道路拡幅部では、既設道路と新設拡幅部の高さ、横断勾配、舗装厚、側溝や縁石との取り合いが少しずれるだけで、走行時の段差感、水たまり、舗装端部の割れ、出来形確認時の手戻りにつながりやすくなります。特に既設道路を供用しながら施工する現場では、机上の設計断面だけでなく、現地の実測断面をもとに「どこで、どの高さに、どの勾配でつなぐか」を早い段階で確認することが重要です。RTKで取得した測点をもとに断面図を作成すると、現地の高さ変化を断面的に把握しやすくなり、道路拡幅 部のすり付け不良を施工前、施工中、仕上げ前の各段階で見直しやすくなります。
目次
• 道路拡幅部ですり付け不良が起きやすい理由
• 既設道路の実測断面を先に押さえる
• 拡幅端部の横断勾配を連続して確認する
• 舗装構成と路盤高さのずれを見逃さない
• 側溝・縁石・民地境界との取り合いを確認する
• 施工途中の断面比較で手戻りを減らす
• 完成前に走行性と排水性を断面で見直す
• RTK断面図を現場管理に定着させるまとめ
道路拡幅部ですり付け不良が起きやすい理由
道路拡幅部の施工では、既設道路の端部に新しい路盤や舗装を追加し、道路幅員を広げることが多くあります。一見すると、計画幅員に合わせて土工、路盤、舗装を順番に進めればよいように見えますが、実際の現場では既設道路の高さが設計図どおりとは限りません。長年の交通荷重による沈下、補修履歴、路肩部の変形、排水勾配の変化などにより、既設舗装の横断形状は場所ごとに異なる場合があります。そのため、設計断面だけを基準に拡幅部を施工すると、既設舗装との接続部に段差や勾配の急変が生じることがあります。
すり付け不良とは、単に高さが合わない状態だけを指すものではありません。走行車両が接続部を通過したときに揺れを感じる、雨水が拡幅部側にたまる、舗装端部に薄い部分ができる、側溝や縁石との高さ関係が不自然になるといった現象も、広い意味ではすり付けの不具合に含まれます。特に道路拡幅部では、既設道路、新設路盤、新設舗装、排水施設 、歩道や民地境界など複数の要素が狭い範囲で交わるため、一つの高さだけを合わせても全体として自然な断面にならない場合があります。
従来は、レベル測量や巻尺による横断測定、現場での目視確認を組み合わせて状況を判断することが一般的でした。これらの方法は現在でも重要です。しかし、確認点が少ないまま施工を進めると、すり付けの変化点を見逃しやすくなります。道路は延長方向に連続しているため、ある測点では問題がなくても、その数メートル先で既設舗装の高さが変わり、同じ施工高さでは段差が目立つことがあります。そこで確認手段の一つになるのが、RTKによる実測点をもとにした断面図です。
RTK断面図を使うと、既設道路と拡幅部の高さ関係を数値と図形の両方で確認しやすくなります。横断方向の高さ差だけでなく、測点ごとの変化も追いやすくなるため、すり付け区間の始点、終点、勾配変化点を現場で共有しやすくなります。特に、施工前の現況確認、路床や路盤施工後の中間確認、舗装前の最終確認を同じ考え方で行えば、どの段階でずれが発生したのかを把握しやすくなります。
道路拡幅部の品質を安定させるには、「設計どおりに作る」だけでなく、「既設道路の現況に対して無理なくつながっているか」を確認する視点が欠かせません。RTK断面図は、その確認を属人的な勘だけに頼らず、現場内で共有できる形に整えるための手段です。ここからは、道路拡幅部のすり付け不良を減らすために、実務で確認したい6つの項目を順に見ていきます。
既設道路の実測断面を先に押さえる
道路拡幅部のすり付け確認で最初に行うべきことは、既設道路の実測断面を把握することです。設計図には標準横断図や計画高が示されていますが、既設道路がその形状を保っているとは限りません。特に供用中の道路では、舗装のわだち掘れ、補修跡、路肩の沈下、側溝際の沈み、既設舗装端部の欠損などがあり、現地の高さは場所ごとに異なります。この状態を十分に確認しないまま拡幅部の高さを決めると、施工後に「図面上は合っているが、現地では不自然に見える」という問題が起こります。
RTKで断面図を作る場 合は、まず既設道路の中心付近、車線端、舗装端、路肩、側溝天端、民地側の基準となる点など、すり付けに関係する点を横断方向に取得します。重要なのは、単に一点の標高を測るのではなく、道路幅全体の形を断面として捉えることです。既設道路が片勾配なのか、かまぼこ形に近いのか、端部だけ沈んでいるのかを確認することで、拡幅部をどの高さで受けるべきかが見えてきます。
また、横断測点は一断面だけでは不十分です。道路拡幅は延長方向に続くため、起点側、中間部、終点側、既設構造物付近、乗入口付近、排水施設付近など、変化が起きやすい場所で複数の断面を取得する必要があります。たとえば、起点側では既設舗装端と拡幅部が滑らかにつながっていても、中間部で既設舗装端が下がっていれば、同じ計画高で施工した拡幅部が相対的に高く見えることがあります。反対に、既設側が高い場所では新設側に水が流れ込み、拡幅部に水たまりができやすくなる場合があります。
RTK断面図を使う利点は、こうした変化を現場で確認しやすくなることです。測定した点を断面として表示すれば、既設道路の実際の横断勾配や高さの乱れを把握しやすくなります。施工前の打合せでは、現況断面と計画断面を重ねて 確認し、どの範囲で既設道路に合わせるのか、どの範囲で計画高を優先するのかを整理しておくとよいです。この判断を曖昧にしたまま施工に入ると、現場担当者ごとに解釈が変わり、すり付けの仕上がりにばらつきが出ます。
既設道路の実測断面を確認するときは、測位状態にも注意が必要です。RTKは効率的に位置と高さを取得できる一方で、上空視界、周辺構造物、樹木、車両、電波環境などの影響を受ける場合があります。そのため、測定時には測位状態、測定時刻、測点名、基準とした座標系や標高の扱いを記録し、明らかに不自然な点は再測することが大切です。道路端部や側溝際では測定点の位置が少しずれるだけで高さが変わることもあるため、どの位置を測ったのかを写真やメモで残しておくと、後から断面図を確認するときに誤解が少なくなります。
既設道路の実測断面は、拡幅部の施工品質を決める土台です。ここを丁寧に押さえておけば、後工程で発生する高さ調整の判断がしやすくなります。逆に、現況の把握が粗いままだと、路盤施工後や舗装直前になってから段差や排水不良に気づき、手直し範囲が広がるおそれがあります。道路拡幅部では、施工前の現況断面確認こそが、すり付け不良を減らす最初の 管理項目です。
拡幅端部の横断勾配を連続して確認する
道路拡幅部で目立ちやすい不具合の一つが、横断勾配の不連続です。既設道路と新設拡幅部の接続高さだけを合わせても、横断勾配が急に変わると、車両の走行感が悪くなったり、雨水の流れが乱れたりします。特に、既設舗装端から新設舗装端に向かって勾配が反転している場合や、わずかな距離で勾配がきつく変わる場合は、見た目以上に走行時の違和感が出ることがあります。
RTK断面図では、既設道路側から拡幅部外側までの高さを横断方向に並べて確認できます。これにより、すり付け区間の勾配が自然につながっているかを判断しやすくなります。たとえば、既設車道の横断勾配が外側に向かって下がっている場合、拡幅部も同じ方向に自然に下がるように計画するのが基本的な考え方になります。ただし、側溝や集水施設の位置、民地側の高さ、歩道の有無によっては、単純に同じ勾配を延長できないこともあります。その場合は、どこで勾配を切り替えるのか、どの距離ですり付けるのかを断面図で確認する必要があります。
横断勾配の確認では、一つの断面だけを見て判断しないことが重要です。道路拡幅部は延長方向に連続しているため、各断面の勾配が急に変わると、縦断方向にもねじれが生じます。ある断面では拡幅部外側が低く、次の断面では高くなっているような状態では、水の流れが複雑になり、局所的な水たまりが発生しやすくなります。RTKで複数断面を取得しておけば、横断勾配の変化を連続的に確認でき、勾配の急変点を早めに見つけやすくなります。
施工中は、路床整形後、下層路盤後、上層路盤後、舗装前など、段階ごとに横断勾配を確認すると効果的です。拡幅部のすり付け不良は、最終舗装だけで発生するわけではありません。路床の段階で外側が高すぎる、路盤の段階で既設舗装端との高さ差が大きい、舗装厚を確保しようとして接続部が不自然になるなど、各工程の小さなずれが積み重なって表面の不具合になります。RTK断面図で工程ごとに断面を比較すれば、どの段階で修正すべきかを判断しやすくなります。
横断勾配を確認するときは、数値だけでなく現場の水の流れも意識する必要があります。道路面の水は低い方へ流れますが、舗装表面のわずかな不陸や接続部の段差によって、想定どおりに流れないことがあります。断面図上ではわずかな高低差でも、延長方向に続くと大きな影響を持つ場合があります。特に拡幅端部に側溝がある場合、側溝へ向かって水が流れる断面になっているか、側溝手前で逆勾配になっていないかを確認することが大切です。
また、横断勾配の管理では、既設道路の補修履歴にも注意が必要です。過去に部分的な舗装補修が行われている道路では、見た目には同じ舗装面でも高さや勾配が局所的に変わっていることがあります。そのまま拡幅部をつなぐと、補修箇所だけ接続が不自然になることがあります。RTK断面図で補修箇所付近の断面を追加取得しておけば、施工前に調整範囲を見極めやすくなります。
道路拡幅部の横断勾配は、完成後の走行性と排水性に直結します。高さを合わせるだけでなく、勾配がなめらかにつながっているかを確認することが、すり付け不良を減らすための重要なポイントです。RTK断面図を使えば、勾配の連続性を現場で共有しやすくなり、感覚的な判断に偏らない施工管理がしやすくなります。
舗装構成と路盤高さのずれを見逃さない
道路拡幅部では、表面の舗装高さだけでなく、舗装構成と路盤高さの整合も重要です。完成後に見えるのは舗装表面ですが、その下には路床、下層路盤、上層路盤、基層、表層などの構成があります。これらの厚みが適切に確保されていなければ、表面だけをきれいにすり付けても、将来的な沈下、ひび割れ、端部の破損につながるおそれがあります。
すり付け不良を避けようとして、現場で表面高さだけを優先すると、接続部付近の舗装厚が不足することがあります。たとえば、既設舗装端が想定より低い場合、新設拡幅部の表面を既設側に合わせるために路盤を高く仕上げすぎると、舗装厚が薄くなる可能性があります。逆に、既設側が高い場合に拡幅部を無理に持ち上げると、路盤厚や排水勾配に影響が出ることがあります。このような問題は、完成面だけを見ていると気づきにくいため、各層の高さを断面で確認することが大切です。
RTK断面図を活用する場合は、計画断面に対して、路床面、路盤面、舗装予定面を段階ごとに記録しておくと管理しやすくなります。施工の各段階で実測した断面を残しておけば、完成後に不具合が発生したときにも、どの層で高さのずれが出ていたのかを確認しやすくなります。また、施工中に断面を比較することで、表層で調整できる範囲なのか、路盤の段階で修正すべきなのかを判断できます。
道路拡幅部では、既設舗装との接続部に切削や段差処理が必要になることがあります。既設舗装端をどの位置で切るのか、どの高さで新設舗装を受けるのかによって、接続部の耐久性が変わります。既設舗装の端部が劣化している場合、そのまま接続すると、拡幅後に継ぎ目からひび割れや欠けが発生しやすくなります。RTK断面図だけで劣化状態を判断することはできませんが、高さ関係を把握したうえで、現地写真や目視確認と組み合わせれば、切削範囲や接続位置を検討しやすくなります。
路盤高さの管理で注意したいのは、拡幅幅が狭い場合です。わずかな幅の拡幅では、施工機械の作業スペースが限られ、路盤の締固めや高さ調整が難しくなることがあります。狭い範囲で既設道路にすり付けるため、少しの高さ誤差が表面に現れやすくなります。RTKで断面をこまめに確認すれば、外側だけ高い、接続部だけ低い、路盤面が波打っているといった状態を早めに把握できます。
また、拡幅部の路盤は既設道路側と新設側で支持条件が異なることがあります。既設道路側は長期間交通荷重を受けて締まっている一方、新設拡幅部は新たに盛土や路床整形を行うため、沈下や締固め不足の影響を受けやすい場合があります。完成時に高さが合っていても、供用後に新設側だけ沈むと、接続部に段差が生じます。そのため、施工中の高さ確認だけでなく、路床の状態、締固め、排水、材料の均一性もあわせて管理する必要があります。
RTK断面図は、舗装構成そのものの品質を直接保証するものではありません。しかし、各層の高さを見える化することで、厚み不足や高さの取り違えを早期に発見しやすくなります。道路拡幅部では、表面のなめらかさと内部構成の両方を成立させることが大切です。すり付けをきれいに見せるために構成厚を犠牲にするのではなく、計画された構成を守りながら既設道路へ自然につなげるという考え方が、長期的な品質につながります。
側溝・縁石・民地境界との取り合いを確認する
道路拡幅部のすり付けは、車道面だけで完結するものではありません。拡幅部の外側には、側溝、縁石、歩道、乗入口、民地境界、擁壁、排水桝などが存在することが多く、これらとの高さ関係が合っていないと、車道面がきれいに仕上がっていても現場全体として不具合が残ります。特に道路拡幅では、既設の排水施設や境界構造物を残しながら施工する場合があり、限られた範囲で高さを調整する必要があります。
側溝との取り合いでは、舗装面から側溝へ水が流れる断面になっているかを確認します。拡幅部の外側に側溝がある場合、舗装端が側溝天端より不自然に高すぎると段差が目立ち、低すぎると水が滞留したり、側溝際に泥や砂がたまりやすくなったりします。また、側溝の天端自体が延長方向に波打っている場合、車道面だけを一定勾配で仕上げても、側溝際の見た目や排水状態にばらつきが出ます。RTK断面図で側溝天端、舗装端、車道中心側の高さを同じ断面に入れて確認すれば、取り合いの違和感を把握しやすくなります。
縁石や歩道が関係する場合は、車道側のすり付けに加えて、歩行者や車両乗入れの安全性も考慮する必要があります。縁石天端と舗装面の高さ差が大きすぎると、車両が寄ったときの接触や、排水の滞留につながることがあります。乗入口では、民地側の高さに合わせるために勾配が複雑になりやすく、道路拡幅部の中でもすり付け不良が出やすい箇所です。RTKで乗入口前後の断面を取得し、車道、路肩、歩道、民地側の高さを確認しておけば、無理な勾配変化を避けやすくなります。
民地境界との取り合いでは、境界杭や既設構造物の位置を意識することも重要です。道路拡幅によって舗装端や側溝位置が変わる場合、境界付近の高さ調整を誤ると、民地側へ雨水が流れ込む、既設出入口との段差が大きくなる、構造物との隙間が不自然になるといった問題が発生します。RTK断面図に境界付近の高さを反映させることで、車道側だけでなく周辺施設との関係を含めた判断がしやすくなります。
排水桝や集水桝の周辺も注意が必要です。桝の天端高さが周囲の舗装面と合っていないと、段差、がた つき、水たまりの原因になります。道路拡幅部では、既設桝を残す場合や、新設桝を設置する場合がありますが、いずれの場合も舗装面との高さ関係を断面で確認することが大切です。桝の位置は平面図で確認できても、周辺の勾配やすり付け状況は断面で見た方が理解しやすくなります。
取り合い確認で大切なのは、関係する点を同じ断面上で見ることです。車道中心側の高さ、既設舗装端、新設舗装端、側溝天端、縁石天端、民地側地盤高を別々に測っているだけでは、全体のつながりが分かりにくくなります。RTK断面図として整理すれば、どの点が高すぎるのか、どこで勾配が急変しているのかを現場担当者、施工者、発注者間で共有しやすくなります。
道路拡幅部のすり付け不良は、車道面だけを見ていると見逃されることがあります。側溝や縁石、民地境界との取り合いまで含めて断面を確認することで、完成後の使いやすさ、排水性、見た目の自然さを高めることができます。RTK断面図は、複数の構造物が関係する複雑な取り合いを整理するための有効な確認手段になります。
施工途中の断面比較で手戻りを減らす
道路拡幅部のすり付け不良を減らすには、完成直前だけでなく施工途中で断面を比較することが大切です。完成舗装後に段差や勾配不良が見つかると、手直しには大きな手間がかかります。舗装を削る、再舗装する、側溝際を補修するなどの作業が必要になれば、交通規制や工程調整にも影響します。これを避けるためには、施工途中の段階で高さのずれを見つけ、小さい範囲で修正できるうちに対応することが重要です。
RTK断面図を使った施工管理では、施工前の現況断面、路床整形後の断面、路盤施工後の断面、舗装前の断面を段階的に保存しておくと効果的です。同じ測点、同じ横断位置で測定することで、各工程の高さ変化を比較できます。たとえば、路床の段階では計画に近かったのに、路盤施工後に外側が高くなっている場合は、路盤敷均しや転圧時の高さ管理に原因があるかもしれません。逆に、路盤までは問題がなかったのに舗装前の確認で接続部が低い場合は、舗装厚や切削範囲の設定を見直す必要があります。
施工途中の断面比較では、測点の再現性が重要です。毎回違う位置を測ってしまうと、断面の差が施工によるものなのか、測定位置の違いによるものなのか判断しにくくなります。RTKで測点を管理する場合は、横断測線の位置、起終点、測点名を明確にし、現場でも同じ位置を追えるようにしておくことが大切です。必要に応じて、現地の目印や写真と組み合わせることで、測定位置の取り違えを減らせます。
また、施工途中の断面は、関係者間の打合せ資料としても役立ちます。すり付けの問題は、言葉だけで説明すると認識がずれやすいものです。「少し高い」「なだらかにする」「既設に合わせる」といった表現は、人によって受け取り方が異なります。断面図があれば、高さ差や勾配変化を具体的に示しながら話ができるため、修正方針を決めやすくなります。現場代理人、測量担当、施工班、発注者が同じ断面を見て判断できれば、手戻りの原因となる認識違いを減らせます。
施工途中で特に確認したいのは、既設舗装端との接続部です。ここは新旧舗装の境目であり、すり付け不良が表面化しやすい場所です。路盤の段階で既設舗装端との高さ差が大きいと、舗装で無理に調整することになり、仕上がり や耐久性に影響します。RTK断面図で接続部付近の高さを確認し、舗装厚を確保しながら自然にすり付けられる状態になっているかを見ておく必要があります。
さらに、施工途中の断面比較は、出来形管理や記録整理にもつながります。道路拡幅部は、施工後に表面しか見えなくなる部分が多いため、路床や路盤の状態を後から確認することが難しくなります。各段階の断面図を記録として残しておけば、施工の妥当性を説明しやすくなり、後日の確認や補修検討にも役立ちます。ただし、記録を残すだけでは不十分で、現場で確認し、必要な修正につなげる運用が重要です。
手戻りを減らすためのRTK断面図活用は、測ること自体が目的ではありません。測定結果を見て、どこを直すべきか、どこは許容できるか、次工程へ進めてよいかを判断することが目的です。施工途中で断面を比較する習慣をつくれば、完成後に大きな不具合として現れる前に、すり付けの乱れを小さく抑えることができます。
完 成前に走行性と排水性を断面で見直す
道路拡幅部の完成前確認では、出来形寸法だけでなく、走行性と排水性を断面で見直すことが重要です。道路として使われる以上、幅員や高さが図面に近いだけでは十分とはいえません。車両が通過したときに不自然な揺れがないか、雨水が適切に流れるか、既設道路との接続部に段差感がないかを確認する必要があります。RTK断面図は、この最終確認を数値と形状の両面から支援します。
走行性の確認では、既設道路から拡幅部に向かう横断方向の勾配変化が急すぎないかを見ます。特に、既設舗装端で折れ点のような形になっている場合、車両が通過したときにタイヤが段差を拾いやすくなります。表面上は小さな差でも、勾配が短い距離で変化していると、走行時の違和感につながることがあります。RTK断面図で既設側から新設側までの形状を確認し、局所的に角が立っていないか、滑らかに変化しているかを見直すことが大切です。
排水性の確認では、雨水がどこへ流れる断面になっているかを確認します。道路拡幅部では、既設道路の排水方向と新設拡幅部の排水方向が一致しないことがあり ます。既設道路は外側に向かって水が流れる想定でも、拡幅部外側の高さや側溝天端の影響により、実際には接続部付近に水が集まる場合があります。また、拡幅区間の途中で勾配が変わると、低い箇所に雨水が滞留することがあります。RTK断面図を複数測点で確認すれば、横断方向だけでなく延長方向の水の逃げも検討しやすくなります。
完成前の段階では、舗装表面の微細な不陸も確認対象になります。RTKの測定点だけで細かな表面性状をすべて把握することはできませんが、断面上で大きな傾向を確認することは可能です。明らかに外側が高い、接続部が低い、側溝手前で逆勾配になっているといった状態は、断面図からでも把握できます。必要に応じて、現地での目視、散水確認、直定規による確認などと組み合わせることで、より実務的な判断ができます。
完成前確認では、設計断面との比較だけでなく、現況断面からの変化も見ると効果的です。施工前の既設道路断面と完成前の断面を比べることで、拡幅によってどのように道路形状が変わったのかが分かります。既設道路に合わせすぎて排水勾配が不足していないか、計画高を優先しすぎて既設側との段差感が出ていないかを確認できます。道路拡幅部では、設計値 と現況のどちらか一方だけを見るのではなく、両方のバランスを取ることが重要です。
また、完成前の断面確認は、供用後の維持管理にも役立ちます。道路拡幅部は、新旧構造の境目があるため、供用後に沈下やひび割れが発生しやすい箇所をあらかじめ把握しておくことができます。完成時の断面を記録しておけば、後日点検したときに、どの程度変化したのかを比較しやすくなります。特に、拡幅部外側の沈下、側溝際の舗装割れ、接続部の段差は、完成時の状態を記録しておくことで原因を追いやすくなります。
走行性と排水性は、道路利用者が直接感じる品質です。施工管理上の数値が整っていても、実際に水がたまる、段差を感じる、端部が壊れやすい状態では、道路拡幅の目的を十分に果たせません。RTK断面図を完成前の最終確認に活用することで、見た目だけでは判断しにくい高さのつながりを確認し、供用後の不具合を減らしやすくなります。
RTK断面図を現場管理に定着させるまとめ
RTK断面図で道路拡幅部のすり付け不良を減らすには、施工前、施工中、完成前の各段階で「高さのつながり」を確認することが重要です。道路拡幅部は、既設道路に新しい幅を足すだけの単純な工事に見えることもありますが、実際には既設舗装の変形、横断勾配の変化、舗装構成、側溝や縁石との取り合い、民地境界、排水施設など、多くの要素が関係します。どれか一つを見落とすと、完成後に段差、水たまり、舗装端部の破損、走行時の違和感として現れることがあります。
特に大切なのは、既設道路の実測断面を最初に把握することです。設計図だけでは分からない現地の高さ変化を確認し、拡幅部をどのように接続するかを施工前に整理しておくことで、後工程の判断が安定します。次に、横断勾配を複数断面で確認し、勾配の急変や逆勾配を見逃さないことが必要です。さらに、舗装表面だけでなく、路床や路盤の高さ、舗装厚の確保まで含めて確認することで、見た目だけではない耐久性のあるすり付けにつながります。
側溝、縁石、民地境界、排水桝との取り合いも、道路拡幅部では重要な確認項目です。車道面だけが整ってい ても、外側の構造物との高さ関係が合っていなければ、排水不良や段差の原因になります。RTK断面図に関係点を入れて整理すれば、複雑な取り合いを現場内で共有しやすくなります。施工途中では、同じ測点で断面を比較し、路床、路盤、舗装前の段階でずれを見つけることが手戻り削減につながります。そして完成前には、走行性と排水性の観点から断面を見直し、実際に使われる道路として自然な形になっているかを確認することが大切です。
RTK断面図は、現場担当者の経験を置き換えるものではありません。むしろ、経験に基づく判断を数値と図で補強し、関係者と共有しやすくするための道具です。現場で「このあたりが高い」「この勾配は少しきつい」と感じたときに、断面図として確認できれば、修正の必要性や範囲を説明しやすくなります。反対に、感覚だけで判断すると、担当者によって見解が分かれ、施工後の手戻りにつながることがあります。
実務で定着させるには、測定するタイミングと測点をあらかじめ決めておくことが有効です。施工前の現況、路床後、路盤後、舗装前、完成前というように確認段階を決め、同じ横断位置で比較できるようにしておけば、断面図が単なる記録ではなく管理資料として機 能します。また、測定時の条件や測点名、写真を残しておくことで、後から見返したときにも判断しやすくなります。
道路拡幅部のすり付け不良を減らすためには、早い段階で現況を知り、施工中にずれを修正し、完成前に走行性と排水性を確認する流れが欠かせません。RTK断面図を活用すれば、この流れを現場で実行しやすくなります。日々の測定、断面確認、写真記録、共有方法を一つの流れとして整え、道路拡幅部の高さ管理を継続的に見直すことが、すり付け不良の少ない施工につながります。
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