top of page

法面管理に役立つドローン点群解析とは 活用事例と導入効果6選

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均5分で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

ドローン点群解析とは


災害復旧での活用

維持管理での活用

施工管理での活用

安全点検での活用

出来形管理での活用

経年変化の比較での活用

ドローン点群解析導入による効果

高精度測位とLRTKの活用

まとめ


ドローン点群解析とは


法面管理とは、道路沿いや造成地などに造成された人工斜面(法面)の状態を把握し、安全性や安定性を維持するための管理業務です。日本全国に維持管理の対象となる法面は無数に存在しており、その点検・測量はインフラの安全性を支える重要な仕事です。法面測量の目的は大きく二つあり、ひとつは施工中・直後の品質管理(設計通りに造成されているかの確認)、もうひとつは完成後の維持管理や災害対応です。従来、法面の測量や点検は測量技術者がトータルステーションやレベルなどを用いて数点の高さや勾配を測定したり、危険な急斜面に直接立ち入って目視確認する方法が主流でした。しかしこの方法では広い斜面全体の形状を把握するには限界があり、多大な労力と時間がかかる上、安全面のリスクも伴っていました。また、測定点数が限られるため斜面全体の形状は一部の断面データから推測するしかなく、細かな変状を見逃す恐れもありました。


近年、この課題を解決する手段として注目されているのが「ドローン点群解析」です。ドローン(小型無人航空機)を使って法面を上空から撮影し、写真測量(フォトグラメトリ)やレーザー計測によって3次元の点群データを生成します。点群データとは、対象物の表面形状を無数の点の集合で表現した3D測量データで、各点に座標(X・Y・Z)情報が含まれています。ドローンを飛行させて斜面全体を撮影すれば、数十万から数百万に及ぶ点で構成された高密度の3次元モデルを構築でき、斜面全体の形状を余すところなくデジタルに記録できます。従来は法面上の限られた点しか測れませんでしたが、この技術により斜面全域を安全かつ効率的に「丸ごと採寸」できるようになったのです。樹木に覆われた法面では、レーザースキャナー搭載ドローンを用いることで枝葉の隙間から地表の点群を取得し、植生下の地形を把握することも可能です。


こうして得られた点群データを専用の解析ソフトウェアで処理することで、法面の勾配や高さ、土量など様々な情報を計測したり、地形図や断面図を作成したりできます。また高精度な位置情報と組み合わせることで、設計図面や既存の地形データと重ね合わせた解析も可能です。つまり、ドローン点群解析とはドローンで取得した3次元データを活用して法面の状態を詳細に把握・分析する手法であり、法面管理に革命をもたらす新技術として期待されています。


災害復旧での活用

法面が崩壊する災害が発生した場合、迅速かつ安全な状況把握が求められます。そのニーズから、近年では自治体や道路管理者が災害時の初動対応にドローンを活用する例も増えています。従来は作業員が危険を承知で崩壊現場に近づいて測量したり、目視で被害範囲を推測するしかありませんでしたが、ドローンを使えば離れた場所からでも短時間で現場全体を把握できます。例えば、数ヘクタール規模の斜面崩壊であっても、ドローンなら約20分の飛行で現況をほぼカバーでき,人力では1日以上かかる範囲を短時間で記録できます。


大規模な土砂崩れが起きた際も、ドローンで上空から法面の崩落範囲や土砂の堆積状況を撮影し、点群データを生成すれば、崩落土量(崩れ落ちた土砂の体積)を正確に算出することが可能です。崩壊箇所の3次元モデルを得ることで、応急処置が必要な箇所や二次災害のリスクがある場所も立体的に把握でき、復旧工法の検討や重機の配置計画に役立ちます。また、現場で取得したデータをすぐに関係者と共有できるため、離れた事務所にいる上司や災害対策本部ともリアルタイムで状況を共有し、意思決定を迅速化できます。さらに、生成した3Dモデル上で復旧工事のシミュレーションを行い、仮設道路の配置や重機の搬入経路を検討するといった活用も可能です。ドローン点群解析により、災害直後の危険な現場に人が立ち入らなくても、安全に詳細データを得られるため、復旧計画の立案までの時間短縮と作業員の安全確保に大きく貢献します。


維持管理での活用

法面の維持管理業務にもドローン点群解析は有効です。従来、法面の定期点検は監視員が地上から目視で異常を探したり、一部の危険箇所のみを測定する方法が一般的でした。しかし、ドローンで法面全体の現況をスキャンすれば、肉眼では見落としがちな微小な変化や劣化も3次元データ上で捉えられます。例えば、斜面表面のわずかな膨らみや亀裂の発生、法面を覆う植生の状態変化なども、点群データを解析することで客観的に検出可能です。さらに、従来は数人がかりで丸一日かけていた法面の定期点検も、ドローンを使えば1名で短時間に完了し、複数箇所を1日で巡回することも可能になります。こうしたデータに基づけば、早期に補修すべき箇所を的確に把握でき、軽微なうちに対策工事を施すことで大規模崩壊の予防につながります。また、複数年度にわたる計測データを蓄積しておけば、過去との変化を比較して経年劣化の傾向を分析することができ、長期的な維持管理計画の立案にも役立ちます。小さな異常を見逃さず対処できるため、結果的に大規模補修や災害復旧にかかるコスト削減にも繋がります。ドローン点群解析の活用によって、日常の巡回点検や定期検査の精度と効率が向上し、法面の健全度を継続的に高いレベルで維持管理できるようになります。


施工管理での活用

法面の新設工事や補強工事といった施工現場でも、ドローン点群解析が施工管理に活用されています。工事中の斜面を定期的にドローンで空撮して3次元計測すれば、施工の進捗や地形の変化を逐次把握することができます。例えば、掘削や盛土によって法面を形成している場合、施工前後の地形をそれぞれ点群データ化して比較することで、どれだけ土を削ったか盛ったかといった土量(体積)を正確に算出できます。これにより、出来高(施工量)の算出や工程管理が自動化・高精度化され、従来の手作業による断面計算に比べて大幅に効率が向上します。また取得した点群を設計図面上の計画面と重ね合わせれば、現在の法面形状が設計通りの勾配・高さになっているか一目で確認でき、必要に応じて早期に手直しを行うことができます。これにより、施工途中での手戻りを減らし、品質確保と工期短縮につなげることができます。さらに、現場で生成した3Dモデルを関係者間で共有すれば、施工担当者だけでなく設計者や発注者もリアルタイムに進捗状況を把握でき、情報共有が円滑になります。現場によっては毎週ドローン測量を実施し、細かな出来高を常時モニタリングしている例もあります。現場では測量作業のために作業を中断する必要も少なくなるため、他の重機作業と並行して安全に現況把握が可能です。ドローン点群解析を活用した施工管理は、現場の効率と生産性を高め、確実な品質確保を支える強力なツールとなっています。こうした3次元計測技術の活用は、国土交通省が推進するICT施工(i-Construction)の一環としても奨励されており、法面工事への導入が進みつつあります。


安全点検での活用

道路沿いや山腹の法面では、豪雨や地震の後などに安全点検を行うことが欠かせません。人の立ち入りが危険な急斜面でも、ドローンを使えば離れた場所から詳細な観察が可能です。ドローン点群解析により、崩落の前兆となる亀裂の発生や、小規模な土砂の崩れ落ち、岩石の緩み(浮石)の有無などを立体的なデータで把握できます。高解像度の写真と点群を組み合わせれば、地上からは見えにくい法面上部の異常も漏れなく検出できます。また、ドローンは人が立ち入れない斜面上空を自在に飛行できるため、あらゆる角度から観察でき見落としを減らせます。さらに、ドローンで取得した点群データをもとに危険箇所の位置や規模を正確に測定できるため、補強工事や通行止め等の判断を的確に行うことができます。道路管理者は大雨直後にドローンで法面を点検し、安全を確認してから通行止めを解除するといった運用も可能になります。従来は専門技術者がロープを使って斜面を登り、綱渡りのように目視点検する場面もありましたが、ドローン活用によりそうした危険な作業を大幅に減らすことができます。これにより、作業員の安全を守りつつ点検の精度も向上し、道路利用者や周辺住民の安全確保に繋がります。なお、このようなドローンによる高所点検は定期的な安全巡視にも活用され始めており、点検業務の効率化と記録のデジタル化に貢献しています。


出来形管理での活用

法面工事の完成後の品質確認である出来形管理においても、ドローン点群解析は大きな威力を発揮します。従来、完成した法面は一部の断面を測定し、設計図と照合して勾配や寸法を確認するのが一般的でした。しかし点群データを取得すれば、斜面全体をデジタルデータとして記録できるため、法面全域にわたって設計形状とのズレを網羅的に検査できます。例えば、吹付コンクリートで保護された法面であれば、点群上で設計モデルと比較してどの箇所の厚みが不足しているか、局所的に出っ張りや凹みがないかを色分けした差分図で可視化できます。人力では測りにくい複雑な地形であっても、点群なら隅々まで測定が及ぶため、検査漏れがなく品質管理の信頼性が向上します。国も3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)を策定し、法面工事などでの点群データ活用を推進しています。ドローン点群解析による出来形管理を導入することで、効率的で精度の高い検査が可能となり、施工品質を裏付ける客観的なデータを残すことができます。さらに、この手法により検査工程も迅速化され、従来数日を要していた出来形確認を短時間で完了できるケースもあります。また、検査データが電子化されることで、発注者への成果提出や関係者間での情報共有もスムーズになります。


経年変化の比較での活用

ドローン点群解析で取得したデータは、経年変化の分析にも活用できます。従来は長年にわたる地形変化を正確に把握することが難しく、経験や目視での推測に頼らざるを得ませんでした。しかし、過去と現在の点群データを比較することで、こうした変化に明確な裏付けを得ることができます。


例えば、同じ法面を異なる時期に繰り返しスキャンしておけば、それらの3次元データ同士を比較することで、年月による地形変化を定量的に把握できます。施工直後の法面と数年後の法面の点群を重ね合わせると、表面の浸食でどれだけ土砂が流出したか、あるいは全体的に土圧で膨らんできていないかなど、肉眼では分かりにくい変化も明確に捉えられます。変化量を色分布図として可視化すれば、どの場所がどの程度動いているか一目で把握でき、早期の補強が必要な箇所を判断する資料となります。また、万一大規模な崩壊が起きた場合でも、直前のデータと比較することで、崩落土量や崩壊範囲を正確に把握できます。例えば、5年おきに点群計測を行ってデータを蓄積しておけば、10年後や20年後の地形変化も科学的に評価することが可能です。このように、過去の点群データを資産として蓄積しておくことで、将来の維持管理や災害対応に活用することができ、法面管理の計画策定や意思決定の高度化に寄与します。


ドローン点群解析導入による効果

ドローン点群解析を導入することで、法面管理の現場では次のような効果が期待できます。


まず、コストの削減につながります。従来は複数人で長時間かけていた測量作業をドローンで効率化できるため、人件費や機材コストが減少します。また、早期に異常を検知して小規模な補修で済ませられれば、大規模な崩壊対応にかかる費用を抑制できます。さらに、法面に足場を組んだり道路規制を行って人が作業する場合と比べて、ドローンによる非接触計測なら付帯作業にかかる費用も削減できます。例えば、従来は測量のために道路の通行規制が必要だった現場でも、ドローンを活用すれば規制時間の短縮や無規制化が期待でき、第三者への影響も軽減されます。


次に、作業効率の向上が挙げられます。ドローンで広範囲を短時間で測量でき、データ処理もソフトウェアが自動化するため、従来数日かかった作業が数時間で完了します。また、経験豊富な技術者が不足する現場でも、ドローンを使えば少人数で広範囲の測量が可能となり、人手不足の対策にもなります。測量のために工事を中断する時間も減り、現場全体の工程がスムーズになります。さらに、一度取得した点群データから必要な計測結果(断面図作成や体積算出など)を何度でも得られるため、現場での追加測量の手戻りも防げます。


安全性の向上も大きなメリットです。危険な急斜面上での測量や点検作業をドローンに置き換えることで、作業員が高所や崩れやすい現場に立ち入るリスクを低減できます。災害直後の不安定な斜面にも人を派遣せずに済むため、二次災害から作業者を守ることができます。さらに、道路上での作業時間が減ることで、第三者への事故リスクも軽減されます。


また、測量精度の改善も期待できます。点群データは斜面全体の形状を高密度に記録するため、従来見逃していた微細な凹凸や変化も捉えられます。多数の点を平均化して解析することで、人力測量の単点観測よりばらつきが少なく、安定した精度で地形を把握できます。適切に基準点を設置すれば、位置精度もセンチメートル単位で確保でき、設計図との厳密な比較が可能となります。さらに、従来は法面上で数十箇所を測るのが精一杯でしたが、ドローンでは数百万点のデータを取得でき、地形の詳細度が桁違いです。また、計測結果がデジタルデータとして残るため、誰が作業しても同じ結果が得られやすく、属人的な誤差を減らすことができます。


報告書の品質向上にも寄与します。取得した3次元データから作成する図面や可視化資料は、関係者にとって非常に分かりやすいものになります。例えば、従来は紙の図面と数値のみで説明していた内容も、点群の立体図や断面図を用いれば一目で状況を理解できます。客観的なデータに基づく報告は発注者や住民の信頼感を高め、説明・協議も円滑になります。さらに、データがクラウド経由で即時共有できるため、離れた関係者とも同じ情報を見ながらスピーディに検討を進めることができます。さらに、タブレット端末上で点群データと現場映像を重ね合わせるAR(拡張現実)技術も登場しており、図面では伝わりにくい空間的な情報を現地で直感的に共有することも可能になっています。


最後に、意思決定の迅速化が挙げられます。ドローンで現場を記録すれば、現況データを即座に共有できるため、その場で問題点の検討や対策の協議が行えます。従来なら測量結果の整理を待ってから判断していた事柄も、その日のうちにデータを確認して結論を出せます。情報共有と判断がスピーディになることで、工事のやり直し防止や緊急対応の遅れ防止につながります。上層部への報告や発注者への連絡も迅速に行えるため、意思決定のプロセス全体が効率化します。


高精度測位とLRTKの活用

ドローン点群解析の効果を最大限得るためには、基準点となる高精度な測位が不可欠です。そこで役立つのが、スマートフォンに装着できる高精度GNSS受信機であるLRTKです。LRTKをiPhoneに取り付けてRTK測位を行えば、従来は高価な専門機器が必要だったセンチメートル級の測位が手軽に実現できます。このデバイスを活用することで、ドローン撮影の際の標定点測量や現地での座標確認作業を効率化できます。例えば、法面の空中写真測量を行う前に、現地に数点の既知点(標定点)を設置しておく必要がありますが、LRTKを使えば短時間で正確な座標を取得し点の設置作業を完了できます。また、出来形管理で設計図上の座標と実際の法面位置を照合する際にも、スマホでその場の座標を確認できるため、迅速に検証が行えます。さらに、LRTKの登場により、中小の建設業者や自治体職員でもスマホを用いた高精度測量を手軽に実践できるようになり、ドローン点群解析導入のハードルが大きく下がっています。このように、新しい高精度測位ツールを導入すれば、ドローン点群解析で得られたデータの信頼性をさらに高め、現場作業の効率を一段と向上させることができます。


まとめ

本記事では、法面管理におけるドローン点群解析の活用事例と導入効果を6つ紹介しました。災害復旧から日常の維持管理、施工中の品質管理や安全点検、さらには出来形検査や長期的な地形変化の分析まで、幅広い場面でドローン点群解析が役立つことがお分かりいただけたかと思います。ドローンを活用した3次元測量により、従来の方法では難しかった効率化・高精度化・安全性向上を同時に実現でき、法面管理業務は大きく変わりつつあります。国や自治体もこれらのICT技術を活用した先進的な取り組みを推進しており、今後ますます普及が進むことが予想されます。まだドローン点群解析を導入していない現場でも、試験的にでも導入してみることで、その利便性と効果を実感できるでしょう。さらに、ドローン計測と組み合わせてスマートフォン対応の高精度GNSSデバイス(LRTKなど)を活用すれば、基準点設置も容易になり、現場での運用が一層スムーズになります。ドローン点群解析と最新技術の活用によって、法面管理の安全性・効率性・信頼性は飛躍的に高まります。また、これらの技術の導入は建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)にも寄与し、従来の経験や勘に頼る管理からデータに基づくスマートな管理への転換を後押ししています。ぜひ新たな技術を現場に取り入れ、より安心・安全なインフラ維持管理に役立ててください。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page