目次
• 資源回収拠点で砂利流出が起きる理由
• 手順1 現況断面で水と車両の流れをつかむ
• 手順2 流出しやすい境界部の高さ差を確認する
• 手順3 勾配と排水先を断面図でそろえる
• 手順4 車両動線と踏み荒らし範囲を見直す
• 手順5 施工後の断面を記録して再発を防ぐ
• RTK断面図を現場管理に定着させる考え方
• まとめ
資源回収拠点で砂利流出が起きる理由
資源回収拠点では、古紙、缶、びん、金属類、資源ごみなどを一時的に集めるため、一般的な駐車場や倉庫前とは少し違う使われ方をします。利用者の車両が短時間に出入りし、積み下ろしのために同じ位置で停車し、回収車両や管理車両が決まった動線を繰り返し通ります。その結果、表面に敷かれた砂利が少しずつ移動し、出入口、側溝まわり、舗装との取り合い、集積箱の前面などに偏りが生じやすくなります。
砂利流出は、見た目の乱れだけの問題ではありません。出入口から道路側へ砂利が出ると、歩行者や自転車の通行に影響することがあります。側溝へ砂利や土砂が入り込むと、雨水の流れを妨げる原因になります。敷地内で砂利が薄くなると、雨天時にぬかるみや水たまりが発生し、さらに車輪が沈み込んで砂利を押し出す悪循環につながる場合があります。回収拠点は日常的に多くの人が使う場所であるため、小さな砂利の移動でも早めに原因をつかむことが重要です。
砂利が流出する現場では、単に砂利を追加するだけでは再発することがあります。なぜなら、砂利が減った場所だけを見ても、移動した方向、押し出された理由、水が集まる経路、車両が踏み固めた範囲までは分かりにくいからです。そこで役立つのがRTK断面図です。RTK測位で現況の高さを測り、横断方向や縦断方向の断面として確認すると、表面の起伏や勾配の乱れを把握しやすくなります。
RTK断面図を使う目的は、現場を難しい図面にす ることではありません。砂利がどこからどこへ動きやすいのか、水がどこへ集まりやすいのか、車両がどの位置で砂利を押し出しているのかを、関係者が同じ基準で見られるようにすることです。感覚的な「低い気がする」「水がたまりやすい気がする」という状態を、断面の高さ差として確認できるようにすれば、対策の優先順位も決めやすくなります。
資源回収拠点は、敷地が広くない場合も多く、既存道路、歩道、側溝、隣地境界、フェンス、集積設備などが近接しています。そのため、排水や勾配を大きく変更しにくいことがあります。だからこそ、現況を丁寧に読み、必要な部分だけを整える視点が重要です。RTK断面図を活用すれば、全面的な改修を前提にしなくても、流出が起きやすい箇所を絞り込み、敷きならし、転圧、見切り材の設置、排水経路の調整などを検討しやすくなります。
この記事では、RTK断面図で資源回収拠点の砂利流出を防ぐための実務的な5手順を解説します。測量そのものを目的にするのではなく、現場管理、補修判断、再発防止に使える形で整理します。
手順1 現況断面で水と車両の流れをつかむ
最初に行うべきことは、砂利が流出している場所だけを見るのではなく、拠点全体の現況断面を押さえることです。砂利は単独で動くのではなく、雨水の流れ、車両の旋回、停止位置、歩行動線、管理作業の繰り返しによって移動します。そのため、流出箇所の周辺だけを補修しても、少し離れた高低差や勾配の乱れが原因で再び同じ現象が起きることがあります。
RTK断面図を作る際は、まず敷地の出入口から奥側へ向かう方向、道路や側溝に直交する方向、集積箱やコンテナの前を横切る方向など、現場の使われ方に合わせて断面ラインを設定します。資源回収拠点では、利用者の車両が入って止まり、荷物を下ろし、切り返して出ていく流れがあるため、車輪が通る位置を意識した断面が有効です。人の目では平らに見える砂利面でも、断面で見ると出入口側が低く、奥側から手前へ水が集まる形になっていることがあります。
現況断面では、地盤面の高さだけでなく、砂利厚の変化を推定する視点も大切です。表面が低くなっている場所は、砂利が流出した場所か、車両の踏圧で沈み込んだ場所か、下地そのものが不陸になっている場所かを切り分ける必要があります。RTK測位で表面高さを記録し、現地写真や目視確認と合わせることで、単なる表面の乱れなのか、下地から直すべき状態なのかを判断しやすくなります。
砂利流出が起きる拠点では、雨天時の水の動きも重要です。断面図で見ると、わずかな逆勾配によって水が集まる場所が分かる場合があります。たとえば、敷地奥から出入口へ向かって緩く下がっている場合、雨水が車両動線に沿って流れ、砂利を道路側へ押し出すことがあります。逆に、出入口付近だけが局所的に低くなっている場合は、そこに水がたまり、車輪が砂利をかき出しやすくなります。
現況断面を取るときに注意したいのは、晴天時だけの見た目で判断しないことです。晴れていると砂利面の乾き方や色の違いが分かりにくく、流出の原因を見落とすことがあります。雨の直後に水たまりの位置を記録し、その後にRTKで断面を測ると、低い場所と水の残り方を対応させやすくなります。現場の運用上、雨天直後の測定が難しい場合でも、泥の付着、砂利の寄り、細かい土砂の筋、側溝周辺の堆積などを観察すると、 水の通り道を推定できます。
資源回収拠点では、集積設備の位置も断面に影響します。利用者が同じ場所で荷下ろしをするため、設備の前だけが踏み固められ、砂利が横へ逃げることがあります。また、設備の周囲にわずかな段差があると、車輪や台車の動きで砂利が集まり、雨水の流れを変えてしまうこともあります。断面図では、設備前面、設備横、通路側、出入口側を分けて確認し、どの方向へ砂利が移動しているのかを読み取ることが大切です。
この段階で大切なのは、原因を一つに決めつけないことです。砂利流出は、勾配、排水、車両動線、境界部の納まり、下地の状態が重なって起きます。RTK断面図は、その複数の要因を整理するための土台になります。最初の現況断面が粗いままだと、その後の対策も感覚的になりやすいため、まずは拠点全体を俯瞰できる断面を確保することが、砂利流出防止の出発点になります。
手順2 流出しやすい境界部の高さ差を確認する
砂利流出が特に起きやすいのは、砂利敷きと別の構造が接する境界部です。資源回収拠点であれば、道路との出入口、既設舗装との取り合い、側溝の縁、歩道との境、フェンス基礎の前、集積設備の土台まわりなどが該当します。境界部は人や車両の動きが集中しやすく、砂利が止まる場所でもあり、外へ逃げる場所でもあります。
RTK断面図では、境界部の高さ差を確認することが重要です。砂利面が道路や舗装面より高すぎる場合、雨水や車輪の動きによって砂利が外へ押し出されやすくなります。一方で、砂利面が低すぎる場合は、境界部に水がたまり、車両が出入りするたびに砂利がかき混ぜられます。高さ差が大きいか小さいかだけではなく、その差がどの方向に連続しているかを断面で見ることが必要です。
出入口では、車両が加速や減速を行うため、砂利が道路側へ動きやすくなります。特に、敷地内の砂利面が道路側に向かって下がっている場合、雨水の流れと車輪の力が同じ方向に働きます。この状態では、定期的に掃き戻しても、降雨や利用が重なるたびに砂利が外へ出やすくなります。断面図で出入口の勾配と道路面との高さ差を確認すれば、単なる清掃 不足ではなく、納まりそのものに原因があるかを判断できます。
側溝まわりも注意が必要です。砂利面が側溝の縁より高い状態で、側溝方向へ勾配が付いていると、雨水と一緒に細かい砂利や土砂が側溝へ移動しやすくなります。側溝に砂利や土砂がたまると、排水不良の原因になり、結果として敷地内に水が残りやすくなる場合があります。RTK断面図で側溝際の高さを確認する際は、側溝天端、砂利面、周辺の低い箇所を同じ断面に入れると、砂利が側溝へ落ちる経路を読み取りやすくなります。
既設舗装との取り合いでは、舗装面の端部が砂利の移動を止める役割をする一方で、段差が大きいと車輪の衝撃で砂利が動きます。舗装端部の近くにくぼみがある場合、車両が乗り越えるたびに砂利が掘られ、雨水がたまり、さらに砂利が流れます。断面図では、舗装端部から砂利敷き側へ数メートル程度の範囲を確認し、局所的なくぼみがないかを見ます。
境界部の対策としては、砂利を追加するだけでなく、見切りを設ける、端部を締め固め る、流れの向きを変える、砂利の粒度や下地の状態を見直すなど複数の選択肢があります。ただし、どの対策が適切かは、現況の高さ差を見なければ判断しにくいものです。RTK断面図を使うと、対策前の高さ、対策後に目指す高さ、周辺との連続性を共有しやすくなります。
資源回収拠点では、境界部が利用者にとって見えにくい危険箇所になる場合があります。砂利が道路側へ出ている、側溝際がえぐれている、歩道との境に段差ができているといった状態は、つまずきやすさや通行時の違和感につながります。安全面を考えても、境界部の高さ差は定期的に確認したいポイントです。
RTK断面図で境界部を見るときは、単独の一点の高さではなく、連続した断面として判断することが重要です。ある一点では問題がないように見えても、数メートル先で急に低くなっている場合、そこへ水や砂利が集まります。出入口、側溝、舗装端部、設備まわりを線として捉えることで、砂利流出の根本的な要因を見つけやすくなります。
手順3 勾配と排水先を断面図でそろえる
砂利流出を抑えるうえで、勾配と排水先の整合は欠かせません。砂利敷きの拠点では、表面がある程度透水するため、水が自然に地中へ抜けると考えがちです。しかし、利用が続くと表面の細粒分が増え、車両の踏圧で締まり、想定より水が表面を流れやすい状態になることがあります。水が表面を流れ始めると、細かい砂利や土砂を一緒に運び、低い場所や敷地外へ移動させます。
RTK断面図では、まず現在の勾配がどの方向へ向いているかを確認します。勾配は目視だけでは判断しにくく、特に広い砂利面ではわずかな高さ差が見落とされがちです。断面図にすると、奥から手前へ下がっているのか、中央が低いのか、片側の側溝へ向かっているのか、出入口付近に水が集まるのかが分かりやすくなります。
理想的な排水は、現場条件によって異なります。道路側へ水を出さないように敷地内で処理したい場合もあれば、既設側溝へ安全に流したい場合もあります。重要なのは、排水先が曖昧なまま砂利面だけをならさないことです。排水先が決まっていない状態で表面を平らにする と、水が広く滞留し、車両の通行によって砂利が全方向へ動くことがあります。RTK断面図を使えば、排水先に向けて勾配が連続しているか、途中に逆勾配やくぼみがないかを確認できます。
資源回収拠点では、集積設備の位置が排水を妨げることもあります。コンテナや回収箱の前に砂利が寄り、周囲より高くなると、水の流れが変わります。逆に、設備の前だけ踏み込まれて低くなると、水たまりができ、利用者が避けて通ることで別の場所が踏み荒らされます。断面図では、設備前面の高さと周辺の排水方向を合わせて確認することが必要です。
勾配をそろえる際に注意したいのは、急な勾配にすればよいわけではないという点です。急すぎる勾配は水の流速を上げ、砂利を動かしやすくする場合があります。逆に、緩すぎる勾配では水が滞留し、ぬかるみや沈下の原因になります。現場の面積、砂利の種類、下地の状態、利用頻度、周囲の排水施設を踏まえ、無理のない勾配で水を逃がすことが大切です。RTK断面図は、その勾配が現場全体で破綻していないかを見るための確認資料になります。
排水先を側溝にする場合は、側溝へ砂利が直接流れ込まない納まりも検討します。水だけを逃がし、砂利は敷地内にとどめるためには、側溝手前の高さ、見切り、沈砂しやすい部分、清掃しやすい余地を考える必要があります。断面図で側溝手前の勾配を確認し、砂利が一気に落ち込む形になっていないかを見ます。特に細かい砂利や土砂が多い現場では、雨のたびに側溝へ堆積することがあるため、排水と流出防止を一体で考えることが重要です。
出入口側の排水にも注意が必要です。敷地内の雨水が道路側へ流れやすい形になっていると、砂利も道路側へ出やすくなります。道路との取り合いにわずかな段差やくぼみがある場合、車両の出入りによって砂利が押し出され、雨水がその隙間を通って流出します。RTK断面図で出入口付近を確認し、敷地内に水がとどまりすぎていないか、道路側へ流れすぎていないか、適切な排水方向になっているかを判断します。
勾配と排水先をそろえる作業は、一度で完了するとは限りません。砂利面は舗装面より変化しやすく、利用状況によって高さが変わります。そのため、対策後も定期的に断面を測り、設定した排水方向が維持されているかを確認することが望ましいです。RTK断面図を残しておけば、前回と今回の差分を見ながら、どの位置が下がりやすいか、どこに砂利が寄りやすいかを把握できます。
砂利流出を防ぐには、水の動きを敵にしないことが大切です。水は低い方へ流れます。その流れを無理に止めようとすると、別の場所に水が回り、砂利を動かす原因になります。RTK断面図で勾配と排水先を見える化し、現場の自然な流れに合わせて整えることが、無理のない維持管理につながります。
手順4 車両動線と踏み荒らし範囲を見直す
資源回収拠点の砂利流出は、雨だけでなく車両の動きによって大きく進みます。利用者の乗用車、軽トラック、回収作業車、管理車両が同じ場所を繰り返し通ると、砂利面にはわだちやくぼみが生じます。特に、停止、発進、旋回、切り返しが集中する場所では、車輪が砂利を横方向へ押し出し、表面の高さが変わりやすくなります。
RTK断面図では、車両動線に沿った縦断と、車輪が横切る位置の横断を確認します。単に出入口から奥まで一本の断面を取るだけでは、旋回時に外側へ押し出された砂利や、車輪の通る左右の低下を見落とすことがあります。わだちがある場合は、左右の車輪位置と中央部の高さを比較し、どの程度の不陸があるかを確認します。断面として見ることで、表面の乱れが部分的なものか、動線全体に広がっているものかを判断しやすくなります。
車両動線を見直す際は、利用者が実際にどこを走るかを重視します。管理側が想定した動線と、現場で自然に使われている動線が異なることはよくあります。たとえば、集積箱に近づきやすい場所へ斜めに進入する、切り返しを避けて敷地端部を踏む、雨天時に水たまりを避けて別の場所を通るといった行動です。こうした実際の使われ方が、砂利の偏りや流出につながります。
RTK断面図と現地観察を組み合わせると、踏み荒らし範囲を把握しやすくなります。低くなっている場所が車輪の通過位置と一致していれば、車両荷重や旋回が主な原因と考えられます。低い場所が水の流れと一致していれば、排水不良が主な原因かもしれません。両方が重なっ ている場所は、優先的に対策すべき箇所です。資源回収拠点では、限られた予算や作業時間で効率よく補修する必要があるため、優先順位を明確にすることが重要です。
踏み荒らしを抑える対策には、動線の誘導、停止位置の明確化、出入口付近の補強、車輪が乗る範囲の下地改善、砂利の締固め、見切りの設置などがあります。どの対策を選ぶ場合でも、断面図で現況の高さと変化量を確認しておくと、対策範囲を決めやすくなります。全面を一律に直すのではなく、車輪が繰り返し通る部分、雨水が集まる部分、砂利が外へ逃げる部分を分けて考えることができます。
集積設備の前面では、利用者が荷下ろしのために近づき、同じ位置で停車します。その場所が少しずつ沈むと、設備前に水たまりができ、利用者が避けることで別の通行帯が生まれます。その結果、当初想定していなかった範囲まで踏み荒らしが広がることがあります。RTK断面図で設備前の低下を早期に把握すれば、砂利の補充や締固めだけで済む段階で対応できる可能性があります。
回収作業車の動線も見落とせません。一般利用者の車両より重量が大きい車両が同じ位置に入る場合、表面だけでなく下地にも影響が出ることがあります。車両の停止位置や旋回位置に局所的な沈下がある場合は、砂利の表面補修だけでは再発するかもしれません。断面図で沈下の形を確認し、必要に応じて下地の締固めや支持力の確認を検討することが大切です。
車両動線の見直しでは、利用しやすさを損なわないことも重要です。砂利流出を防ぐために進入しにくい配置にしてしまうと、利用者が無理な動きをして別の場所を傷めることがあります。安全で分かりやすい動線を保ちながら、砂利が動きにくい高さと勾配に整えることが現実的です。RTK断面図は、現場の使いやすさと維持管理のしやすさを両立させるための確認材料になります。
手順5 施工後の断面を記録して再発を防ぐ
砂利流出対策で意外に見落とされやすいのが、施工後の断面記録です。砂利を補充し、敷きならし、転圧して見た目がきれいになると、そこで作業が完了したように感じます。しかし、対策後の高さを記 録していなければ、次に砂利が減ったときに、どの程度変化したのかを判断できません。再発防止を考えるなら、施工後の状態を基準断面として残すことが重要です。
RTK断面図を施工後に作成しておくと、次回点検時に比較できます。出入口付近がどれだけ下がったのか、側溝まわりに砂利が寄ったのか、車輪位置にわだちができたのかを、前回断面との差分として確認できます。これにより、補修のタイミングを感覚ではなく変化量で判断しやすくなります。資源回収拠点のように利用頻度が高い場所では、定期的な比較が再発防止に直結します。
施工後の記録では、断面ラインを毎回同じ位置で取れるようにすることが大切です。測る場所が毎回違うと、高さの変化なのか、測定位置の違いなのか分かりにくくなります。出入口中央、側溝沿い、集積設備前、車両の旋回位置など、管理上重要な断面ラインを決め、同じ基準で記録します。RTKを使えば、現場で位置を再現しやすく、過去の測定点と比較しやすくなります。
また、施工直 後だけでなく、一定期間利用した後の断面も有効です。砂利面は施工直後が最も整っていますが、実際に車両が通り、雨が降り、利用者が歩くことで安定していきます。施工後すぐの断面と、数週間後または一定の利用後の断面を比較すると、初期になじんで下がる範囲と、継続的に流出している範囲を分けやすくなります。初期沈下の範囲であれば軽微な補充で済む場合がありますが、同じ方向へ繰り返し砂利が動く場合は、勾配や境界処理の見直しが必要です。
記録には、断面図だけでなく現場写真や作業内容も合わせて残すと効果的です。どの粒度の砂利を入れたのか、どの範囲を敷きならしたのか、どの程度締め固めたのか、側溝清掃を同時に行ったのかなどを記録しておくと、次回の判断に役立ちます。RTK断面図は高さの情報を示しますが、表面の状態や施工条件は写真やメモで補うことで、より実務に使いやすい記録になります。
資源回収拠点では、管理者、施工担当者、自治体担当者、施設利用者からの問い合わせ対応など、複数の関係者が関わる場合があります。施工後断面を残しておけば、どのような状態を目指して補修したのか、どの箇所が再発しやすいのかを説明しやすくなります。口頭だけの引き継ぎでは 、次回の担当者が同じ状況を把握するのに時間がかかります。断面図と記録があれば、維持管理の履歴として活用できます。
再発防止の観点では、点検の基準を決めておくことも大切です。大雨の後、回収量が多い時期の後、定期清掃の前後、砂利補充の前後など、点検のタイミングを決めておくと、変化を追いやすくなります。RTK断面図を毎回詳細に作るのが難しい場合でも、重要箇所だけを継続的に測ることで、流出傾向を把握できます。全体を一度に完璧に管理しようとするより、再発しやすい箇所を定点化する方が現実的です。
施工後の断面記録は、将来的な改修計画にも役立ちます。短期間で同じ場所が何度も下がる場合は、砂利の補充だけでは限界があるかもしれません。出入口の補強、排水施設の改善、下地の入れ替え、動線の変更など、より踏み込んだ対策を検討する根拠になります。逆に、断面変化が小さい場合は、現行の維持管理を継続し、清掃や軽微な補充で対応できると判断しやすくなります。
RTK断面図を現場管理に定着させる考え方
RTK断面図は、特別な大規模工事だけで使うものではありません。資源回収拠点のような小規模な維持管理現場でも、現況把握、補修判断、関係者説明、再発防止に役立ちます。重要なのは、断面図を作ること自体を目的にせず、現場で何を判断したいのかを明確にすることです。
砂利流出の管理では、見るべきポイントがある程度決まっています。水がどちらへ流れるか、境界部で砂利が外へ逃げていないか、車両動線にわだちができていないか、側溝に堆積していないか、補修後の高さが維持されているかです。RTK断面図は、これらの確認を同じ基準で繰り返すための道具です。毎回違う見方をするのではなく、定点と断面ラインを決めておくことで、変化を追いやすくなります。
現場管理に定着させるには、測定作業を複雑にしすぎないことも大切です。広い範囲を細かく測りすぎると、日常点検として続きにくくなります。まずは出入口、側溝際、集積設備前、車両旋回部など、砂利流出に直結する場所に絞って断面を取るとよいです。その後、必要に応じて範囲を広げれば、無 理なく運用できます。
断面図を共有する際は、専門的な表現だけでなく、現場担当者が判断しやすい説明を添えることが有効です。たとえば、出入口側へ水が集まりやすい、側溝手前が高く砂利が落ちやすい、集積箱前の車輪位置が下がっている、補修後に中央部が高くなりすぎている、といった形で、断面から読み取れることを現場の言葉に置き換えます。これにより、測定結果が単なる資料ではなく、次の行動につながります。
また、RTK断面図は関係者間の認識違いを減らす効果もあります。資源回収拠点の砂利流出では、利用者から見ると「砂利が道路に出ている」、管理者から見ると「清掃が必要」、施工担当者から見ると「勾配や下地に原因がある」というように、立場によって見方が異なることがあります。断面図があれば、現況の高さや勾配を同じ資料で確認できるため、原因と対策を話し合いやすくなります。
維持管理では、完璧な状態を一度つくるよりも、変化を見逃さず早めに整えることが大切です。砂利面は使われ るほど動きます。雨が降れば流れ、車が通れば押され、人が歩けば踏み固められます。その変化を前提に、どこが変わりやすいかを把握しておけば、必要なタイミングで必要な範囲だけ補修できます。RTK断面図は、その判断を支える記録として機能します。
砂利流出を防ぐ現場管理では、測る、見る、直す、比べるという流れを繰り返すことが重要です。現況を測り、断面で原因を見て、必要な補修を行い、施工後に再び測って比べる。この流れが定着すれば、場当たり的な補修から一歩進んだ管理が可能になります。特に、複数の拠点を管理している場合は、同じ方法で断面を記録することで、拠点ごとの傷み方や補修頻度を比較しやすくなります。
RTK断面図を使うことで、砂利流出の対策はより具体的になります。どこに砂利を足すのか、どこを締め固めるのか、どの境界部を見直すのか、どの排水経路を整えるのかが明確になります。現場の経験はもちろん重要ですが、経験だけに頼ると担当者によって判断が変わりやすくなります。断面という共通の記録を持つことで、経験とデータを組み合わせた管理ができます。
まとめ
資源回収拠点の砂利流出を防ぐには、砂利が減った場所に追加するだけでは不十分です。砂利がなぜ動いたのか、水がどの方向へ流れているのか、車両がどこを繰り返し踏んでいるのか、境界部でどのように外へ逃げているのかを確認する必要があります。そのために、RTK断面図は実務的な判断材料になります。
最初に現況断面で拠点全体の高低差をつかみ、砂利流出が水の流れによるものか、車両動線によるものか、境界部の納まりによるものかを整理します。次に、出入口、側溝、舗装端部、集積設備まわりなど、流出しやすい境界部の高さ差を確認します。そのうえで、勾配と排水先を断面図でそろえ、砂利を外へ運びにくい流れをつくります。さらに、車両の停止、発進、旋回、切り返しによる踏み荒らし範囲を見直し、必要な場所に補修を集中させます。最後に、施工後の断面を記録し、次回点検時に差分を確認することで、再発しやすい場所を早めに把握できます。
RTK断面図の価値は、現場の状態を見える化し、関係者が同じ基準で話せるようにする点にあります。資源回収拠点の砂利流出は、小さな変化の積み重ねで進むため、早い段階で高さ差や勾配の乱れを捉えることが大切です。断面図を活用すれば、補修範囲を絞り込み、排水と動線を合わせて見直し、維持管理の履歴を残せます。
日常管理でRTK断面図を使うなら、現場で素早く測れて、記録を残しやすい仕組みが役立ちます。資源回収拠点のように限られた時間で点検と補修判断を行う現場では、持ち運びやすく、必要な断面をその場で確認できることが重要です。砂利流出の原因を感覚だけで判断せず、現況、補修後、再点検の流れをつなげたい場合は、スマートフォンを活用したRTK計測によって、現場管理をより確実に進めやすくなります。
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