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スマホ測量の新時代:単独スマホでセンチ精度を実現するLRTK

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

スマートフォンを使った測量、いわゆる「スマホ測量」が今、測量・建設・土木の現場で大きな注目を集めています。現場の出来形管理や地形測定をスマホ1台で完結できれば、技術者不足に悩む業界にとって大きな助けとなるでしょう。しかし従来、スマホの位置測定は誤差が数メートルと荒く、精度が要求される用途には使えないという課題がありました。また熟練の測量技術者の高齢化や人手不足が深刻化し、2024年の働き方改革関連法による残業規制も相まって、簡易で高精度な測量手法へのニーズが高まっています。こうした中、スマホに取り付ける小型デバイスと最新衛星補強技術によって単独スマホでセンチメートル級測位を実現する「LRTK」が登場しました。本記事では、スマホ測量の現状と課題から始め、高精度化の鍵となるRTK技術の解説、そしてLRTKの背景と特長、実用精度や操作性、導入による効果、注意点、将来展望までを体系的に解説します。記事の最後では、実際にLRTKで簡易測量を行った事例もご紹介しますので、「自分の現場でも使えるかも?」という視点でぜひ読み進めてみてください。


スマホ測量の現状と課題

近年、スマートフォンの性能向上により現場での測量にスマホを活用する動きが出てきました。特に最新のiPhoneやiPadにはLiDAR(光によるレーザー測距センサー)が搭載され、スマホをかざすだけで周囲の地形や構造物を短時間で点群データ化(3次元スキャン)することも可能です。また、写真測量アプリなどを使えばスマホで現場の3Dモデルを作成することもできます。こうした「スマホ測量」は、複雑な地形の把握や短時間での記録に威力を発揮し、従来は測りにくかった岩盤の複雑形状や狭い空間での測定を可能にしつつあります。人が立ち入れない危険な場所や、埋設物を埋め戻す前の一時的な状況を詳細に記録する手段として、スマホを活用した手軽な測量は大きな可能性を秘めています。


しかし現状のスマホ測量には精度という大きな課題がありました。スマホ内蔵のGPSに代表される通常の単独測位では、衛星信号の誤差や大気の影響によって5~10m程度の誤差が生じます。地図アプリでのナビ程度であれば数メートルの精度で問題ありませんが、建物の位置出しや土木工事の出来形確認などセンチメートル精度を要する測量には到底使えません。このため、現場では結局トータルステーション等の光学測量機器や従来型の重いGNSS機器に頼るしかなく、スマホはあくまで補助的な測位に留まっていました。また衛星測位は空が開けた環境でないと性能を発揮できず、森林の中やビル街では電波遮蔽やマルチパス(反射)の影響で誤差がさらに大きくなります。実際、樹木下でハンディGPSを使うと5m以上ずれるケースもあり、電波状況の悪い場所では「スマホだけでどこでも高精度に測る」のは難しいのが現状でした。


さらに、従来の高精度測量機器は操作に専門知識を要し、機器自体も数kgと重く2人以上で運用する場面が多いという問題もあります。機材コストも高額で、小規模事業者や自治体には導入のハードルが高いものでした。熟練の測量士が減少する中、こうした従来手法を維持するには限界があり、省力化と高精度を両立できる新たなアプローチが求められていたのです。


RTK測位技術の解説

スマホ測量の課題だった「精度」を飛躍的に向上させる鍵となったのがRTK測位技術です。RTK(Real-Time Kinematic)とは、衛星測位における誤差を補正するために基準局(基地局)と移動局(ローバー)間で測位データをリアルタイム共有し、共通の誤差要因を打ち消す手法です。簡単に言えば、GNSS(GPSやGLONASS、Galileoなど)の観測データに基準点からの補正情報を加えることで、単独測位では数メートルあった誤差を数センチメートルまで縮小できます。1990年代以降に実用化が進んだRTKにより、従来は静的な観測で半日かけて算出していた基準点も、数秒~数分で結果を得られるようになり、土木測量や建設機械の位置制御などで広く使われてきました。


RTK測位の一般的な精度は水平1~2cm、垂直3~4cm程度と言われ、リアルタイムにこの精度が得られる点が大きな利点です。ただし従来型のRTK運用には専用の無線機器やインターネット経由で基準局データを取得する通信環境が必要で、利用範囲も基地局から半径十数キロメートル程度に限定されるという制約がありました。また商用の補正情報サービス契約が必要な場合もあり、誰もが手軽に使えるものではなかったのです。


そこで登場したのが、基準局なしでもRTK並みの補正を実現するPPP-RTKと呼ばれる次世代方式です。日本においては、準天頂衛星「みちびき」が提供するCLAS(センチメータ級測位補強サービス)がこのPPP-RTKの仕組みを担っています。CLASは国土地理院の電子基準点網から生成した日本全国向けの誤差補正情報を、L6帯の電波で衛星から直接配信するサービスです。受信機がCLAS対応であれば、通信回線がなくても人工衛星からの補強信号だけでリアルタイムにセンチ級測位が可能となります。いわば「衛星を使った広域RTK」のような技術で、日本国内であれば誰でも無料で利用できる点が特徴です。従来のネットワーク型RTK(VRS方式など)のように携帯回線による常時通信や有料サービス契約が不要なため、山間部や海上など通信圏外の環境でも空が見えていればセンチ精度を維持できます。ただしCLASは国内の基準点データを前提としているため日本限定のサービスであり、国外では利用できません。それでも、このような衛星測位の高精度化技術の発展によって、「どこでも誰でもセンチ精度」で測位できる時代が現実味を帯びてきました。


LRTKの登場背景と特長

では、スマホを本格的な測量機器に変えてしまう鍵となる技術とは何でしょうか。その答えの一つがLRTK(エルアールティーケー)です。LRTKは「スマートフォン用の超小型RTK測位デバイス」と「専用アプリ・クラウドサービス」を組み合わせたソリューションで、スマホ測量を強力にサポートします。スマホ単体では得られなかったセンチ精度を補うために生まれた技術であり、背景には上述のRTKやCLASの進歩と、スマホのGNSS対応強化があります。近年のスマホは複数周波数・複数衛星系のGNSS受信に対応し、高精度測位データを扱う環境が整ってきました。こうした土台の上に、「誰でも使える携帯型のRTK機器をスマホと一体化する」という発想からLRTKは開発されています。


LRTKの専用受信機であるLRTK Phoneは、スマートフォンに装着して使用するよう設計された小型デバイスです。具体的な特長を挙げると次のようになります。


コンパクト・軽量設計: デバイス本体の重さは約165gとスマホ並みに軽く、厚さも1cm程度しかありません。スマホの背面に貼り付けるように装着でき、ポケットに入る測量機として持ち運びも簡単です。これまで三脚を立てて据え付けていたGNSS受信機を、スマホに取り付けて片手で持ちながら測位できるようになります。重い機材を担いで複数人で現場を駆け回る必要がなく、機動力が飛躍的に高まります。

センチメートル級の高精度測位: 高感度GNSSアンテナを内蔵し、RTK方式によって水平±1~2cm・高さ±3cm程度の精度で位置座標を取得できます。その精度は国家の1級測量機にも匹敵し、実際に高精度GNSS機器との比較試験では誤差5mm以内という結果も得られています。スマホ内蔵GPSでは5~10mの誤差しか出せなかったことを考えると、LRTKによってスマホが一気に測量機器レベルの精度を手にしたと言えるでしょう。緯度経度だけでなく高さ方向も正確に測定できるため、地形測量や出来形管理にも十分対応できる精度です。

長時間駆動 & 簡単接続: デバイスは内蔵バッテリーで約6時間連続動作し、USB Type-C経由で充電可能です。予備のモバイルバッテリーを用意すれば、長時間の測量作業にも耐えられます。スマホとの接続はBluetoothまたはLightningでシームレスにペアリングし、専用アプリを起動するだけで即座に高精度測位が始まります。複雑な初期設定や専用コントローラーは不要で、スマホさえあればすぐ使い始められる手軽さも特長です。

通信圏外でも測位可能: LRTKは日本の準天頂衛星みちびきが提供するCLAS衛星補強信号に対応しています。そのため山間部や災害現場など携帯電話の電波が届かない環境でも、衛星からの補正情報を直接受信してセンチ級測位が可能です。従来はネット経由で基準局データを取得するNtrip方式が一般的でしたが、LRTKなら通信インフラが途絶した現場でも衛星経由で高精度測位を維持できます(※通信可能なエリアでは国土地理院の電子基準点ネットワークを利用したネットワーク型RTKにも対応しており、用途に応じて使い分け可能です)。

衛星途絶時のセンサー連携: 一時的に衛星信号が受信できない場面でも、LRTKはスマホ内蔵の各種センサーやカメラと連携して測位を補完します。例えば橋の下や木々が生い茂る場所ではRTKが途切れがちですが、LRTKではiPhone/iPadのAR(拡張現実)技術や慣性センサーによる自己位置推定によって短時間なら測位を継続可能です。移動に伴って多少の誤差は蓄積しますが、従来まったく測れなかったエリアで連続してデータ取得が行えるのは大きなメリットです。

スマホならではの多彩な機能: LRTK専用アプリには、高精度測位以外にもスマホの性能を活かしたユニークな機能が充実しています。例えばiPhoneのLiDARスキャナとカメラを用いて現場を走査し、高精度な3D点群データをワンタッチで取得可能です。得られた点群には全球測位座標(経緯度・高さ)が付与されているため、従来のレーザースキャナのように後処理で位置合わせする手間がありません。また、設計データの3Dモデルを現場映像にAR表示し、ズレなく重ねて施工状況を確認することもできます。さらに撮影した写真に測位時の緯度・経度・方位をタグ付けして保存できる測位写真機能も備わっており、設備点検の記録や経年変化の比較に役立ちます。このほか指定した座標まで矢印で誘導する座標ナビゲーション(杭打ち位置の案内)や、取得した点群上で長さ・面積・体積を計測する機能など、一台のスマホであらゆる測量ニーズに対応できるオールインワン設計も大きな魅力です。これまで別々の機器やソフトで行っていた作業がLRTKとスマホだけで完結する価値は非常に大きいでしょう。

クラウド連携でデータ共有: 現場でLRTKにより取得した測位点や点群データは、ワンタップでクラウド同期できます。専用のLRTKクラウドサービス上で座標点や軌跡、写真、点群モデルを地図画面や3Dビューで閲覧したり、座標変換や距離・面積の測定、点群からの断面図作成などをブラウザ上で行うことが可能です。URLで関係者と共有すれば、相手は専用ソフトがなくても結果を確認できます。高価な点群処理ソフトがなくてもウェブ上で手軽に解析まで行えるため、現場とオフィスのデータ連携が飛躍的にスムーズになります。


以上のように、LRTKはスマホを用いた測量の可能性を大きく広げる数々の特長を備えています。まさに「手のひらサイズの持ち歩ける測量機」を実現する次世代デバイスと言えるでしょう。


実際の精度・操作性

LRTKが実現する精度は、現場での実測でもプロ仕様の測量機に匹敵することが確認されています。水平位置の精度はほぼ±1~2cm、垂直方向も±3cm程度となり、従来の光学式測量や高級GNSS機器と遜色ない数値です。実験では1級水準機との比較で5mm以下の差に収まるほど高精度であることが報告されており、スマホとは思えない測位精度が得られます。ただしこの精度を得るには衛星からの補強情報を受けて「Fix解(固定解)」と呼ばれる解法が確立している必要があります。LRTKアプリ上でステータスが「Fix」と表示されればセンチ精度、Fixに至らない場合(「Float」状態)は誤差がやや大きくなりますが、それでも従来の単独測位に比べれば格段に高精度です。通常、見通しの良い屋外であれば測位開始から30秒~1分程度でFixに収束します。


操作性の面でも、LRTKは専門知識がなくても扱えるよう配慮されています。実際の測量手順は非常にシンプルで、以下のような流れで行います。


機器とアプリの準備: スマートフォンの背面にLRTK端末を装着し、端末の電源をオンにします。iPhoneの場合は専用のLRTKアプリを起動し、Bluetoothで端末と接続します。準備ができたらできるだけ周囲に遮蔽物のない屋外に移動します。

高精度測位の開始: アプリ上で「測位開始」をタップすると、端末が自動的にGNSS衛星の捕捉を開始します。最初の数十秒間は誤差が数メートルありますが、みちびきからのCLAS補強信号を受信して内部処理が進むにつれ精度が向上していきます。空が広く開けた場所なら概ね30秒~1分程度で「Fix(固定)」解に切り替わり、センチメートル級の測位が可能な状態になります。

ポイントの測定と記録: 測りたい地点に移動し、必要に応じて付属の一脚(ポール)に端末を取り付けて安定させます。アプリ上の「測位」ボタンを押すとその地点の座標値を取得できます。数秒間連続で測位して平均値を取ることもでき、より安定した値を求められます。十分な精度が得られたら「保存」をタップして点データをスマホ内に保存します(点名やメモを付けて管理可能)。

データの共有・活用: 保存した測位データは必要に応じてまとめて活用します。スマホからワンタップでLRTKクラウドに同期すれば、オフィスのPCブラウザからすぐに全測点を地図上で確認したりCSVでダウンロードしたりできます。クラウド上では複数点間の距離や囲まれた面積を計測することも可能で、測量成果の図面作成や数量算出にも役立ちます。現場で取得したデータを即座に社内外で共有・解析できるため、関係者との情報共有や報告書作成もスムーズです。


以上のように、LRTKを使った測量ワークフローはきわめて簡便です。従来のような高度な測量スキルや煩雑な機器操作はもはや必要ありません。スマホ操作に慣れていない方でも直感的に扱えるアプリ設計になっており、まさに「測る→保存→共有」がボタン操作だけで完結します。数分もあればセンチ精度の測位データが取得できるため、現場作業の合間に追加の測量をこなしたり、急な計測依頼にもすぐ対応できます。高精度測位をここまで身近で手軽なものにしたLRTKは、まさに「スマホが高性能測量機に変身」すると言えるでしょう。


業務での導入効果

LRTKによるスマホ測量を導入すると、現場業務にはさまざまな効果・メリットが期待できます。以下に主な導入効果をまとめます。


省人化と効率アップ: 従来2人1組で行っていた測量作業も、LRTKがあれば1人で完結できます。例えば出来形測量(施工後の仕上がり確認)では、1人がポールを持ちもう1人が記録するといった手順が必要でしたが、LRTKなら一人で点の測定と記録が可能です。ある現場では杭打ちの位置出し作業にLRTKを用いた結果、従来比で所要時間が半分以下に短縮できたという報告もあります。人手不足の中でも測量作業を滞りなく進められ、生産性向上に直結します。

コスト削減と導入ハードル低下: スマホと小型デバイスの組み合わせで済むLRTKは、初期投資を大幅に抑えられます。既存のスマートフォンを活用しつつ、LRTK端末自体も従来の大型測量機器に比べ圧倒的に低コストです。これまで高精度測量は外注せざるを得なかった中小建設業者や自治体でも、手の届く価格で自前で導入できるようになります。少人数でも社内で測量を完結できるため外注費の削減にもつながります。

データ精度・品質の向上: LRTKにより誰でも高精度な現地データを取得できるようになると、これまで部分的にしか取れていなかった情報を網羅的に収集できるようになります。例えば広範囲の地形をスマホで点群スキャンして施工前後の地表面全体を比較するといったことも容易です。点群データを活用すれば地形の微妙な変化や出来形のわずかな差異まで可視化でき、品質管理の精度が高まります。従来は経験や勘に頼っていた箇所もデータに基づいて判断できるため、施工管理の高度化に寄与します。

リアルタイムな情報共有: LRTKクラウドを使ったデータ共有により、現場で測った情報をその場で本社や関係者とリアルタイム共有できます。測量結果をすぐクラウドに上げて、遠隔地のメンバーがブラウザで確認したり解析したりできるため、現場とオフィス間のコミュニケーションが円滑になります。報告書作成もスピードアップし、意思決定の迅速化につながります。特に災害対応や緊急の工事では、この即時共有が復旧の初動を大きく左右します。

安全性の向上: スマホ測量は軽量機材で離れた場所からでも測定可能なため、作業員の安全確保にも役立ちます。これまで人が立ち入るのが危険だった場所(崖崩れ箇所やトンネル内部など)でも、スマホのカメラとLiDARで離れた位置から3D計測して状況を把握できます。無理に危険箇所に入って測ろうとしていた従来手法に比べ、LRTKは安全にデータ収集を行う新たな手段を提供します。

技術伝承とDX対応: 直感的に操作できるスマホ測量の登場は、若手技術者への技能移転やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも貢献します。難しい測量理論を習得しなくても、スマホ操作に慣れた世代であればすぐに実践できるため、新人でも短期間で戦力化できます。また、国土交通省が推進するi-Constructionなどの政策で3次元測量データの活用が求められる中、LRTKなら比較的簡単にその要件を満たすことができます。結果として現場のデジタル化・スマート化を加速させ、業界全体の働き方改革と生産性向上に寄与するでしょう。


このように、LRTKの導入は現場測量の省力化・低コスト化・高精度化を同時に実現し、作業フローや成果品の質にも良い影響をもたらします。スマホ測量はこれからの現場の新常識になりつつあり、テレビや新聞などのメディアでも先端技術として取り上げられるなど注目が高まっています。


注意点(導入時の留意事項)

非常に有用なLRTKですが、導入・運用にあたって留意したいポイントもいくつかあります。


測位環境に留意: GNSS測位は基本的に上空の見通しが良い環境で最大の性能を発揮します。周囲を高い建物に囲まれた都市部や、森林の中など衛星視野が狭い場所ではFixに時間がかかったり精度が一時的に低下する場合があります。なるべく空が開けた場所で測位開始し、衛星を十分捕捉してから測定に移ると安定した結果が得られます。特に初めて測位する現場では、事前に衛星受信状況を確認しておくと安心です。

「Fix解」を確認: 前述のとおり、センチ精度を得るにはアプリ上で解がFix(固定)状態になっていることが条件です。測定時にはステータス表示を確認し、Fixが確立してから記録を取りましょう。Fixに至らないうちは誤差が大きい可能性があるため、重要な測定では少し待って精度が収束するのを待つか、受信状況を改善する(場所を移動する、時間をおく)などの対応が必要です。また、測定中に衛星が途絶してFloat解に戻ることもあるため、常に現在の測位モードを把握しながら作業すると確実です。

デバイスの取り扱いと電源: LRTK端末は精密なGNSSアンテナを内蔵しているため、スマホに装着する際はアンテナ部分を手で覆い隠さないよう注意しましょう。測位中にスマホを持つ手で端末を塞いでしまうと受信感度が落ちる場合があります。またバッテリーは約6時間持続しますが、長時間の連続測量では途中でモバイルバッテリーなどから充電できるよう準備しておくと安心です。寒冷地ではバッテリー性能が低下しやすいため、端末を冷やしすぎない工夫も有効でしょう。

CLAS利用とエリア: LRTK最大の特長であるCLAS補強は、日本国内専用のサービスです。海外や日本以外の地域で利用する場合はCLASが使えないため、その際はインターネット経由で利用できる現地のRTK補正サービスを別途契約する必要があります(LRTKはNtrip方式のネットワークRTKにも対応しています)。国内でも、みちびき衛星が常に頭上にあるわけではないため、山陰や高緯度地域では一時的に衛星補強が受信できない時間帯が発生する可能性があります。ただしみちびきは今後衛星数の増強が予定されており、衛星補強信号の受信性は年々改善していく見込みです。

従来手法との併用: LRTKは多くの測量業務を置き換えられるポテンシャルを持ちますが、場合によっては従来手法との併用も検討すべきです。例えばミリ単位の精度が必要な精密変形計測や、ごく狭い範囲での基準高さの厳密な検証など、RTKでもカバーしきれない要求精度の現場もあります。そのようなケースではトータルステーションやレベル(水準器)による追加計測を行い、相互に結果を確認することで安全側に検証できます。また、公式な境界確定測量など法律上資格者による測量が必要な業務では、LRTKで取得したデータを補助的に活用しつつ、最終的な帳票は有資格者がチェックするなどの運用が望ましいでしょう。新技術のメリットを活かしつつ、目的に応じて適材適所で活用することが大切です。


将来展望:スマホ測量がもたらす未来

LRTKによって実現した「スマホでセンチ精度測位」という技術革新は、これからの土木・建設業界に大きな変化をもたらすと期待されています。今後の将来展望として、いくつかのポイントが挙げられます。


まず、高精度GNSS環境のさらなる改善です。日本の準天頂衛星システム「みちびき」は現在4機体制ですが、近い将来予備機含め7機体制へと強化される計画があります。また2025年にはCLAS補強信号の多重化(マルチストリーム化)により、一度に補強できる衛星数が大幅に増えるアップデートが予定されています。これにより都市部など衛星視野の限られる環境でもより安定して複数衛星の補正を受けられるようになり、精度と可用性が一段と向上するでしょう。海外でも欧州のGalileoが高精度測位サービスを始めるなど、衛星補強技術は世界的に進化しています。今後はスマートフォン側もそれら新しい補強信号に対応していくことで、地球上ほぼどこでもスマホ測量が可能な時代が訪れるかもしれません。


次に、スマートフォン自体の進化と普及です。既にAndroidスマホではL1/L5デュアル周波数測位対応の機種が登場し、iPhoneも「正確な位置情報」オプションで測位精度を高める工夫がされています。将来的にはスマホ標準のGNSS機能でさらに精度が向上し、LRTKのような外付けデバイスなしでもある程度の高精度が得られる可能性もあります。ただしアンテナの大きさや専用性では専用デバイスに分がありますので、スマホ+補助デバイスという形はしばらく主流でしょう。いずれにせよ誰もが持つスマホが測量機になるインパクトは非常に大きく、測量技術の裾野が広がることで新たなアプリケーションやサービスも生まれてくるはずです。


また、ARやAIとの融合も進むでしょう。LRTKが実現したような高精度AR表示(設計モデルと現場映像の重ね合わせ)は、将来さらに洗練されて、例えばARグラスをかけて現場を見渡すだけで施工指示や検査チェックができるようになるかもしれません。取得した点群データをAIで解析して自動で出来形判定を行ったり、地形変化をリアルタイム検知して警報を出すシステムなども考えられます。スマホ測量で集めた大量の現場データは、デジタルツインやシミュレーション技術と組み合わせることで、施工計画の最適化や維持管理の高度化にも役立つでしょう。


業界の動きとしても、スマホ測量が現場の標準になっていくことが予想されます。すでに一部の先進的な建設会社や自治体ではLRTKのような技術を取り入れ、作業効率と精度の向上を実感し始めています。教育機関でも次世代の測量教育にスマホを用いた手法を取り入れる動きが出てくるかもしれません。国の政策面でも、BIM/CIMやi-Construction推進の流れにスマホ測量は合致しており、普及を後押しする制度整備が進む可能性があります。例えば簡易な出来形管理にスマホ計測を認める基準が策定される、といったことも今後考えられるでしょう。


総じて、2025年以降はスマホ+GNSS+クラウドという組み合わせが土木測量の一つの主流になり、現場DXの切り札としてさらなる省人化・効率化を実現していくと考えられます。高精度測位のハードルが下がった今、「誰が」「どう使うか」という応用次第で現場の風景は大きく変わります。技術者の方々にはぜひこの最新技術であるLRTKの導入を前向きに検討していただき、スマホ測量がもたらす利便性と革新性を現場で実感してほしいと思います。未来の測量スタイルをリードする一員として、新時代の波に乗ってみませんか?


実例紹介:LRTKによる簡易測量が活躍したケース

最後に、実際にLRTKを現場導入して効果を上げた活用事例を一つご紹介します。例えば福井県福井市では、2022年の豪雨災害の復旧現場に試験的にLRTK Phoneを導入し、被災箇所の測量を迅速化する取り組みを行いました。担当職員がiPhoneにLRTKを取り付けて被災地の地形データを短時間で取得し、現地に測量士を派遣しなくてもその場で必要な測量が完結したのです。その結果、崩壊した法面の体積を点群データから即座に算出したり、崩落した道路の寸法を現地で即時に測定したりといったことが可能となり、早期復旧の計画立案に大いに役立ちました。この試験導入の成果は[ニュース記事](https://news.yahoo.co.jp/articles/363a7f5dd8ee7b325503aa13d28fce0c600d67f9)でも紹介されており、通信インフラが麻痺しかけている状況でも衛星補強信号を使って正確に測位できたことで、孤立した被災地の状況を即座に把握し後方支援チームとデータ共有できたと報じられています。従来なら専門機関へ応援を仰ぐしかなかった災害測量を自前でこなせた点は、コスト削減と初動対応のスピード向上の両面で大きな成果と言えます。


このように、LRTKによるスマホ測量は実際の現場で確かな効果を上げ始めています。センチ精度を手軽に活用できるメリットは災害対応に限らず日常の測量・施工管理にも及ぶものです。まさにスマホ測量の新時代が幕を開けたと言えるでしょう。あなたの現場でも、LRTKを活用した簡易測量で業務の効率化と高度化を実現してみてはいかがでしょうか。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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