道路台帳付図の作成や更新を発注する際は、「道路台帳付図を作成する」という一文だけでは、成果品の範囲や精度、確認方法が曖昧になりやすくなります。道路台帳付図は、道路区域、幅員、中心線、境界、構造物、道路施設、隣接地との関係を整理する管理図面です。発注仕様が不十分なまま作業を始めると、道路区域線と現況線の混同、調書との不整合、座標系の不明確さ、現地写真の未整理、更新履歴の不足などが納品前後に問題になりやすくなります。この記事では、「道路台帳付図」 で検索している実務担当者に向けて、発注仕様で明記すべき10項目を実務目線で解説します。
目次
• 道路台帳付図の発注仕様を明確にする意味
• 項目1 業務目的と利用場面
• 項目2 対象路線と対象範囲
• 項目3 既存資料の貸与範囲と確認方法
• 項目4 道路区域線と現況線の扱い
• 項目5 座標系と測量精度の条件
• 項目6 現地調査と写真記録の方法
• 項目7 幅員と中心線と調書整合の確認範囲
• 項目8 図面データの作成ルール
• 項目9 成果品と納品データの内容
• 項目10 更新履歴と未確認事項の整理方法
• 発注仕様で曖昧にしやすい注意点
• まとめ
道路台帳付図の発注仕様を明確にする意味
道路台帳付図の発注仕様を明確にする目的は、成果品の見た目をそろえることだけではありません。道路台帳付図は、道路区域、幅員、中心線、境界、構造物、道路施設、隣接地との関係を道路管理のために整理する資料です。納品後には、占用協議、境界確認、道路工事、維持補修、災害対応、住民説明、台帳更新などで繰り返し使われます。そのため、発注時点で何をどこま で確認し、どの根拠で線を整理し、どの形式で納品するかを決めておく必要があります。
仕様が曖昧な発注では、受注側が一般的な作図作業として進めてしまい、発注側が期待していた管理資料としての精度や説明性が不足することがあります。たとえば、現地測量成果をもとに側溝や舗装端をきれいに作図しても、それが道路区域線として正しいとは限りません。道路区域線を整理するには、道路区域に関する資料、用地資料、境界確認資料、道路台帳調書との照合が必要です。発注仕様でこの確認範囲を明記しなければ、現況図としては整っていても、道路台帳付図としては不足する成果になる可能性があります。
また、発注仕様は作業量や成果品の品質を左右します。既存資料の整理まで含めるのか、現地調査を行うのか、測量成果を取得するのか、調書との整合確認を行うのか、納品データを次回更新しやすい構成にするのかによって、業務内容は大きく変わります。発注仕様が明確であれば、作業範囲、確認責任、成果品の使い方を関係者間でそろえやすくなります。
道路台帳付図は、作成して終わりの資料ではありません。道路改良、側溝改修、歩道整備、占用工事、境界確認、災害復旧などに応じて更新されます。そのため、発注仕様では、現在の成果品だけでなく、将来の更新や維持管理まで見据えた条件を明記することが重要です。以下では、発注仕様で特に明記すべき10項目を順番に確認します。
項目1 業務目的と利用場面
最初に明記すべき項目は、業務目的と利用場面です。道路台帳付図を新規作成するのか、古い付図を更新するのか、紙資料を電子化するのか、道路改良後の現況を反映するのか、境界確認や用地整理を目的にするのかによって、必要な作業は変わります。目的を明確にしないまま発注すると、受注側はどの情報を重視すべきか判断しにくくなります。
たとえば、閲覧性を高めることが主な目的であれば、対象路線を探しやすくし、図面番号や対象区間を整理し、印刷や画面表示で見やすい成果にすることが重要になります。一方、道路区域線の確認を目的とする場合は、道路区域資料、用地資料、境界確認資料、 調書との照合が欠かせません。維持管理を目的にする場合は、側溝、擁壁、排水施設、道路施設の位置や現地写真との紐づきが重要になります。
発注仕様では、成果品を誰が何の業務で使うのかも書いておくとよいです。道路管理担当が道路区域を確認するために使うのか、用地担当が境界資料と照合するために使うのか、維持管理担当が構造物や補修箇所を確認するために使うのかで、必要な情報の粒度が異なります。利用者が明確であれば、注記、凡例、レイヤ構成、資料整理の方針も決めやすくなります。
また、成果品を単年度の業務成果として使うだけなのか、今後の台帳更新の基礎データとして継続利用するのかも重要です。継続利用する場合は、編集しやすいデータ構成、更新履歴、根拠資料との紐づけ、現地記録の管理方法まで仕様に含める必要があります。業務目的と利用場面を明確にすることが、発注仕様全体の前提になります。
項目2 対象路線と対象範囲
二つ目に明記すべき項目は、対象路線と対象範囲です。道路台帳付図は、路線ごと、または一定区間ごとに管理されることが多く、対象範囲が曖昧だと作業漏れや過剰作業が発生します。発注仕様には、正式な路線名、路線番号、起点、終点、対象区間、対象図面番号をできるだけ明確に記載します。
現地で一般的に呼ばれている道路名と、道路台帳上の正式な路線名が異なる場合があります。通称や工事名だけで発注すると、既存調書や既存付図との対応が曖昧になる可能性があります。発注仕様では、道路台帳上の管理単位に合わせて対象路線を示し、必要に応じて通称や現地の目印を補助情報として添えると分かりやすくなります。
対象範囲では、作図対象だけでなく、確認対象も明記することが重要です。たとえば、工事区間のみを作図対象にする場合でも、隣接図面との接続確認、交差点部の道路区域確認、幅員変化点の前後確認が必要になることがあります。対象区間だけを切り取って作業すると、図面端部で道路区域線や中心線、側溝線が不自然に途切れることがあります。
橋梁、交差点、行政界、水路沿い、法面、幅員変化点が対象範囲に含まれる場合は、その扱いも仕様に書いておくべきです。これらの箇所は道路区域や構造物の関係が複雑になりやすく、一般部と同じ作図条件では不足することがあります。対象範囲を明確にすることで、発注者と受注者の認識違いを減らせます。
また、対象外とする範囲も明記しておくとよいです。対象外の隣接道路、参考表示にとどめる地番情報、詳細整理を行わない施設情報などを示しておけば、成果品確認時に「含まれていると思っていた」という認識差を防げます。道路台帳付図の発注では、対象範囲の明確化が成果品品質の土台になります。
項目3 既存資料の貸与範囲と確認方法
三つ目に明記すべき項目は、既存資料の貸与範囲と確認方法です。道路台帳付図の作成や更新では、既存付図、道路台帳調書、道路区域資料、用地資料、境界確認資料、工事完成図、測量成果、現地写真など多くの資料が関係します。どの資料を発注者が貸与し、どの資料を受注者が確認対象とするのかを仕様で明確にします。
既存の道路台帳付図を貸与する場合は、最新版か過去版か、紙資料か電子データか、編集可能か閲覧用かを整理します。同じ路線に複数の図面がある場合、どれを作業基準とするのかを示します。古い図面や過去版は履歴資料として重要ですが、最新版と混同すると誤った情報が成果品に反映される恐れがあります。
道路台帳調書については、対象路線の路線名、起点、終点、延長、幅員、道路構造、施設情報が確認できるものを貸与する範囲に含めるとよいです。付図と調書の整合確認を業務に含める場合は、どの項目を照合するのかを明記します。幅員、延長、対象区間、施設情報は特に不整合が起こりやすい項目です。
道路区域資料、用地資料、境界確認資料の扱いも重要です。道路区域線や境界点を整理する場合、これらの資料が根拠になります。発注仕様では、道路区域線の作成や確認にあたり、どの資料を根拠として確認するのか、資料不足の箇所は未確認 事項として扱うのか、追加確認を行うのかを明記します。
工事完成図や現地測量成果は、現況反映に有効です。ただし、完成図や測量成果が示すのは現況構造物であり、道路区域線そのものとは限りません。仕様では、工事完成図や測量成果を現況線の反映に使うのか、道路区域線との照合資料として使うのかを分けて記載すると、誤解を防ぎやすくなります。
資料貸与範囲と確認方法が明確であれば、受注者は判断に必要な資料を把握しやすくなります。資料が不足している場合も、成果品の未確認事項として整理しやすくなり、納品後の説明性が高まります。
項目4 道路区域線と現況線の扱い
四つ目に明記すべき項目は、道路区域線と現況線の扱いです。道路台帳付図の発注仕様で最も重要な点の一つが、この線の意味の切り分けです。道路区域線は道路として管理する範囲を示す管理上の線であり、現況線は側溝、舗装端、縁石、擁壁、法面、水路など現地に存在する地物を示す線です。両者を混同すると、成果品の実務上の信頼性が下がります。
仕様には、道路区域線をどの資料に基づいて作成または確認するのかを明記します。既存付図の道路区域線を継承するのか、道路区域資料や用地資料と照合するのか、境界確認資料を反映するのか、現地測量成果との位置確認まで行うのかを整理します。道路区域線は現地の側溝や舗装端だけで確定できる線ではないため、根拠資料の扱いを明確にする必要があります。
現況線については、どの地物を作図対象にするのかを明記します。側溝、舗装端、縁石、歩道端、擁壁、法面、排水施設、道路施設などをどこまで反映するのかを決めます。すべての現況地物を細かく描き込めばよいわけではなく、道路台帳付図として必要な情報を選ぶことが重要です。維持管理に必要な施設は記載し、背景として不要な情報は参考表示にとどめるなど、成果品の使い方に応じて調整します。
電子データで納品する 場合は、道路区域線と現況線を別レイヤまたは別属性で管理することを仕様に入れるべきです。印刷や閲覧用データでも、線種、太さ、注記、凡例で区別できるようにします。作業者だけが分かる分類ではなく、納品後に別の担当者が見ても線の意味が分かる状態を求めます。
また、道路区域線と現況線が一致しない箇所の扱いも書いておくとよいです。単純に一致させるのではなく、道路区域線は管理線として残し、側溝や舗装端は現況線として記録する方針を示します。差異がある箇所は、原因が分かる場合は記録し、根拠が不足する場合は未確認事項として整理します。
道路区域線と現況線の扱いを仕様に明記することで、作図成果の意味が明確になります。これは道路台帳付図の発注仕様で最も重視すべき項目です。
項目5 座標系と測量精度の条件
五つ目に明記すべき項目は、座標系と測量精度の条件です。道路台帳付図は位置情報を扱う資料であり、既存付図、現地測量成果、工事完成図、用地資料、地番情報と重ねて使われることがあります。座標系や単位、縮尺の条件を明記しないまま発注すると、納品後に位置ズレや単位違いが問題になることがあります。
発注仕様では、使用する座標系、単位、基準点、測量成果の扱いを明記します。既存付図の座標系を基準にするのか、新たに取得する測量成果を基準にするのか、公共座標で整備するのか、任意座標の既存データを活用するのかを整理します。古い紙図面や画像を使う場合は、位置精度に限界があることを前提に、補正や位置合わせの方法を明記します。
測量が業務に含まれる場合は、測量対象を具体的に示します。道路区域の確認点、側溝外側、舗装端、縁石、擁壁、境界標、排水施設、道路施設など、何を測るのかによって成果の意味が変わります。側溝外側を測っても、それが道路区域線を示すとは限りません。仕様には、測量成果を現況線として扱うのか、道路区域線の照合資料として使うのかを明記する必要があります。
基準点の確認方法も重要です。どの基準点を使用するのか、基準点の現地確認を行うのか、既存成果との照合をどの範囲で行うのかを仕様に含めます。道路は線状に長く続くため、一点だけで位置合わせを行うと、別の区間でズレが残ることがあります。複数の確認点で整合を確認することを条件に入れておくと安全です。
紙図面やスキャン画像を利用する場合は、歪みの確認方法も記載します。既知点での照合、縮尺確認、位置合わせの履歴、残るズレの扱いを決めておけば、古い資料を無理に高精度データとして扱うリスクを下げられます。
座標系と測量精度の条件は、成果品の位置的な信頼性を支える重要な仕様です。発注段階で明記しておけば、納品後の座標ズレや再補正の手戻りを防ぎやすくなります。
項目6 現地調査と写真記録の方法
六つ目に明記すべ き項目は、現地調査と写真記録の方法です。道路台帳付図の作成や更新では、机上資料だけでは判断できない現地情報が多くあります。側溝、舗装端、擁壁、法面、排水施設、境界標、道路施設、補修箇所、隣接地との関係は、現地確認によって把握する必要があります。発注仕様では、現地調査の範囲と記録方法を具体的に示します。
現地調査では、何を確認するのかを明確にします。道路区域線の根拠確認を目的とするのか、現況構造物の位置確認を目的とするのか、境界標の有無を確認するのか、調書との幅員不一致を確認するのかによって、調査項目は異なります。目的が曖昧な現地調査では、写真は多く残っても、台帳更新に使える情報が不足することがあります。
写真記録では、撮影位置、撮影方向、撮影対象、確認内容を残すことを仕様に含めます。境界標の写真、側溝や擁壁の写真、幅員変化点の写真、排水施設の写真などは、図面上の位置と対応していなければ活用しにくくなります。写真番号と測位点、図面番号、確認メモを紐づける条件を明記すると、納品後の確認がしやすくなります。
現地写真は近接写真だけでは不十分な場合があります。対象物の詳細が分かる写真に加えて、道路線形や交差点、建物、水路、標識など周辺の目印が分かる写真も必要です。発注仕様には、対象物の位置関係が分かる写真を求めることを入れておくと、後から図面と照合しやすくなります。
現地で確認できなかった事項の扱いも明記します。境界標が見つからない、草木や構造物で確認できない、工事中で状態が判断できないといった場合、その事実を未確認事項として記録する条件を入れます。確認できなかった情報を記録しないまま納品されると、発注者側では確認済みか未確認か判断できません。
現地調査と写真記録の方法を仕様に明記することで、現場で取得する情報の品質が安定します。現地記録が道路台帳付図と結びつけば、成果品の説明性と更新性が高まります。
項目7 幅員と中心線と調書整合の確認範囲
七つ目に明記すべき項目は、幅員、道路中心線、調書整合の確認範囲です。道路台帳付図は、道路台帳調書と一体で使われるため、図面上の幅員表示や中心線が調書と整合していることが重要です。発注仕様でこの確認範囲を明記しておかないと、図面はきれいに仕上がっていても、台帳としては不整合が残る可能性があります。
幅員については、どの幅員を確認するのかを明記します。道路区域幅なのか、車道幅なのか、歩道や側溝を含む幅なのか、現地測定値との比較を行うのかを整理します。幅員の意味が曖昧なまま成果品に数値を入れると、後の確認で調書と合わない、現地測定値と合わないという問題が起こります。
幅員変化点の扱いも仕様に含めるべきです。道路は全区間で同じ幅員ではありません。交差点、橋梁、歩道整備区間、拡幅区間、未整備区間では幅員が変化することがあります。調書上の幅員区間が付図上のどこに対応するかを確認する条件を明記しておけば、対象区間の読み違いを防げます。
道路中心線については、既存中心線を継承するのか、現地測量成果や工事完成図に基づいて見直すのかを明記します。中心線は、路線延長、測点、幅員区間、施設位置と関係するため、現地の車道中央へ機械的に合わせるべきではない場合があります。中心線の根拠と調書延長との整合を確認する条件を入れることが重要です。
調書整合では、路線名、起点、終点、延長、幅員、道路構造、構造物、道路施設のどこまでを確認するかを示します。付図作成のみを求めるのか、調書との不一致抽出まで求めるのか、不一致があった場合の整理資料まで求めるのかを明記します。不一致が見つかった場合に、受注者が修正するのか、発注者確認事項として報告するのかも決めておくとよいです。
幅員、中心線、調書整合は、納品後の修正依頼が起こりやすい部分です。発注仕様で確認範囲を具体化しておけば、成果品の品質と確認効率が大きく向上します。
項目8 図面データの作成ルール
八つ目に明記すべき項目は、図面データの作成ルールです。道路台帳付図を電子データとして納品する場合、レイヤ構成、線種、文字、注記、凡例、ファイル構成を明確にしておく必要があります。これらが曖昧だと、納品後にどの線が何を示すのか分からず、次回更新で手戻りが発生します。
レイヤ構成では、道路区域線、道路中心線、幅員表示、現況構造物、境界点、地番界、道路施設、注記、参考情報、未確認情報を分ける条件を入れるとよいです。すべての線が同じレイヤに入っていると、更新時に誤って道路区域線を動かしたり、参考線を確定情報として扱ったりする危険があります。
線種や線の太さも指定します。道路区域線は重要な管理線として、現況線や参考線と区別できる表現にします。境界線や地番界も道路区域線と混同しないようにします。カラー表示だけに頼ると、白黒印刷や簡易表示で判別できない場合があるため、線種や太さでも意味が伝わるようにすることが望ましいです。
注記と凡例も重要です。路線名、起点、終点、幅員、境界点番号、構造物名、更新内容、未確認事項が読み取れるようにします。注記が道路区域線や幅員表示を隠していないか、印刷時にも読めるかを確認する条件を入れておくとよいです。凡例には、道路区域線、中心線、現況線、境界線、参考線などの意味を明示します。
電子データの単位や座標の扱いも図面データ作成ルールに含めます。実寸で作成するのか、印刷用レイアウトと分けるのか、外部参照や画像下敷きを使う場合の納品方法を決めます。作業環境では表示されても、納品先で外部参照が切れると成果品として使えません。
図面データの作成ルールは、納品時の見た目だけでなく、将来の更新しやすさを左右します。発注仕様で具体的に明記することで、担当者が変わっても継続的に使える道路台帳付図になります。
項目9 成果品と納品データの内容
九つ目に明記すべき項目は、成果品と納品データの内容です。道路台帳付図の発注では、最終的に何を納品対象とするのかを明確にしておく必要があります。図面データだけを納品するのか、閲覧用データ、調書照合結果、現地写真、測量成果、根拠資料一覧、更新履歴まで含めるのかによって、成果品の使いやすさは大きく変わります。
図面データについては、編集用データと閲覧用データを分けると実務で使いやすくなります。編集用データは次回更新のために必要であり、レイヤや属性が整理されていることが重要です。閲覧用データは関係者確認や保管に使いやすく、表示崩れが少ない形式で用意すると便利です。どちらか一方だけでは、利用場面によって不足する場合があります。
現地写真や測位記録を成果品に含める場合は、写真番号、撮影位置、測位点、確認内容、図面上の位置との対応を整理する条件を入れます。写真だけをフォルダに入れて納品されても、どの場所のものか分からなければ活用しにくくなります。現地記録は図面更新の根拠になるため、紐づけ方法まで仕様に含めることが望ましいです。
測量成果を含める場合は、座標系、使用基準点、測量範囲、測定対象、成果データの内容を明記します。側溝や舗装端の測量成果と、境界点や道路区域確認点の成果では、扱いが異なります。成果の意味が分かる資料を添付する条件を入れると、納品後の確認がしやすくなります。
根拠資料一覧や更新履歴も成果品として明記すると有効です。どの資料を根拠に道路区域線を整理したのか、どの工事完成図を現況線に反映したのか、どの境界点が確認済みなのかを一覧で追えるようにしておくと、納品後の説明や次回更新が楽になります。
納品データのファイル名やフォルダ構成も仕様に含めるべきです。路線名、図面番号、対象区間、更新年月、版が分かる構成にしておけば、納品後の検索性が高まります。成果品の範囲を明確にすることは、納品後の再利用性を高める重要な発注条件です。
項目10 更新履歴と未確認事項の整理方法
十番目に明記すべき項目は、更新履歴と未確認事項の整理方法です。道路台帳付図は、納品された時点で完結する資料ではなく、今後も更新され続けます。どの線を何の根拠で作成または修正したのか、どの箇所が未確認なのかが分からなければ、次回更新時に同じ確認を繰り返すことになります。
更新履歴には、更新年月、対象路線、対象区間、更新内容、更新理由、使用資料、現地確認の有無、調書への影響を記録する条件を入れます。道路区域線を修正した場合は、道路区域資料、用地資料、境界確認資料との関係を残します。現況構造物を更新した場合は、工事完成図、現地測量成果、写真記録との関係を残します。
未確認事項の整理も重要です。道路区域線の根拠が不明な箇所、境界標が現地で確認できない箇所、調書と付図の幅員が一致していない箇所、座標系が不明な資料がある箇所などは、未解決のままでも記録すべきです。未確認事項を記録しないまま納品されると、発注者側では確認済みか未確認か判断できませ ん。
発注仕様では、未確認事項をどのような形で成果品に含めるかを明記します。図面内の注記、確認一覧、更新履歴資料、管理台帳など、運用しやすい方法を選びます。重要なのは、確定情報と未確認情報を混同しないことです。未確認情報を確定線と同じ表現にすると、後の担当者が誤って判断する可能性があります。
更新前データや過去版の扱いも決めておきます。最新版だけを納品すると、変更前後の比較ができません。過去版を履歴資料として残すのか、更新前後の差分を整理するのか、作業中データを納品対象外にするのかを明記します。版管理が曖昧だと、納品後に古いデータを誤って使うリスクがあります。
更新履歴と未確認事項の整理方法を仕様に入れることで、成果品は将来の台帳更新に使いやすくなります。道路台帳付図の発注では、完成時の図面品質だけでなく、次回更新時に根拠を追えることまで求めるのが実務上重要です。
発注仕様で曖昧にしやすい注意点
道路台帳付図の発注仕様で曖昧になりやすいのは、まず道路区域線の根拠です。現地測量成果があれば道路区域線を作れると思われがちですが、側溝や舗装端を測った成果は現況情報であり、道路区域線そのものとは限りません。道路区域線を扱う場合は、必ず根拠資料の確認範囲を仕様に含めるべきです。
次に曖昧になりやすいのが、調書との整合確認です。図面作成だけを発注したつもりでも、納品後には調書の幅員や延長との不一致が問題になることがあります。調書照合を含めるのか、不一致の報告まで求めるのか、修正まで含めるのかを明確にします。
現地調査の範囲も曖昧になりやすい項目です。現地を見るといっても、道路区域線の確認、現況構造物の確認、境界標の確認、写真撮影、測位記録では作業内容が異なります。どの項目を現地で確認するのか、写真やメモをどの程度残すのかを仕様で示す必要があります。
電子データの納品内容も注意が必要です。見られるデータだけでよいのか、次回更新できる編集用データが必要なのか、レイヤや属性まで整理するのかを明記しなければ、納品後の再利用性に差が出ます。外部参照や画像下敷きがある場合は、それらも含めて再現できる形で納品されるよう条件を入れます。
最後に、未確認事項の扱いを曖昧にしないことが重要です。すべての情報が確定できるとは限りません。資料不足や現地未確認の箇所がある場合、それを成果品にどう残すかを決めておくことで、後の誤判断を防げます。発注仕様では、確認できない情報を隠すのではなく、未確認として整理する考え方を明記することが大切です。
まとめ
道路台帳付図の発注仕様で明記すべき項目は、業務目的と利用場面、対象路線と対象範囲、既存資料の貸与範囲と確認方法、道路区域線と現況線の扱い、座標系と測量精度の条件、現地調査と写真記録の方法、幅員と中心線と調書整合の確認範囲、図面データの作成ルール、成果品と納品データの内容、更新履歴と未確認事項の整理方法です。
道路台帳付図は、道路区域、幅員、中心線、境界、構造物、道路施設、隣接地との関係を整理する管理図面です。発注仕様が曖昧だと、現況線を道路区域線として扱ってしまったり、調書との不整合が残ったり、納品後に更新しにくいデータになったりします。発注時点で、何をどこまで確認するのかを明確にすることが重要です。
特に重要なのは、道路区域線と現況線を分けて扱うことです。側溝、舗装端、擁壁、法面は現地で確認しやすい地物ですが、それが道路区域線や筆界を示すとは限りません。道路区域線を整理するには、道路区域資料、用地資料、境界確認資料、調書との照合が必要です。現況線は現況線として扱い、管理線とは根拠を分けて整理する条件を仕様に入れるべきです。
また、発注仕様では納品後の使いやすさまで考える必要があります。編集可能な図面データ、閲 覧用データ、現地写真、測量成果、根拠資料一覧、更新履歴、未確認事項が整理されていれば、次回更新や担当者交代時の手戻りを減らせます。道路台帳付図は長期的に使う資料であるため、発注仕様も長期運用を前提に作ることが大切です。
現地調査や測量を含む発注では、正確な位置情報と写真記録をどのように取得し、道路台帳付図へ反映するかも重要です。LRTK(iPhone装着型GNSS高精度測位デバイス)のような高精度測位環境を活用すれば、道路区域の確認点、境界標、幅員変化点、側溝、擁壁、排水施設、道路施設などを現場で測位し、写真やメモと結びつけて記録しやすくなります。発注仕様の段階で現地記録の方法を明確にしておけば、成果品の精度、説明性、更新性を高めやすくなります。
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