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RTKがときどきズレる理由:本当の原因と防ぎ方

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この記事は平均4分45秒で読めます
万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

原因1: 基準局座標や測地系の設定ミス

原因2: 補正が反映されずFloat/単独測位になっている

原因3: 衛星環境の悪化やマルチパスによる測位誤差

原因4: 基線距離が長い・大気の影響による精度低下

原因5: 機器の取り扱いミスや垂直方向の誤差要因

LRTKによる簡易測量とは

FAQ


RTK(Real Time Kinematic)測位は、GNSS衛星の補正情報をリアルタイムに適用することで、従来のGPS測位よりはるかに高い精度(センチメートル級)を実現する技術です。近年、土木測量や建設現場でもRTK測量の活用が急速に広がり、丁張りの設置や出来形管理などを効率化する重要な手段となっています。しかし、高精度が得られるRTKでも「ときどき位置がずれてしまう」という問題に直面することがあります。現場の測量士からは「RTKで測った位置が既知点と合わなかった」「高さが数センチずれていて困った」といった声が聞かれることもあります。


なぜRTK測位でこのようなズレが発生してしまうのでしょうか。本記事ではRTKがときどきズレる主な原因と、その防止策(対策)について解説します。誤差の真の原因を正しく理解し、適切に対処することで、RTK測量を安定して行えるようになるでしょう。記事の最後には、こうした問題を根本から解決して手軽に高精度測位を行う方法としてLRTKによる簡易測量も紹介します。


原因1: 基準局座標や測地系の設定ミス

RTK測量では、基準局(ベース)に正確な既知座標を設定することが基本です。しかし、この基地局座標の設定ミスがズレの原因となるケースが少なくありません。例えば、基準点の座標値を入力する際に一桁間違えてしまったり、座標系・測地系を誤って設定してしまうと、本来得られるはずの位置から大きくずれた結果が出てしまいます。日本の平面直角座標系を使用する場合にゾーン番号を誤ると、測位結果全体が数十メートルもずれてしまうといった重大なミスにつながります。また、海外でRTK測量を行う際には、日本とは異なる測地系(データム)の違いにより座標の基準の食い違いが起きることがあります。測地系が合っていないまま測位すると、たとえRTKでセンチ級に測れたとしても、地図や図面の座標とは数メートル規模で位置が合わなくなる恐れがあります。


さらに高さ基準の違いにも注意が必要です。RTK受信機が算出する高さは通常「楕円体高」(GPS基準楕円体からの高さ)ですが、土木測量で用いる標高は「平均海面からの高さ(Orthometric Height)」すなわちジオイド高を基準にしています。両者には地域によって数十メートルの差があり、日本国内でも楕円体高と標高を比較すると約+35~40mほど楕円体高が高い値になります。したがって、RTKで得た高さをそのまま現場の標高と比較すると「思ったよりずれている」という事態になりかねません。


対策:


基準局に設定する座標値や測地系は事前に十分確認し、入力ミスや設定違いがないよう徹底しましょう。

既知点の座標を使用する際は測地系(世界測地系(JGD2011)か旧測地系かなど)を統一し、必要に応じて座標変換やローカライゼーションを実施します。

高さについても、ジオイドモデルを用いて楕円体高から標高への補正を行い、基準水準面と整合を取るようにしましょう。

測位後にはRTKで得た座標と既知の基準点を照合し、ずれがないかチェックする習慣をつけます。

座標設定時のヒューマンエラーを防ぐため、作業手順書やチェックリストを活用し、複数人で相互確認することも有効です。


原因2: 補正が反映されずFloat/単独測位になっている

RTKによる高精度測位を得るには、移動局(ローバー)が常に基準局からの補正データを受信していることが前提です。ところが、通信トラブルや設定ミスによって補正情報がローバーに届かないと、RTKの補正が効かない状態になります。その結果、解(ポジション解)のステータスがFloat(浮動解)Single(シングル解: 単独測位)のまま測定してしまい、位置が大きくずれる原因となります。Float解とは補正データを受け取ってはいるものの未だ整数値の誤差解決に至っていない状態で、精度は概ね±0.5〜1m程度にとどまります。またSingle解(いわゆるDGPS無しの単独GNSS測位)の場合、±数m以上の誤差が発生してしまいます。現場で機器の表示を見落とし、「きっと合っているだろう」とFloatのまま作業を続けてしまうと、後で測り直しや手戻りが発生するリスクが高まります。


対策:


測位中は常に受信機のステータス表示を確認し、FIX(固定解)になっていることを確かめてから測点を記録・設置しましょう。

FloatやSingleの表示になっていたら、慌てずにFIXに切り替わるのを待つか、アンテナの設置場所を変えるなど環境を調整してみます。

無線機やNTRIPの接続設定が正しいか、補正サービスの利用期限が切れていないかなど通信面もチェックしましょう。基準局・移動局の双方で通信状態をモニターし、補正データが届いていない場合は原因を速やかに特定して対処します。

「いつの間にかFloatに落ちていた」という事態を避けるため、こまめにステータス画面を確認する習慣を身につけ、異常を見逃さないようにしてください。


原因3: 衛星環境の悪化やマルチパスによる測位誤差

RTK測位はGNSS衛星からの信号を利用するため、衛星を受信する環境が悪いと精度に影響が出ます。周囲に高い建物や森林があると空が遮られて追跡できる衛星数が減少し、測位の幾何配置(ジオメトリ)が劣化してしまいます。また、コンクリート壁や金属面で電波が反射するとマルチパス(多重経路誤差)が生じ、測定結果にバイアスやノイズを発生させます。例えばビル街でビル陰に入ったり、高架下・樹林下での測量では、補正情報が届いていても衛星信号自体が不安定になり、RTK解がなかなかFIXしなかったり精度が乱れたりすることがあります。


対策:


アンテナは空が広く開けた見通しの良い場所に設置し、周囲の衛星視界を確保しましょう。基地局アンテナは屋上やポールなど高所に据え付け、理想は360°遮るものがない環境です。

移動局(ローバー)で観測する際も、可能な限り上空の開けた地点を選びましょう。樹木の下やビル陰など衛星がほとんど見えない場所では精度が著しく低下します。

強い反射源となる金属製の構造物、大型車両、鏡面状の水面の近くでの測位は避けてください。どうしても避けられない場合は、測定前にそれらを移動・除去するか、アンテナにグランドプレーン(反射防止板)を装着するなどしてマルチパス対策を講じます。

受信機はできればGPS・GLONASS・Galileo・みちびき(QZSS)といったマルチGNSS対応のものを使用しましょう。複数の衛星群を追跡できれば、衛星数が不足しがちな環境でも精度維持に有利です。


原因4: 基線距離が長い・大気の影響による精度低下

RTKでは基準局と移動局の距離(基線長)が長く離れるほど、精度が徐々に低下する傾向があります。これは、基準局との相対測位で打ち消しきれない大気圏誤差(電離圏・対流圏による遅延)が距離とともに増えてしまうためです。一般に高性能なRTK-GNSS機器でも「±(8mm + 1ppm)」程度の測位誤差仕様があり、1ppmとは基線距離1kmあたり約1mmの誤差を意味します。つまり、基地局から10km離れれば理論上約1cm、20km離れれば約2cmの追加誤差が生じる計算です。特に対流圏の状態差は高さ方向のバイアス誤差を生みやすく、遠距離RTKでは垂直方向の精度が悪化しやすいことが知られています。


対策:


基準局と移動局の距離は可能な限り短く保ちましょう。基地局を自設置するなら現場の中央に近い場所に置くと効果的です。

難しい場合は、国土地理院の電子基準点やVRS方式(仮想基準点)などネットワーク型RTKサービスを活用し、実質的な基線長を短縮する方法も検討してください。

受信機はデュアル周波数対応(L1/L2など)の高精度GNSS機を使いましょう。二周波観測で電離圏誤差の影響を低減でき、長距離でもFIX解を得やすくなります。

衛星数が十分でも基線長の影響で精度が不安定な場合は、受信機の再起動や別の補強手段(準天頂衛星CLASの利用など)に切り替えてみることも有効です。


原因5: 機器の取り扱いミスや垂直方向の誤差要因

RTK測量は高度な機器による精密測位ですが、人為的なミスや運用上のわずかな誤りが思わぬズレを招くこともあります。例えば、移動局ポール(スタッフ)を垂直に立てているつもりでも少し傾いてしまうと、その分だけ測点の座標がずれてしまいます。高さ2mのポールが1°傾けば、水平位置は約3cmもずれる計算です。本来、ポールは気泡管(水準器)で厳密に垂直を保つ必要がありますが、現場では完全に直立させるのが難しい場合もあります。同様に、アンテナ高(ポール先端からアンテナ基準点までの高さ)の入力ミスがあれば、測位結果の高さ成分が誤ってしまいます。また、受信機やIMUセンサーのキャリブレーション不良があれば、傾斜補正機能などもうまく働かず誤差要因となりえます。


さらに、RTK測位では垂直(高さ)方向の精度が水平よりも劣る傾向がある点にも留意が必要です。衛星の配置上、上空からしか測れない高さ方向はどうしても測位ジオメトリが弱く、少しの誤差要因で数センチ程度のズレが生じやすいのです。実際、国土地理院の公共測量マニュアルでもRTKの許容誤差は「水平15mm以内・高さ50mm以内」と定められており、高さに関しては水平より緩い基準となっています。裏を返せば、数センチ程度の高さズレはRTKでは許容範囲内とも言えます。とはいえ、現場で高さが5cmずれれば丁張りや出来形に影響する可能性があり、無視はできません。


対策:


ポールの気泡管で垂直をよく確認し、傾いたまま測定しないよう徹底しましょう。ポールがわずかに傾いただけでも数センチの誤差につながります。

IMU内蔵で傾斜補正が可能なRTK受信機を使えば、ポールが多少傾いても正確な座標を取得できます。狭い現場ではこうした機能を活用すると安心です。

アンテナ高(機器高)の入力ミスがないよう、現場ごとに設定を確認してください。また受信機やセンサーのキャリブレーション(較正)は定期的に実施しましょう。

測量中は必ずチェック測量を行いましょう。既知の基準点をRTKで測ってみて、誤差が大きい場合はただちに原因を調査し、解決してから本測に臨むことが重要です。


LRTKによる簡易測量とは

以上、RTKがときどきズレてしまう主な原因と対策を見てきました。それでも現場によっては、「アンテナを十分動かせない狭い場所がある」「どうしても長距離になってしまう」「専門的な設定に自信がない」といった課題も残るかもしれません。そんなときに役立つのが、弊社が提供するLRTKによる簡易測量ソリューションです。


LRTKは、小型高性能のRTK-GNSS受信機とスマートフォン用アプリから構成されており、現場での高精度測位をより手軽かつ確実に行うために開発されました。従来の機器とは一線を画すいくつかの特長によって、前述したRTK測量のズレ要因をハード・ソフト両面からカバーしています。


マルチGNSS・デュアル周波数対応で安定測位: LRTK受信機はGPSだけでなくGLONASSやGalileo、みちびき(QZSS)など複数の衛星群を同時に利用し、L1/L2の2周波数帯で測位が可能です。都市部でも常に十分な数の衛星を捕捉でき、電離層誤差の除去精度も高まります。衛星数不足や長距離による精度低下を防ぎ、より短時間で安定してFIX解を得やすくなっています。

CLAS衛星補強信号に対応: 日本の準天頂衛星みちびきが提供するセンチメータ級補強サービス(CLAS)の信号を直接受信できるモデルもあり、RTK基地局を設置できない現場でも衛星から補正情報を取得して単独でセンチ級測位を実現できます。通信圏外の山間部や電波遮蔽の多い環境でも高精度を維持でき、無線通信の途絶や長い基線長を気にせず測位できるのは大きなメリットです。

スマホ連携による簡単操作: 専用スマートフォンアプリを使って、基準局・移動局の設定や接続状況を直感的に管理できます。衛星の受信状態や補正データのステータスも画面上で一目で確認できるため、もしFIXにならない場合でも原因を素早く特定できます。煩雑なNTRIP設定も、主要な補正サービスの情報がプリセットされており、リストから選ぶだけで接続可能です。専門知識がない担当者でも正しく運用できるユーザーフレンドリーな設計がLRTKの強みです。

クラウド連携と傾斜補正: 測位データはリアルタイムにクラウドと同期でき、事務所に戻る前に成果を共有・チェックできます。さらにLRTK受信機は内蔵の傾斜センサーによって、ポールが傾いた状態でも自動補正して正確な座標を取得可能です。狭い場所でポールを垂直に立てられない場合でも測点を逃さず測れるため、作業効率の向上につながります。


このようにLRTKは、RTK測量の精度と利便性を両立する次世代の簡易測量ソリューションです。現場で起こりがちな「位置が合わない」「FIXにならない」といったトラブルを大幅に減らし、誰でも簡単に安定した高精度測位を実現できるよう設計されています。もし現在の運用でRTKのズレや設定にお困りなら、LRTKへの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。複雑な条件下でも頼れる心強いパートナーとなってくれるでしょう。


FAQ

Q1. RTKの固定解(FIX)で得られる精度はどのくらいですか? またFloatやSingleだとどれほど誤差が大きいのですか? A. 一般にRTKのFIX解が得られれば、水平・垂直とも誤差はおおむね±数センチ以内に収まります。対して、Float解のままでは±数十センチ程度のズレが生じ、Single(補正なし単独測位)では±数メートル以上ずれてしまいます。例えばLRTKシステムの目標精度では、Single時は10m以内、Float時は1m以内、FIX時は2cm以内とされています。厳密な測位が必要な作業では、FloatやSingleのままでは不十分であり、必ずFIXを得てから測定値を採用するようにしましょう。


Q2. RTKでFIX解を得るには最低何個の衛星が必要ですか? A. アルゴリズムにもよりますが、一般的には5個以上の衛星を基準局・移動局双方で同時に捕捉している必要があると言われます。GPSのみの場合、4個では単独測位がやっとで、RTKの固定解を得るには不足です。最近のマルチGNSS対応機では同時に10個以上の衛星から信号を受信できるため、衛星数が原因でFIXできないケースは減りました。しかし、衛星の配置(ジオメトリ)も重要です。空の一方向に偏って衛星が集まっている場合、いくら数が多くても精度は出にくくなります。衛星が満遍なく広がる時間帯を選ぶことも、結果的に早くFIXを得る近道となります。


Q3. RTK開始からFIXになるまで通常どれくらい時間がかかりますか? A. 条件が良ければ、RTK測位を開始して30秒~2分程度でFIXに至ることが多いです。空が開けて衛星信号が安定していれば、受信機起動後1分以内に固定解になる例もあります。逆に環境が悪かったり初期設定に手間取ると、5分以上Floatのまま経過することもあります。一度FIXを得られれば、その後は通信が切れない限り基本的にFIX状態が維持されます。もし5分以上経ってもFIXにならない場合は、本記事で挙げたような原因がないか振り返り、設定や環境を見直してみましょう。場合によっては受信機を再起動したり、測位場所を変えた方が早くFIXできることもあります。


Q4. 天候や時間帯によってRTK精度に影響はありますか? A. 雨や曇りといった天候そのものはGNSS信号への影響が小さいため、晴天でも悪天でもRTKがFIXしにくさに大きな差はありません。ただし、豪雨の際には衛星電波の減衰が大きくなるため通常よりFIXに時間がかかることがあります。また雷雨時は安全のため測量を中断すべきです。一方、時間帯によっては利用できる衛星の配置(位置関係)が変化するため、RTKの測位精度やFIXのしやすさに違いが出ることがあります。衛星高度の低い深夜帯よりも、衛星がバランスよく見える時間帯を選んで作業した方が精度向上に有利です。加えて、太陽活動が活発な時期は電離圏擾乱が増え、GNSSに悪影響を及ぼす場合があります。極端な例ではオーロラが観測されるような磁気嵐の際にRTK解が不安定になるケースも報告されていますが、日常の測量作業においてはそれほど神経質になる必要はないでしょう。


LRTKで現場の測量精度・作業効率を飛躍的に向上

LRTKシリーズは、建設・土木・測量分野における高精度なGNSS測位を実現し、作業時間短縮や生産性の大幅な向上を可能にします。国土交通省が推進するi-Constructionにも対応しており、建設業界のデジタル化促進に最適なソリューションです。

LRTKの詳細については、下記のリンクよりご覧ください。

 

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