建物の外壁や屋上に生じた劣化を早期に発見し、安全を確保するためには赤外線外観検査の活用が欠かせません。赤外線サーモグラフィーカメラを用いるこの非破壊検査手法は、遠隔から建物表面の温度分布を測定し、内部の空洞や水分による異常を可視化できる点が特長です。足場を組まずに高所を調査できるため安全性が高く、広範囲を短時間でチェックできる効率性から、マンションや公共施設、工場、学校、商業ビルなど中~大規模施設の定期点検で導入が進んでいます。しかし一方で、従来の赤外線検査には調査結果の記録・共有方法に課題が残っていました。異常箇所の位置を正確に伝えることが難しかったり、報告書の作成に手間と時間がかかったりと、現場の負担は依然大きいのが実情です。
そこで注目されているのが、スマートフォンと小型測位デバイスを組み合わせた革新的な現場DXツール「LRTK」です。赤外線外観検査にLRTKを組み合わせれば、異常箇所を座標付きで正確に記録し、その場でARナビゲーションや3Dモデル表示によって位置関係を直感的に把握できます。点検データは即座にクラウドへ共有されるため、社内外での情報共有や報告書作成も簡単です。本記事では、赤外線外観検査の概要と従来法の課題を振り返りながら、LRTKの主な機能と赤外線検査への連携方法を詳しく解説します。さらに、座標記録による再点検・補修指示の精度向上や、点群データとAR活用による報告書ビジュアル化の効果、実際の導入事例から得られた業務効率化の成果にも触れ、最後に赤外線検査を補完するだけでなく日常点検ツールとして広がるLRTKの可能性をまとめます。
赤外線外観検査とは何か ~非接触で内部異常を可視化~
赤外線外観検査とは、建物の外装表面が放射する赤外線(熱放射)を専用カメラで撮影し、温度の分布状態から壁面内部の異常を探る検査手法です。外壁や屋上に太陽熱が当たった後の温度変化を捉えることで、内部の空洞や剥離、水分の浸入箇所など、目視では分からない劣化を画像上に可視化できます。例えば、外壁タイルが下地から浮いている部分や、コンクリート内部に水が染み込んでいる箇所は、健全部と比べて日没後の冷却速度が異なるため、赤外線画像上で温度ムラ(異温部)として浮かび上がります。
赤外線サーモグラフィーを用いるこの検査は非接触・非破壊で行えることが大きなメリットです。遠方から高倍率レンズやドローン搭載カメラで撮影すれば、高所の外壁でも足場なしで調査可能なため、従来の打診調査に比べ安全かつ低コストで広範囲を一度に点検できます。実際、建築基準法第12条に基づく定期報告(いわゆる12条点検)の外壁調査でも、従来は有資格者が外壁全面をハンマーで叩いて確かめる方法が一般的でしたが、近年は赤外線カメラによる効率的な診断手法として注目されています。足場を組まず短期間で調査できる赤外線外観検査は、マンションやビルの大規模修繕前調査などで活用が広がり、早期発見による補修コスト削減や点検作業の省力化に貢献しています。
しかし、赤外線外観検査によって異常を検知すること自体はゴールではなく、その後の記録・報告が重要です。サーモグラフィー画像には温度差として不具合箇所が写りますが、「それが建物のどの位置なのか」「どの程度の範囲なのか」を正確に伝えなければ、補修工事や継続監視に活かせません。従来は赤外線画像で怪しい箇所を見つけた後、現場でチョークやテープで印を付けたり、撮影位置を図面上に手書きで示したりして記録していました。しかしこの方法では、位置伝達の曖昧さや記録作業の煩雑さといった課題が残ります。次章では、こうした従来法の具体的な問題点を整理します。
従来の点検方法が抱える課題 – 記録の手間・位置の曖昧さ・報告書作成コスト
赤外線カメラや打診棒を使って異常を検知できても、従来の記録手法がアナログ中心では、せっかくの調査結果を十分に活かしきれません。実際の現場では多くの場合、点検員は建物の図面(配置図や立面図)を片手に持ち歩き、異常を発見するたびに図面上の該当箇所にペンで丸印や番号を記入します。同時にデジタルカメラで状態写真を撮影し、後ほど写真ファイル名と図面上の番号を照合して整理する、といった手順で記録作業を行ってきました。こうした従来手法には以下のような課題があります。
• 記録作業の煩雑さ:調査結果を図面と写真で管理するには、多大な手間と時間がかかります。図面へのマーキング、写真への通し番号振り、報告書フォーマットへの転記など、すべて手作業のためヒューマンエラーも起こりやすく、現場担当者に大きな負荷がかかっていました。特に複数の異常箇所が見つかった場合、写真の整理や番号照合に追われてしまい 、生産性を損ねる原因となっていました。
• 異常箇所位置の曖昧さ:手書きの図面印や写真だけでは、劣化箇所の「正確な位置」を伝えるのに限界があります。例えば、「北側外壁で発見したひび割れ」を図面上に丸印しただけでは、実際の壁面のどの高さ・どの範囲かまでは特定しにくく、写真だけ見てもスケール感や周辺との位置関係が掴めない場合があります。その結果、補修工事の担当者が現地で「おそらくこの辺だろう」と探し回る羽目になったり、最悪の場合修繕すべき箇所を見落とすリスクさえありました。
• 経年比較の困難さ:点検結果が紙や写真でバラバラに管理されていると、次回の点検時に前回との比較が難しいという問題も生じます。前回と今回で記録の仕方や図面上の印の付け方が異なると、たとえ同じ場所に生じた劣化でも「同一箇所なのか判断できない」ことがあります。また定量的な経年変化(ひび割れが何年で何cm伸びたか等)を追跡することも紙資料では困難で、劣化の進行度合いを正確に評価しにくい状況でした。
• 点検品質の属人化:外壁の打診調査や高所目視は職人技に頼る部分が大きく、熟練者と新人で精度や見落としリスクに差が出がちでした。例えば打音の響きから空洞を判別するには経験が必要ですし、双眼鏡での目視点検では人によって発見できるひびのサイズが異なることもあります。記録方法が標準化されていないため、誰が調査するかで精度がばらつき、「見落としゼロ」を徹底するのが難しいのが現状でした。
以上のように、従来の方法では折角の赤外線外観検査による発見事項も記録と伝達の段階で情報ロスが起きたり、作業コストが膨らんだりしていました。また、近年深刻化する熟練技術者不足の中で、従来手法のままでは効率的な点検体制を維持することも課題となっています。では、これらの課題をどう解決できるでしょうか。その答えの一つがLRTKを活用したデジタル記録手法です。次章では、LRTKの主な機能と赤外線検査との連携方法を紹介し、従来手法の限界を突破するソリューションを見ていきます。
LRTKの主な機能と赤外線検査への連携
LRTK(エルアールティーケー)は、東京工業大学発のスタートアップ企業が開発したスマートフォン用の高精度測位・ARシステムです。手のひらサイズのRTK-GNSS受信機(センチメートル級測位が可能なGPS端末)をスマホやタブレットに装着し、専用アプリを使うことで、これ1台で測位写真撮影・3D点群スキャン・ARマーカー記録・クラウド共有といった多彩な機能を現場で実現できます。難しい機材や高度な専門知識がなくても、建築やインフラの点検業務において「正確な現状把握」と「効率的な記録」を飛躍的に向上させる革新的ツールとして注目されています。
特に赤外線外観検査との連携で威力を発揮する、LRTKの主な機能を見てみましょう。
• 高精度位置情報付き写真(測位写真):スマホで撮影する現場写真に、撮影位置の緯度・経度・高度座標やカメラの向き(方位角)が自動付加されます。例えば外壁の異常箇所を見つけて写真を撮るだけで、「建物のどの場所を写した写真か」を後から直感的に把握可能です。煩雑だった図面との照合作業やメモ記入をせずとも、写真自体が地図上のピンの役割を果たすため、記録漏れや取り違えを防げます。赤外線サーモグラフィーで捉えた異常も、対応する可視光写真に高精度座標タグを付けておけば、後から熱画像と実際の位置を正確に紐付けできるのです。
• ARによる異常箇所マーキング:LRTKは取得した3Dモデルや図面情報を現実空間に重ねて表示するAR(拡張現実)機能を備えています。しかも、RTK-GNSSによるセンチメートル級測位で常に自己位置を高精度に把握しているため、通常のARのようにマーカー設置や手動位置合わせをしなくても実物とデジタル情報がずれなく一致します。点検中にスマホやタブレットの画面越しに建物を見ると、現実の外壁上に3Dモデルやガイド情報がピタリと重なって表示されます。見つけた異常部位には画面をタップするだけでその場にバーチャルなマーキングを設置でき、位置座標が即座に記録されます。例えば赤外線カメラで特定した外壁タイルの浮きも、LRTKのARモードで該当箇所を指さしてマーカーを置けば、足場上でも手を離さず安全に位置記録が行えます。このマーキング情報は3次元座標データとして保存されるため、後からどの階のどの部分に異常があったかを立体的に再現できます。
• 3D点群スキャン:LRTKアプリはスマートフォン内蔵のLiDARセンサーやカメラを活用し、周囲の環境を点群データ(無数の3次元測定点の集合)として取得できます。建物外観をぐるりと歩いてスキャンすれば、壁面の形状やひび割れ・変色箇所などを含む高精度3Dモデルが短時間で生成されます。取得した点群データには絶対座標(測地系座標)が付与されているため、後で地図や設計図面と重ね合わせることも可能です。赤外線検査で見つかった異常部分も、この点群モデル上にプロットしておけば、熱画像には映らない微細なひびや膨らみまで含めた包括的な状態記録が残せます。点群データはクラウドにアップロードして関係者と共有でき、専門ソフトがなくてもブラウザ上で閲覧・回 転・拡大してチェック可能です。
• その場での寸法計測・面積算出:LRTKで取得した3Dデータ上では、気になる部分の長さや面積をすぐに測定できます。例えば外壁のひび割れを点群上でなぞって長さを測ったり、錆汁が出ている範囲の面積を計算したりと、現地でリアルタイムに劣化の規模を数値化できます。従来は別途スケールを当てて測ったり後日図面で算出していた作業が、点検の合間にスマホひとつで完結するため、補修範囲の見積もり精度向上や報告書作成の効率化にも直結します。
• クラウド同期・共有:LRTKで記録された測位データや点群データ、写真類は、自動的にクラウドにアップロードされ安全に保存されます。オフィスに戻ってからPCで詳細を確認したり、上司や同僚、お客様とデータを共有したりするのもワンクリックです。専用ビューアをインストールしていない相手でもWebブラウザ経由で3Dモデルや写真を閲覧できるため、情報共有のハードルが大幅に下がります。赤外線検査の当日に現場からクラウドにアップされた点検データを、離れた場所の技術者が即座に確認しアドバイスを送る、といったリアルタイム連携も可能になります。
以上のような機能により、LRTKは赤外線外観検査のフローにデジタル革命をもたらします。サーモグラフィーで検出した異常箇所をその場で正確に位置記録し、3Dモデル上で劣化状況を俯瞰できるため、従来問題だった記録作業の煩雑さや位置情報の曖昧さが一挙に解消されます。現場での記録業務は大幅に効率化され、得られるデータも極めて正確かつ体系的です。誰が点検しても同じデジタルデータを共有できるため属人的なばらつきも抑えられ、経験に頼らない再現性の高い点検が実現します。それでは、こうしたLRTK活用が具体的にどのような効果をもたらすのか、次章で詳しく見てみましょう。
異常箇所を座標で確実に記録:再点検・補修指示の正確化
赤外線外観検査とLRTKの連携によって得られる大きなメリットの一つが、異常箇所を座標付きで記録できることです。調査段階で 各異常ポイントに緯度・経度・高さの情報が付与されるため、後日の追跡や工事への引き継ぎが格段に正確になります。この章では、座標記録により再点検や補修指示がどのように改善されるかを解説します。
まず再点検の容易化です。次回の定期点検時に、前回LRTKで記録した異常箇所の座標データを呼び出せば、同じ地点を正確に再チェックできます。AR表示を使えば、前回マークした箇所が実際の建物上にピンとして現れるため、新たな劣化がないか、既存のひび割れが拡大していないかをピンポイントで比較検証できます。紙の記録ではマーキング方法の違いから「同じ場所かどうか自信が持てない」ケースもありましたが、座標データのおかげで経年変化の追跡が確実になり、劣化傾向の把握や予防保全計画に役立ちます。
次に補修工事への指示精度向上です。従来、報告書には「○○号室の窓から見て右上3枚目のタイルに浮きあり」など曖昧な表現で補修箇所を記載せざる を得ず、工事担当者が現場で探す手間や取り違えのリスクがありました。LRTKであれば、全ての異常箇所がユニークな座標データとして保存されています。例えば「北面外壁のX=12.3m・Y=5.2m・Z=18.7m地点に浮きタイル1枚」といった具合に数値で特定できるため、補修担当者は現地で迷うことなく該当ポイントを特定できます。実際に10階建てビルの外壁タイル浮き調査でLRTKを導入したケースでは、足場上でいちいち図面と睨めっこしなくても、スマホ画面のARガイドに従って歩くだけで目的のタイルに辿り着けたと報告されています。座標に基づく視覚的ガイドによって、場所の取り違えや修繕漏れを防止できるのです。
さらに、座標データは補修計画の立案にも有用です。異常箇所それぞれの位置座標がわかれば、例えば「南面に集中して異常が多い」「高さ○m付近に劣化が分布している」といった傾向分析ができます。これにより、足場を設置する範囲や優先的に修繕すべきエリアを的確に絞り込めます。またLRTKクラウド上で異常点の一覧やマップ表示を見れば、補修数量の集計(何枚のタイル交換が必要か、ひび割れ何m分を補修するか等)もボタン一つで算出可能です。従 来は報告書から拾い出して表計算ソフトに入力するなど手間だった数量算定も自動化され、工事見積や発注の精度向上と迅速化につながります。
このように、異常箇所を座標で「見える化」することは、点検から補修までの一連のプロセスをシームレスに結び付け、現場と事務所・施工側との情報ギャップを埋める効果があります。再点検・再訪問の手間を減らし、的確な補修で建物の安全性を迅速に回復するためにも、座標記録による正確な情報伝達は大きな価値を発揮します。
点群・AR活用で報告書をビジュアル化 – デジタル化が促すDX効果
LRTKを用いて取得した3D点群データやARマーキング情報は、単なる記録に留まらず報告業務そのものを変革します。従来の報告書といえば、劣化箇所を示す平面図と多数の写真を組み合わせた紙媒体が一般的でしたが、LRTK導入により報告内容のビジュアル化・データ化が飛躍的に進みます。本章では、点群データとARを活用した報告書作成の効率化と、それがもたらすDX(デジタルトランスフォーメーション)の効果について見ていきます。
まず、3Dモデルによる直感的な状況共有です。LRTKでスキャンした建物全体の点群モデルは、そのまま劣化状況の立体的な記録資料として非常に高い価値を持ちます。紙の図面や写真では伝わりにくかった「建物全体のどこにどんな異常がどれだけあるか」という情報も、3Dモデル上にマーカーが表示されていれば一目瞭然です。関係者全員がブラウザ経由で同じ3Dモデルを閲覧できるため、オーナーや管理担当者も含めて立体的に現状を共有できます。例えば「○年前に補修した箇所がその後どうなったか」「北面のひび割れは数年前と比べて拡大しているか」といった点も、過去データと現在の点群モデルを重ねて表示すれば時系列で定量比較することが可能です。こうしたデジタルアーカイブによるトレーサビリティの強化は、建物オーナーや管理組合への説明資料としても説得力を高めます。従来は感覚的だった「劣化が進んでいる/いない」の判断も、データに基づき視覚化された提示ができるため、意思決定がスムーズになるでしょう。
次に、報告書作成の効率アップです。点検データがデジタル化されていることで、これまで手間のかかっていた報告書作成作業が大幅に簡素化されます。先述の通り、LRTKで撮影した写真には自動で座標タグが付いているため、「どの部分のクラックを写した写真か」が写真自体に明示されています。報告書に添付する写真台帳や劣化分布図を、一つ一つ手作業で作成・対応付けする負担が減り、報告書の信頼性も向上します。また、クラウド上の3Dモデルにマークした全異常点のリストをエクスポートすれば、補修が必要な部位の数量や範囲を即座に集計できます。従来は図面や表計算ソフトに転記して数量算出していた作業が不要となり、網羅的かつ迅速な報告書作成が可能です。実際にLRTKを導入した現場からは、「写真帳や図面作成に費やす時間が劇的に減り、その分を診断結果の分析や施主への説明準備に充てられるようになった」「3Dモデルを用いた説明のおかげで建物管理者の理解度が格段に上がった」といった声が上がっています。これは単なる効率化に留まらず、点検業務そのものの付加価値向上につながるDX効果と言えるでしょう。
このように、LRTKを活用したデジタル報告書は、単なる紙の報告では得られなかった視覚的インパクトとデータの網羅性を備えています。建設業界では国土交通省主導でインフラ点検の高度化・デジタル化が推進されていますが、点群データやAR技術の現場導入はまさにその潮流に合致するものです。赤外線外観検査で得た知見をより分かりやすく、より有効にステークホルダーと共有するためにも、報告業務のDXは重要なステップと言えるでしょう。
現場導入事例と得られた効果 – スピードアップ・再訪削減・ヒューマンエラー低減
では、実際に赤外線外観検査へLRTKを導入した場合、どの程度の効果が得られるのでしょうか。ここでは現場でのユースケースを交え、点検スピードの向上や安全性・正確性の強化といった具体的な成果を紹介します。
ケース1: 大規模マンション外壁点検の効率化 ある管理会社では、幅30m・高さ10mほどのマンション外壁の赤外線調査にLRTKを組み合わせました。従来なら赤外線カメラで撮影した後、図面に異常箇所を書き込み整理するのに半日以上かかっていた作業が、LRTK導入後は現地作業約15分+自動クラウド整理で完了しました。スマートフォンを片手に建物周囲を一周スキャンしながら、熱異常が見られた部分を即座にARマーキング・写真記録していくだけで、点検終了と同時にクラウド上に3Dモデルと異常リストが揃います。結果として、従来3~4人がかりで丸一日かかっていた調査が1人で半日程度で完了した例もあり、点検効率が飛躍的に向上しました。複数棟を管理する現場では、一日あたりに点検できる建物棟数が増え、人員・日程に余裕が生まれています。
ケース2: 足場高所作業の低減と安全性アップ 別の建物では、外壁タイルの浮き点検において赤外線サーモグラフィーとLRTKを併用しました。まず地上から赤外線撮影で浮きタイルの疑い箇所を洗い出し、その後必要箇所のみ高所作業車で近接調査してLRTKでマーキングする手順です。従来は全面足場を組んで人力打診する必要がありましたが、赤外線&LRTKにより足場をかける範囲と時間を最小限に抑えることができました。点検スタッフが高所で作業する時間も大幅に減り、リスク低減とコスト削減に直結しています。また、ARマーカーで印を付けながら進める点検は「どこまで調査済みか」が一目で分かるため、見落としの不安を抱えながらの高所作業から解放されたという声も聞かれます。劣化が進んだ脆弱な外壁材に下手に触れずに済む点も、安全確保上のメリットでした。
ケース3: 再訪問・手戻りの削減 あるインフラ点検業者では、点検と同時に詳細データを取得できるLRTKを導入したことで追加の再訪問が激減しました。従来は報告書作成段階で「写真と図面の照合ミス」や「特定箇所の寸法データ不足」に気づき、再度現場に赴くケースがありました。LRTKでは写真に位置情報が埋め込まれ、点群から後日でも寸法計測できるため、一度の訪問で必要なデータがすべて揃うようになりました。これにより交通費や人件費のムダを省きつつ、迅速な報告提出によってクライアント満足度も向上しています。
ケース4: ヒューマンエラーの抑止 紙の図面と手書きメモに頼っていた頃は、「番号の付け間違い」「写真ファイルの紐付けミス」といった人的ミスが少なからず発生していました。LRTK導入後は記録プロセスが自動化されたため、そうしたヒューマンエラーは激減しました。特に複雑な建物で異常箇所が多い場合でも、クラウド上でデータが整理・一元管理されるため、報告漏れや二重カウントといったミスも起きにくくなっています。「誰が記録しても結果が同じになる」仕組みによって、組織全体の業務品質が平準化された点も大きな効果です。
以上のように、赤外線外観検査とLRTKの組み合わせは点検作業の生産性を大幅に高め、安全性と正確さを両立させます。DXツールを現場に取り入れることで、作業スピードが上がるだけでなく、「見落としゼロ」の確実な点検やデータに裏付けされた信頼性の高い報告が実現しています。今や建物維持管理において、これらのデジタル技術を使いこなすことが新たなスタンダードになりつつあります。
まとめ:赤外線検査の新たなパートナーLRTKで現場DXを加速
赤外線外観検査がもたらす非接触・効率的な劣化診断は、建物やインフラの維持管理において非常に有用です。その赤外線検査の力を最大限引き出すパートナーとして登場したのがLRTKであり、本記事で述べたように両者を組み合わせることで点検プロセス全体のDXが実現します。従来は経験と勘に頼っていた外観点検の世界に、精密な測位データと3D技術による客観性を持ち込むことで、誰もが安全・確実に点検できる時代が到来しました。
特に、異常箇所の座標付き記録やARナビゲーションにより、点検結果がそのまま次のアクション(補修・再点検)につながるのは大きな革新です。情報の伝達ロスがなくなり、データに基づく的確な意思決定が可能になるため、建築士やビル管理者、保守担当者にとっても安心感が高まるでしょう。報告書作成の面でも、写真台帳や図面をデジタルデータが置き換えることで、業務効率と説明力が飛躍的に向上します。
さらにLRTKは、赤外線検査の補完に留まらず簡易測量や日常点検ツールとしても活躍の場を広げています。例えばちょっとした設備増設前の寸法取りや、定期巡回時の気になる箇所の記録など、従来なら専門業者に依頼していた作業を現場スタッフ自らがこなせるケースも増えています。スマホで手軽に精密測位と3D記録ができるLRTKは、まさに「誰でも使える万能測量・点検デバイス」と言え、建設・維持管理業務のデジタルトランスフォーメーションを力強く後押しします。
老朽化が進む社会インフラや建物ストックを抱える現在、点検業務のDX推進は避けて通れない課題です。赤外線外観検査×LRTKという組み合わせは、安全性と効率化の両立を実現するソリューションとして、これから多くの現場で採用が進むでしょう。ぜひこの機会に、自社の点検フローに最先端のデジタル技術を取り入れ、質の高い維持管理と業務効率化を両立させてみてください。建物・インフラ点検の現場DXは、確実に次のステージへと動き出していま す。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
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