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初心者向けに測量とは|種類・目的・必要性をわかりやすく解説

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万能の測量機LRTKの説明

測量って何だろう?学校やニュースで耳にする言葉ですが、具体的にどんなことをする作業なのでしょうか。測量にはどんな種類があり、何の目的で行われているのか、そしてなぜ社会にとって必要不可欠なのでしょうか。本記事では、初心者の方にもわかるように測量の定義や目的、種類、必要性を丁寧に解説し、後半では最新の測量技術であるLRTKについても紹介します。測量の基礎から最先端技術まで順番に見ていきましょう。


測量とは?基礎知識を解説

測量とは、土地や地形の形状・大きさ・高さ・位置関係などを詳しく調べて記録し、図面化する作業のことです。 簡単に言えば、地面の状態を正確に知るための技術であり、私たちの生活基盤を支える重要な仕事です。測量で得られたデータから地図や設計図が作成され、建設工事などに活かされています。


たとえば建物や橋を建てる際には、敷地の広さや高低差など正確な土地の情報がないと、適切な設計ができません。また土地の境界線を決める場合にも、正しい測量が欠かせません。このように測量は、土地や構造物の位置を数値で把握し、社会の様々な場面で基礎資料を提供する役割を担っています。


測量の目的:どんな場面で必要になる?

測量の目的は多岐にわたります。最大の目的は、土地や建物の正確な位置情報を提供することで、これにより不動産の売買や登記、行政による都市計画などで適切な判断を下すことができます。建設分野では、道路・橋梁・トンネルなど社会インフラの建設計画や施工管理に測量データが欠かせません。都市計画でも現況の地形図や地籍図(境界や区画の図面)を作成するために測量が行われ、安全で効率的な街づくりに役立っています。


さらに、測量データは地震や洪水など自然災害時の被害状況の把握や対策立案にも不可欠です。災害前後の地形変化を測定することで、被害の範囲を正確に把握したり、防災対策に活かしたりできます。そのため測量は、社会全体の安全と効率を支える重要な役割を果たしています。このように測量は、社会インフラの整備から土地利用計画、防災まで幅広い目的で実施されているのです。


測量の必要性:なぜ正確な測量が重要か

測量はなぜこれほど重要視されるのでしょうか。それは、正確な測量なしには多くの社会活動が成り立たないからです。例えば建設や土木工事では、測量による正確な事前データがなければ工事を適切に進めることができません。大規模プロジェクトではわずかな測量誤差が後々大きな問題につながる可能性があり、測量の精度が最終的な建造物やインフラの品質・安全性を左右する重要な要素となります


また、土地の売買や財産登記の場面でも測量は必要です。測量によって土地の境界が明確に示されていれば、隣地との境界トラブルを未然に防ぐことができます。正確な境界確定は円滑な不動産取引や近隣関係の維持に不可欠です。さらに、土地の細かな形状や高低差を把握しておくことで、その土地に適した利活用計画を立てることが可能となり、土地の価値を最大限に引き出すことにもつながります。


このように測量は、安全で質の高い社会インフラを築き、土地を有効に活用し、紛争を防止するために必要不可欠な基盤技術なのです。正確な測量データがあることで、私たちの暮らしは安心かつ効率的に成り立っています。


測量の種類:手法と測定項目の違い

測量にはさまざまな手法があり、測定する対象(距離・角度・高さなど)や利用する機器によって分類できます。現代の測量士は、レーザー距離計やGNSS(GPS)受信機、タブレット端末など目的に応じた機器を駆使してデータを収集します。ここでは代表的な測量の種類として「距離測量」「角度測量」「高低測量」「GNSS測量」「点群測量」の5つに分け、それぞれの概要と方法を初心者向けに解説します。


距離測量(距離を測る)

距離測量は2点間の長さ(距離)を測定する測量です。昔の測量では、鎖(チェーン)や金属製の巻尺を用いて地道に距離を測っていました。測定中はテープを水平にピンと張り、たるみを取るなどの工夫で精度を確保していたのです。しかしこうした手作業による距離測定は長距離になると大変な労力で、温度変化による伸縮の補正なども必要でした。


現在では、電子式の距離計(EDM:Electronic Distance Measurement)によってボタンひとつで距離を測定できるようになりました。電子距離計は装置から発射した光(レーザー)や電波が目標物から跳ね返って戻るまでの時間を測ることで距離を算出します。これにより、数百メートル離れた対象との距離でも瞬時に高い精度で測定可能です。近年主流のトータルステーションという機械にはこの電子距離計が内蔵されており、後述する角度測定の機能も一体化しているため、1台で効率良く距離と角度を同時に測ることができます。


角度測量(角度を測る)

角度測量は2方向間の水平角度や鉛直角度を測定する測量です。水平角度とは北など基準方向に対する方位の差で、鉛直角度は水平面からの上下方向の傾きです。古くは磁石式のコンパスを使って北からの方位角を測定していましたが、その後、より精密な光学式の測角機械(セオドライト:経緯儀)が発明され、望遠鏡を用いて精度良く水平角・垂直角を測定できるようになりました。セオドライトでは、据え付けた望遠鏡を水平・垂直に回転させ、目盛り付きの円盤で角度を読み取ります。


現在ではデジタル表示の電子セオドライトや、前述のトータルステーションが使われるため、角度測定はより簡単かつ正確になっています。測量士は視準器(望遠鏡)で目標を捕捉し、ボタン操作で水平角・鉛直角を同時に測定できます。角度測量によって得られる方向の情報は、距離測量の結果と組み合わせて土地上の点の位置を割り出す(角度と距離から位置座標を計算する)際に欠かせません。また測量現場では、角度の測定によって建物や構造物を設計図通りの向きに配置したり、直角を出して区画を設定したりといった作業も行われています。


高低測量(高さを測る)

高低測量は地表の高さの差(高低差)を測定して各地点の標高を求める測量です。専用の機器であるレベル(水準儀)標尺(スタッフと呼ばれる目盛り付きの尺)を用いて、基準となる地点と目的の地点との高さの差を視覚的に読み取ります。レベルは三脚に据えて水平に設置し、望遠鏡のような見た目の機械で、これを通して標尺の目盛りを読み上げることで高さの差を求めます。レベルによる測量は水準測量とも呼ばれ、ミリ単位の精度で高さを測定できる方法です。


この水準測量の方法は精度が非常に高く、建築物の基礎工事で地面を平らに均す作業や、長い道路や線路の勾配を正しく設計する場面などで欠かせません。例えば道路では適切な排水のために緩やかな傾斜が必要ですが、水準測量で正確に高低差を把握しておくことで、安全で快適な道路設計が可能になります。また、土地造成や宅地開発でも隣接地との高低差を正確に知る必要があり、高低測量の結果が重要な判断材料となります。


GNSS測量(人工衛星を使った測量)

GNSS測量とは、GPSに代表される全地球測位衛星システム(GNSS)を利用して位置を測定する手法です。GNSS測量では、複数の人工衛星から発信される電波を受信して、自分の位置(経緯度と高さ)を割り出します。従来の測量のように視通しの効く範囲で測点間を直接測る必要がなく、離れた地点でも衛星さえ受信できれば位置を測定できるのが大きな利点です。広大な土地の地形測量や、山林・農地など見通しの悪い地域の測量においてもGNSSは威力を発揮します。


ただし、一般的な単独測位のGPSでは精度が数メートル程度と粗いため、土木や設計用途にはそのままでは不十分です。そこで、地上に設置した基準局との電波のズレを補正するRTK(リアルタイム・キネマティック)という高精度測位技術が利用されています。RTK-GNSSを使うと、誤差5~10mほどの通常GPS測位でも数センチメートルの精度に向上させることが可能です。日本では、国土交通省や自治体が整備した電子基準点のネットワークから補正情報(基準局データ)をインターネット経由で受信することで、高精度な測位をリアルタイムに実現できます。


最近ではさらに、準天頂衛星「みちびき」の提供するセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)の登場により、携帯通信圏外でも高精度GNSS測量が可能になりました。こうしたGNSS測量技術の発展により、衛星測位は地上の測量機器に匹敵する精度と信頼性を備えつつあります。GNSS測量によって得られた座標データは、地図作成はもちろん、航空写真やドローン測量の位置合わせなど様々な分野で活用されています。


点群測量(3次元の形状を記録する)

点群測量とは、対象の地形や構造物を多数の点の集まり(点群データ)として三次元的に記録する測量手法です。近年普及している3Dレーザースキャナーという機器や、写真測量(フォトグラメトリ)と呼ばれる技術を用いて実施されます。3Dレーザースキャナーではレーザー光を高速発射し、対象物に当たって返ってくるまでの時間から多数の点の距離情報を取得します。装置を回転させながら広範囲を短時間で測定でき、対象物に触れずに安全かつ詳細なデータ収集が可能です。


このようにして得られる点群データは、地表面や建造物の形状を無数の点で再現した三次元モデルとなります。レーザースキャナーを使えば、複雑な地形や建物であっても正確な点群データを非常に短時間で取得でき、土地全体を丸ごと3次元の記録として残すことができます。得られた点群は後からパソコン上で断面図を作成したり、体積を計算したり、設計案と重ね合わせて検討したりといった詳細な解析に活用できます。


また、ドローンを用いた写真測量も点群作成に利用されています。上空から重複度の高い多数の写真を撮影し、画像解析によって地表の3Dモデルを再構築する手法です。ドローン測量は短時間で広域をカバーでき、人が立ち入りにくい場所の地形把握にも適しています。レーザースキャナー測量と組み合わせれば、地上からも空中からも死角のない精密な点群データが得られるでしょう。


このような点群測量技術の発展により、測量は従来の平面的な図面作成だけでなく、三次元で現場を捉える新たな段階に進んでいます。複雑な構造物の形状記録や文化財の保存、施工後の出来形管理(完成形状の確認)など、3Dの詳細データが必要とされる場面で点群測量は大きな力を発揮しています。


最新の測量技術:LRTKとは?

LRTK(エルアールティーケー)は、GNSS測量とスマートフォンを組み合わせた最新の測量システムです。写真のようにiPhoneに装着する小型デバイス(「LRTK Phone」)を使い、スマホを高精度な測量機器に変身させることができます。このデバイスはアンテナとバッテリーを一体化した専用GNSS受信機で、準天頂衛星みちびきの提供するセンチメートル級測位補強サービス(CLAS)に対応しています。つまり、携帯電話の電波が届かない山間部などでも衛星からの補強信号を直接受信し、数センチの精度で測位できるのが大きな特長です。


LRTKシステムを利用すれば、従来は2人1組で行うことの多かった測量作業も1人で完結できます。iPhoneに取り付けた小型端末(重さ約165g・厚さ1cm程度)でGNSSによる高精度な現在地座標を取得し、そのままスマホ画面で結果を確認できます。取得される位置情報には緯度・経度だけでなく標高も含まれ、リアルタイムに地図上へプロットしたり、クラウド上にデータ保存して共有したりすることも可能です。従来のトータルステーションは重量があり運搬が大変で、精度維持のため定期的なメンテナンスも必要でしたが、LRTKは手軽に持ち運べ日常的に利用できる点でも優れています。


さらにLRTKは、スマホのカメラやセンサーを活用した多彩な機能を備えています。専用アプリを使えば、高精度な位置情報付きの写真を撮影して記録したり、スマホのLiDAR(光検出センサー)で周囲の3D点群データを取得することもできます。例えば、現場の様子を写真で残せば後から精密な位置情報とともに状況を振り返ることができますし、点群データにより現場を3次元モデルとしてクラウド上で関係者と共有することも簡単です。


加えて、LRTKはAR(拡張現実)技術によるナビゲーション機能も搭載しています。スマホの画面を通じて、設計図で指定された位置に仮想のマーカーやガイドを表示し、利用者が正確な場所に杭を打ったり目標点に移動したりできるよう支援してくれます。いわゆる「杭打ち作業(測設)」も、一人でスマホを見ながらこなせる時代になりつつあるのです。


このようにLRTKは最先端のGNSS測量とスマートフォン技術を融合し、測量作業の効率と利便性を飛躍的に高めるツールとなっています。実際に日本政府の内閣府でも導入されており、その有用性が公式に認められています。今後は建設現場だけでなく、測量の専門知識を持たない人々が自分のスマホで手軽に高精度測位を行う、といった場面も増えていくかもしれません。LRTKはまさに、測量の民主化とも言える潮流を担う革新的な技術なのです。


まとめ:測量の基礎と最新技術を踏まえて

ここまで、測量の定義や目的、種類、そして最新技術LRTKについて解説してきました。測量は社会のインフラ整備や安全管理、土地利用などあらゆる場面で基盤となる重要な技術です。初心者の方にも、測量によって私たちの暮らしが支えられていることを感じていただけたでしょうか。


近年は測量技術もデジタル化が進み、LRTKのように一人でも簡単に高精度測量ができる時代が到来しています。従来の常識を覆すこれら新しいツールを活用すれば、測量作業の効率化だけでなく、これまで測量が困難だった場所でのデータ取得も可能になります。ぜひ皆さんも機会があればLRTKをはじめとする最新の測量技術を体験してみてください。最先端の測量を体感することで、地図やインフラを見る目が変わり、測量の面白さとその重要性を実感できるはずです。社会を支える測量の世界に、ぜひ一歩踏み出してみましょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

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