道路台帳付図は、道路管理の現場で道路の位置、形状、幅員、区域、境界、構造物、占用物、沿道条件などを確認するために使われる重要な図面です。道路台帳そのものが道路管理に必要な情報を整理する台帳であるのに対し、道路台帳付図はその情報を地図や図面として視覚的に確認できる形にしたものです。道路の管理、補修、占用許可、境界確認、道路工事、維持管理、住民対応、庁内照会など、多くの実務で参照されます。
一方で、道路台帳付図は単に道路の線を描けばよい資料ではありません。どの道路を対象にするのか、どの基準で道路区域を表すのか、現地状況と既存資料をどう照合するのか、更新しやすい形で作るにはどうするのかといった判断が必要です。作成前の理解が不足したまま進めると、図面としては完成していても、後から「現況と合わない」「境界確認に使いにくい」「更新作業が属人化する」「道路台帳として説明しづらい」といった問題が起こりやすくなります。
この記事では、道路台帳付図で検索している実務担当者に向けて、作成前に押さえておきたい基本を7つに分けて整理します。初めて道路台帳付図の整備を担当する方はもちろん、既存の紙図面やPDFを見直したい方、道路管理のDX化を進めたい方にも役立つ内容です。
目次
• 道路台帳付図とは何を示す図面なのか
• 道路台帳付図が道路管理で使われる主な場面
• 作成前に確認すべき対象道路と管理範囲
• 道路区域と境界を表すときの基本
• 現地調査と既存資料の照合で見るべき点
• データ化する際に注意したい精度と更新性
• 道路台帳付図を実務で使いやすくする運用設計
• まとめ
道路台帳付図とは何を示す図面なのか
道路台帳付図とは、道路台帳に記載される道路情報を図面上で確認できるようにした資料です。道路台帳には、路線名、道路の起点と終点、延長、幅員、 道路区域、構造、附属物、管理者、供用状況など、道路を管理するための情報が整理されます。これらの情報を文章や数値だけで扱うと、実際の位置関係や周辺地物との関係が分かりにくくなります。そこで、道路の位置や区域を図面化したものが道路台帳付図として活用されます。
道路台帳付図の大きな役割は、道路を「場所」として把握できるようにすることです。たとえば、ある路線の幅員が何メートルであるかは台帳上の数値で確認できます。しかし、現地でどこからどこまでが道路区域なのか、側溝や法面を含むのか、民地との境界がどこにあるのか、交差点部で道路区域がどう広がっているのかといったことは、図面で確認しなければ判断しにくい場面が多くあります。道路台帳付図は、このような空間的な確認を支える資料です。
道路台帳付図に表される内容は、自治体や道路管理者の運用方針、道路の種類、整備された時期、図面の縮尺や作成目的によって異なります。一般的には、道路中心線、道路区域線、道路境界線、幅員、距離標、交差点、橋梁、側溝、水路、法面、歩道、車道、道路附属物、地番界、建物、地形情報などが必要に応じて表示されます。ただし、すべての情報を一枚の図面に詰め込めばよいわ けではありません。情報量が多すぎると、かえって見づらくなり、確認すべき内容が埋もれてしまいます。
作成前には、道路台帳付図をどの実務で使うのかを明確にすることが大切です。道路区域の確認を主目的にするのか、道路幅員の確認を重視するのか、占用物や附属物の管理も含めるのか、将来的な更新やWeb閲覧まで想定するのかによって、必要な図面構成は変わります。単なる保管資料として作るのか、日常業務で繰り返し参照する管理図として作るのかを整理しておくことで、後工程の手戻りを減らせます。
また、道路台帳付図は「現地そのもの」ではなく、「一定の基準に基づいて道路情報を整理した図面」である点にも注意が必要です。現地には舗装端、側溝、ブロック塀、電柱、民地境界杭、道路標識など多くの地物がありますが、それらをどこまで道路台帳付図に反映するかは管理目的によって異なります。現況図、測量図、用地図、道路台帳図、道路台帳付図、管理図面などの違いを曖昧にしたまま作成すると、関係者間で認識のずれが起こりやすくなります。
道路台帳付図を作成する際は、まず「道路台帳の内容を図面上で確認するための資料である」という基本に立ち返ることが重要です。そのうえで、現地確認、既存資料、測量成果、過去の工事図面、境界資料、管理者の運用ルールを整理し、実務で説明可能な図面にしていく必要があります。
道路台帳付図が道路管理で使われる主な場面
道路台帳付図は、道路管理のさまざまな場面で使われます。代表的なのは、道路区域や幅員を確認する業務です。道路に関する問い合わせでは、「この土地の前面道路はどの道路か」「道路幅員はどの程度か」「道路区域はどこまでか」「建築や開発に関係する道路情報を確認したい」といった内容が多く発生します。こうした場面で、道路台帳付図は担当者が位置関係を説明するための基礎資料になります。
道路占用や道路使用に関する確認でも道路台帳付図は重要です。地下埋設物、電柱、標識、看板、工事用仮設物などが道路区域内に関係する場合、対象箇所がどの路線に属するのか、道路区域のどの位置にあるのか、道路構造や周辺地物と干渉しないかを確認する必要があります。図面上で道路区域や幅員を把握できれば、申請内容の確認や現地確認の準備が効率化されます。
道路工事や維持管理でも、道路台帳付図はよく参照されます。舗装修繕、側溝改修、道路拡幅、歩道整備、交通安全対策、災害復旧などでは、既存道路の形状や管理範囲を把握することが前提になります。工事図面だけを見ると施工範囲は分かっても、既存の道路台帳情報との関係が分かりにくいことがあります。道路台帳付図が整理されていれば、工事後に台帳を更新する際にも、どの箇所を修正すべきか判断しやすくなります。
住民対応や庁内照会でも、道路台帳付図は説明資料として活用されます。道路と民地の境界、私道と公道の違い、道路幅員、排水施設の位置、管理者の範囲などは、専門知識のない相手にも分かりやすく説明する必要があります。文章だけでは伝わりにくい内容も、図面を見ながら説明することで認識を合わせやすくなります。ただし、図面の精度や根拠が曖昧な場合は、誤解を招く可能性があります。そのため、道路台帳付図には、作成根拠や更新履歴を確認できる仕組みが必要です。
道路台帳付図は、資産管理や長期的な道路維持にも関係します。道路は一度作って終わりではなく、舗装、側溝、橋梁、標識、照明、防護柵、排水施設などを継続的に管理しなければなりません。道路台帳付図が整理されていると、管理対象の位置を把握しやすくなり、点検結果や補修履歴との連携もしやすくなります。特に、紙図面やPDFが分散している状態では、過去の更新内容を追うだけでも時間がかかります。図面をデータとして管理できれば、検索性や共有性が高まり、道路管理全体の効率化につながります。
さらに、災害時や緊急対応でも道路台帳付図の価値は高まります。道路の通行止め、陥没、法面崩壊、冠水、橋梁損傷などが発生した場合、対象箇所の路線名、管理範囲、周辺道路との接続状況を素早く確認する必要があります。道路台帳付図が最新状態に近く、庁内で共有しやすい形になっていれば、現地対応や関係部署との調整が進めやすくなります。
このように、道路台帳付図は特定の担当者だけが見る保管資料ではなく、道路管理、工事、占用、住民対応、防災、資産管理を支える共 通基盤です。作成前には、実際に誰が、どの場面で、どの情報を確認するのかを想定しておくことが重要です。
作成前に確認すべき対象道路と管理範囲
道路台帳付図を作成する前に、最初に確認すべきなのは対象道路と管理範囲です。道路台帳付図は道路管理の基礎資料であるため、どの道路を対象にするのかが曖昧なままでは、図面の内容も曖昧になります。市町村道、認定道路、未認定道路、管理道路、法定外公共物、農道、林道、私道、開発道路など、道路に見えるものでも管理上の扱いは異なる場合があります。作成対象を明確にしないと、後から「この道路は入れるべきだった」「この道は道路台帳付図の対象外だった」という手戻りが発生します。
まず確認したいのは、道路台帳に登録されている路線情報です。路線名、路線番号、起点、終点、延長、幅員、供用開始の状況、道路種別などを整理し、図面化する対象と一致しているかを確認します。台帳の文字情報と既存図面が合っていない場合は、どちらを優先するのか、どの資料を根拠に修正するのかを決める必要があります。古い道路で は、過去の認定資料や変更資料、工事図面、測量成果が複数存在し、内容が一致しないこともあります。
次に、道路管理者としてどこまでを管理範囲とするのかを確認します。道路区域には、車道や歩道だけでなく、側溝、路肩、法面、擁壁、排水施設などが含まれる場合があります。現地で舗装されている部分だけを道路と考えると、道路区域の把握を誤ることがあります。反対に、現地で通路のように使われていても、管理上は道路区域に含まれない場合もあります。道路台帳付図では、見た目の道路と管理上の道路を区別して整理することが大切です。
交差点部や道路の拡幅部も注意が必要です。直線部では幅員が一定でも、交差点、隅切り、待避所、転回広場、橋梁取付部、道路改良済み区間などでは道路区域の形が複雑になります。これらの箇所を簡略化しすぎると、占用や工事、境界確認の場面で問題が生じる可能性があります。道路台帳付図を作成する際は、路線全体を一律に描くのではなく、形状が変化する箇所を重点的に確認する必要があります。
また、行政界や管理境界も重要です。隣接する自治体や他の道路管理者との境界付近では、どちらがどこまで管理しているのかを明確にする必要があります。橋梁、トンネル、跨道部、河川区域との重複、鉄道や大型施設との接続部などでは、道路管理上の責任範囲が複雑になることがあります。道路台帳付図には、必要に応じて管理境界が分かる情報を反映しておくと、後の照会対応が容易になります。
対象道路と管理範囲の整理では、最新の情報だけでなく、過去の変更履歴も確認しておくことが有効です。道路の認定、廃止、区域変更、供用開始、拡幅、付替え、工事完了などの履歴が分かれば、図面更新の根拠を説明しやすくなります。道路台帳付図は一度作成して終わりではなく、道路の変化に合わせて更新される資料です。そのため、作成段階から更新履歴を残す前提で整理しておくことが望ましいです。
作成前の対象確認を丁寧に行うことで、道路台帳付図の品質は大きく変わります。対象道路、管理範囲、道路区域、路線情報、変更履歴を最初に整理しておけば、現地調査や図面作成の効率が上がり、後工程での修正も減らせます。
道路区域と境界を表すときの基本
道路台帳付図で特に重要なのが、道路区域と境界の表現です。道路区域は、道路管理者が道路として管理する範囲を示す考え方であり、単に舗装されている部分や車が通行している部分だけを指すとは限りません。道路区域には、車道、歩道、路肩、側溝、法面、排水施設、擁壁などが含まれることがあります。道路台帳付図を作成する際は、現地の見た目だけではなく、管理上の範囲をどのように表すかを明確にする必要があります。
境界には、道路区域界、民地との境界、筆界、構造物の端部、舗装端など、複数の意味があります。これらを混同すると、図面の解釈に誤りが生じます。たとえば、舗装の端が道路区域の境界と一致しているとは限りません。側溝の外側まで道路区域に含まれる場合もあれば、法面や余地を含む場合もあります。逆に、現地で広く舗装されていても、管理上の道路区域はそれより狭い場合があります。
道 路台帳付図では、どの線が何を意味するのかを明確に表現することが大切です。道路区域線、道路境界線、中心線、幅員線、構造物線、地番界などが同じような線種で描かれていると、実務担当者が読み違える可能性があります。線種、色、注記、凡例、レイヤー構成などを整理し、図面を見る人が判断しやすい表現にする必要があります。特に、紙図面からデータ化する場合は、元図の線が何を示していたのかを確認しないままなぞるだけでは不十分です。
幅員の表し方も重要です。道路幅員は道路台帳で頻繁に確認される項目ですが、どこからどこまでを幅員として扱うのかは道路の構造によって異なります。車道幅員、全幅員、有効幅員、道路区域幅員など、目的によって確認したい幅員が変わる場合があります。道路台帳付図には、必要に応じて幅員の測定位置や変化点を表し、台帳の数値と図面上の位置関係が分かるようにしておくと実務で使いやすくなります。
境界確認では、現地の境界杭や境界標、過去の測量図、用地取得資料、地積測量図、工事図面、道路区域決定資料など、複数の資料を照合する場面があります。道路台帳付図を作成する際に、すべての境界を新たに確定するわけではありませんが、少なくとも 図面に表示している境界線の根拠は整理しておく必要があります。根拠が不明な線を確定的に表現すると、後の説明で困ることがあります。
また、境界には不確定な箇所が残ることもあります。古い道路や山間部、未整備の道路では、現地の境界標が失われていたり、既存資料が不鮮明だったりする場合があります。このような場合は、無理に断定的な線として表すのではなく、確認状況や根拠資料の有無を管理上分かるようにしておくことが重要です。道路台帳付図は実務で使われる資料であるため、「分かっていること」と「未確認のこと」を区別できる状態が望ましいです。
道路区域と境界の表現は、道路台帳付図の信頼性に直結します。作成前には、道路区域をどの基準で表すのか、境界線の根拠をどう整理するのか、幅員の扱いをどう統一するのかを決めておくことが必要です。この基本を押さえておけば、図面を利用する担当者間で認識が揃いやすくなります。
現地調査と既存資料の照合 で見るべき点
道路台帳付図を作成する際には、既存資料だけでなく現地状況との照合が重要です。既存の道路台帳、古い紙図面、工事完成図、測量成果、航空写真、地形図、用地資料などは貴重な情報源ですが、必ずしも現在の道路状況と一致しているとは限りません。道路は長年の補修、拡幅、側溝改修、舗装更新、開発行為、災害復旧などによって変化します。そのため、図面を作成する前に、既存資料と現地の差異を確認する必要があります。
現地調査でまず見るべきなのは、道路の形状です。道路の中心線、幅員、舗装端、側溝、歩道、路肩、法面、交差点形状、カーブ、待避所、橋梁部などが既存図面と合っているかを確認します。特に、古い図面では道路の線形が大まかに描かれていることがあり、現地のカーブや拡幅部が正確に反映されていない場合があります。道路台帳付図を実務で使うには、現地で見える道路形状との整合性が重要です。
次に確認したいのが、道路附属物や構造物の位置です。側溝、集水桝、排水管、擁壁、防護柵、標識、照明、橋梁、横断構造物などは、道路管理や維持補修に関係します。道路台帳付 図にどこまで表示するかは運用方針によりますが、少なくとも道路区域や幅員の判断に関係する構造物は把握しておく必要があります。側溝の位置や擁壁の位置が分かることで、道路区域の推定や現地説明がしやすくなることがあります。
現地調査では、境界に関係する情報も重要です。境界杭、鋲、石標、ブロック塀、フェンス、門柱、民地側構造物などは、道路と民地の関係を確認する手がかりになります。ただし、現地の構造物が必ずしも法的な境界を示しているとは限りません。道路台帳付図に反映する際は、現地で見える線と資料上の境界線を混同しないよう注意が必要です。現地調査は境界を確定する作業ではなく、図面と現況の整合性を確認する作業として位置づけることが大切です。
既存資料の照合では、資料ごとの作成時期と目的を確認します。同じ場所の資料でも、道路工事のために作られた図面、用地取得のために作られた図面、道路台帳更新のために作られた図面、地形把握のための図面では、重視している情報が異なります。縮尺や座標の有無、測量精度、作成年度、更新履歴を確認しないまま重ね合わせると、ずれが発生したときに原因を判断できません。
また、現地と既存資料が一致しない場合の扱いを事前に決めておく必要があります。現地を優先するのか、台帳情報を優先するのか、過去の区域資料を確認するのか、再測量が必要なのかは、ずれの内容によって異なります。軽微な図面表現の違いであれば補正で済む場合もありますが、道路区域や境界に関わる差異であれば慎重な確認が必要です。道路台帳付図の作成では、差異を見つけること自体よりも、その差異をどう記録し、どう判断するかが重要です。
現地調査の記録も欠かせません。調査日、調査範囲、確認者、写真、測点、確認内容、未確認事項、既存資料との差異を残しておくことで、後から図面の根拠を説明しやすくなります。特に、複数人で作業する場合や外部に作成を委託する場合は、現地確認の記録様式を統一しておくと品質管理がしやすくなります。
道路台帳付図は、机上の資料整理だけでは実務に合わない図面になりがちです。現地調査と既存資料の照合を丁寧に行うことで、道路管理の現場で使いやすく、説明しやすい図面に近づきます。
データ化する際に注意したい精度と更新性
道路台帳付図を紙図面やPDFからデータ化する場合、精度と更新性の考え方が非常に重要です。データ化すると、検索、共有、重ね合わせ、編集、Web閲覧などがしやすくなります。しかし、データ化しただけで図面の精度が高まるわけではありません。元図の精度が低い場合や、位置合わせが不十分な場合は、見た目はきれいでも実務判断に使いにくいデータになってしまいます。
まず確認すべきなのは、元資料の性質です。紙図面を読み取ったものなのか、過去に作成された図面データなのか、測量成果に基づくデータなのかによって、位置精度は大きく異なります。紙図面を読み取る場合は、紙の伸縮、傾き、縮尺のずれ、読み取り時の歪みが発生することがあります。古い図面では、作成当時の基準や図法が現在の管理方法と合わない場合もあります。そのため、データ化の前に、元資料の精度を把握しておく必要があります。
位置合わせを行う際は、どの基準点や地物を使って合わせるかが重要です。道路交差点、橋梁、公共基準点、明確な構造物、境界点など、信頼できる基準を選ばなければ、図面全体にずれが生じます。局所的には合っていても、別の場所ではずれていることもあります。特に広範囲の道路台帳付図では、図面全体を一括で合わせるだけでは不十分な場合があります。対象範囲の広さ、地形条件、元図の歪みに応じて、確認点を複数設けることが大切です。
データ化では、線や文字をどのように整理するかも重要です。道路中心線、道路区域線、境界線、幅員注記、構造物、地番、背景地物などが同じデータ層に混在していると、後から編集や検索がしにくくなります。作成時には手間がかかっても、情報の種類ごとに整理しておくことで、将来の更新作業が大幅に楽になります。道路台帳付図は長期間使われる資料であるため、作成時点の見た目だけでなく、更新しやすい構造にしておくことが大切です。
更新性を高めるには、変更箇所が分かる仕組みも必要です。道路工事、区域変更、占用物の変更、橋梁改修、歩道整備などがあったときに、どの図面を修正すべきか、どのデータを更新すべきかが分からないと、更新漏れが発生します。道路台帳付図をデータ化する際は、路線番号、図郭番号、更新日、更新理由、根拠資料、担当者などを管理できるようにしておくと、後の運用が安定します。
また、精度を過剰に求めすぎることにも注意が必要です。道路台帳付図に求められる精度は、利用目的によって異なります。道路区域や境界の厳密な確認が必要な箇所では高い精度が求められますが、全体の位置把握や検索を目的とする場合は、実務上必要な精度を満たすことが優先されます。すべての路線に同じ精度を求めると、作業量が大きくなりすぎることがあります。重要なのは、利用目的に応じた精度基準を決め、その基準を明示することです。
データ化した道路台帳付図を複数部署で使う場合は、閲覧用データと編集用データを分けることも検討すべきです。誰でも編集できる状態にすると、意図しない修正や古いデータの混在が起こりやすくなります。一方で、閲覧だけでは現場からの更新情報が反映されにくくなる場合もあります。更新権限、承認手順、修正依頼の流れを整理しておくことで、データの信頼性を保ちやすくなります。
道路台帳付図のデータ化は、単なる電子化ではなく、道路管理情報を継続的に使える形に整える作業です。精度、根拠、レイヤー構成、更新履歴、閲覧方法、修正手順まで含めて設計することで、実務に役立つ道路台帳付図になります。
道路台帳付図を実務で使いやすくする運用設計
道路台帳付図は、作成して保管するだけでは十分に活用されません。日常業務で使いやすくするには、運用設計が欠かせません。どれだけ精度の高い図面を作っても、担当者が探しにくい、最新版が分からない、更新方法が決まっていない、現場で確認できないという状態では、実務効率は上がりません。道路台帳付図の価値は、作成後の使われ方によって大きく変わります。
まず重要なのは、最新版管理です。道路台帳付図は、工事や区域変更、補修、現地確認によって随時更新される可能性があります。紙図面、PDF、編集用データ、閲覧用データが別々に存在していると、どれが最新か分からなくなることがあります。最新版の保管場所、ファイル名のルール、更新日、更新内容、承認者を明確にしておくことで、古い図面を誤って参照するリスクを減らせます。
次に、検索しやすい管理方法が必要です。道路台帳付図を探す際には、路線名、路線番号、住所、地番、図郭、交差点名、施設名など、さまざまな切り口が使われます。保管フォルダだけに頼ると、担当者の経験がないと目的の図面にたどり着けないことがあります。道路台帳付図を実務で使いやすくするには、複数の検索キーで目的の場所にアクセスできるようにしておくことが望ましいです。
閲覧環境も重要です。道路台帳付図が庁内の特定端末でしか見られない場合、問い合わせ対応や現場確認のたびに担当者の作業が発生します。関係部署が必要な範囲で閲覧できるようにしておけば、照会対応の負担を減らせます。現場で確認できる環境があれば、道路の形状、幅員、区域、構造物の位置をその場で照合しやすくなります。ただし、閲覧範囲や権限、公開できる情報と内部管理情報の区別は慎重に設計する必要があります。
更新の流れも決めておくべきです。道路工事が完了したとき、占用物の位置が変わったとき、境界確認で新しい情報が得られたとき、住民対応で図面の不一致が分かったときに、誰がどのように道路台帳付図へ反映するのかを明確にします。更新依頼、資料確認、図面修正、品質確認、承認、公開という流れが整理されていれば、更新漏れや二重管理を防ぎやすくなります。
運用設計では、図面の見やすさも大切です。専門担当者だけでなく、異動してきた職員、関係部署、外部委託先、現場担当者が見ることを考えると、凡例、注記、縮尺、方位、図郭、路線名、更新日などの基本情報が分かりやすく表示されている必要があります。道路台帳付図は、情報を詰め込むほど便利になるとは限りません。利用場面に応じて、閲覧用、確認用、編集用などの表示を分けることも有効です。
品質管理の観点も欠かせません。道路台帳付図には、位置のずれ、線種の誤り、注記の不一致、古い情報の残存、図郭の抜け、路線名の誤記などが起こる可能性があります。作成時だけでなく、更新時にも確認項目を設けることで、品質を維持できます。特に、外部に作成や更新を依頼する場合は、納品形式だけでなく、確認基準や修正方法を明確にしておくことが重要です。
道路台帳付図を長く使うには、属人化を避けることも必要です。特定の担当者だけが図面の保管場所や修正方法を知っている状態では、異動や退職のたびに運用が不安定になります。図面管理のルール、更新手順、問い合わせ対応の考え方を文書化しておくことで、担当者が変わっても継続的に運用できます。
道路台帳付図の作成は、図面整備の始まりにすぎません。作成後にどのように使い、更新し、共有し、説明するかまで設計することで、道路管理の実務に本当に役立つ資料になります。
まとめ
道路台帳付図とは、道路台帳に整理された道路情報を図面上で確認できるようにした重要な管理資料です。道路の位置、区域、幅員、境界、構造物、周辺地物などを視覚的に把握できるため、道路管理、占用確認、 工事、維持補修、住民対応、庁内照会、防災対応など幅広い場面で活用されます。
作成前に知っておきたい基本は、単に図面をきれいに作ることではありません。道路台帳付図が何を示す資料なのかを理解し、対象道路と管理範囲を明確にし、道路区域と境界の考え方を整理し、現地調査と既存資料を照合し、データ化の精度と更新性を設計し、実務で使いやすい運用まで考えることが大切です。これらを事前に整理しておけば、作成後の手戻りや更新漏れを減らし、担当者が安心して使える道路台帳付図に近づきます。
特に重要なのは、道路台帳付図を「一度作って終わりの図面」と考えないことです。道路は時間とともに変化します。工事、補修、開発、災害、境界確認、占用物の変更などによって、道路管理情報は更新され続けます。その変化を反映できる仕組みがなければ、道路台帳付図は少しずつ現況と合わなくなり、実務で使いにくい資料になってしまいます。作成段階から、更新履歴、根拠資料、管理ルール、閲覧方法を含めて設計することが重要です。
紙図面やPDFで管理されている道路台帳付図を見直す場合は、まず現状の課題を整理することから始めるとよいです。最新版が分からない、現地と合わない、探すのに時間がかかる、境界や幅員の根拠が分かりにくい、更新作業が属人化しているといった課題があれば、データ化や運用改善の効果が出やすい領域です。ただし、電子化そのものが目的になると、実務で使いにくいデータが増えるだけになることもあります。重要なのは、道路管理の現場でどのように確認し、説明し、更新するかを見据えて整備することです。
今後は、道路台帳付図を現地確認や高精度な位置情報と組み合わせて活用する場面も増えていきます。現地で道路区域や構造物の位置を確認し、その結果を管理図面や台帳情報と照合できれば、更新作業や現況確認の効率化につながります。LRTK(iPhone装着型GNSS高精度測位デバイス)を活用すれば、現場で取得した高精度な位置情報を道路台帳付図の確認や更新候補の記録に役立てやすくなります。道路台帳付図を紙やPDFの保管資料にとどめず、現場で使える道路管理情報として整備していくことが、これからの実務効率化につながります。
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