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法面緑化の根株残り処理で再繁茂と基盤浮きを防ぐ6確認

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

法面緑化では、植物を導入するだけでなく、植生基盤や植生マットなどを法面へ安定してなじませ、降雨や乾燥などを受けても局所的な浮きや侵食が生じにくい下地をつくることが重要です。伐採後の根株、切り株、太い側根、地下茎などが施工面に残る場合は、緑化工へ進む前に位置と状態を確認し、設計図書と現地条件に合う処理を選ぶ必要があります。


根株を見落としたまま植生基盤を造成すると、残存株から萌芽して再繁茂することがあります。また、突出した木部、腐朽部、根の周囲の空隙、抜根後の緩みなどがあると、計画厚さを確保しにくくなり、基盤の浮き、亀裂、局所的な侵食につながる可能性があります。ただし、根株を無条件にすべて抜き取ることが適切とは限りません。大径根や深い根系を強く引き抜けば、周辺地山を緩めるおそれがあるため、斜面安定と施工性を含めて判断することが大切です。


この記事では、法面緑化の実務で根株残りを扱う際の六つの確認を、施工前調査、処理範囲、再繁茂、下地の密着、排水、施工後管理の順に整理します。数値や処理深さを一律に示すのではなく、工法、設計厚さ、法面勾配、地質、湧水の有無に応じて判断するための考え方を解説します。


目次

法面緑化で根株残りが問題になる理由

確認1 根株の位置と残存状況を施工前に把握する

確認2 根株を除去する範囲と深さを適切に決める

確認3 再繁茂しやすい樹種と萌芽の兆候を確認する

確認4 根株周辺の空隙をなくして植生基盤を密着させる

確認5 湧水と表面排水による基盤浮きを防ぐ

確認6 施工後の再繁茂と変状を継続して確認する

根株処理と法面緑化工法を一体で計画する

根株残り処理で起こりやすい施工上の失敗

品質確認の記録を残して手戻りを防ぐ

まとめ


法面緑化で根株残りが問題になる理由

法面緑化の対象には、切土法面、盛土法面、既設法面の補修箇所、伐採後の林地斜面などがあります。樹木や低木が生育していた斜面では、伐採後も根株や太い側根が地山内に残ります。地表へ突出した大径の切り株は発見しやすい一方、落葉や伐採枝に隠れた小径株、表面直下の横走根、腐朽途中の木部、つる植物や竹類の地下部は見落とされやすい部分です。


根株が施工面より突出していると、その上だけ植生基盤の厚さが不足しやすくなります。反対に、突出部を覆うため材料を局所的に厚くすると、周囲との厚さや乾湿状態に差が生じます。木部と地山の境界に空隙があれば、表面は連続して見えても、降雨浸透や乾燥収縮の影響が境界へ集中することがあります。こうした条件が重なると、亀裂、沈下、浮き、侵食などの変状が現れる可能性があります。


生きた根株では、根株や地際部、横走根などから萌芽することがあります。萌芽した植物が植生基盤を貫通すれば、開口部ができ、周囲の基盤を押し広げることがあります。ただし、再生力は植物の種類、伐採時期、株の健全度、生育季節などで異なるため、施工時に芽が見えないことだけを理由に再繁茂しないと判断するのは適切ではありません。


一方、大径根株を強引に抜き取ると、根が入り込んだ土塊や岩塊まで動かすおそれがあります。切土部では亀裂や浮石を伴うことがあり、盛土部では抜根穴や緩みが沈下や滞水の原因になることがあります。公的な森林土木の施工資料でも、工事の支障となる根株などの除去を求める一方、用地外から伸びる根などは監督職員の指示を受けて処置する考え方が示されています。現場条件を無視した一律処理ではなく、設計図書と関係者協議に基づく判断が必要です。


根株残りへの対応は、単なる伐採後清掃ではありません。斜面の安定、計画する緑化工法、基盤の連続性、排水条件、植物の再生力をまとめて確認し、除去、切下げ、下地復旧、排水処理、施工後点検を組み合わせる工程です。


確認1 根株の位置と残存状況を施工前に把握する

最初に行うのは、根株がどこに、どのような状態で残っているかの確認です。設計段階の調査から着工まで時間が空いている現場では、伐採の進行、表面侵食、落葉の堆積、再萌芽などによって現況が変わることがあります。緑化工の直前に施工範囲を見直し、処理対象を位置ごとに整理します。


確認対象は、目立つ切り株だけではありません。小径木の株、つる植物の基部、竹類や多年生植物の地下茎、横方向へ伸びた太根、腐朽材、伐採残材にも注意します。表面に落葉や枝条が厚く残っている場合は、安全と環境条件を確認したうえで必要な範囲を清掃し、施工面を直接観察できる状態にします。


法肩、法面中央、法尻では、根株処理の影響が異なります。法肩付近では、上部地山を緩めないことと、肩部から流入する雨水の経路をつくらないことが重要です。法面中央では、突出部による基盤厚さ不足や補助資材の浮きが問題になりやすくなります。法尻付近では、抜根穴が集水部にならないか、排水施設や側溝と干渉しないかを確認します。


根株の大きさは、地表に見える切断面だけでは判断できません。地表部が小さくても地下で太根が分岐している場合があり、反対に、大きな切断面でも内部の腐朽が進んでいる場合があります。無理な掘り起こしや打撃を行うのではなく、目視、既存資料、伐採状況、周囲の亀裂や沈下などから状態を把握し、必要な追加確認は安全な作業計画のもとで行います。


根株周辺の亀裂、陥没、軟弱部、湿潤部も記録します。根株と地山の境界へ水が入り込んでいたり、腐朽によって空隙ができていたりする場合は、根株だけを処理しても安定した下地にならないことがあります。根株を中心とした周辺範囲を一つの確認単位として扱うことが大切です。


調査結果は、法面展開図や施工範囲図へ位置を落とし込み、根株のおおよその径、突出量、腐朽状態、周辺の亀裂、湿潤状況、処理方針を整理します。写真は全景と近景を組み合わせ、法肩、法尻、構造物、測点など位置の手掛かりが分かるように撮影します。施工後に変状が生じた場合、処理箇所との照合に役立ちます。


確認2 根株を除去する範囲と深さを適切に決める

二つ目は、根株をどこまで除去または切り下げるかの判断です。重要なのは、計画する植生基盤の厚さと連続性を確保でき、下地として不安定な木片や緩みを残さない状態にすることです。処理深さを一律の数値で決めるのではなく、工法、設計厚さ、法面勾配、根株径、地山条件、施工可能な機械や作業方法を踏まえて設定します。


根株の切断面が計画する施工面より高い場合、その上だけ基盤厚さが不足します。材料を追加して覆っても、木部と地山では表面性状や将来の腐朽挙動が異なるため、境界部が弱点になる可能性があります。原則として、設計厚さを連続して確保できる位置まで切り下げることを検討しますが、大径根株や深根性の根系では、抜根による地山の緩みが大きくならないかを先に確認します。


小径で浅い根株は、周辺を大きく乱さずに除去できることがあります。一方、大径根株、根が岩盤亀裂へ入り込んでいる箇所、法肩近くの根株、湧水を伴う箇所では、強引な抜根を避け、必要範囲の切下げや部分除去を選ぶ場合があります。処理方法の変更が法面安定や設計条件に関わるときは、現場だけで決めず、発注者、監督者、設計担当者などと協議します。


急勾配法面では、機械の接近や作業員の姿勢が制限されます。大型機械を無理に使用すると、法面表面の踏み荒らし、土砂の落下、作業足場の不安定化につながります。機械処理、人力処理、ロープ作業などの選択は、根株の大きさだけでなく、作業員の安全、搬出経路、下方の第三者や構造物への影響を含めて決めます。


抜根した後の穴には、木片、腐植質、浮石、緩んだ土砂を残さないようにします。埋戻しは、設計図書で求められる材料と方法に従い、周囲となじむよう段階的に施工します。単に掘削土を戻すだけでは、締まりの不足や材料の不均一によって、降雨後に沈下する可能性があります。公的な施工仕様でも、根株を除去した後の穴や緩んだ現地盤を整地し、降雨や地表水による水たまりができないようにする考え方が示されています。


岩質法面で根が節理や亀裂へ入り込んでいる場合は、根の全長を無理に引き抜かない判断も必要です。根を引いたことで岩塊が動くおそれがある場合は、安定性を確認できる位置まで切断し、表面側の腐朽部や空隙を処理します。浮石や不安定な岩塊が見つかった場合は、緑化工の下地処理だけで済ませず、設計図書に基づく措置や協議へつなげます。


処理後の形状は、周囲へ滑らかにつなげます。深いくぼみを残すと材料が局所的に厚くなり、突出部を残すと基盤厚さが不足します。植生基盤の厚さは地山の硬さやクラックの状態などによって検討されるため、根株処理箇所だけを別条件で仕上げるのではなく、法面全体の設計条件に合わせます。


確認3 再繁茂しやすい樹種と萌芽の兆候を確認する

三つ目は、残した根株や根系から再繁茂する可能性の確認です。伐採後の萌芽は、植物の種類、株の健全度、伐採時期、気温、水分条件などで変わります。施工時点で芽が見えなくても、休眠期を越えた後や降雨後に発生する場合があるため、単発の目視だけで判断しないことが重要です。


伐採前の植生記録、残された枝葉や樹皮、過去の伐採履歴が分かれば、対象植物を推定する材料になります。切断面の外周に新しい芽、膨らんだ芽点、柔らかい組織が見られる場合や、過去の萌芽痕が多数ある場合は、再生力が残っている可能性を考えます。


つる植物、竹類、地下茎や横走根で広がる植物は、目立つ株だけを処理しても離れた位置から再生することがあります。法肩や隣接林地から地下部が伸びている場合は、施工範囲の内側だけを見ても再侵入の原因を把握できません。用地外から伸びる根や地下部に処置が必要な場合は、所有区分や施工範囲を確認し、関係者の指示や承認に従います。


根株を残す場合は、計画面より低く切り下げることに加え、切断位置の周囲に芽点や萌芽部が残っていないかを確認します。ただし、再萌芽を完全になくすために地山を大きく掘り崩すことは避けなければなりません。斜面安定を優先し、施工前に再生源を減らしたうえで、施工後の生育期に重点点検する組み合わせが現実的な場合があります。


再繁茂した植物は、緑化植物と光、水分、養分を競合することがあります。太い萌芽が基盤を貫通すると、開口部から水が入りやすくなることもあります。施工後に萌芽を発見した場合は、地上部だけを切って終了せず、周囲の基盤に亀裂、浮き、開口がないかを併せて確認します。


薬剤などを用いる処理を検討する場合は、対象植物への適用、周辺植生や水系への影響、関係法令、発注者の仕様、製品表示を確認する必要があります。現場判断で一律に使用せず、設計図書と関係者協議に従います。


確認4 根株周辺の空隙をなくして植生基盤を密着させる

四つ目は、根株処理後の下地が植生基盤を安定して受けられる状態になっているかの確認です。根株を切り下げても、周囲に空隙、腐朽木、剥離した樹皮、浮土、落葉、細根などが残っていれば、基盤浮きの原因は解消されません。施工前に、緑化材料が地山または設計上の下地へ連続してなじむ状態をつくります。


根株周辺は木部と土砂が複雑に入り組み、表面から見えないえぐれが残りやすい場所です。凹部の入口だけを吹付材で覆うと、内部へ材料が十分に入らず、表面上は平滑でも背面に空隙が残ることがあります。深い空洞や抜根穴は、植生基盤材だけで一度に埋めるのではなく、先に安定した下地として復旧することを検討します。


腐朽が進み、簡単に剥がれる木片や樹皮は除去します。施工時に硬く見える木部でも、今後の腐朽で体積や支持状態が変化することがあります。すべての木部を完全に除去するのではなく、施工面の支持に影響する不安定部分を見極め、安定した面を露出させます。


埋戻し材は、設計図書と周辺地山の条件に適合するものを用います。有機物の多い表土、木片を含む材料、粒径が大きく偏った材料を無条件に戻すと、沈下や水分変化が生じやすくなる可能性があります。急勾配法面では、施工中に材料が滑り落ちないよう、施工厚さ、締固め方法、保持方法を調整します。


根株跡だけが深いくぼみになっていると、吹付材が過剰にたまりやすくなります。反対に、切断面や側根が突出していれば、その上の基盤厚さが不足します。処理部は周囲へ滑らかにつなぎ、設計厚さを確認しやすい形状に整えます。


金網、ネット、植生マットなどの補助資材を用いる場合は、根株跡で浮きやたるみが生じないようにします。突出した根株を避けて設置すると、背面に空間ができ、材料だまりや局所的な剥離につながる可能性があります。根株処理と下地整形を先に完了し、その後に補助資材を法面へ沿わせます。


吹付け時には、根株跡、埋戻し部、法面の凹部を重点的に確認します。一方向からの吹付けだけでは奥へ材料が届かない形状もあるため、施工面の形状に応じて吹付け順序や角度を調整します。ただし、具体的な施工方法は使用する工法の施工要領、設計図書、現場管理基準を優先します。


確認5 湧水と表面排水による基盤浮きを防ぐ

五つ目は、水の流れの確認です。根株周辺は、根が伸びていた部分と周囲の土質や密度が異なり、腐朽後には空隙が生じることがあります。そのため、降雨時の浸透水や一時的な湧水が根株跡へ集まる可能性を考えます。


施工前に、根株周辺だけ湿っている、雨後に濡れた筋が残る、法面から水がにじむ、法尻へ泥水が流れた跡があるといった状況を確認します。晴天時の一回だけでは季節的な湧水を見逃すことがあるため、可能な範囲で降雨後の状況、既往写真、維持管理記録も参照します。


法肩では、上部から施工面へ流入する雨水を確認します。排水路の詰まり、損傷、越流痕、落葉や伐採枝による閉塞があると、根株跡やくぼみへ水が集中することがあります。緑化施工前に排水経路を清掃し、施工中に発生した木くずや土砂を排水施設へ落とさないよう管理します。


抜根穴の埋戻しは、周囲との透水性や排水方向を考慮します。周囲と著しく異なる材料で埋めると、水が集まったり、背面の水が別の位置へ回り込んだりする可能性があります。単独の穴埋めとして処理せず、法肩から法尻までの水の流れの中で位置付けます。


法面中央に明確な湧水がある場合は、植生基盤で覆って済ませず、原因と排水方法を確認します。水の出口を塞げば、背面へ回り込み、別の箇所に変状が生じる可能性があります。湧水、軟弱地盤、崩壊のおそれがある箇所の処置は、設計図書に基づいて関係者と協議します。公的な施工仕様にも、湧水や不良箇所を伴う法面整形で監督員と協議する考え方が示されています。


法尻では、流下した水が滞留していないか、側溝や集水施設へ適切に導かれているかを確認します。法尻が継続的に湿潤すると、下端部の基盤が軟化したり、侵食が始まったりすることがあります。根株跡が法尻近くにある場合は、抜根穴が集水部にならないよう、埋戻し形状と排水方向を重点的に確認します。


水の影響は根株処理だけで解決できない場合があります。法肩排水、法面内の湧水処理、法尻排水、既設排水施設の機能を一体で確認し、緑化工の範囲を超える対策が必要なときは設計変更や追加協議へつなげます。


確認6 施工後の再繁茂と変状を継続して確認する

六つ目は、施工後の点検です。根株処理は、植生基盤を施工した時点で終了する工程ではありません。再萌芽、基盤の亀裂、沈下、局所的な侵食、湿潤部などは、降雨や生育季節を経てから現れることがあります。点検時期と確認項目は、設計図書、維持管理計画、現場条件に合わせて設定します。


施工直後は、根株処理箇所に不自然な盛り上がりやくぼみがないか、計画厚さが周囲と連続しているか、補助資材が浮いていないかを確認します。埋戻し部の沈下、材料のだれ、表面の開口などが見られる場合は、原因を確認して早期に補修します。


降雨後は、根株跡の周囲に細い亀裂、泥水の流出痕、局所的な湿潤、表面侵食がないかを目視します。法面上へ立ち入る必要がある点検は、安全な作業計画と適切な保護設備のもとで行います。足で踏んで沈下を確かめたり、根拠なく打撃して空洞を判定したりする方法は避け、必要な詳細調査は専門的な手順で実施します。


生育期には、緑化植物と異なる太い芽、根株位置から集中して伸びる枝葉、地下茎由来と考えられるまとまった再生がないかを確認します。小さい段階で発見できれば、周囲の基盤を大きく傷めずに処置できる可能性があります。成長して木質化すると、除去範囲が広がることがあるため、早期発見が重要です。


再萌芽を除去した後は、芽が貫通した開口部と周辺の基盤を確認します。表面だけを塞ぐと、背面の浮きや空隙が残る可能性があります。亀裂や浮きが広がっている場合は、不安定範囲を確認し、健全部との境界を意識して補修します。


乾燥期には、埋戻し部と周囲地山の境界に収縮亀裂がないかを確認します。寒冷地や高標高地では、凍結融解後に浮き、亀裂、表面剥離が増えていないかも見ます。ただし、凍結融解の影響は土質、水分、気象条件で異なるため、すべての変状を根株処理だけに結び付けず、法面全体の状態から原因を検討します。


公的な既設法面の調査資料では、法面崩壊や侵食、植生の異常な繁茂、亀裂、湧水、基盤侵食、写真記録などが観察項目として示されています。根株処理箇所の点検でも、これらを参考にしながら、施工前記録と施工後の変状を照合すると原因を整理しやすくなります。


根株処理と法面緑化工法を一体で計画する

根株処理は、緑化工法を決めた後に追加する単独作業ではなく、施工面整備の一部として計画します。植生基盤の厚さ、地山の硬さ、法面勾配、補助資材の有無、排水条件によって、根株残りが与える影響は変わります。


薄い基盤を造成する工法では、小さな突出でも計画厚さを確保しにくくなります。厚い基盤を造成する工法でも、根株上へ材料を厚く盛れば問題が解決するとは限りません。木部と地山の境界や空隙が残れば、局所的な沈下や剥離が生じる可能性があります。厚さだけでなく、下地との連続性と保持状態を確認します。


補助資材を用いる工法では、根株処理箇所で資材が法面から離れないようにします。固定位置が腐朽部や緩んだ埋戻し部と重なると、必要な保持力を得られないことがあります。固定位置は安定した地山を選び、使用する工法の設計条件と施工要領に従います。


切土法面では、周囲が硬い地山でも根系周辺だけ亀裂や緩みが多い場合があります。表面整形で不安定な部分を除去し、湧水や浮石が確認された場合は、法面保護工や排水計画を含めて再検討します。


盛土法面や造成斜面で古い木材や根株が混入している場合は、表面に見える一株だけの問題とは限りません。腐朽材が広い範囲に含まれていれば、将来の沈下や空隙形成につながる可能性があります。周囲の沈下、陥没、異常な湿潤なども確認し、必要に応じて調査範囲を広げます。


既設緑化法面の補修では、再繁茂した木本を伐採した後に根株が残ることがあります。既存基盤の上へ新しい材料を重ねるだけでは、古い基盤の浮きや根株周辺の空隙が残ります。健全部との境界まで不安定な基盤を確認し、下地処理を終えてから復旧します。


工法の選択と根株処理を別々に考えると、処理後に基盤厚さが取れない、補助資材が固定できない、湧水処理が間に合わないといった手戻りが生じます。着工前に代表的な根株を確認し、処理後の完成状態と緑化工法の施工手順を関係者で共有することが有効です。


根株残り処理で起こりやすい施工上の失敗

起こりやすい失敗の一つは、地表から見える切断面だけを低くし、周囲の太根や空隙を残すことです。中心の株を切り下げても、横へ伸びた側根が完成面より高ければ基盤厚さが不足します。根の下側に空隙が残れば、沈下や水みちの原因になる可能性があります。


二つ目は、大径根株を無理に引き抜き、周囲の地山を広く緩めることです。根株そのものを除去できても、法肩や斜面内部へ亀裂が延びれば、表面の埋戻しだけでは安定を回復できない場合があります。抜根の影響範囲を見込み、必要に応じて切下げへ変更します。


三つ目は、抜根穴へ伐採くず、腐植土、剥離した樹皮を戻すことです。木片や有機物は時間とともに状態が変化し、沈下の原因になることがあります。再利用が設計上認められている場合を除き、緑化基盤の下地へ無計画に混入させないことが重要です。


四つ目は、施工面の清掃不足です。細根、落葉、枝片、浮土の上へ吹付けると、基盤が安定した地山へ十分になじまないことがあります。根株処理後は、処理箇所だけでなく周辺を含めて清掃し、施工面を確認します。


五つ目は、深い根株跡を植生基盤材だけで埋めることです。空洞や抜根穴を一度に埋めると、内部の締まりが不均一になり、施工後に沈下する可能性があります。下地の復旧と植生基盤の造成は役割を分けて考えます。


六つ目は、湧水を材料で覆って見えなくすることです。施工時に水量が少なくても、降雨期に増えることがあります。水の出口を塞ぐと別の位置へ回り込む可能性があるため、原因と排水経路を確認します。


七つ目は、施工後の再萌芽を緑化植物の一部と見なして放置することです。木質化して太くなると、除去時に基盤を広く切り開く必要が生じることがあります。施工前に根株位置を記録し、生育期の点検対象として管理します。


八つ目は、法面全体を一律の処理方法で進めることです。同じ現場でも、法肩と法尻、土砂部と岩盤部、乾燥部と湧水部では条件が異なります。すべて抜根する、すべて切下げで済ませると決めず、根株ごとの状態と周辺条件に応じて方法を使い分けます。


九つ目は、設計変更や追加協議が必要な状態を、写真だけ残して施工を進めることです。大径根株、想定外の空洞、明確な湧水、不安定な岩塊が見つかった場合は、隠れる前に関係者へ共有します。吹付け後では処理状態を直接確認できず、基盤を撤去する手戻りが生じる可能性があります。


品質確認の記録を残して手戻りを防ぐ

根株処理は、植生基盤を施工すると外から見えなくなる工程です。完成後に処理範囲や埋戻し状態を確認しにくいため、施工前、処理中、処理後の記録を残します。特に、大径根株、湧水を伴う箇所、抜根穴が大きい箇所、法肩や法尻に近い箇所は、重点的に記録します。


施工前は、根株の位置、見付け径、突出量、腐朽状態、周囲の亀裂、湿潤、排水との関係を記録します。処理中は、抜根または切下げの範囲、除去した腐朽材、根の広がり、想定外の空洞や湧水を記録します。処理後は、完成面との関係、埋戻し状態、周囲へのなじみ、排水処理、補助資材の固定予定位置が分かるようにします。


写真は近景だけでなく、法面上の位置が分かる全景や中景も残します。撮影方向、測点、法肩や法尻からの位置、構造物との関係をそろえると、施工後の変状と照合しやすくなります。必要に応じて写真番号を施工図や根株管理図へ対応させます。


処理数量が当初想定より増えた場合や、設計図書にない大径根株、湧水、軟弱部、空洞が見つかった場合は、緑化材料で覆う前に情報を共有します。品質確認は、根株を除去したかどうかだけでなく、植生基盤を計画どおり施工できる下地になったかを確認する工程です。


確認項目には、切断面が計画面より適切に内側へ収まっているか、太根の突出がないか、空隙や腐朽部が残っていないか、埋戻し部に緩みや滞水のおそれがないか、補助資材を連続して設置できるかを含めます。仕様や工法によって必要な確認は異なるため、施工計画書や施工要領へ具体的に落とし込みます。


作業員間で完成状態の基準を共有することも重要です。施工開始前に代表的な根株を試験的に処理し、どの位置まで切り下げるか、どの範囲を清掃するか、埋戻し後をどの状態とするかを確認します。担当者ごとの判断差を小さくすると、法面内の品質ムラを抑えやすくなります。


記録は維持管理にも利用します。施工後に亀裂、湿潤、再萌芽が見つかったとき、根株処理位置と照合すれば原因候補を整理しやすくなります。同じ処理方法を採用した箇所で類似の変状が続く場合は、個別補修だけでなく、次回施工の方法や点検頻度の見直しへつなげます。


まとめ

法面緑化における根株残りは、見た目を平らにするだけでは十分に対応できません。残存株からの再繁茂、根株や側根の突出、腐朽による空隙、抜根穴の緩み、水みち、植生基盤の厚さ不足などが重なると、基盤の浮き、亀裂、沈下、局所的な侵食につながる可能性があります。


施工前には、根株の位置、大きさ、腐朽状態、周囲の亀裂、湿潤状況、法肩や法尻との位置関係を確認します。そのうえで、法面を過度に乱さない範囲で抜根、切下げ、部分除去を選び、植生基盤を設計厚さで連続して施工できる下地をつくります。


抜根穴や空洞は、設計図書に適合する方法で復旧し、木片や腐植質を無計画に残さないことが重要です。湧水や不安定な岩塊、想定外の軟弱部が見つかった場合は、緑化材料で覆う前に関係者と協議します。


再繁茂の可能性は、施工時点の芽の有無だけでは判断できません。完全な除去が斜面安定を損なうおそれがある場合は、施工前に再生源を減らし、施工後の生育期に重点点検する方法を組み合わせます。


施工後は、降雨後、生育期、乾燥期、必要に応じて凍結融解後に、亀裂、湿潤、沈下、侵食、再萌芽を確認します。施工前から処理後まで位置と写真を記録し、隠れる前に確認を完了させることが、手戻り防止と維持管理の効率化につながります。


根株を抜くか、地山内で切り下げるか、どこまで整形や埋戻しを行うかは、根株径だけでは決められません。法面勾配、地質、根系の広がり、湧水、緑化工法、設計厚さ、安全な施工方法を整理し、設計図書と現場条件に基づいて判断することが、再繁茂と基盤浮きのリスクを抑える基本です。


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