測量の定義と目的
測量(そくりょう)とは、地球上のある地点の位置関係を正確に測定し記録する技術・作業の総称です。地図の作成や土地の境界確定、建設予定地の地形調査など、私たちの生活基盤を支える幅広い分野で活用されています。簡単に言えば、測量は「地形や構造物の位置や高さを数値化すること」です。この数値化によ り、都市計画で道路や建物を配置したり、土木工事で正確に構造物を施工したりすることが可能になります。
測量の一番の目的は、対象物同士の位置関係(距離や角度、高さ)を正確に把握することです。例えば家や道路を建設する際、図面通りの位置・高さに施工するためには事前の測量が欠かせません。また土地の境界を明確にするための境界測量や、出来上がった構造物が設計通りか確認する出来形測量など、目的に応じた様々な測量があります。測量によって得られたデータは地図や図面として記録され、都市計画、建設工事、土地開発、環境管理、防災など多岐にわたる分野で重要な役割を果たします。現代ではGPSやドローンなど先進技術の導入により、より高速で精密な測量が可能となり、効率的な社会インフラ整備に貢献しています。
測量現場で使われる主な道具
現場で測量を行う際には、目的に応じてさまざまな道具や機器を使用します。ここでは、特に代表的な測量機器であるレベル、トータルステーション、GNSS受信機の3つについて、その特徴と使い方をわかりやすく解説します。
レベル(水準測量器)
図:水準測量に用いる光学式レベル(オートレベル)を覗いて高低差を測定している測量士の様子(1984年、米国USGSの例)。水平に据え付けたレベルから標尺(スタッフ)を読み取り、複数点の高さ関係を調べます。
レベルは、地面の高さ(標高)の差を測るための光学式の測量器械です。三脚の上に据えて望遠鏡を水平に保ち、離れた地点に立てたスタッフと呼ばれる標尺を覗いて読み取ることで、2点間の高低差を求めます。レベルにはかつて手動で気泡管を合わせる水準器(いわゆるエンジニアレベル)もありましたが、現在は内部の補正機構で自動的に水平を保つオートレベル(自動レベル)が一般的です。レベルを使った作業は水準測量と呼ばれ、建築物の基礎高さを決めたり 、道路の縦断・横断の高低差を測定したりと、工事現場で必ず行われる基本的な測量作業です。レベル測量によって得られた高さの基準が水準点(後述)で、他の高さ測定の土台となります。
トータルステーション(TS)
図:市街地でトータルステーションを使って測量を行う様子。左の作業員がTSの望遠鏡をのぞき、右の作業員がプリズム(反射鏡)付きのポールを持って目標点に立っています。これにより距離と角度を同時に観測し、正確な位置座標を取得します。
トータルステーション(TS)は、角度と距離を同時に測定できる電子光学式の測量機です。言い換えると、トランシット(経緯儀)という角度計測機と、光波距離計という距離計測機が一体化したものになります。三脚に据え付けて目標を望遠鏡で視準し、目標に設置した反射プリズムまでの距離と水平・鉛直角を測定することで、ターゲットの三次元的な位置座標を割り出します。トータルステーションは1台で