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傾斜色分けで土砂流出しやすい場所を見つける6つの手順

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

土砂流出のリスクを現場で見つけるとき、経験だけに頼ると見落としが起きやすくなります。特に造成地、法面、山間部の道路脇、太陽光発電施設の周辺、農地や林地に接する工事区域では、雨がどこから集まり、どの斜面を流れ、どこで土を削りやすいのかを早めに把握することが重要です。そこで役立つのが、標高データや点群データから斜面の急さを色で表す傾斜色分けです。傾斜色分けは、危険箇所や対策要否を自動的に決定する図ではありませんが、現場を見る順番を整理し、確認すべき場所を絞り込むための有効な下地になります。


目次

傾斜色分けで土砂流出を見つける考え方

手順1 確認範囲と雨水の出口を決める

手順2 標高データを整えて地形を読みやすくする

手順3 傾斜色分けの階級を現場条件に合わせる

手順4 急傾斜だけでなく水の集まり方を見る

手順5 現地確認で流出しやすい兆候を確かめる

手順6 対策優先度を決めて記録を残す

傾斜色分けを現場管理に活かすまとめ


傾斜色分けで土砂流出を見つける考え方

傾斜色分けとは、地表面の傾きの大きさを色の違いで表現する方法です。多くの場合、緩い場所を淡い色や寒色、急な場所を濃い色や暖色で示しますが、配色や階級は使う図面やソフトによって異なります。数値だけで傾斜を追うよりも、面として斜面の変化を見られるため、現場全体の確認箇所を直感的に把握しやすくなります。


ただし、土砂流出しやすい場所は、単に傾斜が急な場所だけではありません。急な斜面でも地表が安定していて植生や表面保護が十分にあり、雨水が分散して流れる場所であれば、すぐに流出リスクが高いとは言い切れません。反対に、傾斜が中程度でも、裸地が広く、上流側から雨水が集まり、排水先が細くなっている場所では、表面の土が削られやすくなります。つまり、傾斜色分けはリスク判定の入口であり、そこに集水、土質、植生、施工履歴、排水施設、現地の変状を重ねて読むことが大切です。


実務で傾斜色分けを見るときは、赤い場所を危険、青い場所を安全と単純に分けないことが重要です。色はあくまで傾斜の強弱を示す記号です。土砂流出の判断では、雨水が斜面上をどのように流れるか、流れが一点に集中するか、法尻や道路側溝に土砂が溜まりやすいか、過去に小さな侵食跡があるかといった条件を合わせて確認します。特に、上流側に広い集水面があり、その下に急傾斜部や裸地が続く場所は、強い雨の際に土砂が移動しやすい候補になります。


また、傾斜色分けは対策範囲を説明する資料としても使えます。現場担当者、設計担当者、発注者、協力会社が同じ図を見ながら話すことで、「この赤い帯の下に水が集まる」「この緑の緩斜面は一見安定して見えるが、上流からの流れが集中する」といった共通理解を作れます。口頭説明だけでは伝わりにくい地形の起伏や斜面の連続性を、色で共有できる点が大きな利点です。


一方で、傾斜色分けの元になる標高データが粗い場合や、草木、仮設資材、車両、建物などが地表面として混ざっている場合は、実際の地形とは違う色分けになることがあります。特に点群データを使う場合、地表面ではない点を含んだまま傾斜を計算すると、局所的に不自然な急傾斜が出たり、逆に重要な微地形が見えにくくなったりします。そのため、土砂流出の検討に使う前に、データの性質、取得時期、精度、処理方法を理解しておく必要があります。


このように、傾斜色分けは現場の危険を一枚で断定するものではなく、土砂流出しやすい場所を効率よく見つけるための観察ツールです。実際の設計、施工、法令適合、災害リスクの判断は、現地条件、自治体の基準、関係する技術基準、専門技術者の確認と合わせて行います。以下では、実務担当者が現場で使いやすいように、確認範囲の決め方からデータ整理、色分け、読み取り、現地確認、対策優先度の整理までを6つの手順で説明します。


手順1 確認範囲と雨水の出口を決める

最初に行うべきことは、傾斜色分けを作る範囲を決めることです。土砂流出のリスクは、対象地の敷地内だけで完結するとは限りません。雨水は地形に沿って上流から流れてきますし、流れた土砂は下流側の道路、側溝、水路、隣地、造成面、構造物周辺へ移動します。そのため、確認範囲を狭く設定しすぎると、実際には敷地外から集まる水や、敷地外へ流出する土砂の動きが見えなくなります。


確認範囲を決めるときは、まず対象地の中で守りたい場所を明確にします。道路を守るのか、排水施設を守るのか、施工中の法面を守るのか、下流の農地や住宅地への流出を抑えたいのかによって、見るべき地形が変わります。次に、雨水が最終的にどこへ向かうのかを確認します。側溝、集水桝、自然水路、谷地形、排水路の出口など、雨水の出口を先に押さえると、上流側でどの範囲を見ればよいかが整理しやすくなります。


実務では、対象範囲の外周から少し余裕を持たせて地形を確認することが大切です。例えば、造成地の中だけを色分けしても、背後斜面から流れ込む水の量や方向は分かりません。道路脇の法面だけを色分けしても、上部の林地や裸地から雨水が集中する経路を見落とすことがあります。斜面の上端、尾根、谷、既存排水路、切土と盛土の境界などを含めて範囲を取ることで、土砂流出の原因と影響先を一体で読み取れるようになります。


次に、確認範囲内で地形の大きな骨格を把握します。尾根は水が分かれる場所であり、谷は水が集まりやすい場所です。平面的に見ると何もないように見える場所でも、傾斜色分けや標高陰影で見ると、浅い谷状のくぼみや、わずかな段差、旧水路のような線状地形が見えることがあります。こうした微地形は、強雨時に水の通り道になり、表土の流出や小さな洗掘につながることがあります。


確認範囲を決める段階では、過去の施工履歴もできるだけ把握しておきます。切土した面、盛土した面、埋め戻し箇所、仮設道路の跡、資材置場として使われた平場、排水経路を変更した場所などは、自然地形とは違う水の動きをすることがあります。盛土端部や切盛境界は、土質や締固め状態が変わりやすく、水が集中すると侵食や変状が起きやすい場所です。傾斜色分けで同じ色に見えても、施工履歴が違えば注意点は変わります。


この手順で重要なのは、いきなり色分けの設定を触るのではなく、何を見つけたいのかを先に決めることです。土砂流出の問題は、発生場所、移動経路、堆積場所が分かれていることがよくあります。発生場所だけを見ても、下流側の被害を説明できません。堆積場所だけを見ても、どこから土砂が来たのかを特定できません。確認範囲と雨水の出口を先に決めておくことで、傾斜色分けを読む目的が明確になります。


手順2 標高データを整えて地形を読みやすくする

傾斜色分けの品質は、元になる標高データの品質に大きく左右されます。標高データが粗い、欠落が多い、地表面以外の点が混ざっている、位置がずれていると、色分けの結果も不安定になります。土砂流出しやすい場所を見つけるには、まず地表面の形をできるだけ素直に表すデータを用意することが必要です。


点群データを使う場合、最初に確認したいのは、地表面とそれ以外の点がどの程度混ざっているかです。樹木、草、フェンス、電柱、重機、仮設資材、建物の屋根、車両などが含まれていると、傾斜計算に影響します。特に草や低木が密に生えている場所では、実際の地面より高い位置に点が分布し、地表面の細かな凹凸が見えにくくなることがあります。土砂流出の判断では、地表のくぼみや水みちが重要になるため、必要に応じて地表面に近い点を選別し、ノイズを除いてから使います。


一方で、データをきれいにしすぎることにも注意が必要です。小さな段差や洗掘跡、法肩の欠け、排水溝の周辺形状などは、土砂流出の兆候として重要です。過度に平滑化すると、こうした微地形が消えてしまい、確認箇所を見落とす可能性があります。見た目を滑らかにするための加工と、リスクを読むための地形情報の保持は目的が違います。土砂流出の検討では、不要なノイズは減らしつつ、地形の変化は残すというバランスが求められます。


標高データの解像度も確認します。広域の概略確認では粗いデータでも傾向をつかめますが、現場内の排水経路や法面の小さな変状を見つけるには、より細かなデータが必要です。例えば、数メートル単位の標高データでは大きな斜面や谷地形は見えますが、側溝に向かう浅い流れや、仮設道路脇の小さな洗掘は見えにくいことがあります。逆に、非常に細かなデータをそのまま使うと、石や草、足跡のような局所的な凹凸まで拾い、色分けが細かく散らばって読みにくくなることもあります。


そのため、用途に応じて確認スケールを分けると実務で扱いやすくなります。まず広い範囲で大きな谷、尾根、急斜面、下流側の出口を見ます。次に、土砂流出が起きそうな候補箇所に絞って、より詳細なデータで法肩、法尻、排水施設、裸地、車両動線、盛土端部を確認します。広域と詳細を同じ設定で見ようとすると、どちらも中途半端になります。目的に合わせてスケールを切り替えることが、傾斜色分けを実務で使うコツです。


位置合わせも重要です。現況の標高データ、設計図、排水施設の位置、現地写真、過去の測量成果を重ねる場合、それぞれの座標系や基準がずれていると、確認箇所の解釈を誤ることがあります。特に、法面の上端や水路の位置がずれると、現地で確認すべき場所が変わることがあります。傾斜色分けを資料として使う場合は、どの基準でデータを合わせたのか、どの程度の精度で見るべきなのかを関係者間で共有しておくと安全です。


また、現場の時点にも注意します。施工中の現場では、日々地形が変わります。仮設排水が移動したり、盛土が進んだり、法面が整形されたりすると、古いデータの傾斜色分けは現況と合わなくなります。雨の前後で洗掘や堆積が進むこともあります。土砂流出のリスク管理に使うなら、重要な工程の前、強雨の後、地形変更の後など、必要なタイミングでデータを更新する考え方が必要です。


この手順では、完璧なデータを求めすぎる必要はありません。重要なのは、データの得意不得意を理解したうえで、見えるものと見えないものを分けて判断することです。傾斜色分けは便利ですが、元データ以上の真実を示すわけではありません。標高データを整え、確認スケールを決め、地表面を読みやすくすることで、次の手順で色分けを正しく解釈しやすくなります。


手順3 傾斜色分けの階級を現場条件に合わせる

標高データを整えたら、次に傾斜色分けの階級を設定します。階級とは、どの傾斜範囲をどの色で表示するかという区分です。この設定が現場条件に合っていないと、重要な変化が埋もれたり、逆に確認優先度が高くない場所まで強調されすぎたりします。土砂流出の検討では、単に見た目が派手な色分けではなく、判断に使える色分けを作ることが大切です。


まず、対象地の地形の特徴を把握します。山間部の急斜面が多い現場と、造成地内の緩い排水勾配を見る現場では、同じ階級設定を使っても意味が変わります。急峻な地形で細かい緩傾斜の違いを見ても、リスクの主因が読みにくいことがあります。反対に、平坦地に近い造成地で急傾斜向けの色分けを使うと、ほとんど同じ色になってしまい、水が集まりやすい微妙な傾きが見えません。


土砂流出を考える場合、極端な急傾斜だけでなく、雨水が流れ始める程度の傾きや、流れが加速しやすい中程度の傾斜にも注目します。裸地では、比較的緩い傾斜でも表面水が長い距離を流れると土粒子を運ぶことがあります。工事中の盛土面や未舗装の管理道路では、車両のわだちや締固めの差によって水みちができ、そこから侵食が進むことがあります。そのため、階級設定では、緩斜面、中斜面、急斜面が区別できるようにしておくと読みやすくなります。


色の意味も関係者間でそろえておきます。例えば、赤を急傾斜、黄色を中程度、緑を緩傾斜とする場合、赤い場所だけを対策対象と誤解されないように説明が必要です。土砂流出のリスクは、傾斜、集水、地表状態、排水先の組み合わせで変わります。図面上では、赤い斜面の下に黄色や緑の帯があり、そこに水が集中して土砂が堆積することもあります。この場合、流出の発生源は赤い斜面でも、管理上の重点箇所は法尻や側溝周辺になることがあります。


階級を設定するときは、現場全体が一色に近くならないように調整します。全体が赤く見える図は危険そうに見えますが、優先順位をつけるには不向きです。逆に、ほとんどが緑で一部だけ赤い図は分かりやすく見えますが、緩傾斜地の水みちを見落とす可能性があります。目的は危険を強調することではなく、確認すべき場所を区別することです。色の段階が地形の変化を適度に表すように、何度か表示を切り替えて読みやすい設定を探します。


また、傾斜色分けだけでなく、標高陰影や等高線に近い表現を併用すると理解しやすくなります。傾斜色分けは斜面の急さを示しますが、どちらへ水が流れるかは色だけでは分かりにくい場合があります。標高の高低、尾根と谷の位置、法肩と法尻の関係を合わせて見ることで、色の意味が立体的に理解できます。特に、細長い赤い帯が法肩なのか、洗掘された溝なのか、人工的な段差なのかは、標高の連続性を見なければ判断しにくいことがあります。


傾斜色分けの階級は、一度決めたら固定というものではありません。広域確認用、詳細確認用、説明資料用で設定を変えても構いません。広域では大きな急傾斜と谷地形を見つけるための階級にし、詳細では排水勾配や小さな段差が見える階級にします。説明資料では、関係者が誤解しにくい色数に絞り、凡例と一緒に使います。目的ごとに見せ方を変えることで、傾斜色分けの実務価値が高まります。


この手順で避けたいのは、色分け結果を見た瞬間に「赤いから危険」「緑だから問題なし」と判断することです。色は現場を読むための入口です。階級を現場条件に合わせ、傾斜の強弱を読みやすくすることで、次の手順で水の集まり方や土砂の移動経路を考えやすくなります。


手順4 急傾斜だけでなく水の集まり方を見る

傾斜色分けで土砂流出しやすい場所を見つけるうえで、特に重要なのは水の集まり方を見ることです。土砂は水に運ばれます。斜面が急であっても水が分散していれば侵食は限定的になることがありますし、斜面がそれほど急でなくても水が一点に集まれば強い流れとなって土を削ります。そのため、傾斜色分けを読むときは、急傾斜の場所だけでなく、上流側の集水面、流下方向、合流点、出口の狭まりを合わせて確認します。


まず注目したいのは、斜面上部から下部に向かって色の帯が連続している場所です。急な斜面が途中で緩くなり、その先に側溝や道路、平場がある場合、雨で削られた土砂が法尻に溜まりやすくなります。法尻に排水施設があっても、土砂で詰まれば排水能力が落ち、さらに水があふれて別の場所を削ることがあります。傾斜色分けでは、急斜面そのものだけでなく、その下に何があるかを必ず見ます。


次に、浅い谷状の地形を探します。傾斜色分けでは、谷の両側に急な色が出て、中央に細い緩傾斜や線状のくぼみが現れることがあります。こうした場所は、普段は乾いていても、強雨時には水が集まる可能性があります。特に、造成で埋められた旧谷、管理道路を横切る浅い流路、法面上部のわずかなくぼみは、見た目だけでは分かりにくいものです。色分けと標高の流れを重ねて見ることで、雨水の通り道を推定しやすくなります。


上流側の面積も重要です。同じ傾斜でも、上に広い集水範囲がある場所と、すぐ上が尾根で水が分かれる場所では、流れる水の量が違います。傾斜色分けで急な場所を見つけたら、その上にどれだけ水を集める斜面があるかを確認します。広い裸地、未舗装の平場、締固められた仮設道路、排水勾配の付いた造成面が上流側にある場合、雨水が集中して下流の一点に流れ込むことがあります。


また、人工物による水の集中にも注意します。擁壁の背面、道路の縁、排水溝の切れ目、盛土端部、フェンス基礎の周辺、仮設土のうの端部などでは、水が自然な地形とは違う方向へ誘導されることがあります。傾斜色分けだけでは人工物の細かな機能までは分かりませんが、色分け図に現況の構造物位置を重ねると、流れが集まりそうな箇所を推定しやすくなります。


土砂流出のリスクが高まりやすいのは、流れが合流する場所です。小さな水みちが複数集まる地点では、流速や水量が増え、表土が削られやすくなります。傾斜色分けで見ると、複数の斜面から色の帯が下ってきて一つの低い場所に向かうように見えることがあります。このような合流点は、現地で洗掘、堆積、濁水跡、草の倒れ、細粒土の流れ跡を確認する候補になります。


さらに、出口が狭い場所にも注意が必要です。上流から水が集まってくるのに、下流側の排水先が小さい、勾配が緩い、土砂が溜まりやすい、落ち葉や草で詰まりやすい場合、水があふれて周辺を削ることがあります。傾斜色分けでは、急な場所から緩い場所へ移る境界、谷の出口、側溝に入る手前、平場に出る手前を重点的に見ます。土砂は流れが弱まる場所で堆積しやすく、その堆積が次の流れを変えて新たな侵食を生むことがあります。


この手順では、傾斜色分けを平面の色として見るのではなく、雨水が斜面を移動する場面を想像しながら読むことが大切です。雨が降り始めたとき、どこで水が面状に流れ、どこで筋状になり、どこで合流し、どこで土砂を落とすのかを追っていきます。傾斜色分けは、その想像を現実の地形に結びつけるための手がかりになります。


手順5 現地確認で流出しやすい兆候を確かめる

傾斜色分けで候補箇所を絞ったら、現地確認を行います。図上で注意が必要に見える場所が、実際には植生や排水施設で安定していることもあります。逆に、図上では目立たない場所でも、現地では土が緩い、表面が踏み荒らされている、排水が詰まりかけているなどの理由で流出しやすいことがあります。傾斜色分けは現地確認の代わりではなく、現地を見る順番を決めるための道具です。


現地でまず見るべきなのは、表面水の跡です。小さな溝、細かい砂の筋、土の流れ跡、泥の堆積、草の倒れ、落ち葉の集まり方、側溝内の土砂堆積などは、水が流れた証拠になります。強い雨の直後でなくても、斜面の表面には過去の流れの痕跡が残ることがあります。傾斜色分けで水が集まりそうだと判断した場所に、実際の流れ跡があれば、優先度は高くなります。


次に、地表の状態を確認します。裸地、細粒分の多い土、締固め不足の盛土、表面が乾いてひび割れた土、施工直後で植生がない法面は、雨で削られやすい傾向があります。逆に、植生が根を張っている場所や、表面保護が十分な場所では、同じ傾斜でも流出しにくいことがあります。ただし、植生があるから安全とは限りません。草の下に水みちができていたり、法肩や法尻だけが裸地になっていたりする場合は注意が必要です。


法肩と法尻も重点的に見ます。法肩は上部からの水が斜面に落ち始める場所であり、わずかな段差や切れ込みから洗掘が始まることがあります。法尻は斜面から流れてきた水と土砂が集まりやすい場所です。法尻に土砂が溜まると、排水溝をふさいだり、道路や平場に泥が広がったりします。傾斜色分けで急傾斜から緩傾斜へ変わる境界は、現地で法尻や堆積域として確認する価値があります。


排水施設の状態も欠かせません。側溝、集水桝、横断排水、暗渠の出口、仮設排水路などが計画どおり機能していないと、土砂流出のリスクは大きくなります。土砂や落ち葉で詰まりかけている、流入口が高すぎて水が入らない、排水路の途中で勾配が変わっている、出口で洗掘が進んでいるといった状況は、図上では見落としやすいポイントです。傾斜色分けで水が集まると推定した場所では、排水施設に水が正しく入るか、入った後に詰まらず流れるかを確認します。


施工中の現場では、仮設の状態にも注意します。仮設道路、資材置場、盛土途中の面、重機の走行跡、仮置き土の周辺は、雨水の流れを変えることがあります。仮設だから短期間で撤去する予定であっても、強雨が来ればその期間中に土砂流出が起きる可能性があります。傾斜色分けで作業エリア周辺の流れを見ておくと、仮設排水や養生の必要箇所を早めに判断できます。


現地確認では、写真と位置情報を合わせて記録することも重要です。後から対策を検討するとき、単なる写真だけでは場所が分からなくなることがあります。傾斜色分け図上の候補箇所と、現地写真、確認日時、雨の前後、見つかった変状を紐づけておくと、関係者への説明や再確認がしやすくなります。特に、複数人で現場を見る場合は、同じ場所を同じ名前で呼べるようにしておくと、指示の伝達ミスを減らせます。


この手順で大切なのは、図上の推定と現地の事実を照合することです。傾斜色分けで候補を出し、現地で水跡や土砂跡を確認し、その結果を再び図に反映することで、判断の精度が上がります。机上で完結させるのではなく、現場を歩いて確かめることが、土砂流出対策の実効性を高めます。


手順6 対策優先度を決めて記録を残す

候補箇所の現地確認が終わったら、対策の優先度を決めます。土砂流出のリスクがある場所をすべて同じ扱いにすると、手間も費用も大きくなり、実際に重要な箇所への対応が遅れることがあります。傾斜色分けの結果、集水状況、現地の変状、下流側の影響を合わせて、どこから対応すべきかを整理します。


優先度を考えるときは、発生しやすさと影響の大きさを分けて見ます。発生しやすさは、傾斜の急さ、水の集中、裸地の有無、土質、排水施設の状態、過去の流出跡などで判断します。影響の大きさは、下流に道路や水路、隣地、建物、重要設備、作業員の動線があるかで変わります。小さな流出でも、下流の側溝を詰まらせる場所や、交通に影響する場所では優先度が上がります。


対策は、発生源で抑える方法、流れを安全に導く方法、土砂を受ける方法に分けて考えると整理しやすくなります。発生源で抑える方法には、裸地の保護、表面の安定化、法肩からの流入抑制などがあります。流れを安全に導く方法には、仮設排水、導水路、集水位置の見直しなどがあります。土砂を受ける方法には、沈砂のための空間確保、側溝清掃、流入口の保護などがあります。現場条件によって適切な方法は変わるため、傾斜色分けだけで対策を決めず、現地の施工性や維持管理も含めて判断します。


記録の残し方も重要です。傾斜色分け図に候補箇所を番号で示し、確認結果、写真、対策方針、対応状況を整理しておくと、後から経過を追いやすくなります。雨の前に確認した状態、雨の後に変化した状態、対策後に改善した状態を比較できれば、対策の効果も説明しやすくなります。現場では担当者が変わることもあるため、属人的な記憶に頼らず、位置と写真と判断理由を残すことが大切です。


また、対策後の再確認も忘れてはいけません。排水路を作ったことで別の場所へ水が集中したり、土砂を受ける場所がすぐに満杯になったりすることがあります。土砂流出対策は、一度行えば終わりではなく、雨の状況や施工の進み方に合わせて見直すものです。傾斜色分けを更新し、現地記録と照合することで、次に注意すべき場所を早めに見つけられます。


関係者への説明では、なぜその場所を優先するのかを分かりやすく示すことが重要です。傾斜が急であること、水が集まること、現地に流出跡があること、下流に影響先があることを順番に説明できれば、対策の必要性が伝わりやすくなります。単に「危険そうだから」ではなく、図と現地確認に基づいて判断したことを示すことで、合意形成がスムーズになります。


この手順では、傾斜色分けを最終成果物にするのではなく、管理のための共通資料として使う意識が大切です。図を作って終わりにせず、候補抽出、現地確認、対策、再確認までつなげることで、土砂流出しやすい場所を継続的に管理できます。


傾斜色分けを現場管理に活かすまとめ

傾斜色分けは、土砂流出しやすい場所を見つけるための実務的な入口になります。まず確認範囲と雨水の出口を決め、標高データを整え、現場条件に合った階級で色分けします。そのうえで、急傾斜だけでなく水の集まり方を読み、現地確認で流れ跡や土砂の堆積、排水施設の状態を確かめます。最後に、発生しやすさと影響の大きさから対策優先度を決め、記録として残すことで、次の点検や説明に活かせます。


重要なのは、傾斜色分けを単独で危険判定に使わないことです。色は地形を読むための手がかりであり、土砂流出の実際のリスクは、集水、地表状態、排水、施工履歴、下流側の影響によって変わります。赤い場所だけを追うのではなく、上流から下流まで雨水がどう動くかを考えることで、見落としを減らせます。


現場では、強雨の前後、地形変更の後、仮設排水を切り替えた後など、状況が変わるタイミングで傾斜色分けと現地確認を組み合わせると効果的です。特に、施工中の裸地や盛土面、法肩、法尻、排水施設の周辺は変化が早いため、定期的に記録を更新することで、土砂流出の兆候を早くつかめます。


こうした管理を現場でスムーズに行うには、測った場所、撮影した写真、確認した変状を位置情報と一緒に残せる仕組みが役立ちます。傾斜色分けで候補箇所を見つけ、現地で位置付きの記録を取り、関係者と共有できれば、対策の判断や説明がしやすくなります。利用する機器やアプリ、測位方法によって位置精度や記録できる情報は変わるため、必要な精度、現場環境、社内ルール、発注者の要求に合わせて選定することが大切です。


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