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RTK断面図で仮設歩道橋取付部の勾配ズレを防ぐ6項目

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万能の測量機LRTKの説明

著者: LRTKチーム

目次

仮設歩道橋取付部で勾配ズレが起きやすい理由

RTK断面図で見るべき基準線と接続点

既設歩道と仮設構造物の高さ差をそろえる

横断勾配と排水方向を断面で確認する

施工段階ごとの測点管理で手戻りを減らす

通行者目線で段差とすり付けを点検する

記録共有まで含めた再発防止の進め方

まとめ


仮設歩道橋取付部で勾配ズレが起きやすい理由

仮設歩道橋は、道路工事、河川工事、駅前整備、歩道拡幅、地下埋設物工事などで、歩行者動線を一時的に確保するために設置されます。恒久構造物ではないため、現場では「短期間だけ使うもの」と見られがちですが、実際には多くの歩行者が毎日通行する重要な仮設施設です。特に取付部は、既設歩道、仮設スロープ、階段、踊り場、橋面、仮舗装が接続する場所であり、少しの高さ差や勾配ズレが通行性、安全性、排水性に影響します。


勾配ズレが起きやすい理由の一つは、取付部が複数の条件に挟まれるためです。既設歩道の高さは、必ずしも設計図どおりに整っているわけではありません。長年の舗装補修、縁石の沈下、側溝蓋のがたつき、周辺構造物とのすり付けにより、現況には細かな不陸があります。一方で、仮設歩道橋側には、橋面高、桁下条件、支点位置、手すり高さ、通行幅、仮設基礎の設置条件があります。この両者を短い区間ですり付けようとすると、縦断方向にも横断方向にも無理が生じやすくなります。


従来の確認では、平面図上で取付位置を合わせ、レベル測量で数点の高さを確認し、現場で舗装や敷鉄板の厚みを調整する進め方があります。しかし、点だけの高さ確認では、歩行者が実際に通る断面形状を把握しきれないことがあります。例えば、スロープ始点と終点の高さは合っていても、その途中に局所的な折れ点がある場合、ベビーカーや台車が引っかかりやすくなります。中心線の勾配は問題が小さく見えても、端部側で横断勾配が逆転していると、水たまりや滑りやすい箇所が発生するおそれがあります。


そこで有効になるのが、RTKで取得した高さ情報をもとに断面図として確認する方法です。RTK断面図は、現況地盤や仮設構造物の取付部を線ではなく断面として読み取るための資料です。縦断方向のすり付け、横断方向の傾き、既設舗装との取り合い、仮設材端部の段差、排水方向を視覚的に把握しやすくなります。現場で測った座標や高さをその場で整理できれば、施工前の計画確認、施工中の微調整、完了後の説明資料まで一貫して使いやすくなります。


ただし、RTK断面図を作るだけで勾配ズレが自動的になくなるわけではありません。RTK測位は、衛星の受信環境、補正情報、周辺構造物による遮蔽や反射、測定姿勢、基準点との整合によって結果が変わることがあります。そのため、重要な高さ確認では、現場の基準点、既存の測量成果、レベル測量などと照合しながら使うことが大切です。


大切なのは、どの断面を切るか、どの基準で比較するか、どの段階で確認するかをあらかじめ決めておくことです。取付部は人の通行に直結するため、単に高さが合っているかだけでなく、歩行者が自然に通れるか、雨天時に水が滞留しないか、夜間でも段差を認識しやすいかまで考える必要があります。


この記事では、RTK断面図で仮設歩道橋取付部の勾配ズレを防ぐために、実務で確認したい6項目を軸に解説します。対象は、測量担当者、施工管理担当者、仮設計画担当者、安全管理担当者、発注者との協議資料を整える担当者です。現場でありがちなズレを断面図で早めに見つけ、手戻りや通行トラブルを減らすための考え方として活用してください。


RTK断面図で見るべき基準線と接続点

RTK断面図で最初に決めるべきことは、何を基準に勾配を見るかです。仮設歩道橋取付部では、既設歩道の中心、歩行者の主動線、仮設スロープの中心、橋面の中心、縁石ライン、側溝ラインなど、複数の基準候補があります。基準が曖昧なまま断面図を作ると、測点ごとの高さは正しくても、どの勾配を評価しているのか分からなくなります。


基本になるのは、歩行者が実際に通る中心線です。仮設歩道橋の取付部では、平面上の設計中心線と実際の通行中心がずれることがあります。工事用仮囲い、誘導柵、照明柱、既設標識、街路樹、排水桝などがあると、歩行者は図面上の中心ではなく、障害物を避けた位置を通ります。そのため、RTK断面図を作る前に、仮設後の有効幅と歩行者動線を想定し、断面を切る位置を決めることが重要です。


次に確認したいのが、接続点の高さです。取付部には、既設歩道から仮設スロープへ入る点、スロープから踊り場へ移る点、踊り場から橋面へ移る点、橋面から反対側のスロープへ下りる点があります。これらの接続点では、勾配が変わるため、わずかな高さ差でも体感上の段差として現れることがあります。RTKで各接続点を測り、断面図上で折れ点として明示すると、どこで勾配が変化しているかを共有しやすくなります。


断面図では、現況線、計画線、施工後線を分けて扱うことも大切です。現況線は、既設歩道や路肩の実際の高さを示します。計画線は、仮設歩道橋取付部として目標にする高さや勾配を示します。施工後線は、仮設材の設置後や仮舗装後に再測した結果です。この3つを混同すると、計画段階の問題なのか、施工時の据付誤差なのか、施工後の沈下なのかを判断しにくくなります。


特に注意したいのは、断面図の縦横比です。取付部の勾配は、数センチの高さ差が問題になることがある一方で、平面的な距離は数メートルから十数メートルになることがあります。縦方向を強調しすぎると、わずかな勾配変化が大きな段差のように見え、逆に縦横を同じ縮尺に近づけると、実務上見逃したくない折れ点が目立たなくなる場合があります。説明用と確認用で見え方を変える場合でも、どの縮尺で判断したかを明確にしておく必要があります。


RTK断面図を現場で使う場合、測点名も重要です。単に点番号だけで管理すると、後から見返したときに何を測った点なのか分からなくなることがあります。既設歩道端部、取付始点、スロープ中間、踊り場前、橋面端部、側溝蓋上、仮舗装端部など、意味が伝わる名称を付けておくと、関係者間の認識違いを防げます。断面図は図面であると同時に、現場の会話をそろえるための共通資料でもあります。


また、基準高さをどこに置くかも確認しておきます。仮設工事では、既設構造物に合わせる場面が多いため、既設歩道面を基準にすることが多いですが、橋面高や仮設基礎高を先に決めなければならない場合もあります。どちらを優先するかによって、取付部の勾配調整範囲が変わります。RTK断面図で基準線をはっきり示しておけば、現場での「どちらに合わせるべきか」という迷いを減らせます。


既設歩道と仮設構造物の高さ差をそろえる

仮設歩道橋取付部の勾配ズレは、既設歩道と仮設構造物の高さ差を十分に把握しないまま施工を進めたときに起こりやすくなります。図面上では既設歩道が一定勾配で描かれていても、実際には舗装の摩耗や補修跡、縁石の沈下、側溝蓋の段差、街路樹根の影響などにより、細かな凹凸があります。取付部を一点だけで合わせると、別の位置で段差や逆勾配が発生する可能性があります。


RTK断面図を使う場合は、まず既設歩道側の現況を複数断面で捉えます。仮設歩道橋の中心線だけでなく、左右端部付近の高さも確認します。歩道幅が広い場合や、既設歩道に横断勾配がある場合、中心だけを測っても端部のすり付け状態は分かりません。特に、車道側と民地側で高さ差が大きい歩道では、仮設スロープの片側だけが浮いたり、逆に片側だけが沈んだような納まりになることがあります。


仮設構造物側では、橋面、スロープ、踊り場、仮設基礎、敷板、仮舗装の厚みを分けて考える必要があります。現場では、敷板や仮舗装で微調整できると考えがちですが、後から調整できる範囲には限界があります。橋面高が決まってから取付勾配を調整しようとすると、スロープ延長が足りない、踊り場の高さが合わない、仮囲い内に収まらないといった問題が出ることがあります。RTK断面図で施工前に高さ差を見える化しておけば、調整余地がある段階で対策を検討できます。


高さ差を見るときは、単純な始点と終点の差だけで判断しないことが大切です。取付部では、歩行者が連続して移動するため、途中の折れ点や局所的な盛り上がりも体感に影響します。始点と終点の勾配が緩やかでも、中間に仮設材の端部や舗装補修の段差があると、通行者はつまずきやすくなります。RTKで中間点を追加測定し、断面図で滑らかな線になっているかを確認すると、点だけでは見えなかった違和感を拾いやすくなります。


また、仮設歩道橋の取付部では、車いす、ベビーカー、自転車を押す歩行者、台車、杖を使う人など、多様な通行者を想定する必要があります。仮設とはいえ、急な勾配変化や小さな段差は大きな負担になります。断面図を確認するときは、施工上の納まりだけでなく、連続した移動経路として無理がないかを見る姿勢が重要です。高さ差が残る場合は、すり付け延長を確保する、仮舗装範囲を広げる、誘導経路を見直すなど、現場条件に応じた調整が必要になります。


既設歩道と仮設構造物の高さ差をそろえるうえで、端部処理も見逃せません。仮設スロープや敷板の端部は、施工直後にはきれいに納まっていても、通行や雨水、清掃作業の影響で周辺材料が動き、段差が出ることがあります。RTK断面図で完了時の形状を記録しておけば、後日の点検時に変化を比較できます。特に長期間設置する仮設歩道橋では、初期値を残しておくことが維持管理に役立ちます。


高さ差の確認は、発注者や道路管理者との協議にも有効です。仮設歩道橋の設置位置や取付勾配は、現場制約によって理想どおりにならないことがあります。その場合でも、RTK断面図で現況、計画、施工後を示せば、どの条件が制約になっているかを説明しやすくなります。感覚的な「少しきつい」「少し高い」という説明ではなく、断面形状として共有することで、改善案の検討が具体化します。


横断勾配と排水方向を断面で確認する

仮設歩道橋取付部では、縦断勾配ばかりに目が向きがちですが、実際のトラブルは横断勾配や排水方向から生じることもあります。歩道やスロープの横断方向に水が逃げない場合、雨天時に水たまりができ、滑りやすくなります。さらに、仮設材の継ぎ目や敷板端部に水が滞留すると、泥の持ち込み、凍結、材料の浮き、通行者の足元不安につながります。


RTK断面図を使うときは、縦断方向の断面だけでなく、横断方向の断面も取得します。取付部の始点、中間、橋面手前、踊り場付近など、勾配が変化しやすい箇所で横断断面を確認すると、片勾配が保たれているか、逆勾配になっていないか、端部に水が集まりすぎていないかを判断できます。横断方向の高さ差は小さいため、見た目だけでは分かりにくいことがありますが、断面図にするとわずかな傾きの乱れを確認しやすくなります。


排水方向を確認する際は、どこへ水を逃がす計画なのかを明確にします。既設歩道の側溝へ流すのか、仮設排水へ導くのか、車道側へ出さないようにするのか、仮囲い内へ入れないようにするのかによって、望ましい横断勾配は変わります。現場によっては、既設側溝が近くにあっても、仮設材や誘導柵によって水の流れが遮られることがあります。RTK断面図で高さだけを見るのではなく、水の通り道を断面上で追うことが重要です。


取付部の横断勾配で注意したいのは、歩きやすさとのバランスです。水を流すために横断勾配を強くすると、歩行者は片側に傾いた面を歩くことになり、足元に違和感が出ます。特に、スロープの縦断勾配と横断勾配が同時にかかると、斜め方向に体が流れる感覚が強くなります。RTK断面図で縦断と横断を別々に確認し、必要に応じて複数の断面を重ねて見ることで、排水性と通行性の両立を検討できます。


仮設歩道橋の取付部には、仮舗装やすり付け材、敷板、鋼製部材、木製部材など、異なる材料が組み合わさることがあります。材料が変わる位置では、水の流れや表面の滑りやすさも変わります。例えば、仮舗装から金属部材に移る部分で水が溜まると、雨天時に滑りやすい箇所になります。断面図では、材料境界と高さ変化を合わせて記録しておくと、点検時に重点確認する場所が分かりやすくなります。


排水不良は、施工直後ではなく、数日後や雨の後に発覚することもあります。完成時の見た目が問題なくても、微妙な不陸や逆勾配があると、雨水が同じ場所に溜まります。RTKで雨後の水たまり位置を追加測定し、完了時の断面図と比較すると、どの勾配が原因で水が集まったのかを検討できます。仮設歩道橋は一時的な施設ですが、利用期間中に安全な状態を維持するには、設置後の確認も欠かせません。


横断勾配の確認では、断面図だけでなく現地の目視確認も合わせて行います。RTK断面図は高さのズレを把握する有効な手段ですが、表面の滑り、材料のたわみ、継ぎ目の開き、泥の付着、夜間照明の当たり方までは断面図だけで判断できません。断面図で疑わしい箇所を抽出し、現場で歩行感や水の流れを確認することで、実務に使える点検になります。


施工段階ごとの測点管理で手戻りを減らす

仮設歩道橋取付部の勾配ズレを防ぐには、施工完了後に一度だけ測るのではなく、段階ごとに確認することが重要です。取付部は、既設撤去、整地、仮設基礎設置、橋体据付、スロープ取付、仮舗装、誘導施設設置といった複数の工程を経て完成します。後工程になるほど調整できる範囲が狭くなるため、早い段階で高さのズレを見つけるほど手戻りを抑えやすくなります。


まず施工前には、現況測量として既設歩道と周辺構造物の高さを取得します。この段階では、仮設歩道橋を置く位置だけでなく、取付部の前後に余裕を持たせて測ることが大切です。実際にすり付けが必要になる範囲は、設計上の取付範囲より広がることがあります。周辺の縁石、側溝、マンホール、既設舗装の高低差をRTKで記録し、断面図化しておくと、仮設計画の段階で無理な納まりを見つけやすくなります。


次に、仮設基礎や支持部を設置する段階で確認します。橋面高やスロープ勾配は、基礎や支持部の高さに大きく影響されます。ここで数センチのズレがあると、後の取付部で無理なすり付けが必要になる場合があります。仮設基礎の天端や支点位置をRTKで測り、計画高さと比較しておけば、橋体据付前に調整しやすくなります。特に現場の地盤が軟らかい場合や、敷板を介して荷重を受ける場合は、据付後の沈下も想定しておく必要があります。


橋体やスロープを据え付けた後は、接続点の高さを再確認します。仮設材は、部材の製作寸法、現場での組立精度、ボルト締結、支点のなじみによって、計画どおりの高さにならないことがあります。施工図では水平に見える踊り場でも、現場ではわずかに傾いていることがあります。RTK断面図で据付後の形状を確認し、既設歩道側のすり付けに入る前に修正できるかを判断します。


仮舗装やすり付け材を施工する段階では、仕上がり面の連続性を確認します。ここでは、断面図上で折れ点が急になっていないか、端部に段差が残っていないか、雨水の逃げ道を塞いでいないかを見る必要があります。仮舗装は現場で柔軟に調整できる反面、目視だけでは勾配の連続性が判断しにくいことがあります。RTKで仕上げ前と仕上げ後を比較すれば、どの範囲を盛るべきか、どこを削るべきかが分かりやすくなります。


供用前の確認では、歩行者動線全体を通して断面図を見直します。取付部だけに注目すると、前後の既設歩道とのつながりを見落とすことがあります。仮設歩道橋へ入る直前に急な横断勾配がある、誘導柵で通行位置が変わり実際の中心線がずれる、夜間に段差が認識しにくいといった問題は、供用直前に見つかることがあります。RTK断面図に加えて、実際に歩いて確認することで、図面上の合格と現場の使いやすさを一致させます。


測点管理では、同じ場所を同じ名前で繰り返し測ることが重要です。施工前、据付後、仕上げ後、供用後で測点名や位置が変わると、差分比較ができません。仮設の現場では測点が撤去物や資材で隠れることもあるため、近くの構造物や誘導柵位置と関連づけて管理するとよいです。RTKで得た座標を使えば、再測時に同じ位置へ戻りやすくなり、沈下やズレの追跡にも使えます。


段階ごとの測点管理は、施工管理だけでなく、関係者間の責任分界を明確にする効果もあります。基礎設置時点で高さが合っていたのか、橋体据付でズレたのか、仮舗装施工で段差が残ったのかを記録しておけば、原因の切り分けがしやすくなります。問題が起きた後に記憶を頼りに議論するより、各段階のRTK断面図を残しておく方が、改善対応を早く進められます。


通行者目線で段差とすり付けを点検する

仮設歩道橋取付部の勾配確認では、数値だけでなく通行者目線が欠かせません。施工管理上は高さ差が小さく見えても、歩行者にとってはつまずきやすい段差になることがあります。特に、仮設歩道橋の取付部では視線が階段や橋面に向きやすく、足元の小さな変化に気づきにくいことがあります。RTK断面図は、そうした通行者目線の確認を支える資料として活用できます。


まず確認したいのは、取付始点の段差です。既設歩道から仮設スロープや敷板へ入る位置は、足が最初に接触する場所です。ここに小さな立ち上がりや沈み込みがあると、通行者はつまずきやすくなります。断面図で見ると、取付始点に急な折れが現れるため、現場でどこを削るべきか、どこへすり付け材を追加すべきか判断しやすくなります。


次に、スロープ途中の勾配変化を確認します。スロープ全体の平均勾配が問題ない場合でも、途中に急な変化があると、歩行時に違和感が出ます。車いすや台車では、前輪が段差に当たったり、荷重が急に移動したりします。RTK断面図では、始点、終点、中間点を結ぶだけでなく、必要に応じて測点を細かく取り、連続したすり付けになっているかを見ることが大切です。


踊り場や橋面との接続部も重要です。踊り場は一時的に姿勢を整える場所ですが、ここに傾きや段差があると、利用者は安心して通行できません。仮設歩道橋では、構造上の都合で踊り場とスロープの接続部にわずかな段差が残ることがあります。断面図でその位置を明確にし、すり付けや注意喚起、表面処理で対応できるかを検討します。


端部の処理では、歩行者が通る中心だけでなく、幅方向の端も確認します。人は必ずしも中心を歩くわけではありません。すれ違い時、傘を差している時、誘導員の指示に従う時、歩行者は端部へ寄ることがあります。中心線だけが滑らかでも、端部に段差や浮きがあると危険です。RTK断面図を横断方向にも作成し、有効幅全体で段差が抑えられているかを確認します。


通行者目線では、見え方も大切です。勾配ズレや段差が完全になくせない場合でも、利用者が認識しやすければリスクを下げられることがあります。逆に、影になって見えにくい場所や、材料の色が似ていて段差が分かりにくい場所では、わずかな高さ差でも危険になります。RTK断面図は見え方そのものを示すものではありませんが、段差が残る場所を特定することで、現地での視認性確認につなげられます。


さらに、仮設歩道橋の利用期間中には、通行量や天候によって状態が変わります。敷板がなじんで沈む、仮舗装端部が欠ける、雨水で細粒分が流れる、清掃や除雪で表面が傷むといった変化が起こることがあります。供用開始時に問題がなくても、数週間後に段差が発生する可能性があります。RTK断面図を初期状態の記録として残し、点検時に同じ断面を再測すれば、変化を早く把握できます。


通行者目線の点検では、苦情やヒヤリハットの情報も重要です。歩行者から「歩きにくい」「水が溜まる」「つまずきそうになった」という声があった場合、現場を見ただけでは原因が分からないことがあります。そのようなときにRTK断面図を取得すると、体感された違和感がどの高さ差や勾配変化に対応しているかを確認できます。数値と現場感覚をつなげることで、改善の優先順位を決めやすくなります。


記録共有まで含めた再発防止の進め方

RTK断面図は、作成して現場で確認するだけでなく、記録として共有することで効果が高まります。仮設歩道橋取付部の勾配ズレは、測量担当、施工担当、仮設材担当、安全担当、道路管理者、発注者など、複数の関係者が関わるため、情報の伝達不足から同じ問題が繰り返されることがあります。断面図を共通資料として残しておけば、現場内の認識違いを減らせます。


まず、測定日、測定範囲、測定条件を記録します。仮設構造物は日々状態が変わるため、いつの断面図なのかが分からないと判断を誤ります。施工前の現況なのか、据付直後なのか、供用開始後なのか、雨後の確認なのかを明確にしておく必要があります。特に、取付部の沈下や仮舗装の変化を追う場合、時系列で比較できる記録が重要です。


次に、断面図上で確認した指摘箇所と対応内容を結びつけます。例えば、取付始点に段差があったため仮舗装を追加した、横断勾配が逆になっていたため端部を調整した、踊り場前の折れ点が強かったためすり付け延長を伸ばした、といった内容です。単に修正後の断面図だけを残すのではなく、何を問題と判断し、どう直したのかを記録することで、次の現場でも同じ観点を使えます。


共有資料としては、専門的な図面だけでなく、現場写真や簡単な説明文を組み合わせると分かりやすくなります。断面図だけでは位置関係が分かりにくい関係者にも、どの取付部のどの断面を示しているのかが伝わりやすくなります。RTKで得た座標情報があれば、再確認時にも同じ箇所を探しやすくなります。


再発防止の観点では、標準的な確認手順を現場内で決めておくことが重要です。仮設歩道橋を設置するたびに担当者の経験だけで判断すると、確認の粒度にばらつきが出ます。施工前に現況断面を取る、基礎設置後に支点高さを確認する、据付後に取付部の縦断と横断を確認する、供用前に通行者目線で歩いて点検する、供用後に必要に応じて再測するという流れを決めておけば、勾配ズレを早期に発見しやすくなります。


RTK断面図を使った記録は、協議や説明にも役立ちます。仮設歩道橋の取付部は、現場制約によって理想的な勾配を確保しにくいことがあります。道路幅が狭い、地下埋設物がある、民地境界が近い、既設構造物を動かせない、交通規制範囲が限られるなどの条件がある場合、なぜその形状になったのかを説明する必要があります。断面図で制約条件と調整結果を示せば、関係者に納得してもらいやすくなります。


また、記録を残すことは、点検引き継ぎにも有効です。仮設歩道橋は、設置した担当者と維持管理する担当者が異なることがあります。夜間工事や長期工事では、班が交代することもあります。初期の断面図、注意すべき測点、過去に修正した箇所が共有されていれば、後任者も重点的に確認できます。情報が引き継がれないと、同じ場所で再び段差や水たまりが発生しても、原因の把握に時間がかかります。


RTK断面図の共有では、現場で見やすい形に整えることも大切です。細かな数値を詰め込みすぎると、測量担当以外には読みにくい資料になります。取付部のどこが高いのか、どこで勾配が変わるのか、どこに水が流れるのか、どこを直したのかが伝わるように整理します。専門的な精度管理資料と、現場説明用の資料を使い分けると、関係者ごとの理解が進みます。


まとめ

RTK断面図で仮設歩道橋取付部の勾配ズレを防ぐには、単に高さを測るだけでは不十分です。仮設歩道橋の取付部は、既設歩道、仮設スロープ、踊り場、橋面、仮舗装、排水経路が複雑に接続する場所です。始点と終点の高さが合っていても、途中の折れ点、横断勾配の乱れ、端部の段差、排水方向の不整合が残れば、歩行者にとって使いにくい動線になります。


確認すべきポイントは、基準線と接続点を明確にすること、既設歩道と仮設構造物の高さ差を複数断面で把握すること、横断勾配と排水方向を確認すること、施工段階ごとに同じ測点で比較すること、通行者目線で段差とすり付けを点検すること、記録共有まで含めて再発防止につなげることです。これらを一連の流れとして実施すれば、施工後に慌てて削る、盛る、敷き直すといった手戻りを減らしやすくなります。


RTK断面図の価値は、現場の小さな違和感を数値と形で共有できる点にあります。取付部の勾配ズレは、見た目だけでは判断しにくい一方で、通行者にはすぐに伝わります。だからこそ、施工前、施工中、供用前、必要に応じた供用後点検まで、同じ基準で断面を確認することが大切です。


仮設歩道橋は一時的な施設ですが、利用者にとっては毎日通る歩道の一部です。安全で歩きやすい取付部を確保することは、現場全体の信頼にもつながります。RTK断面図を活用し、取付部の高さ、勾配、段差、排水を現場で確認しながら、施工計画、出来形確認、供用後点検まで一貫して記録することが、勾配ズレの予防と再発防止に役立ちます。


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