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法面緑化の保水材選定で乾燥枯れと過湿不良を抑える6基準

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

法面緑化では、植物が利用できる水分を確保しながら、降雨後に余分な水が抜け、根圏へ空気が戻る植生基盤をつくる必要があります。そこで検討対象になるのが保水材です。ただし、保水材は多く入れれば安全というものではありません。排水条件や基盤配合との組み合わせが悪いと湿潤状態が長引き、根の酸素不足や発芽・初期生育の不良、基盤の軟化などにつながるおそれがあります。反対に、保水性が不足すると、薄い基盤や日射・風の影響を受ける場所で水分が急減し、乾燥枯れのリスクが高まります。


保水材選定の目的は、単純に水をためることではありません。降雨や散水で得た水の変動を緩和し、植物が利用しやすい水分を確保しつつ、過剰な水は排出できる状態を整えることです。そのためには、材料単体の吸水量だけでなく、法面の勾配、地山の土質・岩質、湧水と排水、施工方式、植生基盤の厚さ、方位、風、植物種、施工時期まで含めて判断します。


本記事では、法面緑化の実務担当者が乾燥枯れと過湿不良の両方を抑えるために確認したい6つの基準を、現場で使える判断手順に落とし込んで解説します。


目次

法面緑化で保水材選定が重要になる理由

基準1 保水量と排水回復性をセットで評価する

基準2 植生基盤の厚さと施工方式に合わせる

基準3 法面の土質・岩質・勾配から水の動きを読む

基準4 方位・日射・風・降雨の偏りを反映する

基準5 植物種と発芽から定着までの水分要求を合わせる

基準6 耐久性・安全性・施工管理性まで確認する

乾燥枯れと過湿不良を現場で見分ける方法

保水材選定を失敗しない実務フロー

保水材選定で起こりやすい失敗と改善策

まとめ:保水と排水の両立が法面緑化の成否を分ける


法面緑化で保水材選定が重要になる理由

法面では、植生基盤が薄い、地表水が斜面下方へ流れやすい、日射や風を受けやすいといった条件が重なると、水分変動が大きくなります。とくに発芽直後の幼植物は根の分布が浅く、利用できる水分範囲が狭いため、短期間の乾燥でも影響を受ける場合があります。ただし、乾きやすさは方位だけで決まらず、基盤厚、表面被覆、地山との接触、降雨の強さや間隔、周辺地形によって変わります。


一方、法面が常に乾きやすいとは限りません。湧水がある箇所、背面から水が供給される切土法面、流下水が集まる凹部、排水経路が不足する箇所、法尻付近では湿潤状態が長引くことがあります。土壌や基盤の空隙が水で満たされた状態が続くとガス交換が遅くなり、根圏が低酸素状態になって根の呼吸や養水分吸収が阻害されます。症状の出方は植物種と継続時間で異なりますが、過湿を単なる「水が多い状態」と軽く見ないことが重要です。


国土技術政策総合研究所の手引きでも、のり面緑化の調査項目として、気象条件、緑化材料、地山の土質・岩質、方位、勾配、湧水、排水工などを一体で確認する考え方が示されています。また、流下水が集中する箇所や湧水箇所では、地表・地下排水工を検討するよう整理されています。保水材は、この現場条件を把握した後に選ぶ材料であり、排水計画の代替にはなりません。


したがって、法面緑化で求めるべきなのは「乾かない基盤」ではなく、「乾燥の進行を緩和し、降雨後は必要な通気性へ戻れる基盤」です。保水材の効果は、基盤材の粒度、繊維質材料、肥料、接合材、施工厚、地山との密着、排水条件によって変わります。カタログ上の最大吸水量だけでなく、実配合での吸水、排水、乾燥、再吸水の挙動を見る必要があります。


また、施工直後の発芽や被覆率だけで成否を判断しないことも大切です。法面緑化は、目標とする植物群落を設定し、施工後の推移を確認しながら定着へつなげる取り組みです。長期調査では、施工当年の被覆率が低くても、工法の侵食防止機能を確保しながら目標群落へ移行した例が報告されています。初期の見栄えと長期的な定着は分けて評価します。


基準1 保水量と排水回復性をセットで評価する

第一の基準は、保水量と排水回復性をセットで見ることです。本記事でいう「排水回復性」とは、降雨や散水後に余剰水が抜け、根圏に空気を含む空隙が戻っていく挙動を指します。これは材料単体の一つの数値ではなく、基盤配合、施工密度、地山、排水条件を含めて確認する項目です。


最大吸水量や吸水倍率は比較指標の一つですが、それだけでは植物が利用できる水分量や、降雨後の透水性を判断できません。高吸水性高分子を対象とした研究レビューでは、保水効果が土性、塩類濃度、添加量に左右され、膨潤時には粗い空隙が塞がれて透水性が低下する場合があること、過剰添加が生育低下につながる例があることが整理されています。したがって、「吸水倍率が大きいほど優れる」という選び方は避けます。([J-STAGE][1])


また、材料中に保持された総水分と、植物が利用しやすい水分は同じではありません。必要に応じて、材料供給者が示す保水特性、実配合での含水率推移、土壌水分特性に関する試験データを確認します。資料に試験条件が記載されていない場合は、使用水、温度、基盤材、添加率が現場条件と合うかを問い合わせることが大切です。


比較試験は、候補材料を実際に使用する基盤材へ混合し、無添加区を含めて同じ条件で行います。初期重量、加水量、容器形状、排水孔、締固め程度、温度、測定時刻をそろえ、散水直後、排水後、一定時間後の重量や含水状態を記録します。排水量、表層と内部の水分差、乾燥後の再吸水のむらも確認すると、材料間の違いを把握しやすくなります。


ただし、手で握った感触や小型容器による確認は、配合を絞るための補助試験です。正式な品質試験や設計照査の代わりにはなりません。重要度の高い工事では、関係者が合意した試験方法を用い、必要に応じて透水性、保水特性、湿潤時の強度や付着性を専門機関で確認します。


材料区分だけで性能を決めつけることも避けます。樹脂系、繊維系、有機質系、鉱物系など、保水に寄与する材料や基盤構成材にはさまざまなものがありますが、同じ区分でも粒径、形状、配合、品質、施工方法で挙動は変わります。材料名ではなく、実配合における保水、排水、通気、施工性のバランスで判断します。


基準2 植生基盤の厚さと施工方式に合わせる

第二の基準は、植生基盤の厚さと施工方式に保水材を合わせることです。種子散布工、客土吹付工、植生基材吹付工などは、形成する層の厚さ、材料の粘性、施工機械が異なります。適用する仕様書によって工法区分や標準的な厚さも定められるため、保水材だけを先に決めず、設計図書に示された工法と配合条件から検討を始めます。


薄い基盤は貯留できる水量が限られ、外気の影響を受けやすいため、含水状態が変化しやすくなります。製品や配合によっては、吸水・乾燥に伴う膨潤収縮が表面状態へ影響することもあります。薄層で採用する場合は、保水量だけでなく、材料の均一分散、表面保護、基盤の連続性、地山への密着を確認します。


厚さのある基盤では、表面と内部で水分状態が異なることがあります。表面が乾いて見えても、地山との境界付近や凹部に水が残る場合があるため、確認は複数の深さで行います。地山が難透水性で界面排水が悪い現場では、保水材の増量より先に、導水経路や排水対策を検討します。


施工方式による練り混ぜ、圧送、吹付けの影響も見逃せません。吸水の速い材料は混合水を取り込み、粘性や流動性を変える可能性があります。投入順序や混合時間が適切でないと、ダマや濃度むらが生じることもあります。材料供給者が示す投入手順、使用可能な機械、混合水量、可使時間を確認し、現場で独自に変更しないよう管理します。


少量混合では均一でも、実機規模では分散しにくい材料があります。必要性と工事規模に応じて、実際の施工機械に近い条件で確認し、圧送圧、吐出状態、付着、リバウンド、施工厚のばらつきを記録します。作業性を理由に水量や材料量を変更するときは、設計・承認手続きに従い、変更内容を記録します。


基準3 法面の土質・岩質・勾配から水の動きを読む

第三の基準は、法面の土質、岩質、勾配から水の動きを読むことです。保水材は植生基盤の中で働きますが、基盤の水分状態は地山の透水性、亀裂、凹凸、湧水、排水施設、基盤との接触状態から大きな影響を受けます。同じ材料・配合でも、現場が違えば乾燥と過湿の発生位置は変わります。


透水性の高い砂質地盤や風化した地山では、施工直後の散水が地山側へ移動し、表層の水分が早く減る場合があります。ただし、透水性が高い地山でも、亀裂や層境に水が集中すれば局所的な湿潤部ができます。「砂質だから乾燥」「岩盤だから排水不良」といった単純な分類はせず、現地の水みちを確認します。


粘性土や緻密な岩盤など、地山側へ水が抜けにくい条件では、植生基盤と地山の界面に水が残る場合があります。とくに凹部、法尻、湧水部では、保水材の追加が乾燥対策より過湿リスクを増やすことがあります。こうした箇所では、地表排水、地下排水、湧水処理、法面整形を含めて検討します。国総研の手引きも、湧水や流下水が集中する箇所で排水工を検討する考え方を示しています。


岩盤法面では、亀裂や節理の位置と方向が水分供給を左右します。晴天時だけでは把握しにくいため、安全を確保できる範囲で、降雨後のにじみ出し、湿潤跡、変色、苔類の分布、細粒分の堆積、既設排水の流量を観察します。これらは水みちを推定する手掛かりですが、単独で原因を断定する材料にはしません。


勾配が急になると、同じ降雨・表面条件では水が斜面下方へ移動しやすく、侵食や流亡への配慮も増します。ただし、浸透量は降雨強度、表面粗度、基盤の透水性、植生や養生材の有無にも左右されます。急勾配という理由だけで高保水配合にするのではなく、基盤の安定性と侵食防止を同時に確認します。急勾配ほど植生基材の侵食に注意が必要とする現地試験報告もあります。([J-STAGE][2])


法肩が乾きやすく法尻が湿りやすいのは一つの典型例ですが、すべての法面に当てはまるわけではありません。大規模法面や条件差の大きい現場では、法肩、中央、法尻、湧水部、日向、日陰などに区分して調査します。区画ごとに配合を変えにくい場合でも、施工厚、排水、散水、点検頻度を分けることで対応できます。


なお、保水材の検討は法面の構造安定性照査を代替しません。吸水後は基盤の質量や物性が変わるため、急勾配や付着条件の厳しい現場では、湿潤時の基盤安定、侵食防止、緑化基礎工の必要性を別途確認します。


基準4 方位・日射・風・降雨の偏りを反映する

第四の基準は、方位、日射、風、降雨の偏りを反映することです。同じ地域、同じ工法でも、周辺の樹林、建物、谷地形、尾根、道路構造物によって、日射時間や風の通り方は変わります。方位は重要な手掛かりですが、方位だけで乾燥度を決めつけず、季節ごとの日陰と実際の日射時間を確認します。


風が集中する尾根部、谷の出口、開けた道路沿い、構造物の間では、気温が極端に高くなくても表層の乾燥が進む場合があります。発芽期はごく表層の水分切れが影響しやすいため、保水材だけでなく、表面被覆、養生、施工時期、散水の当たり方を合わせて検討します。


降雨条件は年間降水量だけでは判断できません。同じ総雨量でも、弱い雨が間隔を置いて降る場合と、短時間の強雨が集中する場合では、浸透、流出、侵食の挙動が異なります。吸水速度が遅い材料では、強雨時に計算上の保水量を十分に使えないことがあります。長雨が多い時期は、保水量よりも余剰水の排出と通気の回復を重視します。


施工時期も選定条件です。乾燥期に施工する場合は初期養生を厚く見込み、連続降雨が予想される時期は流亡と過湿に注意します。寒冷地では、発芽前に乾湿や凍結融解を繰り返す可能性があるため、材料単体の耐久性だけでなく、基盤全体の侵食抵抗と施工時期を確認します。


実務では、気象台などの地域データに加え、現場で日陰の範囲、風の通り道、既存植生、湿潤跡を確認します。国総研の手引きでも、気温、降水量、風向・風速、日照、方位、勾配、湧水などを調査項目として挙げています。広い法面では、最も乾燥する場所だけに合わせて全体を高保水化するのではなく、乾燥区と湿潤区を分けて対策します。


基準5 植物種と発芽から定着までの水分要求を合わせる

第五の基準は、導入する植物種と、生育段階ごとの水分要求に保水材を合わせることです。法面緑化では、発芽率だけでなく、根が基盤内へ伸び、目標とする群落へ移行できるかを評価します。成植物が乾燥に強い種でも、種子や幼植物が同じ耐性を持つとは限りません。


種子は吸水して発芽過程へ入りますが、発芽が進んだ後の再乾燥に弱い種も多くあります。そのため、施工直後から発芽・初期生育までの期間は、水分が極端に途切れないようにします。ただし、必要な水分量と許容できる乾燥期間は種によって異なるため、種子供給者の発芽条件や既往データを確認します。


発芽後も、常に高含水状態がよいわけではありません。根は水分と同時に酸素を必要とし、過湿が続くと根の伸長や養水分吸収が低下する場合があります。保水材の役割は基盤を常時湿潤にすることではなく、急激な水分変動を緩和しながら、根が伸長できる水分・通気条件を確保することです。


草本、木本、在来種、先駆性種などでは、発芽時期や初期成長、根系形成の速度が異なります。混播では、すべての種に同じ水分条件が最適になるとは限りません。目標群落の主要種と、施工初期に侵食を抑える役割を持つ種を整理し、短期的な全面被覆だけで評価しないようにします。法面緑化は、目標植物群落を設定し、施工後の推移を確認する流れで進めることが重要です。([J-STAGE][3])


肥料や水質との関係にも注意します。高吸水性高分子などは塩類濃度の影響を受け、清水中の吸水性能が実配合で再現されない場合があります。肥料を併用する場合は、実際の基盤材、肥料、使用水を組み合わせた条件で確認します。種子周辺の塩類濃度が高すぎると発芽や初期生育へ影響するため、保水材だけでなく配合全体を見直します。([J-STAGE][1])


また、保水材を使っても散水が不要になるとは限りません。施工直後に基盤全体へ必要な水が入らなければ、保水機能を十分に発揮できません。一方、保水性の高い基盤へ一律に多量散水を続ければ、過湿を招くおそれがあります。植物の生育段階、降雨、基盤水分を見ながら、散水量と間隔を調整します。


基準6 耐久性・安全性・施工管理性まで確認する

第六の基準は、保水材の耐久性、安全性、施工管理性まで確認することです。室内で高い保水性能を示しても、保管、運搬、混合、圧送、吹付け、乾湿、温度変化などを受けると、現場での性能が変わる場合があります。必要な機能期間を設定し、その期間に対応する試験データがあるかを確認します。


耐久性は、初回吸水量だけで判断しません。乾湿繰り返し後の吸水性、塩類を含む水での性能、温度条件、保管期限、開封後の取り扱いを確認します。製品や材料によって劣化機構が異なるため、「樹脂系は長持ちする」「有機質系はすぐ分解する」といった一括評価は避けます。


有機質材料では、未熟な材料や炭素率の高い材料を多量に用いた場合の窒素飢餓、分解に伴う沈下、品質ばらつきなどを確認します。鉱物系材料では、粒度、微粒分、固結性、基盤密度への影響を確認します。樹脂系材料では、吸水・膨潤、塩類の影響、乾湿繰り返し、他材料との相互作用を確認します。いずれも材料区分ではなく、個別の試験成績と使用条件で判断します。


安全性では、材料の安全データシート、成分情報、使用上の注意、必要な保護具、保管方法、漏出時の処置を確認します。周辺土壌や水系への影響が重要な現場では、発注仕様や環境条件に応じて、溶出性や生態影響に関する資料の提出を求めます。「土壌用」「環境配慮型」といった表示だけで安全性を断定しないことが大切です。


施工管理性では、計量のしやすさ、分散性、投入順序、混合時間、圧送性を確認します。少量添加する材料ほど、わずかな計量差が配合率へ大きく影響します。粉体は飛散や吸湿、固結に注意し、水に触れて急速に膨潤する材料は、投入位置や滞留によって混合槽・配管へ影響する可能性があります。材料供給者の手順に従い、必要に応じて一回の混合単位ごとに小分けします。


品質確認では、完成基盤の見た目だけで判断しません。材料ロット、使用量、加水量、混合順序、混合時間、施工厚、施工面積、吐出状況、天候を記録します。関東地方整備局の令和7年度版共通仕様書では材料の種類・品質・配合は設計図書を基本とし、同年度の施工管理基準では植生基材吹付工などの厚さを管理対象としています。現場独自の変更を避け、承認された条件を再現できる記録を残します。


施工後は、含水状態、発芽、被覆、根系、侵食、湧水・排水の変化を追跡します。問題が起きたときに、材料、配合、施工、天候、維持管理のどこに原因があったかをたどれる記録があれば、補修や次回設計の精度を高められます。


乾燥枯れと過湿不良を現場で見分ける方法

施工後に生育不良が見られたときは、乾燥と決めつけず、過湿や他の要因との違いを確認します。両者は葉の黄化、しおれ、生育停滞、枯死として現れることがあり、地上部だけでは判断できません。過湿時に散水を増やすと悪化するおそれがあるため、基盤の水分分布と根の状態を合わせて見ます。


乾燥が主因の場合は、法肩、凸部、日射や風の影響が強い場所などから症状が出ることがあります。基盤表面が乾いて淡色化し、表層が硬化または脆くなる、植物が日中にしおれるといった変化が手掛かりです。ただし、表面だけが乾いて内部に水が残る場合もあるため、複数の深さで確認します。


過湿が主因の場合は、法尻、凹部、湧水周辺、日陰、地山との境界などで症状が出ることがあります。湿潤状態が長く続く、握ると水がにじむ、還元的な臭いがする、根が褐変して量が少ないといった状態は要注意です。藻類や苔の増加も湿潤の手掛かりになりますが、日陰や基盤表面の条件でも発生するため、過湿の決定的証拠にはしません。


乾燥と過湿が同じ箇所で重なることもあります。表面は日射で乾燥している一方、内部や地山との界面は排水不良で湿っている状態です。この場合、表面だけを見て散水を増やすと内部の低酸素状態を長引かせる可能性があります。


確認は、法肩、中央、法尻、湧水部など複数地点で行い、表層と内部を比較します。可能であれば、降雨前、降雨直後、数日後に同じ地点を測定し、含水率や重量法による水分、簡易水分計の値、写真、根の状態を記録します。簡易水分計は基盤材に応じた校正や読み方の確認が必要な場合があるため、機器の仕様を確認し、同じ条件での相対比較にも活用します。


乾燥・過湿以外にも、施工厚不足、混合むら、塩類障害、pH不適合、肥料過多または不足、病害、薬剤飛散、高温・低温、動物による攪乱、排水溝からの漏水などが似た症状を生みます。植物、基盤、地山、水の流れ、施工記録を合わせて原因を切り分けます。


保水材選定を失敗しない実務フロー

保水材選定は、材料カタログの比較からではなく、現場条件の整理から始めます。法面の位置、方位、勾配、地山、湧水、既設排水、周辺地形、施工時期、目標植生、施工方式、基盤厚を整理し、乾燥リスクと過湿リスクを区画ごとに評価します。国総研の手引きが示すように、地域特性、気象、緑化材料、造成時の法面条件を一体で調査することが基本です。


次に、保水材に求める役割を明確にします。発芽期の水分切れを緩和したいのか、薄層基盤の水分変動を小さくしたいのか、散水計画を合理化したいのかによって、重視する性能は変わります。同時に、長雨後の過湿、基盤軟化、膨潤収縮、圧送不良など、避けたい状態も書き出します。


候補材料は、吸水倍率だけでなく、試験条件、実配合での保水・透水、塩類の影響、乾湿繰り返し、施工機械との適合、安全データを確認して絞ります。設計図書で材料や配合が指定されている工事では、代替や変更を自己判断で行わず、所定の承認・協議手続きに従います。


次に、実際に使用する基盤配合で比較試験を行います。複数の添加率と無添加区を設け、同じ加水量、締固め、温度、測定時間で、排水量、含水率の推移、表層と内部の差、再吸水、湿潤時の状態を比較します。可能であれば施工予定地の地山材や使用水を用います。清水と単一材料だけの試験では、肥料や塩類による性能変化を見落とすことがあります。


工事の重要度、面積、材料の新規性、現場条件の厳しさに応じて、小規模な試験施工を検討します。試験区では、材料と添加率だけでなく、施工厚、加水量、機械条件、天候を記録し、発芽、根の伸長、降雨後の排水、乾燥時のしおれ、基盤のひび割れや流亡を確認します。国の現場報告でも、複数工法・草種の試験施工を経て採用方針を検討した例がありますが、結果は現場固有であり、そのまま他現場へ転用はできません。


評価は発芽確認だけで終わらせません。工程上可能な範囲で、初期生育、根系形成、降雨後の回復、乾燥期間の反応まで確認します。十分な事前観察期間を取れない場合は、本施工後の重点監視区を設定し、早期に配合・散水・排水上の問題を見つけられる体制を整えます。


本施工では、材料の受入れ、ロット、保管、計量、投入順序、混合時間、加水量、一回当たりの混合量、施工厚、吐出状態を管理します。天候変化に応じて条件を変更する場合は、承認手続きと記録を徹底します。施工後は実際の基盤水分と植物の状態を確認し、全面散水、局所散水、排水改善などを使い分けます。


保水材選定で起こりやすい失敗と改善策

よくある失敗の一つは、吸水倍率の大きさだけで材料を決めることです。最大吸水量は比較の一指標ですが、土質、塩類、添加率、膨潤時の空隙変化、植物の反応まで示すものではありません。改善するには、実配合で保水と排水を確認し、必要量を超えた添加を避けます。([J-STAGE][1])


次に、乾燥しやすい区画と湿りやすい区画を同じ条件で扱う失敗があります。一律配合は施工管理を単純化できますが、条件差が大きい法面では、上部の乾燥と下部の過湿が同時に起こることがあります。改善するには、配合変更の可否を検討し、難しい場合は施工厚、排水、散水、養生、点検頻度を区画ごとに調整します。


室内試験の結果をそのまま本施工へ適用することも注意が必要です。小型容器では均一に混ざっていても、実機では投入位置、混合時間、圧送距離によって分散や流動性が変わる場合があります。新規材料や少量添加材では、実機条件に近い確認を行い、作業性と完成基盤の両方を評価します。


保水材を入れたことで散水を省略できると考えるのも危険です。乾燥した材料は、最初に必要な水を受けなければ機能しません。反対に、保水性を考慮せず従来と同じ散水を続けると、湿潤状態が長引くおそれがあります。施工直後の初期散水と、その後の散水間隔を分けて計画します。


肥料、接合材、繊維質材料などとの相互作用を見ないことも問題です。保水材の追加によって粘性、密度、空隙、塩類濃度が変われば、排水性、圧送性、発芽、発根に影響します。改善するには、一材料の追加ではなく、配合全体の再確認として扱います。


最後に、発芽の早さや施工直後の緑量だけで成功判定する失敗があります。初期発芽が良好でも、その後の長雨、乾燥、侵食、浅い根系によって不良が現れることがあります。発芽率や被覆率に加え、根の分布、排水後の回復、乾燥期の反応、基盤の安定、目標群落への移行を確認します。


まとめ:保水と排水の両立が法面緑化の成否を分ける

法面緑化の保水材選定では、乾燥対策だけでなく、過湿不良を同時に抑える視点が必要です。確認したい基準は、保水量と排水回復性、植生基盤の厚さと施工方式、地山と勾配による水の動き、方位や気象条件、植物種と生育段階、耐久性・安全性・施工管理性の6点です。


保水材は有効な選択肢になり得ますが、単独で乾燥や過湿を解決する材料ではありません。基盤材の粒度と空隙、施工厚、地山との密着、排水、養生、散水、植物選定と組み合わせて性能を評価します。吸水倍率や材料区分だけで決めず、実配合での挙動と、必要に応じた試験施工で確認することが大切です。


また、法面内の条件差を平均化しないことも重要です。法肩、中央、法尻、湧水部、日向、日陰では、水分環境が異なる場合があります。区画ごとに乾燥リスクと過湿リスクを整理し、配合、施工厚、排水、散水、点検方法を調整すれば、トラブルを抑えやすくなります。


最終的な材料の種類と配合量は、設計図書、適用基準、材料の試験成績、現場条件を照合して決定してください。判断が難しい場合は、法面の勾配、方位、地山、湧水・排水、施工方式、基盤厚、目標植生を整理したうえで、設計者、施工者、材料供給者などの専門家と協議します。


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