目次
• RTK断面図とは?
• メリット1: センチメートル級の高精度測定が可能
• メリット2: 測量時間の短縮と効率アップ
• メリット3: ワンマン測量と機材の簡素化
• メリット4: 危険な現場での安全性向上
• メリット5: 3Dデータによる詳細な断面図と即時活用
• LRTKによる簡易測量
• FAQ
RTK断面図とは?
土木・建設の現場では、地形や構造物の断面図を作成する機会が頻繁にあります。断面図とは、地表面や構造物を垂直に切った断面を図示したもので、土地の高低差や地下構造の形状を直感的に把握するために用いられます。たとえば道路工事では路線に沿った横断面図により、仕上がりの高さや勾配が設計と合っているか確認します。河川や堤防工事でも、定期的に河川の横断面を測定して堆積や浸食の状況を監視します。断面図は出来形(施工後の形状)の検証や数量計算にも使われ、工事に欠かせない記録図面の一つです。
しかし、従来の断面図作成には多くの手間がかかっていました。通常は測量スタッフがレベル(測量用水準器)やトータルステーションといった機器を用いて断面線上のポイントごとに高さを測り、その点の集まり(測点群)をもとに図面上で断面線を描いていました。この方法では以下のような課題がありました:
• 人手と時間が必要:断面1本を測るのに少なくとも2人の作業員(測定係と記録係)が必要で、長い区間では測量機を何度も据え直すため日数を要することもありました。
• 危険を伴う作業:急斜面や川岸などでは作業員が直接危険な場所に立ち入ってポールを立てる必要があり、滑落など安全面のリスクが常につきまといました。
• 精度と網羅性の限界:手作業で数メートル間隔の点を拾うため、点と点の間の細かな起伏を見落とすことがありました。「もっと細かく測っておけば良かった」と後から感じても、再度現地に出向かなければなりません。
• 図面化の手間:現場で取得した測点データを事務所に持ち帰ってCADソフトに入力し断面を描く作業は煩雑で、複数断面があると手間が倍増します。手入力ゆえの誤記入や作図ミスのリスクもありました。
• 機材・コストの負担:より高精度な断面図を得るには高価な測量機器や3Dレーザースキャナーの導入が必要になる場合もあり、小規模な現場ではコスト面で現実的ではありませんでした。
このように従来の方法では人員と時間を多く要し、効率面・精度面の両方で課題を抱えていました。「もっと効率よく、しかも正確に断面を取りたい」というニーズは以前から高かったものの、これまでは有効な解決策が限られていたのです。
そこで注目されているのが、RTK方式による高精度GNSS測位の活用です。RTK(Real Time Kinematic)とは衛星測位の誤差を基地局からの補正データでリアルタイムに補正し、数センチ以内の精度で 位置を特定できる測位技術です。従来は特殊な高性能GNSS機器が必要でしたが、近年は小型のRTK対応受信機とスマートフォンを組み合わせることで、手軽にセンチメートル級測位が行えるようになってきました。RTK断面図とは、この高精度RTK測位を現場の断面測量に活用して作成する断面図のことで、高い精度を確保しながら作業の効率化を実現する新しい手法です。
次章では、RTKを用いた断面図作成が現場にもたらすメリットを5つに分けて解説します。高精度と効率化を両立するその秘訣を見ていきましょう。
メリット1: センチメートル級の高精度測定が可能
RTKを活用した断面測量の最大のメリットは、何といっても測位精度の高さです。RTK-GNSSによる測量では、衛星から得た位置情報に補正をかけることで、通常は水平・鉛直とも数センチ以内という極めて高い精度でポイントを計測できます。これはトータルステーションやレベルを用いた従来測量に匹敵する精度であり、断面図作成に必要な十分な 信頼性を確保できます。従来のハンディGPSでは数メートル単位の誤差が生じて断面図には使えませんでしたが、RTKなら「誤差数センチの世界」で測れるため、設計図面とのわずかな高低差まで正確に捉えることが可能です。
また、RTK測位で取得した各点の座標値は、国土地理院の基準座標系に基づく絶対座標として得られます。これは何を意味するかというと、測った点の位置をそのまま電子地図や設計図の座標系に重ね合わせられるということです。従来の測量では現場ごとにローカルな基準を設ける必要がありましたが、RTKなら煩雑な座標変換をせずとも常に統一基準で測定できます。その結果、後工程でのデータ整合や比較検討がスムーズになり、断面図の精度と信頼性が一段と向上します。
高精度を維持しながら作業を簡素化できる点は、RTK断面図の大きな強みです。「早いけれど精度が悪い」従来型の簡易測量とは一線を画し、スピードと精度を両立できる手法として現場の品質管理に貢献します。
メリット2: 測量時間の短縮と効率アップ
RTK断面図の手法を取り入れることで、現場での測量にかかる時間を大幅に短縮できます。従来は断面線に沿って一定間隔ごとにポイントを測りながら進み、必要に応じて三脚を据え直すという手順を繰り返していたため、長い区間の横断測量では1日がかりになることもありました。RTKを使えば、この非効率なプロセスが一変します。小型GNSS受信機を装着したスマートフォンを片手に、オペレーターが断面線に沿って歩きながら次々と測点を記録していくだけで測量が完了します。測定役と記録役に分かれる必要もなく、移動しながら連続的にデータ収集できるため、体感的には従来の数倍以上のスピードで断面の測量が進みます。
特に、測定すべき断面箇所が複数あったり、延長の長い道路や河川区間を扱ったりする場合、RTKによる効率化の効果は絶大です。これまでなら各断面ごとに機材を設置し直し、数日を要していたようなケースでも、RTKを活用すればその場で短時間に必要なデータを一挙に取得できます。現場での測量時間が減ることは、施工管理全体の工程短縮にも直結 します。限られた日数で多くの作業をこなさなければならない現場では、RTK断面図の高速なデータ取得は大きな助けとなるでしょう。
さらに、RTK測位はリアルタイムに精度の高い座標を得られるため、現地で測定結果を即座に確認できる点も効率的です。測ったポイントがその場で地図上にプロットされるため、「ちゃんと必要な範囲をカバーできたか」「測り漏れはないか」を現地でチェックできます。従来のように事務所に持ち帰ってからデータ不足に気づき、再測量のために出戻るといった手戻りも防げます。このように、RTK断面図は一度の現場作業で確実に成果を上げられる効率的なワークフローを実現します。
メリット3: ワンマン測量と機材の簡素化
RTK断面図では、人員と使用機材の大幅な省力化も実現できます。従来の測量では2名以上がペアになって行うのが一般的でしたが、RTKを用いれば基本的に1人で測量が完結します。補助スタッフにプリズムを持ってもらう必要も、逐次読み上げて記録してもらう必要もありません。現場担当者 が一人でスマホを持って測って回れるため、人手不足の現場や小規模プロジェクトでも無理なく断面測量が行えます。また、機材も極めてシンプルです。重たい三脚や据え付け式の測量機を担いでいく必要はなく、手のひらサイズのGNSS受信機とスマートフォンさえあれば作業できます。機材運搬の負担が減り、狭い場所や高所への移動も楽になります。小型機材ゆえに車両や人力での運搬コストもわずかで、測量準備に割く手間も最小限で済みます。
機材が簡素になることで、日常的な維持管理や校正の手間も軽減されます。トータルステーションなどは定期的な精度管理が必要ですが、RTK用のGNSS受信機は基本的に電子機器であり、専用の校正作業はほとんど不要です。スマホアプリ上で動作確認やアップデートが行えるため、現場に出る前の煩雑な準備作業から解放されます。
さらに、操作の簡易さも見逃せません。スマホ画面に現在位置や精度情報が表示され、ボタン一つで測点を記録できる直感的なインターフェースは、測量の専門知識が浅いスタッフでも扱いやすい設計です。従来は経験豊富な測量技術者に頼らざるを得なかった断面測量も、RTKの導入により現場 監督や作業員自身が手軽に行えるようになります。属人的な作業からチーム全体で共有できる作業へと変わることで、現場の働き方改革にもつながっていきます。
メリット4: 危険な現場での安全性向上
測量作業に付きものだった安全面のリスクも、RTK断面図なら低減できます。従来の方法では、急斜面の法面や川岸の護岸など危険な場所でも作業員が直接そこに立ち入ってポールを設置し、もう一人が離れた場所から視準する必要がありました。足場の悪い斜面で機器を据えたりスタッフ同士が合図を送り合ったりするのは大変危険で、常に滑落・転倒や熱中症といったリスクと隣り合わせでした。RTKを活用すれば、こうした危険箇所での作業時間を最小限に抑えられます。わずかな時間で測量が完了するため危険曝露の機会自体が減り、結果として労働災害のリスク低減につながります。特に一人で作業できる点は大きく、複数人が同時に危険エリアにいる状況を避けられるだけでも安全性は飛躍的に向上します。
また、機材が簡便で機動性が高いことも安全面でのメリットです。重い三脚や据え付け機を担いで斜面を移動する必要がないため、作業員の肉体的負担が減ります。狭隘な足場や高所でも身軽に動けるため、無理な姿勢で機器を操作するような局面も少なくなります。交通量の多い道路上での横断測量でも、短時間で測定を終えてすぐ退避できるため、交通事故のリスク軽減に寄与します。
さらに、状況によっては遠隔からの計測も可能になります。スマホのカメラやLiDARによる点群スキャンを活用すれば、測量スタッフが立ち入れない場所でも安全な位置から対象物の形状を記録できます。直接近づかずにデータ取得ができれば、危険度の高い現場でも安心です。このように、RTK断面図は精度や効率だけでなく、現場作業の安全性確保という面でも優れた効果を発揮します。
メリット5: 3Dデータによる詳細な断面図と即時活用
RTK断面図の手法では、取得データの質と活用性も飛躍的 に高まります。スマートフォンのLiDARスキャナやカメラを使って現場を3次元の点群データとして記録できるため、地形や構造物の細部に至るまで漏れなく測定できます。無数の点の集合からなる点群には地表の微妙な凹凸まで写し取られるため、そのデータを基に作成する断面図には現場のありのままの形状が正確に反映されます。従来の手法では拾いきれなかった小さな窪みや盛り上がりも、点群断面なら見逃しません。「測り忘れた箇所があって図面に反映されていない」という事態を防ぎ、図面の完全性・精密さを高められるのです。
さらに、一度取得した3Dデータは必要に応じて自在に解析・活用できます。例えばクラウド上にアップロードした点群モデルから、好きな位置で断面図を切り出すことが可能です。現地では測っていなかったライン上の断面が後から必要になっても、改めて測量し直す必要はありません。点群さえあれば、任意の角度や区間で横断・縦断面を自動生成できます。断面図以外にも、体積計算や出来形管理への応用など、3Dデータを多角的に活用できる点もメリットです。
データがデジタル化されていることで、図面化までのプロセスも自動化・高速化されます。フィールドで取得した点群データは専用ソフトやクラウドサービスで短時間に処理され、高精度な断面図が即座に生成されます。従来は事務所に戻ってからCADで清書していた断面図も、RTKなら現場で測ってすぐに電子図面として出力可能です。その場で出来形と設計を比較検討したり、関係者とデータを共有したりできるため、リアルタイムな意思決定に繋げることができます。こうしたデジタル化によるスピード感は、施工管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を後押しする大きな要素となっています。
LRTKによる簡易測量
ここまで述べてきたように、RTKを活用した断面図作成は精度・効率・安全性の面で数多くのメリットをもたらします。これらを現場で実際に実現する鍵となるのが、最新のデジタル測量ツール「LRTK」です。LRTK(エルアールティーケー)は、小型のRTK-GNSS受信機とスマートフォンアプリ、そしてクラウドサービスから構成される高精度測位システムで、まさに断面図作成のDXを後押しするソリューションとして登場しました。
LRTKを使えば、専門的な測量機材を用意しなくても手軽にセンチメートル精度の測量が行えます。スマホに受信機を装着してアプリを起動するだけで、リアルタイムに補正情報が適用され高精度の位置情報が取得可能です。そのままスマホを持って現場を歩き回り、ボタン操作で測点を記録したり、カメラで周囲をスキャンして点群データを取得したりできます。取得データは即座にクラウドに同期され、自動で解析・図面化されるため、現場にいながら断面図まで完成させることも夢ではありません。従来は外注したり特殊機器が必要だった作業が、LRTKによって誰でも扱えるシンプルなワークフローに変わります。
省力化・スピードアップ・品質向上という三拍子を実現するLRTKは、これからの現場測量のスタンダードとなりつつあります。もし「断面図作成をもっと効率よくしたい」「最新技術で現場をDX化したい」とお考えなら、LRTKによる簡易測量を検討してみてはいかがでしょうか。きっと現場の業務フロー改革に直結する新たな発見があるはずです。
FAQ
Q1. RTK断面図とは何ですか? A. RTK断面図とは、RTK方式の高精度GNSS測位を使って現場の断面形状を測量し作成した断面図のことです。リアルタイムに数センチ精度で位置を測れるRTK技術により、迅速かつ正確に地形の断面プロファイルを記録できます。従来の測量で作成した断面図と比べても遜色ない精度を持ちながら、作業効率を大幅に向上できる点が特徴です。
Q2. RTK測位を利用するには何が必要ですか? A. RTK測位を行うには、RTK対応のGNSS受信機と、位置補正情報を提供する基準局システムが必要です。一般的には移動局となるGNSS端末(ローバー)に加え、補正信号を送る基地局(ベース局)を用意します。基地局を自前で設置しなくても、国土地理院や民間の提供するネットワーク型基準局サービス(GNSS補正サービス)にインターネット経由で接続すれば、同等の補正情報が得られます。また、それらの受信機を操作・記録するための端末(PCやタブレット、スマホ)とソフトウェアも必要です。LRTKのように、スマホと小型受信機、クラウドサービスが一体となったパッケージを活用すれば、専門機器を揃えなくてもRTK測位を始めることができます。
Q3. RTK測量の精度はどれくらいですか? A. RTK-GNSS測量では、良好な測位環境下で水平方向数センチ・鉛直方向数センチ程度の誤差に収まることが期待できます。条件が整えば平面位置で2~3cm、標高で3~5cm程度の誤差範囲に測定結果が収まるケースが多く、通常の土木測量用途であれば問題ない精度です。ただし、精度は衛星信号の受信状況に左右されます。上空の開けた場所では高精度が得られますが、山間部や樹木の下、建物の陰などでは衛星が遮られて精度が落ちる場合があります。適切な環境で測定を行い、常にRTKが固定解(Fix)を維持していることを確認しながら測量することが高精度を得るコツです。
Q4. RTK測量には専門知識が必要ですか? A. 従来の測量機器を扱うには専門的な知識や経験が求められましたが、RTK測量自体は基本的な操作手順を押さえれば高度な専門知識がなくても実施可能です。特にLRTKのようなスマートフォン対応システムでは、アプリ上に現在の測位精度や衛星受信状況がわかりやすく表示され、ボタン操作で測定ができます。マニュアルに沿って初期設定を行い、適切に補正情報を受信できていれば、あとは画面の指示通 りに進めるだけです。もちろん測量の基礎知識(基準点や座標系の考え方など)があればより安心ですが、熟練の測量士でなくても現場で使いこなせるよう設計されています。
Q5. LRTKはどんな現場で活用できますか? A. LRTKは、高精度な測位と3Dデータ計測が必要とされる様々な現場で活用できます。たとえば道路工事では路盤高さの確認や盛土・切土の断面計測に、河川・砂防では堆積土砂の断面モニタリングに、造成現場では出来形の体積算出や地盤形状チェックに役立ちます。急峻な法面の施工では足場をかけずに下からスキャンするだけで全体形状を記録できるため、安全かつ効率的です。小規模な工事でこれまで測量専門業者に頼んでいたようなケースでも、LRTKがあれば自社で手軽に測量・図面化まで完結できます。また、工事以外にも土砂災害の被災現場調査やインフラ設備の維持管理点検など、「現地の形状を素早く正確に記録したい」あらゆる場面でLRTKの威力を発揮します。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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