市街地の歩道拡幅工事では、既設歩道、車道、民地出入口、店舗前、排水施設、電柱まわりなど、わずかな高さの違いが利用者の安全性や仕上がりに直結します。設計図どおりに幅を広げるだけではなく、既設面との取り合いをどのように納めるかを現地で読み取り、施工前に段差発生の原因をつぶしておくことが重要です。そこで役立つのが、RTKで取得した高さ情報をもとに作成する断面図です。RTK断面図を使えば、平面図だけでは見えにくい横断方向の勾配、縁石高さ、乗入部のすり付け、排水勾配の乱 れを具体的に確認できます。本記事では、RTK 断面図で検索する実務担当者に向けて、市街地歩道拡幅で段差を防ぐために確認したい5項目を、現場目線で整理します。
目次
• 市街地歩道拡幅で段差が起きやすい理由
• RTK断面図で確認すべき全体像
• 項目1として既設歩道と車道境界の高さを読む
• 項目2として民地出入口と乗入部のすり付けを確認する
• 項目3として排水勾配と集水ます周辺の落ち込みを確認する
• 項目4として縦断方向の連続性と局所的な折れを確認する
• 項目5 として施工後の検査に使える記録を残す
• RTK断面図を現場運用に落とし込む手順
• まとめ
市街地歩道拡幅で段差が起きやすい理由
市街地の歩道拡幅は、単純に歩道幅を広げる工事に見えても、実際には多くの既設構造物と接しながら進める繊細な工事です。郊外の新設道路のように広い範囲を一体的に整形できる現場とは異なり、既に使われている車道、建物、店舗入口、住宅の車庫、排水施設、街路樹ます、電柱、標識、地下埋設物などが複雑に配置されています。そのため、設計上の歩道幅や舗装構成が決まっていても、現地の高さ関係を正しく読めていなければ、完成後に思わぬ段差や不自然な勾配が発生します。
段差が問題になる理由は、歩行者のつまずきだけではありません。車いす、ベビーカー、高齢者の歩行、視覚障害者の誘導、店舗への出入り、車両乗入部の通行性など、歩道には多様な利用場面があります。数センチ程度の高低差でも、位置や形状によっては通行の妨げになります。また、雨天時には段差部分に水がたまり、滑りやすくなったり、舗装の劣化を早めたりすることがあります。小さな段差が現場の使い勝手や維持管理に影響するため、施工前の高さ確認は非常に重要です。
市街地の歩道拡幅では、平面上の線形や幅員だけを見ていると、高さの問題を見落としやすくなります。例えば、既設車道の横断勾配が想定より強い場合、歩道側を設計高さに合わせると縁石の見え高が急に変化することがあります。反対に、民地側の出入口高さを優先すると、歩道内に不自然な横断勾配が生まれることもあります。さらに、既設舗装が過去の補修で部分的にかさ上げされている場合、図面上は同じ高さに見えても、現地では微妙な起伏が残っていることがあります。
こうした問題を防ぐには、現地の高さを点ではなく断面として把握する必要があります。単独の高さ測定だけでは、その点が周囲とどのようにつながっているかが分かりにくいためです。RTK断面図は、横断方向や縦断方向に取得した測点を並べ、既設面と計画面の関係を見える形にするための手段です。特に市街 地では、数値を図面上で確認するだけでなく、どの位置で高さが変わり、どこにすり付けの余裕があるのかを施工前に共有することが段差防止につながります。
RTK断面図で確認すべき全体像
RTK断面図を歩道拡幅に活用する目的は、単にきれいな断面図を作ることではありません。現場で段差が発生しそうな位置を施工前に見つけ、設計、施工、監督、協議の判断材料にすることが目的です。そのためには、どの断面をどの間隔で取得し、どの高さ基準で整理し、どの取り合いを重点的に確認するかを最初に決めておく必要があります。
市街地歩道拡幅で基本になるのは、車道側から歩道部、民地境界側までを横断方向に測る断面です。測点としては、車道既設面、側溝または縁石前後、既設歩道面、計画拡幅範囲、民地出入口の接続部、建物際や官民境界付近などが重要になります。これらを同じ断面上で比較することで、歩道幅を広げたときにどこへ高さを合わせるべきか、どこで勾配を逃がすべきかを判断しやすくなります。
横断断面だけでなく、縦断方向の連続性も重要です。歩道は延長方向に長く続くため、ある一点の断面では問題がなくても、前後の区間とのつながりで段差や折れが生じることがあります。例えば、交差点付近、バス停付近、店舗前の乗入部、横断歩道接続部などでは、既設の高さ条件が短い距離で変わることがあります。このような場所では、一定間隔の横断断面に加えて、歩道中心線や官民境界付近、縁石沿いの縦断測点を取得しておくと、計画面のなめらかさを確認しやすくなります。
RTK測位を使う場合は、測点の取得方法にも注意が必要です。市街地では建物の反射や上空視界の制約により、測位状態が場所によって変わることがあります。そのため、測定時には固定解の状態、観測時間、既知点や基準点との整合、同一点の再観測などを確認し、断面図に使う高さの信頼性を確保します。特に段差防止を目的にする場合、わずかな高さ差を扱うため、測定値をそのまま信用するのではなく、現場条件と照らし合わせて不自然な値を見抜く姿勢が必要です。
RTK断面図では、既設高さと計画高さを同じ断面に重ねること で、施工上の注意点が具体化します。縁石の見え高が急に変わる箇所、歩道横断勾配がきつくなる箇所、民地出入口に向けて逆勾配になる箇所、排水ます周辺で局所的に下がる箇所などは、平面図だけでは判断しにくい部分です。断面図でこれらを確認しておけば、舗装前の路盤整形、縁石据付、側溝調整、すり付け範囲の設定を現場で説明しやすくなります。
重要なのは、RTK断面図を施工後の確認だけに使わないことです。完成後に段差を見つけても、舗装のやり直しや構造物の調整が必要になり、手戻りが大きくなります。施工前、床掘り後、路盤整形後、舗装前、完成後という段階ごとに断面の確認点を決めておけば、段差の原因を早い段階で発見できます。市街地の歩道拡幅では、通行規制や周辺店舗への影響も大きいため、手戻りを減らす意味でも、RTK断面図の事前活用が有効です。
項目1として既設歩道と車道境界の高さを読む
市街地歩道拡幅で最初に確認したいのは、既設歩道と車道境界の高さ関係です。歩道を拡幅する場合、車道側の縁石、側溝、舗装端部がそのまま残ることもあれば、位置を変更して新しい境界を設けることもあります。どちらの場合でも、車道面と歩道面の高さ差を正しく把握していないと、完成後に縁石の見え高が不自然になったり、歩道内に急な勾配が発生したりします。
RTK断面図では、車道の既設面を一点だけで見るのではなく、車線側から縁石付近までの横断勾配として確認します。車道は排水のために横断勾配が付いているため、縁石際の高さだけを見ても全体の関係は分かりません。車道中央寄りの高さ、側溝付近の高さ、縁石天端、歩道面の高さを同じ断面で整理すると、既設の勾配が計画歩道にどのように影響するかを判断できます。
特に注意したいのは、既設車道が過去の舗装補修で部分的に高くなっている場合です。市街地の道路では、掘削復旧や舗装修繕が繰り返され、車道端部の高さが当初の設計と異なることがあります。その状態で歩道側だけを計画高さに合わせると、車道との境界部で段差や不自然な水たまりが生じる可能性があります。RTK断面図で既設車道の高さ変化を連続的に確認しておけば、境界部でどの程度の調整が必要かを事前に検討できます。
縁石の見え高も重要です。歩道と車道の境界では、縁石が歩行者空間と車道空間を分ける役割を持ちますが、その高さが区間内で急に変わると、見た目の違和感だけでなく、排水や乗入部の納まりにも影響します。RTK断面図に既設縁石天端、車道側舗装面、歩道側舗装面を示すことで、どこで見え高が変化しているかを確認できます。見え高の変化が必要な場合でも、短い距離で急に変えるのではなく、前後の断面と合わせて自然にすり付ける検討がしやすくなります。
歩道拡幅では、既設歩道面と新設歩道面の取り合いも段差発生の原因になります。既設歩道の一部を残して拡幅部分を新設する場合、既設舗装の高さに合わせて新設舗装を施工しようとすると、計画勾配と合わないことがあります。反対に、計画高さを優先しすぎると、既設面との接続部に小さな段差が残ることがあります。RTK断面図では、既設面の実測高さと計画面を重ね、残す部分、撤去する部分、すり付ける部分を明確にすることが大切です。
この項目で重要なのは、車道境界を単なる線として扱わないことです。境界部は、車道排水、縁石、歩道勾配、乗入部、舗装厚、施工余裕が集中す る場所です。RTK断面図で高さ関係を可視化すれば、現場担当者、施工班、監督員の間で「どの高さを基準にするのか」を共有しやすくなります。基準が曖昧なまま施工を進めると、現場ごとの判断で局所的な段差が生まれやすくなるため、最初の断面確認が完成品質を大きく左右します。
項目2として民地出入口と乗入部のすり付けを確認する
市街地歩道拡幅で段差が発生しやすい代表的な場所が、民地出入口と車両乗入部です。住宅の車庫、店舗の入口、駐車場、施設の搬入口などは、それぞれ既設の高さが異なります。歩道を拡幅することで歩行空間は広がりますが、その分、民地側とのすり付け距離が変わり、出入口前に段差や急勾配が生じることがあります。
RTK断面図を使う場合、民地出入口では歩道内だけでなく、民地側の既設高さも可能な範囲で確認することが重要です。官民境界付近の高さだけを測っても、建物入口や車庫床との関係が分からなければ、実際の使い勝手を判断できません。出入口の奥行き方向に数点を測り、歩道拡幅後の計画面とどのようにつながるかを断面で確認すると、段差を避けるためのすり付け範囲が見えてきます。
乗入部では、歩行者の通行性と車両の出入りやすさを両立させる必要があります。車両に合わせて歩道面を大きく下げると、歩行者にとって横断勾配がきつくなります。歩行者の平坦性を優先しすぎると、車両が出入りする際に底部をこすったり、民地側との接続部に段差が残ったりすることがあります。RTK断面図では、歩道横断方向の勾配、乗入部のすり付け長、民地側床面との高低差を一つの関係として確認することが大切です。
店舗前の歩道拡幅では、出入口の高さが固定条件になる場合があります。既に営業している店舗では、入口の床高さを簡単に変えることはできません。歩道を拡幅して舗装を新しくする際に、入口前だけを無理に合わせると、その前後で波打つような仕上がりになることがあります。RTK断面図で店舗前と隣接区間の高さを比較し、どの範囲で緩やかにすり付けるかを事前に決めておけば、局所的な段差を避けやすくなります。
民地出入口の確認では、左右方向の高 さ差にも注意が必要です。出入口の片側だけが高い、または片側だけが低い場合、歩道拡幅後に斜め方向のねじれが発生します。平面図では同じ幅の乗入部に見えても、実際には左右で高さ条件が異なることがあります。RTK断面図を複数本取得し、出入口の左右端と中央を比較すると、どこでねじれが生じるかを判断できます。必要に応じて、横断断面だけでなく斜め方向の補助断面を作ると、施工時の理解が深まります。
また、民地側との協議にもRTK断面図は役立ちます。段差解消のためにすり付け範囲を広げる場合、工事範囲や仕上げ位置について関係者に説明が必要になることがあります。口頭で「少し勾配をつけます」と説明するよりも、断面図で現在の高さと施工後の高さを示した方が、影響範囲を具体的に伝えられます。市街地では沿道利用者との調整が工事の進行に影響するため、分かりやすい高さ資料を持っておくことは大きな利点です。
この項目で避けたいのは、歩道全体の計画高さを決めた後に、最後の調整として出入口だけを現場で合わせる進め方です。出入口は段差苦情につながりやすく、完成後の修正も難しい場所です。RTK断面図で早めに高さ条件を把握し、すり付けの考え方を施工前に共有しておくこ とで、歩道拡幅後の利用性を高めることができます。
項目3として排水勾配と集水ます周辺の落ち込みを確認する
歩道拡幅で段差と同じくらい問題になりやすいのが、水たまりです。水たまりは表面的には排水の問題ですが、実際には高さの不連続や局所的な落ち込みと関係しています。歩道面にわずかな凹みがある、縁石際に水が逃げない、集水ますの周辺だけが低い、乗入部で逆勾配になるといった状態は、通行時の不快感や滑りやすさにつながります。RTK断面図では、段差だけでなく排水の流れも同時に確認することが重要です。
排水勾配を見るときは、歩道横断方向の勾配と縦断方向の勾配を分けて考えます。歩道面は一般的に雨水を車道側や排水施設側へ流す必要がありますが、市街地では民地出入口や既設構造物の高さに引っ張られ、計画どおりの勾配が確保しにくいことがあります。横断断面で見ると問題がないように見えても、縦断方向に低い箇所があると水が集まります。RTKで測った高さを断面図として整理すれば、雨水がどこに向かうのかを施工前に想定しやすくなります。
集水ます周辺は特に注意が必要です。集水ますは水を集めるために周囲より低くする必要がありますが、周辺の舗装とのすり付けが急すぎると、歩行者にとって段差のように感じられることがあります。また、ますの蓋や縁が舗装面より高く残ると、つまずきや振動の原因になります。反対に低くしすぎると、ます周辺がくぼみ、歩行空間に不自然な落ち込みが生じます。RTK断面図では、ます蓋の高さ、周囲の舗装計画高さ、排水方向を合わせて確認することが大切です。
既設側溝や排水構造物を残す場合も、断面確認が欠かせません。既設側溝の天端高さが区間内で一定でない場合、新設歩道面をなめらかに仕上げようとしても、側溝との取り合いで小さな段差が発生することがあります。特に歩道拡幅に伴って縁石や側溝の位置を調整する場合、既設部分と新設部分の高さ差をどう納めるかが重要になります。RTK断面図で側溝天端、歩道計画面、車道面の関係を比較すれば、施工前に調整が必要な箇所を抽出できます。
排水勾配を確認する際には、 舗装の仕上がりだけでなく、路盤や下地の段階でも確認することが有効です。舗装後に水たまりが見つかった場合、表層だけで調整できる範囲は限られます。路盤整形の段階でRTK測定を行い、計画断面と比較すれば、仕上げ前に低い箇所や高い箇所を修正できます。特に市街地では施工時間や規制時間が限られることが多いため、後戻りを減らすためにも中間段階の断面確認が重要です。
排水の問題は、完成直後には目立たなくても、雨天時に初めて分かることがあります。しかし、雨が降ってから不具合を確認するのでは対応が遅くなります。RTK断面図を使って水の流れを事前に読み、集水ます、側溝、縁石際、乗入部、交差点接続部を重点的に確認しておけば、完成後の水たまりや段差感を減らせます。市街地歩道では利用者の目に触れる機会が多く、排水不良はすぐに指摘につながるため、施工前の断面チェックが品質管理の要になります。
項目4として縦断方向の連続性と局所的な折れを確認する
歩道拡幅では、横断方向の段差だけでなく、縦断方向の連続性も重要です。歩道は延長方向に歩く空間であるため、前後の高さが不自然に変化すると、利用者は段差や波打ちとして感じます。特に市街地では、交差点、バス停、店舗入口、乗入部、既設補修跡などが連続し、短い距離の中で高さ条件が変化します。RTK断面図を使う場合は、横断断面だけで完結せず、縦断方向の高さ変化を必ず確認することが大切です。
局所的な折れは、設計図上では見えにくいことがあります。例えば、ある断面では歩道勾配が適切でも、隣の断面との間で計画高さが急に変わると、舗装面が折れたような仕上がりになります。現場では、施工班が各測点の高さに合わせて丁寧に仕上げたつもりでも、測点間の連続性が確認されていなければ、完成後に波打ちが残ることがあります。RTKで取得した複数断面を比較し、縦断方向に高さがなめらかにつながっているかを見ることが重要です。
歩道中心線、民地境界側、縁石沿いなど、複数の縦断ラインを確認すると、ねじれや片勾配の変化を把握しやすくなります。中心線だけがなめらかでも、民地側で急な変化がある場合、建物前や出入口で段差感が出ることがあります。縁石沿いだけを見ていると、歩道の内側で水がたまることもあります。RTK断面図と縦断測点を組み合わせることで、歩行空間全体の 面としての連続性を確認できます。
交差点付近では、歩道拡幅の高さ調整が特に難しくなります。横断歩道接続部、縁石切下げ部、車道巻込み部、歩道だまりなど、さまざまな要素が短い範囲に集まります。ここで高さのつながりを誤ると、歩道内に急な折れができたり、車道側との取り合いに段差が残ったりします。RTK断面図では、交差点手前から交差点内、横断歩道接続部まで連続して測点を取り、単独断面ではなく一連の流れとして確認することが望ましいです。
また、既設舗装の撤去範囲が限られる場合も、縦断方向の折れに注意が必要です。市街地では、工事範囲を最小限にするために既設舗装を部分的に残すことがあります。このとき、新設部と既設部の境目で高さが合っていても、その前後の勾配が不自然になることがあります。RTK断面図で境目だけでなく前後区間の高さを確認し、すり付け長を確保できるかを検討することが大切です。すり付け長が不足する場合は、施工範囲や仕上げ方法について早めに協議する必要があります。
縦断方向の確認では、測点間隔も重要です。間隔が広すぎると、局所的な落ち込みや盛り上がりを見落とす可能性があります。特に出入口、ます周辺、補修跡、構造物の端部など、高さが変わりやすい場所では測点を追加する判断が必要です。RTK測定は効率よく点を取得できるため、標準的な測点に加えて、現場で気になる箇所を補足測定しやすい利点があります。断面図に反映することで、施工前の見落としを減らせます。
局所的な折れを防ぐためには、数値だけでなく施工時の仕上げイメージを共有することも大切です。断面図上で高さが合っていても、実際の舗装仕上げでは転圧、材料厚、端部処理によって微妙な違いが出ます。RTK断面図を使って、どの範囲をなめらかに仕上げるのか、どこを基準に高さを合わせるのか、どの測点を重点管理するのかを施工前に確認しておけば、現場判断のばらつきを減らせます。
項目5として施工後の検査に使える記録を残す
RTK断面図は、施工前の検討だけでなく、施工後の検査や説明資料としても活用できます。市街地歩道拡幅では、完成後に利用者や 沿道関係者から段差、勾配、水たまりについて確認を求められることがあります。そのとき、施工前後の高さ変化を記録していなければ、どのように改善したのか、どこを基準に仕上げたのかを説明しにくくなります。施工前、施工中、施工後の断面図を残しておくことで、品質管理の根拠が明確になります。
記録として重要なのは、同じ位置で比較できることです。施工前の断面と施工後の断面が異なる位置で取得されていると、高さの比較が難しくなります。測点番号、断面位置、測定日、測定条件、基準高さ、観測者、使用した座標系や高さ基準などを整理し、同一断面として追跡できるようにしておくことが大切です。これにより、どの箇所で既設面から計画面へ変わったのか、段差をどのように解消したのかを後から確認できます。
施工後の検査では、完成面が計画断面に対して過度に高い、または低い箇所がないかを確認します。ただし、歩道拡幅では既設構造物との取り合いがあるため、すべての点が設計値と完全に一致することだけを目的にするのではなく、利用上の安全性、排水性、前後の連続性を合わせて評価する必要があります。RTK断面図に計画高さと実測高さを重ねれば、単なる数値の羅列ではなく、現場 で許容できる仕上がりかどうかを判断しやすくなります。
写真記録と組み合わせることも有効です。断面図だけでは、現場の状況や周辺構造物との関係が伝わりにくい場合があります。測点位置が分かる写真、舗装前の路盤状況、縁石据付状況、ます周辺の仕上がり、民地出入口のすり付け状況を断面図と関連付けて保存しておくと、後から説明しやすくなります。RTKで取得した位置情報と写真をひも付けて管理すれば、どの断面に対応する現場写真なのかを整理しやすくなります。
また、施工後の記録は次回の維持管理にも役立ちます。歩道は完成して終わりではなく、将来的に舗装修繕、占用工事、埋設物工事、沿道建物の改修などが発生することがあります。その際、完成時の断面記録が残っていれば、後の工事で高さが変わった場合にも原因を追跡しやすくなります。特に市街地では、複数の工事が時間差で行われることがあるため、基準となる完成時の高さ資料を残す意味は大きいです。
検査に使える記録を残すには、作業の最 後に慌てて測るのではなく、最初から記録の形を決めておくことが重要です。どの断面を管理断面にするのか、どの測点を必ず取得するのか、どの段階で再測するのかを施工計画の中に入れておけば、必要なデータが欠けにくくなります。RTK断面図は現場の判断資料であると同時に、完成品質を説明する資料でもあります。段差を防ぐだけでなく、段差を防いだことを示せる記録として活用することが大切です。
RTK断面図を現場運用に落とし込む手順
RTK断面図を市街地歩道拡幅で活用するには、測定、作図、確認、施工反映、記録保存の流れを現場運用に組み込む必要があります。便利な測定方法であっても、作業者ごとに測る位置や判断基準が違えば、品質管理にはつながりません。段差防止を目的にするなら、まず施工前に管理断面を設定し、関係者で確認すべき高さを共有するところから始めます。
管理断面は、一定間隔で機械的に設定するだけでは不十分です。市街地歩道拡幅では、段差が起きやすい場所を意識して断面位置を追加する必要があります。交差点付近、横断歩道接続部、民地出入口 、店舗前、駐車場乗入部、集水ます周辺、既設舗装との接続部、構造物の端部などは重点的に確認する場所です。標準断面と重点断面を分けて設定すると、全体の連続性と局所的な納まりの両方を確認できます。
測定前には、高さ基準を明確にします。基準が曖昧なまま複数日にわたって測定すると、断面図同士の整合が取れなくなる可能性があります。既知点や現場基準点との確認、測定開始前後のチェック、同一点の再測、測位状態の確認を行い、断面図に使うデータの信頼性を確保します。市街地では建物や高架構造物の影響を受ける場合があるため、測定値に不自然な飛びがないかを現場で確認することも大切です。
作図では、既設高さ、計画高さ、施工段階の高さを区別して表示します。どれが現況で、どれが計画で、どれが施工後なのかが分かりにくい断面図では、現場の判断に使いにくくなります。縁石天端、歩道端部、民地境界、車道面、ます蓋、乗入部の主要点を明確にし、必要に応じて注記を入れます。断面図は専門者だけが読む資料ではなく、施工班や関係者との共通言語になるため、見やすさも重要です。
確認のタイミングは、施工前だけでなく、段階ごとに設定します。既設撤去後に想定外の高さが出ることがありますし、路盤整形後に計画勾配と合わないこともあります。舗装直前に確認すれば、仕上げ前の修正が可能です。完成後には、計画断面との比較と段差の有無を確認します。このように段階管理を行うことで、問題を早く見つけ、手戻りを小さくできます。
施工反映では、断面図を現場で使える指示に変換することが必要です。図面を作成して保管するだけでは、段差防止にはつながりません。どの測点を基準に路盤を整えるのか、どの範囲で勾配をなめらかにするのか、ます周辺をどの高さに納めるのか、出入口のすり付けをどこから始めるのかを、施工前の打合せで具体的に共有します。必要に応じて、現場にマーキングを行い、作業者が断面図と現地を対応付けられるようにします。
記録保存では、断面図のファイルだけでなく、元の測点データ、測定日、測定条件、写真、協議内容をまとめて管理します。完成後に確認が必要になったとき、断面図だけが残っていても、その断面がどこを示しているのか分からなければ活用できません。位置、時期、測定条件、判断結果が一体で残っていることが重要です。市街地の工事では関係者が多いため、後から誰が見ても分かる形で整理することが、品質と説明責任の両面で役立ちます。
まとめ
市街地歩道拡幅で段差を防ぐには、歩道幅や平面線形だけでなく、高さのつながりを丁寧に確認する必要があります。既設歩道と車道境界の高さ、民地出入口と乗入部のすり付け、排水勾配と集水ます周辺、縦断方向の連続性、施工後の検査記録という5項目を押さえることで、完成後の段差、波打ち、水たまり、使いにくさを減らしやすくなります。
RTK断面図は、現地の高さを短時間で把握し、既設面と計画面の関係を見える形にするための有効な手段です。ただし、測っただけでは品質は上がりません。どの位置を測るのか、どの高さを基準にするのか、どの段階で確認するのか、測定結果をどのように施工へ反映するのかを決めておくことが重要です。特に市街地では、周辺利用者や沿道施設との取り合いが多く、わずかな高さの違いが大きな問題になることがあります。
段差を防ぐためのRTK断面図は、設計確認、現場施工、関係者説明、完成検査、維持管理まで一貫して使える資料になります。施工前に危険な取り合いを見つけ、施工中に高さを確認し、施工後に記録として残すことで、歩道拡幅の品質を安定させることができます。現場でRTK断面図をもっと手軽に作成し、歩道拡幅の段差対策や出来形確認に活用したい場合は、次の導入検討先としてPhoneを確認してみてください。
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