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RTK断面図で斜面崩壊後の復旧形状を決める5項目

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

RTK断面図が復旧形状の判断に使われる理由

項目1 現況地形と崩壊範囲を正しく読む

項目2 復旧勾配と法面高さを決める

項目3 排水計画と水みちを断面に反映する

項目4 構造物と盛土・切土の取り合いを整理する

項目5 施工性と維持管理まで見込んで形状を決める

RTK断面図を使うときの注意点

まとめ


RTK断面図が復旧形状の判断に使われる理由

斜面崩壊後の復旧では、最初に「どこまで崩れているのか」「どの高さで復旧するのか」「どの勾配なら安全性と施工性を両立しやすいのか」を具体的に整理する必要があります。現場写真や平面図だけでも状況の把握はできますが、復旧形状を検討する段階では、地盤の高さ変化を断面で確認することが欠かせません。そこで重要になるのが、RTK測量で取得した座標と標高をもとに作成する断面図です。この記事では、その断面図を「RTK断面図」と呼びます。


RTK断面図は、現況地形を短時間で把握し、崩壊前後の地形差、崩壊深さ、法肩や法尻の位置、復旧後の勾配、排水施設の配置などを検討するための基礎資料になります。特に、災害復旧や応急復旧の現場では、測量から図面化までのスピードが求められます。RTKによって現場の座標と標高を効率よく取得できれば、復旧方針の比較、関係者との協議、概算数量の算出、施工計画の整理を進めやすくなります。


ただし、RTK断面図を作成しただけで復旧形状が自動的に決まるわけではありません。断面図はあくまで判断材料であり、どの測点を採用するか、崩壊範囲をどう読むか、どの勾配で安定を確保するか、どこに排水を逃がすか、施工機械が入れるかといった検討が必要です。さらに、土質、地下水、湧水、既設構造物、用地条件、適用する設計基準によって必要な対策は変わります。必要に応じて、地質・土質調査、安定計算、設計者や専門技術者による確認を組み合わせることが前提です。


この記事では、RTK断面図で斜面崩壊後の復旧形状を検討する際に確認したい5項目を、実務担当者向けに解説します。測量担当、設計担当、施工管理担当、発注者との協議に関わる方が、断面図を見ながら何を判断すべきかを整理できる内容です。


項目1 現況地形と崩壊範囲を正しく読む

復旧形状を決める第一歩は、現況地形と崩壊範囲を正しく読み取ることです。斜面崩壊後の現場では、崩れた土砂が法尻に堆積していたり、表層だけが滑っているように見えて実際には背後地盤まで緩んでいたりすることがあります。RTK断面図では、現況地盤線が一本の線として表現されますが、その線の背景には、崩壊面、堆積土、亀裂、湧水、植生の倒れ込み、既設構造物の変状など、多くの現場情報が含まれています。


断面図を作成する際は、単に崩壊中央部を測るだけでは不十分です。崩壊の上端、下端、左右端、未崩壊部との境界、背後の亀裂位置、法尻の堆積範囲を意識して測点を取る必要があります。崩壊面の凹凸が大きい場合、測点間隔を広く取りすぎると、断面図上ではなだらかな線に見えてしまい、実際の崩壊深さや不安定土塊の厚さを見落とすおそれがあります。反対に、測点を細かく取りすぎても、図面上の情報が煩雑になり、復旧線の判断がしづらくなる場合があります。現場の変化点を押さえながら、目的に合った密度で測ることが大切です。


崩壊範囲の読み取りでは、法肩と法尻の位置が特に重要です。法肩が後退している場合、見た目の崩壊端だけでなく、背後側の緩みや亀裂の有無を確認して復旧形状を検討しなければなりません。表面に細い亀裂が残っている場合、その亀裂より下側の地盤がすでに緩んでいる可能性もあります。復旧断面を崩壊直後の見かけの端部に合わせるだけでは、施工後に背後地盤が追加で崩れ、再施工が必要になることがあります。


また、崩壊土砂が法尻に残っている場合は、それを安定した地山と誤認しないように注意が必要です。RTK断面図では標高として取得されるため、堆積土も現況地盤線の一部になります。しかし、堆積土は締まりが不均一で、含水状態によっては再移動しやすい材料です。復旧形状を決める際は、どこまでが元の地山で、どこからが崩落土なのかを現地確認と合わせて整理する必要があります。


断面の位置も判断に大きく影響します。崩壊の中央断面だけを見ると、最大崩壊深さは把握しやすい一方で、左右の取り合いや端部処理を見落とすことがあります。逆に端部断面だけでは、崩壊全体の規模を過小評価する可能性があります。実務では、崩壊中央、左右端部、地形が変化する位置、既設構造物や道路に近い位置など、複数の断面を作成して比較することが望ましいです。複数断面を並べることで、復旧線をどこで通すべきか、切土主体にするのか、盛土で戻すのか、構造物を併用するのかが見えやすくなります。


RTK断面図を読むときは、現況線だけでなく、崩壊前の地形を推定する視点も必要です。過去の測量図、道路台帳、造成図、既設法面の勾配、周辺の未崩壊部の断面形状などがあれば、崩壊前の形をある程度推定できます。崩壊前の線と現況線を比較すると、失われた土量や復旧で戻すべき範囲が明確になります。ただし、崩壊前と同じ形に戻すことが常に適切とは限りません。崩壊したという事実は、元の形状や排水条件に弱点があった可能性を示しています。そのため、RTK断面図は「元に戻すための図面」だけでなく、「再び壊れにくい形を検討するための図面」として現況を読むことが重要です。


項目2 復旧勾配と法面高さを決める

復旧形状の中心になるのが、復旧後の勾配と法面高さです。斜面崩壊後の復旧では、崩壊した部分を単純に埋め戻すだけではなく、安定しやすい勾配に整え、必要に応じて小段や構造物を組み合わせることがあります。RTK断面図は、現況地盤線に対して計画線を重ねることで、どの程度切るのか、どの程度盛るのか、法面の高さがどれくらいになるのかを確認するために使います。


勾配を決める際は、まず地山の性質を考慮します。砂質土、粘性土、風化岩、崩積土、盛土材などでは、安定しやすい勾配が異なります。現場で見える表面だけで判断せず、崩壊面の土質、含水状態、礫の混入状況、層理や割れ目の向き、過去の崩壊履歴などを確認することが大切です。RTK断面図には土質そのものは表れませんが、急な遷急線や湧水位置、崩壊面の形状から、弱い層や水の影響を推定する手掛かりが得られる場合があります。


復旧勾配は、できるだけ安定側に設定することが望ましい一方で、現場には用地境界、道路幅員、隣接構造物、河川や水路、民地との取り合いなどの制約があります。勾配を緩くすれば安定性は高まりやすいものの、法尻が外側へ広がり、用地を越えたり、既設施設と干渉したりすることがあります。反対に、用地内に収めるために急勾配にすると、表層崩壊や浸食のリスクが高まり、補強工や保護工が必要になる場合があります。RTK断面図では、計画勾配を複数パターンで重ね、法尻位置、法肩位置、切盛境界を比較しながら、現実的な復旧線を検討します。


法面高さも重要な判断材料です。同じ勾配でも、高さが低い法面と高い法面では、崩壊時の影響範囲や施工時の安全対策が大きく異なります。高さが大きくなる場合は、小段を設けて水の流下距離を短くしたり、点検や維持管理の足場を確保したりする検討が必要です。RTK断面図では、法肩から法尻までの高低差を確認し、どの高さで小段を入れるか、どの位置で勾配を変えるかを検討します。


小段を設ける場合は、単に水平な段を入れるだけでは不十分です。小段には、表面水を受けて安全に排水する役割、落石や小規模な土砂を一時的に受ける役割、施工時や点検時の作業スペースとしての役割が期待される場合があります。そのため、幅、勾配、排水方向、縦排水との接続を断面図上で確認する必要があります。小段が狭すぎると維持管理がしづらく、広すぎると切土量や用地への影響が大きくなります。RTK断面図で小段の位置を検討する際は、平面上の排水経路や端部処理も合わせて考えることが重要です。


復旧形状を決めるうえでは、切土で安定地山まで取り除くのか、盛土で元の高さを回復するのかも大きな分岐点です。崩壊面に緩んだ土砂が残っている場合、その上に盛土をしても安定しないおそれがあります。断面図上では盛土で簡単に復旧できるように見えても、実際には不安定土を除去し、段切りや基礎処理を行い、排水を確保したうえで盛り立てる必要があります。切土主体にすると不安定部を除去しやすくなりますが、切土量が増えたり、法面が高くなったりします。盛土主体にすると元の利用形態に近づけやすい一方で、材料、締固め、排水、法尻の支持が重要になります。


RTK断面図では、現況線、推定崩壊前線、計画復旧線を重ねて見ることで、復旧の考え方が明確になります。どの線を基準にするかによって数量も変わります。災害復旧の説明では、なぜその勾配にしたのか、なぜその高さで小段を設けたのか、なぜ元の形に完全には戻さないのかを説明できることが求められます。断面図は、その説明を支える根拠の一つになります。


項目3 排水計画と水みちを断面に反映する

斜面崩壊の復旧で見落としてはいけないのが水の処理です。斜面が崩れる原因は一つではありませんが、降雨、表面水、地下水、湧水、排水不良が関係しているケースは多くあります。復旧形状を決める際に勾配や構造物だけを整えても、水みちが改善されていなければ、同じ場所やその周辺で再び崩れる可能性があります。RTK断面図では、水がどこから来て、どこを通り、どこへ抜けるのかを断面上で確認することが重要です。


まず確認したいのは、法肩側から斜面へ流入する表面水です。背後地に道路、農地、宅地、山林の集水地形がある場合、雨水が法肩に集中して流れ込むことがあります。崩壊後の現場では、法肩付近に洗掘跡があったり、斜面上に筋状の流下跡が残っていたりします。RTK測量では、こうした水の集まりやすい低いライン、法肩のくぼみ、既設側溝の切れ目などを測点として押さえておくと、断面図と平面図を組み合わせて排水計画を立てやすくなります。


断面図上では、法肩に水を入れにくい形にすることが基本です。法肩排水を設ける、背後からの流入を迂回させる、斜面内に水が集中しないように分散させるなど、現場条件に応じた対策を検討します。復旧計画線を引く際に、法肩部が周囲より低くなっていると、水がそこへ集まりやすくなります。見た目にはわずかな高低差でも、強い降雨時には流路となることがあります。RTK断面図では、法肩の高さと背後地盤の高さ関係を確認し、復旧後に水が斜面へ流入しにくい形に整える必要があります。


次に重要なのが、法面内の表面排水です。復旧後の法面が長くなる場合、雨水が法面を流下する距離が長くなり、表面浸食が発生しやすくなります。植生や表面保護を行っても、水が一点に集中すると溝状に削られ、やがて小崩壊につながることがあります。小段を設ける場合は、小段で受けた水をどこへ流すのかを断面図上で確認する必要があります。小段に水が滞留すれば、そこから浸透して下段の法面に悪影響を与えることがあります。


湧水や地下水の扱いも、断面図での検討が必要です。崩壊面に湿った層がある、法尻から水がにじむ、雨が止んだ後も水が出続けるといった場合は、表面だけでなく内部排水を考慮しなければなりません。断面図上に湧水位置を記録しておくと、暗渠、横方向の排水、法尻排水、透水層の処理などを検討しやすくなります。湧水位置を図面に反映しないまま復旧線を決めると、施工段階で水処理の追加が必要になり、形状変更や数量変更につながることがあります。


法尻排水も復旧形状と一体で考える必要があります。法尻は斜面から流れてきた水や内部から抜けた水が集まりやすい位置です。ここで水が滞留すると、盛土法尻の支持力低下、洗掘、排水施設の目詰まり、下流側への土砂流出が起こりやすくなります。RTK断面図では、法尻の高さ、既設水路との高低差、放流先までの勾配、堆積土の厚さを確認します。法尻に排水施設を設ける場合は、復旧線と排水施設の位置関係を明確にし、施工後に点検できる配置にすることが大切です。


水の検討では、断面図だけに頼りすぎないことも重要です。水は平面方向に流れるため、断面図だけでは集水範囲や流下方向を十分に把握できない場合があります。RTKで取得した地形点をもとに平面図を作成し、断面図と照合することで、排水経路の判断精度が高まります。特に谷地形、道路横断排水、既設水路との接続部、隣接地からの流入がある現場では、断面と平面の両方で水みちを確認することが欠かせません。


復旧形状を決める際には、「水が斜面に入りにくい形」「入った水を速やかに逃がす形」「逃がした水が法尻や下流で悪影響を起こしにくい形」を同時に考える必要があります。RTK断面図は、これらを視覚的に整理するための有効な資料です。勾配や高さだけでなく、水の通り道を線として読み込むことで、復旧後の安定性を検討しやすくなります。


項目4 構造物と盛土・切土の取り合いを整理する

斜面崩壊後の復旧では、自然な法面整形だけで対応できる場合もあれば、擁壁、かご状の土留め、法枠、補強材、排水構造、根固め、護岸などの構造物を組み合わせる必要がある場合もあります。RTK断面図を使う目的は、構造物をどこに置くかを決めることだけではありません。構造物と地山、盛土、切土、排水、既設施設との取り合いを整理し、施工後に無理のない納まりにすることが重要です。


構造物の配置を検討する際は、まず支持する対象を明確にします。法尻を押さえるための構造物なのか、道路や宅地の端部を保持するための構造物なのか、崩壊土砂の再移動を防ぐための構造物なのかによって、配置する高さや位置が変わります。RTK断面図では、構造物の前面、背面、基礎位置、背面盛土の範囲、排水層の位置を計画線として示すことで、復旧形状全体の整合を確認できます。


法尻に構造物を設ける場合、基礎の位置が特に重要です。崩壊土砂や軟弱な堆積土の上に構造物を置くと、沈下や傾きが発生するおそれがあります。断面図上で基礎底面をどの標高に設定するか、安定した地盤までどの程度掘削するかを確認する必要があります。法尻付近は水が集まりやすいため、基礎掘削時に湧水が出ることもあります。RTK断面図には現況地盤線しか表れないことが多いため、必要に応じて試掘や現地観察の結果を補足しながら判断することが大切です。


盛土を伴う復旧では、既設地盤との取り合いが復旧形状の品質を左右します。崩壊面にそのまま盛土を載せるのではなく、緩んだ土砂を取り除き、段切りを行い、締固めができる形に整える必要があります。断面図では、完成形だけでなく、施工時にどこまで掘削し、どこから盛り始めるのかを意識することが重要です。完成後の線だけを見ていると、施工手順に無理がある形状になりやすくなります。


切土を伴う復旧では、既設の安定斜面をどこまで切り込むかが問題になります。不安定土を除去するために切土を広げると、安定性は高まりやすくなりますが、周辺地形や用地への影響が大きくなります。切土を最小限に抑えると、施工範囲は小さくなりますが、緩みが残るリスクがあります。RTK断面図では、崩壊範囲と計画切土線の関係を確認し、安定性と施工範囲のバランスを取る必要があります。


既設構造物との取り合いも見落とせません。道路側溝、境界ブロック、集水ます、舗装端部、既設擁壁、水路、電柱基礎、柵、農業施設などが近くにある場合、復旧形状がそれらに干渉しないかを断面図で確認します。特に、道路や宅地に近い斜面では、法肩位置のわずかな変更が利用幅や安全施設の位置に影響します。RTK測量で既設構造物の天端、底面、前面、背面の高さを取得しておくと、復旧線との取り合いを整理しやすくなります。


構造物を設ける場合は、背面排水も一体で考える必要があります。土留めの背面に水がたまると、土圧が増え、変状の原因になります。断面図上では、背面の排水層、排水管、流末、法尻排水との接続を確認します。構造物の形だけを決めて、排水経路を後から考えると、現場で納まりに苦労することがあります。復旧形状を決める段階で、構造物と排水を一体の断面として整理しておくことが重要です。


また、構造物の高さを必要以上に大きくしないことも実務上は大切です。高い構造物は安定計算、基礎処理、施工スペース、仮設、安全管理、維持管理の負担が増えます。一方で、構造物を低くしすぎると、背面の法面が急になり、表層崩壊や浸食のリスクが残ります。RTK断面図では、構造物の高さと背面法面の勾配をセットで確認し、全体として安定しやすい形にする必要があります。


復旧形状は、地山、盛土、切土、構造物、排水、既設施設が連続して初めて機能します。どこか一か所だけを最適化しても、取り合いが悪ければ現場で不具合が出ます。RTK断面図を使う際は、計画線の見た目だけでなく、各要素が無理なくつながっているかを確認することが重要です。


項目5 施工性と維持管理まで見込んで形状を決める

復旧形状は、設計上成立するだけでなく、実際に施工でき、完成後に維持管理できる形でなければなりません。RTK断面図を使うと、現況地形と計画形状の関係を把握しやすくなりますが、図面上で成立している形状が、現場でそのまま施工しやすいとは限りません。斜面崩壊後の現場では、足場が悪く、重機の進入路が限られ、仮設ヤードを確保しにくいことも多いため、施工性を早い段階で確認することが重要です。


まず確認したいのは、施工機械がどこから入るかです。法尻側から施工するのか、法肩側から施工するのか、既設道路を使えるのか、仮設進入路が必要なのかによって、復旧形状の現実性は変わります。断面図上では簡単に切土や盛土の線を引けても、実際には掘削機械の作業半径、ダンプの搬入出、仮置き土の置き場、作業員の安全通路を確保しなければなりません。施工機械が届かない位置に無理な整形線を設定すると、手作業が増え、工程や安全性に影響します。


掘削順序も復旧形状に関係します。上部に不安定土が残ったまま法尻を掘削すると、追加崩壊の危険があります。反対に、法肩側から切り下げる場合は、背後地盤や周辺施設への影響を考えなければなりません。RTK断面図では、完成形だけでなく、施工中に一時的にどのような形になるかを想像することが大切です。特に、仮設勾配、仮排水、仮置き土の位置、安全離隔は、施工計画と一体で確認する必要があります。


盛土復旧では、締固めができる幅を確保できるかが重要です。断面図上の細いくさび状の盛土は、数量としては小さく見えても、実際には締固めが難しく、品質を確保しにくい場合があります。狭い部分や構造物背面では、小型機械や人力施工になることがあり、締固め不足や沈下の原因になります。復旧形状を決める際は、施工可能な幅を考慮し、必要に応じて形状を単純化することが望ましいです。


切土復旧では、掘削後の法面保護をいつ行うかも重要です。崩壊後の斜面は、雨が降るたびに状況が変化することがあります。掘削して整形した法面を長期間裸地のままにすると、表面浸食や小崩壊が発生する可能性があります。断面図で計画勾配を決める際は、施工後すぐに表面保護や排水処理ができる形かどうかを確認しておく必要があります。


維持管理の視点では、完成後に点検できる形であることが重要です。復旧直後は問題がなくても、数年後に排水施設が詰まったり、法面の一部が洗掘されたり、植生が乱れたりすることがあります。点検できない位置に排水施設を設けると、異常の発見が遅れます。小段や法尻に人が近づけるか、清掃できるか、排水の流末を確認できるかを、RTK断面図と平面図で整理しておくことが大切です。


また、復旧形状は将来の変化にも対応しやすい形にしておく必要があります。短時間の強い降雨、斜面上部の土地利用の変化、排水施設の目詰まりなどによって、流入水の量や流れ方が変わることがあります。復旧形状を決める段階では、現況の復旧だけでなく、将来的な点検、補修、追加対策がしやすい形にしておくことが、維持管理費や再災害リスクの低減につながります。


施工性と維持管理を考えた復旧形状は、必ずしも最小数量の形とは限りません。数量だけを抑えると、施工が難しくなったり、完成後に管理しにくくなったりすることがあります。逆に、施工しやすさだけを優先すると、切土量や盛土量が増え、周辺への影響が大きくなることもあります。RTK断面図では、数量、安定性、施工性、維持管理性を同時に見ながら、現場に合った落としどころを探ることが重要です。


実務では、復旧形状を関係者へ説明する場面も多くあります。断面図に現況線、計画線、構造物、排水、施工範囲を整理して示すことで、なぜその形にしたのかを説明しやすくなります。施工者にとっても、どこを掘り、どこに盛り、どこに排水を入れるのかが明確になります。RTK断面図は、設計資料であると同時に、現場内の共通認識をつくるための資料でもあります。


RTK断面図を使うときの注意点

RTK断面図は便利な資料ですが、使い方を誤ると判断を誤ることがあります。最も注意したいのは、測量精度と現場条件の関係です。RTK測量は効率的に座標と標高を取得できる方式ですが、上空の見通し、周辺の樹木、谷地形、構造物の反射、通信環境、補正情報の取得状況などによって精度が低下する場合があります。斜面崩壊現場では、樹木が残っていたり、急傾斜で衛星の捕捉条件が悪かったりすることもあります。取得した点をそのまま信用するのではなく、明らかに不自然な点がないか、既知点や基準点との整合が取れているかを確認する必要があります。


特に標高の扱いは慎重に行うべきです。復旧形状では、わずかな高さの差が排水勾配や構造物の納まりに影響します。法肩排水や法尻排水では、流末へ確実に水が流れる高さ関係を確認しなければなりません。断面図上で数センチの差に見える部分でも、現場では水が滞留する原因になることがあります。重要な高さについては、RTK測量だけでなく、必要に応じて水準測量、トータルステーション、現地確認などで補足すると安心です。


断面位置の設定にも注意が必要です。崩壊地形は立体的であり、一本の断面だけでは全体を表現できません。中央断面で安定した復旧線に見えても、端部では法尻が既設水路に干渉していたり、法肩が用地境界を越えていたりすることがあります。逆に、端部だけを見て復旧範囲を決めると、中央部の崩壊深さを過小評価することがあります。複数断面を組み合わせて、平面上の範囲と立体的な形状を確認することが大切です。


点群や多数の測点から断面を作成する場合は、どの線を現況線として採用するかにも注意が必要です。草や倒木、崩落土の表面を測っている場合、それは安定した地盤面ではありません。断面図上では線として表示されても、設計上の支持面や基礎面として使えないことがあります。現地写真、土質確認、試掘結果、目視観察を組み合わせ、測量データの意味を読み解く必要があります。


また、RTK断面図を数量算出に使う場合は、断面間隔と代表性に注意が必要です。崩壊形状が複雑な場合、断面間の地形変化が大きく、少ない断面では数量の誤差が大きくなることがあります。数量は復旧費用や施工計画に直結するため、崩壊幅、深さ、端部形状を適切に反映できる断面配置にすることが重要です。断面図は復旧形状の判断だけでなく、数量根拠としても使われるため、後から説明できる測点管理が求められます。


図面表現にも配慮が必要です。現況線、計画線、推定崩壊前線、構造物、排水施設、用地境界が混在すると、図面が読みにくくなります。復旧協議や現場説明で使う断面図では、線種や注記を整理し、何を根拠に何を計画したのかが伝わるようにすることが大切です。図面を作った本人だけが理解できる状態では、関係者間で認識のずれが生じます。


RTK断面図を使う際には、測量日も明確にしておくべきです。斜面崩壊後の現場は、降雨、余震、流水、応急作業によって日々形が変わることがあります。測量から設計までに時間が空く場合、断面図の現況線が現在の現場と一致しているとは限りません。特に、追加崩壊が発生した後や、応急撤去を行った後は、再測量や現況確認が必要になる場合があります。復旧形状の判断に使う図面が、いつの状態を表しているのかを明確にすることが重要です。


公共測量や発注者提出資料として使う場合は、適用される作業規程、仕様書、座標系、基準点、成果品形式を確認する必要があります。RTK断面図は現場判断を支える有効な資料ですが、地盤の緩み、湧水、材料の状態、施工時の危険性などは、断面図だけでは判断しきれません。図面上の線と現場の実態を往復しながら、復旧形状を決めることが大切です。


まとめ

RTK断面図で斜面崩壊後の復旧形状を決める際は、現況地形を測って図面化するだけでなく、崩壊範囲、復旧勾配、排水、構造物の取り合い、施工性と維持管理性を一体で検討することが重要です。断面図は、復旧後の形を決めるための基礎資料であり、関係者が同じ条件を見ながら判断するための共通資料でもあります。


特に重要なのは、現況線をそのまま復旧線にしないことです。崩壊した斜面には、緩んだ地盤、堆積土、水みち、背後亀裂、既設構造物との干渉など、表面からは見えにくい問題が残っていることがあります。RTK断面図を使うことで、これらの条件を高さと距離の関係として整理できますが、最終的には現地確認、地質・土質条件、施工条件、必要な安定検討と合わせて判断する必要があります。


復旧形状を決める5項目を整理すると、まず現況地形と崩壊範囲を正しく読み、次に復旧勾配と法面高さを検討し、水の流れを断面に反映します。そのうえで、構造物と盛土・切土の取り合いを整理し、最後に施工性と維持管理まで見込んだ形にまとめます。この流れで検討すれば、断面図は単なる測量成果ではなく、復旧方針を決める実務的な判断資料になります。


斜面崩壊の復旧では、早さと正確さの両方が求められます。RTK断面図を適切に活用すれば、現場状況の把握、復旧線の比較、数量の整理、説明資料の作成を効率よく進められます。一方で、測量条件や断面位置、地盤の見極めを誤ると、復旧形状そのものの判断を誤る可能性があります。だからこそ、断面図を作る段階から、復旧後の安全性、排水、施工、維持管理を見据えておくことが大切です。


RTK断面図をもとに復旧形状を検討したい、現場の崩壊範囲を早く整理したい、復旧協議に使える断面資料を準備したい場合は、現況測量から断面作成、復旧形状の整理までを一貫して相談できる体制を整えておくと安心です。具体的な現場条件に合わせた確認は、測量・設計の担当者や専門技術者に相談してください。


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