top of page

法面鉄筋挿入工の定着不足を防ぐ削孔管理6項目

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均6分15秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

法面の鉄筋挿入工は、地山に補強材を挿入し、定着材や頭部構造、法面工と組み合わせて斜面の安定性を高める工法です。施工は削孔、補強材の挿入、定着材の注入、頭部処理などで構成されますが、完成後には孔内の状態を直接確認しにくくなるため、削孔段階の管理が品質確保の重要な起点になります。


削孔位置、方向、孔径、孔長、孔内状態の確認が不十分なまま次工程へ進むと、補強材が設計で意図した位置や範囲に配置されない、補強材を所定長まで挿入できない、定着材の充填に支障が生じるといったおそれがあります。ただし、必要な管理項目、規格値、測定頻度、試験方法は、発注者の基準、設計図書、施工計画書、採用工法によって異なります。現場独自の判断で一律の許容差を設定せず、適用する図書を施工前に確認することが前提です。


特に法面工事では、傾斜した作業面、限られた足場、地山の不均一性、亀裂、湧水、孔壁崩壊などが施工精度に影響します。削孔を単なる穴あけ作業として扱うのではなく、後工程で補強材と定着材を所定の状態に納めるための工程として管理することが大切です。本記事では、法面鉄筋挿入工の定着不足を防ぐために確認したい削孔管理の6項目を、実務上の注意点とともに解説します。


目次

法面鉄筋挿入工で削孔管理が重要になる理由

項目1 削孔位置を設計図と現地で確実に照合する

項目2 削孔角度と方向を施工前後で確認する

項目3 孔径を確保してグラウト充填性を守る

項目4 孔長と定着長を記録で管理する

項目5 孔内清掃と湧水状況を確認する

項目6 地山変化と削孔中の異常を記録する

削孔後から挿入・注入までの連続管理

定着不足を防ぐ記録写真と管理帳票の残し方

まとめ


法面鉄筋挿入工で削孔管理が重要になる理由

法面鉄筋挿入工の不具合は、完成直後の外観だけでは判断できないことがあります。補強材が挿入され、定着材の注入と頭部処理が完了すると、孔長、孔曲がり、孔内崩壊、充填状態などは見えにくくなります。そのため、削孔中に確認できる情報を記録し、補強材の挿入や定着材の注入まで連続して管理する必要があります。


鉄筋挿入工では、補強材、定着材、頭部構造、法面工などが一体となって作用します。必要な補強材長、配置、方向、削孔径、定着材の仕様は、斜面の安定計算、地山条件、採用する工法などに基づいて定められます。削孔が設計図書や施工計画から外れると、補強材が想定した地山に届かない、所定の挿入長を確保できない、定着材の充填空間が不足するといった問題につながる可能性があります。


法面の地山は一様ではありません。同じ施工範囲でも、風化の程度、亀裂の発達、土砂と岩盤の境界、転石、地下水の影響などが変化します。削孔中の速度、振動、排出物、湧水、ロッドの挙動は、こうした変化を把握する参考情報になります。ただし、削孔時の手応えや削孔粉だけで地質を断定することはできません。想定外の変化が続く場合は、施工記録を整理したうえで、監督職員や設計関係者など所定の関係者へ報告し、対応を確認することが重要です。


また、法面工事では安全な作業環境が施工精度にも関係します。足場や作業構台が不安定であれば、削孔機の据付け位置や方向を保持しにくくなります。無理な作業姿勢や機械の固定不足は、孔位置のずれ、方向の変化、施工記録の漏れにつながるおそれがあります。施工者の経験だけに頼らず、位置出し、機械の据付け、確認器具、記録方法、異常時の連絡手順まで施工計画に反映することが必要です。


削孔管理では、全国一律の数値を当てはめるのではなく、その工事に適用される設計図書や施工管理基準を優先します。管理値を満たしていても、地山の崩壊や著しい逸水などが確認された場合は、通常どおり施工を続けてよいとは限りません。数値管理と施工中の観察を組み合わせ、異常があれば次工程へ進む前に確認することが、定着不足を防ぐ基本です。


項目1 削孔位置を設計図と現地で確実に照合する

最初に確認したいのは削孔位置です。補強材の配置間隔や配列は、法面全体の補強計画を構成する要素です。孔位置を取り違えたり、無断で移動したりすると、設計で想定した配置から外れる可能性があります。法面表面の凹凸、既設吹付面、植生、転石、排水施設、既設構造物などにより、図面上の位置をそのまま現地へ移しにくい場合があるため、基準点との関係を明確にして位置出しを行います。


施工前には、測点、法肩、法尻、法枠、排水施設、既設構造物など、現地で確認できる基準との位置関係を整理します。図面寸法が水平距離、斜距離、法面上の距離のどれを示すかを確認し、作業班内で測り方を統一することも重要です。勾配変化部や法面の折れ点では、基準の取り方を誤ると配列全体がずれることがあります。


マーキング後も、削孔機を据え付ける直前に孔番号、段、列、設計位置を再確認します。仮設材の設置、降雨、表面の剥離、資材の移動などによって、事前の表示が見えにくくなる場合があるためです。孔番号の表示方法を統一し、削孔記録と写真記録で同じ番号を使用すると、別の孔との取り違えを防ぎやすくなります。


障害物や地山状況のため位置変更が必要になった場合は、施工者だけで決定せず、設計図書や工事の手続きに従って確認します。変更理由、移動方向、移動量、隣接孔との関係を記録し、必要な承認や協議を経て施工します。許容される位置誤差や変更手続きは発注者や工法によって異なるため、一般的な数値で判断しないことが大切です。


写真は、法面全体の中で孔の位置が特定できるように撮影します。全景、段や列が分かる中景、孔番号とマーキングが読める近景を組み合わせると、後から位置関係を確認しやすくなります。近景だけでは同じような孔を識別できないため、測点や周辺構造物なども写し込みます。


削孔位置の誤りは、施工後に簡単には修正できません。再削孔が必要になれば、周辺地山や既施工部への影響も検討する必要があります。位置出しと削孔直前の照合を工程として定着させることが、削孔管理の第一歩です。


項目2 削孔角度と方向を施工前後で確認する

削孔角度と方向は、補強材の到達位置を左右します。設計で示された方向から外れると、必要な範囲に補強材が配置されない、隣接する孔や既設構造物へ接近する、補強材の挿入に支障が生じるといった可能性があります。法面は傾斜しているため、作業者の目測だけでは上下方向と左右方向のずれを把握しにくく、確認方法を事前に決めておく必要があります。


まず、図面に示された角度が水平面基準なのか、法面に対する角度なのか、平面方向を含むのかを明確にします。角度の基準が曖昧なままでは、作業者ごとに解釈が異なるおそれがあります。施工計画書や施工図に、角度の基準、方向の示し方、使用する確認器具、測定時期、適用する管理値を整理します。


削孔機の据付け時には、上下方向だけでなく左右方向も確認します。法面表面に凹凸がある場合は、機械の脚や架台のわずかな傾きが削孔方向に影響します。削孔開始前に機械の固定状態を確認し、施工中に移動や緩みが生じないよう管理します。角度計などを使用する場合も、測定面やゼロ点、法面勾配との関係を統一しなければ、記録値を比較できません。


削孔中は、硬軟差、亀裂、転石などによりビットが偏ることがあります。削孔速度の急変、偏った振動、ロッドの振れ、機械の移動が見られた場合は、孔曲がりや地山変化の可能性を考えます。ただし、孔内の方向を孔口の見た目だけで正確に確認することは困難です。異常が大きい場合は作業を一時停止し、施工計画に定めた確認方法や関係者との協議に従います。


削孔後は、補強材が所定長まで無理なく挿入できるかを確認します。途中で強い抵抗が生じる場合は、孔曲がりだけでなく、孔内崩壊、孔径不足、削孔粉の残留なども考えられます。強制的に押し込むと、補強材やスペーサーを損傷したり、補強材が孔壁に偏ったりするおそれがあるため、原因を確認してから対応します。


記録では、削孔前の据付け状態、確認器具の表示、機械の固定状況、孔番号を同時に残します。削孔後に孔内方向を直接証明できない場合があるため、施工前と施工中の管理記録が重要になります。設計図書で完成後の確認方法や測定頻度が定められている場合は、その方法を優先します。


項目3 孔径を確保してグラウト充填性を守る

孔径は、補強材を所定の位置に挿入し、その周囲へ定着材を充填するための基本条件です。孔径が不足すると、補強材やスペーサーが通らない、補強材が孔壁に接触する、定着材の通り道が狭くなるといった支障が生じる可能性があります。一方、孔が局部的に大きくなった場合は、定着材の使用量や注入状況が計画と異なることがあります。


孔径管理では、設計図書に示された削孔径と、使用するビットやケーシングの外径を照合します。施工開始時だけでなく、摩耗の程度、地山条件、施工本数などを考慮して点検時期を定めます。硬質な地山を連続して削孔するとビットが摩耗することがあるため、交換基準や測定方法を施工計画に明記しておくと管理しやすくなります。


実際の孔内は、ビット径と常に同じ形状になるとは限りません。崩れやすい地山では狭窄や崩落が生じることがあり、亀裂や空隙がある地山では局部的に孔が広がることもあります。したがって、ビット径の確認だけで孔内全体の状態を断定せず、排出物、補強材の挿入抵抗、定着材の使用量なども合わせて確認します。


補強材が入ったことだけで孔径が適切だったとは判断できません。スペーサーが外れたり変形したりした状態で無理に挿入できた場合、補強材が孔壁側に偏り、定着材が周囲に均等に回りにくくなる可能性があります。補強材径、継手、注入管、スペーサーを含む最大外径と削孔径の関係を施工前に確認します。


削孔速度や排出方法も孔内状態に影響します。排出が追いつかないまま削孔を続けると、削孔粉が孔内に残ることがあります。反対に、地山条件に合わない過度な打撃や送気を行うと、孔壁を乱すおそれがあります。採用する削孔方式、地山条件、使用機械に応じて施工条件を調整し、異常が出た場合は記録します。


孔径は完成後に直接確認しにくいため、使用ビットの規格、点検記録、交換履歴、ケーシングの使用状況、補強材挿入時の状態を残します。必要に応じて定着材の使用量も照合しますが、使用量だけで充填の良否を断定せず、逸水や孔の拡大など施工中の情報と合わせて評価することが重要です。


項目4 孔長と定着長を記録で管理する

孔長の不足は、補強材を設計で求められた長さまで挿入できない原因になります。必要な補強材長や地山との付着区間は、設計条件や工法によって定められるため、現場で一律に判断することはできません。硬い層に当たった、孔壁が崩れた、湧水が出たといった理由があっても、施工者の判断だけで孔長を短くして完了させないことが重要です。


孔長は、削孔ロッドの有効長、継ぎ足した本数、残尺、機械側の測定値など、採用する方法に応じて確認します。ロッドの呼び長さと実際の有効削孔長が一致するとは限らないため、継手部や先端工具を含めた換算方法を事前に統一します。複数班で施工する場合や途中で機械を変更する場合も、同じ計算方法と記録様式を使用します。


削孔完了時には、孔番号ごとに設計孔長と実削孔長を対比します。後からまとめて記入すると、ロッド本数や孔番号の取り違えが起きやすいため、孔ごとにその場で記録する運用が望まれます。管理値や測定頻度は適用する施工管理基準に従い、立会いや写真が必要な工程は事前に把握します。


設計孔長まで削孔できない場合や、想定外の空隙、硬質部、崩壊、著しい湧水が確認された場合は、異常の深度と状況を記録します。そのうえで、再削孔、孔位置や方向の変更、削孔方法の変更、設計の再確認など、所定の対応を協議します。孔長だけを満たすために周辺地山を過度に乱すことも避けなければなりません。


削孔長を確保しても、補強材が所定長まで入らなければ計画どおりの施工にはなりません。補強材に挿入長を確認できる表示を設ける、孔口からの突出長を測るなど、削孔長と挿入長を別々に確認します。継手を使用する場合は、継手位置や締結状態も施工計画に従って管理します。


孔長や挿入長の記録は、完成後の出来形確認や維持管理資料としても役立ちます。孔番号、設計孔長、実削孔長、補強材長、挿入状態、異常深度、対応内容を関連付けて残すと、施工後に法面の変状が確認された場合にも照合しやすくなります。


項目5 孔内清掃と湧水状況を確認する

削孔後の孔内に削孔粉、スライム、崩落土などが残っていると、補強材の挿入や定着材の充填に支障を及ぼす可能性があります。孔内清掃は採用する削孔方式や地山条件に応じて行い、単に清掃作業を実施したことではなく、次工程へ進める状態かを確認します。


孔内清掃の方法は、乾式か湿式か、ケーシングを使用するか、孔壁が自立するかなどによって異なります。送気や送水による排出が有効な場合もありますが、崩れやすい地山では過度な送気や送水が孔壁を乱すおそれがあります。施工計画に定めた方法を基本とし、排出物の状態や孔壁の安定性を見ながら調整します。


排出物の濁りや量が減ったことは清掃状態を判断する参考になりますが、それだけで孔内全体が清浄になったと断定はできません。補強材の挿入抵抗、孔内崩壊の有無、孔口へ戻る土砂なども確認します。清掃後に時間が空く場合は、孔壁の崩壊や土砂の再流入が起きていないか、挿入前に再確認します。


湧水や逸水がある孔では、その位置、量の変化、濁り、継続性を記録します。孔内水があることだけで直ちに不良とはいえませんが、定着材が水みちや亀裂へ流出する、材料分離や品質変動が生じる、計画した充填方法を維持できないといった可能性があります。定着材の種類、配合、注入方法、孔口処理などは、設計図書や工法の施工要領に従って確認します。


清掃を繰り返しても土砂が排出され続ける、補強材が途中で止まる、孔口周辺が崩れる場合は、孔壁が安定していない可能性があります。このような状態では、清掃回数を増やすだけで解決するとは限りません。ケーシングの使用、削孔方式の変更、孔の再施工など、施工計画と関係者の判断に基づく対応が必要です。


記録には、清掃方法、実施時刻、湧水や逸水の有無、排出物の状態、補強材挿入時の抵抗、異常時の対応を残します。孔内を写真で直接確認できない場合は、孔口、排出物、清掃作業、湧水状況を孔番号とともに撮影し、帳票と関連付けます。


項目6 地山変化と削孔中の異常を記録する

削孔中に得られる情報は、実際の地山状態を把握するための重要な施工情報です。削孔速度、機械の振動、削孔音、排出される削孔粉の色や粒径、湧水、ロッドの挙動などが変化した場合、硬軟差、亀裂、空隙、転石、地下水などの影響が考えられます。ただし、これらはあくまで施工時の観察情報であり、観察だけで地質や安定性を断定しないことが重要です。


削孔が急に進みやすくなった場合は、軟弱部や空隙などの可能性があります。急に進みにくくなった場合は、硬質部や転石などが考えられます。削孔粉の色や含水状態が変わった場合も、地層や地下水条件の変化を示すことがあります。変化が一時的か、複数孔で連続しているかを確認し、深度と位置を記録します。


異常記録は、問題が起きた孔だけに限定しないほうが比較しやすくなります。通常孔についても、削孔時間、主な地山状況、湧水の有無など基本項目を同じ様式で残しておけば、異常孔との違いを把握できます。詳細な地質柱状図を作成しない工事でも、空転、ロッドの引っ掛かり、孔壁崩壊、著しい逸水、予定外の中断などは記録対象として明確にします。


異常が確認された場合は、工程を優先してそのまま進めないことが大切です。削孔機の固定が外れた、角度が変化した、孔壁崩壊が続く、定着材が大量に逸失するといった状況では、施工品質を確認できない可能性があります。作業を一時停止する基準、報告先、再開条件を施工前に定めておくと、現場で判断しやすくなります。


削孔作業者が把握した情報は、補強材の挿入班や注入班にも引き継ぎます。孔ごとの記録が別々の帳票に分かれていると、異常情報が途切れることがあります。孔番号を共通キーとして、削孔、挿入、注入、試験、写真の情報を関連付ける仕組みが有効です。


写真や動画を使用する場合は、孔番号、撮影位置、日時、異常が生じた深度が分かるように整理します。映像だけでは孔との対応が分からなくなるため、帳票の記載と一致させます。削孔中の観察を個人の経験にとどめず、施工記録として共有することが、想定外の地山条件への適切な対応につながります。


削孔後から挿入・注入までの連続管理

削孔管理は、孔を開けた時点で終わりではありません。削孔後から補強材の挿入、定着材の注入、頭部処理までの工程が連続して管理されて初めて、施工品質を確認できます。法面では、削孔後の時間経過によって孔内へ水や土砂が入り込んだり、孔壁が崩れたりすることがあるため、施工計画に沿って次工程へ移行します。


すぐに補強材を挿入できない場合は、孔口からの雨水や土砂の流入を防ぐ養生を検討します。孔口周辺に削孔粉が堆積していると、挿入時に孔内へ戻る可能性があります。孔口周辺を清掃し、再開時には孔内状態を再確認します。許容される放置時間は地山や工法によって異なるため、一律の時間を設けるのではなく施工計画で定めます。


補強材の挿入前には、材質、径、長さ、継手、注入管、スペーサー、防食仕様などを設計図書と照合します。運搬や仮置きで曲がり、損傷、著しい汚れが生じていないかも確認します。スペーサーは、補強材を孔内の適切な位置に保持し、定着材の充填空間を確保するため、取付け位置や固定状態を施工要領に従って管理します。


定着材の注入では、材料の配合、練混ぜ、フロー、強度、注入方法、使用量、施工時間など、適用する品質管理基準に従います。注入圧を管理する工法では圧力も確認しますが、すべての鉄筋挿入工で同じ圧力管理を行うわけではありません。採用する工法や機械に応じた管理項目を施工計画書に明記します。


孔口から定着材の戻りが確認できる施工方法では、戻りの状態が充填確認の参考になります。ただし、孔口から戻ったことだけで孔内全体の充填を断定することはできません。亀裂や空隙への逸失、孔口付近の閉塞、湧水などがあるため、理論量と実使用量、注入経過、削孔時の異常を総合して確認します。


削孔班、挿入班、注入班が分かれている場合は、引継ぎ方法を統一します。異常孔には識別表示を設け、次工程の担当者が削孔記録を確認してから作業を始める運用が有効です。削孔時に得た情報を後工程へ確実に渡すことが、見えない孔内の品質を管理する重要な手段になります。


定着不足を防ぐ記録写真と管理帳票の残し方

法面鉄筋挿入工では、完成後に孔内の状態を直接確認しにくいため、施工中の写真と帳票が品質を説明する重要な資料になります。記録は書類をそろえるためだけではなく、施工中に異常の傾向を把握し、次工程の判断へ活用するために残します。


写真記録では、施工前の法面全景、孔位置のマーキング、削孔機の据付け、角度確認、使用ビット、削孔長の確認、孔内清掃、補強材の仕様と挿入、定着材の注入、頭部処理など、設計図書や写真管理基準で求められる工程を撮影します。すべての孔で同じ写真を求められるとは限らないため、撮影項目と頻度は工事ごとの基準に従います。


写真には、工事名、工種、測点や孔番号、設計値、実測値、撮影内容など、必要な情報を判読できる形で記録します。電子小黒板や位置情報を使用する場合も、発注者の電子納品や写真管理のルールに適合させます。位置情報は孔の特定を補助しますが、測量成果や孔番号管理の代わりにはなりません。


管理帳票では、孔番号、設計位置、実施工位置、設計角度、確認角度、設計孔径、使用ビット、設計孔長、実削孔長、補強材長、挿入状態、孔内清掃、湧水や逸水、定着材の使用量、異常内容、対応内容を関連付けます。ただし、必要項目は工法や発注者基準によって異なるため、施工計画段階で帳票を確定します。


記録は工程の節目ごとに現場で入力します。作業終了後にまとめて記入すると、孔番号、ロッド本数、注入量などを取り違えるおそれがあります。削孔完了、補強材挿入、注入完了、試験実施の各時点で担当者が確認し、未記入や異常未処理の孔を次工程へ進めない仕組みを整えます。


記録を一覧化すると、湧水が多い範囲、削孔時間が長い範囲、定着材の使用量が計画と大きく異なる孔などを把握できます。ただし、単一の数値だけで不良と判定せず、地山条件、孔径、逸水、施工方法などを合わせて評価します。異常傾向が連続する場合は、関係者へ共有し、必要な対応を確認します。


写真、帳票、試験結果を孔番号でひも付けると、完成後の照合が容易になります。紙帳票でもデジタル記録でも、改ざん防止、バックアップ、版管理、閲覧権限などを適切に設定し、工事記録として確実に保存することが重要です。


まとめ

法面鉄筋挿入工の定着不足を防ぐには、削孔位置、削孔角度と方向、孔径、孔長、孔内清掃と湧水、地山変化の6項目を、設計図書と施工計画に基づいて管理することが重要です。孔が開き、補強材が入ったという事実だけでは、所定の施工品質が確保されたとは判断できません。完成後に見えなくなる工程だからこそ、削孔中の確認と記録が必要です。


法面の地山条件は一定ではありません。硬軟差、風化、亀裂、転石、湧水、逸水、孔壁崩壊などが確認された場合は、観察情報を孔番号と深度に関連付けて記録します。削孔時の手応えだけで地質を断定せず、想定外の状況が続く場合は、所定の関係者へ報告し、施工方法や設計条件の確認を行います。


削孔管理は、補強材の挿入、定着材の注入、頭部処理と切り離せません。孔長が確保されていても補強材が所定長まで入らない場合や、定着材が著しく逸失する場合は、計画どおりの状態になっていない可能性があります。工程間で記録を引き継ぎ、異常が解消または確認される前に次工程へ進めない管理が大切です。


また、管理値や試験頻度は発注者、工法、設計条件によって異なります。一般的な記事に示された数値をそのまま現場へ適用せず、その工事の設計図書、施工管理基準、施工要領を優先してください。定着材についても、材料検査、フロー、圧縮強度、引抜き試験など、指定された品質管理を確実に実施する必要があります。


法面鉄筋挿入工の品質を安定させる鍵は、見えない孔内を施工中の事実で管理することです。孔番号を軸に、位置、角度、孔径、孔長、地山状況、補強材、定着材、写真、試験結果を関連付ければ、確認漏れや取り違えを減らし、施工後の説明力も高められます。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page