仮設道路は、工事期間中だけ使う道路であっても、資材搬入、重機移動、作業員の通行、安全管理、排水管理に大きく関わる重要な施工基盤です。特に盛土部、切土部、軟弱地盤、河川沿い、造成地、狭い現場通路では、わずかな勾配の乱れが水たまり、ぬかるみ、車両の横滑り、段差、轍、沈下、すり付け不良につながります。RTKで取得した現況点を断面図として確認すると、平面図だけでは見えにくい高低差や横断勾配、縦断勾配の変化を把握しやすくなります。
この記事では、「RTK 断面図」で仮設道路の勾配を確認したい実務担当者に向けて、現場で見落としやすい6つの要点を整理します。仮設道路は恒久道路より簡易に扱われがちですが、実際には工事全体の効率と安全性を左右します。測る位置、見る断面、比較する基準、記録の残し方を明確にしておくことで、施工中の手戻りや説明不足を減らしやすくなります。
目次
• RTK断面図で仮設道路の勾配を見る理由
• 要点1として縦断勾配の変化を連続的に確認する
• 要点2として横断勾配と排水方向を断面で確認する
• 要点3としてすり付け部と段差の発生点を確認する
• 要 点4として轍や沈下による勾配崩れを確認する
• 要点5として施工前後の断面差を比較して管理する
• 要点6として記録と共有のしやすさまで考える
• RTK断面図を仮設道路管理に活かす実務の進め方
• まとめ
RTK断面図で仮設道路の勾配を見る理由
仮設道路の勾配確認では、現場を歩いて見た印象だけでは判断しにくい場面が多くあります。目視では平らに見える通路でも、実際には片側に水が寄りすぎていたり、低い部分が連続して水の逃げ場を失っていたりすることがあります。また、大型車両が繰り返し通行すると、表層の砕石や敷鉄板の位置が変わり、当初の勾配が少しずつ崩れる場合もあります。こうした変化は、平面写真や簡単なメモだけでは説明しづらく、現場関係者の感覚差も出やすい部分です。
RTKによる測位を使うと、仮設道路上の複数点を座標と高さとして記録できます。その点群や測点をもとに断面図を作成すれば、道路の中心線に沿った縦断方向の高低差や、道路幅方向の横断勾配を数値と形状で確認しやすくなります。断面図は、単に高さを並べるだけでなく、「どこからどこまでが上がっているのか」「どこで勾配が急に変わっているのか」「排水先に向かって自然に水が流れる形になっているのか」を見るための実務的な資料になります。
仮設道路では、完成形の美しさよりも、工事期間中に安全に使えることが重視されます。そのため、必要な勾配は現場条件によって変わります。資材を積んだ車両が通るのか、クレーンや高所作業車が入るのか、雨天時も使うのか、歩行者動線と兼用するのかによって、確認すべき断面の見方は異なります。RTK断面図を使う目的は、設計値や計画値を機械的に追うことだけではなく、現場の使われ方に対して勾配が無理なく機能しているかを判断することです。
また、仮設道路の不具合は、工事が進むほ ど修正しにくくなります。仮設ヤードに資材が置かれ、足場や仮囲いが設置され、搬入ルートが固定されると、勾配を直すための作業範囲が限られます。早い段階で断面図を確認しておけば、砕石の追加、転圧、側溝や仮排水の見直し、すり付け部の補修などを小さな手直しで済ませやすくなります。特に、雨が降った後に水たまりが発生してから対応するより、断面上で低い箇所を先に把握しておく方が、現場管理としては効率的です。
RTK断面図は、現場説明にも役立ちます。発注者、元請、協力会社、重機オペレーター、安全担当者など、関係者が多い現場では、「このあたりが低い」「ここを少し上げたい」という口頭説明だけでは認識がずれやすくなります。断面図があれば、位置と高さの関係を同じ資料で確認できます。勾配の良否を一方的に主張するのではなく、現況形状を共有したうえで、どの範囲を直すべきかを話し合いやすくなります。
仮設道路の勾配確認では、測量精度だけに注目しすぎないことも大切です。RTKで高精度に測っても、測る位置が粗すぎたり、車両の通行ラインから外れていたり、排水先を考慮していなかったりすると、断面図は現場判断に使いにくくなります。重要なのは、実際に車両が通るラ イン、低くなりやすい端部、すり付け部、仮設排水の周辺、段差が起きやすい境目を押さえて測ることです。断面図の品質は、取得した点の精度だけでなく、現場のどこを切って見るかによって大きく変わります。
要点1として縦断勾配の変化を連続的に確認する
仮設道路の勾配確認で最初に見るべきなのは、進行方向に沿った縦断勾配です。縦断勾配は、車両が上り下りする方向の高低差を示します。仮設道路では、既設道路から現場内に入る部分、造成途中の盛土上を通る部分、切土斜面の脇を通る部分、仮設ヤードへ進入する部分などで、縦断方向の勾配が大きく変化しやすくなります。断面図でこの変化を連続的に見ることで、急な折れ点や走行しにくい起伏を把握できます。
縦断勾配で問題になりやすいのは、全体の勾配そのものよりも、途中で急に勾配が変わる箇所です。たとえば、入口から緩く上がっていた道路が、ある位置で急に平坦になり、その先で再び下がるような形になると、雨水が途中にたまりやすくなります。また、重機や大型車両では、急な縦断変化によって車体下部が接触したり、積載物が不安定になったりするおそれがあります。RTK断面図では、単点の高さだけでなく、隣り合う測点の高さ差をつなげて見ることが重要です。
縦断断面を作成する際は、道路中心付近だけでなく、実際の走行ラインを意識する必要があります。仮設道路では、通行車両が常に道路の中心を走るとは限りません。すれ違い、荷下ろし、敷鉄板の配置、仮囲いの位置、資材置き場との関係によって、片側に寄って走行することがあります。中心線だけを測って縦断図を作ると、実際にタイヤが通る部分の沈下や段差を見落とす場合があります。可能であれば、中心線に加えて左右のタイヤ通過位置に近いラインも確認すると、より実態に合った判断ができます。
縦断勾配を見るときは、測点間隔にも注意が必要です。測点間隔が広すぎると、短い範囲のへこみや盛り上がりが断面図に表れにくくなります。特に、仮設道路の入口、敷鉄板の端部、砕石の継ぎ足し範囲、既設舗装との境界、仮設橋や乗入れ構台の前後では、短距離で高さが変わることがあります。こうした箇所では、通常より細かく測点を取ることで、勾配変化を読み取りやすくなります。断面図の滑らかな線だけを信用するのではなく、現場で不具合が起きやすい場所 では測点密度を上げる考え方が大切です。
また、縦断勾配は施工段階ごとに変化します。初期の仮設道路を作った直後は問題がなくても、工事車両の通行、降雨、資材搬入、掘削残土の仮置き、周辺作業の影響で、徐々に路面形状が変わります。RTK断面図を一度作成して終わりにするのではなく、重要なタイミングで再測し、前回断面と比較できるようにしておくと、沈下や変形の進行を説明しやすくなります。特に、重車両が集中する期間の前後や、大雨後の確認では、縦断断面の再確認が有効です。
縦断勾配の確認では、車両の走りやすさだけでなく、排水の流れも同時に考える必要があります。道路が全体として下っていても、その途中にわずかな逆勾配があると、水が流れずに残ることがあります。断面図上で低い点が連続している場合は、そこが水みちになるのか、水たまりになるのかを現場の排水先と合わせて判断します。仮設道路では、側溝や集水桝が恒久的に整備されていないことも多いため、縦断勾配が排水方向と矛盾していないかを確認することが大切です。
要点2として横断勾配と排水方向を断面で確認する
仮設道路の使いやすさを左右するもう一つの重要な要素が横断勾配です。横断勾配は、道路幅方向の高さの違いを示します。雨水を片側へ逃がすのか、両側へ分けるのか、中央を高くするのか、片勾配にするのかは、現場条件によって変わります。RTK断面図で横断方向を切ると、路面が計画どおりの排水方向になっているか、端部に低い部分ができていないか、車両通行に支障のある傾きになっていないかを確認しやすくなります。
横断勾配の確認で重要なのは、水がどこに流れる想定なのかを明確にすることです。ただ単に左右の高さ差を見るだけでは、良い勾配かどうかを判断できません。片側に仮排水溝がある場合は、その方向へ自然に流れる断面になっているかを見る必要があります。逆に、排水先がない側へ水が流れる形になっていると、仮囲いの内側、資材置き場、歩行者通路、隣接地境界などに水がたまる原因になります。RTK断面図では、道路幅全体だけでなく、路肩や端部の高さも含めて確認することが大切です。
仮設道路では、横断勾配が不均一になりやすい傾向があります。砕石を敷きならす際に重機の走行方向が偏ったり、転圧が片側だけ強くなったり、雨水で細粒分が流されたりすると、道路幅方向にゆがみが出ます。目視では大きな問題に見えなくても、断面図で見ると片側のタイヤ通過位置だけが沈んでいる場合があります。この状態が進むと、車両が同じ位置を走るたびに轍が深くなり、水が轍に沿って流れ、さらに路面が弱くなるという悪循環が起きます。
横断断面を取る位置は、道路の代表点だけでは不十分です。入口部、カーブ部、待避所、荷下ろし位置、坂の途中、排水施設の前後、軟弱地盤上の区間など、横断勾配が崩れやすい箇所を選んで確認する必要があります。特にカーブ部では、車両の旋回によって路面が外側に押され、片側が高くなったり低くなったりすることがあります。直線部と同じ感覚で横断勾配を見ていると、実際の走行時に車両が傾く箇所を見落とす可能性があります。
横断勾配の確認では、路肩の処理も重要です。仮設道路の中央部は整っていても、端部が高く残っていると、水が外へ抜けず、道路中央やタイヤ通過位置に水が残ります。反対に、路肩が低すぎる場合は、車両が端に寄ったと きに沈み込みや崩れが起きやすくなります。RTK断面図では、道路の幅員内だけでなく、路肩、仮排水溝、法肩、法尻、隣接地盤との関係を一緒に見ることで、排水と安全性の両面から判断できます。
また、横断勾配は歩行者や小型車両の安全にも関わります。大型車両にとっては問題がない程度の傾きでも、作業員が歩く通路や小型運搬車が通る場所では、滑りやすさや荷崩れにつながることがあります。仮設道路が歩行者動線を兼ねる場合は、車両の排水性だけでなく、人が安全に通れる横断形状かどうかも確認する必要があります。断面図により、路面の傾きが感覚ではなく形状として共有できるため、安全打合せでも使いやすくなります。
要点3としてすり付け部と段差の発生点を確認する
仮設道路でトラブルが起きやすい場所の一つが、既設道路や構台、敷鉄板、仮設橋、作業ヤードとのすり付け部です。すり付け部は、異なる高さや異なる構造の路面をつなぐ場所であり、短い距離で勾配が変化します。ここに段差や急な折れがあると、車両の乗り入れ時に衝撃が発生し、荷崩れ、車両損傷、路面破損 、通行速度の低下につながります。RTK断面図で前後の高さを確認すると、どこに無理な勾配変化があるかを把握しやすくなります。
すり付け部では、単純な高さ差だけでなく、変化する距離が重要です。同じ高さ差であっても、長い距離でゆるやかに処理されていれば通行しやすく、短い距離で急に変化していれば段差として感じられます。断面図では、既設路面、仮設盛土、砕石層、敷鉄板端部などの高さ関係を連続的に確認し、急な折れ点がないかを見ます。特に、車両の前輪と後輪が別々の勾配に乗るような場所では、車体の揺れが大きくなるため注意が必要です。
既設道路から現場へ入る乗入れ部では、公共道路側との取り合いも考慮する必要があります。仮設道路側だけを高くしたり低くしたりすると、既設側に段差や水たまりが発生する場合があります。道路境界付近は、現場内の都合だけでなく、第三者通行、安全誘導、清掃、土砂流出防止にも関わります。RTK断面図を使って境界前後の高さを記録しておくと、乗入れ部の状態を関係者に説明しやすくなります。
敷鉄板を使う仮設道路では、鉄板端部の段差確認が特に重要です。敷鉄板は設置直後には安定していても、通行の繰り返しで周囲の砕石が沈んだり、鉄板自体が動いたりすることがあります。その結果、端部に段差ができたり、鉄板の下に空隙が生じたりする場合があります。RTK断面図で鉄板前後の高さを確認すれば、端部のすり付けが維持されているかを判断しやすくなります。目視では見えにくい微妙な沈み込みも、断面として見ることで把握できます。
すり付け部の確認では、車両の進入角度も意識する必要があります。断面図は通常、ある線に沿って切った形状を示しますが、実際の車両は必ずしもその線どおりに進入するわけではありません。斜めに乗り入れる場所では、左右のタイヤが異なる高さを通るため、片側だけの段差や横断方向のねじれが問題になることがあります。そのため、すり付け部では縦断断面だけでなく、必要に応じて斜め方向や横断方向の断面も確認すると、より実態に近い判断ができます。
段差は、安全面だけでなく施工効率にも影響します。車両が段差を避けて速度を落とすと、搬入時間が伸び、誘導員の負担も増えます。段差を避けるために車両が別のルートを通るようになると、想定していない場所に轍や沈下が発生する場合もあります。小さな段差であっても、通行頻度が高い仮設道路では影響が積み重なります。RTK断面図を使って段差の発生点を早めに確認し、砕石の補充や転圧、すり付け延長の見直しを行うことが、現場全体の効率化につながります。
要点4として轍や沈下による勾配崩れを確認する
仮設道路は、完成直後よりも使用中の変化に注意が必要です。特に、重機や大型車両が同じルートを繰り返し通ると、タイヤ通過位置に轍ができ、路面の横断勾配や縦断勾配が崩れていきます。轍が浅いうちは大きな問題に見えなくても、雨水がたまると路盤が弱くなり、さらに沈下が進むことがあります。RTK断面図で同じ位置を定期的に確認すれば、轍や沈下の進行を形状として追いやすくなります。
轍の確認では、道路中心と左右のタイヤ通過位置の高さ差を見ることが有効です。仮設道路の表面が全体的に下がっているのか、特定のラインだけが沈んでいるのかによって、対策は変わります。全体が沈んでいる場合は、地盤や路盤全体の支持力不足が疑われます。一方、タイヤ通過位置だけが沈んでいる場合は、通行荷重の集中、転圧不足、表層材の偏り、排水不良などが関係している可能性があります。断面図で沈下形状を見ることで、単なる補修ではなく原因に近い対策を考えやすくなります。
沈下の確認では、同じ測線で比較することが重要です。毎回違う位置で断面を取ると、形状の違いが沈下によるものなのか、測る位置の違いによるものなのか判断しにくくなります。現場では、測線の始点と終点、道路中心の位置、基準にした構造物や境界を記録しておき、再測時にできるだけ同じ線を使うことが望ましいです。RTKで座標を取得しておけば、過去の測線を再現しやすくなり、時系列での比較がしやすくなります。
轍や沈下は、雨天時に大きな問題となります。轍部分に水がたまると、車両通行によって水が跳ね、周囲の作業環境が悪化します。また、水を含んだ路盤は支持力が低下しやすく、車両が通るたびに変形が進むことがあります。断面図で低い部分が水の逃げ道と一致していればよい場合もありますが、逃げ場のないくぼみになっている場合は早めの補修が必要です。特に、仮設道路が主要搬入路である場合、水たまりによる通行支障は工程全体に影響 します。
沈下が進んでいる箇所では、周辺の地盤条件も合わせて見る必要があります。仮設道路の下に軟弱な地盤がある場合、表面だけを補修しても再び沈下する可能性があります。また、埋戻し直後の場所、地下埋設物の上部、盛土端部、法肩付近などでは、局所的に沈下が起きやすくなります。RTK断面図で沈下の位置を把握したら、その場所がどのような施工履歴を持つのかを確認し、必要に応じて路盤厚、材料、転圧、排水処理を見直します。
轍や沈下の管理では、補修後の確認も欠かせません。砕石を追加して表面をならしただけでは、一時的に平らに見えても、下部の弱点が残っている場合があります。補修前後で断面図を比較すれば、どの程度高さが戻ったのか、横断勾配が改善したのか、排水方向が確保されたのかを確認できます。補修作業を記録として残しておくことで、同じ箇所で再発した場合にも、対策の見直しがしやすくなります。
要点5として施工前後の断面差を比較して管理する
RTK断面図を仮設道路管理に活用するうえで有効なのが、施工前後の断面差の比較です。仮設道路を設置する前の地盤形状、路盤材を敷いた後の形状、使用開始後の形状、補修後の形状をそれぞれ記録しておくと、どこでどれだけ高さが変化したのかを把握できます。これは、出来形管理のように完成形だけを確認する考え方とは少し異なり、仮設物が使用中にどのように変わったかを見る管理方法です。
施工前の断面を残しておくと、仮設道路の弱点を予測しやすくなります。もともと低い地盤、排水が集まりやすい谷状の部分、盛土端部、既設構造物との境界などは、仮設道路を設置した後も不具合が起きやすい場所です。施工後の断面だけを見ると、表面が整っているように見える場合でも、施工前の地形を重ねて考えることで、将来的な沈下や排水不良の可能性を把握しやすくなります。
施工後の断面では、計画した勾配が現場で実現されているかを確認します。ただし、仮設道路では、計画値と完全に一致することだけを目的にするのではなく、現場の利用目的に合っているかを重視します。たとえば、車両通行を優先する区間では 、急な勾配変化を避ける必要があります。排水を優先する区間では、水の流れが滞らない形状が必要です。断面差を比較することで、計画と現況の違いを把握し、その違いが許容できるものかどうかを判断できます。
使用開始後の断面比較では、変化量と変化の傾向を見ることが大切です。一回の測定だけでは、そのくぼみが施工時からあったのか、使用後に発生したのか判断できません。過去の断面と比較すれば、どの範囲が下がったのか、どの方向に変形しているのか、沈下が進行しているのかを読み取れます。仮設道路の管理では、現在の形状だけでなく、変化の速度を把握することが重要です。短期間で大きく変化している箇所は、早めに対策を検討すべきです。
断面差の比較は、補修範囲の判断にも役立ちます。現場では、問題のある場所だけを局所的に直したくなりますが、実際には周辺の勾配とつながっていないと、補修した部分が新たな水たまりや段差の原因になることがあります。断面図で前後の高さ関係を見れば、どの範囲までならすべきか、どこに水を逃がすべきかを判断しやすくなります。補修を点ではなく線や面として考えるためにも、断面差の確認は有効です。
また、断面差は関係者への説明資料としても使いやすいものです。仮設道路の補修や追加作業には、手間や工程調整が必要です。口頭で「沈下している」と伝えるだけでは、緊急性や範囲が伝わりにくい場合があります。施工前後や補修前後の断面を比較して示せば、どこに問題があり、なぜ対策が必要なのかを説明しやすくなります。特に、発注者や安全担当者との協議では、現況写真と断面図を組み合わせることで、判断材料としての説得力が増します。
要点6として記録と共有のしやすさまで考える
RTK断面図は、作成すること自体が目的ではありません。仮設道路の状態を正しく記録し、必要な人に共有し、次の判断につなげることが目的です。そのため、断面図を作る段階から、後で見返したときに分かりやすい情報整理を意識する必要があります。測定日、測定者、天候、測線位置、道路の使用状況、補修履歴、通行車両の種類などを合わせて記録しておくと、断面図の意味が明確になります。
仮設道路の状態は日々変わるため、断面図だけを単独で保存しても、後で状況を読み解きにくいことがあります。たとえば、同じ断面形状でも、測定前日に大雨が降っていた場合と、乾燥した状態で測った場合では解釈が変わります。また、重車両の搬入が集中した直後なのか、補修直後なのかによっても判断が変わります。RTK断面図を現場記録として活かすには、断面形状と現場状況をセットで残すことが大切です。
共有しやすい断面図にするためには、見せ方にも注意が必要です。測点名や距離、高さ、左右方向、排水方向が分かりにくい図では、現場打合せで十分に活用できません。道路のどちら側が高く、どちら側へ水を流したいのか、どの範囲が問題なのかを読み取りやすくする必要があります。また、断面図を見る人が測量や設計に詳しいとは限らないため、専門的な表現だけでなく、現場で使う位置名称や目印と対応させると理解されやすくなります。
記録の共有では、写真との組み合わせも有効です。断面図は高さ関係を示すのに適していますが、路面材料の状態、水たまり、泥の発生、敷鉄板のずれ、車両の通行跡などは写真の方が直感的に分かります。断面図と写真を同じ位置で紐づけておくと、数値と見た目の両方から状態を説明できます。特に、補修前後の比較では、断面図で高さの改善を示し、写真で現場の状態変化を示すことで、関係者に伝わりやすくなります。
仮設道路の管理では、現場担当者だけでなく、施工計画を立てる担当者、安全担当者、協力会社の職長、重機オペレーターなど、複数の立場の人が同じ情報を使います。そのため、断面図は細かい技術資料であると同時に、現場共有のための資料でもあります。どこを通るべきか、どこに注意すべきか、どの範囲を補修するのかを共有できれば、現場の動きがそろいやすくなります。
さらに、記録を蓄積しておくことで、次の仮設道路計画にも活かせます。どのような地盤条件で沈下が起きやすかったのか、どの程度の通行で轍が発生したのか、どの排水方向がうまく機能したのかといった情報は、次回以降の現場で役立ちます。RTK断面図をその場限りの確認資料で終わらせず、現場ノウハウとして蓄積することで、仮設道路の計画精度と管理効率を高めることができます。
RTK断面図を仮設道路管理に活かす実務の進め方
実務でRTK断面図を使う場合は、最初に仮設道路の役割を整理することから始めます。単なる通路なのか、主要搬入路なのか、重機の走行路なのか、歩行者と車両が共用する場所なのかによって、確認すべき勾配の重点が変わります。主要搬入路であれば縦断勾配とすり付け部を重視し、雨天時も使う道路であれば横断勾配と排水方向を重視します。重機が旋回する場所では、局所的な沈下やねじれも確認対象になります。
次に、測線を設定します。仮設道路の中心線だけでなく、左右のタイヤ通過位置、入口部、カーブ部、待避所、排水先、すり付け部など、現場で問題が起きやすい場所を含めることが大切です。測線を設定するときは、後で再測できるように、始点と終点を現場の目印や座標で管理します。仮設道路は工事の進行で周囲の状況が変わるため、後から同じ位置を再現できるようにしておくことが、比較管理の精度を高めます。
測定時には、路面の代表点だけでなく、変化点を丁寧に拾います。勾配が 一定の区間では測点間隔を広めにしても判断できますが、段差、すり付け、轍、くぼみ、路肩、仮排水の周辺では細かく測る必要があります。特に、低い点や高い点を見落とすと、断面図上では問題がないように見えてしまいます。現場で水がたまりそうな場所、車両が揺れそうな場所、路面材が動いている場所を意識して測ることが、実用的な断面図につながります。
断面図を確認するときは、まず全体の流れを見ます。縦断方向では、急な上り下りや逆勾配がないかを確認します。横断方向では、排水先に向かって自然な勾配が取れているか、路肩で水が止まらないかを確認します。そのうえで、すり付け部、轍、沈下、段差などの局所的な不具合を見ます。全体勾配と局所変形を分けて確認すると、どこを大きく直すべきか、どこを部分補修で済ませられるかを判断しやすくなります。
補修を行う場合は、断面図から対策の範囲を決めます。低い場所だけに材料を足すと、その周辺とのつながりが悪くなり、新たな段差や水たまりが発生することがあります。補修後の勾配がどこへ水を流す形になるのか、車両が通るときに急な折れが残らないかを確認しながら、必要な範囲をならします。補修後は再度RTKで測定し、断面図と して改善状況を確認すると、作業結果を客観的に残せます。
仮設道路は、完成物ではなく工事を支える一時的な設備です。しかし、一時的だからこそ、現場の変化に合わせて柔軟に管理する必要があります。RTK断面図は、その変化を見える化するための手段です。測って終わりではなく、断面を見て判断し、必要な補修を行い、再び確認する流れを作ることで、仮設道路の安全性と使いやすさを保ちやすくなります。
まとめ
RTK断面図で仮設道路の勾配を確認する際は、縦断勾配、横断勾配、すり付け部、轍や沈下、施工前後の断面差、記録と共有のしやすさを総合的に見ることが重要です。仮設道路は工事期間中だけの道路であっても、車両通行、資材搬入、排水、安全管理に直結します。勾配の乱れを放置すると、水たまり、ぬかるみ、段差、走行不良、補修の手戻りにつながるため、早い段階で形状を把握しておくことが大切です。
RTKを使って現況を測定し、断面図として確認すれば、目視だけでは判断しにくい高低差や勾配変化を把握しやすくなります。特に、入口部、カーブ部、敷鉄板端部、排水先、路肩、軟弱地盤上の区間などは、重点的に確認したい場所です。断面図を時系列で比較すれば、施工後の変化や補修効果も説明しやすくなります。
仮設道路の管理では、精密な図面を作ることだけが目的ではありません。現場で安全に使える勾配になっているか、雨水が適切に流れるか、車両が無理なく通行できるか、関係者が同じ認識を持てるかが重要です。RTK断面図を現場判断と共有の道具として活用することで、仮設道路の不具合を早期に見つけ、施工全体の効率を高めやすくなります。
現場で素早く測り、断面として確認し、写真や記録と一緒に共有できる環境を整えると、仮設道路の管理はさらに進めやすくなります。スマートフォンを活用したRTK測位や断面確認の運用を検討する場合は、日々の現場確認から資料化までつなげやすいPhoneの活用も選択肢になります。
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