top of page

法面工事に補助金は使える?確認すべき3つの条件

タイマーアイコン.jpeg
この記事は平均7分で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

法面工事を検討するとき、「自治体の補助金や災害復旧制度を利用できないか」と考える方は少なくありません。法面に亀裂、はらみ出し、表面浸食、落石、湧水、排水不良などが見られる場合、早めの調査や安全対策が必要ですが、工事内容によっては調査、設計、仮設、排水、補強などに相応の費用がかかります。


結論として、法面やがけの対策に関係する補助制度、助成制度、災害復旧事業、行政主体の防災事業が利用できる可能性はあります。ただし、「法面工事」という工事名だけで全国一律に対象になる制度があるわけではありません。申請者、土地の用途、区域指定、守る対象、災害の有無、工事目的、申請時期などによって、利用できる制度と手続きが変わります。


また、個人や事業者が工事費の一部を受け取る補助金だけでなく、一定の要件を満たす急傾斜地について都道府県が対策工事を実施する仕組みや、危険住宅の移転を支援する事業、農地や農業用施設の災害復旧事業、森林を対象とする治山事業が関係する場合もあります。急傾斜地対策は土地所有者による保全が原則とされつつ、一定の要件を満たす区域では県が工事を行う例があります。([神奈川県 公式サイト][1])


本記事では、法面工事で公的支援を検討するときに確認すべき3つの条件を中心に、対象となる可能性があるケース、相談先、申請前の注意点、災害直後の対応まで解説します。制度名や要件は自治体と年度によって異なるため、最終的には対象地を所管する行政窓口の案内と交付要綱を確認してください。


目次

法面工事に補助金が使える可能性はある

補助金を探す前に法面工事の目的を整理する

条件1 申請者と土地の用途が制度の対象になっている

条件2 契約や着手の前に制度の手続きを確認している

条件3 工事の必要性と妥当性を資料で説明できる

補助や行政事業の対象となる可能性があるケース

対象外となる可能性が高いケース

土地の種類によって相談先を切り分ける

相談から法面工事完了までの一般的な流れ

見積書と工事計画で確認すべきポイント

災害直後の法面工事で注意したいこと

補助金が使えない場合に検討する選択肢

相談時に準備したい資料

まとめ


法面工事に補助金が使える可能性はある

法面工事に関する公的支援は、所有者が施工会社へ発注し、工事費の一部について補助を受ける制度だけではありません。自治体や都道府県が事業主体となる防災事業、災害後に行われる復旧事業、危険な住宅の移転や改修を支援する制度などもあります。


そのため、補助金を探すときは「法面工事 補助金」という言葉だけで検索するのではなく、対象地の用途と目的を組み合わせて調べることが重要です。住宅地のがけ、農地に接する斜面、森林内の崩壊地、道路沿いの法面では、関係する制度も担当部署も異なります。


住宅地に近接する斜面では、自治体独自の防災工事助成が設けられている場合があります。一方、急傾斜地崩壊危険区域などで一定の事業要件を満たす場合には、土地所有者へ補助金を交付する形ではなく、都道府県が対策施設を整備することがあります。神奈川県の案内でも、斜面の保全は土地所有者が行うことを原則としつつ、一定の基準を満たす場合には県が所有者に代わって工事を行う仕組みが説明されています。([神奈川県 公式サイト][1])


なお、日常用語としての「法面」と、法令や自治体制度で使われる「がけ」「急傾斜地」「盛土」「山腹崩壊地」などは、必ずしも同じ範囲を指しません。高さ、勾配、自然斜面か人工斜面か、区域指定の有無などによって制度上の扱いが変わるため、自己判断で制度名を決めつけないことが大切です。


公的支援の対象になるかどうかは、斜面の規模だけでは決まりません。崩壊した場合に住宅、道路、公共施設、農地、農業用施設などへどのような被害が及ぶか、公共性や緊急性があるか、制度が定める技術要件を満たすかなどが確認されます。


また、要件を満たすように見えても、予算、募集期間、優先順位、現地調査、審査結果によって採択されないことがあります。「申請できる可能性があること」と「交付や事業実施が決まること」は分けて考えましょう。


補助金を探す前に法面工事の目的を整理する

最初に整理したいのは、何のために法面工事を行うのかです。工事目的が曖昧なままでは、自治体に相談しても適切な担当部署や制度を判断しにくくなります。


法面工事の目的には、斜面崩壊の防止、災害からの原形復旧、落石対策、表面浸食の抑制、雨水や地下水の排水改善、既存構造物の補修、緑化、宅地造成に伴う整備などがあります。外観が似た工事でも、既存住宅や道路を守るための防災工事と、新築や駐車場整備のための造成工事では、行政上の位置付けが異なります。


補助制度や公共事業では、防災、生活環境の保全、地域交通の確保、農業生産基盤の復旧など、制度目的との適合が確認されます。単に土地を使いやすくしたい、見栄えを良くしたい、雑草管理を減らしたいという目的だけでは、防災関係の支援に結び付かないことがあります。


一方、土砂が道路や水路へ流出している、住宅に落石が到達するおそれがある、農道や水路が被災している、森林内の崩壊が下流へ影響する可能性があるといった場合は、守る対象と被害の可能性を具体的に説明できます。


目的を整理するときは、現在確認できる変状、変状が進んだ場合の影響、守る必要がある対象、希望する対策効果を文章にします。「ひび割れがあるため補修したい」だけでなく、亀裂がどこにあり、いつから確認され、雨の後に変化したか、法面下部に住宅や道路があるかまで整理すると、相談が進みやすくなります。


ただし、亀裂や湧水の原因は外観だけでは判断できません。表面浸食と斜面全体の変動では必要な対策が異なります。補助制度に合いそうな工法を先に選ぶのではなく、まず現地条件と危険性を確認し、その結果に基づいて工法を検討してください。


条件1 申請者と土地の用途が制度の対象になっている

一つ目の条件は、申請者と土地の用途が制度の対象になっていることです。


法面工事に関係する制度は、誰でも同じ条件で申請できるものではありません。個人の住宅所有者を対象とする制度、土地所有者を対象とする制度、農業者や農業関係団体が関係する制度、地方公共団体が事業主体となる制度などがあります。


所有者本人による申請が必要な制度では、登記事項や納税状況の確認を求められる場合があります。共有地であれば共有者の同意、借地であれば土地所有者の承諾、分譲地の共用部分であれば管理組合などの意思決定が必要になる可能性があります。法人所有地、賃貸住宅の敷地、隣接地にまたがる斜面では、誰が申請者または事業協力者になるのかを早めに整理する必要があります。


土地用途も重要です。宅地、農地、森林、事業所敷地、道路敷地では、制度の根拠や相談先が異なります。


農地や農道、水路などが異常な天然現象によって被災した場合は、農地・農業用施設の災害復旧事業が関係する可能性があります。ただし、個人が自由に工事して後から一律に補助を受ける仕組みではなく、市町村などへの被害報告、事業要件の確認、災害査定などの手続きが関係します。([農林水産省][2])


森林内の斜面では、森林の維持造成を通じて山地災害から生命や財産を守る治山事業が関係することがあります。治山事業は林野庁が国土保全政策の一つとして位置付けており、地域では都道府県などが実施する例があります。土地所有者へ工事費を直接補助する制度とは限らないため、林務や治山の担当窓口に確認します。([りんや][3])


住宅地のがけでは、危険区域の指定や住宅への影響が関係する場合があります。ただし、土砂災害警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域などに含まれていることだけで、工事費の補助や補償が自動的に受けられるわけではありません。区域指定、制度の対象住宅、工事内容、申請時期などを個別に確認する必要があります。


申請前には、地番、所有者、共有関係、土地用途、斜面の位置、区域指定の有無を確認し、誰がどの窓口へ相談するべきかを整理しておきましょう。


条件2 契約や着手の前に制度の手続きを確認している

二つ目の条件は、正式な契約、発注、資材購入、工事着手の前に、利用を検討する制度の手続きを確認していることです。


多くの補助制度では、申請と審査を経て交付決定を受けた後に契約や工事を行うことが求められます。岡山市のがけ地近接等危険住宅移転事業の案内でも、工事着手前かつ契約前の申請、交付決定後の契約と工事が示されています。国土交通省の同事業に関する案内でも、着手済みの住宅は原則として対象外とされています。([岡山市公式サイト][4])


ただし、すべての制度で「交付決定前に行ったあらゆる行為が必ず対象外」と一律に扱われるわけではありません。事前調査、測量、設計、見積取得、応急措置などの扱いは制度ごとに異なり、事前着手の届出や例外手続きが設けられている場合もあります。したがって、一般論だけで判断せず、交付要綱や担当窓口に「どの行為から着手とみなされるか」を確認する必要があります。


補助制度を利用する可能性がある段階では、施工会社へ正式発注する前に、現地確認や概算見積りの範囲を明確にしてください。調査や設計の契約も補助対象や着手判定に影響する可能性があるため、契約前に制度担当者へ確認するのが安全です。


見積書では、法面対策に直接必要な工事と、それ以外の希望工事を分けます。法面保護工、排水工、補強工、仮設工、設計費、調査費、撤去費、残土処分費などのうち、どこまでが対象経費になるかは制度ごとに異なります。駐車場、植栽、建物、一般外構などをまとめて一式計上すると、対象経費を確認しにくくなります。


補助金の支払い時期も制度によって異なります。工事完了後の実績報告、検査、補助額の確定、請求を経て支払われる制度では、申請者が先に工事費を支払う必要があります。補助金が入ることを前提に資金をぎりぎりまで組むのではなく、不採択や対象経費の減額も考慮して資金計画を立てましょう。


条件3 工事の必要性と妥当性を資料で説明できる

三つ目の条件は、工事の必要性と計画の妥当性を資料で説明できることです。


補助金や行政事業の審査では、「不安だから工事をしたい」という説明だけでは判断できません。法面の状態、変状の位置、想定される被害、保全対象、工法の考え方、施工範囲、費用の根拠などを客観的に示す必要があります。


まず準備したいのが現況写真です。法面全体、法面上部、法尻、周辺の住宅や道路、水路との位置関係が分かる写真を撮影します。亀裂、はらみ出し、崩落、落石、湧水、排水溝の破損、土砂流出などは近景でも記録します。ただし、崩壊のおそれがある場所へ近づいてはいけません。


写真には撮影日を残し、簡単な配置図に撮影位置と方向を示すと状況を共有しやすくなります。過去の写真があれば、変状の進行を比較できます。


次に、法面のおおよその高さ、幅、勾配、対象面積、住宅や道路までの距離を整理します。正式な設計には測量や地盤調査が必要になる場合がありますが、初回相談でも概略が分かれば、制度要件との照合がしやすくなります。


工法は現地条件に応じて選定します。表面浸食を抑える工法、落石を防ぐ工法、斜面全体の滑動を抑える工法、地下水を排除する工法では、目的が異なります。見た目を覆うだけでは、地下水や斜面内部の変動に対応できないことがあります。


安価な工法を選ぶことだけを優先すると、安全性を確保できないおそれがあります。一方で、必要性を説明できない過大な工事は、対象経費として認められない可能性があります。現地調査の結果に基づき、工事目的に対して過不足のない計画を作ることが重要です。


制度によっては、設計図、構造計算、地盤調査結果、施工計画、複数者の見積り、所有者同意書などが必要です。最初からすべてをそろえるのではなく、事前相談で必要書類と提出時期を確認し、調査や設計の順序を決めましょう。


補助や行政事業の対象となる可能性があるケース

対象となる可能性を検討しやすいのは、防災または災害復旧の目的が明確で、制度要件に合致するケースです。


たとえば、斜面崩壊によって住宅や通行量のある道路へ土砂が流入するおそれがある場合は、保全対象と被害の可能性を説明できます。複数の住宅や公共施設に影響する斜面では、行政事業として検討される可能性がありますが、区域指定、斜面の高さや勾配、保全人家、土地所有者の同意など、事業ごとの条件を満たす必要があります。


豪雨、地震、融雪などによって農地や農業用施設が被災した場合は、災害復旧事業の対象となる可能性があります。農林水産省は、被災の報告、復旧計画、災害査定、交付決定、復旧工事という流れを示しており、緊急時には査定前着工制度が使われる場合もあります。([農林水産省][5])


森林内の崩壊地から土砂が流出し、下流の集落、道路、公共施設などに影響する可能性がある場合は、治山事業の対象として検討されることがあります。治山事業は、山腹崩壊地の復旧や落石対策、荒廃渓流への対策などを含む例があります。([りんや][3])


危険な区域にある住宅では、斜面を補強する制度だけでなく、住宅の除却や安全な場所への移転を支援する制度が関係する場合があります。国土交通省は、災害危険区域等にある危険住宅の移転を支援する事業を案内しています。([国土交通省][6])


いずれの場合も、「危険だと感じること」だけではなく、制度が定める対象区域、保全対象、被災原因、事業主体、費用要件、申請手続きなどを満たす必要があります。


対象外となる可能性が高いケース

対象外となる可能性が高いのは、制度目的と工事目的が合わないケースです。


敷地を広くするための切土、駐車場の新設、新築に伴う造成、景観だけを目的とした改修、通常の維持管理などは、防災や災害復旧を目的とする制度の対象にならないことがあります。既存住宅を災害から守る工事と、新たな土地利用のための造成工事は分けて考える必要があります。


工事が完了している場合、交付決定前に正式契約している場合、制度が定める申請期限を過ぎている場合も、対象外となる可能性があります。ただし、災害復旧の査定前着工など例外的な手続きもあるため、災害直後は自己判断で諦めたり着工したりせず、速やかに行政へ相談してください。


所有関係や境界が確認できない場合も、工事や申請が進まないことがあります。斜面の上部と下部で所有者が異なる、共有名義人の同意が得られない、道路や水路との境界が不明確といった場合は、申請主体と施工範囲を整理する必要があります。


工法の根拠が不明確な見積りも注意が必要です。現地調査を行わず、法面面積だけで算出した一式見積りでは、必要性、数量、工法、対象経費を説明しにくくなります。


また、補助対象外であることと、法面が安全であることは別問題です。補助金が使えない場合でも、危険性があるなら、排水改善、立入制限、監視、段階施工などを含めて専門家と対策を検討してください。


土地の種類によって相談先を切り分ける

法面工事の公的支援を調べるときは、土地の種類と守る対象に応じて相談先を切り分けます。


住宅地や事業所敷地の法面では、自治体の建築、防災、宅地安全、開発指導、砂防などの部署が候補になります。部署名は自治体ごとに異なるため、代表窓口へ所在地と状況を伝え、担当部署を案内してもらう方法でも構いません。


住宅の直近にがけがある場合は、斜面対策だけでなく、危険住宅の移転や防災改修に関する制度が関係することがあります。ただし、移転支援と法面工事への助成は別制度です。国土交通省のがけ地近接等危険住宅移転事業は、危険な区域にある住宅の除却や移転を支援するものであり、一般的な私有法面の補修費を一律に補助する制度ではありません。([国土交通省][6])


農地、農道、ため池、水路に関係する法面では、市町村の農林担当部署、農業基盤担当部署、土地改良区などへ相談します。災害による被害であれば、復旧前の被害報告と写真記録が重要です。


森林内や山腹の法面では、林務、治山、森林保全などの部署が候補です。治山事業では、都道府県が土地所有者等の協力を得て事業を実施する例があり、所有者が施工会社へ直接発注して補助金を受ける仕組みとは異なる場合があります。([兵庫県][7])


道路に接する法面では、道路管理者と土地所有者の双方に確認が必要になることがあります。道路へ影響する可能性があるからといって、道路管理者が必ず私有地内の工事費を負担するわけではありません。法面と道路の境界、排水施設の管理区分、被害原因を確認します。


相談から法面工事完了までの一般的な流れ

法面工事で補助制度を検討する場合は、まず自治体へ事前相談します。正式契約や着工の前に相談することが重要です。


事前相談では、所在地、地番、土地用途、所有者、法面の状態、発生している変状、周辺の住宅や道路、災害の有無を説明します。位置図と写真があると、窓口で状況を共有しやすくなります。


制度の対象となる可能性がある場合は、行政による現地確認や追加資料の提出が行われます。現地では、法面の高さ、勾配、地形、排水、保全対象、工事車両の進入条件などが確認されることがあります。


次に、必要に応じて調査、測量、設計、見積取得を行います。制度によっては、複数の見積り、設計図、施工前写真、所有者同意書などが必要です。これらをそろえて交付申請を行い、審査を受けます。


申請書を提出しただけでは、補助金の交付は確定していません。契約や着工が可能になる時点は制度ごとに確認し、交付決定通知などの正式な案内を受けてから進めます。


工事中は、完成後に見えなくなる部分を写真で記録します。排水材、補強材、基礎、鉄筋、削孔、充填などは、完成後の外観だけでは確認できません。設計変更や数量変更が生じた場合は、施工会社だけで判断せず、補助制度の担当窓口へ事前に連絡します。


工事完了後は、完成写真、契約書、請求書、支払いを確認できる資料、出来形関係書類などを添えて実績報告を行います。書類審査や現地検査を経て、対象経費と補助額が確定する制度があります。


年度内の工事完了や実績報告が条件となる制度もあるため、施工期間だけでなく、検査や書類補正に必要な期間も考慮して日程を組みましょう。


見積書と工事計画で確認すべきポイント

法面工事の見積書では、「法面工事一式」だけでなく、工種、数量、単位、施工範囲、単価の根拠を確認します。


工事内容に応じて、調査、測量、設計、伐採、仮設、掘削、法面整形、排水、法面保護、補強、残土処分、安全対策などが区分されていると、対象経費を確認しやすくなります。ただし、すべての現場に同じ工種が必要なわけではありません。


図面の施工範囲と見積数量が一致しているかも重要です。面積、延長、箇所数、深さ、使用材料などの根拠が不明確だと、申請時や完成検査時に説明しにくくなります。


工事計画では、排水の扱いを確認します。雨水の集中や地下水が変状の一因となっている場合、表面だけを保護しても問題が解消しないことがあります。法面上部から流入する水、斜面内部から出る水、法尻へ集まる水を分けて考え、排水先まで確認してください。


排水設備を新設しても、下流側の側溝や水路に容量がなければ、別の場所で浸水や浸食を起こすおそれがあります。私有地外へ排水する場合は、管理者や関係者との協議が必要になることもあります。


急斜面では、足場、墜落防止、落石防護、交通誘導などの仮設と安全対策も必要です。住宅地では、騒音、振動、粉じん、工事車両の動線、近隣への説明も工事の実行性に関わります。


補助対象額を抑えるために必要な安全対策を削ることは適切ではありません。一方、法面の安全確保と直接関係しない外構や景観工事を同じ見積りに混在させると、審査が複雑になります。申請対象となる可能性がある部分と任意工事を分けて整理しましょう。


災害直後の法面工事で注意したいこと

豪雨や地震の直後に法面が崩れた場合は、補助制度の確認より先に人命の安全を確保します。崩壊が続くおそれがある場合は法面へ近づかず、住宅、道路、通路などに影響があるときは自治体、警察、消防、道路管理者などへ連絡してください。


安全な場所から、崩壊範囲、土砂の堆積、亀裂、湧水、周辺施設への影響を写真で記録します。撮影日時、撮影位置、被害を確認した時刻、直前の天候も記録します。被災前の写真や点検記録があれば、被害の確認に役立ちます。


危険が差し迫っている場合でも、所有者や施工会社だけの判断で本復旧に着手すると、公的支援の手続きに影響する可能性があります。まず自治体へ被害を報告し、応急措置と本復旧を区別して、必要な手続きを確認してください。


農地や農業用施設の災害復旧では、災害査定を待たずに復旧へ着手できる査定前着工制度があります。ただし、被災状況の事前調査と撮影、工事中写真、契約や支払いに関する証拠書類などの整理が必要で、応急本工事では事前の打合せが必要となる場合があります。([農林水産省][8])


応急措置として、立入防止、雨水流入の抑制、仮排水、土砂の仮撤去などが考えられますが、斜面上部へ重量物を置く、排水を別の不安定な斜面へ流すといった処置は危険です。現場条件に応じて行政や専門家の指示を受けてください。


応急措置を行った場合は、作業前、作業中、作業後を記録し、使用資材、作業日、作業者、処置内容、費用関係資料を残します。


補助金が使えない場合に検討する選択肢

補助制度の要件を満たさない場合でも、法面の危険性がなくなるわけではありません。補助金が使えないことを理由に放置せず、緊急性と予算に応じた対策を検討します。


まず、緊急性の高い部分と経過観察できる部分を分けます。全面施工が難しい場合でも、排水溝の清掃、破損部の補修、雨水流入の抑制、落石のおそれがある範囲の立入制限などを先行できることがあります。


ただし、部分補修で安全が確保できるかは専門的な判断が必要です。斜面全体が変動している場合、表面の一部だけを補修しても十分な対策になりません。


工法や施工範囲、仮設方法を見直し、必要な性能を確保しながら費用を合理化できないか検討します。隣接地や複数の住宅にまたがる斜面であれば、関係者が共同で調査や排水計画を行う方が合理的な場合もあります。


災害による損傷では、加入している保険の補償対象になる可能性も確認します。ただし、法面そのもの、擁壁、建物、外構、土砂撤去費などの扱いは契約内容と損害原因によって異なります。保険証券や約款を確認し、保険会社へ照会してください。


自治体の制度は年度ごとに変更、休止、追加されることがあります。現在利用できる制度がなくても、翌年度の予定、事前相談の可否、行政事業の候補を確認しておくと準備につながります。ただし、崩壊の兆候がある斜面を制度開始まで無条件に放置してはいけません。


相談時に準備したい資料

自治体へ相談するときは、対象地を特定できる資料を準備します。住所、地番、案内図、敷地配置図、法面のおおよその位置が分かる資料があるとスムーズです。


土地や建物の所有関係が分かる資料も確認します。正式申請では、登記事項証明書、共有者の同意書、土地所有者の承諾書などを求められる場合があります。


写真は全景と変状部分の両方を用意します。全景では法面上部、法尻、住宅、道路、水路との位置関係が分かるようにし、変状部分では亀裂、湧水、崩落、土砂流出などを記録します。危険な場所へ近づいて撮影してはいけません。


過去の経緯も整理します。いつから変状があるか、豪雨や地震の後に変化したか、過去の補修履歴、排水設備の清掃時期などを記録します。施工図面や過去写真が残っていれば、斜面内部や既存構造の把握に役立ちます。


施工会社へ相談済みであれば、概算見積書や提案図を持参します。ただし、補助制度を利用する可能性がある場合は、正式契約や発注の前に行政へ確認します。


相談日、担当部署、担当者、確認した条件、必要書類、次の手続きを記録してください。口頭説明だけで判断せず、必要に応じて交付要綱、募集案内、申請様式を入手し、対象可否を確認しましょう。


まとめ

法面工事に補助金や公的支援を利用できる可能性はありますが、法面工事という名称だけで対象になるわけではありません。


確認すべき条件は、申請者と土地用途が制度の対象であること、契約や着手の前に制度の手続きを確認していること、工事の必要性と妥当性を資料で説明できることの三つです。


住宅地、農地、森林、道路では、関係する制度と相談先が異なります。個人向け助成だけでなく、都道府県が実施する急傾斜地対策、農地や農業用施設の災害復旧、治山事業、危険住宅の移転支援などが関係する場合があります。


法面に異常を見つけたら、安全を確保したうえで、位置図、現況写真、土地用途、所有関係、周囲の保全対象を整理し、正式契約や着工の前に自治体へ相談してください。制度の最新要件、対象経費、申請期限、着手可能時期は、必ず対象地の担当窓口と交付要綱で確認することが重要です。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、

こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

bottom of page