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RTK精度に影響する要因:マルチパス・衛星・現場条件

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

RTKとは?リアルタイムキネマティック測位の基礎

マルチパスの影響と対策

衛星数・配置の影響

現場環境の影響

その他のRTK精度に影響する要因

LRTKによる簡易測量

FAQ


RTKとは?リアルタイムキネマティック測位の基礎

RTK測位(リアルタイムキネマティック測位)とは、GNSS衛星からの信号を利用して現場でリアルタイムにセンチメートル級の高精度位置を得る測位技術です。従来のGPS(単独測位)では誤差が数メートル生じますが、RTKでは基準局(ベースステーション)からの補正データを移動局(ローバー)に適用することで、その誤差を数センチまで抑えることが可能です。こうした高精度な位置情報を即時に取得できるRTK技術は、測量や建設、ドローン計測など様々な分野で急速に普及しています。


RTKで最も精度の高い解として「Fix解(固定解)」と呼ばれる結果を得ることが目標となります。Fix解とは、GNSS測位のキャリア位相差から衛星との距離を波長の整数倍として解くことで達成される解で、水平・垂直ともに数センチ未満の誤差に抑えられます。一方、十分な条件が揃わず整数バイアスが確定できない場合は「Float解(浮動解)」となり、精度が数十センチ程度に留まってしまいます。RTK本来の性能を発揮するには、できるだけ安定したFix解を維持する必要があります。しかし、実際のフィールドではマルチパス(電波の反射)、衛星の数や配置(衛星ジオメトリ)、周囲の現場環境など様々な要因で測位精度が低下し、思うようにFix解が得られないこともあります。


次章では、RTK精度に影響を与える主な要因として、マルチパス・衛星・現場環境の3つを中心に解説します。それぞれの要因がRTK測位に与える影響と、その対策について見ていきましょう。


マルチパスの影響と対策

マルチパスとは、衛星から受信機に届く信号が周囲の建物や地面などで反射し、複数経路(マルチパス)で届いてしまう現象です。反射波は直接届く信号(直射波)よりもわずかに遅れて到達するため、受信機が実際よりも距離が長いと判断してしまい、測位に誤差を生じさせます。特にRTK測位では、このマルチパスによる誤差がFix解の取得を妨げたり、精度の低下を招く大きな要因となります。高層ビルが立ち並ぶ都市部(都市キャニオンとも呼ばれる環境)や山間部の岩壁付近、大型の金属構造物の近くなどではマルチパス現象が発生しやすく、注意が必要です。


マルチパス対策としては、基本的に「反射をなるべく避ける環境づくり」が重要です。具体的には次のようなポイントに気を付けましょう:


開けた場所を選ぶ: 測位地点はできるだけ空が広く見渡せ、周囲に反射源となる建物や岩壁、金属フェンス、大型車両などがない場所を選定します。

アンテナを高所に設置する: やむを得ず建物や障害物が近い場所で測位する場合、受信アンテナを可能な限り高いポールや屋上に設置し、地表や周囲からの反射波の影響を受けにくくします。

グランドプレーンを活用: アンテナに金属板などのグランドプレーンを装着できる場合は利用し、アンテナ下方向からの反射波を遮断します。これにより地面からの反射の影響を低減できます。

低仰角の衛星を除外: 受信機の設定で仰角マスク(例えば15°~20°)を設定し、地表面や建物で反射しやすい低角度の衛星信号を除外します。こうすることでノイズの多い信号を排除し、測位精度の維持に役立ちます。

高品質な機材の利用: 可能であればマルチパス除去機能を備えた高性能なGNSSアンテナや受信機を使用するのも効果的です。しかし、機材任せにせずとも上記の環境面の工夫だけで大きな改善が得られます。


これらの対策を徹底することで、マルチパスによる誤差を大幅に減らし、RTKの安定したFix解取得につなげることができます。


衛星数・配置の影響

RTK測位の精度を左右する大きな要因の一つが、利用できる衛星の数とその配置(ジオメトリ)です。測位に使う衛星が空の一方向に偏っていると幾何学的な配置が弱く、位置の不確定性が大きくなります。この状態はDOP値(Dilution of Precision:精度劣化係数)の上昇として表れ、DOP値が高いほど測位誤差も大きくなり、Fix解の安定取得が難しくなります。逆に、衛星が空全体にバランスよく分布しているとジオメトリが強固になり、DOP値は低く抑えられて精度が向上します。


一般にRTKでは初期化(整数固定解を得る)には最低でも5基の衛星が必要です。位置計算自体は4基で可能ですが、誤差補正や信頼性のためにはもう少し余裕がある方が望ましいとされます。実用上は7~8基以上の衛星を同時に捕捉できていると、安定してFix解を維持しやすくなります。ただし必要な衛星数は衛星の配置状況や信号強度、受信環境にも左右されます。最近のGNSS受信機はGPSに加えてGLONASSやGalileo、北斗(BeiDou)、日本の準天頂衛星システム(QZSS「みちびき」)などマルチGNSSに対応しており、複数の衛星測位システムを併用することで利用可能衛星数を増やせます。衛星の数が増えれば、たとえ一部の衛星が遮られても他の衛星で補完できるため、結果としてDOP値が低減し、測位精度と信頼性が向上します。特に都市部など衛星視界が限られる環境では、マルチGNSS対応の受信機で衛星数を確保することが重要です。


衛星配置を最適化する工夫としては、測量を行う時間帯を選ぶことが挙げられます。事前にGNSSプランナー等のツールで衛星の配置を予測し、衛星高度やDOP値の推移を確認して、できるだけDOP値が低い時間帯に作業することで精度向上が期待できます。また、受信機の設定では仰角マスク角度を極端に上げすぎないよう注意します。マスクを高く設定しすぎると衛星数自体が減ってしまい、ジオメトリが弱くなる恐れがあるためです。おおむね15°程度までの低仰角衛星は積極的に利用し、衛星数と信号品質のバランスを取ることが肝要です。万一、衛星の見通しが極端に悪い現場条件では、測位自体を見直す(衛星配置が良くなる時間まで待機する、別の場所から観測する)ことや、複数基準局によるネットワーク型RTKでジオメトリを補うことも検討されます。


現場環境の影響

RTK測位では、測位を行う現場の周囲環境も精度に大きく影響します。基本的に、空が広く開けたオープンな環境ほど衛星信号を良好に受信でき、高精度測位に有利です。逆に、周囲に高層建築物が林立する市街地や樹木が生い茂る森林内、山間部の谷間などでは、衛星からの電波が遮蔽されて受信できなかったり、弱く減衰したりします。その結果、利用できる衛星数が不足してRTKのFix解が得られにくくなったり、精度が著しく低下することがあります。


例えば、樹木の葉が茂った林内ではGNSS信号が葉に遮られてしまい、受信強度の低下やサイクルスリップ(信号途絶)の発生によって測位解がFloatに落ちてしまうことが頻発します。また、トンネルや高架下ではそもそも衛星がほとんど見えないため、RTK測位は事実上不可能です。このように現場のロケーションによってRTKの精度や可用性は大きく左右されるため、可能であれば測位は見通しの良い場所で行うようにし、どうしても遮蔽物が多い場所では作業時間帯を工夫する、アンテナを遮蔽物から遠ざけるなどの対策が求められます。


さらに、現場にはGNSS以外の要因も潜んでいます。例えば、高圧送電線やテレビ塔の近く、あるいは工事用無線機やWi-Fiアクセスポイントが多数稼働する環境では、強力な電波ノイズがGNSS受信を妨げる可能性があります。こうした電波干渉源から距離を取ることも、現場における精度確保のポイントです。日本では準天頂衛星(みちびき)のように天頂付近から電波を補強する衛星も活用できますが、根本的には「空が見える場所」で測位するのが安定したRTK精度への近道と言えるでしょう。


その他のRTK精度に影響する要因

上記のほかにも、RTK測位の精度やFix解の安定性に影響を与える要因はいくつか存在します。代表的なものを挙げます:


基準局との距離(基線長): RTKは基準局(固定局)と移動局(ローバー)の相対測位によって高精度を得る方式のため、両者の距離(基線長)が長く離れすぎると精度が低下します。同じ衛星からの信号でも、基地局とローバーの距離が遠いと電離層や対流圏による遅延誤差の差分が大きくなり、補正が効きにくくなるからです。一般に基線長は10km以内が望ましく、それ以上になるとFix解の取得に時間がかかったり、誤差が数センチ以上に拡大したりする可能性があります。広範囲を測位する場合は、ネットワーク型RTK(VRSなど)を利用して仮想基準局を近傍に設置することで実質的な基線長を短縮する手法が有効です。

大気圏内の影響: GNSS信号が地球の大気を通過する際に受ける影響(電離層遅延・対流圏遅延)も精度に影響します。RTKでは同じ瞬間に同じ衛星信号を受信することで電離層・対流圏誤差の大部分を相殺していますが、それでも基地局とローバー間の大気差が大きい場合や太陽活動が活発な時期には、わずかな誤差残差が測位精度を劣化させることがあります。最新のRTKシステムではデュアル周波数やトリプル周波数の受信機により電離層誤差を消除したり、高度な対流圏モデルで補正を行っていますが、極端な気象条件や電離層乱れが生じている場合には精度維持の課題が残ります。

通信・設定要因: RTKはリアルタイム補正を要するため、基地局からの補正データを安定して受信できる通信環境も重要です。通信遅延や途切れがあると補正が適用できず、解がFloatに落ちてしまう原因となります。また、基準局座標の設定ミスや測地系の不一致といった人的要因も出力座標の正確さに影響します。これらを防ぐため、補正情報は適切なフォーマット・サービスを選択し、通信状態を常に監視すること、そして基準局の既知座標や使用座標系を正しく設定することが大切です。


LRTKによる簡易測量

ここまで見てきたように、高精度なRTK測位を安定して行うには機器の設定や環境条件に気を配る必要があります。しかし近年では、そうした負担を軽減し誰でも手軽にRTK測量を行えるソリューションも登場しています。その代表例がLRTKシリーズです。LRTKは、弊社が提供する小型高精度GNSS受信機とスマートフォンアプリからなる製品で、専門知識がなくても現場でセンチメートル級測位を簡単に実現できます。その魅力は一言で言えば「小型軽量簡単操作高精度」の三拍子が揃っていることです。


小型軽量: 従来の測量用RTK機器はバッテリーや三脚を含めて大掛かりでしたが、LRTKシリーズの受信機はポケットに入るほどコンパクトです。例えばスマートフォン一体型の「LRTK Phone」というモデルは重量わずか約125g・厚さ13mmほどで、手持ちのスマホに装着して携帯できる設計です。現場で常時携帯しても苦にならず、必要なときにすぐ使える一人一台の測量ツールとして活躍します。

簡単操作: LRTKは専用スマホアプリと連携し、直感的な操作でRTK測位を行えるよう工夫されています。BluetoothやWi-Fiでスマホと受信機を接続し、アプリ上で補正情報の設定や測位モードの切替、データ記録をワンタップで実行可能です。電源を入れてアプリを起動すれば即座に測位を開始でき、写真撮影と測位データの記録、点群スキャンなども一括して行えます。複雑なGNSSの設定を意識する必要がないため、専門担当者でなくとも現場で扱いやすく、測量作業のハードルを大きく下げます。

高精度: 小型で手軽でも測位精度は非常に高く、安定してセンチメートル級のFix解を得られます。上位モデルの「LRTK Pro2」では日本の準天頂衛星みちびきが提供するCLAS補強信号にも対応しており、携帯電波が届かない山間部でも衛星経由で補正を受けて高精度測位が可能です。また、一部モデルには傾斜補正機能(チルトセンサー)が搭載されており、ポールを傾けた状態でも先端の位置を自動補正できます。障害物を避けてアンテナを傾けざるを得ない場面でも正確な点の座標を取得でき、現場での作業効率向上に貢献します。さらに、測位データをアプリ側で平均化することで、単点でも数ミリ~1cm程度まで精度を安定させることが可能です。


従来は測量の専門知識や大掛かりな機材が必要だったセンチメートル精度の位置計測も、LRTKを活用すれば誰もが簡易に実施できる時代になってきました。高層ビルが立ち並ぶ都市部でのインフラ点検や、携帯圏外の山間部での測量、さらには施工現場での出来形管理まで、LRTKによる新しい測量スタイルが各所で実証されています。詳しい情報はLRTK公式サイトや事例紹介ページもぜひご覧ください。


FAQ

Q. RTKではどのくらいの測位精度が得られますか? A. 最適な条件下でRTK測位を行った場合、平面位置で約1~2センチ、高さ方向で約2~3センチ程度の精度が達成できます。これには十分な数の衛星が見えていてマルチパスも少なく、補正データも安定受信できていることが前提です。環境条件が悪いと数センチ以上の誤差が生じたり、場合によってはFix解が得られないこともあります。


Q. Fix解とFloat解とは何ですか? A. RTKの測位結果には、Fix解(固定解)Float解(浮動解)の2種類があります。Fix解は衛星と受信機間の距離に含まれる波長の整数個分の位相差(整数バイアス)を正しく解決できた状態で、もっとも高精度な解です(誤差は数センチ未満)。一方、Float解は整数バイアスが解決できず浮動小数点のまま残っている状態で、概ね数十センチ程度の精度に留まります。RTK測位では最終的にFix解を得ることが目標であり、Float解しか得られていない場合は何らかの誤差要因が影響している可能性があります。


Q. RTK測位には最低何基の衛星が必要ですか? A. 一般的にRTKで初期化(整数固定解を得る)するには最低5基程度の衛星が必要と言われます。位置計算自体は4基で可能ですが、誤差補正や信頼性のためもう少し余裕を見ておくのが無難です。実用上は7~8基以上の衛星を同時に捕捉できていると安定してFix解を維持しやすくなります。ただし必要な衛星数は衛星の配置や信号品質、受信環境によっても左右されます。


Q. 基準局からどれくらい離れてRTK測位できますか? A. 基準局とローバーの距離(基線長)は短いほど精度が良好で、目安としては10km以内が望ましいとされます。20km以上離れると電離層や対流圏の影響差により精度が低下し、Fixの維持にも時間がかかりやすくなります。近年はネットワーク型RTK(補正データ配信サービス)を利用すれば数十km離れた地点でも測位自体は可能ですが、誤差はやや大きくなります。高精度を求めるなら実用上はやはり十数km以内で測位するのが望ましいでしょう。


Q. ビル街や森林内でもRTKの高精度測位は可能ですか? A. 衛星視界の悪い都市部や森林内ではRTK測位が不安定になりがちですが、条件次第では可能な場合もあります。マルチGNSS対応の受信機を使ってできるだけ多くの衛星を捕捉し、衛星配置が良い時間帯を選ぶなど計画を工夫します。またアンテナを開けた場所に設置する、延長ポールで樹冠より上に出す等によって衛星視界を改善できます。しかし環境が極端に悪い場合はFix解を維持するのが難しく、定期的にFloat解に落ちることも避けられません。場合によっては測位地点を移動するか、衛星測位以外の補完技術(慣性航法や後処理など)を併用する必要があります。


Q. RTK測量を手軽に始める方法はありますか? A. はい。近年は専門知識がなくても使える簡易RTK測位システムがあります。その一例がLRTKシリーズで、スマートフォンと小型GNSS受信機を組み合わせることで誰でも手軽にセンチメートル精度の測量が可能です。本記事でも紹介したように、LRTKは現場での設定作業や測位の手間を大幅に省いてくれるため、初めてRTKに挑戦する方にもおすすめです。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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