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RTK断面図で調整池越流堤まわりの洗掘を見抜く6確認

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

調整池の越流堤まわりは、平常時には変化が見えにくく、出水後にだけ損傷や地形変化が表面化しやすい場所です。水が越える、落ちる、曲がる、戻るという複数の流れが重なり、護床、法尻、袖部、下流水路との境目では局所的な洗掘が起こることがあります。現地を目視するだけでは「少し掘れているように見える」で止まりがちですが、RTK断面図を使うと、標高差、断面形状、左右差、過去との差分から、注意すべき変化を整理しやすくなります。本記事では、RTK 断面図で調整池越流堤まわりの洗掘を見抜くために、現場で確認したい6つの視点を解説します。


目次

はじめに:RTK断面図で洗掘の兆候を読む意味

確認1:測量基準と断面位置が比較できる状態か

確認2:越流堤直下の落差と局所的なくぼみを読む

確認3:護床部と法尻の段差から流れの集中を疑う

確認4:左右岸の断面差で偏流と回り込みを見抜く

確認5:過去断面との標高差で洗掘の進行を判断する

確認6:堆積と洗掘を分けて維持管理の優先度を決める

RTK断面図を現場判断につなげる記録方法

まとめ:越流堤まわりの小さな変化を早めに拾う


はじめに:RTK断面図で洗掘の兆候を読む意味

調整池は、雨水を一時的に貯留し、下流への流出を抑えるための施設です。その中で越流堤は、水位が一定以上になったときに水を所定の方向へ流す重要な構造です。通常時は水が流れていない、または流量が少ないため、越流堤まわりの損傷は見落とされやすい傾向があります。しかし、大雨後には越流水が集中し、越流堤直下や下流側の護床、法尻、袖部周辺で洗掘が進む場合があります。


洗掘とは、水の流れによって土砂や細粒分が削られ、地盤面や河床面が低下する現象です。調整池の越流堤まわりで洗掘が進むと、表面的には小さなくぼみや段差に見えても、護床材の沈下、背面材料の吸い出し、法面の不安定化などにつながるおそれがあります。特に、越流堤直下の落下流、護床末端の流れの乱れ、左右岸への回り込み流、下流水路との接続部の流速変化は、局所的な洗掘を生みやすい要因として注意が必要です。


そこで役立つのがRTK断面図です。RTK測量は、補正情報を用いて現地の位置と高さを取得する測量方法で、条件が整えばセンチメートル級の測位が期待できます。越流堤まわりの横断形状や縦断形状を継続して測ることで、写真だけでは判断しにくい小さな標高差や形状変化を比較しやすくなります。


ただし、RTK断面図は万能ではありません。衛星の受信状況、補正情報の状態、固定解かどうか、植生、ぬかるみ、水面、礫の凹凸、測点の取り方によって、断面図の見え方は変わります。特に水が残っている箇所では、水面を測っても底面の地盤高を直接示すことにはなりません。RTK断面図は、現地写真、出水履歴、設計図書、管理基準、必要に応じた専門的な照査と組み合わせて使う資料と考えることが大切です。


RTK 断面図で洗掘を見抜くときに重要なのは、単に低い点を探すことではありません。越流堤からどの位置で低下しているのか、護床の端部とどうつながっているのか、左右岸で差があるのか、過去と比べて進行しているのか、堆積と洗掘が混在していないかを読み取る必要があります。以下では、実務担当者が現地確認や図面確認で使いやすいように、6つの確認に分けて説明します。


確認1:測量基準と断面位置が比較できる状態か

RTK断面図で洗掘を判断する前に、最初に確認すべきなのは、図面そのものが比較に耐える状態かどうかです。洗掘の有無を議論するとき、多くの場合は「前回より下がった」「周辺より掘れている」「設計時の形と違う」という比較が必要になります。ところが、測量基準、高さの扱い、断面位置、測点間隔がそろっていないと、実際の洗掘ではなく、測り方の違いを洗掘のように見てしまうおそれがあります。


まず確認したいのは、高さの基準です。現地で仮の基準点を使っている場合、その基準点が動いていないか、過去の測量と同じ基準で扱われているかを確認します。調整池周辺では、管理用道路の舗装端、構造物天端、既設の基準鋲などを参照することがありますが、盛土部や経年変化のある場所を基準にすると、高さの比較に不安が残ります。越流堤まわりの洗掘は小さな標高差が判断材料になることがあるため、基準のずれはそのまま判断のずれになります。


次に、断面位置の一致を確認します。越流堤直下の洗掘は、平面的に数十センチから数メートルずれるだけで断面形状が大きく変わることがあります。前回断面と今回断面が同じ測線なのか、越流堤の中心線、左右の袖部、下流水路中心、護床末端などの位置関係が明確なのかを確認します。断面図の横軸に距離が入っていても、現地のどこを通る断面なのかが曖昧であれば、洗掘の進行判断には使いにくくなります。


RTK断面図では、測点の密度も重要です。越流堤まわりの洗掘は、滑らかな大きな谷のように出る場合もありますが、護床ブロックの端、根固め材の抜け、法尻の一部など、狭い範囲に急な変化として出ることもあります。測点間隔が粗すぎると、局所的なくぼみをまたいでしまい、断面図上では問題がないように見えることがあります。越流堤直下、護床端部、法尻、下流水路へのすり付け部では、変化点を意識して測ることが大切です。


また、断面図の縦横比にも注意が必要です。縦方向を強調した図では小さな段差が大きな異常に見え、逆に縦方向が圧縮された図では注意すべき洗掘が目立たなくなります。実務では、断面図を眺めた印象だけで判断せず、標高値と距離値を合わせて読みます。見た目の凹みではなく、どの位置でどの程度下がっているのか、構造物や護床との関係で管理上の確認が必要な変化なのかを整理します。


RTK 断面図を洗掘確認に使う第一歩は、見栄えのよい図を作ることではなく、次回も比較できる図を作ることです。測量日、測量範囲、基準点、断面位置、測点間隔、固定解の状態、現地状況を記録しておくことで、次回以降の点検時に「本当に地盤が動いたのか」を判断しやすくなります。ここが曖昧なままでは、どれだけきれいな断面図を作っても、維持管理の根拠としては弱くなります。


確認2:越流堤直下の落差と局所的なくぼみを読む

越流堤まわりで洗掘を疑いたい代表的な場所は、越流した水が下流側に落ちる直下部分です。水は越流堤を越えると、下流側で落下し、衝突し、跳ね返りながらエネルギーを失っていきます。このとき、水叩きや護床が十分に機能していれば地盤の削れは抑えられますが、流れが集中した場所では局所的なくぼみが生じることがあります。RTK断面図では、このくぼみが越流堤直下の急な標高低下として表れる場合があります。


確認の基本は、越流堤天端、下流側の法面、水叩きまたは護床の上面、護床末端、下流地盤のつながりを一つの断面として読むことです。越流堤そのものの高さだけを見ても、洗掘は判断できません。水が落ちる位置のすぐ下流に、周囲より低い点があるか、その低い点が単発の測定値ではなく、断面形状として連続しているかを確認します。落差の直下に舟底状のくぼみがあり、その下流側に土砂の盛り上がりがある場合、削られた材料が少し下流に移動した可能性も考えられます。


RTK断面図で注意したいのは、くぼみの深さだけでなく、くぼみの肩の形です。なだらかに下がってなだらかに戻る形であれば、もともとの地形や施工時のすり付けである可能性があります。一方で、護床端部の直後に急に下がり、短い距離でまた上がるような形は、流れによって局所的に削られた可能性を検討するきっかけになります。越流堤直下に小さな段差が連続している場合も、保護材の沈下や材料の移動が起きていないかを現地で確認します。


越流堤直下の洗掘は、現地写真では水たまりや影に隠れて分かりにくいことがあります。特に出水後は泥水が残り、くぼみの底が見えないこともあります。RTK断面図では、水面を測ってしまうと実際の地盤高とは異なるため、可能な範囲で底面の確認を行い、水が残っている範囲を記録しておくことが重要です。水面の点と地盤の点が混ざると、断面図上の低下が過小評価されたり、逆に平坦に見えたりすることがあります。


また、越流堤直下の洗掘は、越流の頻度が少ない施設でも起こることがあります。頻繁に流れないから常に安全とは言い切れません。久しぶりの大雨で一気に流れたとき、堆積していた細粒分が動き、出水前とは異なる地形になる場合があります。RTK 断面図を出水前後で比較できれば、普段は見えにくい一回の出水による変化を把握しやすくなります。


実務上は、越流堤直下の断面を一つだけ取るのではなく、中央部と左右の袖部付近で複数の断面を確認することが有効です。中央で問題が目立たなくても、袖部近くで流れが斜めに当たり、局所的に掘れている場合があります。特に越流幅の端部、法面との接続部、護床の切れ目では、流れが乱れやすくなります。RTK断面図で直下のくぼみを読むときは、越流堤を一本の線ではなく、幅を持った構造として扱うことが大切です。


確認3:護床部と法尻の段差から流れの集中を疑う

越流堤まわりの洗掘は、越流堤直下だけで完結するとは限りません。流れのエネルギーが残ったまま護床末端を越えると、その先の土砂部や法尻で洗掘が起こることがあります。RTK断面図で見るべき重要なポイントは、護床部と周辺地盤の境目に段差ができていないか、法尻が不自然に下がっていないかという点です。


護床は、越流水による地盤の削れを抑え、下流側へ向かう流れを減勢させるために設けられる保護範囲です。しかし、保護されている部分と保護されていない部分の境界では、流速や乱れが変化します。護床の端部で流れが跳ねたり、下向きの渦が発生したりすると、端部直下の地盤が削られることがあります。このような洗掘は、断面図上では護床末端から急に標高が落ちる形で現れる場合があります。


法尻の段差も見逃せません。調整池の下流側や側方の法面は、流れが直接当たらないように見えても、越流水が広がった後に戻る流れや、袖部を回り込む流れによって削られることがあります。法尻が削られると、法面の安定性に影響するおそれがあります。最初は小さなえぐれでも、次の出水時に同じ場所へ水が集中し、洗掘が深くなる場合があります。RTK断面図では、法面勾配が途中で折れていないか、法尻だけが局所的に低下していないかを確認します。


この確認で大切なのは、段差を単独で見るのではなく、流れの向きと合わせて読むことです。越流堤から見て下流方向にまっすぐ段差が出ているのか、片側へ寄っているのか、護床の端部に沿って長く続いているのかによって、原因の見立てが変わります。護床端部に沿って横方向に連続する段差であれば、護床末端での流れの落ち込みを疑います。片側の法尻だけに深いえぐれがある場合は、偏流や回り込み流を疑います。


RTK断面図では、護床材そのものの凹凸も表れます。礫、張り材、ブロック状の保護材がある場合、測点が材料の上に乗るか隙間に入るかで標高が変わります。そのため、単一点の低さだけで洗掘と決めるのではなく、複数点が同じ傾向を示しているかを確認します。現地で保護材の沈下、浮き、隙間、抜け、裏込め材の流出が見られる場合は、断面図上の段差と結びつけて判断します。


護床部と法尻の確認では、設計時の保護範囲と現在の水の当たり方が合っているかも重要です。周辺の土地利用や上流側の流入条件が変わると、当初想定とは異なる流れ方になることがあります。調整池内に堆積が進み、越流水が片側に寄ることもあります。RTK 断面図で護床部と法尻の高さを追うことで、単なる局所損傷ではなく、流れの集中そのものを見直すきっかけになります。


確認4:左右岸の断面差で偏流と回り込みを見抜く

越流堤まわりの洗掘を判断するうえで、左右岸の差は重要です。水は必ずしも越流堤の中央から均等に流れるわけではありません。上流側の堆積、流入口の位置、池底勾配、植生、越流堤天端の不陸、下流側の地形によって、流れが片側へ寄ることがあります。この偏った流れを偏流として捉えると、RTK断面図の読み方が変わります。


中央断面だけを見ると、越流堤直下に大きな問題がないように見えることがあります。しかし、左右岸側の断面を取ると、片側だけ護床末端が下がっていたり、袖部の背面がえぐれていたり、法尻に深いくぼみが出ていたりする場合があります。これは、越流水が側方へ広がった後に袖部を回り込む、または下流側で流れが片側へ集中している可能性を示します。RTK 断面図は、この左右差を数値と形状で確認できる点に強みがあります。


左右岸差を見るときは、同じ距離位置で標高を比較するだけでは不十分です。越流堤中心からの距離、袖部からの離れ、護床端部からの下流距離をそろえて読みます。例えば、右岸側の断面では護床端から一定距離下流で急に下がり、左岸側では同じ位置に変化がない場合、右岸側で流れが集中している可能性があります。逆に、左右とも同じように下がっている場合は、越流堤全体の下流側で護床範囲や保護状態を再確認する必要があります。


回り込み流は、平面図と断面図を合わせると理解しやすくなります。RTK測量で取得した点を平面的に見ると、袖部の外側や下流側の端部に低い帯が出ることがあります。この帯を横断断面で切ると、法尻や肩部に局所的な低下が表れます。現地では草で覆われていて分かりにくいえぐれも、断面図では勾配の乱れとして見えることがあります。特に、越流堤の端部と管理用通路、側溝、下流水路が近接している場合は、回り込みによる洗掘が施設全体の維持管理に影響することがあります。


左右岸の断面差は、施工誤差やもともとの地形差である場合もあります。そのため、今回の断面だけで判断するより、過去の断面、設計断面、現地写真を合わせることが重要です。過去から同じ差があるなら初期形状の可能性がありますが、出水後に片側だけ低下したなら洗掘の可能性を検討します。RTK 断面図を定期的に残しておくと、左右差が固定的なものか、進行しているものかを見分けやすくなります。


偏流を見抜くことは、補修範囲の判断にもつながります。単に掘れた場所を埋め戻すだけでは、次の出水で同じ場所が再び削られることがあります。なぜ片側に流れが寄っているのか、上流側の堆積を取り除くべきか、護床の範囲や法尻保護を見直すべきかを考える必要があります。RTK断面図で左右岸を比較することは、洗掘の結果を記録するだけでなく、原因を推定するための入り口になります。


確認5:過去断面との標高差で洗掘の進行を判断する

洗掘の優先度を判断するうえで、説得力があるのは過去断面との比較です。今回のRTK断面図だけを見ても、そのくぼみが以前からあったものなのか、最近の出水で進んだものなのかは分かりません。維持管理では、現在の形状だけでなく、変化の速さを把握することが重要です。短期間で標高が下がっている場所は、次の出水でさらに進行する可能性があります。


過去断面と比較するときは、まず同じ測線であることを確認します。断面線が少しずれているだけで、特に越流堤まわりでは標高差が大きく見えることがあります。比較図を作る場合は、越流堤天端、護床端部、法尻、下流水路中心など、動きにくい基準となる位置をそろえることが重要です。基準がずれたまま標高差を塗り分けたり、断面を重ねたりすると、誤った洗掘判定につながります。


標高差を見るときは、最大低下量だけに注目しすぎないことも大切です。例えば、一点だけ極端に低くなっている場合は、測点の取り方、石の隙間、水たまり、植生の影響を確認する必要があります。一方で、複数点にわたって連続的に標高が下がっている場合は、実際に地盤が削られた可能性が高まります。RTK断面図では、点のばらつきと連続した形状変化を分けて読む意識が必要です。


洗掘の進行判断では、低下した土砂がどこへ移動したかも見ます。越流堤直下で地盤が下がり、その少し下流で盛り上がっている場合、洗掘と堆積がセットで起きている可能性があります。下流に堆積があるから問題が小さいとは限りません。越流堤直下や護床端部の支持が失われている場合、下流側に土砂が残っていても構造物周辺の確認は必要です。断面図では、低下部と堆積部の位置関係を読み、流れによる材料移動を想定します。


過去断面との比較は、出水イベントとの関係も重要です。大雨前後、台風後、長雨後、維持工事後など、変化が起きやすい時期を記録しておくと、どの程度の出水でどこが動くのかを把握しやすくなります。毎回同じ場所が少しずつ低下しているなら、表面的な補修だけでなく、流れの当たり方や保護範囲を見直す必要があります。反対に、一度低下した後に安定している場合は、経過観察と部分補修を組み合わせる判断も考えられます。


RTK 断面図で標高差を扱うときは、測量精度と現地条件を踏まえた判断が欠かせません。小さな差をすべて異常とみなすと、不要な対応が増えます。大きな差だけを見ると、初期段階の兆候を逃すことがあります。実務では、越流堤や護床に近い場所、法尻、袖部、下流水路接続部など、影響が大きい場所の変化を優先して読みます。同じ低下量でも、構造物の直下と広い池底中央では意味が異なります。


過去断面を蓄積していくと、調整池ごとの弱点が見えてきます。ある施設では右岸袖部が動きやすく、別の施設では護床末端が毎回下がるというように、施設ごとの傾向があります。RTK断面図は、その場限りの点検資料ではなく、経年変化を読むための管理記録として価値を持ちます。洗掘の進行を判断するには、今回の図面を次回の基準にするという意識で残すことが大切です。


確認6:堆積と洗掘を分けて維持管理の優先度を決める

調整池では、洗掘だけでなく堆積も同時に起こります。上流から流入した土砂や落葉、細粒分が池内にたまり、越流堤まわりの流れを変えることがあります。RTK断面図を見ると、ある場所では地盤が下がり、別の場所では上がっていることがあります。このとき、単純に平均して変化が小さいと判断してしまうと、重要な洗掘を見落とす可能性があります。


堆積と洗掘を分けて読むためには、まず位置関係を確認します。越流堤上流側に堆積が進むと、越流水の流入方向が変わり、片側に流れが寄ることがあります。下流側に堆積がある場合は、越流直下で削られた材料が移動した結果かもしれません。護床末端の下流に土砂が盛り上がっている場合でも、そのすぐ上流で護床端部がえぐれていれば、洗掘リスクは残ります。RTK 断面図では、盛り上がった場所と掘れた場所を別々に評価することが重要です。


堆積は一見すると安全側の変化に見えることがあります。地盤が高くなっているなら削れていない、と思いがちです。しかし、調整池の機能面では貯留容量や通水条件に影響する場合があります。越流堤の手前に堆積が偏ると、水の通り道が狭くなり、越流時の流速が局所的に高まることがあります。その結果、下流側の特定箇所で洗掘が進む可能性があります。つまり、堆積は洗掘と無関係ではなく、洗掘を生む前段階になることがあります。


維持管理の優先度を決めるときは、洗掘の深さだけでなく、構造物への近さ、進行性、次回出水時の再発可能性、現地確認の確からしさを考えます。越流堤直下で深いくぼみがある場合、護床や基礎周辺の安定に関わる可能性があるため優先度は高くなります。法尻の洗掘が進んでいる場合は、法面崩れや保護材の抜けにつながるおそれがあるため、早めの確認を検討します。堆積が主な問題であっても、それが偏流を生んでいるなら、土砂撤去や流路の整正を優先する判断になります。


RTK断面図を使うと、洗掘と堆積を同じ図面上で比較できます。ただし、色分けや差分表示を使う場合でも、図の見た目だけで判断しないことが大切です。赤く見える場所、青く見える場所という印象ではなく、越流堤からの距離、護床との関係、流れの向き、過去の変化を合わせて読みます。特に調整池は、平常時の地形と出水時の流れが大きく異なる場合があります。平常時に歩きやすい場所が、出水時には強い流れの通り道になることもあります。


維持管理では、すべてをすぐ補修することは現実的ではありません。だからこそ、RTK 断面図で優先順位を付けることが重要です。構造物に近い洗掘、進行が確認される洗掘、流れの集中が続く場所、法面安定に影響する場所を優先して確認します。一方で、広い範囲の浅い堆積は、貯留容量や流路への影響を見ながら計画的に対応します。洗掘と堆積を分けて評価することで、限られた点検時間や補修予算を効果的に使いやすくなります。


RTK断面図を現場判断につなげる記録方法

RTK断面図は、作成して終わりではありません。現場判断につなげるには、測量結果、写真、所見、出水履歴、補修履歴を結びつける必要があります。特に調整池の越流堤まわりは、普段は静かな施設でありながら、出水時だけ強い流れが発生します。そのため、いつ、どのような条件で、どこに変化が出たのかを残すことが重要です。


まず、断面位置の記録を明確にします。越流堤中心、左右袖部、護床末端、法尻、下流水路接続部など、継続して測る断面を決めておくと、次回比較が容易になります。現地の杭や鋲に頼れない場合でも、構造物の角、天端端部、管理用通路の端など、再現しやすい位置関係を記録しておきます。断面名も、単なる番号ではなく、位置が分かる名称にしておくと、関係者間で共有しやすくなります。


次に、断面図と現地写真を対応させます。写真だけでは標高差が分からず、断面図だけでは現地の材料や水の跡が分かりません。越流堤直下のくぼみ、護床端部の段差、法尻のえぐれ、袖部の回り込み跡、堆積の偏りを同じ位置で記録すると、後から見返したときに判断しやすくなります。写真を撮る際は、近景だけでなく、越流堤から下流側全体が分かる引きの写真も残すと、流れの向きや範囲を説明しやすくなります。


RTK測量時の現地条件も重要です。水が残っていた、泥が軟らかかった、草が繁茂していた、礫が露出していた、保護材が動いていたといった情報は、断面図の読み取りに影響します。草の上を測っているのか、地盤面を測っているのかで高さは変わります。ぬかるみに測定棒が沈む場合もあります。こうした条件を記録しておけば、後日、断面図の不自然な点を見たときに原因を推定できます。


RTK測量の記録では、測量日時、使用した基準、補正情報の方式、固定解の有無、測点間隔、測線の始点と終点も残しておくと比較しやすくなります。特に、前回と今回で測り方が異なる場合は、その違いを所見に明記します。断面図の変化をそのまま地盤変化と判断するのではなく、測量条件の違いによる見え方の変化を切り分けることが大切です。


報告書や管理記録では、洗掘の有無だけでなく、判断の理由を書くことが大切です。「越流堤直下に低下あり」だけでは、緊急性が伝わりにくくなります。「護床末端から下流側に連続した標高低下があり、右岸側で法尻に近接しているため、次回出水時の拡大に注意が必要です」のように、場所、形状、影響をつなげて記載すると、補修や追加調査の判断につながります。


RTK 断面図を関係者に共有する際は、専門的な図面に慣れていない人にも分かるように、見方をそろえることも重要です。縦横比、基準標高、測線位置、過去断面との比較線を明示し、どこを見れば洗掘の兆候が分かるのかを説明します。維持管理担当者、設計担当者、施工担当者、施設管理者が同じ断面図を見ても、注目する点は異なります。共通の判断材料として使うには、図面の読み方を言葉で補う必要があります。


また、出水後の点検タイミングも記録方法に影響します。出水直後は洗掘の痕跡が残りやすい一方で、水位やぬかるみによって測りにくい場合があります。時間が経つと、堆積や人の立ち入り、植生の回復によって痕跡が分かりにくくなります。可能であれば、出水後の早い段階で概略確認を行い、安全を確保したうえでRTK断面図を作成すると、変化を捉えやすくなります。


RTK断面図の価値は、単発の異常検出よりも、継続的な比較にあります。毎回同じ形式で記録し、同じ場所を確認し、同じ観点で所見を残すことで、施設ごとの弱点と変化の傾向が見えてきます。調整池越流堤まわりの洗掘は、発見が遅れるほど補修範囲が広がる場合があるため、日常点検と測量記録をつなげる運用が大切です。


まとめ:越流堤まわりの小さな変化を早めに拾う

RTK断面図で調整池越流堤まわりの洗掘を見抜くには、低い場所を探すだけでは不十分です。測量基準と断面位置がそろっているかを確認し、越流堤直下の落差、護床端部と法尻の段差、左右岸の断面差、過去断面との標高差、堆積と洗掘の関係を順に読み解く必要があります。これらを組み合わせることで、見た目では判断しにくい洗掘の兆候を、維持管理の判断材料として扱いやすくなります。


調整池の越流堤まわりは、通常時に問題が見えにくい場所です。しかし、出水時には水の力が集中し、短時間で地盤が削られることがあります。小さなくぼみ、護床端部の段差、法尻のわずかな低下、片側だけのえぐれは、次の出水で拡大する前触れかもしれません。RTK 断面図を使えば、その変化を感覚だけでなく、位置と高さの情報として残すことができます。


実務で重要なのは、断面図をきれいに作ることだけではなく、現場の流れを想像しながら読むことです。水はどこから越え、どこに落ち、どちらへ寄り、どこで跳ね、どこに土砂を運んだのか。その流れの結果として断面形状を見れば、洗掘の原因と優先対応を考えやすくなります。特に過去断面との比較を積み重ねることで、施設ごとの弱点を把握し、補修や追加調査のタイミングを判断しやすくなります。


越流堤まわりの洗掘は、早く見つければ部分的な対応で済む可能性があります。発見が遅れれば、護床の沈下、法面の不安定化、下流水路への影響など、管理上の課題が広がることがあります。RTK断面図を定期点検や出水後点検に取り入れ、6つの確認を習慣化することで、調整池の安全性と維持管理の説明力を高めやすくなります。最終的な安全性の判断や補修方針は、施設の設計図書、管理基準、現地条件を踏まえ、必要に応じて施設管理者や専門技術者と確認してください。


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