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測位から逆打ちまで一貫サポート?LRTK Phone+クラウド活用術

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この記事は平均4分30秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

建設現場において、設計図通りに構造物の位置を定める「逆打ち」作業は、施工管理者や測量士にとって欠かせない工程です。しかし逆打ちには高度な精度が求められ、従来は測量機器の操作や複雑な計算に熟練が必要でした。杭を打つ位置を数センチの狂いもなく出すために、何度も測り直したり複数人で確認したりと手間がかかっていませんか。


そんな現場の悩みを解決し、測位から逆打ちまでの流れを一貫サポートしてくれる新しいツールが登場しました。それが LRTK Phone+クラウド です。スマートフォンとRTK(リアルタイムキネマティック)測位技術、そしてクラウドサービスを組み合わせることで、これまで複数の機器や人手を要した測量・位置出し作業を、大幅に効率化できます。本記事では、LRTK Phoneとクラウドを活用することで実現できるRTK測位精度、スマホ運用の簡便さ、AR誘導による正確な逆打ち作業、そしてクラウド処理とリアルタイム共有による業務効率化について、施工現場での具体的な活用術を解説します。


施工現場における逆打ちの重要性と課題

「逆打ち」とは、あらかじめ決められた設計上の座標位置に基づき、現場に杭や墨線でポイントを正確に示す作業を指します。施工図に描かれた基礎の中心や構造物の角などを現地に復元するこの工程は、測設位置出しとも呼ばれ、建設の品質を左右する重要な役割を担います。わずかなズレでも構造物全体の歪みや施工不良につながりかねないため、逆打ちにはミリ単位・センチ単位の高精度が要求されます。


しかし従来の逆打ち作業にはいくつもの課題がありました。一般的な方法では、まず基準点にトータルステーション(光学式の測量機)を据え、求めたい点までの距離と方向を計算して測定します。熟練の測量士が現場で逆打ち計算書を準備し、器械の角度を合わせてから、スタッフがプリズムを持って指示された位置に杭を打つ——こうした一連の手順には少なくとも2名以上の人員と高い専門技術が必要でした。現場条件によっては視通しが悪かったり、障害物で直接測れない場合もあり、迂回して測る工夫が求められます。当然、作業時間もかさみ、測点の確認ややり直しに追われることもしばしばです。経験豊富な人材が不足しがちな昨今、逆打ち作業を安全かつ効率的に行うことが現場の課題となっていました。


また、手作業での角度・距離の読み取りや計算にはヒューマンエラーのリスクが伴います。一度位置を間違えたまま杭を打設してしまうと、後工程で手戻りが発生して大きなコストロスにつながる可能性があります。逆打ちは「慎重さ」と「効率」の両立が求められる繊細な作業であり、現場では常に改善の余地を模索する声が上がっていました。


スマホが測量機に:LRTK Phoneで実現する高精度測位

LRTK Phoneは、スマートフォンに装着して使用する小型の高精度GNSS受信機です。例えばiPhoneのような端末に専用デバイスをワンタッチで取り付けるだけで、通常は数メートルの誤差があるスマホGPSが、一気にセンチメートル級精度へとアップグレードされます。これはRTK(リアルタイムキネマティック)と呼ばれる測位技術の力です。RTK-GNSSは、衛星測位の誤差を基地局からの補正データでリアルタイムに補正し、測位誤差を数センチ以内に抑えます。LRTK PhoneはこのRTK方式に対応しており、ネットワーク型の補正サービスや日本の準天頂衛星みちびきから配信されるCLAS信号を受信することで、高価な測量機に匹敵する精度の位置情報を得ることが可能です。


この高精度デバイスの特長は、その手のひらサイズの携帯性と扱いやすさにもあります。重量はわずか約125g程度で、バッテリーも内蔵されているため、測量ポールや三脚に据え付けなくても手軽に持ち運べます。現場ではポケットから取り出してスマホに装着し、専用アプリを起動すれば即座に測位を開始できます。煩雑な初期設定やケーブル接続も不要で、衛星を補足すれば瞬時に現在地の精密な座標を取得できます。緯度・経度や高さだけでなく、平面直角座標系やジオイド高など建設業務に必要な各種座標系への変換もアプリが自動で行ってくれるため、現場担当者は難しい計算を意識せずに済みます。


LRTK Phoneによって得られる位置情報は、従来の手法では実現が難しかったレベルの精度と利便性を兼ね備えています。例えば静止して一定時間測位を平均化することで、数ミリメートル単位の精度確認も可能です。従来は重く高価な専用機器が必要だった精密測量が、スマホ一台でいつでも行えるようになることで、現場の測位作業は格段にスピードアップします。基準点の確認から出来形管理用の点群計測まで、あらゆる測量シーンでスマホが万能測量機として活躍する時代が到来しつつあります。


手軽なスマホ運用で誰でも即戦力に

LRTK Phone+クラウドのもう一つの大きなメリットは、その扱いやすさです。従来、測量機器の操作には専門知識が必要で、ベテランの測量士に任せざるを得ない場面も多々ありました。しかしスマートフォンをベースにしたLRTKのシステムなら、直感的なアプリ操作で測位やポイントの設定が可能です。地図上の画面やカメラ映像に従って進むだけなので、測量の専門教育を受けていない施工管理スタッフでもすぐに使いこなせます。若手からベテランまで、誰もがスマホ感覚で高精度測量を実践できるため、チーム全体の即戦力化に貢献します。


また、スマホで完結する手軽さは一人作業を容易にしました。例えばこれまで杭打ちの位置出しには2人1組での作業が当たり前でしたが、LRTKを使えば測位と誘導を一人で同時にこなせます。片手にスマホを持って移動しながら必要なポイントを探せるため、重い三脚を担いで据え付けるといった準備作業も大幅に削減されます。狭い敷地内や高低差のある地形でも、身軽に動き回って測量・逆打ちでき、柔軟に対応可能です。「測量班が来るのを待つ」必要もなく、現場の担当者自らがその場で測定・確認できるため、意思決定のスピードも上がります。


このようにLRTK Phoneのスマホ運用は、現場の働き方を変革します。煩雑な手順や熟練に頼った作業をシンプルにし、省人化時間短縮を実現します。使い慣れたスマホというプラットフォームを活かすことで、テクノロジーの恩恵を現場のすみずみにまで浸透させることができるのです。


AR誘導で精密な逆打ちを実現

LRTKアプリには、設定した座標まで作業者を導いてくれる座標ナビゲーション機能が搭載されています。あらかじめクラウド上に逆打ちしたい点の座標を登録しておけば、現場ではスマホ画面の指示に従って移動するだけで目標地点に到達可能です。目的の方向や距離がリアルタイムに表示されるため、地図や数値を照らし合わせながら徐々に位置を追い込むような手間も大幅に減りました。


さらに、LRTKはAR(拡張現実)技術を用いて逆打ち作業を強力にサポートします。カメラを通してスマホ画面を見ると、指定した位置に仮想の「AR杭」やマーカーが重ね表示され、現実空間上にその地点を可視化できます。例えば設計図で指示された杭打ち点や墨出しポイントに対応するAR杭を地面上に投影すれば、そこがまさに打設すべき正確な位置であることが一目で分かります。これにより、従来は距離を測りながら「この辺りか?」と位置を微調整していた作業が、直感的な視覚情報に基づいて迅速かつ正確に行えます。


AR誘導の利点は、物理的に近づきにくい点でも測位・確認ができることです。例えば急斜面の上や立入が制限された場所にあるポイントでも、離れた安全な場所からその位置を測定し、AR上でマーカーを表示して位置関係を把握できます。硬いコンクリート面で杭が打ち込みにくい場合も、AR杭であれば地面を傷つけずに位置出しの目印を示せます。さらに、設計データ(BIM/CIMの3Dモデルなど)をLRTKクラウドにアップロードしておけば、現地でそのモデルをAR表示し、現在の地形や構造物と重ね合わせて確認することも可能です。例えば計画中の擁壁や盛土のモデルを現況の地形にAR投影すれば、逆打ち位置が設計通りか、周囲との取り合いに問題がないかを事前にチェックできます。


LRTKのAR機能は、高精度GNSSによる安定した位置情報を基盤としているため、投影された仮想オブジェクトが作業者の移動でずれてしまう心配がありません。常に正しい座標に基づいて視界に表示されるため、現場でのコミュニケーションツールとしても威力を発揮します。発注者や施工チームと一緒にAR画面を見ながら、「ここにこれから構造物が設置されます」と共有すれば、逆打ち結果の説明や施工計画の打ち合わせもスムーズに進むでしょう。AR誘導により、逆打ち作業のミスを未然に防ぎ、確認・承認プロセスも円滑化されます。


クラウド連携によるデータ共有と効率化

LRTKシステムの強みは、フィールドとクラウドが連携したリアルタイムなデータ共有にあります。現場で取得した測位データは、ワンタップでLRTKクラウド(Webプラットフォーム)へアップロード可能です。アップロードされた点や軌跡の情報は即座にクラウド上の地図にプロットされ、測点の名前・日時・座標値・メモなどをブラウザ上で確認できます。オフィスにいる同僚や発注者は、専用ソフトをインストールすることなくWebページにアクセスするだけで、現場の進捗や成果をリアルタイムに把握できます。測定した2点間の距離を計算するといった分析機能もクラウド側に備わっており、現場で測ったデータを基に即座に追加の確認作業を行うことも可能です。


簡単共有機能も充実しています。例えば協力会社や他部署とデータを共有したい場合、LRTKクラウド上で対象のデータを選んで「共有」ボタンを押すだけで、閲覧用の専用URLを発行できます。必要に応じてパスワードや有効期限を設定することも可能です。発行されたURLを相手に送れば、受け取った側はログイン不要でLRTKクラウドのWeb画面にアクセスし、共有データを閲覧できます。点群データや写真も含め、ブラウザ上で2D/3D表示しながら確認できるため、距離・面積・体積の計測や図面データとの重ね合わせによるチェックも手軽に行えます。必要であればCSVや既定フォーマットでデータをダウンロードし、自社のCADソフトや報告資料に取り込むこともできます。


このクラウド連携により、現場とオフィス、さらには関係者全員が常に最新の情報を共有できます。もう、誰かが帰社してからUSBで測量データを渡すのを待ったり、手書きメモを清書してメール送信するといった手間はありません。逆打ちで設置したポイントをその場で写真付き記録としてクラウドに残しておけば、後日の検査や引き渡し時にも説得力のあるエビデンスとなります。データはすべてクラウド上に蓄積され履歴管理できるため、後から「どの地点をどこに設置したか」を振り返るのも容易です。こうしたデジタル連携が、逆打ち作業を含む施工管理全体の効率化と品質向上に直結していきます。


現場でのLRTK活用例:逆打ち作業がこう変わる

実際にLRTK Phone+クラウドを導入すると、現場の作業はどのように変わるのでしょうか。ある施工現場での一日の流れを例に、その効果を見てみましょう。


、施工管理者のAさんは現場に到着すると同時にスマートフォンにLRTK Phoneを装着し、専用アプリを起動しました。まず基準点となる既知点の座標をLRTKで測定し、現場の座標系を確認します。従来であればトータルステーションを据えてトラバース測量から始めるところですが、LRTKのおかげで数分もかからず基準合わせが完了しました。


続いて、クラウド上に用意されていた本日の逆打ち予定ポイント(墨出し箇所や杭打ち位置)のデータをアプリに読み込みます。Aさんはアプリの画面から一つ目のポイントを選択し、座標ナビゲーションを開始しました。スマホ画面に表示される矢印と距離表示に従って進むと、程なく目的の位置に到達します。カメラをかざすと、目の前の地面に設計図通りの位置に仮想のAR杭が立っているのが見えました。その地点で位置と方向を再確認し、Aさんはマーキングスプレーで地面に印を付けました。これで1点の位置出しが完了です。Aさんはスマホで現場写真を撮影し、アプリからクラウドにアップロードして、その点の設置完了をチームと共有しました。


午前中のうちに、Aさんは同じ手順で現場内の逆打ちポイントを次々と設置していきました。一人で黙々と作業しながらも、位置精度は常にセンチ級で確保されており、全てのポイントが図面通りの位置に収まりました。途中、視通しの悪い場所にあるポイントも、AR杭を活用して問題なく正確な位置を特定できました。事務所の上司は、クラウド上の地図でAさんの進捗をリアルタイムに確認し、「次のポイントは安全柵の向こう側だから気をつけて」とすぐに伝えることができました。LRTKクラウド上では各ポイントに写真とメモが自動保存されているため、Aさんは作業に集中しながらも記録漏れの心配がありません。


午後、予定していた逆打ちポイントの設置がすべて完了すると、Aさんはその日測った点群データを使って出来形の確認も行いました。スマホを手に現場を歩き回り、LRTKで取得した点群と設計モデルをクラウド上で重ね合わせてチェックします。重要構造物の位置や高さが設計値と合っていることをその場で確認し、追加の手直し箇所がないことをチーム全員に報告しました。


この日の作業は、通常なら測量担当者と複数人で丸一日かかるボリュームでしたが、LRTKを活用したことでAさん一人で効率良く完了しました。終業時には、クラウド上にその日の成果データがすべて揃っているため、Aさんは事務所に戻ってからの報告書作成に追われることもありませんでした。上司や発注者も即座に成果を確認済みで、後日改めて測量成果を説明する手間も省けています。


このように、LRTK Phone+クラウドを現場に取り入れることで、逆打ち作業の進め方は劇的に変わります。一人で複数人分の仕事量をこなしつつ、品質と記録も向上するという、理想的な施工管理サイクルを実現できるのです。


まとめ:現場の逆打ち測量が変わる、新たなスタンダードへ

従来の経験と勘に頼った測量・逆打ち作業は、LRTK Phone+クラウドの登場によって大きく様変わりしようとしています。高精度RTK測位による信頼性、スマホベースの手軽さ、ARによる直感的な誘導、そしてクラウドでのシームレスな情報共有——これらを組み合わせることで、施工現場の生産性と精度管理は飛躍的に向上します。煩雑だった逆打ち作業がスマートフォン一つで完結し、誰もが正確に位置出しできる新たなスタンダードが生まれつつあります。


あなたの現場でも、こうした最新テクノロジーを活用してみませんか。LRTKを導入すれば、測位から逆打ちまでを一貫してこなせる強力なツールを手にすることになります。人手不足や作業時間の制約といった課題に対しても、LRTK Phone+クラウドは確かな解決策となるでしょう。逆打ち測量における精度確保と効率化にお悩みの施工管理者・測量技術者の方こそ、ぜひこの新しいアプローチを現場で試してみてはいかがでしょうか。


LRTKが実現する“一人ひとりが測量士”とも言える環境は、これからの建設業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を象徴するものです。先進の測位テクノロジーと現場ノウハウが融合したLRTK Phone+クラウドで、逆打ち作業を次のレベルへ引き上げ、現場の未来を切り拓いていきましょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

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