく、関係者が同じ情報を共有し、次の工程へ迷わず進める状態をつくることです。電線共同溝の支障移設では、現地確認の精度と記録の整理が工程全体を左右します。日々変わる現場を正確に残し、図面や写真と結び付けて管理する体制を整えながら、支障移設の準備をより確実なものにしていくことが大切です。


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