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RTK 建設現場導入ガイド:準備から運用までのポイント

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この記事は平均8分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

はじめに

RTKとは何か(高精度測位の概要)

建設現場でのRTK導入メリット

導入に必要な機材と準備

自前基地局方式 vs ネットワークRTK方式

導入にかかる費用

RTK導入の手順(ステップ解説)

RTK運用のポイント(現場適用のコツ)

導入時の法的要件・注意点

LRTKによる簡易測量(新しいアプローチ)

FAQ


はじめに

建設工事の現場や土木測量において、従来のGPSによる測位では数メートルもの誤差が生じてしまい、現場で求められる精度に届かないことがあります。こうした課題を解決する技術として注目されているのがRTK測位です。RTK(リアルタイムキネマティック)を用いることで、2台のGNSS受信機(基準局移動局)によるリアルタイムな相対測位で誤差要因を相殺し、センチメートル級の高精度な位置測定が可能になります。その場で高精度な位置情報が得られることで、測量の効率化や施工管理の精密さ向上に大きく貢献します。近年、国土交通省が推進するスマート施工(i-Construction)の流れもあり、ICT技術としてRTK-GNSSの活用が建設業界で加速しています。


本記事では、建設現場でRTKを導入するためのガイドとして、基本となる仕組みから必要な機材、導入の手順、現場で活用する際のポイント、さらには法的な注意点までを総合的に解説します。記事の後半では、従来より手軽に高精度測位を実現できる新しいソリューションであるLRTKについても紹介します。RTKを初めて現場に導入する方や、高精度測位に興味がある技術者の方にとって、具体的なイメージづくりに役立つ内容となっています。


RTKとは何か(高精度測位の概要)

RTKとは、Real Time Kinematic(リアルタイム・キネマティック)の略称で、GNSS(全球測位衛星システム)測位の誤差をリアルタイムに補正することにより、位置をセンチメートルレベルの精度で特定できる測位技術です。通常の単独GPS測位では、大気の影響や衛星時計のズレなどにより5~10m程度の誤差が発生します。これに対し、RTKでは基準局(ベースステーション)移動局(ローバー)の二つのGNSS受信機を使用し、両者が受信する衛星信号の誤差要因を相殺することで高精度化を実現しています。


具体的には、基準局として既知の正確な座標位置に設置した受信機が、受信した衛星信号から誤差成分を算出し、補正情報としてリアルタイムに送信します。移動局側ではその補正情報を受信機に取り込み、自身の測位結果に適用することで、誤差が打ち消された精密な位置を得ることができます。この手法により、単独測位では得られない数センチ以内の測位精度を即時に得ることが可能です。まさにリアルタイムの差分測位といえるでしょう。


RTK測位を活用すると、境界や基準点の測量、出来形管理(施工後の形状確認)、重機のマシンガイダンス(建設機械の自動制御)など、建設現場の様々なシーンで高精度な位置情報が役立ちます。測量機器としては古くから高精度GNSS受信機が存在し、大規模な土木工事などではRTK-GNSSによる測量が用いられてきましたが、近年は装置の小型化・低価格化やソフトウェアの進化により、中小の現場でも利用が広がっています。


建設現場でのRTK導入メリット

RTKを建設現場に導入することで得られる主なメリットを整理します。


センチメートル級の高精度: 従来、ミリ単位の精度を得るには長時間の静的観測やトータルステーションを用いた測量が必要でした。しかしRTKなら、短時間で数cm以内という測量機器並みの精度を確保できます。境界点の測量や出来形確認など、高い精度が要求される場面で威力を発揮します。

即時に位置を取得: リアルタイムで位置補正が行われるため、測りたいポイントに移動局を持って行きさえすれば、その場で瞬時に座標値が得られます。観測後に事務所へ戻ってデータ処理をする必要がなく、現場ですぐに結果を確認できるため、手戻りを減らせます。

作業効率の向上と省力化: RTK測量は基本的に視通(測点間の直線的な見通し)を必要としません。従来のトータルステーション測量のように測点間を見通す必要がなく、GNSS信号が受かる環境なら障害物越しでも測位できます。そのため複雑な地形や構造物がある現場でも一人で測量しやすく、ワンマン測量も可能となります。結果として人員削減や作業時間短縮に貢献します。

安全性の向上: 測量箇所が道路上や高所であっても、GNSSであれば離れた安全な位置から測定できます。危険な場所に人が立ち入る機会を減らせるため、安全管理の面でもメリットがあります。高所に反射プリズムを設置したりする必要がない分、墜落や接触などのリスク低減につながります。

デジタル連携が容易: GNSS受信機やコントローラー(データ収集端末)で取得した座標データは、そのままCADソフトやGISシステムに取り込んで活用しやすい形式です。紙の野帳に手書きして後から入力し直す手間がなく、ヒューマンエラーの削減や即時の図面化が可能になります。現場で取得したデータをクラウドで共有するといったICT施工にも直結し、施工管理のデジタル化に寄与します。


このように精度・速度・効率の面でRTK導入は大きな利点があります。特に行政主導のi-Construction施策も追い風となり、今後ますます高精度GNSS測量の需要は高まっていくでしょう。


導入に必要な機材と準備

RTKを現場で利用するためには、いくつかの専用機材と事前準備が必要です。以下に主な項目を挙げます。


GNSS受信機(基準局用と移動局用): 高精度なRTK測位に対応したGNSS受信機を通常2台用意します。両方ともRTK向けのデュアル周波数以上の機種(L1/L2やL5帯対応など)で、GPSだけでなくGLONASSやGalileo、みちびき(QZSS)など複数の衛星群を受信できるものが望ましいです。各受信機に対応する測量用アンテナも準備します。

基準局の固定器具: 基準局となる受信機は、動かないようにしっかり固定して設置します。現場では三脚や専用ポール、建物へのブラケット取り付けなどの方法で据え付け、アンテナ高(地面からアンテナ中心までの高さ)を正確に測定して記録します。基準局は可能であれば誤差の少ない既知点(あらかじめ正確な座標がわかっている点)に設置するのが理想的です。

移動局の携行ツール: 移動局側の受信機は、作業者が持ち運びながら各測点で測量を行います。一般的には約2mの測量ポール先端にGNSSアンテナを取り付け、ポールの下部に気泡管(レベル)を装着します。測点でアンテナを据える際は、このポールを垂直に立てる必要があるためです。最近ではポールの傾きを補正できる受信機もありますが、基本は垂直を維持して測るのが原則です。

通信手段(補正情報伝送): 基準局で算出した補正情報をリアルタイムで移動局に届けるための通信方法が必要です。典型的には無線モデムまたはインターネット経由のNTRIP方式が使われます。無線を使う場合、基準局・移動局間で直接電波を飛ばすために特定小電力無線(920MHz帯)や業務用UHF無線などの機器を用います。NTRIP方式では、基準局をインターネットに接続し、補正データ配信サーバー(NTRIPキャスター)を介して移動局が携帯回線などでデータを受信します。ネットワーク型を利用する場合は、事前に配信サービス会社との契約やアカウント設定を済ませておく必要があります。

電源・バッテリー: GNSS受信機や無線機を稼働させるための電源も確保しておきます。現場では持ち運び可能なバッテリーを用いるのが一般的です。長時間の測量になる場合は予備バッテリーも含めて容量に余裕を持たせます。移動局側でタブレットやスマートフォンを使用する場合、その充電も忘れずに準備します。

既知点座標の把握: 基準局を設置する地点の正確な座標値(緯度・経度・高さ)をあらかじめ把握しておくことが重要です。公共測量の場合は国土地理院の電子基準点データや既設の三角点などを基準にします。もし現地に既知点がない場合は、ネットワーク型RTKを利用して一時的に基準局の概略座標を決め、後でローカライズ(現地補正)する方法もあります。いずれにせよ、基準局の座標設定が不正確だと、測位結果の座標系がずれてしまうため注意が必要です。


以上の機材と準備を整えることで、RTK測量を始める土台ができます。次に、実際にRTKを運用する際に大きく二つの方式があることを確認しましょう。


自前基地局方式 vs ネットワークRTK方式

RTK測位の運用方法には、大きく分けて次の二つの選択肢があります。


自前基地局を設置して運用する方式(自前基地局RTK): 自社で基準局用GNSS受信機を用意し、現場に設置した基地局から直接補正情報を配信して運用する方法です。利点は、外部サービスに頼らず自分たちのシステム内で完結できること、通信圏外の山間部などでも独立して測位できることです。また、ランニングコストとして月額利用料が発生しない点も魅力です。一方で短所として、基準局用の機器購入費用が余計にかかること、無線通信を使う場合は電波法に基づく免許申請や運用管理が必要になることが挙げられます。特に複数の現場で使う場合、都度基準局を据え付ける手間も考慮する必要があります。

既存の基準点ネットワークを利用する方式(ネットワークRTK): 国土地理院の電子基準点ネットワークや民間のGNSS補正情報サービスと契約し、外部から補正データを取得して使う方法です。基準局を自前で設置せず、移動局用受信機だけを用意すれば始められるため初期導入のハードルが低いです。通信環境さえあれば全国どこでも測位でき、複数現場での移動も容易です。ただしデメリットは、サービスの利用料が継続的にかかること(一般に月額数千~数万円程度)、携帯電波の届かない環境では利用が難しいことが挙げられます。また、サービスによっては初期設定や座標系の調整が必要になる場合もあります。


自前基地局方式はリアルタイム通信が難しい場所や長期プロジェクト向け、ネットワークRTK方式は手軽さや広域での即時測位に優れる、といった特徴があります。現場の状況や運用コストを考慮し、適した方式を選択すると良いでしょう。


導入にかかる費用

次に、RTKシステムを導入する際の費用について概観します。費用は選ぶ方式や機器構成によって大きく異なります。


機材の初期購入費: 従来型の測量用高精度GNSS機器(有名メーカー製のデュアル周波数受信機セットなど)は、基準局と移動局を揃えると数百万円単位の投資になることも珍しくありません。高性能アンテナや専用コントローラー、無線機器まで含めると非常に高額です。一方、ネットワークRTKを利用して移動局側の機器だけ用意する場合、高精度GNSS受信機1台+ソフトウェアやアプリ程度で済むため、数十万円から100万円程度で始められるケースもあります。さらに近年では、低コストなGNSSチップを使った簡易型の高精度受信機やスマホ対応のRTK機器も登場しており、初期コストを大幅に抑えることが可能になってきました。

ランニングコスト: ネットワークRTK方式を採用する場合、補正情報サービスの利用料が定期的に発生します。月額数千円から数万円程度のプランが一般的で、利用範囲や精度保証によって料金が変わります。自前基地局方式の場合、外部サービス料はかかりませんが、無線局の免許取得費用や機器の維持管理費がかかる場合があります(例:定期的な校正やバッテリー交換など)。

その他費用: 機器導入の際には、測量用ポールや三脚、ケーブル類、通信回線契約(SIMカード)といった周辺の費用も発生します。また、測量ソフトやCADソフトとの連携を図るなら、そのライセンス費用も考慮に入れる必要があります。初めて導入する場合は、担当者へのトレーニング費用や試験運用期間も見積もっておくと安心です。


このように、RTK導入コストは用途と規模によって様々です。最近は低価格な機器も増えてきたため、以前に比べればハードルは下がっていますが、目的に応じた最適な組み合わせを選ぶことが重要です。安価なシステムでも十分な場合もあれば、信頼性重視で高性能機器を揃えるべき場合もあります。


RTK導入の手順(ステップ解説)

ここでは、実際にRTK測位を導入して運用開始するまでの一般的な手順をステップごとに解説します。具体的な機器や環境によって細部は異なりますが、導入の全体像を掴む参考にしてください。


基準局の設置と設定: まず、基準局となるGNSS受信機を現地の基準点に設置します。既知の正確な座標がある点(三角点や電子基準点、現場の既設基準など)が利用できれば理想的です。アンテナを三脚等でしっかり固定し、アンテナ高を計測して受信機やソフトに入力します。受信機を基準局モードに設定し、その地点の座標値を登録します。公共座標系(世界測地系)の値が不明な場合は、とりあえずローカル座標で設定し、後で既知点とのズレを補正することも可能です。さらに基準局をインターネットに接続する場合は、SIMカードやポケットWi-Fiを用いてオンラインにし、契約しているNTRIP配信サービスの情報(サーバーアドレス、ポート番号、マウントポイント、ログインID/PWなど)を設定して補正データ送信を開始します。無線で補正データを飛ばす場合は、送信機側の周波数や出力設定を行い、移動局が受信できる状態にします。基準局が衛星を安定して受信できているか(受信衛星数やDOP値のモニター)も確認しましょう。

移動局の起動と接続: 次に、移動局となるGNSS受信機の電源を入れ、基準局からの補正情報を受信する設定を行います。移動局のアンテナもポールに取り付け、アンテナ高を必要に応じて入力します。NTRIP方式なら、基準局と同じキャスター情報を移動局側に設定し、クライアントモードで接続します。無線方式なら移動局側の無線受信機を起動し、基準局と同じチャンネル・周波数で受信待機します。正しく設定できていれば、移動局受信機が次第に基準局からの補正データを受け取り始めます。

高精度解(Fixed解)の確認: 補正情報の受信が開始されたら、移動局側で得られる測位解の状態を確認します。補正未適用の直後はSingle(単独測位)解ですが、補正が反映されるとFloat(浮動解)を経て、最終的にFixed(固定解)に収束します。Fixed解とは搬送波の整数位相差を解決した状態で、RTKによってセンチメートル級精度が達成されていることを意味します。天空が開けた環境なら、電源投入後数十秒~数分程度でFixになるのが一般的です。移動局の受信機や接続アプリで「FIX」表示が出ていること、位置精度の指標値が十分小さいことを確認しましょう。解が安定してFix状態を維持できているかどうかが、RTK測位が正常に機能している目安となります。

測点の測量作業: Fixed解が得られ高精度測位が可能になったら、実際に目的の測点を測っていきます。移動局(アンテナを取り付けたポール)を持って測量したい各ポイントに移動し、座標を記録していきます。手順としては、測点の位置にポール先端を据えて数秒間静止し、十分に値が安定したところでデータコレクタやアプリの「観測」ボタンを押して座標を記録します。多くの機器では数秒間の測位値を平均して保存するモードや、瞬時値を即記録するモードが選べます。どの場合でも、ポールを常に垂直に保つことが重要です(傾斜補正機能付き機器でも基本は垂直が原則)。複数点を測量する際は、あらかじめ点名や番号をリスト化しておき、記録時に名前を付与すると後処理が整理しやすくなります。対応するアプリによっては事前に点リストをインポートし、選択しながら測ることで取り違えを防ぐ機能もあります。

結果の検証・保存: 必要な測点をすべて測り終えたら、取得データの確認と保存を行います。可能であれば現場にある既知点をもう一度測定し、得られた座標と既知の正確な値を比較しましょう。作業の最初または最後に既知点でチェック測量を行うことで、システム全体の精度検証ができます(誤差が数cm以内であれば問題ありません)。仮に大きな差異が出た場合は、基準局座標の入力ミスや測地系設定の誤りなどが考えられるため、設定を見直します。問題がなければ、取得したすべての測点データを確実にバックアップします。データコレクタの内部メモリやスマホ内に保存されている座標リストをクラウドに同期したり、外部ストレージにコピーしておくと安心です。最後に機材の電源をオフにして撤収します。屋外作業後はバッテリーの充電や機器の清掃・点検も忘れずに行いましょう。


以上がRTK測量導入から実測までの一連の流れです。初めてのときは各ステップで戸惑うこともあるかもしれませんが、基本的な段取りを理解しておけば現場で冷静に対応できるでしょう。


RTK運用のポイント(現場適用のコツ)

RTK測位を現場でスムーズに運用するために、覚えておきたいポイントや注意点をいくつか紹介します。高精度を維持しトラブルを防ぐため、以下の点に留意しましょう。


衛星受信環境の確保: GNSS測位では、上空の開けた視界が精度確保の基本です。周囲に高い建物や樹木が茂る場所では受信衛星数が減少したり、電波反射(マルチパス)による誤差が大きくなったりするため注意が必要です。基準局・移動局ともに可能な限り見通しの良い場所で運用しましょう。やむを得ず遮蔽物が多い環境で測る場合は、衛星配置の良い時間帯を選ぶ、測定位置を少し移動させるなどの工夫をすると精度が安定します。特に高さ方向の精度は影響を受けやすいので、余裕を持った観測計画が大切です。

機器設定と測地系の統一: 基準局に入力した座標系と移動局で使用する座標系は統一しておく必要があります。日本では通常「世界測地系(日本測地系2011)」を用いますが、現場のローカル座標を使う場合などは後でオフィスで変換する手間が生じます。最終成果の座標系を見据えて、設定を合わせておきましょう。また、基準局・移動局間の通信設定(周波数やNTRIP情報)が一致していること、アンテナ高の入力ミスがないことなども事前に再確認します。

無線通信の安定: 自前基地局方式で無線を使う場合、基準局から移動局まで電波が確実に届くようにアンテナの配置や高さに配慮します。特定小電力無線は見通し100m程度が目安なので、必要に応じて基準局を高所に設置したり中継器を用いることも検討します。高出力無線を使う場合は電波法令を遵守し、混信がない周波数を選びましょう。都市部では周囲の電波干渉で通信が不安定になることもあるため注意が必要です。

バッテリー管理: GNSS受信機や通信機器はバッテリー駆動の場合、測量中に電池切れにならないよう残量に気を配ります。長時間の作業では予備バッテリーを持参し、適切なタイミングで交換します。寒冷地ではバッテリー性能が低下しやすい点にも留意が必要です。また、日々の作業後にはバッテリーを充電し、劣化したバッテリーは早めに交換するようにしましょう。

データのバックアップ: 現場で取得した座標データは、その日のうちに必ずバックアップを取ります。可能であればクラウドストレージや社内サーバーにアップロードし、端末の故障や紛失に備えます。野帳などに主要な点の値をメモしておくことも有効です。生データやプロジェクトファイルは、後の設計・施工に直結する大切な成果なので、複数箇所に保存してリスクヘッジします。

定期的な検証と較正: RTKシステムも長期運用すれば機器の特性変化や周辺環境の変化で精度に影響が出る可能性があります。節目節目で既知点を測って誤差を確認したり、必要に応じてメーカー校正に出すなど、精度管理を怠らないようにしましょう。ファームウェアやソフトウェアのアップデート情報にも注意し、最新の安定版を利用することも重要です。


以上のポイントを踏まえて運用すれば、RTK測量を安定して活用できるでしょう。高精度機器とはいえ環境や設定次第で性能が左右されるため、基本を押さえた丁寧な運用が求められます。


導入時の法的要件・注意点

RTKを建設現場で導入・運用する際には、関連する法律や制度にも注意しておく必要があります。主なポイントを以下にまとめます。


測量法と公共測量: 日本では測量業務は「測量法」に基づき規制されています。民間企業内で自社利用する測量であれば特別な許可は不要ですが、国や自治体に成果を提出する公共測量(例:地籍調査や公共工事の出来形測量など)の場合、測量業者登録や有資格者の配置、作業規程の遵守が必要です。GNSSを用いた公共測量では国土地理院のガイドラインに従って作業し、使用するGNSS機器は原則として国土地理院長の認定を受けた「1級GNSS測量機」を使うことが推奨されています。ただしこれは公共性の高い測量における基準であり、一般の工事測量や出来形確認など社内利用の目的であれば、必ずしも1級機器でなければならないわけではありません。重要なのは目的に見合った十分な精度と信頼性を確保することです。なお、公式な境界確定など法的手続きに関わる測量を行う場合は、測量士など有資格者の監督の下で実施するのが望ましいでしょう。

電波法への適合: 基準局から移動局に補正情報を無線で伝送する場合、使う無線機器が電波法に適合していることを確認する必要があります。日本では特定小電力無線(920MHz帯などで出力10mW以下)は免許が不要で誰でも使用できますが、通信可能距離に限界があります。より長距離に電波を飛ばせる高出力の無線機(例:351MHz帯の簡易無線やUHF帯の1W無線局など)を使う場合、総務省への無線局免許申請が必要です。免許取得には無線従事者の資格が求められる場合もあるため、社内に知見がない場合は免許不要の通信方法(携帯回線や特小無線の利用)を選ぶ方が無難です。また使用する機器は技術基準適合証明(技適)を取得済みのものを選び、違法無線局と見なされないように注意しましょう。

測量成果の扱い: RTKで取得した測量データを公的な用途(例:土地の登記や公共工事の納品成果)に使う場合、その成果が所定の精度要件を満たしているか自己確認することが求められます。例えば地籍調査や境界確定ではミリ単位の精度が要求されるため、RTKの結果だけでなくトータルステーション等を併用して検証するのが一般的です。また電子納品を行う際は、規定のデータ形式(国土地理院のSIMA形式など)に沿って座標を整理する必要があります。RTKを導入しても従来の測量知識や法規の重要性は変わらないため、あくまで基本を踏まえた上で新技術を活用する姿勢が大切です。

機器の認証と活用範囲: 前述の1級GNSS測量機のように、公的な認証を受けた機器でないと公式測量には使えない場合があります。最近登場したスマートフォン連携型の簡易RTK機器などは、その高度な精度にも関わらず認証を取得していないものもあります。これは性能に問題があるという意味ではなく、メーカーがコストや市場ニーズを考慮して申請していないだけの場合もあります。実際に未認証の簡易GNSS機器でも、社内検証で1級機器に匹敵する精度が出ている例もあります。ただし公共測量で用いる際は原則登録機種を使うことが求められるため、公的な目的には注意が必要です。一般的な工事測量や出来形確認レベルであれば、未認証機でも十分活用可能ですが、社内で事前に精度検証を行った上で使うと安心でしょう。


以上のように、RTK導入には技術面だけでなく法令順守や制度面での配慮も欠かせません。もっとも、多くの場合は常識的な注意を払えば問題なく運用できますし、不安があれば測量の専門家に相談しながら進めることでリスクを減らせます。


LRTKによる簡易測量(新しいアプローチ)

以上、RTK測位を活用するには「自前で基地局を設置する」「外部のネットワークRTKサービスと契約する」という二つの方法が一般的と述べました。しかし近年、これら従来の方法に伴う手間やコストをさらに削減し、より手軽にセンチメートル級測位を実現する新たなアプローチが登場しています。その一つがLRTKと呼ばれるシステムです。LRTKはスマートフォンと連携する高精度測位ソリューションで、特殊な測量機器や複雑な設定を極力省き、「誰でも簡単に高精度測位を扱える」ことを目指して開発されました。


LRTKでは専用の小型GNSS受信機とスマホアプリを組み合わせることで、RTKと同等レベルの精密測位を驚くほどシンプルな手順で実現しています。例えばスマートフォンにアタッチメントで装着した受信機を片手に持ち、測りたい点でアプリ上のボタンをタップするだけで、その地点の高精度な座標を取得できる仕組みです。従来の単独GPSでは実現できない高さ方向の測位も可能で、その精度は水平方向で±1~2cm程度、垂直方向でも数センチ以内という本格的な測量レベルに達しています。それでいて操作は非常に直感的で、従来型RTK機器のような煩雑な現場調整や専門知識はほとんど不要です。


従来のRTK方式と異なり、LRTKユーザーは自前の基地局を用意したり外部の補正サービスと契約したりする必要がありません。クラウド上の補正データや複数地点からの測位情報を活用した独自アルゴリズムによって、単独の受信機でもセンチメートル級精度を実現する技術が背景にあります。さらに取得した座標データは即座に日本の測地系(基準座標系)に自動変換されて地図上に表示されるため、測位後の座標変換やデータ管理もクラウドサービス側で自動化されています。つまり、スマートフォンとLRTKデバイスさえあれば、測量の専門家でなくとも手軽に精密測位ができてしまうのです。


LRTKは、自前基地局方式とネットワークRTK方式の双方に存在した煩わしさを解消する第三の選択肢ともいえます。必要な機材は驚くほどコンパクトで持ち運びやすく、通信環境も自分で用意する必要がありません。そして現場では測位ボタンを押すだけで結果が得られる手軽さは、従来の方式にはない大きな魅力です。もちろん、現場の条件や求める精度によって最適な測位方法は変わりますが、「もっと気軽に高精度測量を試したい」「専門外だけれど正確な位置出しが必要」という方にとって、LRTKは非常に有力なソリューションとなるでしょう。最新技術の力により、センチメートル級の測位がこれまで以上に身近になりつつあります。


FAQ

Q1. RTKと通常のGPS測位は何が違うのですか? A1. 通常の単独GPS(GNSS)測位では、衛星信号のみで位置を計算するため約5~10mの誤差が生じます。これに対しRTK測位では、基準局からの補正情報を利用して誤差要因を打ち消すことで、数センチメートル以内の高精度な位置特定が可能です。要するにRTKは通常のGPSに比べ、リアルタイムで飛躍的に測位精度を高める仕組みです。


Q2. RTK測量ではどの程度の精度が得られますか? A2. 良好な環境で運用されたRTK測量では、水平位置でおおむね±1~3cm、高さ方向でも±3~5cm程度の精度が得られます。ただし精度は基準局からの距離や衛星の受信状況に左右され、基準局との距離が遠くなると誤差が大きくなったり、周囲に遮蔽物が多いと精度が低下する場合もあります。十分に空が開けた環境で、基準局に近い範囲であれば2cm程度の誤差に収まると考えてよいでしょう。また、マルチGNSS・マルチ周波数対応の受信機を使うことで安定した高精度を維持しやすくなります。


Q3. RTKシステムの導入費用はどれくらいですか? A3. 導入費用は選択する方式と機器構成によって幅があります。高性能な測量用GNSS受信機を基準局・移動局セットで揃える場合、初期費用が数百万円に達することもあります。一方、ネットワークRTKを利用して移動局用受信機だけ購入する場合は、数十万円程度からスタートできるケースが多いです。さらにスマホを活用した簡易RTK機器など、低コストで導入可能な選択肢も登場しています。加えて、ネットワーク型を使う場合は月額利用料(数千円~数万円程度)が必要になります。自前基地局方式ならサービス料はかかりませんが、無線免許の取得費や機器メンテナンス費用を見込んでおく必要があります。自社の用途と予算に応じて、適切な方式を選ぶことが重要です。


Q4. ネットワーク型RTKを利用するには何が必要ですか? A4. ネットワークRTKを使う場合、基本的にはRTK対応のGNSS受信機(移動局)通信環境の2つが必要です。具体的には高精度GNSS受信機本体とアンテナに加え、補正情報サービスに接続するためのインターネット回線(内蔵SIMやテザリングしたスマホなど)が必要になります。事前に補正情報配信サービスの契約を結び、受信機または専用アプリにサーバー情報やアカウントを設定しておきます。現場では受信機と通信端末の電源を入れてサービスに接続すれば、補正データの受信が開始されます。つまり、移動局用の受信機1台とネット接続手段さえ用意すれば、ネットワーク型RTK測位を運用できるということです(従来方式と比べ機材が少なくて済みます)。


Q5. RTKを利用するのに免許や資格は必要ですか? A5. RTK測量そのものを行うのに資格は必須ではありませんが、運用形態によってはいくつかの許認可が関係します。まず、自前基地局方式で高出力の無線を使う場合は無線局の免許が必要となり、開設には無線従事者資格を持つ人員が申請手続きを行う必要があります。特定小電力無線の範囲であれば免許不要で扱えます。また、公共測量に該当する業務を請け負う場合は測量業者として登録が必要であり、測量士や測量士補など有資格者による作業・管理が求められます。一般的な建設会社が自社の現場で使う範囲であれば、これらの免許・資格がなくてもRTK機器を使うこと自体は可能です。ただし測量結果を公式な目的に使う際には、法的要件を満たす体制で実施するようにしましょう。


Q6. 測量の経験がなくてもRTKを使いこなせますか? A6. 従来のRTK機器は専門知識が求められる場面もありましたが、最近は操作性の高い機器や支援アプリが増え、基本的な手順を学べば初めての方でも扱いやすくなっています。特にスマートフォンと連携した新しいRTKソリューション(例えばLRTKなど)は、直感的な操作で高精度測位が可能になるよう設計されています。ただし、精度の確保やトラブル対処のためにGNSS測位の基礎知識は理解しておくことが望ましいです。また、重要な測量成果を扱う場合は、経験豊富な測量士のサポートやダブルチェックを受けることで安心して運用できるでしょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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