RTK(リアルタイムキネマティック)方式の測位では、できれば「Fix解」を得てセンチメートル級の精度を達成したいものです。しかし現場では、いつまで経っても「Float解」のままFix状態にならなかったり、補正情報が反映されず単独測位の「シングル解(no RTK状態)」から抜け出せないといった問題がしばしば起こります。高精度な測位を必要とする業務ではFloatのままでは不十分なため、迅速にFixへ移行させることが重要です。
Fix解とは、RTKで衛星間の誤差要因を解消し整数値バイアス(アンビギュイティ)を正しく解決した状態です。位置精度はほぼ±数センチ以内に収まり、精密な測位や測量に耐えうる信頼性が得られます。一方、Float解は補正データを受け取っているもののアンビギュイティの解が収束していない中間状態で、精度は±0.5~1m程度とされています。つまりFloatのままでは、厳密な位置決めには誤差が大きすぎるのです。通常、条件が整っていればRTKの開始後数十秒~数分以内にはFixに到達します。しかし5分以上経ってもFixにならない場合、何らかの原因で解が収束できずにいる可能性が高いです。
では、RTKでFloat解からFix解に至らないとき、どのような点を確認し対処すれば良いのでしょうか。本記事では、RTKがFixしない場合に見直すべきポイントや受信不良を改善する対処法を7つ紹介します。現場でのトラブルシューティングにぜひお役立てください。
目次
• 対処法1: 利用衛星の数・配置をチェックする
• 対処法2: 測位環境(遮蔽物・マルチパス)の改善
• 対処法3: 基準局の設置状況と座標の見直し
• 対処法4: 基準局との距離(基線長)を短くする工夫
• 対処法5: GNSS設定の統一(衛星システム・周波数の整合)
• 対処法6: 補正データの受信状態と通信環境の確認
• 対処法7: GNSS機器のハード・ソフト設定を再確認する
• LRTKによる高精度測位の簡易ソリューション
対処法1: 利用衛星の数・配置をチェックする
まず注目すべきは、利用できる衛星の数と空での配置(ジオメトリ)です。RTKでは基準局と移動局の双方で共通して追尾できる衛星が5機以上あることがFix解取得の目安とされています。衛星が4機程度では三次元測位がギリギリ可能なだけで、固定解まで達成するのは難しくなります。また、衛星の空での配置バランス(幾何分布)も重要です。特定の方向に衛星が偏っているとジオメトリが悪化し、測位精度が低下します。衛星が空全体に均等に分布していればDOP値(精度劣化係数)が低く抑えられ、Fixもしやすくなります。
対策として、受信機やアプリのステータス画面で現在捕捉している衛星数やDOP値を確認しましょう。必要な衛星数が確保できていない場合は、時間帯をずらしてみるのも一つの方法です。GNSS衛星の配置は時間とともに変化するため、衛星配置の良い時間帯(DOP値が低い時間帯)を選ぶことで、結果的に早くFixに至る可能性が高まります。また、受信機の設定で仰角マスク(低仰角の衛星を除外する角度)が高すぎないかも点検が必要です。例えば仰角マスクを15°前後に設定すると、低空の衛星もある程度利用できるため衛星数の確保と精度維持のバランスが取れます。さらに、最新のマルチGNSS対応受信機であればGPS・GLONASS・Galileo・みちびき(QZSS)など複数の衛星群を同時に利用でき、10個以上の衛星を追跡できる場合もあります。利用可能な衛星はすべて有効にして共通観測数を最大化することで、Fix率の向上が期待できます。
対処法2: 測位環境(遮蔽物・マルチパス)の改善
受信アンテナの置かれた周囲環境も、Fixにならない大きな要因となります。上空の視界が狭い場所では、十分な衛星数を確保できずFloat解が続きやすくなります。建物の陰や林の近く、室内やトンネル内などでは衛星信号が遮られて受信強度が弱まり、観測データの不足からいつまでもFixに至らないケースが多くなります。また、近くに高層ビルの壁面や金属フェンス、大型車両などがあると、衛星電波が反射して誤った経路でアンテナに届きます。このようなマルチパス(多重経路)誤差は測位解を不安定にし、Fix解の取得を妨げます。
対策として、可能な限り周囲が開けた場所で測位することが基本です。もし測位地点が建物や樹木に囲まれているなら、数メートルで良いので空が見える方へアンテナ位置を移動してみましょう。それだけで受信衛星数が増え、Fixに至る場合があります。どうしても障害物の多い現場で測量しなければならないときは、アンテナをできるだけ高い位置に設 置する工夫も有効です。三脚やポールを使って周囲の遮蔽物を避けるように上げれば、信号の受信状態が改善します。また別の方法として、初期化時に一度見通しの良い場所でFixを獲得してからゆっくりと目的の測点へ移動するという手段もあります。一度Fixになっていれば、短時間であれば多少環境が悪化してもFix状態を維持できる性能を持つ受信機も存在します。
マルチパス対策も重要です。アンテナに取り付け可能であればグランドプレーン(導電板)を装着し、下方からの反射波を遮断してみましょう。アンテナ直下の地面や車両などからの電波反射を減らすことで、測位の安定度が向上する場合があります。高品質なアンテナや受信機では内部でマルチパス除去機能を備えているものもありますが、基本は「反射を避ける環境づくり」が肝心です。加えて、強力な無線機器や高圧線設備などが近くにないかも確認してください。強い電波干渉があるとGNSS信号にノイズが混入し、Fixを阻害する恐れがあります。該当する機器があれば測位時には一時停止する、アンテナにノイズフィルタを取り付けるなど、電波環境の改善にも努めましょう。
対処法3: 基準局の設置状況と座標の見直し
RTK測位は、基準局(ベース局)の正確な位置情報をもとに移動局(ローバー)が補正計算を行います。そのため、基準局側に問題があると移動局はいくら待ってもFix解を得られません。自前で基準局を設置している場合は、まず基準局の座標設定を確認しましょう。基地局に誤差の小さい座標値を設定することが重要で、可能であれば事前に1時間程度の平均測位を行うか、既知点で較正して真の値に近い座標を求めます。短時間測位で得た仮の座標を使っている場合は大きな偏差が含まれているかもしれません。実際の位置とかけ離れた座標を設定すると、RTK演算の初期値にズレが生じて整数アンビギュイティの解決に時間がかかったり、収束しなくなる原因となります。特に数十メートル以上も基準局座標が誤っていると、補正情報との不整合が大きすぎて固定解への収束が著しく遅れるでしょう。また、基準局と移動局の座標系(測地系)が一致しているかも要チェックです。例えば基準局が日本測地系(旧座標系)、移動局が世界測地系(WGS84)で動いていると、補正適用後の解に数十センチのオフセット誤差が生じて正しくFixできません。同じ公共座標系で統一する必要があります。
次に、基準局アンテナの設置状態も見直します。基地局アンテナは絶対に動かないよう安定した場所に固定してください。例えば据え付けが甘くて途中で 倒れたり位置がズレてしまった場合、RTKはゼロからやり直しになり、移動局はそれまでFixしかけていたとしても再びFloatに戻ってしまいます。強風で傾いても問題ですので、三脚や金具でしっかり固定し、作業員が不用意に触れない位置に置きましょう。もしアンテナを動かしてしまった場合は、すぐにRTKを一旦停止して基準局座標を再設定し直す必要があります。また、基準局側の受信環境も品質に影響します。基準局もできるだけ上空視界の開けた場所に設置し、周囲に強い反射物や遮蔽物が無い環境を選んでください。基準局データに含まれる衛星が少なかったり誤差が大きいと、いくら移動局側が開けた環境でも高精度なFixは得られません。さらに、基準局の電源やアンテナケーブルが正常か、送信が途中で止まっていないかなど、ハード面のトラブルも併せて確認しましょう。
なお、公共の電子基準点サービスや他社提供の基準局データを利用している場合でも、基準局側の問題によってFixできないケースがあります。提供元の観測環境が悪かったり、メンテナンス中で精度が低下している場合などは、ユーザー側の努力ではどうにもなりません。そのような場合は、可能であれば別のサービスに切り替える、あるいは時間をおいて再度接続し直すといった対応を検討します。
対処法4: 基準局との距離(基線長)を短くする工夫
移動局と基準局の距離が離れすぎていることも、Fixにならない一因です。RTK補正は「基準局と移動局で共通の誤差を相殺する」仕組みですが、基線長が長くなるほど両地点での誤差差分が大きくなり、補正の効果が薄れてしまいます。特に電離層遅延や対流圏遅延などの誤差要因は距離が伸びるにつれて差異が大きくなり、共通誤差として打ち消しきれなくなります。その結果、整数バイアスの解が安定せず、固定解への収束に非常に時間を要したり、いつまでもFloatのままという状況になりがちです。
一般にRTK測位は基線長が短いほど安定して高精度になります。目安として実用上は10km以内の基線長が望ましいと言われます。おおむね10km程度までであれば基準局との共通誤差の大部分が打ち消され、数センチの精度が比較的容易に得られます。しかし距離が20km、30kmと開いてくると、補正しきれない残留誤差が蓄積して解の収束が不安定になります。環境や機材によってはそれでもFixに至る場合もありますが、維持には注意が必要です。50km以上離れるケースでは、通常のRTK方式で固定解を得ること自体が難しくなってきます。
対策として、可能な限り基準局との距離を縮める工夫をしましょう。自前の基準局を運用しているなら、移動局の作業エリアから離れすぎないよう配置を見直します。現場が広範囲に及ぶ場合には、その都度基地局を付け替えて近い場所に設置することも検討すべきです。既存の補正サービスを利用している場合も、複数の基準局や仮想基準点(VRS方式)が選択できるなら、できるだけ近傍の基準局データを指定するようにします。それでも長距離になってしまう際は、測位機のマルチ周波数対応を活用しましょう。単一周波(L1のみ)の機器よりもL1/L2のデュアル周波以上の機器の方が、長距離での電離層誤差補正が効きやすくFixに至る可能性が高まります。両局が二周波以上に対応していることが望ましく、一方がシングル周波しか使えない場合は相手もそれに合わせてL1のみの補正モードに設定するか、可能であれば両方ともデュアル周波機にアップグレードすると良いでしょう。
さらに、長距離RTKを行わざるを得ない場合は時間帯にも留意が必要です。太陽活動の活発な日中は電離層の撹乱が大きく、特に長距離では影響を強く受けます。どうしても数十km規模の測位を行うなら、電離層が安定しやすい夜間〜早朝の時間帯を狙うことで成功率が上がる可能性があります。また、誤差が大きくなる長距離では無理にリアルタイムにこだわらず、基準点観測法やPPP(静的な精密測位)など通信不要の測位手法に切り替えることも検討に値します。
対処法5: GNSS設定の統一(衛星システム・周波数の整合)
基準局と移動局のGNSS設定が噛み合っていない場合も、いつまでもFixにならない原因となります。RTKでは両局が同じ衛星の観測データをもとに演算する必要があるため、片方だけ異なる設定になっていると補正が正しく適用されません。例えば、基準局はGPS+GLONASSを使っているのに移動局でGLONASS衛星をオフにしていたとしたら、GLONASS由来の補正情報は無視されてしまい、有効衛星数が減って解が安定しにくくなります。逆に移動局がマルチGNSS対応でも、基準局データがGPSのみで他衛星を含まなければ、結局GPS単独のRTKとなって状況によってはFloat止まりになることがあります。設定画面で双方が利用可能な衛星システム(GPS・GLONASS・Galileo・BeiDou・みちびき等)をすべて有効にし、追跡衛星数を最大にするよう統一しましょう。特にGLONASSはどちらか片方で無効化されていないか注意して確認します。
周波数帯の組 み合わせも合わせる必要があります。基準局と移動局で使用する周波数が異なっていると、これも共通観測が取れず原因となります。もし一方がシングル周波数受信機の場合、相手もそれに合わせてL1のみの補正モードに設定するか、理想的には両方ともデュアル周波数機に揃えることを検討してください。また、補正データのフォーマット互換性も重要です。一般にRTKではRTCM形式のメッセージが使われますが、基準局側の出力メッセージ種類やバージョンによっては移動局側が解釈できない場合があります。最低限、基準局の座標情報(例: RTCM 1005)や各衛星系の観測データ(例: GPS用の107xメッセージ、GLONASS用108xなど)が送信されているか確認し、移動局で必要データが欠落していないかチェックしましょう。古い受信機だと最新のRTCMメッセージに未対応で、一部の衛星データを無視してしまいFixしないケースもあります。その場合は基準局側で互換性のあるメッセージタイプのみに絞るか、受信機のファームウェアアップデートによって対応させる必要があります。
上記の設定を見直してもなおFixしない場合、念のため機器を再起動してみることも有効です。まれにソフトウェアの不調で設定変更が反映されていないことがあるためです。一度RTKシステム全体(基準局・移動局の双方)を電源オフし、先に基準局から起動して再度接続し直すと、正常に設定が適用されてFixに至るケースがあります。
対処法6: 補正データの受信状態と通信環境の確認
RTKでは基準局から送られる補正データが移動局に届いて初めて高精度な計算が可能になります。したがって、補正情報そのものが受信できていなければ決してFixにはなりません。まず、現在補正データを正しく受信しているかを機器の通信ステータスで確認しましょう。専用アプリや受信機の画面に「補正データ受信中」や通信アイコンの表示がある場合は正常ですが、未接続になっている場合はNTRIPなどの設定を見直す必要があります。インターネット経由のネットワーク型RTKを利用中なら、スマートフォンやルーターが確実にオンラインであるか、モバイル回線の電波強度は十分かをチェックしてください。圏外になっていたりテザリングが切れていた場合、補正が届かないためにFloatやシングル解に戻ってしまいます。必要に応じて、電波状況の良い場所へ移動したり、機内モードのオンオフで再接続を試みます。山間部などで常に電波が不安定な場合は、別の通信手段を用意することも検討しましょう(例: 他社のSIMカードを併用する、別キャリア対応のモバイルWi-Fiルーターを使うなど)。
補正データを受信していない場合、NTRIP接続の設定ミスもよく見られます。ホスト名(IP)・ポート番号・マウントポイント名・ユーザー名/パスワードのいずれかが間違っているとサーバーに接続できません。一文字の打ち間違いや余計な空白が入っていないか、一つひとつ再確認しましょう。必要であれば設定を一度削除して、新たに正しい情報を登録し直すとミスに気付くことがあります。特に大文字小文字がシビアなIDやパスワードの場合は注意が必要です。また、仮想基準点方式(VRS)のサービスを利用しているなら、移動局の概略位置情報が正しく送信されているかも確認してください。初期設定時に自車位置を誤って登録していたり、位置送信がOFFになっていると、適切な補正データが提供されずFixできない原因となり得ます。
一方、特定小電力無線やデジタル無線で補正を配信している場合は、無線の見通し距離や干渉状況を確認しましょう。基地局アンテナと移動局アンテナの間に障害物がなく、十分な高さで設置されていることが理想です。出力の小さい無線機では実質1km前後が通信限界となるため、それ以上離れると補正データが届かなくなります。その場合は中継器の導入や、免許の要る高出力無線への切り替えも検討します。また、同じ周波数帯を使用する他の機器が周囲にあると混信でデータ欠落が起きます。チャンネルを変更するか、干渉源となる機器は測位中に一時停止するなど対 策してください。
通信自体は繋がっていても、補正データが断続的に欠ける状況ではFix維持が難しくなります。例えば基準局側の発信間隔が極端に長い(数十秒に1回しか送られない等)と、更新が間に合わず移動局はFloatに戻ってしまう恐れがあります。また、通信パケットのロスやデータCRCエラーが頻発している場合も、必要な情報が欠落して解が収束できません。通信遅延やデータ欠損が疑われるときは、一旦接続を切って再度つなぎ直す、または別の補正サービスを試すといった対応も有効です。可能であれば、移動局側で「差分時齢(Age of Differential)」やRTCMメッセージ受信数といった値をモニタし、リアルタイムに補正が届いているかを把握しましょう。
なお、一時的な通信断が起きた場合でも慌てずに少し待つことも大切です。多くのGNSS受信機は補正が途絶しても内部予測によって数十秒程度は測位を維持する仕組みがあります。その間に通信が復旧すれば再びFix状態に戻ることが可能です。しかし通信切断が頻繁に発生するようなら、根本的に通信環境を改善するか、いっそ通信不要な測位手段(後述する衛星測位補強サービスなど)の活用も視野に入れると良いでしょう。
対処法7: GNSS機器のハード・ソフト設定を再確認する
最後に、使用しているGNSS受信機や周辺機器そのものの状態を点検します。意外なことに、機器の接続不良や設定ミスが原因でFixしない場合も少なくありません。まず、外部アンテナを利用している場合はケーブル類の緩みや断線がないか調べてください。アンテナコネクタがしっかり接続されていないと、衛星信号の受信強度が極端に低下して測位精度が得られなくなります。以前は正常にFixできていた機器が急にFixしなくなった場合は、アンテナケーブルの不具合や受信機本体の故障も疑われます。このようなハード不良が疑われるときは、別のアンテナに変えてみる、ケーブルを差し直す、リセットをかけるなどして状態が改善するか試しましょう。
GNSS受信機と連携するスマートフォンやタブレット側のアプリ設定も確認します。測位モード(動的 or 静的)が現状の運用に適したモードになっているか、知らないうちに無効化した衛星がないか、設定パラメータがデフォルトから変わっていないか等をチェックしましょう。例えば移動中の測量なのに受信機が静止モードのままでは解が不 安定になったり、逆に据え置き観測なのにキネマティックモードで計算しているとノイズが多く乗ってしまうことがあります。適切なモードへ切り替えることで解が安定する可能性があります。また、測位ソフトによっては基地局情報を再読込したり、再度初期化することでFixに至るケースもありますので試してみましょう。
アンテナの設置方法も見直します。アンテナはできるだけ水平に保ち、傾かないように固定してください。もし傾斜していると衛星信号の受信パターンに偏りが生じ、精度に悪影響を及ぼします。ポールや三脚に据え付けている場合は水準器できちんと水平を確認しましょう。さらにアンテナを高所に設置しているなら、強風時に揺れていないかも要注意です。必要に応じて支線を張るなど固定を強化し、振動で解が乱れないようにします。
そして基本的な対処ですが、一度GNSS機器とアプリを再起動してみるのも効果的です。ソフトウェアが不調になっていたりメモリが不足している場合、再起動により正常な状態に戻ることがあります。基準局・移動局ともに電源を入れ直し、順番に起動し直すことで改善しないか確認してみましょう。再起動後に接続し直すことで、最初はFixしなかった状況があっさり解決することもあります。
LRTKによる高精度測位の簡易ソリューション
以上、RTKがFloatのままFixに至らない場合の主な対処法を7つ紹介しました。それでも現場によっては「アンテナの設置場所を十分に確保できない」「広大な現場で基準局との距離を縮められない」「専門知識がなく機器設定に不安がある」といった状況もあるでしょう。そんなときに役立つ高精度測位ソリューションとして注目されているのが、小型GNSS受信機とスマートフォンアプリから構成される LRTK です。
LRTKは手のひらサイズの高性能RTK-GNSS受信機をスマートフォンやタブレット(例えばiPhoneやiPad)に装着して使うシステムで、現場でのセンチメートル級測位を手軽かつ確実にするために開発されています。いくつかの特長により、前述したFixしにくくなる要因をハードウェア・ソフトウェア両面からカバーしています。
まず、LRTK受信機はマ ルチGNSS・マルチ周波に対応しており、GPSはもちろんGLONASS・Galileo・BeiDou・みちびき(準天頂衛星)まで幅広く捕捉します。L1/L2の2周波で観測することで電離層誤差の除去精度も高く、都市部でも常に十分な数の衛星を確保して安定した測位が可能です。衛星数不足や長基線に伴う精度低下を防ぎ、より短時間でFixを得やすくなっています。
また、LRTKには衛星通信による補強測位にも対応するモデルが用意されています。日本の準天頂衛星システム(QZSS)が配信するセンチメータ級補強サービス(CLAS)を直接受信できるため、通信圏外の山間部や海外などRTK基地局を設置できない場所でも、衛星からの補強信号だけでセンチ級精度を実現できます。リアルタイム通信が難しい環境でも高精度を維持できる柔軟性は大きな魅力です。
さらに、スマートフォン連携による優れたユーザインタフェースもLRTKの強みです。専用アプリ上で衛星の受信状況や補正データの状態を一目で確認でき、もしFixにならない場合も原因を素早く特定できます。複雑なNTRIP接続設定も、あらかじめ登録済みの補正サービスを選ぶだけで接続できる仕組みになっており、入力ミスによるトラブルを大幅に減らせます。専門知識の少ないユーザーでも直感的に操 作でき、現場で安定してFixを得る助けとなるでしょう。
このようにLRTKを活用すれば、従来は経験と試行錯誤が必要だったRTK測位の作業を大幅に簡略化できます。RTKのFloat問題に悩む方にとって、LRTKは心強い味方となるはずです。高精度測位をより手軽に実現できる最新デバイスとして、ぜひ現場での導入を検討してみてはいかがでしょうか。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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