目次
• RTK測量とは?センチメートル精度が注目される背景
• RTK測位でセンチ精度を実現するための条件
• RTK測量に関するよくある誤解とその真実
• 簡易RTK測量の新展開:LRTKによる高精度測位
• FAQ
RTK測量とは?センチメートル精度が注目される背景
近年、建設・土木の現場では「できるだけ測位の誤差を小さくしたい」というニーズが高まっています。従来のGPSによる測位(GNSS単独測位)は手軽に現在位置を得られる反面、数メートル程度の誤差が生じるのが一般的です。地図アプリで自分の位置を確認する程度であれば数メートルのズレでも問題ありませんが、実際の施工現場で構造物の正確な位置出し(墨出し)や出来形(できがた)測定を行う場合、数メートルの誤差は許容できません。例えば道路工事や橋梁工事では、測量誤差が大きいと完成した構造物の位置や高さにズレが生じかねず、施工品質の低下につながります。またインフラ点検で微小な変位を検出する際にも、高精度な位置情報が求められます。
そこで注目されているのがRTK測量と呼ばれる高精度測位技術です。RTKとは *Real Time Kinematic*(リアルタイム・キネマティック)の略で、衛星測位システム(GNSS)の誤差をリアルタイムに補正しながらセンチメートル級の精度で位置を測定できる手法を指します。通常のGNSS測位では衛星信号に起因する誤差のために数mのズレが発生しますが、RTK測量では基準局と移動局という2台のGNSS受信機を用いて相対測位を行うことで、誤差要因を打ち消し合い、単独測位では得られない高精度な測位を実現します。基準局(固定局)とはあらかじめ正確な座標が分かっている受信機で、その地点で受信した衛星信号の誤差分をリアルタイムに算出します。移動局(ローバー)は測位したい点に設置する受信機で、基準局から逐次送られてくる補正情報を受信し、自身の位置計算に反映させます。こうして移動局は基準局との相対的な高精度位置をリアルタイムで算出でき、水平・鉛直ともに誤差数センチ以内という測位が可能になるのです。
このようなセンチメートル級の測位精度は、日本で推進されているi-Construction(アイ・コンストラクション)などの流れもあり、現場の生産性向上において非常に重要視されています。RTK測量を活用すれば、設計図どおりの正確な位置に構造物を設置したり、出来形 を精密に計測して品質管理に役立てたりすることができます。またドローンによる空中写真測量や重機のマシンガイダンス、自動運転建機の位置制御などでもセンチ単位の高精度位置情報が得られれば、データの信頼性や作業の効率が飛躍的に向上します。そのため、大手ゼネコンから中小の建設業者、測量会社、インフラ保守管理者まで、幅広い現場でRTK技術の導入が進みつつあります。
RTK測位でセンチ精度を実現するための条件
RTK測量によって「誤差数センチ」という高精度を得るには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。RTKは強力な技術ですが、「使えば必ず1cm精度が出る」という魔法ではなく、その性能を発揮するには適切な環境と運用が求められます。主なポイントを順に見てみましょう。
• 基準局からの補正情報:RTKでは正確な位置に設置された基準局が不可欠です。基準局は自身のGNSS観測データから誤差成分を計算し、その補正情報をリアルタイムで移動局へ送信します。この補正があるおかげで、移動局は単独では補正できない誤差を打ち消し、高精度な位置を算出できます。近年は公共の電子基準点(国土地理院の基準局網)や民間のGNSS補正サービスを利用し、自前で基準局を用意しなくても補正情報を入手する方法も普及しています。いずれの場合も、正確な補正データをリアルタイムに受信できることがセンチ精度の前提条件です。
• 基準局との距離:基準局(あるいは仮想基準点)と移動局の距離が近いほど、両局に共通する誤差要因(電離層や対流圏による信号遅延、衛星軌道や時計誤差など)が似通うため、高い精度が得られます。一般に基準局から数km以内であれば、RTKによりセンチメートル級の精度を維持しやすいとされています。逆に距離が離れるにつれて補正しきれない誤差が増え、測位精度も徐々に低下します(目安として距離1kmあたり数ミリ程度の誤差増加と言われます)。そのため高精度が必要な測量では、測位エリアの近くに自前の基準局を設置するか、全国に整備された電子基準点によるネットワーク型RTKサービスを利用するのが効果的です。
• 衛星の見通し(測位環境):RTKでセンチ精度を得るには、GNSS衛星からの電波を安定して受信できる環境で測位することも重要です。空が開けていて十分な数の衛星を捉えられる環境では、密度の高い観測データ が得られ、RTK解の中でも特に精度の高い固定解が安定して得られます。反対に、高層ビルに囲まれた市街地や樹木の多い山間部では、視界を遮る障害物が多いため受信できる衛星数が減り、RTKの精度低下や解が不安定になる可能性があります。特に衛星信号が建物や地形で反射してしまうマルチパス環境では、大きな誤差が発生して正確な測位が難しくなります。センチ精度を得るには、できるだけ空が広く開けた場所で測る、あるいは衛星配置(衛星ジオメトリ)の良い時間帯を選ぶなどの工夫も必要です。
• GNSS受信機の性能:使用するGNSS受信機自体の性能も精度に影響します。高精度なRTK測位には、衛星信号を電波の搬送波(キャリア波)位相レベルで捉えることができる受信機が必要です。これによりミリ秒単位の精密な観測データを扱えます。またマルチGNSS・マルチ周波数対応の受信機であるほど有利です。複数の衛星測位システム(GPSに加えGLONASSやGalileo、準天頂衛星みちびき〈QZSS〉など)を利用できれば、常に空に見える衛星の数が増えて測位の安定性が向上します。さらにL1/L2といった複数帯域の信号を使うことで電離層誤差の除去が容易になり、初期の固定解が得られるまでの時間(収束時間)の短縮にもつながります。近年は安価でもマルチバンド 対応のRTK-GNSSモジュールが登場しており、従来より手軽に高精度測位を実現できるようになってきました。
以上の条件が整えば、理論上はRTKによって水平・鉛直ともに数センチ以内という驚異的な精度での測位が可能です。ただしこれらはあくまで「理想条件」であり、現実の測量現場では環境や運用の違いによって精度が変動する場合もあります。次の章では、RTK測量に関して現場で陥りがちな誤解と、その本当の話(真実)について解説します。
RTK測量に関するよくある誤解とその真実
RTKは正しく運用すればセンチメートル級の測位精度を実現できる優れた技術です。しかし、その仕組みや前提条件を十分に理解していないと、現場で誤った期待を抱いてしまったり、使い方を間違えてしまったりすることがあります。ここでは、RTK測量にまつわる代表的な「あるある」な誤解について取り上げ、それぞれに対して正しい理解を整理してみましょう。
誤解1: 「RTKを使えば常に誤差1cm以内で測れる」
RTKを導入すればどんな場合でも測位誤差が1cm以下に収まる、と期待されることがあります。しかし実際には、RTKの精度も周囲の測位環境に大きく左右されます。前述したように、衛星の受信状態が悪い環境ではRTKでも固定解を得られず、一時的に10cm程度の誤差が生じてしまうケースもあります。特に高層ビルが立ち並ぶ都市部や森林の中などでは、平均すれば水平・鉛直とも数センチの精度を確保できますが、条件が悪い瞬間には10cm以上のズレが発生することも検証されています。「RTKだから絶対に1cm精度」と盲信するのではなく、「良い環境であれば数センチ、高くても数十センチ程度の誤差に収まる技術」と正しく理解しておくことが重要です。言い換えれば、RTKはあくまで誤差を大幅に削減する手段であり、現実の環境次第ではある程度の誤差上振れも起こりうる――この点を念頭に置いて運用しましょう。
誤解2: 「センチ精度なら測った座標も世界共通で正確だ」
「センチメートル級の精度」と聞くと、「取得した位置座標も地球規模で見て数cmのズレしかない」と思われがちですが、ここには注意が必要です。RTKで得られる座標値はあくまで基準局との相対的な精度がセンチ単位という意味合いが強く、基準局の位置が正確に既知であることが前提となります。もし基準局に与えた座標に誤差やズレが含まれていれば、移動局で測定した点の座標もその分だけ一緒にずれてしまいます。例えば現場で適当に据えた仮設基準局(実は真の位置から数mずれていた)を使ってRTK測量を行った場合、現場内での相対距離は高精度に測れたとしても、得られた座標を公共座標系の地図に重ねると数メートルのズレが生じてしまう、という事態も起こりえます。センチ精度 = 絶対精度ではなく、あくまで「基準点にひも付いたローカル座標に対する相対精度」が高いという点を理解しておきましょう。
この点、国土地理院の電子基準点を使ったネットワーク型RTKや、携帯キャリアなどが提供するGNSS補正サービス(VRS方式など)を利用した場合は安心です。これらの基準局網は公共座標系で厳密に校正されているため、得られる測位結果も世界座標系で高い絶対精度を持ちます。一方、現場にローカルな基準局を仮設してRTKを行う際には、事前に既知点で補正する(基準局の座標を調整する)か、測量後に座標変換を行うなどの対応が必要です。
誤解3: 「RTK測量には高額で特殊な測量機器が要る」
RTKというと専用の高精度測量機器が必要で、導入に多額の費用がかかるというイメージを持つ方も多いでしょう。確かに少し前までは、RTK対応のGNSS受信機や基地局装置を一式揃えると数百万円にもなるケースがあり、誰もが気軽に持ち出せる代物ではありませんでした。また機器自体もアンテナと受信部が一体化した大きなポール型や据え置き型の装置が主流で、持ち運びや現場での設置にも手間がかかりました。特に山間部などでは三脚を立てて重い基地局を据え付け、長いポールに移動局を取り付けて測りたい点まで運ぶ必要があり、機動力の面でも大きなハードルがあったのです。
しかし近年は技術の進歩と普及によって、RTK機器は以前よりも小型化・低コスト化が進んできています。手のひらサイズの小型GNSS受信機や、スマートフォンと連携してセンチ級測位を実現するデバイスも登場し始めました。これにより、従来は熟練の測量技術者にしか扱えなかった高精度測位が、徐々により多くの実務者にとって身近な技術になりつつあります。
さらに、ネットワーク型RTK(インターネット経由で補正情報を受け取る方式)の普及により、現場ごとに高価な無線機や基地局を持ち運ばなくて済むケースも増えてきました。移動局側の受信機さえ用意すれば、スマホのモバイル通信で地域の基準局網から補正データを取得できます。また日本独自の準天頂衛星システム「みちびき」が提供するCLAS(センチメータ級測位補強サービス)を利用すれば、携帯の電波が届かない山奥などでも衛星から直接補強信号を受けて高精度測位を行うことが可能です。つまり現在のRTK測量は、必ずしも大掛かりな装備を必要とせず、比較的シンプルな構成でも実現できるようになってきています。
誤解4: 「最新のスマホさえあれば単体でセンチ精度が出せる」
最近のスマートフォンには高性能なGPSチップが搭載され、「デュアル周波数対応」「測位補強に対応」といった宣伝文句を目にすることもあります。そのため、「最新スマホがあれば、専用GNSS機器がなくてもセンチメートル精度を実現できるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし現時点では、スマホ単体でRTK並みの1~2cm精度を出すことは極めて困難というのが実情です。
理由の一つはアンテナ性能の違いです。スマホ内蔵の小型アンテナではどうしても衛星信号のノイズや減衰が大きくなり、安定した固定解を得るのが難しくなります。またスマホが単体で受信できる測位補強情報にも限界があり、せいぜい数十センチ程度の精度向上にとどまります(SBAS衛星やマルチ周波対応による高感度単独測位などの範囲です)。やはりリアルタイムにセンチメートル級の精度を得るには、専用のRTK対応受信機と適切な補正情報の活用が必要になります。
とはいえ、近年はスマートフォンと連携して使える手軽なRTKデバイスも登場しています。スマホの画面表示や通信機能を活用しながら、高性能なGNSS受信機を組み合わせることで、従来の据え置き型機器にも匹敵する精度を実現する時代が来ています。その代表例がLRTKシリーズのデバイスです。
簡易RTK測量の新展開:LRTKによる高 精度測位
RTKのセンチ精度を現場で活用するハードルは着実に下がってきており、その最先端に位置するソリューションの一つがLRTKです。LRTKはレフィクシア社が開発した超小型のRTK-GNSS受信機シリーズで、スマートフォンやタブレットと組み合わせて使うことで「手のひらサイズの測量機」を実現しています。
例えば主力モデルの「LRTK Phone」は、重さ約165g・厚さわずか1cmほどというポケットに収まるコンパクトサイズながら、GPS・GLONASS・Galileo・みちびき(QZSS)などのマルチGNSSに対応し、しかも3周波(L1/L2/L5)対応という高性能を備えています。このデバイスをiPhoneやiPadに装着し、専用のLRTKアプリを起動するだけで、そのスマホが即座にセンチメートル精度の測量機へと変身します。
LRTKシリーズの優れている点はハードウェア性能だけではありません。現場で使いやすいよう工夫されており、測位データはBluetooth経由でリアルタイムにスマホへ転送されます。現場で取得した座標データはワンタップでクラウド上の「LRTKクラウド」にアップロードできるため、オフィスにいるスタッフとも即座にデータ共有が可能です。離れた場所からでも最新の測量結果を確認したり、クラウド上で測点間の距離や面積を計測したりといったコラボレーションがスムーズに行えます。
さらにLRTKは、ネットワーク型RTK(Ntripなどのインターネット補正)だけでなく、日本独自の衛星測位補強信号であるみちびき(QZSS)のCLASにも対応しています。そのため、携帯電波の届かない山間部などでもLRTKが衛星から直接高精度な補正情報を取得し、センチ級の測位を継続できます。従来は「高精度測位=通信環境に依存する」という常識がありましたが、LRTKはそれを覆し、どんな場所でも安定したRTK測量を可能にしている点も大きな強みです。
このようにLRTKを活用すれば1人で手軽にセンチメートル精度測位を実現できるようになります。重たい三脚や据え置き型受信機を担いで現場を駆け回る必要はなく、スマホとポケットサイズの機器だけで測量作業が完結します。取得したデータには緯度・経度・高さなどの座標が自動で付与されるた め、あとから設計図面や地理院地図と照合するのも容易です。さらに写真やメモ、点群データなどと測位結果を紐づけて一元管理できるので、報告書作成や後工程への引き継ぎも効率化します。
LRTKによる簡易測量は、現在進行形で現場に浸透しつつあります。「1人1台の万能測量機」を目指して開発されたこのシステムは、その手軽さとリーズナブルな価格設定も相まって、多くの現場で静かなブームを巻き起こしています。もしまだ高精度GNSS測位を試したことがないという方も、この機会にLRTKを導入してみてはいかがでしょうか。省力化・効率化によるメリットを実感すれば、もう以前のやり方には戻れなくなるかもしれません。スマホで始めるRTK測量革命によって、これから現場の可能性はますます広がっていくでしょう。
FAQ
Q. RTK測量で本当に1cm程度の精度が出せるのですか? A. はい、条件が整えば水平位置で約1~3cm、鉛直方向で3~6cm程度の誤差に収まる高精度測位が可能です。ただしこれは衛星視界の良い開けた環境での話です。ビル街や山林では一時的に10cm以上の誤差が出ることもありえます。重要なのは、RTKは通常のGPSに比べて格段に高精度ですが、環境によって多少の誤差が生じうる点を理解しておくことです。
Q. 基準局を用意しなくてもRTK測位はできますか? A. できます。日本全国には国土地理院の電子基準点(GNSS基準局)が整備されており、これを利用したネットワーク型RTK(VRS方式など)の補正サービスが提供されています。移動局側の受信機がインターネット経由で補正情報を受け取れる環境であれば、自前で基地局を設置しなくてもRTK測位が可能です。また日本では準天頂衛星「みちびき」のCLAS信号も活用でき、基地局から遠く携帯通信も届かないようなエリアでも、衛星から直接補強を受けてセンチ精度を得ることができます。
Q. RTKとDGPS(差分GPS)は何が違うのですか? A. DGPS(ディファレンシャルGPS)も基準局からの補正を受ける点でRTKと似ていますが、測位の手法と精度に違いがあります。DGPSは主にコード測位の誤差を補正するため精度は数十センチ~1m程度に留まります。一方RTKは搬送波位相を利用して誤差を数センチまで縮小可能です。またRTKは固定解を得ることで安定した高精度を実現しますが、DGPSは徐々に漂移する誤差を抑える程度なので、長時間安定した測位が必要な場合はRTKの方が優れています。
Q. 測量の経験がなくてもLRTKを使いこなせますか? A. はい。LRTKは専門的な操作を極力排した設計になっており、スマホに接続してアプリを起動すればガイドに沿って測位を開始できます。点を観測して保存するといった基本操作はボタンタップで直感的に行えますし、得られたデータは自動で地図上にプロットされるため分かりやすいです。従来の測量機のように複雑な設定や計算を意識する必要もありません。ただし、RTK測位の原理や注意点(衛星を見通す重要性など)を知っておくと、より確実に高精度を発揮できるでしょう。
Q. LRTKは従来の高精度GNSS機器と比べてどんな利点がありますか? A. 最大の利点はその携帯性と手軽さです。LRTKはポケットに入るサイズなので、現場で機器を持ち歩く負担が大幅に減ります。またスマホと連携することで、リアルタイムにデータをクラウド共有したり現地で成果をすぐ確認したりできる点も強みです。精度についても、実験により数mm~数cmの誤差範囲で測位できることが確認されており、従来の数百万円クラスのGNSS受信機に匹敵する性能を持っています。さらに、みちびきのCLAS信号受信によって通信圏外でも測位を継続できるため、山間僻地での測 量でも威力を発揮します。総じて言えば、LRTKは「精度はハイエンド機器並み、使い勝手はスマホ並み」という新しい測量スタイルを現場にもたらしているのです。
LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上
LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。
LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。
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