CIMの意味と効果を徹底解説：失敗しない選び方とLRTK活用術

近年、建設業界で注目を集めているのが「CIM」です。国土交通省の主導により、2023年度からは直轄の公共工事で原則CIMの活用がスタートし、現場も大きな変革期を迎えています。しかし「CIM」とは具体的に何を意味し、導入するとどのような効果が得られるのでしょうか。また、CIMを成功させるにはどのようなポイントに気をつけてツールを選べば良いのでしょうか。

本記事では、CIMの基本的な意味や効果を徹底解説した上で、導入で失敗しないための選び方のポイントを紹介します。さらに、最新技術「LRTK」を活用した簡易測量によってCIMをより効果的に活用する方法についても取り上げます。CIMの導入を検討している方や現場DXを推進したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

それでは早速、CIMの基礎から見ていきましょう。

CIMとは何か？その定義と国内動向

CIMとは「Construction Information Modeling（コンストラクション・インフォメーション・モデリング）」の略称で、土木インフラ分野における3次元モデル活用手法のことです。建築分野で用いられるBIM（Building Information Modeling）と本質的には同じ概念であり、橋梁や道路、ダムなどの土木プロジェクトで3Dモデルに設計情報や部材属性、工期・コストなどあらゆる関連情報を紐付け、一元管理することで計画・設計から施工、維持管理まで一貫して活用する取り組みを指します。3D上に詳細なデジタルモデルと膨大な情報を統合することで、関係者全員が常に最新かつ正確な状況を共有でき、ミスや手戻りの削減、工期短縮などプロジェクトの生産性向上に寄与します。

世界的に見ると、BIM/CIMは建設業界のデジタル改革の中心技術となっており、多くの国で公共事業への導入が進んでいます。例えばシンガポールでは国家プロジェクトとして都市全体を3Dモデル化する「バーチャル・シンガポール」が実現しています。日本ではこれまでBIM/CIMの普及が欧米に比べ遅れていましたが、近年は状況が大きく変わりつつあります。国土交通省は当初予定していた2025年から前倒しし、2023年4月より原則として直轄の全ての公共事業・詳細設計業務にBIM/CIMを適用する方針を打ち出しました。これは建設業の生産性向上やコロナ禍でのリモートワーク推進、人手不足の深刻化などを背景としたものです。さらに2025年には、時間軸を含めた4Dやコスト情報を加えた5Dの実現、BIM/CIM標準のJIS規格化も目標に掲げられており、日本も世界に追いつくべく急速に歩みを進めています。こうした政策動向は、建設現場にICTを導入して生産性革命を図る「i-Construction」戦略の一環であり、BIM/CIMはその中核技術と位置付けられています。その結果、現在は国主導のガイドライン整備や各社の取り組み強化により、CIMの導入件数も年々増加しています。今やCIMは建設DX推進に欠かせない基盤技術となりつつあります。

CIMのメリット・効果

CIMを導入すると、従来の2次元図面中心の業務と比べて様々なメリットが得られます。主な効果を整理すると次のとおりです。

• 設計の精度向上と合意形成の促進: 図面では見落としがちな干渉や不整合も、3Dモデル上であれば事前に発見できます。設計意図が視覚的に共有できるため、発注者や施工者、地域住民とのコミュニケーションでも誤解が減り、合意形成がスムーズになります。例えば住民説明会で橋梁や道路の完成イメージを3Dモデルで示せば、「百聞は一見に如かず」で理解を得やすくなります。

• 業務効率化と生産性向上: プロジェクト全体で単一の3Dモデルを使い回すことで、各工程ごとに図面を描き直す手間が減り、設計段階での手戻り防止や施工時の追加作業削減につながります。いわゆるフロントローディング効果により、全体の工期短縮も期待できます。実際に国交省の調査では、ICT施工の導入によって土工の作業時間が約3割、舗装・浚渫では約4割短縮されたとの報告があります。特にBIM/CIMの活用では、ある現場で1日あたりの作業量が最大60%削減され、数量計測業務で54%の効率化が実証されています。土工現場の事例では全体の77%もの業務削減効果が得られたケースもあり、CIMによる生産性向上効果の大きさが伺えます。

• 施工管理の高度化（品質・安全の向上）: 常に最新の3Dモデルを現場で閲覧できる環境が整えば、施工中に設計とのズレをその場で検知して即修正するといったリアルタイム管理が可能になります。出来形（施工完了物）の検査でも、完成モデルと現況を重ねて誤差を色分け表示すれば、追加施工が必要な箇所を一目で把握できます。モデルに紐付いた属性情報から寸法・標高を直接読み取って現物と照合できるため、紙図面をいちいち参照する手間も省けます。こうした活用によりヒューマンエラー防止や手戻り削減につながり、施工品質と安全性の向上に寄与します。

• 維持管理・資産管理への活用: 引き渡し後も、CIMで作成した3Dモデルは維持管理に活かせます。例えば定期点検で過去のひび割れ記録をモデル上に表示し現物と照合すれば劣化の進行状況が直感的に把握できます。また将来の補修計画を3D上でシミュレーションしたり、地下埋設物の位置をARで透視表示して掘削工事のリスクを低減したりすることも可能です。このようにCIMは建設プロジェクトのライフサイクル全般で情報共有を円滑にし、無駄やリスクの削減に大きく貢献する切り札と言えます。

以上のように、CIM導入によるメリットは設計から施工、維持管理に至るまで非常に幅広く及びます。日本国内でもBIM/CIM適用プロジェクト数は年々増加傾向にあり、2012年に11件だったものが2017年には132件に達するなど、効果への確かな手応えから普及が加速しています。今やCIMは業界のDX推進に欠かせない重要技術となっています。今後ますます普及が進む中で、その恩恵を最大限に活用していくことが求められます。

CIM導入で失敗しない選び方のポイント

メリットが大きいCIMですが、実際に導入・運用する際にはいくつかの課題にも直面します。事前に適切な対策を講じないと、せっかく導入しても十分な成果が得られない恐れもあります。そこで、CIM導入を成功させるために押さえておきたいポイントを紹介します。

• 段階的な導入とコスト対策: 3D対応の設計ソフトや高性能PC、クラウド環境などCIM導入には初期投資が必要です。また既存の2D図面資産を3D化する手間もかかります。特に中小企業にとってこの負担は大きく、導入に踏み切れない原因にもなります。対策として、国や業界団体の補助金・支援策を活用したり、小規模なプロジェクトで試験的に導入して効果を検証した上で段階的に拡大したりすると良いでしょう。最近では手頃な価格のBIM対応ツールやクラウドサービスも登場しているため、無理のない範囲から部分的に導入を始めるのが現実的です。

• 人材不足への対応とツール選定: CIMを使いこなすには3DモデリングやICTに精通した人材が必要ですが、業界全体でそうした人材はまだ不足しています。社内に専門部署を作っても人材確保や育成が追いつかず、宝の持ち腐れになるケースもあります。対策としては、外部のBIMコンサルタントや技術者の力を借りたり、ベンダー主催の研修を活用したり、若手社員のデジタルスキル育成に投資するといったことが挙げられます。同時に、専門知識がなくても扱えるユーザーフレンドリーなソリューションを選ぶことも重要です。直感的な操作画面や自動化機能を備えたツールであれば、長時間の研修を経ずに現場に投入できます。例えば後述するLRTKのように、現場の作業員でもすぐに使い始められるデバイスは人材不足解消の切り札となり得るでしょう。

• 現場の抵抗感を減らす: 長年紙の図面や2D業務に慣れた現場ほど、新しいデジタルプロセスへの心理的抵抗があります。「自社の現場には合わないのでは」「技術を導入しても現場がついてこれないのでは」と不安視する声も少なくありません。これを克服するには、CIM導入の目的（より少ない人員で効率よく高品質な施工を実現すること）を経営層から現場まで共有し、小さな成功体験を積み重ねて理解を得ることが大切です。トップダウンの推進だけでなく、現場発のボトムアップな提案や工夫も奨励し、成功事例を社内で横展開することで徐々に抵抗感は薄れていきます。

• データ連携と標準化への対応: 測量データ・設計データの形式や使用ソフトが部署や協力会社ごとに異なると、CIMモデルの受け渡しに手間取ったり情報が断絶したりする原因になります。これを避けるため、国際標準のIFC形式などオープンなデータ形式に対応したツールを選ぶことや、プロジェクト関係者間で3Dモデルや図面を共有する共通データ環境（CDE）を整備することが重要です。国土交通省は「BIM/CIM導入ガイドライン」を公開するなど標準的な手順を提示しているため、そうした公的なガイドや業界標準も積極的に活用しましょう。自社だけで抱え込まず、外部の知見も取り入れながらデータ連携基盤を構築することで、CIM導入の失敗リスクを減らせます。

以上のポイントを押さえて準備することで、CIM導入の成功率は格段に高まります。

LRTK活用術：簡易測量でCIM活用を強力サポート

*スマートフォンに取り付けた小型GNSS受信機「LRTK Phone」。ポケットサイズで持ち運びも容易*

LRTK（エルアールティーケー）は、上記の課題を解決しCIMの効果を最大限に引き出す現場ソリューションとして注目されています。東京工業大学発のスタートアップ企業・レフィクシア社が開発したポケットサイズの万能測量デバイスで、スマートフォンやタブレットに超小型のRTK-GNSS受信機を装着して使用します。これにより手のひらに収まる端末一つでセンチメートル級の高精度測位（リアルタイムキネマティック方式）が可能となり、専用の高価な測量機器や熟練の技術者がいなくても、現場で即座に高精度な測量や3Dスキャンが行えるようになります。

• 手軽さと低コスト: LRTKは重さ約165gと小型軽量で、ポケットに入れて必要なときにすぐ取り出せます。バッテリーも内蔵しているため取り回しが容易です。価格も従来の測量機器に比べて大幅に抑えられており、1人1台を持てる現場ツールとして普及が期待できます。誰もが自分専用の高精度測量デバイスを持てることで、測量待ちのロスが減り現場全体の生産性向上につながります。

• 多機能な測量作業: スマホ一台＋LRTKで、単点の位置測定から連続測位、点群データ取得、出来形の土量計算、写真測量、墨出し（位置出し）まで幅広い測量・計測ニーズに対応できます。従来はトータルステーションやレーザースキャナーなど複数の機器や専門技術が必要だった作業も、LRTKを装着したスマホさえあれば誰でもこなせるようになります。例えば、従来は測量班が半日かけてトータルステーションで行っていた出来形測量も、LRTKがあれば現場担当者が短時間で主要ポイントの計測を終え、すぐに設計モデルと照合してズレを確認できます。

• リアルタイムなデータ共有: LRTKで取得した測位データはスマホアプリからワンタッチでクラウド上にアップロード可能です。オフィスにいるスタッフもウェブブラウザから即座に現場の測点情報や点群データを確認でき、現場⇔設計オフィス間の情報ギャップを埋めます。USBメモリでデータを持ち帰るといった手間が不要になり、常に最新の現場情報をモデルに反映できます。

• ARによる直感的な検証: スマホやタブレットの画面上で3D設計モデルを現場映像に重ねて表示するAR機能もLRTKの強みです。例えば橋梁工事で、設計時に作成した鉄筋の3DモデルをAR表示し、組み上がった実物の鉄筋と重ね合わせてズレがないか検査するといった使い方ができます。また完成後には、LRTKで取得した点群データとBIM/CIMモデルを重ね合わせて比較し、差異を色分け表示することで検査業務を効率化できます。埋設管や構造物の位置をARで透視表示し、安全に掘削作業を行うといった活用も可能です。

このようにLRTKを活用すれば、これまで専門の測量班や高価な機器を要した現場計測が誰でも手軽に行えるようになり、CIMで構築した3Dモデルと実際の施工現場をシームレスにつなぐことができます。現場と設計間のリアルタイムな情報共有や精密な出来形管理が可能となるため、CIM導入時に課題となりがちな「測量データと設計モデルのズレ」や「現場とオフィスの情報断絶」を解消し、CIMの効果を最大限に引き出す強力な武器となるでしょう。

おわりに：LRTKで誰でもできる簡易測量を体験しよう

CIMの導入と現場DXの推進は、これからの建設業界において欠かせない取り組みです。しかし、新しい技術を本当の意味で現場で活用するには、実際に使ってみて得られる体感的な納得が重要になります。LRTKは多くの現場ユーザーから「誰でも簡単に使える」「一度使うともう元には戻れない」と評されるソリューションです。例えば、これまで測量経験のなかった新人作業員でもLRTKを装着したスマホさえあれば、その日から自分で必要な測量を行い、3DモデルをAR表示して施工チェックができるようになります。まさに「簡易測量」が現実のものとなり、現場の仕事の進め方そのものが変わりつつあります。

CIMとLRTKを組み合わせれば、誰でもデジタル技術を駆使して現場の生産性と品質を向上させることが可能です。これからの建設業界では、新技術を積極的に取り入れた企業ほど競争優位を得られることは間違いありません。まずはLRTKによる簡易測量を体験し、その便利さを実感してみてはいかがでしょうか。LRTKの詳細は[LRTK公式サイト](https://www.lrtk.lefixea.com)で詳しく紹介されていますので、関心のある方はぜひチェックしてみてください。