目次
• はじめに
• 従来の断面図作成方法と課題
• ステップ1:準備(スマホとRTK測量のセッティング)
• ステップ2:現地での高精度データ計測
• ステップ3:点群処理と断面図の自動作成
• スマホ×RTK測量で断面図を作成するメリット
• LRTKによる簡易測量のすすめ
• FAQ
はじめに
建設現場や土木測量で頻繁に利用される断面図ですが、初心者にとっては作成が難しいものと感じられがちです。断面図とは、地形や構造物をある基準線で垂直に切断した際の内部形状を表した図面のことです。道路工事では地盤の起伏を確認したり、河川堤防では断面形状から構造の強度を評価したりと、さまざまな場面で欠かせない資料となります。近年は測量のデジタル化(ICT活用)が進み、断面図作成についても従来手法のさらなる効率化が強く求められるようになっています。しかし「正確な断面図を作成して」と指 示されても、経験の浅い技術者にとってどこから手を付ければ良いか悩ましい作業でしょう。
断面図作成には現地での丁寧な測量が求められます。多くの地点で高さデータを取得し、それらを図上にプロットして線で結ぶ必要がありますが、従来の方法では熟練の技術と手間が必要でした。測量機器の扱いや計算、図面化の工程が複雑で、新人にはハードルが高いのが現実です。そのため「難しそう」「ミスしそう」と不安を感じてしまいがちです。
本記事では、そんな初心者でもスマートフォンとRTK測量を活用することで、驚くほど簡単に断面図を作成できる手順を3つのステップに分けて解説します。最新技術を用いることで、誰でも短時間で高精度な断面図を描けるポイントを紹介し、記事の最後には手軽に測量が始められるLRTKというソリューションもあわせてご案内します。
従来の断面図作成方法と課題
まず、従来の断面図作成がどのように行われていたかを見てみましょう。一般的には次のような手順で作業が進められます。
• 複数人での現地測量: 測量士が助手とともに現場へ赴き、レベルやトータルステーションといった測量機器を設置します。1人が機器を操作し、もう1人がスタッフ(標尺)を持って断面線上の各ポイントに立つなど、通常は2人以上の人手が必要です。断面線に沿って選んだ各測点で高さを読み取り、その数値を記録していきます。対象区間が長かったり複雑な地形の場合、測点数が増えて測定にも時間がかかります。
• 測定データの整理と計算: 現地で記録した高さや距離のデータを持ち帰り、事務所で整理します。測点間の距離や高低差を計算し、断面図にプロットするための数値表を作成します。手書きの野帳などから転記する作業ではミスのリスクがあり、初心者ほど数字の扱いに神経を使う必要があります。
• 図面の作成(トレース): 整理したデータをもとに、紙に手書きしたりCADソフト上で線を引いて断面図を作図します。横 軸に距離、縦軸に標高をとったグラフ上に各測点をプロットし、線で結んでいくイメージです。測量経験が浅いと縮尺の理解や作図ミスで線を描き間違えることもあり、1本の断面図を仕上げるのに時間がかかる場合もあります。長い区間ではこの作業を何度も繰り返す必要があり、大変な労力となっていました。
このように、従来の断面図作成は人手と時間を要する大掛かりな作業でした。限られた測点しか取得できないため分解能(細かさ)にも限界があり、点と点の間にある微妙な凹凸を見落とす可能性も否めません。また、複雑な機器操作や煩雑な計算・作図手順が初心者には高い壁となり、「効率よく正確な断面図を作るのは難しい」という印象を抱かせる要因となっていました。
ステップ1:準備(スマホとRTK測量のセッティング)
最初のステップは測量の下準備です。従来はトータルステーションなど煩雑な機器を据え付ける必要がありましたが、スマホとRTKを用いる方法では準備が格段に簡単です。まず、スマートフォンに専用の測量ア プリをインストールし、高精度GNSSに対応した小型受信機(アンテナ)を用意します。この受信機をスマホとBluetooth接続し、アプリ上でRTK測位ができる状態に設定します。具体的には、国や民間が提供する基準局データ(GNSS補正情報)にスマホをインターネット経由で接続し、リアルタイムでセンチメートル級の測位が行えるようにします。
準備段階では、断面を取りたい線の位置を確認しておくことも重要です。あらかじめ設計図面で指定された横断ラインがあれば、その起点・終点を現地で特定しましょう。スマホの地図機能やGPSを活用すれば、おおよその位置を把握できます。従来は現場で測点の位置を出すのも手間でしたが、スマホ測量なら地図上で位置を確認しながら進められるため手際よく対応できます。機器の準備が整い位置の確認ができたら、測量開始の準備は完了です。
ステップ2:現地での高精度データ計測
次に現地での測定に移ります。スマホとRTK受信機の準備ができたら、いよいよ断面線に沿ったデータ収集です。測量アプリを起動し、断面測定用のモード(あるいは点群スキャ ンモード)を開始します。スマホを片手に持ち、断面線に沿ってゆっくり歩きながら地形をスキャンしていきます。
このときスマホのカメラや搭載されたLiDARセンサーが周囲の地形を捉え、アプリが自動的に高密度の3次元点群データを取得します。同時にRTKによってスマホの位置が常に高精度に測位されているため、記録された点群の各点には正確な座標(経緯度・標高)が付与されます。要するに、歩いてスマホをかざすだけで断面線上の地形形状を構成する大量の点の座標を測定できるのです。
例えば法面の断面を測る場合、従来なら数メートルおきに代表点を測っていたところを、スマホ計測では細かな起伏まで含めた連続的な点の集まりとして記録できます。まるで動画撮影をするようにカメラを向けて移動するだけで、誰でも短時間で詳細な現地データを取得可能です。加えて、アプリ画面上で取得状況をリアルタイムに確認できるため、「測り漏れがないか」「異常な値が混在していないか」をその場でチェックできます。必要に応じて抜けている箇所を追加で測れば、後で「データ不足でやり直し」といった事態も避けられるでしょう。
ステップ3:点群処理と断面図の自動作成
最後はデータ処理と断面図の生成です。現場で取得した点群データは、スマホからクラウド上にアップロードして活用します(インターネット圏外の場合は事務所に戻ってからアップロードしても構いません)。クラウドにデータを送ると、ブラウザ上で使える専用の3Dビューワーで現地の点群を確認できます。
ビューワー上で断面図を作りたい位置を指定すれば、そのラインに沿った断面図が即座に自動生成されます。膨大な点群データの中から、指定したラインと交わる部分の高さ情報をソフトウェアが解析して断面形状を描画してくれるイメージです。従来であれば一つひとつ測点を結んで描いていた断面図が、ボタン操作ひとつで得られるわけです。
しかも、取得済みの点群があれば任意の場所で断面を切ることができます。現場で「ここも追加で断面図を 作りたい」となっても新たに測り直す必要はありません。点群データ上でラインを指定するだけで、どの場所でも断面図を生成できる柔軟性があります。例えば道路工事で10メートル間隔の横断図が必要な場合でも、1度の現地スキャンで取得した点群から複数の断面図を次々に作成できます。この柔軟性により、事前に正確な測線位置を厳密に決めておかなくても後から必要に応じた図面を得ることが可能です。
作成された断面図はその場で画面で確認できるほか、DXF形式のCADデータとしてエクスポートすることも可能です。DXFで出力すれば、既存の設計CAD図面に重ねて活用したり、電子納品用の成果図として提出したりできます。従来は手間だった図面化作業も、自動生成されたデータを活用することで大幅に効率化されます。
スマホ×RTK測量で断面図を作成するメリット
スマートフォンとRTKを活用した新しい断面図作成手法には、従来方法と比べて次のような優れた点があります。
• 一人で短時間に計測可能: 基本的に現地作業は作業者1人で完結します。重い三脚や測量機を運ぶ必要もなく、スマホと小型受信機を持って歩くだけで測定できるため、準備撤収の時間も含めて作業全体がスピーディーです。その結果、人員や日数の削減によるコストダウン効果も期待できます。
• 操作が簡単で習熟しやすい: スマホアプリのガイドに従って操作するだけなので、専門的な機器操作の経験がなくても扱えます。難しい設定や計算も自動化されているため、新人技術者でもすぐに戦力として活用できます。
• 取りこぼしのない高精度データ: 点群スキャンにより断面線上の地形をほぼ連続的に測定できるため、細かな凹凸までデータに反映されます。必要な箇所を測り忘れるリスクがなく、後から「重要な部分のデータが無い」という事態を防げます。
• 現場で結果をリアルタイム確認: 測定中にスマホ画面上で進捗や仮の断面形状をその場で確認できるので、誤測や抜けがあれば即座に検知 できます。現場で追加計測や補正が行えるため、再訪問や取り直しの手間が削減されます。
• デジタルデータの即時活用: 取得データはクラウド経由で事務所とも共有でき、点群から自動作図された断面図はそのままCADデータとして利用可能です。測量から図面化までの流れがシームレスにつながり、大幅な効率化とペーパーレス化を実現します。
LRTKによる簡易測量のすすめ
最後に、スマホ×RTKを用いた断面図作成を実現する具体的なソリューションとしてLRTKをご紹介します。LRTK(エルアールティーケー)は、スマートフォンと小型測位デバイス、そしてクラウドサービスから構成される最新のスマート測量システムで、画期的なソリューションです。初心者でも扱いやすい設計になっており、これまで説明してきた3ステップの作業フローを一つのプラットフォームでシームレスに実行できます。 必要な機材はスマホと小型受信機程度とごく少なく、全てポーチや小型バッグに収まるため機動力も抜群です。現場では片手でスマホを操作しながらでも、高精度な点群を誰もが取得できます。
例えば、専用アプリをインストールしたスマホとLRTK受信機があれば、現場で高精度な点群データを誰でも簡単に取得できます。取得データはボタン一つでLRTKクラウドにアップロードでき、その場で3D点群の表示や断面図の自動生成が可能です。専用ソフトのインストールや高性能PCの用意も不要です。煩雑な測量機器やソフトの操作はLRTKが裏で引き受けてくれるため、利用者は直感的な操作に集中するだけで高品質な成果を得られます。さらに、取得した点群データから距離・面積・体積を計測するといった断面図以外の解析にも活用できます。
LRTKを活用すれば、断面図作成のみならず現地測量から図面化までの一連のプロセスが大幅に効率化されます。一人で手軽に精密な現況データを取得し、リアルタイムに現場と事務所で情報共有することも可能です。従来は熟練者に任せざるを得なかった測量作業も、LRTKのおかげで新人でも安心してチャレンジできるでしょう。もしスマホで手軽に高精度な測量を始めたいとお考えなら、ぜひLRTKの活用をご検討ください。 LRTKの公式サイトでは導入事例や詳細情報も公開されていますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
FAQ
Q: RTKとは何ですか?普通のGPSと何が違うのでしょうか?
A: RTKとは「リアルタイムキネマティック」の略称で、GNSS(人工衛星測位)を利用した高精度測位技術の一種です。通常のGPS測位では数メートル程度の誤差がありますが、RTKでは基地局からの補正情報を使うことで誤差を数センチメートル程度まで抑えることができます。RTK測位では基準局(固定局)と移動局(測量者側)の2台の受信機を同時に運用し、基準局との相対誤差を補正することで高精度化を図ります。スマホRTKの場合、国土地理院の電子基準点などの基地局データをインターネット経由で利用する形になります。そのため土木測量や建設分野でも、精度が要求される高さ・位置の計測に広く活用されています。
Q: スマホでRTK測量を行うには何が必要ですか?
A: 基本的には高精度GNSS受信機とそれを接続するスマホ用測量アプリが必要です。スマートフォン単体のGPSでは高精度が出せないため、センチメートル精度対応の外付けGNSSアンテナをBluetoothやケーブルでスマホと繋ぎます。またRTK測位には補正情報をリアルタイムで受信する必要があるため、インターネット経由で配信するサービス(GNSS基準局ネットワーク)への接続が必要です。これらハード・ソフト一式が揃ったソリューションとして、スマホアプリと受信機がセットになったLRTKのような製品を利用すればスムーズに導入できます。
Q: 測量の経験があまりない初心者でも使いこなせますか?
A: はい、スマホを使ったRTK測量システムは初心者にも扱いやすいよう設計されています。従来の測量機器と違って直感的なスマホ操作で進められ、難しい設定や計算は自動化されています。不安な場合も、アプリ内のガイドメッセージやリアルタイムの計測結果を確認しながら進められるので心配ありません。数 回試せば要領がつかめるため、特別な資格や高度な知識がなくても実務に活かせるでしょう。
Q: スマホRTK測量で得られる断面図の精度は十分なのでしょうか?
A: 適切に測定を行えば、RTKを用いたスマホ測量でも精度の高い断面図が得られます。一般的には良好な測定環境下で、水平位置は±1~2cm程度、標高方向も±2~3cm程度の誤差に収まります。RTK-GNSS自体が高精度ですし、点群スキャンで細密に地形を捉えることで、断面図上でも微細な起伏まで再現可能です。実際に出来形管理などでRTK測位の活用が進んでおり、所要の精度を満たせることが確認されています。ただし、衛星信号の受信状態が極端に悪い場所では精度が低下する場合もあるため、そうした場合は補助的にトータルステーションでチェックするなどの対応も考えられます。
Q: LiDARセンサーのないスマホでも断面図は作成できますか?
A: はい、LiDAR非搭載のスマホでもカメラで撮影した画像を使った写真測量(フォトグラメトリ)によって点群データを取得できます。ただし写真測量では対象物に適度な模様や十分な明るさが必要になるため、環境によっては点群取得精度に影響することがあります。LiDAR搭載機種であれば暗所やテクスチャの乏しい対象でも安定して計測できますが、日中の屋外であればカメラのみでも問題なく高精度なモデルを生成できます。LiDARセンサーがある場合に比べて処理時間はかかるものの、最新のスマホアプリでは動画撮影と同じ感覚で連続写真を記録し、高精度な点群モデルを生成できます。したがって、対応デバイスが手元になくても通常のスマホだけで断面図作成に挑戦可能です。
Q: どのスマートフォンでも利用できますか?
A: 現在LRTKアプリはiOSに対応したものが提供されています。対応するGNSS受信機とBluetooth接続できる機種であれば利用可能です。Android版の提供も予定されており、今後対応端末の幅が広がる見込みです。
Q: 通信圏外の山間部などでもスマホでRTK測量はできますか?
A: インターネット通信が届かないエリアでは、リアルタイムに補正情報を得ることが難しいため工夫が必要です。現場に自前の基準局となるGNSS受信機を設置し、無線通信でスマホに補正データを送ることでネットが無くてもRTK測位を行う方法があります。また、測位データを記録しておき、後から補正情報を適用して位置を計算するPPK(事後解析)という手法を使えば、現場でリアルタイムに精度を出せなくても後処理で高精度化することも可能です。ただし手順が複雑になるため、初心者のうちはできるだけ通信環境の整った場所で利用することをおすすめします。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
製品に関するご質問やお見積り、導入検討に関するご相談は、
こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。ぜひLRTKで、貴社の現場を次のステージへと進化させましょう。

