建設業界で最近よく耳にする「CIM」という言葉をご存知でしょうか。BIM(ビム)という用語は聞いたことがあっても、CIMは初めてという方もいるかもしれません。CIMとは、建設分野における3次元モデルの活用と情報管理のことです。本記事では初心者の方にもわかりやすいようにCIMの基本をやさしく解説します。3分ほどで読めますので、ぜひ最後までお付き合いください。
CIMとは?(基本の解説)
CIM(シム)は「Construction Information Modeling/Management」の略称で、日本語では「コンストラクション・インフォメーション・モデリング/マネジメント」と呼ばれます。元々、建築分野ではBIM(Building Information Modeling)と呼ばれる3次元モデル活用の手法が普及していましたが、土木インフラ分野にもこの考え方を応用したものがCIMです。平たく言えば、建設プロジェクトで用いる図面や施工情報を3次元データとして一元管理・共有する取り組みを指します。
CIMでは、道路や橋梁、ダムといった土木構造物の形状をコンピュータ上で立体的に再現した「3次元モデル」を作成し、そのモデルに工事で使う部材や材料の名称・寸法・数量・工期など様々な付加情報(属性情報)を紐付けます。そしてその3次元モデルを、計画・設計から施工、完成後の維持管理に至るプロジェクトのあらゆる段階で活用します。関係者が共通のモデルを参照することで、必要な情報を誰もが得られる状態となり、プロジェクト全体を効率的に管理できるようになる――これがCIMの狙いです。
![CIMの概要図]() 図: CIMの概念図。3次元モデルにさまざまな属性情報が結び付けられ、プロジェクト全体で一元的に活用される。
なお、海外では建築・土木問わずBIMと総称するのが一般的ですが、日本では分野によってBIMとCIMを使い分ける場合があります。ただし近年では建築と土木の両方を合わせて「BIM/CIM」と表記することも定着してきました。どちらも「3次元モデルに情報を付加して利活用する」という点は共通しており、大まかなイメージは同じです。
CIMが注目される背景
では、なぜ今CIMがこれほど注目されているのでしょうか。その背景には、建設業界が抱える生産性の低迷という長年の課題と、社会全体で進むデジタル化(DX)の流れがあります。日本の建設現場では古くから紙の図面と人海戦術による管理が主流で、他産業に比べ生産性が低いと指摘されてきました。また熟練技術者の高齢化や若手人材不足も深刻です。こうした状況を打開するため、国土交通省は2016年にi-Construction(アイ・コンストラクション)と呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、ICT技術の活用による建設現場の生産性革命を推進しました。例えば、国土交通省は2025年度までに建設現場の生産性を2割(20%)向上させる目標を掲げており、その実現に向けてBIM/CIMの普及が重要な鍵とされています。その柱の一つとして掲げられたのが、建設プロセスへの3次元モデル導入、すなわちBIM/CIMの活用拡大です。
国土交通省はCIMの試行を経て段階的に適用範囲を広げ、ついに2023年度(令和5年度)からは小規模案件を除く全ての直轄工事・業務でBIM/CIMの原則適用(事実上の義務化)をスタートさせました。この「原則適用」とは、国の直轄プロジェクトにおいて特段の事情がない限りCIMを導入することを基本とする方針です。つまり今後の公共事業ではCIMの活用が当たり前の前提となっていきます。建設会社や自治体にとってCIM対応は避けて通れない課題であり、業界全体の大きな転換点となっています。なお、国土交通省はBIM/CIMに関する基準や事例をまとめた[「BIM/CIMポータルサイト」](https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimindex.html)を開設しており、CIMを実践する上で役立つ最新情報が公開されています。
CIMのメリット
CIMを導入するとどのような効果が得られるのでしょうか。主なメリットをいくつか挙げてみます。
• 直感的に理解しやすい:平面の2次元図面に比べ、3次元モデルなら完成形を立体的にイメージできます。専門知識がない人でも理解しやすく、発注者や地域住民への説明にも役立ちます。また設計者と施工者が同じモデルを見ながら打合せできるため、認識のズレが減りコミュニケーションが円滑になります。
• 手戻り削減で効率アップ:設計段階から詳細な構造の検討や干渉チェック(配管や鉄筋の衝突など)を行えるため、施工段階に入ってからの図面変更ややり直しが減ります。複数の業種・協力会社が関わる工事でも、モデルを通じて常に最新情報を共有できるため、伝達ミスが減り全体の工程を効率よく進められます。
• 無駄削減でコストダウン:施工前に綿密なシミュレーションや検討を重ねることで、材料ロスや施工ミスによる手戻りを削減でき、結果として余分なコストの削減につながります。例えば 設備どうしの干渉を事前に発見できれば、現場での追加工事や作業ロスを未然に防ぐことができます。
• 情報共有がスムーズ:図面・仕様書・工程表などプロジェクトの様々な情報が3Dモデルに統合されているため、必要な情報を関係者間で容易に共有できます。紙の図面や個別のファイル管理と比べて、データを探したり伝達したりする手間が大幅に減ります。打ち合わせや報告の回数も減り、プロジェクト全体の透明性が高まります。
• ミス防止で品質向上:3Dモデル上で施工フローのシミュレーションや干渉チェックを事前に行えるため、現場でのヒューマンエラーや施工ミスを大幅に削減できます。複雑な構造物の工事でも、不整合を未然に防ぐことで工期遅延のリスクを抑え、出来上がりの品質向上にもつながります。
CIMの活用シーン
CIMはプロジェクトの様々な場面で役立ちます。工程ごとに、どのように活用されるのか例を見てみましょう。
• 設計段階: *3Dモデルによる計画立案・合意形成*。計画・設計時には、CIMで作成した3次元モデルを使って関係者間で完成イメージを共有しながら検討を進めます。平面図では分かりにくい形状や周囲環境との調和も、3Dモデルなら直感的に把握できます。発注者や地域住民への説明資料としても活用され、合意形成がスムーズになります。またモデル上で詳細な設計検討を行い、構造物どうしの干渉箇所を事前にチェックしておくことで、後工程の手戻りを防止できます。
• 施工段階: *施工計画の最適化・進捗管理*。工事の段取り検討にもCIMは力を発揮します。例えば施工手順を4Dシミュレーション(3次元+時間軸)で可視化し、安全で効率的な施工計画を立案できます。現場では3Dモデルを活用して関係者が施工の進め方を共通認識したり、出来形(出来上がった構造物の形状)を確認したりします。さらに工事の進捗状況をモデル上で管理すれば、工程の遅れや施工ミスを早期に発見でき、迅速な対応が可能になります。
• 維持管理段階: *デジタルな維持管理・点検への活用*。完成した構造物の維持管理にもCIMモデル が活躍します。竣工後の構造物に関する検査記録や補修履歴などをモデルに紐付けて蓄積しておけば、担当者が変わっても過去の情報を3D上で直感的に把握できます。従来は紙の図面や台帳をめくっていた作業も、デジタルモデル上で必要なデータを検索・参照できるため、維持管理業務の効率化や属人化防止につながります。
このような効果を背景に、現在では大手ゼネコン(総合建設業)だけでなく、中堅・中小の建設会社や地方自治体のプロジェクトでもCIMの導入が広がりつつあります。国も研修コンテンツの提供や事例集の公開などを通じてその普及を後押ししており、建設業界全体でデジタル技術の活用も加速しており、CIMで構築した3Dモデルは今後デジタルツイン(現実の構造物を仮想空間に再現・監視する技術)の基盤になるとも期待されています。
CIM導入の課題とポイント
CIMは多くのメリットがありますが、導入にあたってはいくつか課題も指摘されています。まず、人的な課題として、新しい3D技術に習熟した人材が不足している点が 挙げられます。従来の2D図面中心の業務から3Dモデル活用に移行するには、社内での教育やノウハウ蓄積が必要です。しかし近年は国土交通省が[CIM教育用の研修コンテンツ](https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/about.html)を公開するなど、人材育成を支援する取り組みも進んでおり、若手を中心に3Dスキルを身につける技術者も増えてきています。
次に、コストや機材面の課題もあります。高性能な3D設計ソフトウェアや測量機器を揃える初期投資がネックになる場合があります。しかしこちらも、安価なソフトウェアの登場や部分的な外部サービス活用などでハードルは下がりつつあります。例えば、近年では従来数百万円規模だった高精度GNSS測量機器が安価な小型デバイスで代用可能になるなど、現場計測のコスト負担も軽減されてきました。また必要な範囲から段階的にCIMに取り組むことで、大規模投資を避けて効果を検証しながら導入を進めることもできます。
さらに、データや運用面の課題として、社内外での情報連携ルール整備も重要です。せっかく3Dモデルを導入しても、部署間・企業間でデータ形式がばらばらでは効率的に活用できません。この点、国交省はBIM/CIMの契約 図書における標準フォーマットとしてLandXMLやIFCといった国際標準を推奨・義務化しつつあり、今後は異なるソフト間でもスムーズにデータ連携できる環境が整いつつあります。企業側でも運用ガイドラインを策定しておき、モデル更新手順やファイル管理ルールを明確化することで「属人化」を防ぎ、プロジェクト全体で統一的なCIM活用が可能になります。
このように課題はあるものの、国や業界全体で環境整備が進みつつあり、CIM導入のハードルは徐々に下がってきています。特に現場の3次元計測については、ドローンやレーザースキャナー、スマホを活用した手軽な測量手法が登場し、従来より格段に取り組みやすくなっています。次の章では、その一例としてLRTKという最新ツールを活用した簡易測量について紹介します。
LRTKによる簡易測量
CIMの効果を最大限に引き出すには、元となる現場の測量データを正確にデジタル化することが欠かせません。いくら3Dモデルを活用するといっても、そのモデルを作るためには現地の地形や構造物の情報を測量・スキャンして取り込む必要があります。従来、このような測量・点群計測には高価な専用機器や複数人での作業が必要でしたが、近年は技術の進歩により誰でも手軽に高精度の3次元測量が行えるようになってきました。
その代表例が、レフィクシア株式会社が提供するLRTK(エルアールティーケー)というソリューションです。LRTKはスマートフォンやタブレットに取り付けて使う小型の高精度GNSS受信機と専用アプリから構成されており、手のひらサイズのデバイスでセンチメートル級の測位を可能にします。これを使えば、従来2人1組で行っていた測量作業も1人で完結でき、現場作業の省力化とスピードアップに繋がります。さらに既存のスマホを活用する仕組みのため、初期導入コストを大幅に抑えられる点も魅力です。測ったデータはリアルタイムでクラウドに保存・共有でき、そのままCIMの3Dモデルに取り込んで活用することも容易です。
![LRTK Phoneデバイス]() 図: スマートフォンにLRTK受信機を装着した様子。この小型デバイスを使えば、一人でもセンチメートル精度の測量が可能になります。
LRTKシステムの主な特長を3つ挙げると、以下のとおりです。
• センチメートル級の高精度測位:RTK方式(リアルタイムキネマティック)によってスマホでも数センチ未満の誤差に抑えた測位が可能です。橋梁の位置出しや道路の縦断測量などミリ単位の精度管理が求められる場面でも十分対応できます。
• 低コスト・省設備:小型受信機をスマホに付けるだけで始められるため、従来の高額な測量機器を揃える必要がありません。専用機材の購入費用を大幅に削減でき、中小企業や現場単位でも手が届きやすい価格帯です。またデバイスが手のひらに収まるほど軽量コンパクトで、バッテリーも内蔵しているため現場へ気軽に持ち運べます。
• 簡単・誰でも使える:専用アプリを用いた直感的な操作で測量ができ、特別な訓練を受けていない人でも扱いやすい設計です。1人で測量作業を完結できるため、人手不足の現場でも作業負担を減ら せます。例えば列車や車両の往来がある道路・鉄道工事でも、作業時間の短縮により安全性向上につながります。また取得データはクラウド経由ですぐ共有できるため、事務所に戻ってからのデータ整理も不要です。
例えばスマホのカメラで写真を撮影すると、写った対象物の座標が自動的に記録されます。またスマホ内蔵のセンサーで周囲をスキャンすれば、点群データ(無数の点で構成された3D計測データ)を短時間で取得可能です。これらによって得られた現況データをCIMモデルと照合し、設計図と出来形のズレをその場でチェックするといったことも簡単にできます。さらにLRTKはAR(拡張現実)機能にも対応しており、スマホ画面上で現実の映像に3Dの設計モデルを重ねて表示することもできます。例えば完成予定の建物モデルを現地の風景に投影して設置位置を確認したり、施工済みの構造物と設計データを重ね合わせて施工精度を検証したり、といった使い方も直感的に行えるのです。
このようにLRTKによる簡易測量を活用すれば、これまで専門技術者に頼っていた現場計測が格段に身近で効率的なものになります。高精度に取得した現地データとCIMモデルとを組み合わせて双方向に活用できるようになることで、CIMのメリットをより一層引き出すことができるでしょう。CIMをこれから導入したいと考える初心者の方にとっても、LRTKのような最新ツールを使えば無理なく3次元活用の第一歩を踏み出せるはずです。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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