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測量とは何をする仕事?現場でのリアルな流れを解説

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万能の測量機LRTKの説明

測量とは、土地や構造物の位置・高さ・距離などを正確に測定し、工事や地図作成に役立てる仕事です。建設現場では、道路や建物を作る際に計画通りの位置と高さで施工するために、測量は欠かせません。学生や未経験者など測量初心者の方に向けて、本記事では測量の具体的な業務フローを時系列でわかりやすく解説します。現場で使われる道具や専門用語も補足しながら、測量士の仕事のリアルな流れを追ってみましょう。記事の後半では、最新技術であるLRTKを紹介し、従来手法との違いや作業効率への効果についても説明します。


測量の仕事は何をする?基本と重要性

まずは測量の基本と、その重要性について簡単に押さえておきましょう。


測量士の仕事を一言でいうと、「土地や構造物の形状や位置を測ること」です。建設工事では、設計図面通りに道路や建物を配置し、正しい高さ・水平を確保する必要があります。例えば道路をまっすぐな勾配で敷設したり、建物の土台を水平に据え付けたりするために、ミリ単位の精度で測定・位置出しを行うのが測量士の役割です。


測量の専門機器としては、トータルステーション(角度や距離を測れる光学機器)やGPS/GNSS測量機(RTK)オートレベル(水準器)などがあります。三脚に据え付けたカメラのような機械を覗き込み、反射プリズムやスタッフ(標尺)と呼ばれる棒を使って距離や高低差を読み取る作業をイメージするとよいでしょう。これらの測量で得たデータをもとに地形図を作成したり、現場に印をつけたりして工事を支えるのです。


建設現場では測量士は「縁の下の力持ち」として、工事関係者が最初に把握すべき現場の状況を明らかにする重要な役割を担います。では、実際の現場で測量士はどのような手順で仕事を進めているのでしょうか?次の章から、測量業務のリアルな流れを段階ごとに追って解説します。


1. 測量計画の立案(準備段階)

どんな仕事も準備が大切ですが、測量も例外ではありません。現場に出て作業を始める前に、まず測量計画を立てます。


測量計画では、工事内容に基づいて「どの地点をどの程度の精度で測るか」「どこに基準となる点を設置するか」「使用する測量機器や測量手法は何か」などを検討します。具体的には、設計図面や工事計画書を読み込み、建造物の配置や高さの基準を把握します。例えば、「建物の四隅の位置と基礎の高さを出す必要がある」「道路中心線を現地に示す必要がある」など、測量で現場に落とし込むべきポイントを洗い出します。


次に、そのために必要な機材と人員を準備します。例えば、高精度な位置合わせが必要な場合はトータルステーションを用意し、高低差の確認にはオートレベルを準備するといった具合です。また、最近ではGNSSを使ったRTK測量機(リアルタイムキネマティック測位)の活用も普及しています。現場条件(山間部で衛星が捕捉しづらい、見通しが悪い等)も考慮し、適切な測量方法を選択します。


既知点や水準点の確認も重要です。現場付近に国土地理院の基準点(三角点)や水準点がある場合はそれを利用できますが、ない場合はどこか一点を仮の基準点として設定する計画を立てます。このように、測量士は事前に計画を練り、必要なデータや道具を揃えてから現地作業に臨みます。


2. 基準点の設置(測量の土台づくり)

計画が固まったら、いよいよ現地での測量作業開始です。最初に行うのは基準点の設置です。基準点とは、工事現場における位置と高さの基準となるポイントで、この点を起点に他の測量を行います。いわば測量の土台となる重要な作業です。


現地に到着した測量士は、まず事前に決めておいた場所に木杭や金属標識(測量鋲など)を打ち込みます。これが基準杭です。位置だけでなく高さ(標高)も基準とするため、オートレベル(水準儀)を使って既知の水準点から高さを移し取り、その杭に標高を与えます。水準点が近くにない場合は、既知の高さを持つポイント(例えば道路のキロ程標や設計図に指定のある既定点)から水準測量という方法で高さを延長し、現場内に高さの基準を作ります。


位置に関しては、もし国土地理院の三角点など既知の座標点があればそこからトラバース測量(多角測量)で位置を延長するか、GNSS測量機で緯度経度を観測して既知座標を設定します。最近はネットワーク型のRTK-GNSSを使えば、現場で即座に公共座標系の基準点を得ることも可能です。


こうして設定した基準点は、杭の頭にスプレーで印を付けたり、杭のそばに「○○基準点」と書かれた杭標を立てて表示します。現場ではこの基準点をもとに、全ての測量作業を展開していきます。言い換えれば、基準点の精度が工事全体の精度を左右するため、時間をかけて慎重に設置・確認を行います。


補足ですが、大規模な現場では基準点を複数設置し、互いに見通せる位置関係にしておくことが多いです。これにより、どの地点からでも測量機器で少なくとも2つの基準点を視認できるようにし、測量機を据えるたびに正確に自分の位置出し(機械の据え付け点の計測)を行えるようになります。


3. 丁張の設置(仮設の基準線出し)

基準点ができたら、次は丁張(ちょうはり)の設置に移ります。丁張とは、建築や土木工事の初期段階で、木杭や水糸(みずいと:細い糸)を使って施工の基準となる仮設物を作る作業のことです。簡単に言えば、設計図面に描かれた位置や高さを現場に可視化するために行う作業で、工事に入る前に非常に重要な工程となります。


例えば建物の工事では、建物の外周より少し外側に木杭を何本も打ち込み、水平な板(丁張板)を取り付けます。複数の丁張板の間に水糸を張り渡すことで、建物の壁や柱の位置、高さの基準線を現場に再現します。これを遣り方(やりかた)とも呼びますが、建築現場で建物の正確な配置と高さを出す伝統的な方法です。


土木工事(例えば道路や橋脚、擁壁工事など)でも丁張は活躍します。掘削や盛土を行う際、設計通りの勾配や幅を確保するため、所定の位置に法面(のりめん)や構造物の端部を示す丁張をかけます。切土や盛土の丁張では、水糸に高さ情報を書いた札を下げておき、その高さまで土を削ったり盛ったりする目安にします(法丁張)。このように丁張を設置しておくことで、作業員は「どこまで掘るか」「どこまでコンクリートを打設するか」といった基準が一目でわかるのです。


丁張設置の際に測量士は、オートレベルやトータルステーションを使って丁張板の高さを調整します。基準点から高さを出し、全ての板が設計で定められた高さになるように水平を確認します。また、水糸を張る位置(水平距離や角度)も図面に基づいて測定し、建物や構造物の正確な輪郭が現場に表示されるようにします。丁張作業は手間がかかりますが、この仮設の基準線が正確でないと後の全ての工事に狂いが生じるため、経験と慎重さが求められる工程です。


4. 位置出し(墨出し)作業 – 工事箇所のマーキング

丁張まで完了すると、現場には設計の基準となる仮の目安ができています。次のステップは、実際に構造物を作る位置を直接現地にマーキングする「位置出し」作業です。これは墨出しとも呼ばれ、建物の柱の位置や道路の中心線など、施工する正確な位置を地面や構造物上に示す作業を指します。


位置出しの典型的な例は、建物の基礎工事における建物の輪郭のマーキングです。丁張で張った水糸の交点などをもとに、地面に石灰やチョークで線を引き(墨を打ち)、掘削すべき範囲を明示します。また基礎コンクリートを打設した後には、その上に柱や壁を立てる位置をマーキングします。コンクリート上に墨線を引いて「ここに壁が来る」「ここが柱の中心」などと示すことで、施工スタッフは構造物の配置を正確に把握できます。


土木工事でも、例えば道路工事なら道路の中心線や幅員を杭やペイントで表示したり、橋脚の位置を地面に出したりします。下水道工事なら管を埋設する掘削線を出す、といった具合です。位置出しにはトータルステーションがよく使われます。測量士はトータルステーションを据えて、基準点との角度・距離から求めた設計座標に合わせてプリズムの位置を誘導します。そして「ここが図面上のこの点ですよ」と確定したら、そこに杭を打ったり印をつけたりします。


最近では、レーザーを使った墨出し器(回転レーザーレベル)を用いて水平ラインや鉛直のポイントを可視化することもあります。これは主に建築内部での天井や設備の高さ出しで使われますが、屋外でも短距離で水平を出すのに便利です。いずれにせよ、位置出し作業は設計図面の情報を現地に忠実に置き換える重要なプロセスであり、この作業が終わると実際の施工に取り掛かる準備が整います。


5. 施工中の測量確認(工事進行中のチェック)

工事がスタートしてからも、測量士の仕事は続きます。施工中の測量確認とは、工事の各段階で設計通りに作業が進んでいるかチェックする測量作業のことです。人間の手による作業や重機による造成では、どうしても誤差やずれが生じる可能性があります。それを早期に発見し修正するために、測量士が随時現場を測って確認するのです。


例えば、基礎工事で掘削を行った際には、掘った底面の高さ(深さ)が設計通りかオートレベルで確認します。深さが足りなければ追加で掘削し、掘り過ぎていれば埋め戻すなどの対処を施工担当者と相談します。またコンクリートを打設する型枠を設置したら、型枠の天端(上端)の高さが設計の通り水平であるかをレベルで測定します。型枠の位置ずれがないか、寸法が正しいかは、巻尺(スケール)やトータルステーションで確認することもあります。


鉄骨建方や橋桁架設の場面では、柱や桁の鉛直・水平位置を測って設計位置とのずれを確認します。必要に応じて支持位置を調整したり、完了後にボルトで固定する前にもう一度位置を追い込むなど、測量士のチェック結果が品質管理に直結します。


さらに、道路工事などでは逐次出来高(できだか)管理として、ある程度施工が進んだ段階で一度測量し、断面形状が合っているか確かめることもあります。例えば盛土を何層かに分けて施工する際、各層ごとに高さと幅を測って所定の形状になっているか確認します。


このような施工中の確認測量によって、誤差が蓄積して大きな手戻りになるのを防ぎ、常に品質を確保することができます。測量士は工事の進行とともに忙しく現場を駆け回り、要所要所で測定を行って職人さんや現場監督とコミュニケーションを取りながら進めていきます。


6. 出来形測定(完成した部分の測量)

工事が進み、各部分が完成していくと、その都度出来形測定という作業が発生します。出来形とは文字通り「出来上がった形」のことで、出来形測定とは完成した構造物や造成地の形状・寸法を測ることです。これは施工後の品質確認や、発注者への出来形報告、数量算出のために行われます。


例えば道路の舗装工事であれば、舗装が完了した後に路面の幅員や厚み、縦断勾配を測定します。設計図と照合し、所定の厚さが確保されているか、勾配に狂いはないかをチェックします。また、河川工事で護岸ブロックを設置した場合は、ブロックの高さや傾きが設計範囲内か測ります。建築物であれば、柱や梁の出来上がり位置を測って図面と比較し、許容範囲に収まっているか確認します。


出来形測定は、単に品質確認のためだけではなく、工事量の確定にも使われます。土木工事では出来形をもとに出来高数量(例えば実際に運んだ土の量やコンクリート打設量)を算出し、これが施工業者への支払いに関わることもあります。そのため、発注者・受注者双方の立会いのもとで厳正に測定するケースもあります。


測定にはトータルステーションやレーザー距離計、場合によってはドローンによる写真測量や3Dスキャナーも使われます。最近は上空から出来形をスキャンして点群データで形状を記録する手法も増えてきました。どの方法であれ、出来形図(出来形を示す図面や3Dデータ)を作成し、これが設計図書とともに工事の成果物としてまとめられます。


7. 竣工測量(完成後の最終測量)

長い工事も終盤になりました。すべての施工が完了したら、最後に竣工測量を行います。これは工事完了時点で、現地が設計通りにできあがっているかを総合的に測量し、記録する作業です。


竣工測量では、工事範囲全体の重要ポイントを一通り測り直します。道路工事であれば、起点から終点までの主要な幅員・厚さ・勾配・カーブの半径などを計測し、竣工平面図や竣工縦断図を作成します。河川工事なら、施工した護岸や堤防の断面を各所で測って竣工断面図をまとめます。建築工事でも、建物の位置や高さ、傾きが設計と相違ないか確認測量し、結果を納品図書に反映させます。


この竣工図(しゅんこうず)は、完成後の構造物の正式な記録となります。発注者や関係機関に提出され、将来の維持管理や資産管理に利用されます。例えば道路であれば、竣工図が道路台帳に登録され、将来の補修工事などの基礎資料となります。建築物でも竣工図は建物の履歴として保存され、設備の更新や点検に役立ちます。


竣工測量はある意味、測量士にとって成果発表のような場でもあります。工事開始から追い続けてきた現場が、計画通りに収まっているか最終確認する重要なプロセスです。ミスがあれば最後に発覚することになるので緊張もしますが、無事にすべてが規格内に収まっていれば測量士としても達成感があります。


以上が、計画から竣工までの測量の一連の流れです。測量士は、工事の始まりから終わりまで、常に現場の正確さを担保するために働いていることがご理解いただけたでしょうか。では次に、こうした従来の測量手法に対して、最近登場している最新技術LRTKについて紹介します。


最新技術LRTKとは?従来手法との違い

近年、測量の世界には新しい技術や機器が続々と登場しています。その中でも注目を集めているのがLRTKと呼ばれる最新技術です。LRTKとは、レフィクシア株式会社が提供するデジタル測位技術の名称で、一言で言えば「スマホを使った万能測量機」とも言えるシステムです。


LRTKを用いると、従来は高価な専用機器が必要だった高精度測位を、スマートフォンと小型デバイスの組み合わせで実現できます。具体的には、スマートフォンに後付けできる小型のRTK-GNSS受信機(LRTK Phoneデバイス)を装着し、専用アプリを使って測量を行います。この装置にはアンテナやバッテリーが内蔵されており、単体でセンチメートル級の測位が可能です。言い換えれば、スマホが高精度GPS測量機に早変わりするわけです。


では、LRTKを使うと測量の現場はどう変わるのでしょうか?最大の違いは作業効率と手軽さの飛躍的向上です。従来、例えばトータルステーションで位置出しをするには、機器のセッティングと旋回、スタッフを持つ補助者など、時間と人手が必要でした。しかしLRTKなら、現場で測位したい地点にスマホを持って行き、画面上でボタンを押すだけでその点の座標や高さを取得できます。測ったデータは即座にスマホからクラウドにアップロード可能で、離れた事務所でもリアルタイムに結果を確認できます。これにより、測量→図面作成→チェックのサイクルが格段にスピードアップします。


また、LRTKには傾斜補正機能があるモデルもあり、ポールを傾けた状態でも先端の位置を正確に測位できます。例えば障害物があって真上に立てない場所でも、ポールを斜めに突き出して測定可能です。従来はポールを垂直に立てる必要があり、人が近寄れない地点の測量には苦労しましたが、LRTKなら効率的に対応できます。


さらに、LRTKにはユニークな形態の機器が揃っています。ヘルメットにGNSS受信機を付けたLRTKヘルメットでは、作業員がヘルメットを被って歩くだけで、自動的に軌跡や位置データを取得できます。両手が塞がっていても測量できるため、現場巡視しながら同時に測量データを集めるといった使い方も可能です。これは従来には無かった発想で、ハンズフリーでの測量による作業効率アップが期待できます。


LRTKは日本の準天頂衛星システム「みちびき」が提供するセンチメータ級補強サービス(CLAS)にも対応しており、山間部などインターネットの届かない環境でも衛星経由で補正情報を取得して精度を維持できます。つまり、基地局がなくても全国どこでも高精度な測量が可能という利点があります。


以上のように、最新技術LRTKは従来の測量手法と比べて手軽さ・スピード・柔軟性の面で大きなメリットをもたらします。これまで2人1組で半日かかっていた測量作業が、1人で短時間に完了するといったケースも十分考えられます。まさに測量の世界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)と言えるでしょう。


まとめ:測量の流れを知り未来の技術を活用しよう

今回は「測量とは何をする仕事か?」というテーマで、現場でのリアルな業務フローを計画段階から竣工まで順を追って解説しました。測量士の仕事は多岐にわたり、工事の基礎を築く大切な役割であることがお分かりいただけたと思います。基準点設置から丁張位置出し施工中の確認出来形測定、そして竣工測量と、一連の流れの中で測量士は常に精密さと判断力を求められます。


初心者の方は最初は覚えることも多いですが、実際の現場で一つひとつ経験していくうちに、測量の面白さや奥深さを感じられるでしょう。ミリ単位の精度で現場をコントロールできたとき、地図や図面と現実がぴたり一致したときの達成感は測量士ならではの醍醐味です。


そしてこれから測量業界に進もうとする方や現職の方には、最新技術の活用もぜひ視野に入れていただきたいところです。特にLRTKのようなスマホ測量技術は、初心者でも直感的に使いやすく、測量作業の生産性を飛躍的に高めてくれます。従来の職人技と最新のデジタル技術を組み合わせることで、測量はより正確に、より迅速に、そして誰にでも扱いやすいものへと進化しています。


現場で培われてきた確かな流れを押さえつつ、新しいツールも積極的に取り入れてみましょう。測量の知識とスキルを身に付けた上でLRTKを導入すれば、これまで以上に効率的でスマートな測量が実現できます。未来の測量士として、このような最新技術を味方につけ、ぜひ現場で活躍してみてください。測量に興味を持った皆さんが、一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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