目次
• ドローン測量の普及と点群データ活用
• 高精度化のカギはRTK-GNSS測位
• クラウド活用で広がる点群処理の効率化
• LRTKとは?スマホとクラウドで実現する新しい測量手法
• LRTKによる簡易測量で広がる可能性
• FAQ
ドローン測量の普及と点群データ活用
近年、建設や土木の現場で ドローン(無人航空機: UAV) を活用した写真測量が急速に普及しています。上空から現場を空撮し、地形や構造物を撮影するドローン測量は、従来の地上測量に比べて短時間で広範囲をカバーでき、安全性や効率性も格段に向上するメリットがあります。人が歩いて計測していた広大な敷地も、ドローンによる空撮ならわずか数十分~半日で完了した例が報告されています。また、人が立ち入れない急斜面や災害現場でも、ドローンであれば上空から安全に現況を把握することができる点でも注目されています。
ドローンで取得した空中写真データは、専用のソフトウェアやクラウドサービスで点群データやオルソ画像といった成果物に変換できます。オルソ画像とは真上から見た歪みのない写真地図で、工事全体の俯瞰や進捗管理に活用できます。一方の点群データは、地形や構造物の表面を無数の点の集まりとして再現した三次元データです。この点群を解析すれば地表の高低差を把握したり、土量を精密に算出したり、任意の場所で断面図を作成するといった多彩な解析が容易に行えます。まさにドローンは現場全体をデジタル化する強力なツールとなり、国土交通省が推進する「i-Construction」などの流れも後押しして、建設業界で三次元データの利活用がますます重要視されています。 しかし、デジタル化された3Dデータを正確な測量成果として活用するには、位置精度の確保が欠かせません。次ではドローン測量の精度を飛躍的に高める技術について解説します。
高精度化のカギはRTK-GNSS測位
一方で、ドローンで広範囲のデータを簡単に取得できるようになったからこそ、そのデータ精度をどう確保するかが課題となります。手軽に写真を撮って3D化できても、位置や寸法に大きな誤差があれば正式な測量成果として利用できません。そこで近年注目されているのが、RTK-GNSS(リアルタイムキネマティック GNSS)による高精度測位技術です。RTKとは、基地局(既知の座標に設置したGNSS受信機)と移動局(ドローン搭載のGNSS)で同時に衛星測位を行い、両者の差分をリアルタイムに補正することで測位精度を飛躍的に高める手法を指します。通常のGPS測位では数メートル程度の誤差が生じますが、RTKを用いれば誤差を数センチ以内にまで縮小可能です。ドローン側に高精度対応のRTK-GNSS受信機を搭載すれば、飛行中に補正情報を受信しながら自機の正確な位置を記録できます。その結果、撮影した画像データの位置精度が格段に向上し、後処理で生成される点群やオルソ画像も地図座標系にピタリと合致したものになります。
RTKを活用した高精度ドローン測量には数多くのメリットがあります。第一に、写真測量の精度向上によって地上に配置する標定点(対空標識)の数を大幅に減らせることです。従来はドローン写真から精密な3Dモデルを起こすために、事前に複数の基準点 を測量して写真に写り込ませ、モデルの位置合わせ(ジオリファレンス)に利用するのが一般的でした。しかしRTK対応ドローンであれば各写真に記録される位置情報自体が最初から数センチ精度となるため、場合によっては標定点ゼロでも所要の精度を満たすことが可能です。実際に「RTKドローンを導入したことで標定点の設置作業がほぼ不要になり、測量準備にかかる時間が大幅に短縮できた」という声も聞かれます。それにもかかわらず得られる点群データや写真は非常に高精度で、出来形(施工後の形状)チェックや土量計算、進捗管理が一段と効率化したとの報告があります。
第二に、測量作業全体の効率化とコスト削減です。RTKドローンでは手間のかかる事前準備が減るだけでなく、飛行そのものも自動航行によって正確に行えるため再飛行や再撮影のリスクが低減します。天候さえ良ければ予定エリアを短時間で一度に空撮でき、測量担当者はデータ取得後ただちに次の業務へ移ることができます。従来は半日がかりだった現場測量が1時間ほどで完了するといったケースもあり、人件費や機材コストの面でも大きなメリットが生まれています。また、ドローン搭載GPSからリアルタイムに高精度位置が得られるため「追加でここも測りたい」と思ったポイントがあればすぐにドローンを飛ばしてデータ取得するとい った柔軟な運用も可能です。早くて精密な測量へのアップデートは、現場の生産性を飛躍的に向上させるでしょう。
クラウド活用で広がる点群処理の効率化
さらに、近年はドローンで取得した写真データのクラウド処理サービスも登場し、点群生成やデータ共有の効率化が進んでいます。従来は大量の画像データを処理して点群化するために、高性能なワークステーションと専門ソフトウェアが必要でした。しかしクラウド上のフォトグラメトリ(写真解析)サービスを利用すれば、現場からインターネット経由で画像をアップロードするだけで、自動的に点群やオルソ画像を生成できます。重い処理はクラウド側で行われるため、手元のPCが非力でも問題ありません。専用ビューアソフトを購入しなくても、生成物はウェブブラウザ上で確認できるため、誰でも手軽に3Dデータを扱えます。
クラウド活用のメリットは他にもあります。アップロードされたデータはオンライン上に保存されるため、社内の他メ ンバーと同時共有が可能です。現場でドローン撮影した画像をクラウドに送ると、オフィスのスタッフが即座に点群データを閲覧して必要な解析を始める、といったリアルタイム連携も実現します。またデータは日時やプロジェクトごとに整理・蓄積されるため、後から進捗を振り返ったり過去の測量結果を参照したりするのも容易です。自前のPCやサーバーでは容量不足が心配な大規模点群データも、クラウドなら容量を気にせず保存・管理できます。さらに、自社で高価なハードウェアやソフトウェアを購入・維持する必要がないため、コスト面でもメリットがあります。このようにクラウドサービスを活用することで、ドローン測量で得られた3Dデータをより手軽かつ有効に活用できる環境が整いつつあります。
LRTKとは?スマホとクラウドで実現する新しい測量手法
以上のように、ドローン×RTK×クラウド処理を組み合わせれば、高精度な3次元測量データを効率よく得られることが分かりました。しかし、これを実際の現場ですぐ活用しようとすると「高価なRTK搭載ドローンや専用ソフトを揃える必要があるのでは?」と尻込みしてしまうかもしれません。そうしたハードルを一気に下げ、誰でも 手軽に高精度測量を行えるようにするために開発されたのが LRTK です。LRTKは東京工業大学発のスタートアップ企業によって開発された小型のRTK-GNSS受信機と、それと連携するスマートフォンアプリ・クラウドサービスから構成される統合ソリューションです。簡単に言えば、「スマホが高精度測位の測量機器に早変わりし、取得データはそのままクラウドで管理・解析できる」という、これまでにない新しいスタイルの測量を実現します。
LRTKの中核となる小型受信機デバイスはポケットに収まるコンパクトサイズながら、マルチバンド対応の高性能GNSSモジュールを搭載しています。専用ケース型のアタッチメントでスマートフォンにワンタッチ装着でき、配線も不要です。なお、このLRTKデバイスの重量は約150g、厚さ13mm程度と非常に薄型軽量で、スマホに取り付けても嵩張りません。このデバイスをスマホに装着すれば、通常は数メートルの誤差があるスマホGPSが一気にセンチメートル級の精度にアップグレードされます。内蔵バッテリー駆動なので煩雑な外部電源も不要です。つまり、スマホにLRTKを取り付けた瞬間、それまで地図アプリを見るだけだったスマホが「万能測量機」へと変身し、そのまま現場に持ち出して高精度測量に活用できるのです。
ではLRTKを使うことで具体的にどのような計測が可能になるのでしょうか。まず挙げられるのは高精度な位置測定です。測りたい地点でスマホ画面のボタンをタップするだけで、その場所の緯度・経度・高さを瞬時に記録できます。RTKによる補正で誤差は数センチ以下に抑えられており、従来は専門機器と熟練者が必要だった基準点測量と同等の精度を誰でも得ることができます。さらにアプリ側で測位データを自動的に平均化し、静止して数十秒観測するだけでミリメートルオーダーの安定した座標値を取得することも可能です。これにより工事の基準点設置や構造物の変位計測など高度な測量作業にも対応できるポテンシャルを備えています。
次に特筆すべきは、スマホによる点群計測などデジタル計測機能です。LRTKはスマホのカメラや各種センサーとも連携し、現場の状況を3Dデータとして記録できます。例えば施工後の地形や構造物をスマホ片手に歩き回って撮影すれば、その移動軌跡と写真から高精度な3D点群モデルを生成可能です。従来であれば高額なレーザースキャナーが必要だったような点群計測も、LRTKとスマホだけで手軽に実現できてしまいます。取得した点群データから距離・面積・体 積を測ったり、設計図のCADデータと重ね合わせて出来形を確認したりといった解析もクラウド上でスムーズに行うことができます。
またLRTKは、ドローンで空撮した写真データをクラウドにアップロードして点群化するといった「LRTKドローン」的な使い方にも対応しています。手元にRTK非対応の市販ドローンしかない場合でも、LRTKデバイスを現地の既知点でGNSS観測させておけば、後からドローン写真のジオタグ(位置情報)を補正して高精度な点群を生成することが可能です。専用の高価なRTKドローンがなくとも、LRTKを組み合わせることで手頃なドローン機体で高精度な測量結果を得られる点は大きな魅力でしょう。
さらにLRTKはクラウドサービスとも連動しています。現場で取得した座標データや点群データはスマホからボタン一つでLRTK専用クラウドへアップロードでき、アップした瞬間から社内のメンバーと情報を共有可能です。事務所のPCで即データを確認したり解析を始めたりできるため、現地とオフィスがリアルタイムに連携して無駄な待ち時間がなくなります。クラウド上に蓄積されたデータは日時や現場ごとに整理さ れるため、将来にわたって貴重な測量履歴として参照できるのも利点です。このようにLRTKは小型デバイス+スマホ+クラウドという組み合わせで、従来は専門家にしか扱えなかった高精度測量の世界を一般技術者にも開放しつつあります。その存在はまさに現場の「測量の常識」を変えるものと言えるでしょう。
LRTKによる簡易測量で広がる可能性
最後に、LRTKがもたらす「簡易測量」という新たな可能性について触れておきます。LRTKによる簡易測量とは、難しい機器操作や専門知識がなくても誰もが日常的にセンチメートル精度の測量を行えるようにするというコンセプトです。小型のRTK-GNSS端末とスマホアプリを組み合わせたLRTKを使えば、重い三脚を担いだり複雑な設定をしたりする必要は一切ありません。例えば普段は施工管理が専門の若手技術者でも、ポケットからLRTK付きスマホを取り出して数分で測量準備完了。その場で必要な点の座標を次々と測って記録するといったことが可能になります。実際、「数人がかりで丸一日かけて行っていた地形測量が、LRTKでは数十分のスマホスキャンで完了した」という驚きの報告もあり、現場からは称賛の声が上がっています。
簡易測量が現実のものとなれば、これまで測量専門業者に依頼していた小規模な計測業務を自社のスタッフだけでこなしたり、日常の進捗確認や出来形チェックを高い精度で頻繁に行ったりできるようになります。例えば工事現場で「ここからここまでのおおよその距離を今すぐ知りたい」といった場合でも、LRTKを使えば即座に測定して結果を共有可能です。災害対応の現場でも、緊急時に被災箇所を計測して関係者に3Dデータを提供するといった場面で威力を発揮するでしょう。またドローンを飛ばせない市街地の調査では、人が歩きながらLRTKで点群を取得するといった代替手段も考えられ、用途はますます広がっていきます。従来「測量は専門家に任せるもの」「うちの現場では高度な3Dデータまでは扱えない」と思われていた固定観念は、LRTKによる新しい簡易測量によって大きく覆されつつあります。
高精度なドローン写真点群生成とLRTKの組み合わせは、現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に後押しするでしょう。測量のハードルが下がれば、現場の状況をより頻繁にデータ化して施工管理や品質管理にフィードバックすることが容易になります。それは結果的に現場全体の生産性向上と 品質確保に直結します。もし皆さんの職場でも「測量は専門部署に任せているから…」「うちではドローンを飛ばすのは難しい」といった遠慮や固定観念があるなら、ぜひ一度LRTKによる新しい簡易測量を体験してみてはいかがでしょうか。きっと測量の常識が覆ることを実感できるはずです。
FAQ
Q1. UAVの写真から点群を生成するには専門的な知識が必要ですか? A1. 基本的な手順さえ理解していれば、高度な専門知識がなくても点群生成は可能です。近年はクラウドフォトグラメトリサービスやLRTKのようなツールが充実しており、撮影した写真データをアップロードしてボタンを押すだけで自動的に点群化できます。撮影時には現場全体を余すところなく撮ること、適度な重複が出るように画像を取得するといったコツはありますが、最近ではAIが撮影計画をサポートするアプリも登場しており、初心者でも取り組みやすくなっています。
Q2. RTK非対応のドローンでも高精度な測量はできますか? A2. はい、可能です。RTK非対応ドローンの場合でも、PPK(ポストプロセスキネマティック)と呼ばれる後処理手法で精度向上が図れます。例えばドローン飛行中に地上でGNSS受信機(LRTKデバイスなど)を稼働させて観測データを記録し、後からドローン写真のジオタグを補正する方法があります。また、地上に数点の既知基準点を設置しておき、点群生成後にそれら基準点にモデルを合わせ込むことで精度を高めることもできます。LRTKを活用すれば、簡便な方法で基準点データを取得しておけるため、非RTKドローンで得た点群の精度検証や補正にも役立つでしょう。
Q3. 点群データの処理には高性能なパソコンや特別な設備が必要ですか? A3. 必ずしも高性能PCを自前で用意する必要はありません。前述のようにクラウドサービスを利用すれば、膨大な画像データの処理もオンライン上で完結します。したがって、高性能PCがなくても問題ありません。大量データのアップロードには時間がかかる場合もありますが、通信環境の整備やクラウド側の最適化によって以前よりスムーズに扱えるようになっています。セキュリティ面についても、多くのサービスでは通信の暗号化やアクセス権限の設定、データセンターの安全管理など対策が講じられており、自社サーバーで管理する場合と比べても遜色ないレベルで安全性が確保されています。不安な場合はサービス提供企業のセキュリティポリシーや実績を確認すると良いでしょう。
Q4. LRTKはどんな現場で活用できますか? A4. LRTKは建設・土木分野の施工管理や出来形測量はもちろん、インフラ設備の維持点検、災害現場の状況記録、農業分野の圃場管理など幅広い現場で活用が始まっています。例えば大規模なダム工事の現場では、毎週LRTKとドローンで3D地形モデルを作成し、掘削土量の管理や工程の見える化に役立てたケースがあります。また地方自治体では、災害時に職員がLRTKを使って被災状況の3D記録を行い、迅速な復旧計画の策定に生かした事例も報告されています。その他にも都市計画や環境調査など、あらゆる局面で「誰でも使える高精度測量ツール」としてLRTKの活用が期待されています。簡単な操作で精密な3Dデータを取得できるLRTKは、今後さらに多くの現場で測量の在り方を変えていくでしょう。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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