目次
• RTK断面図で表層改良厚を見る意味
• 確認1 現況地盤高と設計仕上がり高の差を読む
• 確認2 改良範囲の端部とすり付けを断面で確認する
• 確認3 掘削底と改良底面の高さを取り違えない
• 確認4 施工後の沈下や盛上がりを断面変化で見る
• 確認5 排水条件と地下水の影響を断面に重ねて考える
• 確認6 出来形管理に使える測点間隔と記録方法を決める
• RTK断面図を現場判断に使うときの注意点
• まとめ
RTK断面図で表層改良厚を見る意味
軟弱地盤の表層改良では、地盤の上部を所定の深さまで改良し、建物外構、仮設ヤード、道路、駐車場、盛土、重機走行路などに必要な支持性や施工性を確保します。現場では、改良材の配合、散布、混合、転圧などの施工管理に加えて、どの範囲をどの厚さで改良したかを説明できる記録が重要です。平面図だけでは、改良範囲の位置は把握できても、地盤面から改良底面までの関係、仕上がり面との高低差、端部のすり付け、局所的な掘り過ぎや不足までは読み取りにくいことがあります。
ここでいうRTK断面図とは、RTK-GNSSなどで取得した測点の位置と高さをもとに作成する断面図のことです。適切な基準点や座標・標高の扱いを確認したうえで、現況地盤高、施工途中の掘削面、改良後の天端、周辺構造物や排水方向を断面として整理すると、表層改良厚を現場の高さ関係の中で理解しやすくなります。特に軟弱地盤では、表面がぬかるんでいたり、重機走行でわだちができたり、施工中に水がたまりやすかったりするため、机上の設計厚と現場で確認した厚さに差が出ることがあります。
RTK断面図を使う目的は、単にきれいな図面を作ることではありません。現場で測った高さをもとに、改良厚が不足しそうな場所、余分に掘っている場所、端部が急に薄くなる場所、排水不良によって施工後に変形しやすい場所を早めに見つけることです。断面で見ることで、平面では気づきにくい高さの連続性や段差の兆候を確認しやすくなります。
ただし、RTK断面図は地盤改良の品質そのものを証明する資料ではありません。高さと形状を確認する資料であり、改良材の量、混合状態、転圧状況、含水状態、必要な試験結果などと組み合わせて判断します。公共工事や管理基準が定められている工事では、契約図書、設計図書、適用する出来形管理要領、監督員や設計者との協議内容を優先する必要があります。
この記事では、「RTK 断面図」で検索する実務担当者に向けて、軟弱地盤の表層改良厚を確認するための6項目を、現場で使いやすい視点で整理します。設計照査、施工前確認、施工中管理、出来形記録、発注者や元請との説明資料づくりまでを想定し、過度に専門用語へ寄せすぎず、実務上の判断に結びつく形で解説します。
確認1 現況地盤高と設計仕上がり高の差を読む
表層改良厚を確認するとき、最初に見るべきなのは現況地盤高と設計仕上がり高の差です。表層改良は、単純に「地表から何センチ改良する」という感覚だけで進めると、現場条件によって厚さの解釈がずれます。現況地盤が設計より高い場所では掘削や整正が必要になり、逆に低い場所では盛土や補足材の扱いを考える必要があります。RTK断面図では、この高低差を連続した線として確認できるため、改良厚の前提となる高さ関係を整理しやすくなります。
たとえば、造成前の空き地や農地転用地、埋立て後の仮設ヤードでは、見た目には平らに見えても、数十メートルの範囲で緩やかな起伏が残っていることがあります。平面上では同じ改良厚を指定していても、現況地盤高にばらつきがあれば、仕上がり面から見た改良層の位置は均一ではありません。断面図に現況線、計画仕上がり線、改良底面線を重ねることで、どこで掘削が必要か、どこで厚さ不足が起きやすいかを事前に把握できます。
特に注意したいのは、現況地盤が低い箇所をそのまま均してしまうケースです。低い部分に周囲の土を寄せて表面を整えるだけでは、見た目の天端はそろっても、改良対象となる軟弱層の扱いが曖昧になることがあります。改良厚を確保したつもりでも、実際には軟弱な材料が混在した まま残り、施工後に局所沈下の原因になる可能性があります。RTK断面図では、施工前の現況線を保存しておくことで、後からどの高さを基準に厚さを見たのかを説明しやすくなります。
また、設計仕上がり高だけを基準にすると、現場での作業順序を見落とすことがあります。表層改良後に砕石、路盤、舗装、土間、敷鉄板などが上に載る場合、改良天端は最終仕上がり高より低く設定されます。この関係を断面図に落とし込んでおかないと、改良厚の確認と上部構成の確認が混ざり、改良層が厚いのか、単に上部材の高さを見ているのかが不明確になります。
RTK断面図では、測点ごとに現況地盤高を取得し、設計仕上がり高との差を見える化します。重要なのは、単発の高さではなく、断面線に沿った変化を見ることです。局所的に低い場所、盛土端部、既設道路との接続部、構造物際、側溝沿いなどは、現況線が急に変化しやすく、改良厚の不足や余掘りが起きやすい部分です。ここを事前に把握しておくと、施工中の手戻りを減らしやすくなります。
現場では、断面図を作る前に基準となる高さの考え方をそろえることも大切です。どの基準点からRTK測位を行ったのか、設計図の基準高と現場測量の高さにずれがないか、座標系や標高の扱いに不一致がないかを確認します。高さの基準が曖昧なまま断面図を作ると、図面上では厚さが合っていても、施工管理資料としての信頼性が落ちます。表層改良厚の確認では、まず現況、計画、改良底面の三つの高さ関係を断面で明確にすることが出発点になります。
確認2 改良範囲の端部とすり付けを断面で確認する
表層改良厚の確認で見落としやすい場所の一つが、改良範囲の端部です。改良範囲の中央では重機が作業しやすく、改良厚も比較的管理しやすい一方、端部では既設構造物、境界、側溝、仮囲い、隣地、道路、法面などの制約を受けます。そのため、設計上は同じ厚さであっても、端部で改良幅が不足したり、すり付けが急になったり、未改良部との境目に段差や弱点が残ったりすることがあります。
RTK断面図では、改良範囲の端部を横断方向で確認することが有効です。平面図上で改良範囲 を示す線があっても、その線の内側と外側で地盤高がどう変わるかまでは分かりにくいものです。断面図にすると、改良範囲の端部で改良厚がどのように終わっているか、未改良地盤との高さ差がどの程度あるか、施工機械が届きにくい位置に薄い部分がないかを確認できます。
軟弱地盤では、改良範囲の端部が弱点になると、施工後の荷重によって境界付近にひび割れや沈下が出ることがあります。特に仮設道路や資材置場では、改良範囲外へ車両が少しはみ出して走ることもあります。設計上の範囲だけを満たしていても、実際の動線や荷重範囲が外側に広がっていれば、端部の支持性が不足する可能性があります。RTK断面図で端部の断面形状を確認し、改良範囲と実際の使用範囲が合っているかを見ておくことが大切です。
すり付け部の確認では、改良厚そのものだけでなく、上部の仕上がり勾配も合わせて見る必要があります。改良層の上に砕石や舗装を施工する場合、端部の高低差が急だと、表面に段差が出たり、水がたまりやすくなったりします。断面図に仕上がり線を重ねることで、改良厚を確保しながら無理のないすり付けができるかを判断しやすくなります。
また、既設構造物に接する場所では、必要以上に掘削できないことがあります。側溝や擁壁の近くで深く掘り過ぎると、既設構造物の安定に影響する可能性があります。一方で、掘削を控えすぎると改良厚が不足します。RTK断面図に既設構造物の天端や周辺地盤高を入れておくと、どの範囲まで施工できるか、どこで改良厚を調整する必要があるかを協議しやすくなります。
端部確認で重要なのは、断面線を中央だけに設定しないことです。改良範囲の中央を一方向に切った断面だけでは、端部の問題を見落とすことがあります。横断方向、縦断方向、斜め方向など、現場の地形と利用動線に合わせて複数の断面線を設定することで、改良範囲の終わり方が見えてきます。特に出入口、重機旋回部、仮設道路との接続部、排水先に向かう勾配変化点は、断面確認の優先度が高い場所です。
RTK断面図を使えば、端部の高さを現地で測り、設計線や予定線と比較できます。ただし、端部の改良厚は施工完了後に表面だけを見ても判断しにくいため、施工前、掘削後、改良後の各段階で断面記録を残すことが 望ましいです。これにより、端部のすり付けを感覚ではなく数値と図で説明できるようになります。
確認3 掘削底と改良底面の高さを取り違えない
表層改良厚を確認する際に起きやすい誤解の一つが、掘削底と改良底面の取り違えです。現場では、必要に応じて表層の軟弱土をすき取り、改良材を混合し、整正して上部構成へ進みます。このとき、どの時点の高さを改良底と見なすのか、どの面を掘削底として記録するのかが曖昧だと、断面図上の厚さと実際の施工内容が一致しなくなります。
表層改良では、原位置の土に改良材を混合する場合と、軟弱土を一部撤去して置換や混合を行う場合があります。施工方法によって、確認すべき断面の意味は変わります。原位置で混合する場合は、改良対象となる深さまで撹拌されているかが重要です。一方、すき取り後に材料を入れる場合は、掘削底の高さ、投入材料の厚さ、締固め後の仕上がり高さを分けて見る必要があります。これを一枚の断面図で整理しないまま管理すると、厚さを確保したつもりでも、実際には別の層を測っていたということが起こり得ま す。
RTK断面図で管理する場合は、施工段階ごとの面を分けて記録することが有効です。施工前の現況地盤線、すき取り後または掘削後の底面線、改良後の天端線、最終仕上がり線を区別しておくと、改良厚の根拠が明確になります。特に、掘削底の凹凸が大きい場合、平均的には設計厚を満たしているように見えても、局所的には薄い場所が残ることがあります。断面図で凹凸を確認し、必要に応じて追加掘削や整正を検討します。
掘削底の管理では、重機のバケット跡やわだちによって局所的な高低差が生じることがあります。軟弱地盤では、重機が同じ場所を何度も通ることで地盤が押し込まれ、掘削した面が乱れることがあります。表面に水がある場合は、目視で底面の高さを判断しにくくなります。RTKで測点を取り、断面図にして確認することで、見た目では分かりにくい掘り残しや掘り過ぎを把握しやすくなります。
ただし、RTK測位にも注意点があります。アンテナ高の設定、測点の取り方、軟弱な足場でのポールの沈み込み、ポールの傾き、上空視界や周辺構造物によるマルチパス、基準点との整合などにより、高さに誤差が生じる可能性があります。表層改良厚を細かく評価する場合は、測定値をそのまま絶対視するのではなく、同じ条件で測ること、必要な場所では再測すること、重要点ではレベルやTSなど別の確認方法と照合することが大切です。断面図は判断を助ける資料であり、現場確認を省略するものではありません。
また、改良材を混合した後は、体積変化や締固めによって天端高さが変わることがあります。混合直後のふくらみを見て厚さが十分だと判断しても、締固め後には高さが下がる場合があります。逆に、含水状態や材料の状態によっては、一時的に表面が盛り上がって見えることもあります。RTK断面図では、どのタイミングで測った断面なのかを記録しておくことが重要です。施工直後、転圧後、養生後、上部材施工前では、断面の意味が異なります。
掘削底と改良底面を取り違えないためには、図面上の線に名前を付けるだけでなく、現場の作業工程と対応させることが必要です。どの工程で測るのか、誰が測るのか、測点をどこに置くのか、どの断面線で比較するのかを事前に決めておくと、後から記録を見返したときに説明 しやすくなります。表層改良厚の確認では、単に厚さの数字を見るのではなく、その数字がどの面とどの面の差であるかを明確にすることが欠かせません。
確認4 施工後の沈下や盛上がりを断面変化で見る
軟弱地盤の表層改良では、施工後の沈下や盛上がりを確認することも重要です。改良直後に設計上の厚さや高さを満たしていても、その後の転圧、養生、降雨、重機走行、資材仮置きなどによって断面形状が変わることがあります。特に含水比が高い地盤や、排水が悪い場所では、施工後に表面が乱れたり、荷重を受けた部分だけ沈下したりすることがあります。
RTK断面図の強みは、時間を分けて取得した高さを比較できる点にあります。施工前、改良直後、転圧後、必要に応じた経過確認、上部材施工前などの断面を同じ線で取得すれば、どの場所がどの程度変化したかを確認できます。平面の写真だけでは、全体的な沈下や緩やかな変形は分かりにくいことがありますが、断面図にすると、勾配変化や局所的なくぼみが把握しやすくなります。
施工後の沈下で注意したいのは、車両動線と重機旋回部です。表層改良範囲の中でも、荷重が繰り返しかかる場所は変形しやすくなります。出入口、資材搬入路、クレーン設置予定位置、ダンプの待機場所、敷鉄板の端部などは、断面変化を追う価値があります。断面図上で局所的に低くなっている場所があれば、改良厚の不足、締固め不足、含水状態の悪化、下層地盤の影響などを疑うきっかけになります。
一方、盛上がりにも注意が必要です。軟弱地盤では、改良や転圧によって周囲に土が押し出され、端部や未施工部が盛り上がることがあります。改良範囲の中だけを見ていると問題がないように見えても、周辺地盤との境界に盛上がりが出ると、排水方向が変わったり、隣接構造物に影響したりすることがあります。RTK断面図で改良範囲の外側まで測っておくと、周辺への影響を確認しやすくなります。
施工後の断面変化を評価する際は、許容できる変化と対策が必要な変化を分けて考える必要があります。現場には多少の凹凸や締固めによる高さ変化が生じます。すべてを異常と見なす のではなく、用途、上部構成、設計条件、排水勾配、車両荷重、後続工程への影響を踏まえて判断します。たとえば、仮設ヤードであっても、重機設置部や車両通行部では局所沈下が安全性や作業効率に関わります。逆に、後で厚い上部材を施工する場所では、早期に補正できる余地があります。
RTK断面図を比較する場合は、同じ断面線、同じ測点間隔、同じ基準で測ることが大切です。毎回測点が大きくずれていると、地盤の変化なのか測定位置の違いなのか判断できません。施工管理に使う断面線は、現場の目印や座標で再現できるようにしておくとよいです。断面線を固定しておくことで、時系列の変化が見やすくなり、補修や追加改良の判断資料として使いやすくなります。
施工後の沈下や盛上がりは、表層改良厚だけでなく、現場全体の地盤挙動を示すサインです。厚さが設計どおりでも、下層に軟弱な層が残っていたり、水が抜けにくかったり、荷重条件が想定より大きかったりすれば変形が出ることがあります。RTK断面図は、その兆候を早めに見つけるための実務的な道具になります。
確認5 排水条件と地下水の影響を断面に重ねて考える
表層改良厚を確認するとき、排水条件を切り離して考えることはできません。軟弱地盤では、地表水や地下水の影響によって施工性が大きく変わります。水がたまりやすい場所では、掘削底が乱れやすく、改良材の混合状態が不安定になりやすく、施工後の支持性にも影響する可能性があります。断面図に排水方向や水の集まりやすい位置を重ねて考えることで、厚さ確認だけでは見えないリスクを把握できます。
RTK断面図では、測定条件が適切であれば、目視では分かりにくい勾配差を把握する助けになります。現場では平らに見えても、実際には排水先に向かって勾配が不足していたり、途中に低い部分があったりします。表層改良を行う前に現況断面を確認すると、水がたまる理由が見えてくることがあります。たとえば、周囲より低い部分に軟弱土が残っている、仮設道路の端部で水が逃げにくい、既設側溝より地盤が低く排水先に接続しにくい、といった状況です。
排水が悪い場所で は、改良厚が設計どおりでも、施工中に底面が泥濘化して実質的な支持層が不安定になることがあります。掘削底に水が残ったまま混合や置換を進めると、材料の状態がばらつき、均一な改良層を確保しにくくなります。RTK断面図で低い箇所を確認し、施工前に仮排水、釜場、排水溝、勾配修正などの検討につなげることが重要です。
地下水位が高い現場では、掘削後に水が上がってくることがあります。この場合、掘削直後に測った底面高さと、時間が経過して水を含んだ状態の施工面では、作業条件が変わります。断面図だけで地下水のすべてを判断することはできませんが、低地部、旧水路、田畑跡、埋立て部、排水不良地では、断面と現場観察を組み合わせることでリスクを把握しやすくなります。
また、排水勾配と改良厚の関係にも注意が必要です。仕上がり面に排水勾配を付ける場合、片側は厚く、片側は薄くなるように見えることがあります。設計上、改良底面を水平に近く設定するのか、仕上がり面に合わせて勾配を持たせるのかによって、断面図の読み方は変わります。ここが曖昧なままだと、低い側で厚さが不足しているのか、設計どおりに勾配を取っているのか判断できません。
排水先との接続部も確認が必要です。表層改良後に上部材を施工しても、排水先へ流れないくぼみが残っていれば、雨水が滞留し、改良層や上部材の状態に悪影響を及ぼす可能性があります。RTK断面図に側溝天端、集水桝、既設道路端、法尻、敷地境界付近の高さを入れておくと、水がどこへ流れるかを説明しやすくなります。
表層改良厚の確認は、厚さの数字だけを満たす作業ではありません。水を含んだ軟弱地盤をどのように安定させ、施工後に変形しにくい状態をつくるかが目的です。RTK断面図を使うことで、地盤の高さ、改良層の厚さ、排水方向を同時に見やすくなり、現場判断の材料を増やせます。
確認6 出来形管理に使える測点間隔と記録方法を決める
RTK断面図を表層改良厚の出来形管理に使うなら、測点間隔と記録方法を事前に決めておくことが重要です。必要な測点が不足していると、断面図を作っても厚さの確認根拠として弱 くなります。逆に、測点を細かく取りすぎても、整理に時間がかかり、現場で使いにくい資料になります。現場規模、改良範囲、地形の変化、施工目的、契約図書で求められる管理方法に合わせて、必要十分な密度で測ることが大切です。
基本的には、地形や高さが変化する場所を重点的に測ります。平坦な中央部だけを均等に測るより、端部、すり付け部、低地部、既設構造物際、排水先、車両動線、重機設置部を押さえるほうが実務上の価値があります。断面線は、改良範囲を代表する方向だけでなく、問題が起きやすい方向にも設定します。縦断方向だけでは横断勾配が分からず、横断方向だけでは排水方向の連続性が分かりません。両方の断面を組み合わせることで、改良厚を立体的に確認できます。
記録方法では、測定した点がどの工程のものかを明確にします。施工前現況、掘削後、改良後、転圧後、上部材施工前が混在すると、後から断面図を見た人が誤解します。測定日、測定工程、基準点、断面線名、測点番号、測定者、天候や地盤状態のメモを残しておくと、出来形資料として説明しやすくなります。特に降雨後や地下水の影響がある現場では、測定時の状態が判断に関わります。
RTK測位では、現場条件が整えば短時間で多点の高さを取得できる一方、測定条件のばらつきに注意が必要です。アンテナ高の入力ミス、ポールの傾き、軟弱地盤への沈み込み、上空視界の悪い場所、周辺構造物によるマルチパスなどは、断面図の精度に影響します。出来形管理で使う場合は、重要な測点を再確認し、明らかに不自然な点は現場状況と照らして確認することが必要です。数値を機械的に並べるだけではなく、断面形状として自然かどうかを確認します。
また、出来形資料として使う断面図は、見やすさも重要です。現況線、設計線、改良底面線、改良後天端線を区別し、どの線が何を示しているか分かるようにします。文字や線が多すぎると、発注者や元請、協力会社との打合せで意図が伝わりにくくなります。必要な情報を整理し、表層改良厚の確認に直接関係する線を中心にまとめることが大切です。
現場では、断面図を事後資料として作るだけでなく、施工中の判断にも使うと効果的です。測定した断面をその場で確認し、厚さ不足が疑われる場所を早めに補正すれば、後工程での手戻りを減らせます。改良後に舗装や路盤を施工してしまうと、改良層の確認は難しくなります。施工途中でRTK断面図を活用し、見えなくなる前に記録を残すことが重要です。
出来形管理におけるRTK断面図の価値は、数量や厚さの確認だけではありません。現場でどのように判断し、どのように施工したかを説明できる記録になることです。軟弱地盤の表層改良は、地盤条件のばらつきが大きいため、後から「なぜその範囲を補正したのか」「なぜその厚さで管理したのか」を説明する場面があります。断面図があれば、現場判断を客観的に共有しやすくなります。
RTK断面図を現場判断に使うときの注意点
RTK断面図は便利な管理手段ですが、万能ではありません。表層改良厚を確認する際は、断面図の数値だけで施工品質を判断しないことが大切です。改良厚が確保されていても、改良材の混合不足、含水状態の不適切さ、締固め不足、下層地盤の弱さ、排水不良などがあれば、期待した性能が得られない可能性があります。RTK断面図は、高さと形状の確認に強い資料であ り、地盤そのものの強度や均一性を直接示すものではありません。
そのため、断面図は現場観察や施工記録と組み合わせて使います。改良材の投入量、混合回数、施工範囲、施工機械の動線、転圧状況、含水状態、天候、排水処理の記録と照合することで、表層改良厚の確認がより意味のあるものになります。必要に応じて、契約図書や施工計画で定められた品質確認、強度確認、写真管理とも合わせて確認します。断面図だけを見て厚さが合っていると判断するのではなく、その厚さが適切な施工手順によって確保されたかを確認します。
また、RTK断面図を使う前に、設計側の前提を確認しておく必要があります。表層改良厚は、用途、荷重条件、地盤条件、上部構成、施工目的によって決まります。仮設の作業ヤードなのか、恒久的な外構なのか、車両が頻繁に通るのか、資材を長期間置くのかによって、求められる管理の厳しさは変わります。現場で勝手に厚さを変えたり、範囲を縮小したりするのではなく、必要に応じて設計者や関係者と協議し、根拠を残すことが重要です。
断面線の設定にも注意が必要です。都合のよい場所だけを断面化すると、実態を正しく表せません。平坦で施工しやすい中央部だけを測るのではなく、問題が起きやすい場所を意図的に含めます。低い場所、端部、排水先、構造物際、車両出入口などを断面線に入れることで、施工上のリスクを見つけやすくなります。断面線の選び方は、出来形管理の信頼性に直結します。
さらに、断面図の解像度にも配慮します。広い範囲を粗い測点だけで断面化すると、局所的なくぼみや段差を見落とすことがあります。一方で、細かすぎる測点は整理が煩雑になり、判断が遅れます。現場で重要なのは、目的に合った測点密度を選ぶことです。表層改良厚を確認するなら、厚さが変わりやすい位置や、施工後に見えなくなる部分を優先して測るべきです。
関係者への説明では、断面図の読み方を共有することも大切です。現況線、設計線、改良底面線、施工後天端線が混在すると、慣れていない人には分かりにくくなります。どの線が何を示しているか、厚さはどの線とどの線の差で見るのか、測定時点はいつなのかを明確に伝えることで、打合せの行き違いを防げます。
RTK断面図を活用すると、表層改良厚の確認は感覚的な判断から、数値と形状に基づく判断へ変わります。ただし、図面化すること自体が目的にならないように注意が必要です。現場で起きている地盤の変化を見つけ、必要な対策を早めに行い、後工程へ安心して引き渡すために使うことが本来の目的です。
まとめ
RTK断面図で軟弱地盤の表層改良厚を確認する際は、まず現況地盤高と設計仕上がり高の関係を整理し、改良厚の前提を明確にすることが重要です。次に、改良範囲の端部やすり付け部を断面で確認し、中央部だけでは見えない薄くなりやすい場所を把握します。さらに、掘削底と改良底面を取り違えず、施工段階ごとの高さを分けて記録することで、後から説明できる管理資料になります。
施工後は、沈下や盛上がりを断面変化として追い、重機動線や排水不良箇所に異常が出ていないかを確認します。排水条件や地下水の 影響も、表層改良厚の確認と合わせて見る必要があります。厚さが設計どおりでも、水がたまりやすい地形や施工面の乱れが残れば、後工程で不具合につながる可能性があります。出来形管理では、測点間隔、断面線、記録時点をあらかじめ決め、現場で再現できる形でデータを残すことが大切です。
RTK断面図は、軟弱地盤の表層改良をどの位置で、どの高さまで、どの厚さで施工したかを見える化する実務的な手段です。平面図や写真だけでは伝わりにくい高さの連続性を示せるため、施工中の判断、出来形確認、関係者への説明に役立ちます。一方で、RTK断面図は地盤強度そのものを直接示すものではないため、現場観察、施工記録、品質確認と組み合わせて使うことが欠かせません。
軟弱地盤の表層改良では、施工後に改良層が見えなくなる前の記録が特に重要です。RTKで現況、掘削後、改良後の断面を段階的に残しておけば、厚さ不足や局所沈下の兆候を早めに把握できます。現場で素早く測り、断面として確認し、関係者と共有する流れを整えることで、RTK断面図は表層改良厚の確認に使いやすい管理資料になります。
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