top of page

地中埋設管の施工管理DX:RTK×ARで埋設管位置を5cm精度で把握

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均5分15秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

掘ってみなければ分からない?地中埋設管の見えないリスク

「掘ってみなければ分からない」と言われるように、地中に埋設された管(水道管、下水管、電線共同溝、農業用排水管など)は、掘削して初めてその正確な位置や状態が分かるのが現状です。地下に何が埋まっているか目に見えないため、施工現場では常に見えないリスクと隣り合わせです。実際、誤って埋設管を損傷する事故は後を絶ちません。例えばバックホウで地面を掘削中、図面にない古い水道管をひっかけて破損させてしまうケースや、位置を勘違いしてガス管に接触してしまうケースなど、毎年全国で多数の事故が発生しています。国土交通省の発表によれば、ある地域では地下埋設物事故が前年の5倍に急増したとの報告もあり、安全対策がより一層重要視されています。


埋設管を損傷すれば、工事の中断や修復費用の増大だけでなく、周辺住民のライフラインにも大きな影響を及ぼします。水道管なら断水、ガス管ならガス漏れ、通信ケーブルなら通信障害と、社会生活への打撃は深刻です。


このような事故リスクを低減するには、そもそも見えない埋設管の「見える化」が不可欠です。掘削前に正確な位置を把握し、ミスのない施工を行うことが求められています。しかし現場では、埋設管の位置情報を得る手段として未だに紙の図面や口伝えに頼らざるを得ないことが多く、情報の不確かさがリスク要因となっています。


図面と現場が一致しない:紙図面管理の限界

埋設管の位置を管理する従来の方法では、紙の埋設図や台帳を頼りに現場作業を進めます。施工前には関係各所(電力会社、水道局、通信会社など)から管路図面を取り寄せて確認しますが、図面どおりに埋まっていないことが少なくありません。原因の一例として、図面が古く最新の更新情報が反映されていない場合があります。過去の工事で現場判断により配管ルートを変更していても、その変更が図面に記録されていないケースです。また、施工精度や測量基準の違いから、図面上の寸法と実際の位置に数十センチのずれが生じていることもあります。さらにマンホール付近では図面に描かれた位置から管が曲がっていたり浅く埋設されていたりする例もあり、現場で掘り当てて初めて実態が判明することもしばしばです。


このように紙図面の情報には限界があり、現場との食い違いが発生しがちです。そのため経験者ほど「図面を鵜呑みにするな、必ず試掘して確認せよ」と教訓づけます。実際、多くの現場では重機を本格投入する前にスコップ等で試し掘りを行い、埋設管の有無や位置を確認する手間が発生しています。しかし試掘には時間も労力もかかり、生産性を下げる要因となっています。


また、紙図面は現場で閲覧しづらく、複数の図面を突き合わせて確認する作業は煩雑です。図面を携帯しても、どどの地点が図面上のどこに当たるか掴みにくく、紙ベースの管理ではリアルタイムで現場と照合しにくいのが実情です。加えて、紙資料は劣化・紛失のリスクもあり、長期的な維持管理には不向きです。従来の埋設管管理は、情報の正確さ・即時性という点で大きな課題を抱えていました。


DXで変わる地中埋設管管理:デジタル位置情報の価値

こうした課題に対し、デジタルトランスフォーメーション(DX)による地中埋設管管理の革新が期待されています。埋設管の位置をデジタルデータとして高精度に記録・管理することで、「掘ってみなければ分からない」を過去のものにし、安全かつ効率的な施工・維持管理が可能になります。デジタルの位置情報には紙図面にはない様々な価値があります。


掘削時の位置誤認防止と事前照合: 埋設管の正確な座標データがあれば、工事の事前段階で図面と現場を照らし合わせ、誤った場所を掘ってしまうリスクを大幅に減らせます。事前にデータ上で衝突チェックや位置のマーキングが行えるため、現場で「聞いていた位置と違う」といったトラブルを防止できます。

位置記録の精度向上と再利用性: デジタルデータはcm単位の精度で位置を記録できるため、紙より格段に正確です。一度取得した高精度データは将来の維持管理や別工事の際に繰り返し利用でき、毎回一から測り直す必要がありません。資産として蓄積された位置情報は、次の工事計画や緊急対応にも役立ちます。

ARによる直感的な可視化: デジタル化した埋設管データは、AR(拡張現実)技術で現場の映像に重ねて表示できます。これにより、図面を読めない人でもスマホの画面越しに地下の管の位置を直感的に把握でき、ミスのない作業につながります。

クラウド共有による情報共有と効率化: デジタルデータはインターネットを通じてクラウド上で共有可能です。関係者がいつでも同じ最新情報にアクセスでき、紙のように配布・回収の手間がありません。記録類の管理や報告書作成もデータを利用して自動化・簡素化でき、業務効率が向上します。


国土交通省も「i-Construction」などの政策で施工記録の3次元データ化やICT活用を推進しており、地下埋設物のデータをデジタル管理する流れが加速しています。地中埋設管のDXは、安全性の飛躍的向上と将来にわたる資産価値の創出をもたらす鍵と言えるでしょう。


高精度RTK測位で埋設直後に5cm精度で記録

デジタル管理を実現する技術のひとつが、RTK測位による高精度な位置記録です。RTK(Real Time Kinematic)とは衛星測位(GNSS)の補強技術で、基準局からの補正情報を用いて数センチの誤差まで測位精度を高める手法です。日本では準天頂衛星みちびきが提供するセンチメータ級補強サービス(CLAS)や、官民のネットワーク型基準局サービス(VRSなど)により、比較的容易にRTK測位が利用できる環境が整っています。


このRTK測位を現場で活用すれば、埋設管を埋めた直後にその位置を即座に記録することが可能です。具体的には、埋設した配管の上部や要所をGNSS受信機で測定し、高精度の緯度・経度・高さデータとして保存します。RTKなら誤差は約5cm以内に収まるため、従来の目測や巻尺による記録とは一桁違う精度です。例えば従来は「道路縁から2.5mあたりに埋設」といった曖昧な記録になりがちでしたが、RTK記録では世界測地系座標で正確な位置を示せます。これにより埋設管の「実測に基づく正確な地図」が作成でき、誰が見ても同じ基準で場所を特定できます。


高精度なGNSS測量機器というと大掛かりな装置や専門知識を連想するかもしれませんが、近年は小型軽量な機器やスマートフォン連携デバイスが登場し、1人でも手軽にセンチ精度の測位が行えるようになりました。埋設工事の際に現場代理人や測量担当者がサッとGNSS機器を使って測っておけば、埋戻し後に慌てて位置を推測する必要はありません。わずかな手間で将来に価値を残す「高精度な施工記録」がその場で完成するのです。


点群と写真が残す「掘らなくても分かる」証拠

位置を点データで記録するだけでなく、3次元の点群データや写真を活用すれば、埋設管の詳細な形状や周囲状況まで「見える化」して記録に残せます。点群データとは、レーザースキャナや写真測量で取得できる多数の点の集合で、対象物の形を3Dで精密に表現したものです。埋設管を据え付けた状態でトレンチ(掘削溝)内をスキャンすれば、管の通り方や勾配、深さなどをありのままデジタル保存できます。例えばスマートフォンのLiDARセンサーや360度カメラを使えば、配管周りを短時間でスキャンして高密度点群を取得可能です。その点群にカラー写真の情報を重ねれば、後で見返したときに「そこにどんな管が、どの向きで埋まっていたか」を直感的に理解できるビジュアルな証拠となります。


写真撮影だけでも施工記録にはなりますが、点群データを組み合わせることで「掘らなくても分かる」強力な証拠となります。埋め戻し後に地表からでは見えなくなった配管も、デジタル空間上では当時のまま再現されているため、図面では拾いきれない細かな位置関係まで把握できます。例えば他の設備との離隔距離や、配管の継手部分の形状、周囲の埋設物との高低差なども点群上で測定できます。紙の図面や写真平面図では二次元的な情報しか残りませんが、3D点群なら空間全体を記録しているので、後から「別の角度で確認したい」といった要求にも応えられます。


このようなデジタル記録が残っていれば、万一将来別の工事で近傍を掘る際も、経験や勘に頼った曖昧な推測をする必要がなくなります。客観的なデータがあるという安心感は、施工者・管理者双方にとって大きなメリットです。


AR表示による位置の可視化と掘削ミス防止効果

記録したデジタルデータは、ただオフィスで図面として見るだけでなく、現場で直接“見える”形で活用できます。その代表がAR(拡張現実)による埋設管の可視化です。専用のアプリや対応機器を使えば、スマートフォンやタブレットのカメラ映像に埋設管の位置を仮想的に重ねて表示できます。例えば埋設工事完了後、舗装された道路の上からスマホをかざすと、画面越しに道路下に埋めた管のルートや深度が透けて見える、といったことが可能です。まるで地面に透視窓ができたように、地下の配管を直感的に確認できるわけです。


このAR可視化により、掘削場所の事前確認やマーキングが飛躍的に正確になります。従来は紙図面を片手に勘と経験で「この辺りだろう」と地面に印を付けていたものが、ARなら数cm単位で位置が合致するため、誤差のない指示出しが可能です。現場作業員も、図面記号を読み解く必要なく映像で場所を把握できるため、意思疎通のミスも減ります。埋設物が密集する場所では特に、ARでその場にいながら正確な埋設位置関係を俯瞰できることが安全作業の鍵となります。「思っていたより近くに別の管があり危うく干渉するところだった」といったヒヤリハットも、ARで事前に気付き回避できるでしょう。


また、AR表示は特別な技能がなくても使いこなせる点も利点です。スマホに表示されるガイドに従ってかざすだけで、誰でも埋設管の3Dモデルをその場に再現できます。現場の全員が共有できる見える化により、ベテランの勘や記憶に頼らずともチーム全体で正確な状況認識ができます。結果として掘削ミスによる管損傷のリスクが大幅に減り、事故防止につながります。ARで「見えている」安心感は、現場の心理的負担も軽減し、安全第一の意識向上にも効果を発揮します。


維持管理・点検でも再利用できる高精度位置データ

一度デジタルで記録した高精度な埋設管位置データは、施工直後だけでなく将来の維持管理や点検業務においても貴重な財産となります。インフラ設備は敷設して終わりではなく、その後何十年にもわたり点検・修繕・更新が必要です。その際、正確な埋設位置の記録があるか否かで作業の効率と安全性は大きく変わります。


例えば埋設から年月が経った管路を更新する場合でも、当時の記録データがあれば掘削範囲や新設管のルートを的確に計画できます。老朽化した水道管の更新工事では、既存管の真上を掘り返すケースが多いですが、高精度データのおかげで事前の埋設物照査(どこに何があるかの確認)に時間を割く必要が減ります。また、緊急の漏水修理や設備故障対応の際にも、データを参照すれば現地確認の手戻りを最小限にして速やかに対処可能です。自治体の上下水道部署や管理会社は、このような信頼できるデジタル埋設台帳を持つことで、将来の維持管理計画を立てやすくなります。


定期点検においても、過去データとの比較が容易になります。例えば道路陥没が起きたとき、地下に埋設された管の位置データがあれば、被害範囲の推定や原因究明に役立ちます。さらに3D点群データがあれば、地盤変化による管のたわみ具合などもデジタル上で把握でき、点検の高度化にもつながります。従来は現場で蓋を開けて確認しなければ分からなかったことが、机上でかなりの部分まで解析できるようになるのです。


蓄積されたデジタルデータは複数の目的に二次利用できる点でも優秀です。新規の道路工事計画時に他インフラとの干渉チェックを事前に行ったり、災害時に被害が懸念される重要管路をリストアップしたりと、活用範囲は幅広いでしょう。高精度な位置情報があることで、設備管理は場当たり的な対応から計画的・予防的なアプローチへと進化できます。まさにDXによって埋設管データが生きた情報資産となり、長期的な維持管理コストの削減やサービス信頼性の向上に寄与するのです。


書類・報告も効率化:クラウド共有による記録管理

デジタル化された埋設管情報は、クラウドを通じて関係者間でリアルタイムに共有・管理できます。これは施工後の書類作成や報告業務にも大きな効率化をもたらします。従来、埋設管工事の竣工時には、平面図や縦断図を清書して写真台帳を添付し…といった煩雑な書類作成が必要でした。DX導入により、これらの成果品をデジタルデータから自動生成したり、クラウド上で電子納品することが可能になります。


例えば、現場で取得した測位点や点群・写真のデータはその場でクラウドにアップロードでき、オフィス側では即座に内容を確認できます。クラウドプラットフォーム上で埋設管の3Dモデルや計測データを閲覧し、必要に応じて距離や面積を測ることもできます。専用ソフトがなくてもブラウザ経由で3D可視化できるため、発注者や他部署ともスムーズに情報共有が可能です。関係者全員がひとつの最新データを見られる環境を整えられます。


また、クラウド上に記録が蓄積されていれば、過去工事のデータ検索も容易です。ある地点で掘削計画が持ち上がった際、「◯年前に誰がどんな管を埋設したか」をすぐに調べて参照できます。紙ファイルを探し回る必要はなく、キーワードや地図から目的の情報にアクセスできます。報告書作成も、クラウド上のデータを集計・加工することで半自動化でき、担当者の負担を減らします。


さらに、クラウド共有は複数組織間の情報連携も円滑にします。自治体・インフラ事業者・施工会社が共通のデータプラットフォームを使えば、埋設物情報の照会や更新依頼をオンラインで一元化できます。FAXや電話で問い合わせ図面を取り寄せるといった非効率が解消され、24時間いつでも必要な情報を得られるようになります。DXによるクラウド記録管理は、現場業務だけでなくバックオフィスの事務作業まで含めたトータルの効率化を実現します。


LRTKとは:スマホで高精度GNSS測量が誰でも使える時代へ

ここまで紹介したRTK測位や点群・AR・クラウドといった技術を、「自分たちの現場でも使いこなせるのか?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。近年登場したLRTKは、そうした最新技術を誰でも手軽に扱えるようにした注目のソリューションです。LRTKとは、スマートフォンに取り付ける小型の高精度GNSS受信機と専用アプリからなるシステムで、従来は専門機器が必要だったセンチメートル精度の測量をスマホ一台で実現するものです。


具体的には、重さ約125g・厚さ1.3cmほどの受信機(LRTKデバイス)を専用ケースでiPhoneなどに装着し、アプリを起動します。受信機がみちびきやGPSからの補正信号を受信してリアルタイムにスマホ上で高精度測位を行います。その精度は通常で水平誤差2~3cm程度、静止状態で測定を平均化すれば1cm以下も達成できるほど高性能です。スマホ内蔵の粗精度GPSとは一線を画するポケットサイズの測量機に早変わりするわけです。


LRTKアプリには埋設管管理に役立つ多彩な機能が統合されています。測位した点の座標を記録して地図上に表示するのはもちろん、スマホのLiDARセンサーやカメラを使った3Dスキャン機能で点群データを取得することもできます。取得した点群や写真は自動的に高精度座標とひも付けられ、アプリ上ですぐに確認可能です。さらにワンタップでARモードに切り替えれば、保存された3Dデータを現実の風景に重ねて表示できます。位置合わせも高精度座標に基づき自動で行われるため、ずれることなくピタリと実物と合致します。クラウド連携機能も備えており、現場で記録したデータを即座にアップロードして、オフィスや発注者と共有することも容易です。


これまで測量専門業者に依頼していた出来形計測や、手間のかかった埋設記録作業が、LRTKを使えばスマホ片手の「簡易測量」で誰にでもこなせる時代になりました。高価な専用機器を揃えなくても、必要なときに必要なだけスマホで測れる手軽さは、地方自治体や中小の施工業者にとっても大きな利点です。現場のDXを進める上でハードルとなっていた「コスト」と「専門人材」の壁を、LRTKは打ち破りつつあります。


小さく始めて大きく変える:LRTKによる地中埋設管DX導入のすすめ

地中埋設管の管理にDXを取り入れることは、将来的なインフラ運用の在り方を大きく変える可能性を秘めています。しかし何も一度に全てを置き換える必要はありません。重要なのは小さく始めて着実に効果を実感することです。例えば、次の工事現場で一本の埋設管だけでもLRTKを使って位置記録と点群スキャンを行ってみる、という小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。スマホで計測してクラウドにデータを残すという体験を通じて、従来手法との違いを現場スタッフ自ら実感できるでしょう。


小さな導入でも、蓄積されたデータは将来大きな価値を生みます。最初は試験的な運用でも、精度の高い埋設管データが一つ増えれば、それだけで次の工事のリスクを減らし、維持管理の効率を上げる材料になります。その積み重ねがやがては社内全体・管轄地域全体のデータベース構築につながり、「掘らなくても現場を把握できる」世界が現実のものとなります。


LRTKのような手軽なDXツールは、導入のハードルが低いため現場でのトライアルにも最適です。初期投資を抑えて始められるので、「とりあえずやってみる」精神で現場改善に着手できます。そして一度その効果を体験すれば、安全管理や業務効率の向上という形で確かなリターンが得られるはずです。地中埋設管の施工管理DXは、将来のインフラ管理を担う私たちにとって避けて通れない課題です。ぜひこの機会に、スマホとLRTKで始める高精度・効率的な埋設管管理に踏み出してみてください。見えない地下を見える化する一歩が、安全で強靭なインフラ作りへの大きな前進となるでしょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page