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初心者向け:RTK基地局の立ち上げ手順

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この記事は平均5分15秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

RTKとは何か?

RTK基地局(基準局)の役割

RTK基地局を立ち上げるメリット

RTK基地局の必要機材

RTK基地局の設置場所と準備

RTK基地局立ち上げ手順

RTK基地局運用のポイント

LRTKによる簡易測量

FAQ


RTKとは何か?

建設現場の測量やインフラ点検などでは、従来のGPS測位では誤差が数メートル程度発生し、必要な精度を満たせない場合があります。そこで近年注目されているのがRTK(Real Time Kinematic)と呼ばれる高精度測位技術です。RTKでは、基準局(ベース)と移動局(ローバー)という2台のGNSS受信機を用いてリアルタイムに相対測位を行うため、センチメートル級の高精度測位が可能になります。


具体的には、基準局をあらかじめ正確な座標が分かっている地点に設置し、そこで受信した衛星測位で求めた自らの位置と既知の座標値との差分(誤差)を計算します。その補正情報を移動局に送信し、移動局側の測位結果にリアルタイムで補正を適用することで、通常は数メートル生じる誤差を数センチ程度まで縮小できます。両局が同じ衛星からの信号を受けるため、衛星や大気に由来する共通の誤差要因がキャンセルされ、高精度な相対位置が得られる仕組みです。


このようにRTKで得られる高精度な測位データは、測量作業の効率化や施工管理の品質向上に大きく貢献します。近年では、ICTを活用したスマート施工やドローン(UAV)による空中測量、農業分野の自動走行トラクターなど、様々な現場でRTK技術の活用が広がっています。


RTK基地局(基準局)の役割

RTK測位で使用する基準局とは、動かない基準点として機能するGNSS受信機のことです(「基地局」と呼ばれることもあります)。基準局は、あらかじめ正確な座標値が分かっている地点に据え付けられ、自身が受信したGNSS衛星の測位結果と設定された既知の座標値とのズレをリアルタイムに算出します。そして、その補正情報を移動局へ送信し、移動局側で測位に補正を適用することで高精度化を実現します。言い換えれば、基準局は「動かないGNSS」の役割を果たし、移動局の測位を補正する土台となります。


RTKにおいてこの基準局が存在しない場合、移動局単独では通常のGNSS測位(シングル測位)となり、数メートルの誤差が生じてしまいます。センチメートル級の測位精度を得るためには基準局の存在が不可欠です。なお、自前で基準局を設置しなくても、公共の基準局ネットワークや民間の補正情報サービスから基準局データを受信することでRTK測位を行うことも可能です(後述します)。


RTK基地局を立ち上げるメリット

ネット経由で補正情報を得る方法(ネットワーク型RTK)が利用できる環境でも、あえて自前でRTK基地局を設置することで得られる利点があります。ここでは独自に基地局を立ち上げる主なメリットを挙げます。


通信圏外でも利用可能: 携帯電話の電波が届かない山間部や遠隔地でも、自前の無線式基地局を用意すればインターネット接続なしでRTK測位が行えます。

複数の移動局を一括運用: 一つの基地局があれば、同じ補正情報を複数の移動局で共有でき、現場にある全ての機器が統一された基準で測位できます。

ランニングコストの削減: 外部の補正サービスに依存せず、自前の基地局から無料で補正情報を供給できるため、長期的に見ればコストを大幅に抑えられます。

精度の安定: 基準局と移動局の距離(基線長)を短く保てるため、補正精度の劣化が少なく、数km圏内であれば安定してセンチ級精度を得やすくなります。

非常時の自主運用: 災害などで通信インフラが不通になっても、現地に基地局があればその場で高精度測位を継続できます。


RTK基地局の必要機材

RTK基地局を構築するためには、以下のような機材が必要です。


高精度GNSS受信機(基準局用): RTKに対応したGNSS受信機本体。センチメートル級の精度を得るには、L1/L2など複数周波数や複数衛星系(GPS・GLONASS・Galileo・BeiDouなど)に対応した高性能の受信機が望ましいです。

GNSSアンテナ(基準局用): 衛星からの信号を受信するアンテナ。受信機と一体型のモデルもありますが、精度重視の場合は屋外設置用の高感度アンテナ(例: 大型のチョークリングアンテナ)を使用します。

GNSS受信機とアンテナ(移動局用): RTKを利用するには、基準局とは別に移動局側のGNSS受信機およびアンテナも必要です(本記事は基地局構築に焦点を当てていますが、実際には移動局が無ければ測位ができません)。

通信装置(無線機またはネット接続環境): 基準局から移動局へ補正データを送信するための通信手段。無線で送る場合は基地局側送信機と移動局側受信機のペアが必要です(特定小電力無線やUHF帯のデータ通信機など)。インターネット経由で送る場合は、基準局をインターネットに接続し(内蔵SIMのセルラー通信や現場のWi-Fiルータ経由など)、NTRIPサーバー(キャスター)を利用してデータ配信します。

三脚・ポール等の据え付け具: 基準局のアンテナを安定して固定するための測量用三脚やポール。長期間運用する際は屋上などにアンテナ固定用のポールを設置する場合もあります。

電源装置: 受信機や通信機に電力を供給するバッテリーや電源装置。屋外で長時間駆動させる場合は大容量バッテリーや太陽光パネルによる電源確保も検討します。

設定用デバイス: GNSS受信機の各種設定やデータ確認を行うための端末。多くの場合、BluetoothやUSBで接続し、スマートフォンの専用アプリやPC用ソフトウェアから受信機のモード設定・ステータス確認を行います。


RTK基地局の設置場所と準備

RTK基地局を設置する際は、アンテナをできるだけ良好な環境に置くことが重要です。周囲に高い建物や樹木などの遮蔽物がなく、全天空が見渡せる開けた場所を選びましょう。遮蔽物が多いと衛星信号が遮られたりビルや壁面で反射(マルチパス)してしまい、測位精度の低下や固定解(Fix解)が得られるまでに時間がかかる原因となります。


また、基準局を設置する位置は、実際に測位を行うエリア(移動局が活動する範囲)の近くで、かつ安定した場所にすることが理想です。例えば、工事現場内であれば敷地の中央付近の見晴らしの良い箇所に三脚を据える、恒常的に使う場合はビルの屋上など堅固で振動の少ない場所にアンテナを固定する、といった工夫をします。


次に、基準局に設定する座標値の準備も重要です。基準局はその設置位置の座標をあらかじめ正確に知っていることが前提となります。もっとも確実なのは公共座標が既知となっている基準点(例えば三角点や電子基準点)の上にアンテナを設置することですが、現場に適当な既知点がない場合も多いでしょう。その場合は、基準局を任意の地点に設置した上で、その座標値を後から高精度に測定して求める必要があります。例えば、基準局で数時間以上の衛星観測(スタティック測量)を行い、後でデータ処理して精密な座標を算出する方法があります。また、移動局を使って周辺の既知点を測量し、得られた基準局座標を既知点に合わせて補正する(ローカライゼーション)手法も取られます。すぐに正確な座標が求まらない場合は、ひとまず基準局で簡易測位した座標値を設定して運用を開始し、集めた測量データを後で既知点に合わせて平行移動補正する方法も現場ではよく用いられます。


さらに、基準局設置時にはアンテナ高(地面や既知点からアンテナ位相中心までの高さ)を正確に測定して記録し、受信機の設定画面で入力しておきます。これにより、後で取得する測量データにおいて高さ方向の補正が適切に行われます。加えて、受信機の初期設定段階でGNSSの測位モードや追跡する衛星・周波数帯などの項目も確認しておくと良いでしょう。マルチGNSS対応の受信機であれば特別な理由がない限り全ての衛星を有効にし、必要に応じてRTK解の更新レート(測位出力頻度)も設定可能です(通常の地形測量であれば1Hzで十分ですが、重機のマシンガイダンス用途などには5~10Hzが使われます)。こうした事前準備を整えてから、いよいよ次に説明する基地局の立ち上げ手順に移ります。


RTK基地局立ち上げ手順

それでは、実際にRTK基地局を立ち上げる具体的な手順を見ていきましょう。ここではシンプルな1基準局+1移動局の構成を想定し、基地局の設定から移動局による測位開始までの流れを解説します。


機材の設置: 基準局として使用するGNSSアンテナを三脚やポール上にしっかり固定し、GNSS受信機本体と接続します。アンテナは水平に保ち、安定した状態で設置します(空が広く見渡せる位置に据え付けます)。受信機の電源を入れ、正常に衛星を受信し始めることを確認します。

アンテナ高の測定・入力: 基準局アンテナの高さ(地面または基準点からアンテナの位相中心までの垂直距離)を測定します。測定したアンテナ高は後ほど受信機の設定画面で入力し、測位計算に反映させます。

基準局座標の設定: 基準局の正確な緯度・経度・高さの座標値を受信機に設定します。既知点上に設置している場合はその値を入力し、未知の場合は受信機の観測による平均測位機能などを使って仮の座標値を算出して設定します。座標系(日本の場合は世界測地系の日本測地系(JGD2011)など)や楕円体高の扱いも受信機の仕様に合わせて確認します。

補正データ配信の設定: 基準局から補正情報を発信するよう受信機を設定します。インターネットを用いる場合は受信機をネット接続し、提供されたNTRIPキャスターのアドレス・ポート・マウントポイント名・ログイン情報を入力します。無線を用いる場合は、接続した無線機の周波数チャネルや出力を設定し、移動局側の無線受信機とペアになるよう調整します。

基地局の起動・確認: 基準局の設定を保存して補正データ配信を開始します。受信機の表示やアプリ上で「配信中」または「Broadcasting」等のステータスになり、衛星の受信数やDOP値も良好であることを確認します。基地局が安定してデータを送り出していれば、移動局からの接続を待つ状態です。

移動局の受信設定: 移動局側のGNSS受信機を設置し、基準局からの補正データを受信する設定を行います。NTRIPの場合は基準局と同じキャスター情報を入力してクライアント接続を開始し、無線の場合は基準局と同じ周波数で無線受信機を待機させます。補正情報を受け取ると、移動局の解が「Single(単独測位)」から「Float(浮動解)」を経て「Fixed(固定解)」に変化します。

測位精度の確認: 移動局でRTKの固定解(Fix解)が得られたら、実際にどの程度の精度が出ているか確認します。固定解の状態で移動局の現在座標値が安定して数センチ以内の範囲に収まっているかモニターし、可能であれば既知の点を測定して既知座標との誤差を比較します。水平方向で数センチ・高さ方向でも数十センチ以内の誤差に収まっていれば、基地局の立ち上げは成功です。


RTK基地局運用のポイント

RTK基地局を運用していく上では、安定して高精度を維持するためにいくつか注意したいポイントがあります。代表的なものをまとめます。


上空視界の確保: 基準局・移動局とも常にできるだけ視界の開けた場所に設置します。衛星の追尾数が不足すると精度低下やFix解取得までの時間増大につながります。周囲の環境変化(工事でクレーンが立つ、季節による樹木の繁茂など)にも留意し、衛星視認性を確保しましょう。

基線距離の管理: 基準局と移動局の距離(基線長)が長くなるほど補正効果が減衰し、精度が不安定になります。実用上は10km程度までが目安です。なるべく測位エリアの近傍に基準局を置き、広範囲をカバーする場合は複数地点に基準局を設置することも検討します。

通信方法の選択: 補正データ通信には電波状況に応じて適切な手段を選びます。携帯回線を用いるNTRIP方式は都市部や広域で複数台を同時運用する際に便利ですが、山間部では圏外となることがあります。一方、無線方式は見通し距離内であればリアルタイム性に優れますが、特定小電力無線の場合は出力が小さいため1km程度が実用範囲です。必要に応じて中継機の設置や、出力の大きいデジタル簡易無線(要免許)の使用も検討します。

通信断の対策: 測位中に補正データの通信が一時途切れても、多くの受信機は数十秒程度は内部予測で精度を維持します。したがって数秒~十数秒の通信断では慌てずに待ち、再接続後に素早くFixed解が復旧するか確認します。頻繁に通信が途絶する場合は、無線アンテナの設置位置を高くする、携帯回線の電波状況が良い場所に移動局を置く、といった対策を講じます。

基準局座標の精度: 基準局に誤差があると、得られる移動局の座標も同じだけずれてしまいます。公共座標系での高精度が要求される場合には、基準局はできる限り正確な既知点に設置するか、事前に既知点との誤差を補正(もしくは後処理で平差)しておくことが重要です。仮の座標で運用を開始した場合でも、後で必ず既知点を用いた測量で補正量を確認し、成果座標を修正しましょう。

機材の保守: 基準局機材は屋外で連続稼働させることも多いため、防水・防塵対策や盗難防止策を講じておきます。長期間使用する場合は定期的にアンテナの取付状態やケーブルの断線、バッテリー残量などを点検し、安定運用に努めます。


LRTKによる簡易測量

ここまで説明してきたように、RTK基地局の構築には機材の準備や各種設定などいくつかの手順が必要です。初心者にとっては少々ハードルが高く感じられる部分もあるかもしれません。こうした中、これら一連の作業を大幅に簡素化できるソリューションとして登場したのがLRTKです。LRTKは小型の高精度GNSS受信機とスマートフォンアプリを組み合わせたシステムで、iPhoneひとつでRTK測量を完結できる手軽さが特長です。


LRTKでは専用のスマホアプリ上で基準局モードを選択しボタンを押すだけで、ネットワーク型RTKの設定から補正データ配信まで自動的に開始されます。面倒なNTRIPの接続設定や無線機の周波数調整も意識する必要はありません。測位状態の確認やデータ記録も全てスマホ画面上で直感的に操作できるため、特殊な研修を受けていない作業員でも短時間の説明で扱えるよう設計されています。


さらに、LRTKシリーズの受信機は産業用途に耐える堅牢な防水・防塵設計(IP規格準拠)となっており、屋外の過酷な環境下でも安心して使用できます。高精度な位置情報を活かし、iPhoneだけで3次元スキャンやARを用いた杭打ち作業の支援まで行える拡張性も備えています。RTK導入に不安を感じる初心者の方でも、LRTKを活用すれば手軽にスマート測量を始められます。


FAQ

Q: RTKと通常のGPS測位は何が違うのですか? A: 通常のGPS(単独測位)は1台の受信機だけで位置を求めるため、誤差が数メートル程度発生します。これに対しRTKは基準局と移動局の2台を使い、基準局からの補正情報を用いて誤差を打ち消すことで、数センチの高精度を実現します。要するに、RTKは「基準局からの助けを借りて精度を上げたGPS測位」であり、桁違いに測位精度が向上する点が大きな違いです。


Q: RTK基地局は自分で設置しなければいけませんか? A: 必ずしも自前で用意する必要はありません。国や民間によるGNSS基準局ネットワークから補正情報を受け取ることで、自分で基地局を設置せずにRTK測位を行うこともできます(いわゆるネットワーク型RTK)。ただし、通信圏外の現場や継続利用によるコスト削減などの理由で、自前の基地局を立てるメリットも大きいです。本記事で紹介した通り、用途によっては独自に基地局を設けることで安定した精度と運用の自由度が得られます。


Q: 基準局に設定する座標はどうやって決めればよいですか? A: 最も確実なのは、国土地理院の基準点などあらかじめ座標値が分かっている地点にアンテナを設置し、その値を設定する方法です。もし既知の座標が得られない場合は、基準局の位置を長時間観測して静的解析で座標を算出したり、移動局で別の既知点を測って基準局座標を校正したりする必要があります。すぐに精密な座標を用意できない場合でも、仮の座標で運用を開始し、後から測量データを既知点に合わせて補正することもできます。


Q: NTRIPとは何ですか? 無線で送る方法とは何が違いますか? A: NTRIP(エヌトリップ)とは、インターネットを介してRTKの補正データを送受信するためのプロトコルです。基準局は補正情報をNTRIPサーバー(キャスター)に配信し、移動局は携帯回線などでインターネット越しにそのデータを受け取ります。無線通信で直接やり取りする方法と違い、携帯電波が届く範囲であれば数十km離れた移動局でも補正を受けられる利点があります。一方で、山間部などインターネット接続が困難な環境では、従来型の無線通信による補正伝送が有効です。


Q: RTK測位の精度はどのくらいですか? A: 運用条件にもよりますが、RTKでは概ね数センチメートル以内の誤差で位置を測定できます。例えば、基準局との距離が数km以内で衛星受信環境が良好な場合、平面位置で2~3cm程度、高さ方向で5cm前後の精度が得られます。ただし周囲に遮蔽物が多かったり距離が離れたりすると、固定解が得られにくくなったり精度が低下することがあります。


Q: RTKを利用するのに資格や免許は必要ですか? A: RTK測位そのものを利用するための資格は特に必要ありません。どなたでも対応機材を揃えればRTK測量を行えます。ただし、補正データを無線で送受信する場合に使用する無線機によっては無線従事者免許や無線局の開設申請が必要となることがあります(高出力の業務無線を用いる場合など)。なお、公共測量の成果としてRTK測量を利用する場合は測量士の管理下で実施する必要があるなど、運用上のルールにも留意しましょう。


Q: LRTKとはどのようなシステムですか? A: LRTKは弊社が提供する小型RTK-GNSSソリューションの名称で、スマートフォンと連携して簡単にセンチ級測位を行えるシステムです。小型の受信機をiPhoneに装着し専用アプリを使うことで、従来は煩雑だった基準局・移動局の設定もワンタップで完了します。専門知識がなくても扱える手軽さが特長で、現場での測位作業を大幅に効率化できます。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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