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法面緑化の吹付開始位置で重ねムラと施工境界の段差を防ぐ6基準

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

法面緑化工のうち、植生基材吹付工や客土吹付工などの吹付施工では、植物の生育基盤を法面へ均一に形成することが重要です。使用材料や配合が適切でも、吹付開始位置、施工順序、区画境界の処理が曖昧であれば、局所的な厚さの偏りや施工境界の不陸が生じる可能性があります。


特に、施工班の担当範囲が切り替わる場所、前日施工部と当日施工部の接続部、法肩・法尻、法枠や排水施設の周辺、金網の重ね部などは、通常部と施工条件が異なります。完成直後の外観だけでなく、所定の吹付厚、付着状態、排水条件、生育基盤の連続性を確認しなければなりません。


ただし、適切な吹付方法は、採用工法、使用材料、設計吹付厚、施工機械、法面勾配、地山の状態、発注者の仕様書などによって異なります。本記事で示す考え方を一律の施工基準として使用するのではなく、設計図書、特記仕様書、施工計画書、材料メーカーの施工要領および監督職員との協議事項を優先してください。


本記事では、吹付開始位置を決める際に確認したい6つの管理基準を、施工区画の設定から吹付方向、中断後の再開、出来形確認までの流れに沿って解説します。


目次

法面緑化で吹付開始位置が品質を左右する理由

基準1:法肩・法尻・構造物を基準に施工区画を固定する

基準2:吹付方向とノズルの移動順序を統一する

基準3:重ね範囲を施工前に確認する

基準4:施工境界を次工程へ接続できる状態に整える

基準5:中断後は吐出状態と既施工面を確認して再開する

基準6:吹付厚と表面状態を区画単位で確認する

吹付開始前に整えておく施工条件

重ねムラが発生した場合の補修判断

法面緑化の吹付開始位置に関するよくある疑問

6基準を施工計画と現場管理に定着させる方法

まとめ


法面緑化で吹付開始位置が品質を左右する理由

吹付開始位置とは、単にノズルから材料を最初に吐出する地点だけを指すものではありません。施工区画のどこから材料を付着させ、どの方向へ進み、隣接区画や既施工部とどのように接続するかを定める管理上の起点です。


吹付施工では、吐出量、空気量、水分量、ノズル距離、ノズル角度、移動速度などの条件によって付着状態が変化します。ノズルを一か所へ向けたまま吐出すると、その部分に材料が集中する可能性があります。一方、吐出状態が安定していないまま施工面へ吹き付ければ、開始部の厚さや材料の均一性に差が生じることがあります。


そのため、施工面へ吹き付ける前に、施工計画で定めた安全な方法によって吐出状態を確認することが大切です。確認のために材料を場外へ無秩序に排出してよいわけではなく、飛散、第三者への影響、環境負荷、材料の回収方法を含め、現場で定めた手順に従う必要があります。


隣接区画との接続部では、施工漏れを避けようとして同じ場所へ材料を集中させると、帯状の盛り上がりや不陸につながる可能性があります。反対に、既施工部への重ねを避けすぎると、境界付近で所定厚を確保できない場合があります。


なお、吹付厚の偏りが直ちにひび割れやはく離を引き起こすとは限りません。不具合の発生には、材料の性状、地山との付着、金網の固定状態、排水、気象条件、施工後の養生なども関係します。開始位置だけを原因と断定せず、複数の施工条件を併せて確認することが必要です。


法面には凹凸、亀裂、転石、湧水、法枠、アンカー頭部、排水設備などが存在します。平坦な面と同じノズル操作を続けられないため、施工前に区画、進行方向、境界処理、確認方法を決め、作業員間で共有することが品質の安定につながります。


基準1:法肩・法尻・構造物を基準に施工区画を固定する

最初の基準は、吹付開始位置を単独で決めるのではなく、法面全体を施工可能な区画へ分けたうえで、各区画の開始側と終了側を明確にすることです。


施工区画の目印には、法肩、法尻、小段、法枠、縦排水溝、横排水溝、擁壁、既設構造物など、施工中も位置を確認しやすいものを利用します。地山の色や一時的な汚れだけを目印にすると、吹付材料で覆われた後に境界を確認できなくなる場合があります。


法面が広い場合は、作業員の可動範囲、足場やロープの配置、材料供給能力、ホースの取り回し、予定施工量を踏まえて区画を設定します。一度に施工できないほど大きな区画を設けると、計画外の位置で中断する可能性が高くなります。


施工境界は、可能であれば小段や構造物など、位置を把握しやすい箇所に合わせます。ただし、構造物際は吹付厚の不足や材料の集中が起こりやすいため、境界に選んだだけで管理が容易になるとは限りません。構造物の養生方法や際部の施工手順も併せて決めます。


複数班で施工する場合は、担当範囲だけでなく、境界部の最終確認を誰が行うかも定めます。両班が同じ範囲へ追加吹付を行えば厚さが偏り、互いに相手の施工範囲だと判断すれば未施工部が残る可能性があります。


施工順序は、一般に上部から下部へ進めると、後施工部からの落下物や飛散物が完成面へ付着する影響を管理しやすい場合があります。ただし、法面形状、足場、ロープ配置、湧水、風向、採用工法などによって適切な順序は異なります。「必ず法肩から開始する」と一律に決めず、施工計画で選定した順序を作業班全体で統一してください。


区画ごとの予定施工量も、管理の参考になります。設計面積と設計吹付厚から算出した数量と実際の材料使用量に大きな差がある場合は、吹付厚の偏り、材料の飛散や跳ね返り、地山の凹凸などを確認します。ただし、材料使用量だけで出来形の合否を判定することはできません。


基準2:吹付方向とノズルの移動順序を統一する

2つ目の基準は、各区画の吹付方向とノズルの移動順序を施工前に決めることです。同じ開始位置から作業しても、作業員ごとに移動方向や折り返し位置が異なれば、吹付軌跡の重なり方が不規則になります。


ノズル距離と角度は、地山の状態や使用機械、材料の施工要領に合わせて調整します。角度が浅すぎると材料が表面を横へ流れるように付着し、凹部や金網背面へ入りにくくなる場合があります。距離が不適切な場合も、材料の分散、跳ね返り、地山の損傷、局所的な厚さの偏りにつながる可能性があります。


具体的な距離や角度を現場共通の固定値として示す場合は、設計図書や材料・機械の施工要領、試験施工の結果に基づいて設定します。工法を特定せずに一律の数値を適用することは避けてください。


吹付開始時には、完成面上でノズルを長く静止させないよう注意します。吐出状態を確認したうえで、施工手順に従ってノズルを移動させながら所定の施工位置へ入ると、開始点への材料集中を抑えやすくなります。


ノズルの軌跡は、横方向へ往復しながら進む方法や、縦方向へ帯状に進む方法などがあります。どの方法を採用する場合も、未施工部を見失わないよう、開始側、折り返し位置、進行方向を統一します。


ここで注意したいのが、吹付層の施工回数です。植生基材吹付工については、一層で所定厚まで仕上げることを原則としている発注者仕様もあります。そのため、「厚い基盤は必ず複数回に分ける」と一般化することはできません。多層施工や追加吹付の可否は、採用工法、材料の施工要領、特記仕様書、試験施工結果および監督職員との協議に従って判断します。


凹凸の大きい法面では、凸部だけに材料が集中し、凹部に空隙が残らないようノズル位置を調整します。ただし、一点へ長時間吹き付けて凹部を埋めると、その周辺が過度に厚くなる場合があります。凹部の充填方法は、設計吹付厚の測定基準や地山形状の扱いも含め、施工計画で整理しておきます。


法枠や排水施設の周辺ではノズルの方向が変わりやすく、際部で停止時間が長くなりがちです。構造物を汚損しないための養生を行い、必要厚を確保しながら周囲と連続した表面になるよう施工します。


作業員が交代するときは、現在の施工位置、完了範囲、境界部の状態、吐出条件の変化を現地で引き継ぎます。ノズル操作を形式的に統一するだけでなく、施工済み範囲を全員が識別できる状態にすることが重要です。


基準3:重ね範囲を施工前に確認する

3つ目の基準は、隣接する吹付軌跡や施工区画をどのように接続するか、施工前に確認することです。


必要な重ね範囲は、材料の噴射分布、ノズル距離、吹付圧、移動速度、法面の凹凸、設計吹付厚、金網の状態などによって変わります。そのため、工法や材料を特定せずに「何センチ重ねる」と固定値を示すことは適切ではありません。


本施工前または施工初期には、必要に応じて試験施工を行い、吹付幅、付着状態、所定厚の確保方法、境界部の仕上がりを確認します。発注者が試験施工や施工前確認の方法を定めている場合は、その規定を優先します。


噴射された材料の分布は、常に均一な厚さになるとは限りません。軌跡の外縁部で付着量が少なくなる場合がある一方、同じ範囲を繰り返し通過すれば厚くなる可能性があります。重ね範囲は、外観だけでなく、実際の吹付厚や付着状態を確認して設定します。


施工中は、金網の目、法枠の間隔、区画の基準線などを利用し、施工済み範囲を見失わないようにします。吹付材料で目印が隠れる場合は、法肩や構造物側に補助的な基準点を設けます。


前日施工部と当日施工部の接続では、単純に一定幅を重ねるだけでなく、先行施工部の端部が健全に付着しているか、所定厚がどこまで確保されているか、表面に汚れや流亡がないかを確認します。


先行施工部の端部をどのような形状で残すべきかは、材料や工法によって異なります。端部を意図的に薄くする方法が適する場合もありますが、必要厚を欠いた部分を長時間露出させると、降雨や乾燥の影響を受けることがあります。端部処理は自己判断で統一せず、施工要領や承認された施工計画に明記してください。


境界部では、慎重になるあまりノズルの移動速度が低下し、材料が集中することがあります。通常部と境界部で操作条件が大きく変わらないよう管理し、追加施工が必要な場合は、既施工面の状態と追加吹付の可否を確認してから行います。


区画ごとの材料使用量に大きな差がある場合は、重ね過多だけでなく、地山の凹凸、吹付ロス、材料供給の変動、設計面積との差なども考慮して原因を確認します。


基準4:施工境界を次工程へ接続できる状態に整える

4つ目の基準は、一日の終了位置や区画端部を、次の施工へ適切に接続できる状態で残すことです。


施工終了時に、境界線上でノズルを停止したまま吐出を続けると、その部分へ材料が集中する可能性があります。終了位置へ近づいたら、承認された施工手順に従って吐出とノズル移動を調整し、急な盛り上がりを残さないようにします。


端部に塊、だれ、浮き、材料分離などが認められた場合は、そのまま次の材料で覆わず、原因と範囲を確認します。不健全部の上へ追加吹付を行っても、内部の付着不良が解消されるとは限りません。


余剰材料を除去する場合は、周囲の健全部や金網を損傷しない方法を選びます。処理可能な時間は材料の硬化・乾燥特性や気象条件によって変わるため、一般的な時間だけで判断せず、材料の施工要領に従います。


既施工面が乾燥または汚染している場合は、ほこり、泥、遊離した材料、落葉などを除去し、後続材料が付着できる状態か確認します。既施工面への散水が必要かどうかも工法によって異なります。過剰な水分は材料の滑動や局所的な滞水を招く場合があるため、一律に散水するのではなく、仕様書や施工要領に基づいて判断します。


施工境界は、近距離だけでなく、法面に正対した位置や斜め方向などからも確認します。光の当たり方によって帯状の盛り上がりやくぼみが見えやすくなることがあります。ただし、目視だけで吹付厚の合否を判定せず、規定された測定方法を併用します。


法枠内の吹付では、枠梁の際に材料が不足したり集中したりすることがあります。梁を汚損しないよう養生しつつ、枠内の設計条件に従って必要な厚さと付着状態を確保します。


施工境界の不陸は、表面排水へ影響する可能性がありますが、小さな段差が必ず大きな水みちへ発達するとは限りません。法面勾配、降雨、排水施設、材料の耐侵食性なども関係するため、外観上の不陸と排水上の問題を分けて評価します。


基準5:中断後は吐出状態と既施工面を確認して再開する

5つ目の基準は、作業中断後に停止地点から無条件で再開せず、吐出状態と既施工面を確認して再開位置を決めることです。


吹付作業は、材料補給、機械調整、ホース詰まり、天候変化、安全確認などによって中断することがあります。中断時間が短くても、供給経路内の材料状態や吐出量が変化する場合があります。


再開前には、施工計画で定めた安全な方法により、吐出量、空気量、水分量、材料の均一性を確認します。塊や分離した材料が出ている状態で完成面へ吹き付けることは避けます。


再開位置は、停止線から一定寸法だけ戻すのではなく、停止直前の吹付状態を確認して決めます。所定厚が確保されていない部分、吐出が乱れた部分、表面に異常がある部分があれば、必要な処置を行ったうえで接続します。


「必ず健全部まで一定幅を重ねる」という固定ルールでは、既施工部を過度に厚くする可能性があります。戻り範囲や追加吹付の方法は、既施工面の付着状態、材料の施工可能時間、設計吹付厚、仕様書に基づいて判断してください。


中断が長時間に及んだ場合は、新旧施工面の接続として扱います。先行施工面の乾燥、汚れ、降雨による流亡、浮き、はく離などを確認し、不健全部があれば承認された方法で処置します。


降雨後は、吹付面だけでなく地山、湧水、流下水、排水施設も確認します。表面が乾いて見えても、地山から水が供給されている場合があります。排水上の原因を処置せずに施工を再開すると、付着不良や流亡につながる可能性があります。


強風後は、土砂、枝葉、飛来物などの付着を確認します。また、飛散防止措置や周辺への影響を再評価し、風が施工管理上の許容範囲を超える場合は、現場の中止基準に従います。


機械トラブル後は、供給装置、空気系統、水分調整、ホースの閉塞や漏れなど、停止原因が解消していることを確認します。開始位置だけを変更しても、吐出条件が安定していなければ均一な施工にはなりません。


作業員交代時には、完了範囲、吹付厚の確認状況、端部の状態、補修予定箇所、機械条件を現地で引き継ぎます。口頭説明だけで伝わりにくい場合は、区画図や施工記録も使用します。


基準6:吹付厚と表面状態を区画単位で確認する

6つ目の基準は、吹付開始位置と施工境界を含む出来形を、区画単位で確認することです。法面全体の施工完了後にまとめて確認すると、原因となった施工条件を特定しにくく、補修範囲が広がる可能性があります。


区画が完了したら、設計図書や施工管理基準で定められた方法により、吹付厚、施工面積、表面状態などを確認します。確認項目には、金網や地山の露出、局所的な盛り上がり、くぼみ、だれ、浮き、はく離、材料分離などを含めます。


吹付厚の測定方法、測定頻度、許容範囲は発注者や工事ごとに異なる場合があります。測定ピン、検測孔、その他の方法を任意に選ぶのではなく、適用される施工管理基準に従ってください。


測定点が設計値を満たしていても、その周辺に局所的な薄吹きがないとは限りません。通常部だけでなく、開始部、終了部、構造物際、凹凸部、中断後の再開部など、施工条件が変化した箇所を重点的に確認します。


施工直後の色や湿り具合は、吹付回数、水分量、乾燥状態などを把握する参考になります。ただし、色調だけで厚さや品質の合否を判定することはできません。所定の出来形測定や付着状態の確認と組み合わせて評価します。


完成面へ触れる、押す、打音を行うなどの確認は、材料を傷める可能性があります。実施する場合は、採用工法、施工段階、品質管理計画に適した方法を選び、必要以上に完成面を損傷しないよう注意します。


施工境界の不陸を器具で確認する場合は、地山本来の凹凸と、施工厚の偏りによる段差を区別します。施工前写真や地山確認記録があると、完成後の状態を比較しやすくなります。


区画ごとの材料使用量、施工時間、作業者、天候、中断の有無、地山の湿潤状態などを記録すると、不具合発生時の原因分析に役立ちます。ただし、材料使用量の増減だけで重ね過多や薄吹きを断定せず、出来形測定結果と併せて評価します。


不具合を発見した場合は、次の区画へ進む前に、ノズル距離、移動速度、施工区画、材料供給、地山状態などを確認します。補修だけを繰り返すのではなく、原因となる施工条件を修正することが大切です。


吹付開始前に整えておく施工条件

吹付開始位置を適切に定めても、施工面、金網、排水、材料、機械、作業体制が不安定であれば、均一な生育基盤を形成することは困難です。


地山表面に浮石、崩れやすい土砂、草根、落葉、泥、遊離物などがある場合は、設計図書と施工計画に従って除去します。下地処理が不十分な状態で吹き付けると、材料の付着を妨げる可能性があります。


金網を使用する工法では、重ね、固定状態、浮き、たるみ、地山との間隔などを確認します。金網の浮きや局所的な膨らみを吹付材料だけで覆うと、必要以上の厚さや内部空隙が生じる場合があります。


アンカーピンや固定材の周辺は、材料が入りにくい一方、ノズルを長く向けると材料が集中しやすい箇所です。吹付前に金網と固定材の状態を整え、内部に空隙を残さない施工方法を確認します。


湧水や流下水がある場合は、水の経路と排水施設の状態を確認します。吹付材料で水を覆うだけでは、背面からの水圧や流下水の影響を解消できないことがあります。必要な排水処理は設計変更を伴う場合もあるため、監督職員や設計担当者と協議します。


機械は、所定の材料を安定して供給できる状態に整えます。ホースの長さ、高低差、曲がり、接続状態などは吐出条件へ影響する可能性があるため、区画変更時にも確認します。


ホースが足場や法面へ引っ掛かると、ノズル担当者の動きが止まるだけでなく、転倒や墜落などの危険につながります。ホース経路を事前に決め、必要な補助者を配置してください。


材料の混合状態、水分量、供給の連続性も、吹付面の状態へ影響します。材料供給担当者とノズル担当者の合図を統一し、供給停止や異常を速やかに伝えられる体制を整えます。


強風、降雨、高温、低温、乾燥などの条件では、材料の飛散、流亡、付着、乾燥状態が変化します。施工可能な気象条件は工法や材料によって異なるため、現場独自の感覚ではなく、仕様書や施工要領に定められた中止基準を確認します。


作業前打合せでは、施工区画、開始位置、終了位置、吹付方向、境界処理、中断時の措置、出来形確認方法を具体的に共有します。「現場で状況を見て判断する」事項についても、誰が判断し、誰へ報告するかを明確にしておきます。


重ねムラが発生した場合の補修判断

重ねムラや段差を発見した場合は、直ちに追加材料で覆うのではなく、不具合の種類、範囲、原因、既施工面の状態を確認します。


薄吹きが疑われる場合は、規定された方法で吹付厚を確認し、地山や金網の露出、周辺材料の付着状態、汚れ、乾燥状態を調べます。追加吹付が可能かどうかは、材料の施工要領と監督職員の指示に従います。


厚吹きや盛り上がりがある場合は、周囲へさらに材料を吹き付けて表面だけをそろえると、施工範囲全体が設計より厚くなる可能性があります。余剰部を除去する場合も、健全部や金網を損傷しない方法を選びます。


浮きやはく離が疑われる場合は、表面だけを補修しても改善しないことがあります。不健全部の範囲を確認し、地山、金網、湧水、流下水などの原因を処置したうえで再施工します。


ひび割れがある場合は、幅や長さだけでなく、深さ、周辺の浮き、変形、湧水、施工境界との位置関係を確認します。乾燥収縮、厚さの偏り、地山の変動など複数の原因が考えられるため、境界処理だけを原因と断定しないことが重要です。


表面の粗さが区画ごとに異なる場合は、外観だけでなく、採用工法で求められる耐侵食性や植物の定着条件を踏まえて補修の必要性を判断します。表面を過度に平滑化することが常に適切とは限りません。


補修後は、補修範囲とその周囲について、吹付厚、付着状態、表面の連続性を再確認します。補修位置、不具合内容、推定原因、処置方法、確認結果を記録し、他の区画にも同じ原因がないか点検します。


法面緑化の吹付開始位置に関するよくある疑問

吹付は必ず法肩から始めるべきかという疑問があります。上部から下部へ進める方法には、後施工部からの落下物が完成面へ付着する影響を管理しやすい場合があります。しかし、足場、ロープ配置、材料供給、湧水、法面形状などによって適切な順序は異なります。設計図書と施工計画に基づいて決定してください。


施工境界は直線にした方がよいかという点では、平面的な位置を明確にすると施工範囲を管理しやすくなります。ただし、直線状の境界に急な厚さの差を残してよいわけではありません。位置の明確さと、断面的な連続性は分けて管理します。


前日施工部へどの程度重ねるかは、固定寸法だけでは決められません。先行施工面の端部形状、付着状態、設計吹付厚、乾燥状態、採用工法の施工要領を確認して決定します。


境界部を厚めに吹けば安全とは限りません。必要なのは、設計図書で定められた厚さと付着状態を連続して確保することです。局所的な厚吹きは、材料の自重や乾燥状態の差などに影響する可能性があります。


重ねムラは植物が生育すれば見えなくなる場合もありますが、外観上見えなくなることと、生育基盤の品質が適切であることは別です。施工時点で所定の出来形と付着状態を確認します。


小さな段差を後日の全面仕上げで直せるかどうかは、追加吹付の可否と設計厚によって異なります。無計画な全面追加吹付は、設計厚や材料使用量へ影響するため、区画ごとに早期確認する方が管理しやすくなります。


ノズル担当者の熟練は重要ですが、材料供給、機械管理、ホース処理、区画設定、安全監視、出来形確認が連携しなければ、安定した品質を確保できません。個人の経験を施工手順や確認項目として共有することが大切です。


6基準を施工計画と現場管理に定着させる方法

6つの基準を現場で機能させるには、担当者の知識だけにとどめず、施工計画書、作業手順書、区画図、確認記録へ反映します。


施工計画には、法面全体の区画、各区画の開始側、進行方向、施工順序、予定中断位置を示します。構造物周辺、湧水部、凹凸部など、通常部と異なる施工が必要な箇所も明示します。


作業手順には、開始前の吐出確認、ノズルの進入方法、標準的な移動軌跡、区画境界の接続、中断時の処置、再開前確認、出来形測定を記載します。


重ね範囲やノズル操作を数値だけで表現しにくい場合は、試験施工で得られた良好な仕上がりの写真や図を使用します。ただし、試験施工と本施工で地山条件や機械条件が異なる場合は、同じ結果になるとは限りません。


朝礼や作業前打合せでは、その日に施工する区画と開始位置を現地で確認します。前日の終了状態、降雨や強風による変化、清掃や補修の必要性も確認し、計画どおりに開始できるか判断します。


作業中は、ノズル担当者だけでなく、施工帯全体を確認できる位置から、施工済み範囲、重なり、境界部の状態を監視します。監視者は安全を最優先とし、立入禁止区域や飛散範囲に入らない位置へ配置します。


区画終了時には、吹付厚、表面状態、端部、金網露出、だれ、浮き、材料使用量など、施工計画で定めた確認項目を記録します。不具合があれば、原因を確認し、必要な是正措置を講じてから次の区画へ進みます。


施工後の発芽や生育状況も、施工管理を見直す資料になります。ただし、生育差は吹付厚だけでなく、植物種、播種量、日照、土壌、水分、気象、食害など多くの要因に左右されます。境界に沿った生育差が見られても、開始位置だけを原因と断定せず、施工記録と現地条件を総合的に検討します。


品質管理では、不具合だけでなく、良好に施工できた条件も記録します。区画幅、施工順序、機械条件、作業体制を整理し、次の施工へ反映することで、個人の経験を組織的な施工技術として蓄積できます。


まとめ

法面緑化の吹付開始位置は、ノズルから材料を出し始める一点ではなく、施工区画、吹付方向、境界処理、中断後の再開、出来形確認を結び付ける管理上の起点です。


重ねムラや施工境界の段差を抑えるには、法肩、法尻、小段、法枠、排水施設などを基準に施工区画を明確にし、開始側と進行方向を作業班で共有します。そのうえで、採用工法に適した吹付軌跡と接続方法を定めます。


重ね幅、ノズル距離、ノズル角度、吹付層の施工回数などは、すべての法面緑化工へ共通する固定値ではありません。設計図書、特記仕様書、施工管理基準、材料・機械の施工要領、試験施工結果を優先してください。


中断後は、吐出状態と既施工面を確認し、必要な処置を行ってから再開します。完成した区画はその都度、規定された方法で吹付厚と表面状態を確認し、不具合があれば原因となる施工条件を修正します。


施工品質は、ノズル担当者の技量だけで決まるものではありません。下地処理、金網の固定、排水、材料供給、機械管理、ホース処理、作業合図、安全管理、出来形記録を一体として整えることが重要です。


現場条件に合う開始位置や境界処理を判断できない場合は、施工前に工事監督者、設計担当者、施工管理担当者または採用材料の技術担当者へ確認し、承認された施工方法を明確にしてから作業を開始してください。


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