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法面工事で竹林が広がる斜面?根張りを見極める3注意

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

竹林が広がる斜面で法面工事を計画するとき、実務担当者が判断に迷いやすいのが、竹の地下部をどのように評価するかという点です。竹が密生していると、地下茎や細根が土をつないでいるように見える一方、放置竹林は危険だから全面的に除去すべきだと考えられることもあります。


しかし、竹の有無だけで斜面の安全性を判断することはできません。表土の厚さ、地山の性状、風化の程度、斜面勾配、地下水や湧水、地表水の流れ、過去の崩壊や補修の履歴、既設構造物、隣接地からの地下茎の侵入などを総合して検討する必要があります。


一般に竹の「根」と呼ばれる地下部には、横方向へ広がる地下茎と、地下茎から伸びる細根が含まれます。法面工事では、地下茎がどの深さに、どの方向へ、どの程度連続しているかを確認することが重要です。地上に見える竹の本数や太さだけでは、掘削時に遭遇する地下茎の量、表土の状態、工事後の再生可能性までは判断できないためです。


この記事では、竹林が広がる斜面で法面工事を進める際に、根張りを見極めるための3つの注意を中心に、現地調査、工法選定、施工、安全管理、完成後の維持管理までを実務の流れに沿って解説します。


目次

竹林斜面の法面工事で最初に理解したいこと

根張りを見極める前に確認する現地条件

注意1 地下茎を深い根と同じように評価しない

注意2 伐採と抜根で斜面状態が変わることを見落とさない

注意3 工事後の再侵入と再生を施工範囲だけで考えない

竹林斜面の調査を進める実務手順

工法選定と施工計画で押さえるポイント

施工中の安全管理と品質管理

完成後の維持管理と記録

まとめ


竹林斜面の法面工事で最初に理解したいこと

竹林斜面を扱うときに最初に整理しておきたいのは、竹の地下部が表層土の動きに影響する可能性はあっても、それだけで斜面全体の安定を保証できるわけではないということです。モウソウチクを対象とした一つの急斜面調査では、地下茎が地表から深さ0.5メートルまでの範囲に多く、斜面とおおむね平行に伸びる状況が確認されています。ただし、これは特定の調査地で得られた結果であり、竹の種類、土質、地形、表土の厚さ、土地利用履歴が異なる現場へ一律に当てはめることはできません。([J-STAGE][1])


法面工事の対象斜面では、表面侵食や浅い表層崩壊が問題になる場合もあれば、表土より深い位置の弱層、風化層、地下水、地質境界などが変状に関係する場合もあります。地下茎が表層に集中している現場では、表面付近の土をつなぐ働きがあったとしても、深い位置で起こるすべりや変形まで抑えられるとは限りません。根張りの確認は地形・地質・地下水・排水の調査に代わるものではなく、斜面評価の一要素として扱います。


また、竹が密生した斜面では、地表が落ち葉、枯れ竹、倒竹に覆われ、亀裂、段差、洗掘、湧水、空洞、排水施設の閉塞などが見えにくくなります。見えないことを異常がないことと同一視せず、必要な範囲を安全に伐開して観察できる状態をつくることが大切です。伐開する場合は、切った竹の落下や滑動、仮置きによる排水阻害、斜面下方の道路や住宅への影響も事前に確認します。


竹林の外縁も固定された境界とは限りません。地上に竹が見えない場所でも地下茎が先行している可能性があり、その後に新しい竹が発生することがあります。現在の竹林範囲だけを図面化するのではなく、若い竹、新しいタケノコ、過去の伐採跡、隣接竹林の位置を確認し、地下茎がどちらから連続している可能性があるかを整理します。


根張りを見極める前に確認する現地条件

竹の地下部を調べる前に、斜面全体の条件を整理します。根張りの調査から始めると、地下茎の多さに注意が偏り、法面工事に必要な地形、地質、水、周辺環境の確認が不足しやすくなります。現地踏査では、斜面上端、中腹、下端を連続して観察し、竹林の内側だけでなく外側を含めて変状のつながりを確認します。


斜面上端では、集水地形、道路側溝、建物の雨水排水、農地からの流入、水路、ため池、谷地形の有無を確認します。上方から水が集まりやすい場所では、竹の根張りよりも浸透水や集中流が斜面状態に強く影響している可能性があります。晴天時に水が見えなくても、土砂の付着、落ち葉の流れ跡、局所的な洗掘、湿った帯、苔の分布などが流路の手掛かりになります。


斜面中腹では、竹の傾き、稈の曲がり、地表の段差、横方向へ連続する亀裂、根元の浮き、倒竹、表土のずれ、露岩、湧水を確認します。竹が同じ方向へ傾いていても、日照、風、積雪、周囲の竹との競合、地盤移動など複数の原因が考えられます。外観だけで原因を決めず、根元地盤や周囲の地形変状と合わせて判断します。


斜面下端では、土砂の押し出し、側溝の変形、擁壁のはらみや傾き、排水孔の閉塞、根の露出、地盤の隆起、過去の補修跡を確認します。法尻を掘削する計画がある場合は、掘削によって斜面下部の支持状態を先に変えないかを検討します。竹の除去と法尻掘削が重なる工程では、施工順序や一度に開放する範囲を慎重に設定する必要があります。


周辺条件として、隣地境界、道路、住宅、電線、埋設管、水路、農地、森林、資材搬入路、重機の設置場所、伐採材の搬出経路を確認します。竹の地下茎は所有境界を越えて広がることがあるため、施工範囲だけ処理しても隣接地側から再侵入する可能性があります。林野庁の解説でも、竹が地下茎によって土地所有者間の境界を越えて広がることが示されています。([Rinya][2])


ただし、境界外の竹や地下茎を土地所有者の承諾なく処理することは避けなければなりません。発注者、土地所有者、設計者、施工者の間で、伐採範囲、地下部の処理範囲、境界部の納まり、完成後の管理区分を着工前に明確にします。


注意1 地下茎を深い根と同じように評価しない

第一の注意は、竹の地下茎を、樹木の深い根と同じものとして評価しないことです。竹は地下茎を横方向へ伸ばし、節から細根や新しい稈を発生させながら広がります。地表近くに地下茎が網状に分布していると、掘削時に強い抵抗を感じることがありますが、掘削抵抗の大きさと斜面深部の安定効果は同じ意味ではありません。


根張りを見極めるには、地上の竹の太さや密度だけでなく、地下茎の深さ、太さ、方向、連続性、腐朽の程度、周囲の土の締まりを確認します。試掘を行う場合は、斜面方向と等高線方向の両方の分布を把握できるように位置を検討します。一方向の溝だけでは、地下茎が斜面に沿っているのか、斜面を横断しているのか、局所的に集中しているのかを判断しにくいからです。


ただし、試掘は小規模でも斜面を掘削する作業です。急斜面、湧水箇所、亀裂周辺、法尻付近で無計画に掘ると、表土を緩めたり、水みちを変えたりするおそれがあります。試掘位置、幅、深さ、掘削土の置き場、仮復旧方法、作業員の退避経路を事前に決め、斜面の状態に応じて地盤や法面の専門技術者が確認します。


観察時には、健全な地下茎だけでなく、枯死・腐朽した地下茎、根株周辺の空隙、腐植を多く含む土も確認します。根株や地下茎を掘り取った部分では、周囲の土が一緒に抜けて空隙が生じることがあります。除去後は、浮いた土や根片を残したまま仕上げず、設計図書や施工条件に従って不良部分を処理し、必要な箇所を適切な材料で埋め戻します。


盛土材として現地発生土を利用する場合は、長い地下茎、大きな根株、腐植などの有機物をそのまま混入させないよう、材料の適否を確認します。利用の可否は土質、含水状態、盛土の用途、締固め条件、設計図書によって異なるため、現場判断だけで決めず、監督者や設計者との協議事項を明確にします。


地下茎の下にある地盤も重要です。根の多い層の直下に、締まりの弱い崩積土、風化土、粘土質の弱層、湧水を含む層、破砕された岩盤などがある場合、表層だけを見て安定と判断することはできません。地下茎の確認結果は土層構成や計画断面と重ね、表土処理の範囲、地山として扱う位置、補強材や構造物が作用する地盤を検討します。


竹の地下部を設計上の補強材として積極的に見込む場合は、特に慎重な検討が必要です。自然の地下茎は配置、太さ、連続性、劣化状態が均一ではなく、伐採や施工後には状態も変化します。必要な安全性は、調査結果と設計条件に基づく排水工、法面保護工、補強工、抑止工などで確保し、竹の地下部は現況条件の一つとして扱うのが基本です。


注意2 伐採と抜根で斜面状態が変わることを見落とさない

第二の注意は、竹を伐採し、地下茎や根株を除去する作業自体が、斜面の表面状態を変えることです。竹を切れば測量や施工はしやすくなりますが、雨滴の当たり方、落ち葉の堆積、表面流の経路、表土の拘束状態、日照や乾燥条件も変わります。伐採後に裸地のまま長期間置くと、降雨時の侵食や土砂流出のリスクが高まるため、伐採、仮排水、法面整形、表面保護を連続させる工程が重要です。


伐採の順序にも注意が必要です。密生した竹林を一度に全面伐採すると、調査しやすくなる反面、大量の伐採材が発生し、作業通路や排水経路をふさぐことがあります。切った竹が斜面下方へ滑ったり、他の竹に掛かったりする可能性を考え、伐倒方向、切断長、結束、仮置き、搬出方法を施工前に定めます。


安全性と点検性を確保するには、作業区画を分け、必要な幅だけ先行伐開し、伐採材を搬出または安定した場所へ集積してから次の区画へ進む方法が考えられます。斜面下方に道路や建物がある場合は、立入規制、監視、落下防止設備、仮設防護の必要性を現場条件に応じて検討します。伐採作業と重機作業が重なる場合は、上下作業を避け、作業区画と時間帯を分離します。


抜根や地下茎の除去では、すべてを深く掘り起こせばよいとは限りません。法面整形に必要な範囲、基礎や補強材を設置する範囲、排水施設を設ける範囲、表面保護工の下地条件を基準に、処理範囲を定めます。安定した地山まで過度にかき乱すと、かえって緩みや空隙をつくる可能性があります。


機械で地下茎を引くと、連続した地下茎が周囲の土塊を伴って抜け、設計断面より奥に空隙が生じることがあります。長い地下茎を一度に引き抜かず、周囲の地盤を観察しながら分割して処理します。除去後は、過掘り、浮石、根片、腐植、空洞、湧水の有無を確認し、必要な復旧を行ってから次工程へ進みます。


地上部を一度伐採しただけでは、地下茎が生きている限り再生する可能性があります。山形県の公的マニュアルでも、一度の伐採だけで竹を駆逐することは難しく、継続した伐採が必要とされています。法面工事の目的が竹の抑制まで含む場合は、施工完了時点で終了とせず、複数年にわたる再生確認や刈り払いを維持管理計画へ組み込みます。([Yamagata Prefecture][3])


薬剤を利用する方法を検討する場合は、登録された対象、使用方法、使用量、使用時期、周辺水路や農地への影響、植生工との適合性を確認する必要があります。具体的な薬剤や処理方法を一律に推奨せず、土地管理者、発注者、専門事業者が現場条件と関係法令、製品表示を確認したうえで判断します。


注意3 工事後の再侵入と再生を施工範囲だけで考えない

第三の注意は、工事後の再侵入と再生を、施工した法面の中だけで考えないことです。施工境界の外側に竹林が残っていれば、そこから地下茎が再び侵入する可能性があります。施工範囲内でも、処理できなかった地下茎や境界部に残った地下部から新しい竹が発生することがあります。


再侵入対策を検討する前に、竹林の所有区分と管理区分を確認します。施工地と隣接竹林の所有者が異なる場合、施工側だけで長期的な抑制を完結させることは難しくなります。境界部に地下茎の侵入を抑える構造を設ける場合も、地下茎の分布、土質、岩盤、埋設物、排水経路、構造物との取り合い、将来の点検性を考慮します。


遮断材などを設置すれば完全に再侵入を防げると断定するのは適切ではありません。端部、接続部、地表付近、排水施設との交差部などが弱点になることがあり、施工後の点検と補修が前提になります。また、地下構造物を追加することで水の流れを妨げたり、想定外の場所へ集水させたりしないかも確認します。


法面保護工を施工する場合は、残存地下茎から新芽が発生する可能性を踏まえた点検計画を立てます。新芽が植生基盤や表面被覆を押し上げたり、排水施設の周辺から発生したりした場合は、地上部だけを切って終わらせず、発生位置と周囲の変状を記録します。同じ位置や列状に繰り返し発生する場合は、地下茎の連続方向を推定する手掛かりになります。


引き渡し後に竹が再生したとき、それが施工範囲内の残存地下茎によるものか、隣接地からの再侵入か、施工後の管理不足かを直ちに判定することは容易ではありません。施工前の竹林範囲、伐採範囲、地下茎の確認位置、処理範囲、境界部の納まり、完成時の写真を残しておけば、原因整理と関係者協議を進めやすくなります。


竹対策と排水対策は分けて検討しながら、相互の影響を確認します。工事後の法面に水が集中すれば、竹の再生の有無にかかわらず、侵食、基材流出、目地の開き、法尻洗掘、排水路の閉塞などが起こる可能性があります。境界部の対策が排水経路をせき止めないか、伐採材や落ち葉が集水ますへ流入しないかを継続して点検します。


長期的には、竹を可能な範囲で排除するのか、管理可能な密度へ抑えるのか、法面外の竹林と共存させるのかによって維持管理方法が変わります。管理目標が曖昧なままでは、再生竹が発生した際の判断基準も曖昧になります。発注段階で目標を明文化し、どの状態になったら刈り払い、追加調査、補修を行うかを決めておくことが重要です。


竹林斜面の調査を進める実務手順

竹林斜面の調査では、机上確認、現地踏査、必要最小限の伐開、測量、試掘や地盤調査、設計への反映という順序で情報を積み上げます。最初から詳細な試掘を行うのではなく、既存資料と地形から注意箇所を絞り、安全に接近できるルートを確保してから調査を深めます。


机上確認では、地形図、過去の航空写真、土地利用履歴、既設構造物の図面、災害履歴、補修記録、排水系統、土地境界を確認します。過去の写真で竹林外縁の変化を比較できれば、拡大方向を推定する材料になります。以前は畑、造成地、裸地だった場所に竹が広がっている場合は、表土の厚さや造成履歴も斜面評価に含めます。


現地踏査では、上端、側部、下端から斜面を観察し、安全に接近できる範囲を判断します。倒竹が他の竹に掛かっている場所、枯れ竹が密集する場所、落ち葉で足元が見えない場所、湧水で滑りやすい場所は、調査そのものに危険があります。必要に応じて先行伐開を行いますが、伐開範囲は観察や測量に必要な範囲に限定し、切った竹が斜面を移動しないよう処理します。


測量では、法肩、法尻、小段、既設擁壁、排水施設、亀裂、段差、湧水、露岩、竹林外縁、若い竹やタケノコの位置を記録します。竹林内では樹冠や斜面形状の影響により、衛星測位や視通を利用する測量の精度や作業性が低下する場合があります。単一の測定方法だけに依存せず、基準点、既知点、写真、補助測量を組み合わせ、必要な精度を確認します。


地盤調査は、工事規模、斜面の高さと勾配、周辺への影響、想定される変状に応じて計画します。表層の根混じり土を確認すれば足りる現場もあれば、風化層の厚さ、地下水位、支持層、地質境界、すべり面の可能性まで調べる必要がある現場もあります。地下茎が多いことを理由に調査を浅く終わらせず、構造物や補強材が作用する深さまで必要な情報を得ます。


調査結果は平面図だけでなく、代表断面へ整理します。竹林範囲、地下茎を確認した位置と深さ、表土、地山、湧水、排水経路、既設構造物、計画掘削線を同じ断面に示すと、どの工程で斜面条件が変化するかを共有しやすくなります。調査時点で不明な部分は推測で確定せず、施工時確認事項と協議手順を設計図書や施工計画に残します。


工法選定と施工計画で押さえるポイント

竹林斜面の工法選定では、竹を処理する作業と、斜面の安定や侵食防止を確保する工法を分けて考えます。竹の伐採や地下茎の処理は、施工可能な状態をつくり、再生を抑えるための作業です。一方、斜面の安定は、地盤条件に応じた切土形状、排水工、法面保護工、補強工、抑止工、擁壁などによって確保します。竹を除去したこと自体を斜面対策の完成と考えてはいけません。


表層侵食が主な課題で、地山が比較的安定している場合は、伐採後の法面整形、排水処理、表面保護をできるだけ切れ目なく進めます。根混じり表土を残すか除去するかは、採用する法面保護工の要求する下地条件と照合します。腐植、厚い落ち葉層、浮いた根株、空洞の上へそのまま施工すると、下地との密着不足や局所的な沈下につながる可能性があります。


地山の風化が進んでいる場合や、表層より深い変状が疑われる場合は、表面保護だけで対応できるかを再検討します。補強材を設置する工法では、地下茎が多い表層を通過し、設計上必要な地盤へ確実に定着できるかを確認します。削孔時に根片、空洞、崩れやすい土層が現れる可能性もあるため、施工時の地質確認、孔内状況の記録、必要に応じた試験施工を計画します。


排水計画では、斜面上方からの地表水を安全に処理すること、法面内の湧水を適切な流末へ導くこと、法尻で水を滞留させないことを基本にします。地下茎や根片、伐採材、落ち葉が排水路や集水ますをふさがないよう、施工中から清掃と点検を行います。再侵入対策の構造を設ける場合は、排水施設との干渉を避け、点検できる納まりにします。


施工計画では、伐採、搬出、仮設防護、仮排水、法面整形、地下茎処理、補強、表面保護の順序を具体化します。雨天前に広い範囲を伐採して裸地化しないこと、掘削した状態で長期間休工しないこと、斜面上方からの流入対策を先行することなど、天候を考慮した区画施工が有効です。工程表には作業名だけでなく、各段階で斜面がどのような状態になるかを整理し、無防備な期間を減らします。


竹の処分方法も施工性と安全性に影響します。長いままの竹は運搬や仮置きが難しく、斜面上で移動する可能性があります。切断長、結束、積込み、搬出、処分または再利用の方法を事前に決めます。現地で破砕する場合も、破砕物が排水路へ流入しないか、法面保護工の下地を妨げないか、設計図書上の取扱いに適合するかを確認します。


施工中の安全管理と品質管理

竹林斜面では、通常の法面作業に加えて、掛かり竹、枯れ竹、切断時の跳ね返り、滑りやすい落ち葉、地下茎による掘削抵抗、視界不良などの危険があります。伐採班、重機班、法面作業班が同じ斜面で動く場合は、上方からの落下物や機械の旋回範囲に人が入る危険が高まります。作業区画と時間帯を分け、合図方法、監視者、退避場所、立入禁止範囲を共有します。


伐採前には、竹の傾き、掛かり、枯損、周辺の電線、道路、建物を確認します。切断した竹が想定外の方向へ倒れる可能性を踏まえ、退避経路を確保します。急斜面では、作業床、昇降設備、墜落制止用器具、親綱などの必要性をリスクアセスメントと関係法令に基づいて決め、切った竹や不安定な根株を足場代わりにしません。


重機作業では、機械の足元が根混じり土や腐植土で不均一になっていないかを確認します。地下茎を引き抜いた瞬間に土塊が崩れたり、掘削面が予想以上に緩んだりする可能性があります。法肩付近へ無理に機械を寄せず、必要な作業床を確保し、長い地下茎は周囲の地盤を観察しながら分割して処理します。


掘削面に湧水、想定外の弱層、空洞、連続亀裂が現れた場合は、予定断面まで機械的に掘り進めず、作業を止めて設計条件との違いを確認します。施工時に得られた情報が調査結果と異なる場合は、写真、位置、深さ、土質、湧水量などを記録し、発注者や設計者と対応を協議します。


品質管理では、伐採本数だけでなく、法面整形後の地盤状態を確認します。根株や地下茎の除去箇所に空洞が残っていないか、腐植や落ち葉が仕上がり面に残っていないか、地山を過掘りしていないか、埋戻し部が設計条件どおりに施工されているかを記録します。表面保護工の施工前に下地を撮影しておくと、完成後に見えなくなる根処理や排水処理の確認資料になります。


出来形管理では、伐採材の搬出や重機移動によって杭や測点が失われないよう、保護杭や予備点を設けます。法面勾配、小段幅、排水施設の位置、法肩と法尻のつながりを測定し、設計断面との差を確認します。地下茎や地山の状態により局所的に掘削形状を変更した場合は、変更理由、位置、範囲、協議結果を記録します。


降雨前後の点検も重要です。施工途中の斜面は、伐採前とも完成後とも異なる状態にあります。法肩からの流入、仮排水の詰まり、掘削面の濁水、土砂流出、亀裂、法尻の堆積、仮設防護の状態を確認し、異常があれば作業再開前に処置します。特に地下茎を除去した筋や埋戻し部に沿って水が集中していないかを継続して観察します。


完成後の維持管理と記録

竹林斜面の法面工事は、完成直後の外観が整っていても、そこで管理が終わるわけではありません。残存地下茎からの再生、隣接地からの再侵入、根株除去部の沈下、排水施設の閉塞、表面保護工のなじみなどは、時間が経過してから現れることがあります。完成後の点検項目を、一般的な法面点検と竹に関する確認に分けて整理します。


一般的な法面点検では、亀裂、沈下、はらみ、洗掘、湧水、濁水、法尻の土砂堆積、排水路の閉塞、表面保護の浮きや剥離を確認します。竹に関する確認では、新しいタケノコや細い稈の発生位置、境界部からの侵入、排水施設周辺の発生、表面被覆の押し上げ、地下茎処理箇所の陥没を記録します。


新しい竹が発生した場合は、その場で切ったという記録だけで終わらせず、位置、太さ、本数、確認日、周辺の変状を残します。同じ位置で繰り返す場合は地下茎が残っている可能性があり、列状に発生する場合は地下茎の方向を推定する材料になります。平面図や位置情報へ履歴を重ねることで、重点的に確認する範囲を絞り込みやすくなります。


点検時期は、工事直後、まとまった降雨の後、竹の新しい稈が発生する時期、台風期の前後など、現場条件に合わせて設定します。すべての現場へ同じ頻度を当てはめるのではなく、斜面の高さと勾配、周辺への影響、隣接竹林の状況、採用工法、施工中に確認された地下茎の量、排水条件を基に決めます。


記録は、写真だけでなく測点や位置情報と組み合わせると有効です。竹林斜面では景観が似ており、伐採後は目印も変わるため、同じ地点を継続観察できる仕組みが必要です。施工前、伐採後、地下茎処理後、法面整形後、完成後の各段階で、撮影位置、方向、測点名をそろえておくと、変化を比較しやすくなります。


維持管理計画には、点検者、点検時期、記録方法、異常時の連絡先、補修や竹処理を開始する判断基準を記載します。新芽が発生した段階で対応するのか、一定範囲に連続して発生した段階で追加調査するのか、表面保護工に変状が出た場合は誰が判断するのかを決めます。管理基準を明確にすることで、発注者、施工者、土地管理者の認識差を減らせます。


まとめ

竹林が広がる斜面で法面工事を行うときは、竹の根張りを過大評価することも、無視することも避ける必要があります。地下茎と細根の分布を表層地盤の一部として確認し、より深い地盤、地下水、排水、斜面形状、周辺条件と合わせて評価することが重要です。


第一の注意は、竹の地下茎を樹木の深い根と同じように扱わないことです。地表近くに密な地下茎があっても、斜面深部の安定まで一律に期待できるとは限りません。第二の注意は、伐採と抜根が斜面状態を変える作業であることです。裸地化する範囲と期間を抑え、空洞や不良土を残さず、排水と表面保護を連続して施工します。第三の注意は、工事後の再侵入と再生を施工範囲内だけで考えないことです。隣接竹林、土地境界、残存地下茎を踏まえ、完成後の継続点検まで計画します。


実務では、施工前、伐採後、地下茎処理後、法面整形後、完成後の状態を同じ基準で比較できるように記録します。位置情報付き写真、測点、断面図、必要に応じた三次元計測などを組み合わせると、竹林外縁、亀裂、湧水、再生位置、出来形の変化を関係者間で共有しやすくなります。


竹林斜面は、地上の竹だけを見ても安全性や施工条件を判断できません。竹の地下部を現況条件として丁寧に確認し、地盤と水の条件を優先して工法を選び、施工後の再生まで含めて管理することが、安全で説明可能な法面工事につながります。


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