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測量とは?昔と今でこんなに違う!デジタル測量の進化

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万能の測量機LRTKの説明

道路沿いで三脚に乗せた機械をのぞき込んでいる作業員を見かけたことはありませんか?建物や道路を造る場所の正確な形や、高さの差を知りたいときに活躍するのが測量です。測量とは、土地や構造物などの位置・形状・高さを正確に測り、地図や図面を作成する作業のことです。長年にわたり測量はアナログな道具と手作業で行われてきましたが、近年はデジタル技術の発展によってその方法が劇的に変化しています。本記事では、昔ながらのアナログ測量から最新のデジタル測量への技術の進化を時系列で紹介し、使用する道具、必要な人員、測定手順、精度、スピード、データの活用方法がどのように変わったかを分かりやすく解説します。最後には、最新のLRTK技術についても紹介し、未来の測量がどう変わりつつあるかをご案内します。


測量の役割と基本

まずは測量が何のために行われるか、その基本から見てみましょう。測量の目的は、対象となる土地や建造物の位置関係や形状、高低差を把握して記録することです。例えば地図の作成、土地の境界確定、建設工事の計画・設計、インフラ点検など、測量データは様々な場面で不可欠です。測量士は現地で距離や角度、高さを測定し、それをもとに地形図や配置図といった図面を作成します。かつては地図作成は専門の測量会社だけが担うものでしたが、現在では多様な企業が地図データを提供し、ユーザー自身が自由に加工・活用できる時代になっています。それだけ測量データは社会の基本インフラとして重要であり、技術革新によって利活用の幅も広がっているのです。


アナログ時代の測量: 手作業と人海戦術

昔の測量は、現在に比べると道具も作業もすべてがアナログで、人力に頼ったものでした。1980年代頃まで、平板(たいらな板)と「アリダード」と呼ばれる光学器具を用いた平板測量が主流で、測りたい点の方向を定めてから巻尺や測鎖(チェーン)で距離を測定していました。角度の計測にはトランシット(経緯儀)という光学機器、標高の測定には水準儀(レベル)を使い、観測値は野帳と呼ばれる手書きのノートに記録します。測点の座標計算は電卓や手計算で行い、最後は紙の図面に一本一本手で線を引いて地図を仕上げました。すべてが手作業のため、地図を完成させるまで気の遠くなるような労力と時間がかかりました。


当然、人員も多く必要でした。例えば平板測量では、平板を操作する人と目標にターゲットを立てる人が必要で、測鎖で距離を測る際も複数人で両端を持ってまっすぐ引っ張る必要があります。トランシットで角度を測る際も、測点に標杆(ポール)を立てる補助者がいなければなりません。測量班は通常2~3人以上のチームを組み、役割分担してフィールド作業を行っていました。一人が測って一人が記録する、といった具合です。


アナログ時代の精度は、熟練度や道具の限界に左右されました。巻尺による距離測定ではテープのたるみや気温変化による伸縮で誤差が生じますし、角度測定も目盛の読み取り精度に限界があります。それでも技術者たちは知恵と工夫で高い精度を追求し、基準点を設置して全国規模の三角測量網を構築するなど、大プロジェクトを成し遂げてきました。しかし一般的な現場測量では、現在のデジタル機器ほど手軽にミリメートル精度を出すことは難しく、図面も手描きゆえに細部の正確さを保つには相当な努力が必要でした。


また、スピードの面でもアナログ測量は非効率でした。一つひとつの距離を人が歩測したり巻尺で測ったり、角度を測るたびに機械を据え付け直したりと、作業には時間がかかります。広い敷地や起伏の多い地形を測り終えるまでに何日も要することも珍しくありません。天候にも左右されやすく、雨天では測量が中断することもしばしばでした。


こうした手作業中心の時代には、得られた測量データの活用方法も現在とは異なります。観測結果は紙の帳簿や図面として保管され、必要があれば地図を複写して使います。地図や図面は一度描けばそれきりで、更新や加工にはまた測り直しか描き直しが必要でした。情報の共有もコピーした紙を配る形ですから、どうしてもタイムラグが生じます。まさに「職人技」で支えられていたのがアナログ時代の測量と言えるでしょう。


測量のデジタル化: トータルステーションの登場

1970~1980年代になると、電子工学の進歩により測量機器もデジタル化が進み始めます。大きな転機となったのがトータルステーション(TS)という機器の登場です。トータルステーションは電子式のセオドライト(経緯儀)に光波距離計(電子距離計)を組み合わせたもので、一台で角度と距離の両方をデジタルに測定できる画期的な装置でした。狙った目標までレーザーや赤外光を照射し、その反射を解析して離れた距離をミリ単位で計測できます。また垂直・水平角もデジタル表示で読み取れるため、人が目盛を読む誤差を大幅に減らせました。


この光学から電子への置き換えによって、測量の精度と効率は飛躍的に向上しました。例えば株式会社利水社のベテラン技術者によれば、手測り・手書き中心のアナログ手法からトータルステーション+CADによるデジタル手法へと移行したのは1989年(平成元年)頃で、その結果作業時間は従来の3分の2ほどに短縮されたといいます。まさにこの頃、測量の現場に「測量革命」とも言える大変革が起きたのです。


トータルステーション導入後は、測量図面もコンピュータ上で作成できるようになりました。測量機器で観測したデータは電子的に保存され、オフィスに持ち帰ってからCADソフトに取り込んで地図を描くことができます。これにより手描きに伴うミスや手間が減り、複製や編集も格段に容易になりました。測量データはデジタルファイルとして保管・共有されるため、必要に応じてすぐに検索・再利用できるようになります。紙の図面台帳をめくって探す必要もなくなり、データの活用範囲が広がりました。


デジタル化による恩恵は人員構成にも表れました。最新のトータルステーションはリモコンや自動追尾機能を備えたロボティックトータルステーションへと発展し、1台で自動的にプリズム(反射鏡)を追尾して測距・測角してくれます。従来は3人必要だった作業も2人でこなせる場面が増え、機械任せで一人測量を実現するシステムも登場しました。つまり、熟練の測量士がチームを率いなくても、少ない人数で効率よく測量ができる環境が整ってきたのです。


GPS・GNSS測量の革命

トータルステーションに続いて測量に革命をもたらしたのが、GPS測量の普及です。GPSとはアメリカの全球測位衛星システムで、上空の人工衛星から電波を受信することで自分の現在位置を知る技術です(衛星測位)。1990年代からGPS受信機が測量にも使われ始め、従来のように視通し(機器間の直線距離の見通し)がなくても位置を特定できるという利点で注目されました。


しかし、通常のGPS測位では数メートルの誤差が生じるため、そのままでは高精度な測量には使えません。そこで考案されたのがRTK測量(リアルタイム・キネマティック)という手法です。RTK測量では基準局(固定局)と移動局(ローバー)の2台のGNSS受信機を使い、両者の相対測位によって誤差を補正することで数センチメートルの精度を実現します。簡単に言えば、動かない受信機と動く受信機の距離の差をリアルタイムに計算し、衛星からの信号誤差を打ち消すことで高精度化しているのです。


GPSを含む衛星測位技術(総称してGNSS)の導入によって、測量の現場はさらに効率化しました。まず測定スピードが飛躍的に向上しました。視通しが不要なので、広大な敷地でも測量機を逐一据え直す必要がなく、移動局を持って歩くだけで次々と点の座標を取得できます。一地点あたり数秒程度で測位できるため、大量の測点も短時間で観測可能です。例えば道路や河川に沿った長距離の測量も、トータルステーションよりGNSSの方が素早く対応できます。


また、必要な人員もさらに削減されました。GNSS測量では移動局を持った作業者一人だけで測点の観測が可能です(基準局はあらかじめ既知点に設置しておくか、地域の電子基準点ネットワークを利用します)。これにより「ひとりでできる測量」が現実のものとなりました。従来ならチームで数日かけていたような広範囲の地形測量も、熟練者一人が機器を携えて効率的にこなせるようになったのです。


GNSS測量の精度も驚くべき進歩を遂げました。RTK方式を用いれば測位精度はほぼ±数センチの誤差範囲に収まります。これはトータルステーションと同等、場合によってはそれ以上の精度です。さらに日本では、衛星測位を補強する準天頂衛星みちびき(QZSS)の運用や電子基準点ネットワークの整備により、安定した高精度測位環境が整ってきました。こうした技術により、土木工事の出来形管理やインフラ維持管理などセンチメートル級の精度が要求される場面でも、GNSSが実用的な選択肢となりつつあります。


もっとも、GNSSにも弱点はあります。衛星からの電波を受信できなければ測位できないため、周囲を高層ビルに囲まれた都市部や森の中、トンネルや屋内などでは利用が難しい場合があります。しかし最近では、測位できない時間帯や場所を補完する技術も登場しています。例えば複数周波数や複数衛星システムの併用で衛星捕捉率を上げたり、移動しながらの測位結果をIMU(慣性計測装置)や画像解析で補完して屋内でも位置を推定する工夫などです。GNSSと他のセンサーを組み合わせることで、以前なら諦めていた環境下でも測量を続行できるケースが増えてきました。


3次元測量への進化: レーザースキャナーとドローン

21世紀に入ると、測量は3次元計測の時代へと進化します。従来のトータルステーションやGNSSでは、個々の点の座標を測定していくため、地形全体を把握するにはポイントごとの測点をつないで地形を推測する必要がありました。それに対し、レーザースキャナーの登場は地形や構造物を面的・立体的に捉える革命をもたらしました。


レーザースキャナーは、照射したレーザ光が物体に当たって返ってくるまでの時間や位相の変化を測定し、周囲の多数の点までの距離を一斉に計測する装置です。三脚に据える地上型3Dレーザースキャナー(TLS)では、一度のスキャンで周囲360度の数百万点にも及ぶ点群データを取得できます。これにより、建物や地形の形状を高密度な点の集まり(点群)として記録し、後でパソコン上で3次元モデルや等高線図、縦横断図を作成できます。従来の2次元的な測量では見落としがちな複雑な形状も、点群ならありのまま捉えられるため、土木設計や施工管理において非常に有益です。


さらに、レーザースキャナーの技術は地上据付型だけでなく、車両に搭載するモバイルマッピングシステム(MMS)や無人航空機(ドローン)に搭載するUAVレーザ測量へと広がりました。ドローンにLiDAR(ライダー)センサーを搭載すれば、上空から短時間で広範囲の3次元測量が可能です。樹木に覆われた森林や急峻な山間部でも、上空からレーザを照射すれば地表面の形状を把握できます。航空機を使った大掛かりな空中写真測量に比べ、ドローンなら少人数で迅速かつ低コストに運用できるため、地形測量のハードルが大きく下がりました。


こうした3D計測技術の導入により、作業スピード必要人員もさらに改善されました。例えば地上での従来のTS測量では、起伏がある地形を正確に測ろうとすれば高さが変わるポイントごとにプリズムを立てて測定しなければならず、多大な手間と人手がかかりました。一方レーザースキャナーであれば、スキャナーを適宜移動させるだけで複雑な地形を隅々まで測定でき、現場の作業工数を約30%削減できるという報告もあります。また、TS測量が2人1組であるのに対し、レーザースキャンは基本的に1人で操作可能であることも大きな利点です。ドローン測量に至っては、離陸前の準備と簡単なプログラム設定を行えば自律飛行で測量してくれるため、現地作業は機体の監視を含めてもごく少人数で済み、広大な現場の測量も従来より圧倒的に短時間で完了します。


精度の面でも3D計測技術は進歩しています。最新の地上型レーザースキャナーはミリメートル級の精度で点群を取得できますし、ドローン写真測量(フォトグラメトリ)でも、高解像度カメラと地上の対空標識(GCP:標定点)を併用することで数センチ程度の誤差に抑えた地形モデルを生成できます。RTK搭載ドローンを用いれば、空中写真へのジオタグをリアルタイムに補正して位置精度を高めることも可能です。これらにより、航空写真から2D図面を起こしていた時代とは比べものにならない精度と詳細さで、3次元の測量成果が得られるようになりました。


データ活用の面でも、点群データや高精細なオルソ画像の活用が広がっています。取得した3次元データはCADやBIMソフトに取り込んで土量計算や施工計画に役立てたり、GISシステムに重ねて災害シミュレーションを行ったりできます。また、現場の出来形(施工後の形状)管理にも点群が活用され、設計モデルとの差分を検出して施工品質をチェックするといった用途も一般化しつつあります。こうしたデータ利活用の背景には、コンピュータの性能向上とソフトウェアの進化に加え、国土交通省主導のi-Constructionの推進でICT活用が奨励されていることも挙げられます。今や測量は単に地図を作るだけでなく、取得したデジタルデータを多方面に活かすフェーズへと入っているのです。


最新技術LRTKがもたらす新時代

このように測量技術はアナログからデジタル、2次元から3次元へと大きく進化してきました。そして現在、さらに新しい時代を切り拓く測量技術として注目されているのがLRTKです。LRTKとは、東工大発のスタートアップ企業レフィクシア株式会社が提供する最新のRTK-GNSSシステムの名称で、スマートフォンに取り付けて使うポケットサイズの測位端末です。スマホ一体型の超小型GNSS受信機で、専用アプリ「LRTK」を用いることでリアルタイムにセンチメートル級の測位を可能にします。


従来、RTK測量を行うには高価な受信機やアンテナ、一式数百万円にも及ぶ機材と専門的な設定が必要でした。またトータルステーションによる細密な測量も、機器の運搬やセッティングに手間がかかり、2人1組での作業が当たり前でした。しかしLRTKを使えば、これまで熟練の技術者チームで行っていた測量作業を1人でスマホ片手に実施できるのです。スマートフォンに小さなGNSS端末を装着してボタンを押すだけで、高精度な測位が誰にでも扱える時代が到来しました。


LRTKにはいくつかの製品ラインアップがあり、用途に応じて進化を遂げています。例えば「LRTK Phone」はスマホ装着型の基本モデルで、従来困難だった屋内での測位や、写真を撮るだけで被写体の座標を取得するといった機能まで備えています。また「LRTK Pro2」はプロ向けの高性能モデル、「LRTK 360」は360度カメラを組み合わせて現場の全方位写真と測位をリンクさせるソリューション、「LRTK LiDAR」はスマホのLiDARスキャナー機能を活用して手軽に点群測量を行う試みなど、スマートデバイスとGNSSを組み合わせたDX時代の測量ツールが次々に登場しています。


この最新のLRTK技術により、測量はさらに身近で効率的なものになりつつあります。ゼネコンの現場監督や中小建設業者はもちろん、インフラ管理に携わる技術者が日常業務の中でサッとスマホを取り出して測量・記録を行う、といった活用シーンが広がっています。高精度の位置情報をクラウド上で管理し、関係者と即座に共有することも容易です。将来的には、得られた精密な3D測量データをAR(拡張現実)で現場に重ねて表示し、その場で設計図との照合を行うといったことも当たり前になるでしょう。


測量という仕事は、一見地味なようでいて、技術革新によってここまでダイナミックに進化してきました。昔ながらの職人芸に支えられた測量から、誰もがスマホで計測できる測量へ——まさに隔世の感があります。これから測量を学ぶ皆さんも、ぜひ最新技術に触れてその面白さと可能性を実感してみてください。LRTKをはじめとするデジタル測量ツールは、あなたのフィールドワークを一変させる強力な相棒になるでしょう。新旧の技術を理解し融合させながら、未来の測量の担い手として活躍できる日を楽しみにしてください!


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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