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RTKのジオイドモデル:正しい標高を得るために

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

高精度なRTK測量(リアルタイムキネマティック測位)で位置を測定しても、求めた高さが実際の標高と合わずに戸惑ったことはありませんか? 平面位置は数センチの精度なのに、高さだけが数十メートルも違う――そんな経験をした方もいるでしょう。


GNSSを用いたRTK測位で得られる高さは、私たちが普段使う「標高」と基準が異なるため、そのままでは大きなずれが生じる場合があります。この差を埋め、正しい高さ(標高)を算出するために欠かせないのがジオイドモデルです。本記事では、RTK測量におけるジオイドモデルの役割と重要性を解説し、正しい標高を得るためのポイントを詳しく紹介します。最後に、最新技術であるLRTKを活用した手軽な測量方法についても触れます。それでは、さっそく見ていきましょう。


目次

ジオイドとは何か?

標高・楕円体高・ジオイド高の関係

RTK測量でジオイドモデルが重要な理由

ジオイドモデルを用いた標高の求め方

ジオイドモデル利用時の注意点

LRTKによる簡易測量

FAQ


ジオイドとは何か?

ジオイドとは、簡単にいえば「平均海水面を陸地の下まで延長した仮想の水面」です。日本では東京湾の平均海面を高さ0mの基準(=標高の基準面)としており、その海水面を地球全体に広げたものがジオイド面と定義されます。ジオイド面上のどの地点でも重力ポテンシャルが等しく、水が静かに水平に保たれる面になります。言い換えると、「地球上で水が自然に水平に落ち着く面」がジオイドです。


ジオイドは地球の実際の地形ではなく、重力にもとづく基準面なので数学的に定義された回転楕円体とは異なりデコボコしています。地球の形に近い基準楕円体(例えば日本ではGRS80楕円体)と比べると、ジオイド面には全球で±100mほどの起伏があり、日本付近でも地域によって高低差があります。日本ではジオイド面は概ね基準楕円体より30~40m程度低い位置にあり、その差が地域ごとのジオイド高を意味します。つまり、ある地点で基準楕円体からジオイドまで垂直に下ろした距離(楕円体面とジオイド面の差)がジオイド高です。この値は地点の緯度・経度によって異なり、公式のジオイドモデルを使って求めることができます。


標高・楕円体高・ジオイド高の関係

RTK測量の高さを理解するために、まず混同しやすい高さの用語を整理しましょう。


標高:ジオイド面(平均海面)から測点までの高さ。一般に地図や工事で使われる「海抜○m」の値で、水準点などで管理されている物理的に意味のある高さです。

楕円体高:基準楕円体面から測点までの高さ。GNSS測位で直接求まる高さで、地球重心を中心とした回転楕円体(例:GRS80)上の幾何学的な高さです。重力のムラを考慮していないため、標高とは数十m規模で異なる値になります。

ジオイド高:基準楕円体面からジオイド面までの高低差。楕円体高と標高を結びつける補正値で、地点ごとに異なります。公式のジオイドモデルを用いることで任意の地点のジオイド高を求めることができます。


これらの関係はシンプルに表せます。標高 = 楕円体高 - ジオイド高 です。言い換えれば、GNSSで得た楕円体高からその地点のジオイド高を差し引けば標高(正確な高さ)が算出できます(逆に標高にジオイド高を加えれば対応する楕円体高が得られます)。実際にはジオイド面と楕円体面は完全に平行ではないため厳密には微小な差異がありますが、通常の測量では無視できる程度のわずかな差です。そのため実務上は上記の関係式で問題なく高さ換算できます。


ちなみに、日本ではGNSS測位で得られる楕円体高(世界測地系)と標高の基準(東京湾平均海面)との間には、およそ30m前後の差があります。このジオイド高を適用することで両者の高さを相互に換算できるわけです。


RTK測量でジオイドモデルが重要な理由

では、なぜRTK測量においてジオイドモデルによる高さ補正がそれほど重要なのでしょうか。理由は大きく2つあります。


1. 物理的に意味のある高さを得るため 重力の影響を無視した高さでは、現実の水の流れや水平の基準を正しく表現できません。例えば楕円体高だけを高さとして使用すると、水が低い所から高い所へ流れるといった直感に反する現象が理論上起こり得ます。インフラ設計や治水を考える上で、これは致命的な誤りにつながります。そのため高さ基準にはジオイドを用いた標高が採用され、重力に基づく標高こそが物理的に意味のある高さと位置付けられています。ジオイド面を基準にすれば、標高差がそのまま「高い所から低い所へ水が流れる方向」と一致し、直感的にも整合した高さ情報となるのです。


2. GNSS測位の高さを実務で活用するため 近年、GNSS衛星を使った高精度測位(RTK-GNSS測量など)が土木・建設の現場で広く普及してきました。衛星測位で直接得られる高さは前述のとおり楕円体高であり、従来の標高とは基準が異なります。しかし実務で必要となるのは図面や設計で用いる標高(海抜高度)です。そのため、GNSSで観測した高さから標高を得るにはジオイド高による補正(ジオイドモデルの適用)が不可欠です。


ジオイド補正を行わないままでは、高さが数十メートルもずれて実用にならないケースすら起こりえます。これは測位精度の問題ではなく基準面の違いによるズレであり、GNSS自体の精度がいくら高くてもジオイド補正しない限り解消できません。実際、スマートフォンのGPSアプリなどでも端末によって表示高度が大きく異なる場合があります。Android端末では楕円体高をそのまま表示するのに対し、iPhone(iOS)では内部でジオイド補正して標高に近い高さを表示すると言われており、同じ場所なのに機種によって「高度が何十mも違う!」という混乱が起こりうるのです。それほどまでにジオイドモデルによる高さ補正は高さ測定において不可欠であり、RTK測量で正しい標高を得るためには欠かせないプロセスなのです。なお、iOSでは全世界向けの代表的なジオイドモデル(例:EGM96)が高度補正に使われていると推測されますが、日本で厳密な標高を求めるには国土地理院のジオイドモデルを適用する必要があります。要するに、ジオイド高を知らずにGNSS測量の高さをそのまま使うことは非常に危険であり、逆にジオイドモデルを正しく適用すれば水準測量を行わずとも現場で高精度の標高を求められるということです。


ジオイドモデルを用いた標高の求め方

それでは、実際の測量でGNSSの高さからどのように標高(正しい高さ)を求めればよいでしょうか。主な方法は2通りあります。


GNSS受信機でジオイド補正を適用する 最近の高精度GNSS機器(RTK受信機など)には、あらかじめジオイドモデルが組み込まれていて測位と同時に楕円体高から標高への換算ができるものが多くあります。設定画面で地域に対応したジオイドモデル(例えば日本なら「日本のジオイド2011」や「ジオイド2024日本」など)を選択すれば、受信機が出力する高さを自動的に標高(ジオイド補正後の高さ)にすることができます。現場の測量担当者にとって、特別な計算をせずそのまま標高が得られるため便利です。ただし、基準点(ベース局)の座標入力時には注意が必要です。機器やソフトウェアが要求する基準点の高さが楕円体高なのか標高なのかを確認し、誤った基準面の値を入力しないようにしましょう。例えば、既知点の「標高」しか手元にない場合、その値をそのまま基準局に楕円体高として設定してしまうと、測位結果にジオイド高分の誤差が丸ごと乗ってしまいます。基準局の設定は、必ず求める高さの基準と整合した値を用いることが大切です。

ジオイド高を用いて手動で換算する お使いのGNSS機器にジオイドモデルが搭載されていない場合や、観測データを後処理して標高に変換したい場合は、自分で楕円体高にジオイド高を適用して換算します。国土地理院が提供する公式のジオイドモデル(日本全土をカバーするジオイド高の格子データ)を利用すれば、任意の地点のジオイド高を知ることができます。たとえば国土地理院のウェブサイトには「ジオイド高計算」のサービスがあり、緯度経度を入力するとその地点のジオイド高が求められます。また、ジオイドモデルの数値ファイル(先述の「日本のジオイド2011」や最新の「ジオイド2024日本」モデルなど)をダウンロードしてGISソフト等で利用することもできます。観測した楕円体高データから対応するジオイド高を差し引けば標高が算出できます(例えばGNSSで楕円体高が50.00mと得られた地点で、その地点のジオイド高が30.00mなら、標高は20.00mとなります)。公式ジオイドモデルの精度は非常に高く、実測の標高との差はおおむね2~3cm程度と言われています。適切に適用すれば、従来の水準測量に匹敵する精度で高さを得ることが可能です。


ジオイドモデル利用時の注意点

最後に、RTK測量でジオイドモデルを適用する際に押さえておきたいポイントをまとめます。


ジオイドモデルの版を確認:使用するジオイドモデルのバージョンや基準系に注意しましょう。日本のジオイドモデルは2000年版、2011年版と改良されてきており、最新の「ジオイド2024日本」はより精度が高くなっています。公共測量では2025年以降「ジオイド2024日本」の使用が推奨されており、新旧モデル間で地域によっては数cmの差が生じます。指定されたモデルがある場合は指示に従い、正しいジオイドモデルを用いることが重要です。

基準点座標の基準面に注意:RTKの基準局を設置する際などに既知点の座標を入力する場合、求める高さの基準(楕円体高か標高か)を必ず確認しましょう。楕円体高を要求している場面で誤って標高を入力してしまうと、結果にジオイド高分の誤差が加わってしまいます。逆も然りで、設定の基準面を取り違えないよう注意が必要です。

GNSS測位自体の誤差も考慮:ジオイド補正を施せば理論上は楕円体高から正確な標高が得られますが、現実の観測にはGNSS測位の固有誤差も影響します。衛星信号の受信状態や対流圏の影響、マルチパス(電波反射)などにより高さ精度が劣化することがあるため、測位条件が悪い場合は最終成果に多少の誤差が残る可能性があります。ジオイドモデルの導入で水準測量並みの高さが即座に求められますが、現場の状況による観測誤差も踏まえて測定結果を判断しましょう。


LRTKによる簡易測量

RTK測量をより手軽に行いたいと考えている方には、LRTKという最新のソリューションがあります。LRTKはスマートフォンに取り付けて使う超小型のRTK-GNSS受信機で、専用アプリと組み合わせることで1人でも簡単にセンチメートル級測位が可能です。これまで高価な測量機器や専門知識が必要だったRTK測量を、スマホ片手に誰でも実践できるように設計されています。LRTKは土木工事における墨出し作業や出来形管理、インフラ設備の維持点検など幅広い用途で活用が広がっています。現場監督や測量担当者はもちろん、測量の専門外の方でも、LRTKがあれば必要なときにすぐ正確な測位を行うことができます。


LRTKを用いれば、高さの取り扱いも非常に簡単です。LRTKアプリ上では、測位と同時に標高への換算が自動で行われます。例えば日本測地系(JGD2011)における標高やジオイド高がリアルタイムに計算・表示されるため、利用者は高度の換算を意識する必要がありません。もちろん平面位置も公共座標系(平面直角座標系)に対応しており、得られたデータはその場でクラウドに保存・共有することも可能です。ポケットサイズのLRTK端末とスマートフォンさえあれば、従来は2人がかりだった測量作業も1人で完結します。正しいジオイドモデルを踏まえた高さ情報を含め、必要な座標データを即座に取得できるLRTKは、現場の生産性と測量精度を大きく向上させるでしょう。手軽さと精度を両立したLRTKで、これまでになく簡易なRTK測量を体験してみてください。


FAQ

Q. 標高と楕円体高の違いは何ですか? A. 標高は平均海面(ジオイド)基準の高さで、楕円体高は人工的な基準楕円体基準の高さです。同じ地点でも基準面が異なるため両者の値は大きく異なります(日本では楕円体高のほうが標高より30~40m程度高くなります)。そのためGNSSで観測した高さ(楕円体高)をそのまま標高として利用することはできません。


Q. RTK測量になぜジオイドモデルが必要なのですか? A. GNSS測量で得られる高さは標高ではなく楕円体高だからです。実務で使用するためには、楕円体高にジオイド高で補正をかけて標高を求める必要があります。ジオイドモデルによる補正なしにRTK測量の高さを使うと、実際の標高と比べて数十メートルの誤差が生じてしまいます。


Q. GNSSで水準測量と同じ精度の高さが求められますか? A. 適切にジオイド補正を行えば、ほぼ水準測量に匹敵する高さ精度が得られます。国土地理院のジオイドモデルを用いた場合、GNSSで求めた高さと水準測量による高さとの差は標準偏差でおよそ2~3cmと報告されています。十分な衛星測位環境が確保できていれば、RTK-GNSSだけで実用的に遜色ない精度の標高が測定可能です。


Q. 日本ではどのジオイドモデルを使えばいいですか? A. 現在推奨されるのは最新の「ジオイド2024日本」です。2025年以降の公共測量でもジオイド2024日本の使用が推奨されています。ただし業務で特定のジオイドモデルの指定がある場合はそれに従ってください。なお、古い測量成果との整合をとりたい場合などには、従来モデルの「日本のジオイド2011」を用いることもあります。


Q. LRTKではジオイド補正が自動で行われますか? A. はい。LRTKの専用アプリに日本のジオイドモデルが実装されており、測位結果の高さは自動的に標高(ジオイド補正後の高さ)に換算されて表示されます。ユーザー自身が手計算で補正する必要はなく、その場で正しい標高データを取得できます。


Q. RTK-GNSSで高さを測れば水準測量は不要ですか? A. RTK-GNSS測量でもほとんどの場面で水準測量と同等の精度で高さを求められるため、実務では水準測量の手間を省略できるケースが増えています。ただし、ミリメートル単位の極めて高精度を要する場面や、GNSSの受信環境が不十分な場合、あるいは基準点間のごく近距離の高低差測定などでは、依然として水準測量が有効です。また、測量成果の精度管理や確認のために重要な基準点では、GNSS測量と水準測量を併用して相互にチェックすることが望ましいでしょう。


Q. ジオイド高はどのように求められているのですか? A. 地球の重力を詳細に観測することでジオイド高が算出されています。国土地理院では全国各地で測定した重力値や水準測量の成果、衛星測位による楕円体高データなどを組み合わせて精密なジオイドモデルを作成しています。また、人工衛星による重力観測データも活用されており、全球的なジオイドモデルの精度も年々向上しています。そのため公式ジオイドモデルは、実際の平均海面の起伏を数センチの精度で再現できているのです。


Q. ジオイドモデルのデータはどこで入手できますか? A. 国土地理院のウェブサイトから日本全国のジオイドモデルデータをダウンロードできます。たとえば「基盤地図情報ダウンロードサイト」では、最新のジオイドモデル(JPGIS形式の格子データなど)を取得可能です。また、国土地理院が公開している「ジオイド高計算」サービスを利用すれば、地名や緯度経度から対象地点のジオイド高をすぐに調べることができます。


この記事では、RTK測量で正しい標高を得るためのポイントと、最新RTKソリューションLRTKについてご紹介しました。ジオイドモデルを正しく理解・活用し、こうした最新ツールを取り入れることで、測量業務の効率と精度を大幅に高めることができます。現場での作業効率アップにもつながるでしょう!ぜひ皆さんも現場で積極的に活用してみてください。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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