現況道路に新しい道路、造成地、駐車場、歩道、出入口、排水施設などを接続する工事では、図面上の計画線だけでなく、既に存在する路面、縁石、側溝、法肩、舗装端、民地境界との関係を分かりやすく示すことが重要です。特に現況道路との取り合いは、少しの高低差や横断勾配のずれが、段差、水たまり、車両の乗り上げ、歩行者のつまずき、舗装端部の割れにつながります。そこで役立つのが、RTKで取得した現況点をもとに断面図を整理し、計画断面と重ねて確認する方法です。
RTK断面図は、現地の高さを短時間で面的に把握しやすく、現況道路と新設部の接続状態を実務者間で共有しやすい表現にできます。ただし、測った点をそのまま線で結ぶだけでは、設計者、施工者、発注者、協力会社が同じ判断をできる資料にはなりません。どの位置の断面なのか、どの高さを基準にしているのか、現況と計画の境目はどこか、排水の流れはどう変わるのかを、読み手が迷わないように示す工夫が必要です。
目次
• RTK断面図で現況道路との取り合いを確認する意味
• 工夫1として測点位置と道路中心線の関係を明確にする
• 工夫2として現況舗装端と計画端部を同じ断面に重ねる
• 工夫3として高さ基準と勾配変化点を読み取りやすくする
• 工夫4として排水方向と水が止まりやすい箇所を示す
• 工夫5として車両と歩行者の通行性を断面で確認する
• 工夫6として施工段階ごとの取り合いを分けて表現する
• RTK断面図を現場で使える資料に整えるポイント
• まとめ
RTK断面図で現況道路との取り合いを確認する意味
現況道路との取り合いで最も避けたいのは、図面上ではつながっているように見えても、現地では段差、逆勾配、排水不良、幅員不足が発生することです。道路の接続部は、平面図だけでは判断しにくい要素が多くあります。例えば、既設道路の片勾配、路肩の沈下、縁石の高さ、側溝蓋の天端、マンホール周辺の微妙な盛り上がり、舗装補修による不均一な高さなどは、平面図では表しにくい情報です。これらは断面図として高さ方向の関係を可視化すると、問題点を早い段階で発見しやすくなります。
RTKを使うと、現況道路上の複数点を比較的効率よく取得できます。道路中心、車道端、白線付近、側溝天端、舗装端、路肩、歩道、民地側の高さを測り、横断方向または縦断方向の断面として整理することで、計画との接続関係を具体的に検討できます。取り合い部の確認では、単に標高を測るだけでなく、どの点が現況として残る部分で、どの点が撤去または切削され、どの点から新設部に切り替わるのかを明確にすることが大切です。
RTK断面図の価値は、現場の状態を数字と形で共有できる点にあります。現況道路は、設計時の資料と実際の出来形が完全に一致しているとは限りません。過去の補修、沈下、舗装の打ち替え、側溝更新、乗入れ整備などで、現地の高さが変わっていることがあります。設計図だけを前提に接続計画を進めると、施工直前になって調整が必要になることがあります。RTKで現況を測り、断面図に反映しておけば、事前協議、施工計画、数量確認、関係者説明の精度が上がります。
ただし、RTKには現場条件による影響があります。上空の開け具合、周辺構造物、樹木、電波環境、補正情報の状態、測点の取り方によって、取得値の安定性は変わります。そのため、重要な取り合い部では、同じ箇所を複数回確認したり、既知点や基準点との整合を確認したりする運用が必要です。RTK断面図は万能な答えではなく、現況を読み解くための強力な材料として扱うことが実務的です。
現況道路との取り合いを分かりやすく示すには、断面の作り方に一貫性が必要です。どの測点を採用したのか、どの線を現況線とし、どの線を計画線とするのか、どこで既設と新設が切り替わるのかを明確にしなければなりません。読み手が断面図を見た瞬間に、問題がある場所、施工時に注意すべき場所、調整が必要な場所を理解できる状態にすることが、RTK断面図を実務資料として活用する第一歩です。
工夫1として測点位置と道路中心線の関係を明確にする
RTK断面図で最初に意識したい 工夫は、測点位置と道路中心線の関係を明確にすることです。断面図は、高さの情報を分かりやすく見せる資料ですが、その断面がどの場所を切っているのかが曖昧だと、現場で使いにくくなります。現況道路との取り合いでは、道路中心線に対して直角方向の横断断面なのか、道路に沿った縦断断面なのか、接続する進入路や造成面の中心線に沿った断面なのかを明確にする必要があります。
特に既設道路に斜めに接続する場合、断面の切り方によって見える高低差が変わります。道路中心線に直角な断面では既設道路の横断勾配が分かりやすく、接続道路側の中心線に沿った断面では乗入れ勾配やすり付け長が分かりやすくなります。どちらか一方だけでは判断が不足することもあるため、取り合い部では目的に応じて複数方向の断面を用意すると、協議や施工判断がしやすくなります。
測点の名称も重要です。例えば、既設道路中心、既設車道端、既設舗装端、既設側溝天端、新設道路中心、計画舗装端、計画側溝天端といった意味が読み取れる表記にすると、断面図の解釈が安定します。単に点番号だけを並べると、測量担当者以外には位置の意味が伝わりにくくなります。RTK断面図は、測量成果としてだけでなく、設計調整 や現場説明に使われる資料です。そのため、測点の意味を図面上で読み取れるようにしておくことが大切です。
測点間隔も取り合いの見え方を左右します。広い間隔で測ると全体の傾向は分かりますが、舗装端の段差や側溝際の落ち込み、路肩の沈下などは見落としやすくなります。現況道路との接続部では、変化点の近くを細かく測ることが有効です。道路中心、轍の通り道、舗装端、側溝天端、側溝蓋、縁石上端、歩道面など、高さが変わる箇所を意識して点を取得すると、断面図に現地の形状が反映されやすくなります。
また、平面上の測点位置を別図や簡易平面図で示し、断面図と対応させるとさらに分かりやすくなります。断面図だけを見ても、現場全体のどこを切っているのかが分からないことがあります。平面位置と断面図を合わせて整理すれば、現地立会いの際にも、どの断面を見ながらどの箇所を確認しているのかが明確になります。施工前の協議では、関係者が同じ断面を見て同じ場所を確認できることが非常に重要です。
RTK断面図では、測点位置の精度だけでなく、測点の選び方が資料の品質を決めます。取り合い部に必要な点を意識して取得し、道路中心線や構造物との関係を示すことで、単なる測量点の集合ではなく、判断に使える断面図になります。
工夫2として現況舗装端と計画端部を同じ断面に重ねる
現況道路との取り合いを示すうえで、現況舗装端と計画端部を同じ断面に重ねることは非常に効果的です。取り合い部で問題になりやすいのは、既設舗装の終端と新設舗装、造成面、歩道、乗入れ、側溝などの計画端部が自然につながるかどうかです。現況線と計画線を別々に見ると、それぞれの形は分かっても、接続部分の高低差や勾配の変化が直感的に把握しにくくなります。
同じ断面図に現況線と計画線を重ねると、どこで切削が必要なのか、どこに盛土や舗装厚の調整が必要なのか、どこで既設側を残すのかが明確になります。例えば、既設道路の舗装端が計画より高い場合は、すり付け区間で段差が出ないように計画高を調整する必要があります。逆に既設道路が計画より低い場合は、水が既設側へ流れ込む可 能性や、新設側に不自然な急勾配が生じる可能性を確認する必要があります。
現況舗装端を示す際は、単に道路の端という表現ではなく、どの端を指しているのかを明確にすることが大切です。車道の舗装端なのか、路肩を含む舗装端なのか、縁石の内側なのか、側溝蓋の端なのかによって、取り合いの判断は変わります。特に側溝や縁石がある道路では、車両が実際に通る面、雨水が流れる面、構造物として残る面が異なります。断面図上でこれらを区別すると、計画端部との関係を誤解しにくくなります。
計画端部についても、完成形だけでなく、舗装構成や撤去範囲との関係を意識する必要があります。表層の計画高だけを示すと、既設舗装との段差は確認できますが、既設構造物をどこまで撤去するのか、どの位置で新設舗装に切り替えるのかは分かりにくい場合があります。取り合い部では、完成面の線に加えて、必要に応じて切削範囲、擦り付け範囲、構造物の残置範囲を注記すると、施工時の判断がしやすくなります。
現況線と 計画線を重ねるときは、見た目を分かりやすく整理することも重要です。線の種類や注記の付け方を統一し、現況と計画の区別が一目で分かるようにします。過度に多くの線を入れると、かえって読みづらくなるため、取り合い判断に必要な情報を優先して表示します。例えば、現況道路面、既設構造物天端、計画舗装面、計画側溝天端、すり付け範囲の端点を中心に整理すると、実務者が判断しやすい断面図になります。
RTKで取得した点は現況を反映する材料ですが、断面図にするときには、点をそのまま線にするだけでなく、道路として意味のある形に整理する必要があります。局所的な凹凸や測定のばらつきをそのまま強調しすぎると、計画判断を誤ることがあります。一方で、舗装端や排水に影響する明確な段差をならしてしまうと、現場の問題を見落とします。現況舗装端と計画端部を同じ断面に重ねる際は、現地確認と測定値の両方を見ながら、必要な凹凸を残し、不要なノイズを整理する姿勢が求められます。
工夫3として高さ基準と勾配変化点を読み取りやすくする
RTK断面図で現況道路との取り合いを示す際には、高さ基準を明確にすることが欠かせません。断面図に標高が表示されていても、その基準が何に基づいているのかが分からなければ、設計図や施工管理資料と照合しにくくなります。取り合い部では、既設道路の高さ、計画高、構造物天端、排水勾配などが複雑に関係するため、基準となる高さを明示し、関係者が同じ前提で図面を読めるようにする必要があります。
高さ基準には、現場内の基準点、工事で採用する水準点、設計図の基準高などがあります。RTKで取得した高さを断面図に反映する場合は、設計で使う高さ基準と整合しているかを確認することが重要です。もし測定時の基準と設計図の基準にずれがあると、現況と計画の比較そのものが不正確になります。特に現況道路との取り合いでは、数センチの差が段差や排水不良の原因になることがあるため、基準の取り扱いを曖昧にしないことが大切です。
断面図では、勾配変化点を分かりやすく示すことも有効です。現況道路には既に横断勾配や縦断勾配があり、新設部にも計画勾配があります。両者を接続する際には、勾配が急に変わる点、勾配が反転する点、平坦になりすぎる点に注意が必要です。これらの変化点を断面図上で明確にすると、車両 走行、歩行、排水、舗装施工の観点から問題を検討しやすくなります。
例えば、既設道路の横断勾配が片側に流れているのに、新設出入口の計画勾配が反対方向へ向いている場合、接続部に水が集まりやすくなります。また、既設道路の縦断勾配が急な場所に進入路を接続する場合、車両の底部が擦る可能性や、歩行者にとって歩きにくい傾斜になる可能性があります。こうした問題は、平面図だけでは見落とされやすく、断面図で高さと勾配を確認することで初めて具体的に見えてきます。
勾配の表現では、単に数値を入れるだけでなく、どの区間の勾配なのかを明確にすることが重要です。現況道路面の勾配、新設舗装面の勾配、すり付け区間の勾配、側溝へ向かう勾配が混在していると、読み手が混乱しやすくなります。断面図上では、勾配を示す範囲を分かりやすく区切り、始点と終点が分かるように整理します。これにより、施工時にどの範囲をどの高さで仕上げるべきかが伝わりやすくなります。
高さ基準と勾配変化点を読み 取りやすくすることは、設計変更や施工調整の判断にも役立ちます。現況道路が想定より高い、または低い場合でも、どの範囲で調整すれば自然につながるのかを断面図上で検討できます。調整が必要な場合は、計画高を変えるのか、すり付け長を伸ばすのか、舗装端部を切削するのか、側溝や縁石の高さを見直すのかといった選択肢を整理できます。
RTK断面図は、取得した高さを視覚化するだけではなく、高さの関係を判断可能な形に整える資料です。高さ基準、現況高、計画高、勾配変化点を丁寧に示すことで、現況道路との取り合いをより安全で納得しやすい形にできます。
工夫4として排水方向と水が止まりやすい箇所を示す
現況道路との取り合いで特に重要なのが排水です。道路や出入口の接続部では、わずかな勾配の乱れによって水が滞留しやすくなります。水たまりは舗装の劣化、凍結時の危険、歩行者の不快感、車両通行時の跳ね水につながります。さらに、既設道路側へ計画外の水が流れ込むと、周辺施設や道路管理上の問題になることがあります。そのため、RTK断面図では高さだけでなく、水がどちらへ流れるのかを読み取れる表現にすることが大切です。
排水方向を示すには、断面図上で現況道路面、計画舗装面、側溝、集水ます、路肩、歩道の高さ関係を整理します。水は基本的に高い方から低い方へ流れるため、断面図を見れば大まかな流れを判断できます。しかし、実務資料として使う場合は、読み手がすぐに分かるように、排水の向きや注意箇所を注記で補うと効果的です。特に現況道路と新設部の境界では、勾配が複雑になりやすいため、水が集まりそうな位置を明示しておくと、事前の対策につながります。
水が止まりやすい箇所として注意したいのは、既設舗装端、新設舗装のすり付け開始点、側溝の手前、縁石切下げ部、乗入れの中央部、道路横断勾配が反転する位置です。これらの場所では、見た目にはわずかな凹みでも、雨天時には水たまりとして現れます。RTKで取得した断面点を確認し、周辺より低くなっている箇所や、勾配が途切れている箇所を断面図に反映すると、施工前に問題を把握しやすくなります。
排水を考える際には、横断断面だけでなく縦断方向の確認も重要です。横断断面では側溝へ向かう勾配が確保されているように見えても、縦断方向で見ると水が流れる先に高い箇所があり、結果として水が滞留することがあります。現況道路との取り合い部では、道路に対して直角方向の断面と、道路に沿った断面の両方を確認することで、排水の流れをより正確に把握できます。
既設側溝や集水施設がある場合は、その天端や流入部の高さも断面図に示すと分かりやすくなります。舗装面だけを見ていると、側溝へ水が流れるように見えても、側溝蓋や縁石の高さが障害になっていることがあります。逆に、側溝側が低すぎる場合は、舗装端部に局所的な急勾配が生じることがあります。排水施設との取り合いを断面で確認することで、構造物と舗装面の関係を具体的に検討できます。
RTK断面図で排水方向を示す場合、雨水の流れを断定しすぎないことも大切です。実際の排水は、舗装の粗さ、局所的な凹凸、落ち葉や土砂の堆積、既設構造物の状態にも影響されます。断面図は、水が流れやすい方向や滞留しやすい箇所を予測する資料として扱い、必要に応じて現地確認や雨天後の観察と組み合わせると、より実務的な判断ができます。
排水の問題は、完成後に発見されると修正が難しくなります。事前にRTK断面図で現況道路との高さ関係を確認し、水が止まりやすい箇所を見える化しておけば、すり付け勾配の見直し、側溝位置の調整、集水ますの追加検討、舗装仕上げの注意点整理につなげられます。
工夫5として車両と歩行者の通行性を断面で確認する
現況道路との取り合いは、構造的につながっていれば良いというものではありません。車両が無理なく出入りできるか、歩行者が安全に通行できるか、自転車や車いす、台車などが通る場合に支障がないかを確認する必要があります。RTK断面図は、高さと勾配を可視化できるため、通行性を検討する資料としても有効です。
車両の通行性では、段差、急勾配、勾配変化、路肩との高低差が重要です。特に出入口や乗入れ部では、既設道路の横断勾配と新設部の縦断勾配が重なり 、車両の進入角度によっては底部が擦ったり、車体が傾いたりすることがあります。断面図で既設道路面から新設部へつながる勾配を確認し、急な折れ点がないかを見ることで、施工前にリスクを把握できます。
大型車両が通る可能性がある場所では、普通車だけを想定した取り合いでは不十分です。車両のホイールベース、進入角、退出角、荷重による沈み込み、旋回時の通行位置を考慮する必要があります。RTK断面図では、車両が通る想定ライン上の高さを確認し、舗装端や側溝蓋との段差、路肩部の落ち込みを把握します。平面上では十分な幅があるように見えても、断面上で片側が大きく下がっていると、通行時の安全性に影響することがあります。
歩行者の通行性では、段差と勾配の連続性が大きなポイントです。現況道路に歩道がある場合、新設出入口との取り合いで歩道面が切り下げられることがあります。このとき、歩行者が通る主動線に急な横断勾配や局所的な段差が生じると、歩きにくくなります。RTKで歩道面、縁石上端、車道面、乗入れ部を測定し、断面図として整理すれば、歩行者の動線上に無理な高低差がないかを確認できます。
また、通行性を検討する断面では、完成時だけでなく施工中の状態も意識することが大切です。現況道路を供用しながら工事を進める場合、仮舗装、仮設すり付け、仮歩道、仮設排水の高さ関係が通行性に影響します。完成形の断面図だけを見ていると、施工途中で生じる段差や勾配変化を見落とすことがあります。RTKで施工前の現況を把握し、仮設時の高さを検討しておくと、供用中の安全対策を計画しやすくなります。
断面図で通行性を示す場合は、実際に通る位置を意識することが重要です。道路中心線上の断面だけでは、車輪が通る位置や歩行者が歩く位置の高さを確認できない場合があります。車両の左右輪が通る想定位置、歩行者の主動線、車道と歩道の境界、側溝や縁石の近くなど、利用者の動きに合わせて断面を設定すると、実態に近い検討ができます。
RTK断面図を通行性確認に使うことで、単に計画高を合わせるだけでなく、実際に使いやすい取り合いになっているかを考えられます。現況道路は多くの利用者が日常的に使う空間であり、接続工事による小さな変化が不便や危険につながることがあります。断面図で通行性を事前に確認することは、完成後の品質を高めるうえで欠かせない視点です。
工夫6として施工段階ごとの取り合いを分けて表現する
現況道路との取り合いは、完成形だけを示せば十分とは限りません。実際の工事では、既設舗装の撤去、切削、仮舗装、側溝や縁石の施工、新設舗装の下層、上層、表層、区画線や仕上げといった段階を経て完成します。各段階で現況道路との高さ関係が変わるため、施工段階ごとの取り合いを分けて表現すると、現場での判断がしやすくなります。
特に供用中の道路に接続する工事では、施工途中の段差管理が重要です。昼間に既設舗装を切削し、夜間や翌日まで仮舗装で通行を確保する場合、仮の取り合い高さが適切でなければ、車両や歩行者に支障が出ます。完成時にはきれいにつながる計画でも、施工途中に危険な段差が残る可能性があります。RTK断面図を使って現況高を把握し、仮設時の高さを検討しておくことで、施工手順をより現実的に整理できます。
施工段階ごとの断面では、撤去前、撤去後、仮設時、完成時の違いを明確にします。すべてを一つの断面に重ねると情報量が多くなりすぎる場合は、段階別に図を分ける方が分かりやすいことがあります。例えば、施工前の現況断面では既設道路や構造物の状態を示し、施工中断面では仮舗装や仮排水を示し、完成断面では計画舗装面と最終的な排水方向を示します。このように分けることで、現場担当者が自分の作業段階に必要な情報を読み取りやすくなります。
取り合い部では、施工誤差や現地調整も考慮する必要があります。既設道路は完全な直線や一定勾配ではなく、局所的な凹凸を含んでいます。施工中に既設舗装を撤去した結果、下地の状態が想定と異なることもあります。RTK断面図で事前に現況を把握していても、施工中の状況に応じた確認は必要です。段階ごとの断面を用意しておけば、想定外の高さが出た場合にも、どの段階でどのように調整すべきかを判断しやすくなります。
また、施工段階ごとの断面は、協力会社との情報共有にも役立ちます。舗装、排水、縁石、土工、交通規制など、取り合 い部には複数の作業が関係します。それぞれの担当者が異なる資料を見ていると、仕上がり高さや施工順序に認識のずれが生じることがあります。RTK断面図をもとに段階別の取り合いを整理し、共通資料として共有すれば、現場での手戻りを減らしやすくなります。
施工段階の表現で注意したいのは、完成形と仮設形を混同しないことです。仮舗装の高さ、仮設すり付けの勾配、仮排水の流れは、完成時とは異なる場合があります。断面図上でそれらを明確に区別し、どの段階の情報なのかを示すことで、誤施工や確認漏れを防げます。RTK断面図は、現況測量の成果であると同時に、施工計画を具体化するための情報基盤として活用できます。
RTK断面図を現場で使える資料に整えるポイント
RTK断面図を現場で使える資料にするには、測量結果、設計情報、施工判断をつなぐ編集が必要です。現況点を取得して断面化しただけでは、読み手によって解釈が分かれることがあります。現況道路との取り合いを示す資料として使うなら、どの情報を見れば判断できるのかを整理し、不要な情報を減らし、必要な注 記を加えることが大切です。
まず、断面図の縮尺感に注意します。高さ方向を強調しすぎると、実際よりも勾配が急に見える場合があります。一方で、高さ方向の変化が分かりにくい縮尺では、数センチの段差や勾配変化を見落とします。取り合い確認では、読み手が高低差を判断しやすいように、縦横の見え方を適切に調整します。誇張して表示する場合は、その前提が分かるようにしておくと誤解を避けられます。
次に、現況線と計画線の区別を明確にします。どちらが測定結果で、どちらが設計値なのかが曖昧だと、協議や施工指示に使いにくくなります。線種、注記、凡例に相当する説明を整理し、現況道路、計画道路、構造物、撤去範囲、すり付け範囲が読み取れるようにします。ただし、過度に複雑な表現は避けるべきです。現場で短時間に確認する資料では、情報が多すぎることも問題になります。
測定値の扱いも重要です。RTKで取得した点には、測定環境によるばらつきが含まれる可能性があります。重要な取り合い部で は、測定時の状態を確認し、明らかに不安定な値をそのまま採用しないようにします。必要に応じて再測定し、現地の構造物や舗装面を目視確認したうえで断面図に反映します。特に側溝蓋や縁石の角、舗装端などは、測定位置が少しずれるだけで高さが変わるため、点の意味を明確にすることが欠かせません。
現場で使いやすいRTK断面図には、判断に必要な注記が入っています。例えば、現況道路は残置なのか切削なのか、新設舗装はどこから始まるのか、既設側溝は利用するのか更新するのか、排水はどちらへ流す想定なのかといった情報です。これらを断面図上に簡潔に示すことで、設計意図が現場に伝わりやすくなります。注記は多すぎると読みづらくなるため、取り合い判断に直接関係する内容に絞ると効果的です。
また、RTK断面図は単独で完結させるより、平面図や写真と組み合わせると理解しやすくなります。断面図で高さ関係を示し、平面図で位置関係を示し、写真で現地状況を補足すると、関係者の認識がそろいやすくなります。特に現況道路との取り合いでは、現地を知らない人が図面だけで判断することもあります。その場合、断面図だけでは道路の使われ方や周辺状況が伝わりにくいため、補助資料との連 携が有効です。
最後に、RTK断面図を更新しやすい形で管理することも大切です。現況測量後に設計が変わる、施工中に高さ調整が入る、既設構造物の状態が判明するなど、取り合い部の情報は変化します。断面図を一度作って終わりにするのではなく、変更内容を反映できる運用にしておくと、最終的な出来形確認や関係者説明にも使いやすくなります。
まとめ
RTK断面図で現況道路との取り合いを示すには、現況を測るだけでなく、実務者が判断しやすい形に整理することが重要です。測点位置と道路中心線の関係を明確にし、現況舗装端と計画端部を同じ断面に重ね、高さ基準と勾配変化点を分かりやすく示すことで、接続部の問題を早い段階で発見しやすくなります。さらに、排水方向、通行性、施工段階ごとの取り合いまで断面図に反映すれば、設計協議から施工管理まで使える資料になります。
現況道 路との接続部は、わずかな高低差や勾配の違いが完成後の使いやすさに大きく影響します。平面図だけでは見えにくい段差、逆勾配、水たまり、舗装端部の不自然な変化も、RTK断面図にすると関係者で共有しやすくなります。特に道路中心、舗装端、側溝、縁石、歩道、乗入れ部の高さを丁寧に拾い、計画線と比較することで、手戻りを減らし、現場で納得しやすい判断につなげられます。
RTK断面図を活用する際は、測定環境や基準高の整合を確認し、重要箇所では現地確認と組み合わせることが大切です。RTKは効率的な現況把握に役立ちますが、図面化の段階で測点の意味、線の区別、注記、排水や通行性の読み取りやすさを整えることで、初めて現場で使える資料になります。
現況道路との取り合いをより分かりやすく示し、測量から断面確認、現場共有までを効率化したい場合は、現場で取得した位置と高さをそのまま活用しやすいPhoneの活用も検討しやすい選択肢です。
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